JP2004214323A - ファイバレーザ装置並びに映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法 - Google Patents
ファイバレーザ装置並びに映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】アップコンバージョンファイバレーザ装置において、励起レーザ光の利用効率を高め、励起レーザ光が発光源に戻ることによる影響を低減する。
【解決手段】この発明は、励起用レーザ120からの励起レーザ光121を希土類添加ファイバ125に導く入出力光学系122に、励起レーザ光123の偏波を45°回転させる光アイソレータ131と偏光ビームスプリッタ132とを設け、希土類添加ファイバから戻される戻り光128の一部を再び希土類添加ファイバ内に戻すファイバレーザ装置である。
【選択図】 図2
【解決手段】この発明は、励起用レーザ120からの励起レーザ光121を希土類添加ファイバ125に導く入出力光学系122に、励起レーザ光123の偏波を45°回転させる光アイソレータ131と偏光ビームスプリッタ132とを設け、希土類添加ファイバから戻される戻り光128の一部を再び希土類添加ファイバ内に戻すファイバレーザ装置である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類が添加されている光ファイバを励起レーザ光により励起して所望のレーザ光を得るアップコンバージョンファイバレーザ装置並びにファイバレーザ装置を光源に用いる映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体レーザを励起用レーザに用いたアップコンバージョンファイバレーザ装置においては、希土類を添加したアップコンバージョンファイバ内にて励起レーザ光が吸収されるが、励起レーザ光の一部は吸収されないままファイバから出力されることが知られている。
【0003】
アップコンバージョンファイバで吸収されずに出力された光すなわち戻り光が半導体レーザに入力されると半導体レーザの出力が変動等の悪影響が生じる。
【0004】
このことから、光通信ファイバレーザ等で実用化されている光アイソレータを用いてアップコンバージョンファイバに入力される光の偏波を45°回転させ、ファイバから戻された戻り光の偏波をさらに45°回転させることで、半導体レーザに入力される戻り光の量を抑圧する方法が考えられる。
【0005】
なお、光アイソレータを用いる例として、第1のポートから第2のポートへ向かう光の波長と(同一の伝送路を)第2のポートから第1のポートへ向かう光の波長を、波長選択性を持たせた光アイソレータを用いて弁別する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、パルスレーザビームを得るファイバ・レーザにおいて、光アイソレータすなわちファラデー素子を用いることにより、偏光状態(偏波)の調整を不要とした例が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ファイバレーザ(ドープされたレーザ)とファラデー素子を用いる例として、例えばファイバレーザへの入力およびファイバレーザからの出力に、ファラデー回転ミラーを用いた光増幅器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−66137号公報(図8、図9、段落[0047]〜[0054]、請求項1、要約)
【0009】
【特許文献2】
特開平7−202298号公報(要約、図1、段落[0024])
【0010】
【特許文献3】
特開平7−312455号公報(要約、図1、段落[0010])
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、励起レーザ光の戻り光を、光アイソレータにより抑制することは、励起レーザ光のエネルギーの一部を消失させ、レーザ利用効率を低下させる問題がある。
【0012】
この発明の目的は、アップコンバージョンファイバレーザ装置において、励起用レーザ光の利用効率を高めることのできるファイバレーザ装置並びにファイバレーザ装置を光源に用いる映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、励起光を出力する励起用レーザと、前記励起用レーザから励起光が入力されることで、予め添加されている希土類の種類に応じた波長のレーザ出力を出力可能な希土類添加ファイバと、前記希土類添加ファイバの出力側に設けられ、上記励起光を前記希土類添加ファイバの入力側に反射する高反射ミラーと、前記希土類添加ファイバの入力側に設けられ、前記高反射ミラーと協働して、前記希土類添加ファイバを光共振器として動作可能とする入力側ミラーと、前記励起用レーザと前記希土類添加ファイバとの間に設けられ、少なくとも前記励起用レーザからの励起光の偏波を透過可能な偏光子と、この偏光子を通過した励起光の偏波を所定角度回転させるファラデー回転子と、このファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、この偏光ビームスプリッタを通過した励起光が前記高反射ミラーで反射されて戻された励起光のうち偏波の方向が前記偏光ビームスプリッタで反射される偏波である光を再び前記偏光ビームスプリッタに向けて反射する戻り光反射ミラーとを含む入出力光学系と、を有することを特徴とするファイバレーザ装置。である。
