JP2004214644A - 電子部品および電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボビンに巻線を巻回した後、巻線をボビンへ確実に固定する目的で、巻線の全体もしくは一部を粘着テープでボビンへ貼着する貼着工程は、トランスの製造コストを上昇させるので、テープ止めなしで所望巻数を維持すること。
【解決手段】 巻芯部111に一次巻線13を巻回し、この一次巻線13の引出部を交差させて、その終端を、巻芯部111を挟んで相対し、巻芯部111の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された端子114に対して接続する構成。
【選択図】 図5

Description

本発明は電子部品および電子部品の製造方法に係り、例えば、トランスやインダクタなどの電子部品に関するものである。
図1はトランスの巻線部の構成を示す図である。
図1に示すように、電気絶縁材のボビン1に電線(巻線)3を巻いた後、巻線3をボビン1へ確実に固定する目的で、巻線3の全体もしくは一部を粘着テープ2でボビン1へ貼着する。巻線3のターン数が充分であれば、巻線3はボビン1を把持可能であるが、ターン数が少ない(例えば1ターン)の場合は巻線3がボビン1を把持することは困難であるから、粘着テープ2などによって巻線3をボビン1に貼着することは非常に重要である。
粘着テープ2による貼着はボビン1に幅広い巻線スペースを必要とする。その結果、巻線スペースが広いボビン1が必要になりトランスの大型化を招く場合がある。さらに、粘着テープ2による貼着工程は、トランスの製造コストを上昇させる。
また、巻線3の両終端部5が接続されるボビン1の端子は、一般に、内部が空洞の角柱形状や筒状のボビン1の底面近傍に配置される。従って、巻線後、巻回方向とは大きく異なる方向へ巻線3の引出部4を引き出すことになり、ボビン1に複数のコイルを形成する場合など、複数の引出部4がボビン1の巻線スペースを占めることになる。勿論、引出部4の形成は、巻線3の巻回工程を複雑化する要因でもある。
また、コイルの抵抗値を低減するために、ボビン1に複数のコイルを同層に形成し並列接続する場合がある。しかし、両終端部5を接続する端子から遠い巻線3ほど、その引出部4は長くなる。とくに、ターン数が少ない(例えば1ターンの)巻線3の場合、巻線3の全長に占める引出部4の割合が大きくなり、同層に複数のコイルを形成すると、それらコイルの電線長の差が顕在化する。そのため、それらコイルを並列接続しても、その並列数ほどに抵抗値が低減されない。勿論、抵抗値の差によるコイル間の電流値の差も生じる。
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、巻線を容易にすることを目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかる電子部品は、一つ以上のコイルを有する電子部品であって、前記コイルを巻回する巻芯と、前記巻芯を挟んで相対し、前記巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子とを有し、前記コイルの引出部は交差して、その終端が前記端子に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、巻線を容易にすることができる。
以下、本発明にかかる実施形態の電子部品を図面を参照して詳細に説明する。
[概要]
図2に示すように、実施形態のトランス(またはインダクタ)は、ボビン1を挟んで対向する位置、かつ、ボビン1の底面を境界とする領域内に端子を設け、巻線3の引出部4を交差させて、その終端部を端子に固定する。
このような構成により、実施形態のトランスは、巻線3を粘着テープで貼着する必要がなく、一つのコイルが占める巻線スペースをより小さくすることができ、トランスの小型化が図れる。また、巻線工程が簡略化され、作業性も極めて良好であり、トランスの製造コストが低減される。また、引出部4を引き出す方向が巻線3の巻回方向とほぼ一致するため、引出部4の根元を折り曲げるなどの作業が不要になり、作業性に優れるとともに、巻線3の導体部分や絶縁被覆へのダメージを極力抑えることができる。さらに、折曲作業を除くことで、断面がより太い電線を容易に巻回することが可能になり、トランスの設計自由度が増大する。
なお、巻線スペースとは、ボビンに巻線の巻回が可能な、ボビンの軸に沿った範囲を指す。例えば、図3はEE形コアにおける巻線スペースを説明する図である。図3に示すように、EE形コアの中脚11にコイルを組み込む場合、中脚11に応じた角柱状のボビンに電線を巻回する。そのため、中脚11の付け根によって巻線スペースは制限され、一方の中脚11の付け根から他方の中脚11の付け根までの距離が巻線スペースになる。言い換えれば、中脚11の付け根部分に近接するボビンの底面が、巻線スペースの端面であり、二つの端面に挟まれた領域に上述した端子を設けることになる。なお、図3にはEE形コアの中脚にコイルを組み込む例を示したが、EI形コアの中脚や、UUおよびUI形コアの脚にコイルを組み込む場合も、同様で、巻線スペースの端面の間に上述した端子を設ければよい。
