JP2004217468A - 光学素子成形装置及び型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に高精度な光学素子の成形効率を向上させることができる光学素子成形装置及び複数の成形キャビティを有する高精度な型を製造できる型の製造方法を提供する。
【解決手段】実際の成形条件と同じ条件で、第1の原型と第2の原型とを用いて複数の光学素子を成形し、成形された各光学素子の光学面を測定した上で、それを成形した成形キャビティの位置を調整し直して、新たに第1の型1又は第2の型2を製作する。それにより、成形温度における各部の熱膨張の影響を排除して、高精度な光学素子を成形できる。
【選択図】 図1
【解決手段】実際の成形条件と同じ条件で、第1の原型と第2の原型とを用いて複数の光学素子を成形し、成形された各光学素子の光学面を測定した上で、それを成形した成形キャビティの位置を調整し直して、新たに第1の型1又は第2の型2を製作する。それにより、成形温度における各部の熱膨張の影響を排除して、高精度な光学素子を成形できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子成形装置及び型の製造方法に関し、特に光学素子を効率よく成形するのに適した光学素子成形装置及びそれに用いる型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスのような高いガラス転移点を持つガラス素材を用いて光学素子を成形する場合、プレス工程以外に、比較的時間がかかる光学材料の昇温工程及び成形品の冷却工程が必要となるが、熱容量の比較的大きな型を含めて、昇温及び冷却が必要となるので、一連の成形サイクルを大幅に短くすることは困難といえる。これに対し、プラスチック成形のように、一度に複数個の成形を行えるようにすれば、成形サイクルが同じでも、単位時間当たりに生産される光学素子の個数を大幅に増大できる。
【0003】
但し、例えば高密度な情報記録を行うための光ピックアップ装置に用いる対物レンズを光学素子として成形する場合には、光学面の偏心許容誤差など極めて高い精度を要求されるので、単に複数対の型を用いて成形するのみでは足らず、各型に形成された成形キャビティ同士の高精度な位置決めを達成する必要がある。
これに対し、複数対の型を用いて、一度の成形で複数の光学素子を高精度に成形できる光学素子成形装置が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】
特開2001−341134号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示された光学素子成形装置は、各々単一の成形キャビティを有する複数の型を有しているので、一度の成形で複数の光学素子を成形できるほか、圧縮気体で各型を位置決め自在に保持しているので、対向する型相互の位置決めを精度良く行え、それにより光学面の偏心を抑えた精度の良い光学素子を成形することができる。しかしながら、特許文献1に開示された光学素子成形装置においては、複数の型を個々に圧縮気体で保持しているので、その配管が必要になり、装置全体が大型化しコスト的に高くなるという問題がある。
【0005】
一方、対向する一対の型に、単一の成形キャビティをそれぞれ別個に製作し、成形時に互いに位置決めすることは、圧力伝達媒体等を用いることにより比較的容易に行うことができる。しかしながら、成形キャビティを複数並べると、複数の成形キャビティの位置決めを行うために、コストが大幅に高くなる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みて成されたものであり、製造コストを増大させることなく、特に高精度な光学素子の成形効率を向上させることができる光学素子成形装置及び複数の成形キャビティを有する高精度な型を製造できる型の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光学素子成形装置は、複数の成形キャビティを一体的に形成した第1の型と、前記第1の型の成形キャビティにそれぞれ対応するように複数の成形キャビティを一体的に形成し、前記第1の型に対して接近もしくは離隔可能に移動可能となっている第2の型と、前記第1の型及び前記第2の型の少なくとも一方の型を保持する保持部材とを有し、前記保持部材は、前記少なくとも一方の型における対向する面に向かって圧力伝達媒体を供給することにより、前記少なくとも一方の型を非接触で保持するようになっており、前記少なくとも一方の型の成形キャビティは、圧力伝達媒体により可動範囲0〜200μm以内で前記保持部材に対して平行シフト及び/又は微小回転(例えば秒オーダー)が可能となっており、且つ成形時において、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値を2μm以内に抑えることを特徴とする。尚、前記少なくとも一方の型の平行シフト及び/又は微小回転は、圧力伝達媒体の速度や量を調整したり、圧力伝達媒体の吐出口を複数設けることで達成できるが、それに限られない。
【0008】
すなわち、本発明のように、複数の成形キャビティを一体的に形成した第1の型と、前記第1の型の成形キャビティにそれぞれ対応するように複数の成形キャビティを一体的に形成し、前記第1の型に対して接近もしくは離隔可能に移動可能となっている第2の型とを形成し、前記第1の型及び前記第2の型の少なくとも一方の型を、前記保持部材に対して圧力伝達媒体を用いて保持するようにすれば、圧力伝達媒体の配管等が簡素化され、よりコンパクト且つ低コストな光学素子成形装置を提供できる。しかしながら、前記複数の成形キャビティは一体的に形成されているので、例えば特許文献1に開示された技術のように、個々に成形キャビティを調整できないということがある。
【0009】
本発明者は、前記複数の成形キャビティを一体的に形成した前記第1の型と前記第2の型とを用いて実際に光学素子を成形したときに、前記第1の型の複数の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の複数の成形キャビティとを精度良く位置決めしても、それを用いて実際に成形した光学素子の光学面に偏心が生じることがあることを見出した。更に、本発明者は、鋭意研究の結果、成形時において、前記第1の型に対し前記第2の型が微小に回転した場合は単に平行シフトさせても位置ズレは直らず、対向する成形キャビティの位置ズレが生じることを見出した。これに基づき、本発明者は、成形時(例えばガラス転移点Tg以上)において、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値が、2μm以内であるように、前記第1の型と前記第2の型とを製作し、且つ前記保持部材が少なくとも一方の型を精度良く保持する光学素子成形装置を発明したのである。尚、そのような前記第1の型と前記第2の型とを製作するには、実際の成形条件と同じ条件で、第1の原型と第2の原型とを用いて複数の光学素子を成形し、成形された各光学素子の光学面を測定した上で、それを成形した成形キャビティの位置を調整し直して、第1の型及び/又は第2の型を修正もしくは新たに製作することがあるが、それに限らず、熱膨張を盛り込んだ計算を行った上で、常温雰囲気中の型における成形キャビティの位置を決めても良い。
【0010】
また、前記第1の型と前記第2の型の押圧方向と直交する面(X方向とY方向とで規定される)内において、前記保持部材に対し前記少なくとも一方の型の平行シフト及び/又は微小回転(秒オーダー)ができるよう0〜200μm以内の可動範囲を有しており、例えばX方向、Y方向の圧力伝達媒体の量、速度を調整することによって、平行シフト及び/又は微小回転を行うことができる。特に、請求項2に記載するように複数の供給部を有しなくても、圧力伝達媒体ではさむ面を完全な平行あるいは平面でないようにすれば、圧力伝達媒体の圧力が不均一となり例えば回転を伴ってシフトするので、微小な回転調整ができる。あるいはこのすき間を非均等にして、回転調整を行えるようにしてもよい。
【0011】
かかる光学素子成形装置によれば、成形キャビティの位置ズレの最大値を2μm以内に抑えることができるので、高精度な光学素子を成形できる。尚、結果として、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値が、2μmを超えていても、成形される光学素子の精度とは無関係であるので問題はない。ここで、成形時とは、少なくともガラス転移点以上の温度をいうものとする。
【0012】
請求項2に記載の光学素子成形装置は、前記保持部材が、前記圧力伝達媒体の供給部を複数配置しており、各供給部より供給される前記圧力伝達媒体の量及び/又は速度を調整可能とするので、前記少なくとも一方の型を、他方の型に対してサブミクロンオーダーで任意に角度決め又は/及び位置決めすることができ、さらに回転やチルト調整を任意にできる。ここで、圧力伝達媒体を102〜103N/μmあるいはそれ以上の圧力により極めて強い剛性で、前記少なくとも一方の型を保持すれば、成形時の相互位置を成形ごとに安定させることができる。また、静圧のオリフィス絞りを用いる場合は、一面に複数のオリフィス絞りを設けると良い。多孔体セラミックを用いる場合は、複数のエアー供給配管をもうけると、より精密にシフト移動、回転移動が可能となる。また、圧力伝達媒体の受け面は4面以上あってもよい。6面の場合断面は6角形となる。尚、本発明の光学素子成形装置は、光学素子の成形を主に対象とするが、ガラスを素材とする製品全てにも適用できる。又、圧力伝達媒体とは、液体でよいが、窒素ガスか空気などの気体であると好ましい。
【0013】
