JP2004215310A - 誤り訂正ターボ符号の復号器 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な誤り訂正能力を確保しつつ演算処理量を低減することによって消費電力を低減したターボ復号器を提供すること。
【解決手段】ターボ符号化された受信データを蓄える入力信号メモリと、SOVA復号を行なう復号器と復号結果を蓄える復号結果メモリと、繰り返し復号を実行する制御部とインタリーブパターンを格納したメモリと、復号結果の信頼度を判定する判定手段とを有した構成とし、SOVA復号器から出力される軟判定値に基づいて復号結果の信頼度を判定し、該判定結果に所望の信頼度を満たしている場合には繰り返し復号を終了する。
【選択図】図1
【解決手段】ターボ符号化された受信データを蓄える入力信号メモリと、SOVA復号を行なう復号器と復号結果を蓄える復号結果メモリと、繰り返し復号を実行する制御部とインタリーブパターンを格納したメモリと、復号結果の信頼度を判定する判定手段とを有した構成とし、SOVA復号器から出力される軟判定値に基づいて復号結果の信頼度を判定し、該判定結果に所望の信頼度を満たしている場合には繰り返し復号を終了する。
【選択図】図1
Description
本発明は、通信システムにおいて誤り訂正のためにターボ符号化されたデータを受信し、伝送誤りを訂正して復号するターボ復号器に関する。
通信システムにおいて、データの伝送誤りを救済するために様々な誤り訂正符号化方式が採用されている。例えば、1998年7月13日発行日経エレクトロニクス誌第721号第163頁〜第177頁「シャノン限界に迫る新しい符号化方式(ターボ符号)」に記されているように、誤り訂正能力の高い符号化方式としてターボ(turbo)符号化方式が知られている。
図18に示すターボ符号化方式を採用した通信システムでは、ターボ符号器201に再帰的組織畳込み符号器を二つ用意し、第1の畳込み符号器204では情報源の信号を入力順に符号化する。第2の畳込み符号器206に入力する前に、情報源の信号を一度メモリに蓄え、これをあるパターンに従った順番で取り出すインターリーバ(interleaver)205によってデータ順序を攪拌し、畳込み符号器206によって符号化する。前記、二つの符号化出力よりターボ符号である符号化データUT,YT1,YT2が通信路202に送出される。なお、例えば、移動通信システムの基地局と携帯端末機との間では、通信路202は1チャネルとなり、符号化データUT,YT1,YT2が直列に構成される。通信路202を経た符号化データUR,YR1,YR2がターボ復号器203に入力され、ターボ符号の復号処理が行なわれることによって復号データUOが復元される。
ターボ復号器203は、復号器207,209と、インタリーバ208,211とデインタリーバ(deinterleaver)210を含む。復号器207は、送信データUR,YR1を入力して軟判定復号を行なう。またYR2は、原信号Xをインタリーブして畳込み符号化した送信データYT2に相当し、インタリーバ208は、復号器207の復号データをYR2に対応するようにインタリーブして復号器209に入力し、軟判定復号を行なう。デインタリーバ210は、復号結果出力が元のデータ順になるようにデインタリーブして復号出力UOを得る。復号出力UOは、受信データURとして再度復号器207に入力され、前述と同一が動作を繰り返される。この復号処理を複数回繰り返すことによって、ランダムに発生する誤りやバースト状に発生する誤りを訂正することが可能となる。復号器207,209の復号方式として、MAP(最大事後確率)復号化方式やSOVA(軟判定ビタビアルゴリズム)復号化方式が知られている。なお、復号器207,209は同じものとなるので、実際には、1個の復号器を復号器207用(例えば奇数回目用)と復号器209用(例えば偶数回目用)に交互に切り替えて使用する場合が多い。
1998年7月13日発行日経エレクトロニクス誌第721号第163頁〜第177頁「シャノン限界に迫る新しい符号化方式(ターボ符号)」
上記のターボ復号器は、復号処理の繰り返し回数を多くすることによって誤り訂正能力が向上し、より品質の悪い通信路においても誤りを少なくすることができる。しかしながら、繰り返し回数を多くすると演算処理量が増加し、より高いクロック周波数が必要となり、消費電力が増加する。