【0014】
また本発明は、励起用レーザからの励起レーザ光の偏波を特定の方向に方向づける光学素子により特定の方向に方向づけてアップコンバージョン用の希土類添加ファイバに供給して共振させてレーザ出力を得、希土類添加ファイバから戻された励起レーザ光の一部を偏波の方向に関連づけて再び希土類添加ファイバに戻すことで励起レーザ光の利用度を高める、ことを特徴とする、レーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法である。
【0015】
さらに本発明は、R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、前記複数のファイバレーザ装置からの各出力光を空間変調する複数の空間変調素子と、前記複数の空間変調素子によりそれぞれ空間変調されたR光、G光およびB光を合成する合成手段と、前記合成手段の出力光を所定の位置に結像させる光学素子と、を具備した映像表示装置において、前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置である。
【0016】
またさらに本発明は、R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、前記複数のファイバレーザ装置の各出力光を実質的に白色光となるようにまとめる白色光生成機構と、前記白色光生成機構の出力光を、表示すべき画像情報により空間変調する空間変調素子と、前記空間変調素子により空間変調された光を所定の位置に結像させる光学素子と、を具備した映像表示装置において、前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態が適用されるファイバレーザ装置の一例を説明する。
【0018】
図1に、励起用レーザと偏光子と高反射ミラーを用いたファイバレーザ装置の一例を示す。
【0019】
アップコンバージョンファイバレーザ装置101は、励起レーザ光を出射する励起用レーザ120、励起用レーザからの励起レーザ光をアップコンバージョンファイバ(以下、単に希土類添加ファイバと呼称する)125に導く入出力光学系122、希土類添加ファイバ125の入力側と出力側に設けられる入力側ミラー124および出力側ミラー126からなる。なお、励起レーザ光121は、例えば赤外域のレーザ光である。
【0020】
入出力光学系122は、図2を用いて以下に説明するが、励起用レーザ120からの励起レーザ光121が持つ特定の偏光のみを透過する偏光子とファラデー素子と偏光ビームスプリッタを含む。
【0021】
希土類添加ファイバ125は、例えばPrあるいはYbあるいはTmもしくはHoまたはErあるいはそれらの合金が少なくとも1つの希土類が添加されたファイバであって、入力側ミラー124と出力側ミラー126との間で励起レーザ光121のエネルギーを吸収し、入力側ミラー124と出力側ミラー126のそれぞれの低反射と高反射の組み合わせにより、所望波長のレーザ光を出力する。例えば、R用のミラーは入力側が高反射で出力側が低反射であり、低反射側からR光が出力される。なお、添加される希土類の種類により、任意の波長のレーザ光を得ることができ、例えばPr/Ybを添加した場合には、635(他に、490,534,604,695)nmの波長のレーザ光がえら得る。また、Tmを添加した場合には、青(B)表示に利用される460nmないし470nmに利用可能な450nmと480nmのレーザ光が得られる。また、HoもしくはErを添加することで、緑(G)表示に利用可能な545nmのレーザ光を得ることができる。
【0022】
上述したアップコンバージョンファイバレーザ装置101においては、励起用レーザ120からの励起レーザ光121が、入出力光学系122に入射される。入出力光学系122に入射した励起レーザ光は、励起レーザ光123として共振器すなわち入力側ミラー124と出力側ミラー126に挟まれた希土類添加ファイバ125に入射される。その結果、出力側ミラー126から、共振された所望波長のレーザ光127が出力される。
【0023】
出力側ミラー126では、励起に使用されなかった一部の励起レーザ光が反射される。出力側ミラー126で反射され、ファイバ125により吸収されなかった励起レーザ光の一部は、まちまちの偏波を持った状態で、戻り光128として入出力光学系122へ戻される。
【0024】
入出力光学系122へ戻された戻り光128の一部は、図2を用いて以下に説明するように、入出力光学系122内の偏光ビームスプリッタで反射されて再び希土類添加ファイバ125へと入射され、残りの戻り光は、入出力光学系122により予め設定されている所定の方向に出力される。
【0025】
図2(a)および図(b)は、図1に示した入出力光学系を説明する概略図である。なお、図1に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0026】