請求項3に記載の光学素子成形装置は、前記圧力伝達媒体の供給部が、前記第1の型及び前記第2の型の相対移動方向及び/又はそれに交差する方向に沿って配置されていると、前記少なくとも一方の型を任意に角度決め又は/及び位置決めすることができる。例えば軸線に直交する断面が正方形である型を保持するために、前記保持装置に4面に対して圧力伝達媒体を吐出する供給部を設けた場合、その供給部が1面に対して1つならば、型の傾き(チルト)や回転の力に対して抵抗する力が弱くなる。かかるチルト等により、前記第1の型と前記第2の型との間にずれが発生したり、成形される光学素子の光軸方向厚さが変化する恐れがある。これを防ぐために確実に傾き調整もしくは回転調整を行うべく、複数の圧力伝達媒体の供給部を、前記第1の型及び前記第2の型の相対移動方向及び/又はそれに交差する方向に沿って配置すると好ましい。それにより圧力伝達媒体の作用点が離散的になるため、結果的に傾きを押さえる力が非常に強くなる。これは、型が円筒状であっても傾き抑制効果がある。
【0014】
請求項4に記載の光学素子成形装置は、前記少なくとも一方の型は角柱状又は円筒状であり、前記保持部材は、前記少なくとも一方の型に隙間をあけて嵌合していると好ましい。尚、高精度な光学素子を成形するには、型を直角度・平面度ともミクロンオーダーの精度で加工する必要があるが、大きな部材を角柱状に加工する場合、一般的に高い加工精度を確保するのが困難である。これに対し、円筒形の部材は、比較的高精度に加工しやすいという利点がある。また断面が円筒でも、圧力伝達媒体の供給部や供給用の溝を四方に離散的に設けるならば、型の位置をXY方向でサブミクロンオーダーで制御できるということもある。すなわち、型の外周面を円筒面とすることで高精度な光学素子成形装置が得られることとなる。
【0015】
請求項5に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型の成形キャビティと、それに対応する前記第2の型の成形キャビティとで、ガラス転移点が400℃以下のガラス素材を成形すると好ましい。光学素子成形時の型温度と、型加工時の型温度とでは大きな差があるので、その熱膨張の影響を回避できなくなる。特に光ピックアップ装置の対物レンズのごとき高精度な光学素子を成形する場合、対向する成形キャビティの位置ズレは2μm以下の範囲であることが必要である。従って、常温雰囲気とガラス転移点が近いほど、熱膨張の影響を回避するという点で有利となる。更に、ガラス転移点が低ければ、ガラス素材を加熱溶融するための使用電力も少なくなるという利点もある。また、以下の請求項に示すようなニッケル等の高温には耐えられない型材も使用可能になるという利点がある。更に、例えば型の温度検出のために用いるシース型熱電対の径の細い素材は、一般的に500℃までしか耐えられないが、このような周辺機器も熱対策なく使用でき、低コストでの温度制御が可能となる。
【0016】
請求項6に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型が、Ni、Fe、Co、Wあるいはそれらの合金系の金属から形成されていると、加工性に優れるという利点を活用し、低コスト且つ短時間で型製作を行える。
【0017】
請求項7に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型は、セラミックから作成されていると、軽量であり加工性に優れる(例えば円形や矩形の断面を有する部材でも加工が容易であり、また細長い配管の穴加工も容易である)という利点を活用し、低コスト且つ短時間で型製作を行える。特に、機械加工可能なマシナブルセラミックと市場で呼ばれているセラミックがあるが、このようなセラミックは温度差が大きいと割れやすいという問題がある。しかしながら、ガラス転移点の低いガラス素材を用いたり、また周辺機材もマシナブルセラミックと同じ熱膨脹係数のものを使用することで、割れを回避しつつマシナブルセラミックを使用できる。上市されている商品名「マセライト」や「マコール」といったセラミックも使用可能である。
【0018】
請求項8に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型は、線膨脹率αが0.000007/℃未満の素材を用いて形成されていると、熱膨脹の影響を低く抑えることができる。例えば低ガラス転移点のガラス素材であれば、例えばノビナイトなどの鉄とニッケルの合金の線膨張係数が上記条件を満たすので、型材として有効に使用できる。ガラス素材にも様々な線膨張係数を有するものがあり、その値として、主に1.0×10−5以下が多く用いられている。従って、型の線膨張率を低くすることで、複数種のガラス素材に対応しやすくなる。
【0019】
請求項9に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型の最大間隔をLとし、温度分布の幅をΔTとし、線膨張率をαとしたときに、以下の式が成立すると、熱膨脹の影響を低く抑えることができる。
△T*L*α<2μm (1)
(1)式を満たすようにすると、前記第1の型と前記第2の型とを正確に合うように製作することで、熱膨脹の幅を一定値以下に抑えることができ、高精度な光学素子を成形できる。尚、(1)式を満たすようにするには、型の容量を大きくして、均一な温度領域の拡大を図ったり、型加熱用のヒーターや型冷却用の冷却器等を型内に分散して設けたり、高温流体を配管を通して流したり、高温流体たまりを型の下に作ることがある。流体は温度分布があると対流するので、均一な型温度分布の形成に貢献する。この場合、溶けた錫とか鉛なども流体として使用できる、また、型の中央部のみに固体のヒーターを配置させると均一な温度分布を確保しやすい。また、成形する環境も温度均一にすることが肝要である。そのため、前記第1の型及び前記第2の型を覆う成形室の上下左右の壁面に配管を設け、同一の温度の流体を流したり、更に窒素などの気体の場合、成形室内にも流すことで温度の均一化を図り、型温度制御を精密に行うとよい。
【0020】
請求項10に記載の光学素子成形装置は、前記少なくとも一方の型が、相対移動方向に対して交差する方向に位置調整可能に保持されていると、対向する成形キャビティの位置決めが容易になるので好ましい。尚、位置調整の方法は、軸線を挟んで対向する型の面に向かう圧力伝達媒体の圧力もしくは流量を変更することで行えるが、それにかぎらず、例えば前記保持部材により保持されない型がある場合、かかる型と基盤との間に2μm程度の隙間を設け、ボルトなどで相互に固定した後に、まず基準値で実際に成形を行って、成形された光学素子の光学面の偏心量から補正値を求める。更に、固定したボルト等を緩めた上で、型と基盤との間に、その補正値に近いシムを挟んで、再度ボルト等で固定すれば、次回の成形時には光学面に偏心のない光学素子を成形できることとなる。更に、型を局部的に加熱もしくは冷却し、熱膨脹量を調整することで、同一型上での成形キャビティ間の位置を補正してもよい。
【0021】
請求項11に記載の光学素子成形装置は、前記保持部材が多孔質材から形成されていると、そこから供給される圧力伝達媒体を用いて、前記少なくとも一方の型の保持を確実に行うことができる。
【0022】
請求項12に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、複数の母材を所定間隔で保持するステップと、前記複数の母材を電鋳処理するステップと、前記電鋳処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、例えば前記第1の型の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の成形キャビティとを、一度に形成することができ、しかもその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。尚、母材としては、実際に成形された光学素子を測定し、最も高精度に成形された光学素子自体を用いることができる。電鋳処理とは、電気鍍金により厚い層を形成するものであり、具体的には金属溶液中に電気を流し、銅やニッケルなど厚く金属を堆積させる処理をいう。
【0023】
請求項13に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、複数の母材を所定間隔で保持するステップと、前記複数の母材をCVD処理するステップと、前記CVD処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、例えば前記第1の型の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の成形キャビティとを、一度に形成することができ、しかもその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。尚、母材としては、実際に成形された光学素子を測定し、最も高精度に成形された光学素子自体を用いることができる。CVD処理の一例として、厚くSiCを積相することができる。
【0024】
請求項14に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、型の素材の表面を加熱溶融するステップと、前記型の素材より高融点である複数の母材を、表面を加熱溶融した前記型の素材に対して加圧接触させるステップと、前記型の素材とを冷却させた後、前記母材を分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、従ってその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。
【0025】
請求項15に記載の型の製造方法は、前記母材がガラス、金属、セラミック素子の少なくとも一つであると好ましい。
【0026】