特に携帯端末機器では消費電力は極力少なく抑え、電池による長時間の駆動を確保することが重要である。移動通信方式の国際標準であるIMT−2000(International Mobile Telecommunication systems)ではターボ符号の適用が定められており、IMT−2000に対応した携帯端末機器において、十分な誤り訂正能力を備えつつ消費電力の少ないターボ復号器が求められる。
本発明の目的は、十分な誤り訂正能力を確保しつつ、処理量を低減することによって消費電力を低減したターボ復号器を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のターボ復号器は、復号器における軟判定復号結果の統計量に基づいて復号結果の信頼度を判定する手段と、該信頼度を判定する手段の信頼度判定結果が所望の信頼度に満たない場合には引き続き繰り返し復号動作を行ない、所望の信頼度に達した場合には復号動作を停止して復号結果を出力するように復号器を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
従来は信頼度の有無にかかわらず所定の回数継続して行なわれていた復号動作が所望の信頼度に達した途中の段階で停止するようになるため、処理量が低減され、それに伴い消費電力が低減される。
本発明によれば、ターボ復号に必要な繰返し復号の平均回数を誤り訂正能力を損なうことなく低減することができる。この結果、復号処理量の低減、消費電力の低減が可能となる。
以下、本発明に係るターボ復号器を図面に示した発明の実施の形態を参照して更に詳細に説明する。
図1において、本実施形態のターボ復号器は、通信路を通って受信された符号化データUR,YR1,YR2を入力してその情報長分を蓄える入力信号メモリ601と、入力信号メモリ601から読み出した符号化データUR,YR1,YR2を入力し、軟判定ビタビアルゴリズムによって復号動作をするSOVA復号器602と、復号化によって得る軟判定と硬判定の復号結果をSOVA復号器602の復号出力として格納する復号結果メモリ603と、SOVA復号器602からの軟判定復号結果の統計量から復号結果の信頼度を判定する信頼度判定部612と、繰り返し演算の実行回数を制御し、繰返し回数に応じて各部の動作を制御する制御部604と、インタリーブパターンを格納したインタリーブパターンメモリ605とを備えている。
入力信号メモリ601に格納された受信ターボ符号データUR,YR1,YR2は、制御部604の制御によって順次読み出されるか、又はインタリーブパタンメモリ605に格納されるインタリーブ規則に従って読み出される。また、繰返し復号の初回以外は復号結果メモリ603に格納されている前回の復号の結果がSOVA復号器602に入力される。SOVA復号器602は、入力信号メモリ601からのデータ、及び復号結果メモリ603からのデータに基づき新たな復号結果を出力する。
一方、入力信号メモリ601からのデータ、及び復号結果メモリ603からのデータは互いに加算され、遅延器606にてSOVA復号器602の復号遅延時間分遅延される。続いて、SOVA復号器602の復号結果から遅延器606の出力値が減算され、制御部604の制御にて順次、又はインタリーブパタンメモリ605に格納されるインタリーブ規則に従って復号結果メモリ603に格納される。
また、SOVA復号器602の復号結果は信頼度判定部612に入力され、復号結果の信頼度が判定され、その判定結果が制御部604に入力される。制御部604は、該判定結果に基づき、引き続き繰り返し復号を行なうか、復号動作を終了するかのいずれかを定める。即ち、制御部604は、前記判定結果が所望の信頼度を満たす結果であるときは復号を停止させ、前記判定結果が所望の信頼度に満たないときは復号動作を継続させる。なお、前記判定結果が所望の信頼度に満たない場合でも、所定の復号回数に達した場合は復号を停止させる。