図2(a)に示される通り、入出力光学系122は、励起レーザ光121の偏波のみを透過可能に配置された偏光子130と、内部の磁界により垂直方向に偏波を持った光の偏波の方向を45°回転させる、例えばファラデー回転子である光アイソレータ131と、戻り光128のうちの励起レーザ光121と同じ偏波を持った戻り光を分離する偏光ビームスプリッタ132からなる。なお、この例では、偏光子130は、透過可能なレーザ光の偏波がS偏波となるように、配置されているものとする。
【0027】
偏光ビームスプリッタ132は、光アイソレータ131により45°偏波が回転されたS偏光の励起レーザ光123が効率よく透過可能に、偏光ビームスプリット面の偏光の方向が設定されている。なお、容易に入手可能な汎用の偏光ビームスプリッタが、光軸の周りを所定の角度だけ回転されてもよい。
【0028】
偏光ビームスプリッタ132により分離された戻り光128が向けられる方向には、分離された戻り光を偏光ビームスプリッタ132に向けて反射する全反射ミラー133が設けられている。
【0029】
上述した入出力光学系122においては、例えば垂直方向(S偏波とする)に偏波を持つ励起レーザ光121は、偏光子130を透過し、光アイソレータ131により、偏波の方向が45°回転されて、励起レーザ光123となる。
【0030】
励起レーザ光123は、ミラー124を通過して、希土類添加ファイバ125に入力される。
【0031】
希土類添加ファイバ125に入力された偏光子130の偏光の方向に対して、45°回転されているS偏波の励起レーザ光123は、入力側ミラー124と出力側ミラー126との間で共振され、所望のレーザ光127となる。
【0032】
出力側ミラー126で反射され、入力側ミラー124を通過したまちまちの方向の偏波を含む戻り光128のうち、偏波の方向が偏光ビームスプリッタ132の偏光の方向と直交する光は、図2(b)に示すように、偏光ビームスプリッタ132で反射され、ミラー133で反射されて、偏光ビームスプリッタ132に戻される。この偏光ビームスプリッタ132に戻された戻り光は、偏光ビームスプリッタ132で再び反射され、再利用励起光134として励起レーザ光123と同様に、再びファイバ125に入力される。
【0033】
出力側ミラー126で反射され、入力側ミラー124を通過したまちまちの方向の偏波を含む戻り光128のうち、偏波の方向が偏光ビームスプリッタ132の偏光の方向と平行な光は、光アイソレータ131に入射される。光アイソレータに戻された戻り光128の一部は、内部磁界により偏波の方向がさらに45°回転されて、水平方向(P偏波とする)に偏波を持つ光となって、偏光子130に案内される。
【0034】
偏光子130に戻されたP偏波の戻り光128は、偏光子130は、S偏波のみ通過できるので、偏光子130で反射され、不要光として、所定の方向に出力される。なお、不要光は、図示しない吸収体により吸収されてもよい。
【0035】
光アイソレータ131により偏波の方向が回転された結果、励起レーザ光121と同じS偏波となった一部の光は、偏光子130を透過して励起用レーザ120に戻される。しかしながら、戻された光の量(エネルギー)は、僅かであり、励起用レーザ120の出力が変動されることは、実質的に無視できる。
【0036】
このように、上述した発明の実施の形態によれば、希土類添加(アップコンバージョン)ファイバにおいて吸収されずに戻された励起レーザ光のほとんどは、再利用可能となり、励起レーザ光の利用効率が向上される。すなわち、戻り光を無駄に捨てることなく再利用できるので、励起光としての利用効率を高めることができる。
【0037】
図3は、図2を用いて説明した入出力光学系の別の実施形態を説明する概略図である。なお、図1および図2に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
図3に示す入出力光学系122は、直線偏波(ここではS偏波とする)を持つ励起レーザ光121のみを透過可能な偏光ビームスプリッタ142と高反射ミラー143を含むビームスプリッタユニット141を有する。
【0039】
入出力光学系122により平行光にされた励起用レーザからの励起レーザ光121は、ビームスプリッタユニット141の偏光ビームスプリッタ142を透過し、励起レーザ光123として、ファイバ125(図1および図2参照)へ入射される。
【0040】
ファイバ125内からは、S偏波と、S偏波と逆の偏波(この場合P偏波)の両方を持った戻り光128が偏光ビームスプリッタ142に戻される。この時、S偏波は偏光ビームスプリッタ142を透過し、P偏波は偏光ビームスプリッタ142により反射され、高反射ミラー143へと出力される。この時点で、励起用レーザ120(図1参照)へ戻る戻り光が軽減される。
【0041】
一方、高反射ミラー143にて反射された戻り光128のうちP偏波の光は、再び偏光ビームスプリッタ142で反射され、最終的にファイバ125へ再入射する。
【0042】