請求項16に記載の型の製造方法は、前記型の素材の素材が金属ガラスであると好ましい。金属ガラスとは、過冷却液体域を有する非晶質合金である。過冷却液体域を有する非晶質合金は、加熱すると過冷却液体となるアモルファス状の合金である。これは、通常の金属が多結晶組成であるのに対して、組織がアモルファス状のため組成がミクロ的にも均一で機械強度や常温化学耐性に優れ、ガラス転移点を有し、ガラス転移点+50〜200℃前後(これを過冷却液体域という)に加熱すると軟化するためプレス成形加工が出来るという、通常の金属に無い特徴を有するものである。
【0027】
以上の型の製造方法の例としては、複数の光学素子を上下に包む型材を作成し、半分に切って上下型としてもよいし、下型をまず積層し、次に適当な離形層を設けて上型を積層し分離して、上半分、下半分の型を作成してよい、また、金属を流し込んでもよい。より具体的には、例えば高融点の母材を高精度に研磨などで作成し、それらを所定間隔で保持具により保持し、次に、その融点より低い融点を持つ金属あるいは低いガラス転移点を持つ金属ガラスを、その高融点より低い温度で流し込んで下型を作る。次に保持具をはずし、薄い炭素の層などの剥離層を設けて金属ガラスを流し込んで上型を作成する。そして完成した型で、金属ガラスよりより低いガラス転移点をもつガラス素材を成形して複数の光学素子を得ることができる型が完成する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。図1において、角柱状の第1の型である上型1は、その下面に4列4行(図では1列分のみ図示)で16個の成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・を有している。上型1の周囲を、保持部材3が囲っている。保持部材3は、角管状の形状を有し、上型1に対して隙間(10μm程度)を空けて配置されている。保持部材3は、その4面の中間部において、圧力伝達媒体である窒素ガスの供給口3aを有している。供給部である供給口3aは、コネクタCを介して外部の供給装置に連結されており、供給口3aの内部側は、フレア状に広がって、供給された窒素ガスを、上型1の対向する面に広く吐出させるようになっている。尚、図1及び後述する図では図示していないが、型を加熱するヒーターや冷却用の配管(場合によっては冷媒貯留用のタンク)、温度検出センサなどが、型内に配置されている。
【0029】
図1において、角柱状の第2の型である下型2は、その上面に4列4行(図では1列分のみ図示)で16個の成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・を有している。下型2の周囲を、保持部材4が囲っている。保持部材4は、角管状の形状を有し、下型2に対して隙間を空けて配置されている。保持部材4は、その4面の中間部において、圧力伝達媒体である窒素ガスの供給口4aを有している。供給部である供給口4aは、コネクタCを介して外部の供給装置に連結されており、供給口4aの内部側は、フレア状に広がって、供給された窒素ガスを、下型2の対向する面に広く吐出させるようになっている。
【0030】
図2は、図1の光学素子成形装置における上型1の下面及び下型2の上面を拡大して示す図である。ここで、成形時の熱膨張を考慮した場合、マトリクス状に並んだ成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・を、成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・に対しどのようにして精度良く対向させるかが問題となる。本実施の形態では、上型1の1面1pと、下型2の1面2pとを基準面とし、これを面一としたときに、対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・の適正値を決定する。
【0031】
適正値の決定方法としては、等間隔で成形キャビティを形成した第1の原型と第2の原型とを用いて、実際の成形条件と同じ条件で複数の光学素子を成形する。その後、成形された各光学素子に成形キャビティに対応する番号を振り、それらの光学面を個々に測定すれば、光学面の偏心、すなわちその光学素子に対応する成形キャビティの位置ズレ(軸線に直交するXY方向)が分かる。そこで、そのズレ量に基づいて、第1の原型又は第2の原型を修正するか、新たな型を製造し直すことで、成形時における対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・を最大でも2μm以内に押さえ込むことが可能となる。尚、このようにして形成された上型1と下型2において、常温雰囲気(機械加工時雰囲気)における対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・は、最大値が2μmを超えることがあるが、それは成形と無関係であるので問題はない。
【0032】
このようにして対向する成形キャビティの位置決めを行った上型1と下型2とを、図1の光学素子成形装置に組み込み、保持部材3,4の内面から上型1と下型2の対向面に窒素ガスを吹き出すことで、非接触状態で型保持が可能となる。この際、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとの間にズレがあると、成形される光学素子の光学面の許容できない偏心を招く恐れがある。これに対し、本実施の形態では、例えば保持部材3の図で左側の吐出口3aから吐出される窒素ガスの流量又は速度を、保持部材3の図で右側の吐出口3aから吐出される窒素ガスの流量又は速度に対して、大きくもしくは小さくすることで、下型2の基準面2pに対して、上型1の基準面1pを任意にシフトさせ、両者が精度良く面一になるように調整できる。以上の実施の形態によれば0.1μm程度で上下型の位置決めを制御できる、かかる状態で、型間に加熱溶融したガラス素材のプリフォーム(不図示)を投入し、上型1に下型2を接近させプレスすることで、一度の成形で、所望の形状である高精度な16個の光学素子を得ることができる。尚、本実施の形態では、0〜200μmの範囲内で下型2は平行シフト及び/又は微小回転が可能となっている。
【0033】
図3は、第2の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。図1に示す構成であると、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとを面一にできるが、基準面同士が傾いている場合には、それを修正することができないため、成形した光学素子の光学面にチルト(傾き)が発生する恐れがある。これに対し、図3に示す光学素子成形装置では、かかる問題を解消することができる。
【0034】
本実施の形態では、下型2を取り付けた角柱状の延長部材(型の一部を成す)12の上下2カ所で、保持部材14A、14Bを介して窒素ガスを吹き出すことで保持している。保持部材14A、14Bは、内面14a及び取入口14bを除き外周面全体を密閉層で覆われた多孔質セラミックからなり、取入口14bから供給された窒素ガスを内面14a全体から吐出させることができるようになっている。尚、内面14aが供給部を構成する。
【0035】
ここで、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとに傾きがあったときは、例えば上方の保持部材14Aの図で左側の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させ、且つ下方の保持部材14Bの図で右側の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させることで、延長部材12は図で時計回り方向のモーメントを受けるようになるため、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとの傾きを極力ゼロに近づけることができ、それにより光学面チルトがない光学素子を成形することができる。尚、本実施の形態では、保持部材14A、14Bの多孔質セラミックを介して、延長部材12に対向する内面14a全面から窒素ガスを吐出するようにしているが、図1に示す形態の保持部材を用いても良いことは言うまでもない。
【0036】
図4は、図3の実施の形態にかかる光学素子成形装置の下型2の上面図である。図1に示す構成であると、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとを面一にできるが、基準面同士が大きくねじれている場合には、それを修正することができないため、成形した光学素子によっては、その光学面に偏心が発生する恐れがある。これに対し、図4に示す光学素子成形装置では、かかる問題を解消することができる。
【0037】
本実施の形態では、下型2を取り付けた角柱状の延長部材12の4面各面に、2つずつ、合計8個の保持部材要素14A1〜14A8(これら1グループで保持部材14を構成)を離散的に配置している。この場合、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとにネジレがあったときは、例えば図4で上方の保持部材要素14A1面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させ、且つ下方の保持部材要素14A5の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させることで、延長部材12は図で反時計回り方向のモーメントを受けるようになるため、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとのネジレを極力ゼロに近づけることができ、それにより軸線から離れた成形キャビティ2a、2dでも、位置ズレの抑制が可能となり、光学面偏心がない光学素子を成形することができる。