さらに、図4に示すような、その断面が円や楕円形で、その両端へ向かって断面積が小さくなるようなボビンの場合、その巻線スペースの端面は、図4に示すように、ボビンの両端部における接平面になるので、その間の領域に端子を設ければよい。
また、上述した端子とは、トランス(またはインダクタ)のコイルの巻線終端と他の部品または回路導体との接続部で、その形状や材質などに限定はない。たとえば、コネクタや端子台、あるいは、トランスをプリント基板に取り付けるための脚を兼ねるピン端子でもよいし、プリント板のランドそのものでも構わない。
また、一般に、トランス(またはインダクタ)においては、使用するコアの形状に合わせたボビンを使用する。本発明を適用すれば、それらボビンの巻線スペースの端面に挟まれた領域に端子を設けることになる。
また、詳細については後述するが、本実施形態の、一つ以上のコイルを有する電子部品は、コイルを巻回する巻芯と、巻芯の下部に配置され、コイルの終端に接して、電子部品が実装される基板の電気回路と終端とを電気的に接続する部材とを有する。
また、本実施形態の、一つ以上のコイルを有する電子部品は、コイルを巻回する巻芯と、巻芯を挟んで相対し、巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子を備える基板とを有し、コイルの引出部は交差して、その終端が端子に接続される。
本実施形態の、一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法は、巻芯にコイルを巻回し、コイルの引出部を交差させて、その終端を、巻芯を挟んで相対し、巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子に接続すればよい。
また、一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法は、巻芯に前記コイルを巻回し、コイルの終端を、巻芯の下部に配置され、電子部品が実装される基板の電気回路と終端とを電気的に接続する部材に接続すればよい。
また、一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法は、巻芯にコイルを巻回し、コイルの引出部を交差させて、その終端を、巻芯を挟んで相対し、巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、基板上の一組の端子に接続すればよい。
<第1実施形態>
[構造]
図5から図8はそれぞれ、トランスの構造を説明する斜視図、同じく正面図、同じく側面図、同じく上面図である。なお、以下では、便宜上、巻線13を一次巻線、巻線15を二次巻線として説明するが、一次と二次の関係は逆であってもよい。また、図面の都合上、ボビン11へ磁気コア12が未挿入の状態で示すが、空芯トランスでない限り、磁気コア12がボビン11の挿入口116へ挿入されている。
ボビン11は、電気絶縁材を用いた一般的な巻芯部111を有するボビンで、巻芯部111の両端には、鍔112、台座113および磁心挿入口116が備わる。また、巻芯部111の両側には、巻芯部111に並行して二つの端子固定部114が配置されている。
巻芯部111には巻線13および15が巻回され、巻芯部111内の空間には挿入口116を介して磁気コア12が挿入される。また、巻芯部111の両端には、巻線スペースを制限するための鍔12があり、鍔12には磁気コア12を位置決めするための溝115が形成されている。さらに、鍔12の下側には、複数のピン端子117が取り付けられた台座113が配置されている。
二次巻線15は、ピン端子117を介して、トランスが実装されるプリント基板の回路導体に電気的に接続される。勿論、ピン端子117は、トランスをプリント基板に実装する際の位置決め、および、トランスをプリント基板に固定する役割も果たす。一方、一次巻線13は、端子固定部114に固定された端子に電気的に接続されるが、その詳細は後述する。
なお、本実施形態は、図5に示すような、巻線スペースが一つのボビン構造に限定されず、図9に示すような、巻線スペースが複数に区分けされた構造のボビンにも適用可能である。
巻芯111の端部は図5〜8からも明らかなように、巻芯部111の両端が端部になり、この端部の接平面が上述した端面である。ここで、巻芯部111の断面の中心(重心)を貫く直線を中心軸q(図8を参照)とする。また、中心軸qを含み、かつ、ボビン11を巻線スペースに沿って縦に二分割する平面を中心面S1(図6.図7を参照)とする。また、図7に示すように、中心面S1と交差する巻芯部111の二つの平面うち、下側の平面を下面S2とする。さらに、図8に示すように、端子固定板114と同一面上にあり、かつ、中心面S1を垂直に貫くトランスの中心線を直線qとする。