図2に本実施形態における信頼度判定部612の第一の構成例を示す。SOVA復号器602から出力される軟判定復号結果が信頼度判定部612に入力され、絶対値演算部301にて絶対値化される。その後、平均値測定部302、2乗部303にて軟判定復号結果の平均値の2乗が演算される。本演算結果は、軟判定復号結果を一種の信号とみなしたとき、その信号の電力に対応するものとなる。また、絶対値演算部301が出力する絶対値化された軟判定復号結果は、更に分散測定部304にて分散値が測定される。本演算結果は同様に雑音電力に対応したものとなる。
測定された分散値は、K倍部305にて所望の信頼度に応じて決定される係数(K)倍され、前記平均値の2乗と比較部306にて比較される。平均値の2乗が分散のK倍より大きい場合、所望の信頼度に達したことを示す判定結果を出力する。それ以外の場合、所望の信頼度に満たないことを示す判定結果を出力する。
以上の演算によって得る復号結果の推移を図3に示す。横軸に軟判定復号結果の値、縦軸に確率分布をとると、(a)で示す復号の開始時点では、繰り返し回数が足りないため平均値Aに対して分散値σが大きく、従って信頼度が低く、データの“1”,“0”の区別が判然としない。(b)の中間段階を経て、十分な繰り返し回数があった(c)では、平均値Aに対して分散値σが非常に小さく、従って信頼度が高くなり、データの“1”,“0”の区別が明確になる。
どの程度の繰り返し回数で(c)に示す高い信頼度になるかは、通信路の信号対雑音比やデータに関するケース等によって一概に定まらない。その様子を図4に示す。図4の(a)は、通信路の信号対雑音比が小さい場合を示し、横軸に繰り返し回数、縦軸に信頼度をとると、信号対雑音比が小さいと所望の信頼度Rを得るために繰り返し回数を多くする必要があることを示している。図4の(b)は、通信路の信号対雑音比が大きい場合を示し、少ない繰り返し回数で所望の信頼度Rを得ることができることを示している。
従来は、起こりうる最悪のケースを想定し、そのケースで必要とする繰り返し回数Nを設定し、ケースや信号対雑音比の如何に関わらず繰り返し回数をNで固定していた。本発明は、繰り返し回数を信頼度Rを得たか否かで定めるものであり、平均的に繰り返し回数を大幅に下げることが可能になる。
信頼度判定部612は、上記の構成の他、図5に示す第二の構成例とすることが可能である。絶対値演算回路301、平均値測定部302は図2と同様に作用する。最小値検出部307は、軟判定復号結果の絶対値中の最小値を検出する。検出された最小値は、K倍部305にて所望の信頼度に応じて決定される係数(K)倍され、平均値測定部302が出力する平均値と比較部306にて比較される。この場合、最小値が平均値に比較して小さいほど復号結果の信頼度が低いと考えられるため、最小値のK倍が平均値より大きい場合、所望の信頼度に達したことを示す判定結果を出力する。それ以外の場合、所望の信頼度に満たないことを示す判定結果を出力する。
図3において、Miが最小値であり、最小値は(a),(b)では0となっているが、(c)では大きくなり、信頼度が高いことが判る。
更に信頼度判定部612は、上記の構成の他、図6に示す第三の構成例とすることが可能である。絶対値演算回路301、最小値検出部307、K倍部305、比較部306は図3と同様に作用する。本構成では、図3の平均値の代りに最大値検出部308にて検出される軟判定復号結果の絶対値中の最大値が用いられる。前記第二の構成例と同様、最小値が最大値に比較して小さいほど復号結果の信頼度が低いと考えられるため、最小値のK倍が最大値より大きい場合、所望の信頼度に達したことを示す判定結果を出力する。それ以外の場合、所望の信頼度に満たないことを示す判定結果を出力する。
図3において、Maが最大値であり、(a),(b)では最小値Miが最大値Maに比較して小さいが、(c)では最小値Miと最大値Maが接近し、信頼度が高いことが判る。
以上、軟判定復号結果の平均値、分散値、最小値、最大値などの統計量を判定に用いたが、軟判定復号結果の値の確率分布を代表する他の統計量を用いて判定することも可能である。