【0038】
図5は、本実施の形態の変形例にかかる下型の上面図である。本変形例の下型22は円筒形状を有し、その上面に放射状に9つの成形キャビティ22a、22b、・・・を形成している。尚、図示していないが、上型の下面にも、同様な成形キャビティが対向して形成されている。
【0039】
更に、保持部材24は、内面24cを除く外面全体を密閉層で覆われた多孔質グラファイトからなり、供給された窒素ガスを、その円筒状の内面(複数の供給部の集合ともいえる)24c全体から吐出させることができるようになっている。尚、保持部材24の内面24cは、4つのくぼみ24aが等間隔に形成されており、且つ紙面に垂直に複数の配管24bが配置されている。配管24bには、保持部材24内の範囲で無数の孔が形成されており、配管24bを介して外部より供給された窒素ガスを、多孔質グラファイト内に放出させ、保持部材24の内面24cから吐出することで、下型2を適切な位置に保持できるようになっている。多孔質グラファイトは軽量であり、摺動性に優れるという利点を有し、保持部材24が円筒状であるため製造も容易である。尚、くぼみ24aは、窒素ガスの吐出を支援するために設けられている。
【0040】
ここで、型の熱膨張とガラス素材の熱膨張とを考察する。成形時の温度をT2,ガラスの線膨張係数をα1、型母材の線膨脹係数をα2とする。又、光学素子の常温T1での外径をD11とする。成形時の光学素子の大きさD12=D11*(1+α1*(T2−T1))である。成形時には型の外形D22も、光学素子の外径D22と同じでなければならないから、D12=D22となり、また型についても熱膨脹があるからD22=D21*(1+α2*(T2−T1))が成立する。
【0041】
以上より、以下の式が得られる。
D11*(1+α1*(T2−T1))=D21*(1+α2*(T2−T1))・・・・(1)
D21=D11*(1+α1*(T2−T1))/(1+α2*(T2−T1))・・・・(2)
【0042】
上記の(1)(2)式に従って、製造時の温度との差による型と光学素子の差を補正することができる。実際には線膨張係数α1,α2は温度によって変わるため、その点も加味すると好ましい。また、温度分布があると、場所により熱膨脹の距離が異なり、上下型が成形時にずれる恐れがある。上述の実施の形態では、そのような局部的な熱膨張の差によるズレも修正できるが、型設計時に補正して成形キャビティを製作しても良い。
【0043】
具体的な設計方法としては、安定した状態では上下の型温度分布が一定のパターンに落ち着くので、既存の成形型を用いてその温度分布を測定する。ガラス素材も熱膨張による大きさの差が生じるので、その温度分布による熱膨脹量を前提の上で、上下の型の位置が成形時に正確に一致するように型の上下の型保持部材上の加工時の位置を計算して決める、光ピックアップ装置用の対物レンズなど、高い光学特性を要求される場合、上下型の位置ズレは最大でも2μm以下の範囲であることが必須である。
【0044】
ガラス転移点が325℃付近のガラス素材を用いると、成形温度を低下させることができるので、型素材としてニッケルやインコネルが使用できる。これらの型素材は、固い超硬やセラミックに比較し、加工がはるかに簡単で高精度に形成できる。また、型内に径が0.15mmの細いシース熱電対も埋設可能となる。
一般的にこのタイプの熱電対は、500℃程度しか耐熱性がないが、それよりガラス転移点が低ければ使用可能となる。また、型加熱用のシースヒータの寿命も長くなる。更に、型素材がニッケルであればダイヤモンド切削ができ、短時間で成形キャビティを切削できる。加工しやすいいわゆるマシナブルセラミックも型材として用いることができるが、その熱膨脹率が金属に近いので好ましい。また、ヒーターや温度検出センサ等の周辺機材も、マシナブルセラミックと同じ熱膨脹係数の金属を使用すると好ましい。
【0045】
図6は、本実施の形態にかかる型の製造方法を示す図である。本実施の形態の型の製造方法を説明すると、図6(a)において、まず光学特性が所定の許容範囲内に収まっている既存の光学素子OEを選別し、これを母材としてホルダ(保持具ともいう)HLにより所定間隔で保持する(保持するステップ)。その後、光学素子OEの両光学面にNi層をスパッタリングで堆積させる。更に、スルファミン酸ニッケル浴中に、光学素子OEをホルダHLごと浸し、外部の電極部材ELとNi層との間に電流を流すことで、電鋳層1A,2Aを成長させる(電鋳処理するステップ)。電鋳層1A,2Aが所定の厚さに成長したら、まずその側面に基準面1P、2Pを一度に機械加工で形成した後、光学素子OEを分離する(分離するステップ)。電鋳層(型の素材)1A,2Aには、光学素子OEの分離後にくぼみができ、これが成形キャビティとなる。その後、基準面1p、2pを基準にして、電鋳層1A,2Aの各面を加工することで、第1の型1と第2の型2とが形成されることとなる(図6(b)参照)。
【0046】
本実施の形態によれば、電鋳層1A,2Aは、たとえ光学素子OEの表面に、光学特性を良好にする微小な凹凸が形成されていても、それを精密に転写できる。更に第1の型1と第2の型2とが光学素子成形装置に組み込まれたときに、基準面1p、2pを合致させる限り、第1の型の成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・と、第2の型の成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・とは、それぞれ位置ずれなく対向することとなり、すなわち元の光学素子OEを精度良く再現成形することが可能となる。かかる型は、ガラス転移点の低いガラス素材を用いて成形を行うときなど、熱膨脹の影響が少ない場合に特に有効である。
【0047】
本実施の形態の変形例としては、図6(a)において電鋳が成長する前の状態(すなわちホルダHLにより複数の光学素子OEが保持された状態)で、CVD処理を行う(CVD処理するステップ)ことで、光学素子OEの両面に、図6(a)に示す電鋳に類似のニッケル層(型の素材)などを成長させることもできる。その基準面などを機械加工することで、第1の型1,第2の型2を形成することができる(図6(b)参照)。その他は、上述の製造方法と同様である。
【0048】
図7は、別の実施の形態にかかる型の製造方法を示す図である。本実施の形態においては、上述と同様にホルダHLにより複数の光学素子OEを保持した状態で、坩堝VE内の金属ガラスMG(型の素材)を加熱溶融する(加熱溶融するステップ)。更に、加熱溶融した状態の金属ガラスMGに、母材である光学素子OEをホルダHLごと加圧接触させる(加圧接触させるステップ)。その状態を維持しつつ金属ガラスMGが冷却するのを待つ。金属ガラスMGが冷却した後、光学素子OEを分離する(分離するステップ)ことで、そのくぼみに成形キャビティが形成されることとなる。以下、上述と同様にして、型成形が可能となる。
【0049】
母材としての光学素子OEは、ガラス、金属、セラミック素子の少なくとも一つであると好ましい。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特に高精度な光学素子の成形効率を向上させることができる光学素子成形装置及び複数の成形キャビティを有する高精度な型を製造できる型の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。
【図2】図1の光学素子成形装置における上型1の下面及び下型2の上面を拡大して示す図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。
【図4】図3の実施の形態にかかる光学素子成形装置の下型2の上面図である。
【図5】第1,2実施の形態の変形例にかかる下型の上面図である。
【図6】第3の実施の形態にかかる型の製造方法を説明するための図である。
【図7】第4の実施の形態にかかる型の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 上型
1a、1b、1c、1d、・・・ 成形キャビティ
2、22 下型
2a、2b、2c、2d、・・・ 成形キャビティ
3,4、14、24 保持部材
OE 光学素子
HL ホルダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子成形装置及び型の製造方法に関し、特に光学素子を効率よく成形するのに適した光学素子成形装置及びそれに用いる型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスのような高いガラス転移点を持つガラス素材を用いて光学素子を成形する場合、プレス工程以外に、比較的時間がかかる光学材料の昇温工程及び成形品の冷却工程が必要となるが、熱容量の比較的大きな型を含めて、昇温及び冷却が必要となるので、一連の成形サイクルを大幅に短くすることは困難といえる。これに対し、プラスチック成形のように、一度に複数個の成形を行えるようにすれば、成形サイクルが同じでも、単位時間当たりに生産される光学素子の個数を大幅に増大できる。
【0003】
但し、例えば高密度な情報記録を行うための光ピックアップ装置に用いる対物レンズを光学素子として成形する場合には、光学面の偏心許容誤差など極めて高い精度を要求されるので、単に複数対の型を用いて成形するのみでは足らず、各型に形成された成形キャビティ同士の高精度な位置決めを達成する必要がある。
これに対し、複数対の型を用いて、一度の成形で複数の光学素子を高精度に成形できる光学素子成形装置が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】