磁気コア12は、フェライト系の磁性材料からなるE型コアで、図示しない同一のE型コアをもう一つ使用して、ボビン11の両端の挿入口116から両コアを挿入する。なお、磁気コア12の形状や材質はとくに限定されない。
一次巻線13は断面が1.5mm×0.1mmの、表面がポリウレタンで絶縁被覆された単芯の平角銅線で、これを一本用いる。また、一次巻線13の終端を端子へはんだ付けするために、一次巻線13の終端部は、端から約2mm、絶縁被覆が剥がされている。一次巻線13の終端部を接続する端子14は、ピン端子117とは異なり、縦3mm×横21mm×厚さ0.1mmの銅板で構成され、端子固定板114上に接着されている。二次巻線15は直径0.1mmのポリウレタン被覆銅線である。巻芯部111へ巻回順は、二次巻線15、二次巻線15を固定するための粘着テープ(図示しない)、一次巻線13であるが、これに限定されるわけではない。二次巻線15の両終端部は、図8に示すように、ピン端子117に接続される。
[組み立て方]
以下では、図6から図8に示す位置に端子14が設置されることを前提として、トランスの組み立て方を説明する。
巻芯部111に二次巻線15を必要なターン数分巻回し、二次巻線15を粘着テープで固定し、二次巻線15の終端をピン端子117にはんだ付けする。その後、一次巻線13を、その全長が最短になるように、一次巻線13の引出部同士が交差する点Aが下面S2側にくるように、巻芯部111に一回巻く。なお、理想的な場合、点Aは中心面S1上にくる。そして、図8に示すように、一次巻線13の終端部132を端子14にはんだ付けして固定する。このような手順で一次巻線13を巻芯部111へ巻いて端子14へ固定したが、粘着テープをまったく必要とせずに、確実に1ターンを維持した、一次巻線13で構成されるコイルを形成することができた。また、一次巻線の引出部は寄り線化の必要もなく、引出部は一回のみの交差で済むため、上記巻回作業は単純でかつ、無用に引出部を長くする必要がない。なお、一次巻線13を巻回する作業は極めて短時間(一分未満)で済んだ。
以降、磁気コア12の挿入および固定と続いてトランスが完成するが、それら作業は周知であるから、それらの説明は省略する。
[比較例]
図10から図12はそれぞれ、比較例のトランスの斜視図、同じく正面図、同じく側面図である。なお、実施形態のトランスと実質的に同一の、比較例の構成要素には同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
比較例のトランスは、実施形態のトランスと比べて、ボビン21および一次巻線23が異なる。ボビン21は、端子固定板114を有しない点のみ、本実施形態のボビン11と異なる。これ以外の構成要素、例えば一次巻線23の線材は実施形態の一次巻線13と同じであり、終端部処理なども同じである。
図11および図12に示すように、一次巻線23を下面S2側から巻芯部111に一回巻く。そして、図11に示すように、粘着テープ22を使用して約10mmの引出部を含む一次巻線23を巻芯部111に固定し、一次巻線23の終端をピン端子117へはんだ付けする。このような手順で一次巻線23を巻芯部111へ巻いてピン端子117へ固定すると、1ターンを維持した、一次巻線23で構成されるコイルを形成することができた。しかし、図11に示すように、巻芯部111の23mmの巻線スペースの約12mを粘着テープが占め、巻線スペースの利用効率が著しく低下した。また、粘着テープによる貼着工程、一次巻線23に使用した平角銅線が曲げ辛いなどの理由から、一次巻線23を巻回する作業に10分間程度の時間を必要とした。
[比較]
このように、粘着テープを使用することなく巻線をボビン11へ固定することができる実施形態のトランスは、比較例のトランスに比べて、巻線スペースを有効利用してトランスの小型化が図れ、かつ、巻線の巻回工程の簡易化、作業性の向上などから巻線の巻回時間を大幅に短縮してトランスの製造コストを低減することができる。
また、巻線の引出部は巻回方向とほぼ同じ方向に引き出せばよく、言い換えれば、無理な力を巻線に加えて折り曲げる必要などがなく、作業性が極めて優れ、断面が太く曲げ辛い電線(太い電線や平角線など)の利用も容易になり、トランスの設計自由度が増大する。勿論、巻線作業における巻線の導体や絶縁被覆へのダメージも極力抑えることができる。なお、実施形態では平角銅線を使用する例を説明したが、これに限定されず、例えば断面が円形や楕円形の電線、または、リッツ線や撚線でもよい。リッツ線を使用すると、表皮効果が問題になる高周波領域における抵抗値を低減することができる。