続いて、図7を用いて前記制御部604によって制御されるデータの流れを説明する。図7aに示す繰り返し復号奇数回目の処理では、通信路を通って受信されたターボ符号化データを格納した入力信号メモリ601より、URをアドレス順に読み出した値がSOVA復号器602入力のC0として使用され、YR1をアドレス順に読み出した値がC1として使用される。更に、復号結果メモリ603の読出結果(事前尤度情報)がC2として使用される。SOVA復号器602の出力L(UR)_nは、事前尤度情報Le(UR)_(n−1)と通信路値URを減算した後、外部情報尤度Le(UR)_n=β×{L(UR)_n−UR−Le(UR)_(n−1)}として復号結果メモリ603にアドレス順に書き込まれる。繰り返し復号の初回は、事前尤度情報Le(UR)_(n−1)を0とする。ここで、βは、軟判定値に対する信頼度を重み付けする係数であり、誤り訂正能力の特性に影響を与える。このβは、誤り訂正能力のビットエラーレートから通信路のノイズ状態を測定し、適応的に制御することが可能なものである。
次に、図7bに示す繰り返し復号偶数回目の処理では、入力信号メモリ601より、URをインタリーブ規則に従って読み出した値がSOVA復号器入力のC0として使用され、YR2をアドレス順に読み出した値がC1として使用される。
事前尤度情報Le(UR)_(n−1)として、前回の復号で得られた外部情報尤度を復号結果メモリ603からインタリーブ規則に従って読み出した値が使用される。この事前尤度情報は、SOVA復号器入力のC2として使用される。SOVA復号器602の出力L(UR)_nは、事前尤度情報Le(UR)_(n−1)と通信路値URを減算した後、外部情報尤度Le(UR)_n=β×{L(UR)_n−UR−Le(UR)_(n−1)}として復号結果メモリ603にインタリーブ規則に従ったアドレスで書き込まれ、それによりデインタリーブされる。遅延器606は、SOVA復号器602入力のC0とC2を加算したものを、SOVA復号器602の出力L(UR)_nが求まるまで遅延させる回路であり、繰り返し復号最終回には0固定とする。
事前尤度情報Le(UR)_(n−1)として、前回の復号で得られた外部情報尤度を復号結果メモリ603からインタリーブ規則に従って読み出した値が使用される。この事前尤度情報は、SOVA復号器入力のC2として使用される。SOVA復号器602の出力L(UR)_nは、事前尤度情報Le(UR)_(n−1)と通信路値URを減算した後、外部情報尤度Le(UR)_n=β×{L(UR)_n−UR−Le(UR)_(n−1)}として復号結果メモリ603にインタリーブ規則に従ったアドレスで書き込まれ、それによりデインタリーブされる。遅延器606は、SOVA復号器602入力のC0とC2を加算したものを、SOVA復号器602の出力L(UR)_nが求まるまで遅延させる回路であり、繰り返し復号最終回には0固定とする。
本実施形態のターボ復号器は、このような復号奇数回目と復号偶数回目の動作を制御部604の制御による回数だけ交互に繰り返す。
続いて、図1に示した制御部604とインタリーブパタンメモリ605の繰り返し復号実行時の動作を、図8を用いて説明する。繰り返し復号奇数回時は、入力信号メモリの読み出しアドレス、復号結果メモリの読み出しアドレス及び書き込みアドレスは1ずつインクリメントするアドレス順となるため、制御部605は、信号処理のタイミングに合わせてアドレス生成を行なう。繰り返し復号偶数回時は、インタリーブパタンメモリのアドレス順にインタリーブパタンを読み出した値が、入力信号メモリの読み出しアドレス、復号結果メモリの読み出しアドレス及び書き込みアドレスとして使用される。制御部605は、各メモリに対する信号処理タイミングに合わせてアドレスを生成する。
ここで、SOVA復号器602の構成を図1を用いて説明する。SOVA復号器602は、全ての状態遷移について遷移の確からしさ(メトリック値)と、遷移情報(パス値)と、ある状態に至るまでの遷移の確からしさの差分に相当する尤度情報(尤度値)とを求めるACS(Add-Compare-Select)回路607と、ACS回路607が求めたメトリック値、パス値及び尤度値を記憶するそれぞれメトリックメモリ608、パスメモリ609及び尤度メモリ610と、パスメモリ609が出力するパス値から最も確からしい遷移の軌跡を追跡するトレースバック回路611とを備えている。