特開2001−341134号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示された光学素子成形装置は、各々単一の成形キャビティを有する複数の型を有しているので、一度の成形で複数の光学素子を成形できるほか、圧縮気体で各型を位置決め自在に保持しているので、対向する型相互の位置決めを精度良く行え、それにより光学面の偏心を抑えた精度の良い光学素子を成形することができる。しかしながら、特許文献1に開示された光学素子成形装置においては、複数の型を個々に圧縮気体で保持しているので、その配管が必要になり、装置全体が大型化しコスト的に高くなるという問題がある。
【0005】
一方、対向する一対の型に、単一の成形キャビティをそれぞれ別個に製作し、成形時に互いに位置決めすることは、圧力伝達媒体等を用いることにより比較的容易に行うことができる。しかしながら、成形キャビティを複数並べると、複数の成形キャビティの位置決めを行うために、コストが大幅に高くなる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みて成されたものであり、製造コストを増大させることなく、特に高精度な光学素子の成形効率を向上させることができる光学素子成形装置及び複数の成形キャビティを有する高精度な型を製造できる型の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光学素子成形装置は、複数の成形キャビティを一体的に形成した第1の型と、前記第1の型の成形キャビティにそれぞれ対応するように複数の成形キャビティを一体的に形成し、前記第1の型に対して接近もしくは離隔可能に移動可能となっている第2の型と、前記第1の型及び前記第2の型の少なくとも一方の型を保持する保持部材とを有し、前記保持部材は、前記少なくとも一方の型における対向する面に向かって圧力伝達媒体を供給することにより、前記少なくとも一方の型を非接触で保持するようになっており、前記少なくとも一方の型の成形キャビティは、圧力伝達媒体により可動範囲0〜200μm以内で前記保持部材に対して平行シフト及び/又は微小回転(例えば秒オーダー)が可能となっており、且つ成形時において、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値を2μm以内に抑えることを特徴とする。尚、前記少なくとも一方の型の平行シフト及び/又は微小回転は、圧力伝達媒体の速度や量を調整したり、圧力伝達媒体の吐出口を複数設けることで達成できるが、それに限られない。
【0008】
すなわち、本発明のように、複数の成形キャビティを一体的に形成した第1の型と、前記第1の型の成形キャビティにそれぞれ対応するように複数の成形キャビティを一体的に形成し、前記第1の型に対して接近もしくは離隔可能に移動可能となっている第2の型とを形成し、前記第1の型及び前記第2の型の少なくとも一方の型を、前記保持部材に対して圧力伝達媒体を用いて保持するようにすれば、圧力伝達媒体の配管等が簡素化され、よりコンパクト且つ低コストな光学素子成形装置を提供できる。しかしながら、前記複数の成形キャビティは一体的に形成されているので、例えば特許文献1に開示された技術のように、個々に成形キャビティを調整できないということがある。
【0009】
本発明者は、前記複数の成形キャビティを一体的に形成した前記第1の型と前記第2の型とを用いて実際に光学素子を成形したときに、前記第1の型の複数の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の複数の成形キャビティとを精度良く位置決めしても、それを用いて実際に成形した光学素子の光学面に偏心が生じることがあることを見出した。更に、本発明者は、鋭意研究の結果、成形時において、前記第1の型に対し前記第2の型が微小に回転した場合は単に平行シフトさせても位置ズレは直らず、対向する成形キャビティの位置ズレが生じることを見出した。これに基づき、本発明者は、成形時(例えばガラス転移点Tg以上)において、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値が、2μm以内であるように、前記第1の型と前記第2の型とを製作し、且つ前記保持部材が少なくとも一方の型を精度良く保持する光学素子成形装置を発明したのである。尚、そのような前記第1の型と前記第2の型とを製作するには、実際の成形条件と同じ条件で、第1の原型と第2の原型とを用いて複数の光学素子を成形し、成形された各光学素子の光学面を測定した上で、それを成形した成形キャビティの位置を調整し直して、第1の型及び/又は第2の型を修正もしくは新たに製作することがあるが、それに限らず、熱膨張を盛り込んだ計算を行った上で、常温雰囲気中の型における成形キャビティの位置を決めても良い。
【0010】
また、前記第1の型と前記第2の型の押圧方向と直交する面(X方向とY方向とで規定される)内において、前記保持部材に対し前記少なくとも一方の型の平行シフト及び/又は微小回転(秒オーダー)ができるよう0〜200μm以内の可動範囲を有しており、例えばX方向、Y方向の圧力伝達媒体の量、速度を調整することによって、平行シフト及び/又は微小回転を行うことができる。特に、請求項2に記載するように複数の供給部を有しなくても、圧力伝達媒体ではさむ面を完全な平行あるいは平面でないようにすれば、圧力伝達媒体の圧力が不均一となり例えば回転を伴ってシフトするので、微小な回転調整ができる。あるいはこのすき間を非均等にして、回転調整を行えるようにしてもよい。
【0011】
かかる光学素子成形装置によれば、成形キャビティの位置ズレの最大値を2μm以内に抑えることができるので、高精度な光学素子を成形できる。尚、結果として、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値が、2μmを超えていても、成形される光学素子の精度とは無関係であるので問題はない。ここで、成形時とは、少なくともガラス転移点以上の温度をいうものとする。
【0012】
請求項2に記載の光学素子成形装置は、前記保持部材が、前記圧力伝達媒体の供給部を複数配置しており、各供給部より供給される前記圧力伝達媒体の量及び/又は速度を調整可能とするので、前記少なくとも一方の型を、他方の型に対してサブミクロンオーダーで任意に角度決め又は/及び位置決めすることができ、さらに回転やチルト調整を任意にできる。ここで、圧力伝達媒体を102〜103N/μmあるいはそれ以上の圧力により極めて強い剛性で、前記少なくとも一方の型を保持すれば、成形時の相互位置を成形ごとに安定させることができる。また、静圧のオリフィス絞りを用いる場合は、一面に複数のオリフィス絞りを設けると良い。多孔体セラミックを用いる場合は、複数のエアー供給配管をもうけると、より精密にシフト移動、回転移動が可能となる。また、圧力伝達媒体の受け面は4面以上あってもよい。6面の場合断面は6角形となる。尚、本発明の光学素子成形装置は、光学素子の成形を主に対象とするが、ガラスを素材とする製品全てにも適用できる。又、圧力伝達媒体とは、液体でよいが、窒素ガスか空気などの気体であると好ましい。
【0013】
請求項3に記載の光学素子成形装置は、前記圧力伝達媒体の供給部が、前記第1の型及び前記第2の型の相対移動方向及び/又はそれに交差する方向に沿って配置されていると、前記少なくとも一方の型を任意に角度決め又は/及び位置決めすることができる。例えば軸線に直交する断面が正方形である型を保持するために、前記保持装置に4面に対して圧力伝達媒体を吐出する供給部を設けた場合、その供給部が1面に対して1つならば、型の傾き(チルト)や回転の力に対して抵抗する力が弱くなる。かかるチルト等により、前記第1の型と前記第2の型との間にずれが発生したり、成形される光学素子の光軸方向厚さが変化する恐れがある。これを防ぐために確実に傾き調整もしくは回転調整を行うべく、複数の圧力伝達媒体の供給部を、前記第1の型及び前記第2の型の相対移動方向及び/又はそれに交差する方向に沿って配置すると好ましい。それにより圧力伝達媒体の作用点が離散的になるため、結果的に傾きを押さえる力が非常に強くなる。これは、型が円筒状であっても傾き抑制効果がある。
【0014】
請求項4に記載の光学素子成形装置は、前記少なくとも一方の型は角柱状又は円筒状であり、前記保持部材は、前記少なくとも一方の型に隙間をあけて嵌合していると好ましい。尚、高精度な光学素子を成形するには、型を直角度・平面度ともミクロンオーダーの精度で加工する必要があるが、大きな部材を角柱状に加工する場合、一般的に高い加工精度を確保するのが困難である。これに対し、円筒形の部材は、比較的高精度に加工しやすいという利点がある。また断面が円筒でも、圧力伝達媒体の供給部や供給用の溝を四方に離散的に設けるならば、型の位置をXY方向でサブミクロンオーダーで制御できるということもある。すなわち、型の外周面を円筒面とすることで高精度な光学素子成形装置が得られることとなる。
【0015】
請求項5に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型の成形キャビティと、それに対応する前記第2の型の成形キャビティとで、ガラス転移点が400℃以下のガラス素材を成形すると好ましい。光学素子成形時の型温度と、型加工時の型温度とでは大きな差があるので、その熱膨張の影響を回避できなくなる。特に光ピックアップ装置の対物レンズのごとき高精度な光学素子を成形する場合、対向する成形キャビティの位置ズレは2μm以下の範囲であることが必要である。従って、常温雰囲気とガラス転移点が近いほど、熱膨張の影響を回避するという点で有利となる。更に、ガラス転移点が低ければ、ガラス素材を加熱溶融するための使用電力も少なくなるという利点もある。また、以下の請求項に示すようなニッケル等の高温には耐えられない型材も使用可能になるという利点がある。更に、例えば型の温度検出のために用いるシース型熱電対の径の細い素材は、一般的に500℃までしか耐えられないが、このような周辺機器も熱対策なく使用でき、低コストでの温度制御が可能となる。