図4は、図2を用いて説明した入出力光学系のさらに別の実施形態を説明する概略図である。なお、図1および図2に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図4に示す入出力光学系122は、直線偏波(ここではS偏波とする)を持つ励起レーザ光121のみを透過可能な偏光ビームスプリッタ142と高反射ミラー143を含むビームスプリッタユニット151と、ビームスプリッタユニット151の出力側に一体的に設けられたファイバ125の入力側ミラー152と、を有する。すなわち、図4に示す入出力光学系122は、希土類添加ファイバ125へ励起レーザ光123を入力するための入力側ミラー152(図1および図2におけるミラー124に相当)と図3を用いて前に説明したビームスプリッタユニット141とが一体に形成された構造である。
【0044】
入出力光学系122により平行光にされた励起用レーザからの励起レーザ光121は、ビームスプリッタユニット151の偏光ビームスプリッタ142を透過し、励起レーザ光123として、ファイバ125へ入射される。
【0045】
ファイバ125内からは、S偏波と、S偏波と逆の偏波(この場合P偏波)の両方を持った戻り光128が偏光ビームスプリッタ142に戻される。この時、S偏波は偏光ビームスプリッタ142を透過し、P偏波は偏光ビームスプリッタ142により反射され、高反射ミラー143へと出力される。この時点で、励起用レーザ120(図1参照)へ戻る戻り光が軽減される。
【0046】
一方、高反射ミラー143にて反射された戻り光128のうちP偏波の光は、再び偏光ビームスプリッタ142で反射され、再び希土類添加ファイバ125へ案内される。
【0047】
これにより、励起レーザ光121は、励起用レーザ120に戻る一部の戻り光の量が励起用レーザ120の動作に大きな影響を与えない程度まで低減されるとともに、一部の戻り光を無駄に捨てることなく再利用できるので、励起レーザ光としての利用効率を高めることができる。
【0048】
以上説明したように、図2ないし図4を用いて説明した示した入出力光学系を用いることで、例えばディスプレイ用光源のファイバレーザにおいて、レーザ光を励起レーザ光として使用する場合、励起レーザ光の一部がファイバレーザから戻る戻り光を再利用し、励起レーザ光の利用効率を高めることができる。その際、励起用レーザに戻るレーザ光の量(光量)を、励起用レーザの動作が変動しないレベルまで抑制可能である。
【0049】
図5は、図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の一例を説明する概略図である。
【0050】
図5に示されるように、映像表示装置201は、加法混色法によりカラー映像を表示させるための第1ないし第3の光源211R,211Gおよび211Bを有する。なお、それぞれの光源のうち少なくとも1つ、例えば赤用の光源である211Rには、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置(図1に101で示されている)において、希土類添加ファイバ125として、Pr/Ybが添加されたアップコンバージョンファイバレーザが用いられる。また、例えば緑用の光源である211Gにおいても、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置において、希土類添加ファイバ125としてPr/YbまたはHoまたはErが添加されたアップコンバージョンファイバレーザを用いることもできる。例えば青用の光源である211Bには、図1ないし図3を用いて前に説明したファイバレーザ装置(図1に101で示されている)において、希土類添加ファイバ125として、Tmが添加されたアップコンバージョンファイバレーザが用いられる。
【0051】
それぞれのファイバレーザ装置211R,211Gおよび211Bからは、R,GおよびBの所定の強度の光が出射される。
【0052】
各レーザ装置211R,211Gおよび211Bから出射された光は、R,GおよびBの画像を表示する液晶パネル212R,212Gおよび212Bに入射され、空間変調される。
【0053】
空間変調されたR,GおよびB光は、ダイクロイックプリズムなどの合成手段213によって合成され、投射レンズ202に入力される。
【0054】
投射レンズ202から出射された光は、スクリーン205にカラー映像として表示される。
【0055】
図6は、図5に示した映像表示装置の別の例を説明する概略図である。なお、図5に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図6に示されるように、映像表示装置301は、加法混色法によりカラー映像を表示させるための第1ないし第3の光源211R,211Gおよび211B、各光源からの光により投射されるべき映像が表示されるカラー表示が可能な液晶パネル302を有する。なお、それぞれ光源のうち少なくとも1つ、例えば赤用の光源である211Gには、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置(101)が用いられる。
【0057】