まず、ACS回路607の動作の例を図9に示す。ACS回路607は、状態遷移の基本構造(バタフライ)に対し、遷移ブランチ毎にブランチの確からしさb_metをSOVA復号器入力のC0,C1,C2の関数として求める。この関数は、符号器の構成に応じた関数となり、例えば、国際委員会3GPP(Third Generation Partnership)により提案されたRelease'99のターボ符号器の仕様を例とした場合、次の式(1)で表される。
B_met=C0+C1+C2:(State[0]^State[1]=0)
=−C0+C1−C2:(State[1]^State[1]=1)…(1)
ここで、状態(State)番号を二進数で表記し、LSB(Least Significant Bit)の1bit目をState[0]、2bit目をState[1]とし、^は排他論理を表すものとする。
B_met=C0+C1+C2:(State[0]^State[1]=0)
=−C0+C1−C2:(State[1]^State[1]=1)…(1)
ここで、状態(State)番号を二進数で表記し、LSB(Least Significant Bit)の1bit目をState[0]、2bit目をState[1]とし、^は排他論理を表すものとする。
ACS回路607は、図1に示したメトリックメモリ608から、1ビット前の状態に対してACS回路607で計算されたメトリック値MET_P0,MET_P1をロードし、それぞれの状態におけるメトリック値とする。ある状態において、遷移する可能性のある二つのブランチ(図9における(0,1)から(0)への遷移、(0,1)から(4)への遷移)に対して行なわれるブランチのメトリック値の更新は、それぞれ、A=MET_P0+b_met,B=MET_P1−b_met、及びC=MET_P0−b_met,D=MET_P1+b_metによってなされる。この場合、それぞれ大きくなるメトリック値Max{A,B}、及びMax{C,D}を残し、最も確からしい遷移を示すブランチをパス値として記憶する。この二つの遷移ブランチに対するメトリック値の差分の絶対値、(それぞれ、|A−B|/2、及び|C−D|/2)を、その状態における尤度値とする。
ACS回路607は、上述したよう全ての状態に対してメトリック値、パス値及び尤度値を求め、それぞれメトリックメモリ608、パスメモリ609及び尤度メモリ610に格納する。ただし、メトリック値の飽和を避けるため、ACS回路607は、1ビット前の処理で最大値を持つメトリック値を記憶しておき、各メトリック値から記憶したメトリック値を減算してからメトリックメモリ607に格納する。
図10にトレースバック回路611の構成例を示す。トレースバック回路611は、トレースバック開始信号TR_LDをトリガとしてトレースバック開始時状態TR_STを初期状態とし、パスメモリ609から読み出したパス値と尤度メモリ610の尤度値を使って、硬判定値SIGNと軟判定値WGTを求めるものである。
トレースバック回路611は、パスメモリ609から入力するパス値(PATH)の状態数分(P[0]〜P[7])に対応するトレース部104a〜104hと出力選択部105から構成される。トレース部104は、最も確からしい遷移を表す最尤パスフラグSFと、次に確からしい遷移を表す競合パスフラグCFと、最尤パスと競合パスの確からしさの差分を表す尤度情報Wを各状態について求める回路である。各トレース部104で求められた情報は、1ビット前の情報としてトレース部104にトレリス状態遷移(符号化器の状態遷移)に従ってフィードバックをかける構造になっている。出力選択部105は、各状態のトレース部104の出力結果から、硬判定値SIGNと軟判定値WGTを計算する。
図11にトレースバック回路611のトレース部104における最尤パスフラグSFを決定するアルゴリズムを示す。トレースバック開始時、ACS回路607は最もメトリック値の大きい状態をトレースバック開始時状態TR_STとし、状態TR_STに対応するトレース部104の最尤パスフラグSFが1となるようにフラグを設定する。
まず、トレースバック開始時即ちトレースバック開始信号TR_LDが1である場合(ステップS1)、自状態がトレースバック開始時状態TR_STであれば(ステップS2)、自状態は最尤パスとなり、最尤パスフラグSFが1となる(ステップ3)。ステップS2で自状態がトレースバック開始時状態TR_STでなければ、最尤パスフラグSFは0となる(ステップ4)。