【0016】
請求項6に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型が、Ni、Fe、Co、Wあるいはそれらの合金系の金属から形成されていると、加工性に優れるという利点を活用し、低コスト且つ短時間で型製作を行える。
【0017】
請求項7に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型は、セラミックから作成されていると、軽量であり加工性に優れる(例えば円形や矩形の断面を有する部材でも加工が容易であり、また細長い配管の穴加工も容易である)という利点を活用し、低コスト且つ短時間で型製作を行える。特に、機械加工可能なマシナブルセラミックと市場で呼ばれているセラミックがあるが、このようなセラミックは温度差が大きいと割れやすいという問題がある。しかしながら、ガラス転移点の低いガラス素材を用いたり、また周辺機材もマシナブルセラミックと同じ熱膨脹係数のものを使用することで、割れを回避しつつマシナブルセラミックを使用できる。上市されている商品名「マセライト」や「マコール」といったセラミックも使用可能である。
【0018】
請求項8に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型は、線膨脹率αが0.000007/℃未満の素材を用いて形成されていると、熱膨脹の影響を低く抑えることができる。例えば低ガラス転移点のガラス素材であれば、例えばノビナイトなどの鉄とニッケルの合金の線膨張係数が上記条件を満たすので、型材として有効に使用できる。ガラス素材にも様々な線膨張係数を有するものがあり、その値として、主に1.0×10−5以下が多く用いられている。従って、型の線膨張率を低くすることで、複数種のガラス素材に対応しやすくなる。
【0019】
請求項9に記載の光学素子成形装置は、前記第1の型及び/又は前記第2の型の最大間隔をLとし、温度分布の幅をΔTとし、線膨張率をαとしたときに、以下の式が成立すると、熱膨脹の影響を低く抑えることができる。
△T*L*α<2μm (1)
(1)式を満たすようにすると、前記第1の型と前記第2の型とを正確に合うように製作することで、熱膨脹の幅を一定値以下に抑えることができ、高精度な光学素子を成形できる。尚、(1)式を満たすようにするには、型の容量を大きくして、均一な温度領域の拡大を図ったり、型加熱用のヒーターや型冷却用の冷却器等を型内に分散して設けたり、高温流体を配管を通して流したり、高温流体たまりを型の下に作ることがある。流体は温度分布があると対流するので、均一な型温度分布の形成に貢献する。この場合、溶けた錫とか鉛なども流体として使用できる、また、型の中央部のみに固体のヒーターを配置させると均一な温度分布を確保しやすい。また、成形する環境も温度均一にすることが肝要である。そのため、前記第1の型及び前記第2の型を覆う成形室の上下左右の壁面に配管を設け、同一の温度の流体を流したり、更に窒素などの気体の場合、成形室内にも流すことで温度の均一化を図り、型温度制御を精密に行うとよい。
【0020】
請求項10に記載の光学素子成形装置は、前記少なくとも一方の型が、相対移動方向に対して交差する方向に位置調整可能に保持されていると、対向する成形キャビティの位置決めが容易になるので好ましい。尚、位置調整の方法は、軸線を挟んで対向する型の面に向かう圧力伝達媒体の圧力もしくは流量を変更することで行えるが、それにかぎらず、例えば前記保持部材により保持されない型がある場合、かかる型と基盤との間に2μm程度の隙間を設け、ボルトなどで相互に固定した後に、まず基準値で実際に成形を行って、成形された光学素子の光学面の偏心量から補正値を求める。更に、固定したボルト等を緩めた上で、型と基盤との間に、その補正値に近いシムを挟んで、再度ボルト等で固定すれば、次回の成形時には光学面に偏心のない光学素子を成形できることとなる。更に、型を局部的に加熱もしくは冷却し、熱膨脹量を調整することで、同一型上での成形キャビティ間の位置を補正してもよい。
【0021】
請求項11に記載の光学素子成形装置は、前記保持部材が多孔質材から形成されていると、そこから供給される圧力伝達媒体を用いて、前記少なくとも一方の型の保持を確実に行うことができる。
【0022】
請求項12に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、複数の母材を所定間隔で保持するステップと、前記複数の母材を電鋳処理するステップと、前記電鋳処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、例えば前記第1の型の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の成形キャビティとを、一度に形成することができ、しかもその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。尚、母材としては、実際に成形された光学素子を測定し、最も高精度に成形された光学素子自体を用いることができる。電鋳処理とは、電気鍍金により厚い層を形成するものであり、具体的には金属溶液中に電気を流し、銅やニッケルなど厚く金属を堆積させる処理をいう。
【0023】
請求項13に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、複数の母材を所定間隔で保持するステップと、前記複数の母材をCVD処理するステップと、前記CVD処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、例えば前記第1の型の成形キャビティと、それに対向する前記第2の型の成形キャビティとを、一度に形成することができ、しかもその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。尚、母材としては、実際に成形された光学素子を測定し、最も高精度に成形された光学素子自体を用いることができる。CVD処理の一例として、厚くSiCを積相することができる。
【0024】
請求項14に記載の型の製造方法は、複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、型の素材の表面を加熱溶融するステップと、前記型の素材より高融点である複数の母材を、表面を加熱溶融した前記型の素材に対して加圧接触させるステップと、前記型の素材とを冷却させた後、前記母材を分離するステップとを有するので、前記母材が分離された跡にできるくぼみが前記成形キャビティとなり、従ってその形状及び位置は、前記母材に倣って形成されるので、極めて高精度なものとなる。
【0025】
請求項15に記載の型の製造方法は、前記母材がガラス、金属、セラミック素子の少なくとも一つであると好ましい。
【0026】
請求項16に記載の型の製造方法は、前記型の素材の素材が金属ガラスであると好ましい。金属ガラスとは、過冷却液体域を有する非晶質合金である。過冷却液体域を有する非晶質合金は、加熱すると過冷却液体となるアモルファス状の合金である。これは、通常の金属が多結晶組成であるのに対して、組織がアモルファス状のため組成がミクロ的にも均一で機械強度や常温化学耐性に優れ、ガラス転移点を有し、ガラス転移点+50〜200℃前後(これを過冷却液体域という)に加熱すると軟化するためプレス成形加工が出来るという、通常の金属に無い特徴を有するものである。
【0027】
以上の型の製造方法の例としては、複数の光学素子を上下に包む型材を作成し、半分に切って上下型としてもよいし、下型をまず積層し、次に適当な離形層を設けて上型を積層し分離して、上半分、下半分の型を作成してよい、また、金属を流し込んでもよい。より具体的には、例えば高融点の母材を高精度に研磨などで作成し、それらを所定間隔で保持具により保持し、次に、その融点より低い融点を持つ金属あるいは低いガラス転移点を持つ金属ガラスを、その高融点より低い温度で流し込んで下型を作る。次に保持具をはずし、薄い炭素の層などの剥離層を設けて金属ガラスを流し込んで上型を作成する。そして完成した型で、金属ガラスよりより低いガラス転移点をもつガラス素材を成形して複数の光学素子を得ることができる型が完成する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。図1において、角柱状の第1の型である上型1は、その下面に4列4行(図では1列分のみ図示)で16個の成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・を有している。上型1の周囲を、保持部材3が囲っている。保持部材3は、角管状の形状を有し、上型1に対して隙間(10μm程度)を空けて配置されている。保持部材3は、その4面の中間部において、圧力伝達媒体である窒素ガスの供給口3aを有している。供給部である供給口3aは、コネクタCを介して外部の供給装置に連結されており、供給口3aの内部側は、フレア状に広がって、供給された窒素ガスを、上型1の対向する面に広く吐出させるようになっている。尚、図1及び後述する図では図示していないが、型を加熱するヒーターや冷却用の配管(場合によっては冷媒貯留用のタンク)、温度検出センサなどが、型内に配置されている。
【0029】
図1において、角柱状の第2の型である下型2は、その上面に4列4行(図では1列分のみ図示)で16個の成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・を有している。下型2の周囲を、保持部材4が囲っている。保持部材4は、角管状の形状を有し、下型2に対して隙間を空けて配置されている。保持部材4は、その4面の中間部において、圧力伝達媒体である窒素ガスの供給口4aを有している。供給部である供給口4aは、コネクタCを介して外部の供給装置に連結されており、供給口4aの内部側は、フレア状に広がって、供給された窒素ガスを、下型2の対向する面に広く吐出させるようになっている。