それぞれのファイバレーザ装置211R,211Gおよび211Bから出力された3光は、巨視的には、すなわち図示しない白色光生成機構により合成した状態で、または3つのレーザ装置からの光を案内する導光体を近接して配置した状態で所定の距離だけ離れた位置から見た状態では、実質的に白色光と見なすことができるから、例えばカラーフィルタ付の液晶パネル302に表示された映像をスクリーン203に投影するために利用可能である。
【0058】
このように、図5または図6に示した映像表示装置では、ディスプレイ用途のファイバレーザ装置として、未吸収のまま出力された励起レーザ光を再利用することのできる偏光子と高反射ミラーからなる入出力光学系を用いることで、励起レーザ光の利用効率を高める事ができ、そのうえ励起用レーザに戻る戻りレーザ光を無くすこともできる。
【0059】
上述したこの発明のファイバレーザ装置を用いた各映像表示装置によれば、民生用ディスプレイ用途のファイバレーザ装置として、励起光の戻り光を再利用することの出来る入出力光学系を用いる。これにより、励起光の利用効率を高める事が出来、そのうえ励起用レーザに戻るレーザ光を遮断もしくは軽減することもできる。
【0060】
なお、この発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合、組み合わせによる効果が得られる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本提案によれば、ディスプレイ用途の光源として、アップコンバージョンファイバレーザ装置を用いる場合に、励起レーザ光の利用効率を向上できる。
【0062】
また、アップコンバージョンファイバからの戻り光、すなわち励起レーザ光のうちの励起に利用されなかったレーザ光が半導体レーザに戻されることがないので、励起レーザ光出力が安定化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態が適用可能なファイバレーザ装置の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示したファイバレーザ装置に組み込み可能な入出力光学系の第1の例を説明する概略図。
【図3】図2に示した入出力光学系の別の一例を説明する概略図。
【図4】図2に示した入出力光学系のさらに別の一例を説明する概略図。
【図5】図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の例を説明する概略図。
【図6】図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の別の例を説明する概略図。
【符号の説明】
101…アップコンバージョンファイバレーザ装置(ファイバレーザ装置)、120…励起用レーザ、121…励起レーザ光、122…入出力光学系、123…励起レーザ光(S偏波)、124…入力側ミラー、125…アップコンバージョンファイバ(ファイバ)、126…出力側ミラー、127…レーザ光(出力レーザ光)、128…残りの励起レーザ光、132,142,152…偏光ビームスプリッタ、141,151…ビームスプリッタユニット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類が添加されている光ファイバを励起レーザ光により励起して所望のレーザ光を得るアップコンバージョンファイバレーザ装置並びにファイバレーザ装置を光源に用いる映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体レーザを励起用レーザに用いたアップコンバージョンファイバレーザ装置においては、希土類を添加したアップコンバージョンファイバ内にて励起レーザ光が吸収されるが、励起レーザ光の一部は吸収されないままファイバから出力されることが知られている。
【0003】
アップコンバージョンファイバで吸収されずに出力された光すなわち戻り光が半導体レーザに入力されると半導体レーザの出力が変動等の悪影響が生じる。
【0004】
このことから、光通信ファイバレーザ等で実用化されている光アイソレータを用いてアップコンバージョンファイバに入力される光の偏波を45°回転させ、ファイバから戻された戻り光の偏波をさらに45°回転させることで、半導体レーザに入力される戻り光の量を抑圧する方法が考えられる。
【0005】
なお、光アイソレータを用いる例として、第1のポートから第2のポートへ向かう光の波長と(同一の伝送路を)第2のポートから第1のポートへ向かう光の波長を、波長選択性を持たせた光アイソレータを用いて弁別する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、パルスレーザビームを得るファイバ・レーザにおいて、光アイソレータすなわちファラデー素子を用いることにより、偏光状態(偏波)の調整を不要とした例が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ファイバレーザ(ドープされたレーザ)とファラデー素子を用いる例として、例えばファイバレーザへの入力およびファイバレーザからの出力に、ファラデー回転ミラーを用いた光増幅器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−66137号公報(図8、図9、段落[0047]〜[0054]、請求項1、要約)