ステップ1でトレースバック開始信号TR_LDが1でない場合、トレースバック処理中において、1ビット前時点で最尤パスフラグSFが1であった状態(ステップS5)から自状態に遷移してくるパスが、パスメモリから読み出したパス値と比べて正しい遷移を示していれば(ステップS6)、自状態が最尤パスとして継承され、最尤パスフラグSFが1となる(ステップS7)。ステップS5で1ビット前時点で最尤パスフラグSFが1でない場合、及びステップS6で自状態に遷移してくるパスが正しくなければ、最尤パスフラグSFは0となる(ステップ8)。
次に、図12にトレースバック回路611のトレース部104における競合パスフラグCFを決定するアルゴリズムを示す。まず、トレースバック開始時即ちトレースバック開始信号TR_LDが1である場合(ステップS10)、全状態について競合パスが存在しないため、競合パスフラグCFは0にリセットされる(ステップS18)。また、トレースバック開始以降で(ステップS10)、自状態が最尤パスである場合には(ステップS11)、競合パスとなり得ないので競合パスフラグCFは0になる(ステップS18)。ステップS11で、自状態が最尤パスではない場合(ステップS11)、自状態が競合パスになる条件として、1ビット前において最尤パスであった状態(ステップS12)から自状態に遷移するパスについて、パスメモリから読み出したパス値と比べて正しくない場合に(ステップS13)、競合パスフラグCFは1となる(ステップS14)。
また、ステップS12で自状態が1ビット前において最尤パスでない場合、或いは、ステップS13において自状態に遷移するパス値が正しくない場合、自状態が1ビット前において競合パスであるとき(ステップS15)、その状態から自状態に遷移するパスがパスメモリから読み出したパス値と比べて正しい場合に(ステップS16)、競合パスが継承されることになり、競合パスフラグCFが1となる(ステップS17)。ステップS15で自状態が1ビット前において競合パスではないか、或いはステップS16で自状態に遷移するパスが正しくない場合に、競合パスフラグCFは0になる(ステップS18)。
上記の最尤パスフラグSF及び競合パスフラグCFを各状態について求めながら前記トレースバックアルゴリズムを適用した実際例を図10の下部に示す。
続いて、図13にトレースバック回路611のトレース部104における尤度情報Wを決定するアルゴリズムを示す。まず、トレースバック開始時即ちトレースバック開始信号TR_LDが1である場合(ステップS20)、尤度情報を最大値に設定する(ステップS29)。また、トレースバック開始以降(ステップS20)、自状態が最尤パスである場合も(ステップS21)、尤度情報を最大値に設定する(ステップS29)。ステップS21において自状態が最尤パスでない場合、1ビット前において最尤パスであった状態(ステップS22)から自状態に遷移するパスが、パスメモリから読み出したパス値と比べて正しくない場合には(ステップS23)、最尤パスであった状態の尤度メモリから読み出した尤度値DELTAを尤度情報の候補W_1=DELTAとして保持する。
ステップS24で尤度値DELTAを保持した場合、又はステップS22で自状態が1ビット前において最尤パスでない場合、又はステップS23で自状態に遷移するパスが正しい場合、1ビット前において競合パスであった状態(ステップS25)から自状態に遷移するパスが、パスメモリから読み出したパス値と比べて正しいとき(ステップS26)、競合パスの状態における1ビット前の尤度情報W(1bit前)を尤度情報の候補W_2=W(1bit前)として保持する(ステップS27)。続いて、尤度情報の候補W_1,W_2を比較して小さい方の値を自状態における尤度情報W=Min(W_1,W_2)として出力する(ステップS28)。ステップS25において1ビット前が競合パスでない場合、又はステップS26で自状態に遷移するパスが正しくない場合、尤度情報を最大値に設定する(ステップS29)。