また、図5などに示すように、引出部とは、一次巻線13を端子14の方向へ引き出すために、一次巻線13が巻芯部111から離脱した点から、一次巻線13の終端までの部分と定義する。この定義は巻芯部111の断面形状に関係なく、その断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形の巻芯部でも同じである。また、一次巻線13の全長を短くするために、端子14は、引出部が交差(空間上のねじれの位置も含む)する点A(図7を参照)に近いことが望ましいし、下面S2(図7を参照)に近いことが望ましい。巻線の全長をより短じかくするには、端子14を下面S2と同一面に配置する、あるいは、端子14と下面S2との段差を電線の太さ程度にすると良い。
端子14と、トランスを実装するプリント基板の電気回路との接続は、例えば銅板や電線をはんだ付けする、端子14の下側にピン端子を設けるなどが考えられる。また、端子14自体を延伸してプリント基板の電気回路へ接続してもよい。
また、上述したトランスから二次巻線15を取り除けばインダクタとして機能する。従って、上記のボビン構造や巻線方法はインダクタに適用しても同様の効果が得られる。
なお、実施形態に特徴的な構成は、巻芯部を挟んで相対し、かつ、巻線スペースの端部を境界とする領域内に設けられた端子に、その巻回方向に引き出された巻線の終端部が固定されることにある。
また、実施形態のボビンは、樹脂で一体成型してもよいが、巻芯部、上鍔および挿入口を一体成型した第一の部材と、台座、ピン端子および出力端子板を一体成型した第二の部材とを組み合わせてもよい。組み合わせの場合、巻線が完了した第一の部材を第二の部材に連結すれば、巻線工程が容易になる。
<第2実施形態>
以下、本発明にかかる第2実施形態の電子部品を説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図13から図15はそれぞれ、トランスの構造を説明する正面図、同じく側面図、同じく上面図である。
基板4は、トランスの一次巻線13の終端部を接続する端子34を有するプリント基板である。なお、端子34は基板4の銅箔ランドとして形成すればよく、基板4にはピン端子117を挿入可能な孔またはスルーホールを形成する。
第1実施形態と同様の方法で、巻芯部111に一次巻線13を巻き、その終端部を端子34へはんだ付けすれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。基板4は、トランスを構成する一部材としてもよいし、トランスが搭載される回路基板そのものであってもよい。回路基板そのものであれば、端子34へ一次巻線13を直接はんだ付けすることになり、トランスに設けられた端子を介さないから、その分の抵抗値およびコストを低減することができる。
端子34の位置は、巻芯部を挟んで相対し、かつ、巻線スペースの端部を境界とする領域内に、その巻回方向に引き出された巻線の終端部が固定可能でなくてはならない。ただし、端子34は、巻線スペースの端部を境界とする領域内に収まる必要はない。例えば図16に示すように、端子34に相当するランドは巻線スペースの外側へ延伸されている。このような巻線スペースの端部を境界の外側へ延伸されたランドでも、前記境界内に巻線の終端部を固定可能である。
また、図17に示すように、基板4のランドを端子に利用することは、一次巻線13に限らず、二次巻線15にも適用できる。とくにターン数が少ない二次巻線15の場合、一次巻線13と同様の効果がある。
<第3実施形態>
以下、本発明にかかる第3実施形態の電子部品を説明する。なお、第3実施形態において、第1、第2実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
以下では、第3実施形態として、プッシュプル回路用の一次巻線を有するトランスを説明する。図18はプッシュプル回路の構成例を示す図である。プッシュプル回路用のトランスは、直列接続された一組の一次巻線を有し、その直列接続点は一次巻線のセンタータップとして引き出される。
図19はトランスの構造を説明する上面図である。第2実施形態と異なり、第3実施形態のトランスはプッシュプル回路用の二つの一次巻線を有し、基板6はその巻線構成に合った端子を有する。なお、図19に示す○記号内の数字は、図18に示すトランスの端子番号に対応する。
図19に示すように、トランスには一組の一次巻線13が並べて巻回されている。端子54は基板6上のランドで、中心軸pと直線qとの交点(トランスの中心)に対して、1番および4番の端子、2番および3番の端子とが対称位置にある。また図には示さないが、2番および3番の端子は基板6の導体パターンによって接続されている。図19の左側の一次巻線13の終端は1番および2番の端子へ接続され、右側の一次巻線13は3番および4番の端子へ接続される。
また、巻芯部111の巻線スペースをできるだけ均一に利用するために、巻芯部111に二つの一次巻線13をできるだけ均等に配置する。また、第2実施形態の基板4と同様に、各一次巻線13の引出部の交差(点A)が下面S2側にくるように、各一次巻線13を巻芯部111にそれぞれ1ターン巻回する。また、第1実施形態と同様に、二次巻線15、絶縁テープ、一次巻線13の順に巻芯部111へ巻回する。二次巻線15の終端は、図19に示すように、5番および6番のピン端子117へ接続する。