【0009】
【特許文献2】
特開平7−202298号公報(要約、図1、段落[0024])
【0010】
【特許文献3】
特開平7−312455号公報(要約、図1、段落[0010])
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、励起レーザ光の戻り光を、光アイソレータにより抑制することは、励起レーザ光のエネルギーの一部を消失させ、レーザ利用効率を低下させる問題がある。
【0012】
この発明の目的は、アップコンバージョンファイバレーザ装置において、励起用レーザ光の利用効率を高めることのできるファイバレーザ装置並びにファイバレーザ装置を光源に用いる映像表示装置及びアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、励起光を出力する励起用レーザと、前記励起用レーザから励起光が入力されることで、予め添加されている希土類の種類に応じた波長のレーザ出力を出力可能な希土類添加ファイバと、前記希土類添加ファイバの出力側に設けられ、上記励起光を前記希土類添加ファイバの入力側に反射する高反射ミラーと、前記希土類添加ファイバの入力側に設けられ、前記高反射ミラーと協働して、前記希土類添加ファイバを光共振器として動作可能とする入力側ミラーと、前記励起用レーザと前記希土類添加ファイバとの間に設けられ、少なくとも前記励起用レーザからの励起光の偏波を透過可能な偏光子と、この偏光子を通過した励起光の偏波を所定角度回転させるファラデー回転子と、このファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、この偏光ビームスプリッタを通過した励起光が前記高反射ミラーで反射されて戻された励起光のうち偏波の方向が前記偏光ビームスプリッタで反射される偏波である光を再び前記偏光ビームスプリッタに向けて反射する戻り光反射ミラーとを含む入出力光学系と、を有することを特徴とするファイバレーザ装置。である。
【0014】
また本発明は、励起用レーザからの励起レーザ光の偏波を特定の方向に方向づける光学素子により特定の方向に方向づけてアップコンバージョン用の希土類添加ファイバに供給して共振させてレーザ出力を得、希土類添加ファイバから戻された励起レーザ光の一部を偏波の方向に関連づけて再び希土類添加ファイバに戻すことで励起レーザ光の利用度を高める、ことを特徴とする、レーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法である。
【0015】
さらに本発明は、R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、前記複数のファイバレーザ装置からの各出力光を空間変調する複数の空間変調素子と、前記複数の空間変調素子によりそれぞれ空間変調されたR光、G光およびB光を合成する合成手段と、前記合成手段の出力光を所定の位置に結像させる光学素子と、を具備した映像表示装置において、前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置である。
【0016】
またさらに本発明は、R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、前記複数のファイバレーザ装置の各出力光を実質的に白色光となるようにまとめる白色光生成機構と、前記白色光生成機構の出力光を、表示すべき画像情報により空間変調する空間変調素子と、前記空間変調素子により空間変調された光を所定の位置に結像させる光学素子と、を具備した映像表示装置において、前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態が適用されるファイバレーザ装置の一例を説明する。
【0018】
図1に、励起用レーザと偏光子と高反射ミラーを用いたファイバレーザ装置の一例を示す。
【0019】
アップコンバージョンファイバレーザ装置101は、励起レーザ光を出射する励起用レーザ120、励起用レーザからの励起レーザ光をアップコンバージョンファイバ(以下、単に希土類添加ファイバと呼称する)125に導く入出力光学系122、希土類添加ファイバ125の入力側と出力側に設けられる入力側ミラー124および出力側ミラー126からなる。なお、励起レーザ光121は、例えば赤外域のレーザ光である。
【0020】
入出力光学系122は、図2を用いて以下に説明するが、励起用レーザ120からの励起レーザ光121が持つ特定の偏光のみを透過する偏光子とファラデー素子と偏光ビームスプリッタを含む。
【0021】