最後に、トレースバック回路611の出力選択部105で硬判定値SIGN及び軟判定値WGTを求めるアルゴリズムを図14に示す。硬判定値SIGNを求めるためには、図14aに示すように最尤パスフラグSF=1である状態STを選択し(ステップS30)、1ビット前の最尤パスの状態から状態STに遷移する際に、符号器で入力された符号を硬判定SIGNとして出力する(ステップS31)。パス値を符号器で入力された符号とすれば、状態STにおけるパス値が硬判定値SIGNとして出力される。次に、軟判定値WGTを求めるために、図14bに示すように競合パスフラグCF=1である状態の集合Uを求める(ステップS32)。集合Uに属するトレース部104の尤度情報Wの最小値を軟判定値WGTとして出力する(ステップS33)。
このようにして得られた軟判定値WGTを使って信頼度判定612が復号結果の信頼度を判定し、該判定結果に基づき制御部604が繰り返し復号動作の継続、終了の制御を行なう。
次に、本発明のターボ復号器を用いる誤り訂正符号化方式を導入した移動通信システムの基地局及び移動端末の発明の実施の形態を説明する。まず、移動通信システムにおいては、図15に示すように、基地局制御局2を介して基地局4が通信網1に接続され、通話を行なうとき、基地局4の無線ゾーン4内の移動端末5と基地局4との間に無線通信路が設定される。
無線通信路においては、移動に伴うフェージングやビル陰に入ったときの急激な伝送損失の増大等があるため、送受信するデータは、符号誤りを生じやすい。
そのような通信路を有する通信システムにターボ符号化を適用する効果は大きい。
そのような通信路を有する通信システムにターボ符号化を適用する効果は大きい。
ターボ符号化による誤り訂正を施したデータの送受信を行なう移動端末5の構成例を図16に示す。まず、移動端末5の送信側は、マイクロフォン6又はキー入力部7から入力された信号に信号処理を施して送信データ9を生成する信号処理回路8と、送信データ9をターボ符号化して符号化データを出力するターボ符号器10と、該符号化データのデータの並べ替えを行なうインタリーバ11と、インタリーブされた符号化データを変調して、送信信号を出力する変調器12と、該送信信号を無線周波信号に変換する高周波回路14と、該無線周波信号を基地局3に向けて無線ゾーン4に放射するアンテナ15とを備えている。
インタリーバ11は、データの伝送中に連続的に誤りが生じた場合に、その誤りを広く分散させるために用意するものであるが、通信路の特性によっては不要となる。また、変調器12は、通信方式が例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式である場合は、符号化データを拡散符号により拡散する拡散器となり、送信信号は拡散信号となる。ターボ符号器10、インタリーバ11及び変調器12によって送信器13が構成される。
移動端末5の受信側は、アンテナ15により受信した基地局3からの無線周波信号を受信信号に変換する高周波回路14と、該受信信号を復調してインタリーブされた符号化データを出力する復調器16と、該インタリーブされた符号化データを元の順序に並べ替えるデインタリーバ17と、デインタリーバ17が出力する符号化データの復号を行なって受信データ20を出力するターボ復号器18と、受信データ20の信号処理を行なってその出力信号を表示器21又はスピーカ22に供給する信号処理回路8とを備えている。
復調器16は、通信方式がCDMA方式である場合、逆拡散器となり、受信信号は拡散信号となる。ターボ復号器18は、図1に示した本発明のターボ復号器である。復調器16、デインタリーバ17及びターボ復号器18によって受信器19が構成される。
続いて、移動端末5との間で無線通信路を形成する基地局3の構成例を図17に示す。まず、基地局3の送信側は、局間インタフェース24を介して基地局制御局2から送信された複数の送信データを送信信号にする送信器13a、13b〜13nと、各送信器が出力する送信信号を多重化する多重化回路25と、多重化された送信信号を無線周波数信号に変換する高周波回路26と、該無線周波数信号を複数の移動端末5に向けて無線ゾーン4に放射するアンテナ27とを備えている。
送信器13a、13b〜13nのそれぞれは、図16に示した送信器13と同じ構成のものであり、ターボ符号器を備えている。送信器13a、13b〜13n及び多重化回路25でマルチチャネル送信器28が構成される。