【0030】
図2は、図1の光学素子成形装置における上型1の下面及び下型2の上面を拡大して示す図である。ここで、成形時の熱膨張を考慮した場合、マトリクス状に並んだ成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・を、成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・に対しどのようにして精度良く対向させるかが問題となる。本実施の形態では、上型1の1面1pと、下型2の1面2pとを基準面とし、これを面一としたときに、対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・の適正値を決定する。
【0031】
適正値の決定方法としては、等間隔で成形キャビティを形成した第1の原型と第2の原型とを用いて、実際の成形条件と同じ条件で複数の光学素子を成形する。その後、成形された各光学素子に成形キャビティに対応する番号を振り、それらの光学面を個々に測定すれば、光学面の偏心、すなわちその光学素子に対応する成形キャビティの位置ズレ(軸線に直交するXY方向)が分かる。そこで、そのズレ量に基づいて、第1の原型又は第2の原型を修正するか、新たな型を製造し直すことで、成形時における対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・を最大でも2μm以内に押さえ込むことが可能となる。尚、このようにして形成された上型1と下型2において、常温雰囲気(機械加工時雰囲気)における対向する成形キャビティの位置ズレΔ1,Δ2,Δ3,Δ4、・・・は、最大値が2μmを超えることがあるが、それは成形と無関係であるので問題はない。
【0032】
このようにして対向する成形キャビティの位置決めを行った上型1と下型2とを、図1の光学素子成形装置に組み込み、保持部材3,4の内面から上型1と下型2の対向面に窒素ガスを吹き出すことで、非接触状態で型保持が可能となる。この際、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとの間にズレがあると、成形される光学素子の光学面の許容できない偏心を招く恐れがある。これに対し、本実施の形態では、例えば保持部材3の図で左側の吐出口3aから吐出される窒素ガスの流量又は速度を、保持部材3の図で右側の吐出口3aから吐出される窒素ガスの流量又は速度に対して、大きくもしくは小さくすることで、下型2の基準面2pに対して、上型1の基準面1pを任意にシフトさせ、両者が精度良く面一になるように調整できる。以上の実施の形態によれば0.1μm程度で上下型の位置決めを制御できる、かかる状態で、型間に加熱溶融したガラス素材のプリフォーム(不図示)を投入し、上型1に下型2を接近させプレスすることで、一度の成形で、所望の形状である高精度な16個の光学素子を得ることができる。尚、本実施の形態では、0〜200μmの範囲内で下型2は平行シフト及び/又は微小回転が可能となっている。
【0033】
図3は、第2の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。図1に示す構成であると、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとを面一にできるが、基準面同士が傾いている場合には、それを修正することができないため、成形した光学素子の光学面にチルト(傾き)が発生する恐れがある。これに対し、図3に示す光学素子成形装置では、かかる問題を解消することができる。
【0034】
本実施の形態では、下型2を取り付けた角柱状の延長部材(型の一部を成す)12の上下2カ所で、保持部材14A、14Bを介して窒素ガスを吹き出すことで保持している。保持部材14A、14Bは、内面14a及び取入口14bを除き外周面全体を密閉層で覆われた多孔質セラミックからなり、取入口14bから供給された窒素ガスを内面14a全体から吐出させることができるようになっている。尚、内面14aが供給部を構成する。
【0035】
ここで、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとに傾きがあったときは、例えば上方の保持部材14Aの図で左側の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させ、且つ下方の保持部材14Bの図で右側の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させることで、延長部材12は図で時計回り方向のモーメントを受けるようになるため、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとの傾きを極力ゼロに近づけることができ、それにより光学面チルトがない光学素子を成形することができる。尚、本実施の形態では、保持部材14A、14Bの多孔質セラミックを介して、延長部材12に対向する内面14a全面から窒素ガスを吐出するようにしているが、図1に示す形態の保持部材を用いても良いことは言うまでもない。
【0036】
図4は、図3の実施の形態にかかる光学素子成形装置の下型2の上面図である。図1に示す構成であると、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとを面一にできるが、基準面同士が大きくねじれている場合には、それを修正することができないため、成形した光学素子によっては、その光学面に偏心が発生する恐れがある。これに対し、図4に示す光学素子成形装置では、かかる問題を解消することができる。
【0037】
本実施の形態では、下型2を取り付けた角柱状の延長部材12の4面各面に、2つずつ、合計8個の保持部材要素14A1〜14A8(これら1グループで保持部材14を構成)を離散的に配置している。この場合、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとにネジレがあったときは、例えば図4で上方の保持部材要素14A1面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させ、且つ下方の保持部材要素14A5の面から吐出される窒素ガスの流量又は速度を増大させることで、延長部材12は図で反時計回り方向のモーメントを受けるようになるため、上型1の基準面1pと下型2の基準面2pとのネジレを極力ゼロに近づけることができ、それにより軸線から離れた成形キャビティ2a、2dでも、位置ズレの抑制が可能となり、光学面偏心がない光学素子を成形することができる。
【0038】
図5は、本実施の形態の変形例にかかる下型の上面図である。本変形例の下型22は円筒形状を有し、その上面に放射状に9つの成形キャビティ22a、22b、・・・を形成している。尚、図示していないが、上型の下面にも、同様な成形キャビティが対向して形成されている。
【0039】
更に、保持部材24は、内面24cを除く外面全体を密閉層で覆われた多孔質グラファイトからなり、供給された窒素ガスを、その円筒状の内面(複数の供給部の集合ともいえる)24c全体から吐出させることができるようになっている。尚、保持部材24の内面24cは、4つのくぼみ24aが等間隔に形成されており、且つ紙面に垂直に複数の配管24bが配置されている。配管24bには、保持部材24内の範囲で無数の孔が形成されており、配管24bを介して外部より供給された窒素ガスを、多孔質グラファイト内に放出させ、保持部材24の内面24cから吐出することで、下型2を適切な位置に保持できるようになっている。多孔質グラファイトは軽量であり、摺動性に優れるという利点を有し、保持部材24が円筒状であるため製造も容易である。尚、くぼみ24aは、窒素ガスの吐出を支援するために設けられている。
【0040】
ここで、型の熱膨張とガラス素材の熱膨張とを考察する。成形時の温度をT2,ガラスの線膨張係数をα1、型母材の線膨脹係数をα2とする。又、光学素子の常温T1での外径をD11とする。成形時の光学素子の大きさD12=D11*(1+α1*(T2−T1))である。成形時には型の外形D22も、光学素子の外径D22と同じでなければならないから、D12=D22となり、また型についても熱膨脹があるからD22=D21*(1+α2*(T2−T1))が成立する。
【0041】
以上より、以下の式が得られる。
D11*(1+α1*(T2−T1))=D21*(1+α2*(T2−T1))・・・・(1)
D21=D11*(1+α1*(T2−T1))/(1+α2*(T2−T1))・・・・(2)
【0042】
上記の(1)(2)式に従って、製造時の温度との差による型と光学素子の差を補正することができる。実際には線膨張係数α1,α2は温度によって変わるため、その点も加味すると好ましい。また、温度分布があると、場所により熱膨脹の距離が異なり、上下型が成形時にずれる恐れがある。上述の実施の形態では、そのような局部的な熱膨張の差によるズレも修正できるが、型設計時に補正して成形キャビティを製作しても良い。
【0043】
具体的な設計方法としては、安定した状態では上下の型温度分布が一定のパターンに落ち着くので、既存の成形型を用いてその温度分布を測定する。ガラス素材も熱膨張による大きさの差が生じるので、その温度分布による熱膨脹量を前提の上で、上下の型の位置が成形時に正確に一致するように型の上下の型保持部材上の加工時の位置を計算して決める、光ピックアップ装置用の対物レンズなど、高い光学特性を要求される場合、上下型の位置ズレは最大でも2μm以下の範囲であることが必須である。
【0044】