希土類添加ファイバ125は、例えばPrあるいはYbあるいはTmもしくはHoまたはErあるいはそれらの合金が少なくとも1つの希土類が添加されたファイバであって、入力側ミラー124と出力側ミラー126との間で励起レーザ光121のエネルギーを吸収し、入力側ミラー124と出力側ミラー126のそれぞれの低反射と高反射の組み合わせにより、所望波長のレーザ光を出力する。例えば、R用のミラーは入力側が高反射で出力側が低反射であり、低反射側からR光が出力される。なお、添加される希土類の種類により、任意の波長のレーザ光を得ることができ、例えばPr/Ybを添加した場合には、635(他に、490,534,604,695)nmの波長のレーザ光がえら得る。また、Tmを添加した場合には、青(B)表示に利用される460nmないし470nmに利用可能な450nmと480nmのレーザ光が得られる。また、HoもしくはErを添加することで、緑(G)表示に利用可能な545nmのレーザ光を得ることができる。
【0022】
上述したアップコンバージョンファイバレーザ装置101においては、励起用レーザ120からの励起レーザ光121が、入出力光学系122に入射される。入出力光学系122に入射した励起レーザ光は、励起レーザ光123として共振器すなわち入力側ミラー124と出力側ミラー126に挟まれた希土類添加ファイバ125に入射される。その結果、出力側ミラー126から、共振された所望波長のレーザ光127が出力される。
【0023】
出力側ミラー126では、励起に使用されなかった一部の励起レーザ光が反射される。出力側ミラー126で反射され、ファイバ125により吸収されなかった励起レーザ光の一部は、まちまちの偏波を持った状態で、戻り光128として入出力光学系122へ戻される。
【0024】
入出力光学系122へ戻された戻り光128の一部は、図2を用いて以下に説明するように、入出力光学系122内の偏光ビームスプリッタで反射されて再び希土類添加ファイバ125へと入射され、残りの戻り光は、入出力光学系122により予め設定されている所定の方向に出力される。
【0025】
図2(a)および図(b)は、図1に示した入出力光学系を説明する概略図である。なお、図1に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0026】
図2(a)に示される通り、入出力光学系122は、励起レーザ光121の偏波のみを透過可能に配置された偏光子130と、内部の磁界により垂直方向に偏波を持った光の偏波の方向を45°回転させる、例えばファラデー回転子である光アイソレータ131と、戻り光128のうちの励起レーザ光121と同じ偏波を持った戻り光を分離する偏光ビームスプリッタ132からなる。なお、この例では、偏光子130は、透過可能なレーザ光の偏波がS偏波となるように、配置されているものとする。
【0027】
偏光ビームスプリッタ132は、光アイソレータ131により45°偏波が回転されたS偏光の励起レーザ光123が効率よく透過可能に、偏光ビームスプリット面の偏光の方向が設定されている。なお、容易に入手可能な汎用の偏光ビームスプリッタが、光軸の周りを所定の角度だけ回転されてもよい。
【0028】
偏光ビームスプリッタ132により分離された戻り光128が向けられる方向には、分離された戻り光を偏光ビームスプリッタ132に向けて反射する全反射ミラー133が設けられている。
【0029】
上述した入出力光学系122においては、例えば垂直方向(S偏波とする)に偏波を持つ励起レーザ光121は、偏光子130を透過し、光アイソレータ131により、偏波の方向が45°回転されて、励起レーザ光123となる。
【0030】
励起レーザ光123は、ミラー124を通過して、希土類添加ファイバ125に入力される。
【0031】
希土類添加ファイバ125に入力された偏光子130の偏光の方向に対して、45°回転されているS偏波の励起レーザ光123は、入力側ミラー124と出力側ミラー126との間で共振され、所望のレーザ光127となる。
【0032】
出力側ミラー126で反射され、入力側ミラー124を通過したまちまちの方向の偏波を含む戻り光128のうち、偏波の方向が偏光ビームスプリッタ132の偏光の方向と直交する光は、図2(b)に示すように、偏光ビームスプリッタ132で反射され、ミラー133で反射されて、偏光ビームスプリッタ132に戻される。この偏光ビームスプリッタ132に戻された戻り光は、偏光ビームスプリッタ132で再び反射され、再利用励起光134として励起レーザ光123と同様に、再びファイバ125に入力される。
【0033】
出力側ミラー126で反射され、入力側ミラー124を通過したまちまちの方向の偏波を含む戻り光128のうち、偏波の方向が偏光ビームスプリッタ132の偏光の方向と平行な光は、光アイソレータ131に入射される。光アイソレータに戻された戻り光128の一部は、内部磁界により偏波の方向がさらに45°回転されて、水平方向(P偏波とする)に偏波を持つ光となって、偏光子130に案内される。
【0034】
偏光子130に戻されたP偏波の戻り光128は、偏光子130は、S偏波のみ通過できるので、偏光子130で反射され、不要光として、所定の方向に出力される。なお、不要光は、図示しない吸収体により吸収されてもよい。
【0035】
光アイソレータ131により偏波の方向が回転された結果、励起レーザ光121と同じS偏波となった一部の光は、偏光子130を透過して励起用レーザ120に戻される。しかしながら、戻された光の量(エネルギー)は、僅かであり、励起用レーザ120の出力が変動されることは、実質的に無視できる。
【0036】