図18に示すように、番号2および番号3の端子は直流電源E1の正極に接続され、1番および4番の端子はそれぞれスイッチング素子SW1およびSW2のドレイン端子に接続される。また5番および6番の端子は、D1〜D4で構成されるダイオードブリッジへ接続される。
上記の手順で一次巻線13を巻芯部111に巻回し、その終端を端子54へ固定した。巻線を二つ並べて巻いたにもかかわらず、作業時間も僅か二分程で済んだ。また、二つの一次巻線13の抵抗値は8.9mΩでほぼ同一で、二つの一次巻線13を直列接続した抵抗値は18mΩであった。
[比較例]
図20および21は比較例のトランスを示す正面および上面図である。なお、本比較例は、第1および第2実施形態のトランスの関係と同様に、第1実施形態の比較例のトランスをプッシュプル回路用の巻線構成にしたものである。
図20に示すように、一組の一次巻線13を巻芯部111の巻線スペースに均等に巻回し、粘着テープで巻芯部111に固定する。そして、一次巻線13の四つの終端をそれぞれピン端子117へはんだ付けする。
上記の手順で一次巻線13を巻芯部111に巻回して、その終端をピン端子117へはんだ付けした。各コイルは1ターンを維持したが、図20に示すように隣り合うコイルの引出部が干渉して、作業性が著しく悪く、巻線作業に30分程の時間を要した。また、巻芯部111の巻線スペース23mmのうち、粘着テープや一次巻線の引出部が17mm程度を占め、同様のコイルをこれ以上巻回することはほぼ不可能であった。二つの一次巻線13の抵抗値を実測したところそれぞれ10mΩ、8.2mΩであり、二つの一次巻線13を直列接続した抵抗値は18.9mΩであった。この結果、図18に示すプッシュプル回路に比較例のトランスを適用すると、二つの一次巻線13に流れる電流が異なる可能性がある。また、二つの一次巻線13を直列接続した抵抗値は、実施形態2のトランスに比べて1mΩほど大きいから、トランスにおける銅損が大きくなる。
このように、プッシュプル回路用の第3実施形態のトランスにおいても、第1実施形態と同様の効果が得られる。その上、第3実施形態によれば、複数のコイルを同一の巻芯部111に巻回する場合、各コイルの抵抗値をほぼ同一にすることができるので、各コイルに流れる電流が均一であることを要求するプッシュプル回路用トランスとして適切である。勿論、各コイルの抵抗値も低くなるためトランスの銅損を低減することができる。
<第4実施形態>
以下、本発明にかかる第4実施形態の電子部品を説明する。なお、第4実施形態において、第1、第2、第3実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
図22から図24はそれぞれ、第4実施形態のトランスの正面図、側面図および上面図である。第4実施形態の一次巻線93は、第1実施形態の一次巻線13と同様の平角銅線である。なお、第4実施形態のトランスは二次巻線15、図示しない絶縁テープ、一次巻線93の順に巻芯部111へ巻回する。また、二次巻線15の終端は、図22および図24に示すように、ピン端子117へ接続される。
第4実施形態の特徴的な構成は、トランスを実装する基板10の実装面に、一次巻線93の終端と電気的に接触する保持部材101を有すことである。図25から図27はそれぞれ、保持部材101の正面図、側面図および上面図である。なお、基板10の正面図と同一方向から観た立面図を保持部材101の正面図と定義する。また、図28は、保持部材101と一次巻線93の終端との接続関係を示す図である。保持部材101は導体部1011と絶縁部1012より構成され、基板10へはんだ付けされる部品である。
図28に示すように、導体部1011は例えば銅で構成され、一次巻線93の終端が接触して、トランスの端子の役割を果たす。また、図24に示すように、保持部材101の中心はほぼ中心軸pと直線qの交点にあり、トランスの中心とほぼ一致する。また、保持部材101は下面S2とほぼ同一平面上において、一次巻線93の引出部が交差する点Aにおいて一次巻線93の終端と接触することになり、一次巻線93の長さはほぼ最短になる。なお、第4実施形態において、一次巻線93の終端と導体部1011との接続方法は、終端および導体部1011に予めはんだを付けておき、そこへ終端を接触させ、導体部1011の側面にはんだ鏝を当てるなどしてはんだを溶融し、導体部1011と終端とを電気的に接続する。図24や図28に示すように、その終端が導体部1011上にくるように、一次巻線93は中心面S1内に巻回する。