基地局3の受信側は、アンテナ27により受信した複数の移動端末5からの無線周波信号を受信信号に変換する高周波回路26と、高周波回路26が出力する複数の受信信号を受信データにする複数の受信器19a、19b〜19nと、該複数の受信データを基地局制御局2を介して通信網1に送信するための局間インタフェース24とを備えている。
受信器19a、19b〜19nのそれぞれは、図16に示した受信器19と同じ構成のものであり、図1に示した本発明のターボ復号器を備えている。受信器19a、19b〜19nによってマルチチャネル受信器29が構成される。
104…トレース部、105…出力選択部、201…ターボ符号器、202…通信路、203…ターボ復号器、204,206…再帰的組織畳込み符号器,205,208,211…インタリーバ、207,209…復号器、210…デインタリーバ、301…絶対値演算部、302…平均値測定部、303…2乗部、304…分散測定部、305…K倍演算部、306…比較部、307…最小値検出部、308…最大値検出部、601…入力信号メモリ、602…SOVA復号器、603…復号結果メモリ、604…制御部、605…インタリーブパタンメモリ、606…遅延器、607…ACS回路、608…メトリックメモリ、609…パスメモリ、610…尤度メモリ、611…トレースバック回路、3…基地局、5…移動端末、8…信号処理回路、10…ターボ符号器、13…送信器、14…高周波回路、18…ターボ復号器、19…受信器。
Claims (6)
- 誤り訂正のためにターボ符号化したデータを入力して軟判定復号を繰り返し行なうことにより元のデータを復元する復号器と、軟判定復号によって得る軟判定復号結果の信頼度を該軟判定復号結果の統計量から判定する判定手段と、該信頼度判定手段の判定結果に基づき前記軟判定復号の繰り返し回数を制御する制御手段とを有することを特徴とするターボ復号器。
- 前記判定手段は、信頼度を判定するための統計量として、軟判定復号結果の平均値と分散値を用いることを特徴とする請求項1に記載のターボ復号器。
- 前記判定手段は、信頼度を判定するための統計量として、軟判定復号結果の平均値と最小値を用いることを特徴とする請求項1に記載のターボ復号器。
- 前記判定手段は、信頼度を判定するための統計量として、軟判定復号結果の最大値と最小値を用いることを特徴とする請求項1にターボ復号器。
- 誤り訂正のためにターボ符号化したデータの無線周波信号をアンテナにより受信して受信信号を出力する高周波回路と、該受信信号から元のデータを受信データとして出力する受信器と、該受信データに信号処理を施す信号処理回路とを有し、該受信器は、該受信信号を構成する上記ターボ符号化したデータを復号して該受信データを出力するターボ復号器を備え、該ターボ復号器は、該ターボ符号化したデータを入力して軟判定復号を繰り返し行なうことにより元のデータを復元する復号器と、軟判定復号によって得る軟判定復号結果の信頼度を該軟判定復号結果の統計量から判定する判定手段と、該信頼度判定手段の判定結果に基づき前記軟判定復号の繰り返し回数を制御する制御手段とを有することを特徴とする移動通信システムの携帯端末。
- 誤り訂正のためにターボ符号化したデータの無線周波信号をアンテナにより受信して受信信号を出力する高周波回路と、該受信信号から元のデータを受信データとして出力する受信器と、該受信データを通信網に送出するための局間インタフェースとを有し、該受信器は、上記ターボ符号化したデータを復号して該受信データを出力するターボ復号器を備え、該ターボ復号器は、該受信信号を構成する該ターボ符号化したデータを入力して軟判定復号を繰り返し行なうことにより元のデータを復元する復号器と、軟判定復号によって得る軟判定復号結果の信頼度を該軟判定復号結果の統計量から判定する判定手段と、該信頼度判定手段の判定結果に基づき前記軟判定復号の繰り返し回数を制御する制御手段とを有することを特徴とする移動通信システムの基地局。
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2004
- 2004-03-23 JP JP2004083835A patent/JP2004215310A/ja active Pending
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