ガラス転移点が325℃付近のガラス素材を用いると、成形温度を低下させることができるので、型素材としてニッケルやインコネルが使用できる。これらの型素材は、固い超硬やセラミックに比較し、加工がはるかに簡単で高精度に形成できる。また、型内に径が0.15mmの細いシース熱電対も埋設可能となる。
一般的にこのタイプの熱電対は、500℃程度しか耐熱性がないが、それよりガラス転移点が低ければ使用可能となる。また、型加熱用のシースヒータの寿命も長くなる。更に、型素材がニッケルであればダイヤモンド切削ができ、短時間で成形キャビティを切削できる。加工しやすいいわゆるマシナブルセラミックも型材として用いることができるが、その熱膨脹率が金属に近いので好ましい。また、ヒーターや温度検出センサ等の周辺機材も、マシナブルセラミックと同じ熱膨脹係数の金属を使用すると好ましい。
【0045】
図6は、本実施の形態にかかる型の製造方法を示す図である。本実施の形態の型の製造方法を説明すると、図6(a)において、まず光学特性が所定の許容範囲内に収まっている既存の光学素子OEを選別し、これを母材としてホルダ(保持具ともいう)HLにより所定間隔で保持する(保持するステップ)。その後、光学素子OEの両光学面にNi層をスパッタリングで堆積させる。更に、スルファミン酸ニッケル浴中に、光学素子OEをホルダHLごと浸し、外部の電極部材ELとNi層との間に電流を流すことで、電鋳層1A,2Aを成長させる(電鋳処理するステップ)。電鋳層1A,2Aが所定の厚さに成長したら、まずその側面に基準面1P、2Pを一度に機械加工で形成した後、光学素子OEを分離する(分離するステップ)。電鋳層(型の素材)1A,2Aには、光学素子OEの分離後にくぼみができ、これが成形キャビティとなる。その後、基準面1p、2pを基準にして、電鋳層1A,2Aの各面を加工することで、第1の型1と第2の型2とが形成されることとなる(図6(b)参照)。
【0046】
本実施の形態によれば、電鋳層1A,2Aは、たとえ光学素子OEの表面に、光学特性を良好にする微小な凹凸が形成されていても、それを精密に転写できる。更に第1の型1と第2の型2とが光学素子成形装置に組み込まれたときに、基準面1p、2pを合致させる限り、第1の型の成形キャビティ1a、1b、1c、1d、・・・と、第2の型の成形キャビティ2a、2b、2c、2d、・・・とは、それぞれ位置ずれなく対向することとなり、すなわち元の光学素子OEを精度良く再現成形することが可能となる。かかる型は、ガラス転移点の低いガラス素材を用いて成形を行うときなど、熱膨脹の影響が少ない場合に特に有効である。
【0047】
本実施の形態の変形例としては、図6(a)において電鋳が成長する前の状態(すなわちホルダHLにより複数の光学素子OEが保持された状態)で、CVD処理を行う(CVD処理するステップ)ことで、光学素子OEの両面に、図6(a)に示す電鋳に類似のニッケル層(型の素材)などを成長させることもできる。その基準面などを機械加工することで、第1の型1,第2の型2を形成することができる(図6(b)参照)。その他は、上述の製造方法と同様である。
【0048】
図7は、別の実施の形態にかかる型の製造方法を示す図である。本実施の形態においては、上述と同様にホルダHLにより複数の光学素子OEを保持した状態で、坩堝VE内の金属ガラスMG(型の素材)を加熱溶融する(加熱溶融するステップ)。更に、加熱溶融した状態の金属ガラスMGに、母材である光学素子OEをホルダHLごと加圧接触させる(加圧接触させるステップ)。その状態を維持しつつ金属ガラスMGが冷却するのを待つ。金属ガラスMGが冷却した後、光学素子OEを分離する(分離するステップ)ことで、そのくぼみに成形キャビティが形成されることとなる。以下、上述と同様にして、型成形が可能となる。
【0049】
母材としての光学素子OEは、ガラス、金属、セラミック素子の少なくとも一つであると好ましい。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特に高精度な光学素子の成形効率を向上させることができる光学素子成形装置及び複数の成形キャビティを有する高精度な型を製造できる型の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。
【図2】図1の光学素子成形装置における上型1の下面及び下型2の上面を拡大して示す図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる光学素子成形装置の断面図である。
【図4】図3の実施の形態にかかる光学素子成形装置の下型2の上面図である。
【図5】第1,2実施の形態の変形例にかかる下型の上面図である。
【図6】第3の実施の形態にかかる型の製造方法を説明するための図である。
【図7】第4の実施の形態にかかる型の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 上型
1a、1b、1c、1d、・・・ 成形キャビティ
2、22 下型
2a、2b、2c、2d、・・・ 成形キャビティ
3,4、14、24 保持部材
OE 光学素子
HL ホルダ
Claims (16)
- 複数の成形キャビティを一体的に形成した第1の型と、
前記第1の型の成形キャビティにそれぞれ対応するように複数の成形キャビティを一体的に形成し、前記第1の型に対して接近もしくは離隔可能に移動可能となっている第2の型と、
前記第1の型及び前記第2の型の少なくとも一方の型を保持する保持部材とを有し、
前記保持部材は、前記少なくとも一方の型における対向する面に向かって圧力伝達媒体を供給することにより、前記少なくとも一方の型を非接触で保持するようになっており、
前記少なくとも一方の型の成形キャビティは、圧力伝達媒体により可動範囲0〜200μm以内で前記保持部材に対して平行シフト及び/又は微小回転が可能となっており、且つ成形時において、前記第1の型の成形キャビティの位置と、それに対応する前記第2の型の成形キャビティの位置とのずれの最大値を2μm以内に抑えることを特徴とする光学素子成形装置。 - 前記保持部材は、前記圧力伝達媒体の供給部を複数配置しており、各供給部より供給される前記圧力伝達媒体の量及び/又は速度を調整可能とすることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形装置。
- 前記圧力伝達媒体の供給部は、前記第1の型及び前記第2の型の相対移動方向及び/又はそれに交差する方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子成形装置。
- 前記少なくとも一方の型は角柱状又は円筒状であり、前記保持部材は、前記少なくとも一方の型に隙間をあけて嵌合していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記第1の型の成形キャビティと、それに対応する前記第2の型の成形キャビティとで、ガラス転移点が400℃以下のガラス素材を成形することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記第1の型及び/又は前記第2の型は、Ni、Fe、Co、Wあるいはそれらの合金系の金属から形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記第1の型及び/又は前記第2の型は、セラミックから作成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記第1の型及び/又は前記第2の型は、線膨脹率αが0.000007/℃未満の素材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記第1の型及び/又は前記第2の型の最大間隔をLとし、温度分布の幅をΔTとし、線膨張率をαとしたときに、以下の式が成立することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学素子成形装置。
△T*L*α<2μm (1) - 前記少なくとも一方の型は、相対移動方向に対して交差する方向に位置調整可能に保持されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 前記保持部材は多孔質材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学素子成形装置。
- 複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、
複数の母材を所定間隔で保持するステップと、
前記複数の母材を電鋳処理するステップと、
前記電鋳処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有することを特徴とする型の製造方法。 - 複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、
複数の母材を所定間隔で保持するステップと、
前記複数の母材をCVD処理するステップと、
前記CVD処理により形成された型と、前記母材とを分離するステップとを有することを特徴とする型の製造方法。 - 複数の成形キャビティを有する型の製造方法であって、
型の素材の表面を加熱溶融するステップと、
前記型の素材より高融点である複数の母材を、表面を加熱溶融した前記型の素材に対して加圧接触させるステップと、
前記型の素材とを冷却させた後、前記母材を分離するステップとを有することを特徴とする型の製造方法。 - 前記母材はガラス、金属、セラミック素子の少なくとも一つであることを特徴とする請求項14に記載の型の製造方法。
- 前記型の素材は金属ガラスであることを特徴とする請求項14又は15に記載の型の製造方法。
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