以上の手順でトランスを組み立てたところ、第1から第3実施形態と同様に、一次巻線93で構成されるコイルは粘着テープを使用せずに1ターンを維持した。一次巻線93の抵抗値は実測で6.3mΩで、終端から基板10の実装面の間の保持部材101を考慮しても6.5mΩであった。第2実施形態のトランスの一次巻線13の抵抗値の測定結果8.9mΩに対して、約27%、抵抗値が低減された。また、保持部材101により交点A近傍において、一次巻線9が巻芯部111に押さえ付けられるため、巻芯部111と一次巻線93との間の隙間がより小さくなり、一次巻線93と磁気コア12との磁気結合が向上する。
このように、保持部材101を使用することで粘着テープを使用することなく一次巻線93は1ターンを維持する。また、一次巻線93の抵抗値をより低くすることが可能で、かつ、一次巻線93と磁気コア12との隙間を極力抑えることができるため磁気結合が向上し、トランスの変換効率を高めることができる。
なお、図27に示すように、二つの導体部1011の間には絶縁を確保するための1mm程度の隙間を設けるが、その間隔は限定されない。また、銅損を低減するためには、導体部1011の断面積は可能な限り大きい方がよい。また、基板10に保持部材101と同程度の高さの突起を設けて、この突起で保持部材101を代用すると構成がシンプルになり、かつ、低抵抗化、低コスト化が図れる。勿論、保持部材101の形状や配置は上記に限定されない。要は、一次巻線93の終端が接する保持部材101の部分が導体で構成され、導体が端子を成せばよい。
以上説明した実施形態によれば、下記の効果が得られる。
(1)巻芯に一つ以上のコイルを巻いたトランスまたはインダクタにおいて、巻線の巻回方向に引き出された引出部は交差して、巻芯を挟んで相対し、かつ、巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に設けられた端子に固定される。この構成により、トランスまたはインダクタは、巻線を巻芯へ固定するための粘着テープが必要がなく、巻線スペースを有効利用してトランスの小型化が図れる。また、巻線工程が簡易化され作業性も極めて良好になるため、巻線工程に要する時間が短縮され、トランスのコストを低減する効果が大きい。また、巻線の巻回方向へ引出部が引き出されるため、無理な力を加えて電線を折り曲げるなどの作業が不要になり、作業性が極めて優れ、断面がより大きい電線の巻回が可能になり、トランスの設計自由度が増大する。勿論、巻線作業における巻線の導体や絶縁被覆へのダメージも軽減される。
(2)巻芯に一つ以上のコイルを巻いたトランスまたはインダクタにおいて、巻線の巻回方向に引き出された引出部は交差して、巻芯を挟んで相対し、かつ、巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内の、基板上に設けられた端子に固定される。この構成により、上記(1)と同様の効果が得られるほか、巻線の終端が基板上の端子へ直接はんだ付けされるため、トランスに設けられた端子を介すことがなく、巻線の抵抗値を低減することができる。また、トランス自体に端子を設ける必要がなく、全体として非常にシンプルな形態になり、トランスや基板の低コスト化を図れる。
(3)上記(1)または(2)のトランスをプッシュプル回路用にする。この場合、上記(1)または(2)と同様の効果が得られるほか、同一の巻芯に巻回した複数のコイルの全長はほぼ同じになり、プッシュプル回路用トランスとして使用する場合、各コイルに流れる電流が不均一になることがない上、各コイルの抵抗値も小さくなるため、トランスの銅損を低減することができる。
(4)上記基板に、少なくとも引出部の交点近傍において、引出部と接する突起部材を設け、少なくとも引出部の終端と接する部分を導体で構成て端子とする。この構成によれば、巻芯に巻回する巻線の抵抗値を非常に低くすることができ、かつ、巻線と磁気コアとの間の隙間を極力小さくすることができる。このため、トランスの変換効率を高めることができる。
トランスの巻線部の構成を示す図、 実施形態の巻線の概要を示す図、 EE形コアにおける巻線スペースを説明する図、 巻線スペースを説明する図、 第1実施形態のトランスの構造を説明する図、 第1実施形態のトランスの構造を説明する図、 第1実施形態のトランスの構造を説明する図、 第1実施形態のトランスの構造を説明する図、 巻線スペースが複数に区分けされた構造のボビンを示す図、 比較例のトランスを示す図、 比較例のトランスを示す図、 比較例のトランスを示す図、 第2実施形態のトランスの構造を説明する図、 第2実施形態のトランスの構造を説明する図、 第2実施形態のトランスの構造を説明する図、 端子の変形例を示す図、 端子の変形例を示す図、 プッシュプル回路の構成例を示す図、 第3実施形態のトランスの構造を説明する図、 比較例のトランスを示す図、 比較例のトランスを示す図、 第4実施形態のトランスの構造を説明する図、 第4実施形態のトランスの構造を説明する図、 第4実施形態のトランスの構造を説明する図、 保持部材を説明する図、 保持部材を説明する図、 保持部材を説明する図、 保持部材を説明する図である。

Claims (21)

  1. 一つ以上のコイルを有する電子部品であって、
    前記コイルを巻回する巻芯と、
    前記巻芯を挟んで相対し、前記巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子とを有し、
    前記コイルの引出部は交差して、その終端が前記端子に接続されていることを特徴とする電子部品。
  2. 前記コイルは1ターンであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記引出部の交差は一回であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  4. 前記引出部の交差は、前記電子部品を実装する面に最短距離に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  5. 前記引出部の交差は、前記電子部品を実装する面とほぼ同一面にあることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  6. 前記巻芯に、直列接続されるコイルを複数巻いたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  7. 前記直列接続される複数のコイルは、プッシュプル回路用であること特徴とする請求項6に記載の電子部品。
  8. 一つ以上のコイルを有する電子部品であって、
    前記コイルを巻回する巻芯と、
    前記巻芯の下部に配置され、前記コイルの終端に接して、前記電子部品が実装される基板の電気回路と前記終端とを電気的に接続する部材とを有することを特徴とする電子部品。
  9. 前記部材は、前記基板にはんだ付けされることを特徴とする請求項8に記載された電子部品。
  10. 前記部材の、少なくとも前記終端と接す部位る部分が導体であることを特徴とする請求項9に記載の電子部品。
  11. 一つ以上のコイルを有する電子部品であって、
    前記コイルを巻回する巻芯と、
    前記巻芯を挟んで相対し、前記巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子を備える基板とを有し、
    前記コイルの引出部は交差して、その終端が前記端子に接続されていることを特徴とする電子部品。
  12. 前記端子は前記基板上にランドとして形成されることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  13. 前記コイルは1ターンであることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  14. 前記引出部の交差は一回であることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  15. 前記引出部の交差は、前記電子部品を実装する面に最短距離に配置されることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  16. 前記引出部の交差は、前記電子部品を実装する面とほぼ同一面にあることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  17. 前記巻芯に、直列接続されるコイルを複数巻いたことを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  18. 前記直列接続される複数のコイルは、プッシュプル回路用であること特徴とする請求項17に記載の電子部品。
  19. 一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法であって、
    巻芯に前記コイルを巻回し、
    前記コイルの引出部を交差させて、その終端を、前記巻芯を挟んで相対し、前記巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、少なくとも一組の端子に接続することを特徴とする電子部品の製造方法。
  20. 一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法であって、
    巻芯に前記コイルを巻回し、
    前記コイルの終端を、前記巻芯の下部に配置され、前記電子部品が実装される基板の電気回路と前記終端とを電気的に接続する部材に接続することを特徴とする電子部品の製造方法。
  21. 一つ以上のコイルを有する電子部品の製造方法であって、
    巻芯に前記コイルを巻回し、
    前記コイルの引出部を交差させて、その終端を、前記巻芯を挟んで相対し、前記巻芯の巻線スペースの端部を境界とする領域内に配置された、基板上の一組の端子に接続することを特徴とする電子部品の製造方法。
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