このように、上述した発明の実施の形態によれば、希土類添加(アップコンバージョン)ファイバにおいて吸収されずに戻された励起レーザ光のほとんどは、再利用可能となり、励起レーザ光の利用効率が向上される。すなわち、戻り光を無駄に捨てることなく再利用できるので、励起光としての利用効率を高めることができる。
【0037】
図3は、図2を用いて説明した入出力光学系の別の実施形態を説明する概略図である。なお、図1および図2に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
図3に示す入出力光学系122は、直線偏波(ここではS偏波とする)を持つ励起レーザ光121のみを透過可能な偏光ビームスプリッタ142と高反射ミラー143を含むビームスプリッタユニット141を有する。
【0039】
入出力光学系122により平行光にされた励起用レーザからの励起レーザ光121は、ビームスプリッタユニット141の偏光ビームスプリッタ142を透過し、励起レーザ光123として、ファイバ125(図1および図2参照)へ入射される。
【0040】
ファイバ125内からは、S偏波と、S偏波と逆の偏波(この場合P偏波)の両方を持った戻り光128が偏光ビームスプリッタ142に戻される。この時、S偏波は偏光ビームスプリッタ142を透過し、P偏波は偏光ビームスプリッタ142により反射され、高反射ミラー143へと出力される。この時点で、励起用レーザ120(図1参照)へ戻る戻り光が軽減される。
【0041】
一方、高反射ミラー143にて反射された戻り光128のうちP偏波の光は、再び偏光ビームスプリッタ142で反射され、最終的にファイバ125へ再入射する。
【0042】
図4は、図2を用いて説明した入出力光学系のさらに別の実施形態を説明する概略図である。なお、図1および図2に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図4に示す入出力光学系122は、直線偏波(ここではS偏波とする)を持つ励起レーザ光121のみを透過可能な偏光ビームスプリッタ142と高反射ミラー143を含むビームスプリッタユニット151と、ビームスプリッタユニット151の出力側に一体的に設けられたファイバ125の入力側ミラー152と、を有する。すなわち、図4に示す入出力光学系122は、希土類添加ファイバ125へ励起レーザ光123を入力するための入力側ミラー152(図1および図2におけるミラー124に相当)と図3を用いて前に説明したビームスプリッタユニット141とが一体に形成された構造である。
【0044】
入出力光学系122により平行光にされた励起用レーザからの励起レーザ光121は、ビームスプリッタユニット151の偏光ビームスプリッタ142を透過し、励起レーザ光123として、ファイバ125へ入射される。
【0045】
ファイバ125内からは、S偏波と、S偏波と逆の偏波(この場合P偏波)の両方を持った戻り光128が偏光ビームスプリッタ142に戻される。この時、S偏波は偏光ビームスプリッタ142を透過し、P偏波は偏光ビームスプリッタ142により反射され、高反射ミラー143へと出力される。この時点で、励起用レーザ120(図1参照)へ戻る戻り光が軽減される。
【0046】
一方、高反射ミラー143にて反射された戻り光128のうちP偏波の光は、再び偏光ビームスプリッタ142で反射され、再び希土類添加ファイバ125へ案内される。
【0047】
これにより、励起レーザ光121は、励起用レーザ120に戻る一部の戻り光の量が励起用レーザ120の動作に大きな影響を与えない程度まで低減されるとともに、一部の戻り光を無駄に捨てることなく再利用できるので、励起レーザ光としての利用効率を高めることができる。
【0048】
以上説明したように、図2ないし図4を用いて説明した示した入出力光学系を用いることで、例えばディスプレイ用光源のファイバレーザにおいて、レーザ光を励起レーザ光として使用する場合、励起レーザ光の一部がファイバレーザから戻る戻り光を再利用し、励起レーザ光の利用効率を高めることができる。その際、励起用レーザに戻るレーザ光の量(光量)を、励起用レーザの動作が変動しないレベルまで抑制可能である。
【0049】
図5は、図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の一例を説明する概略図である。
【0050】
図5に示されるように、映像表示装置201は、加法混色法によりカラー映像を表示させるための第1ないし第3の光源211R,211Gおよび211Bを有する。なお、それぞれの光源のうち少なくとも1つ、例えば赤用の光源である211Rには、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置(図1に101で示されている)において、希土類添加ファイバ125として、Pr/Ybが添加されたアップコンバージョンファイバレーザが用いられる。また、例えば緑用の光源である211Gにおいても、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置において、希土類添加ファイバ125としてPr/YbまたはHoまたはErが添加されたアップコンバージョンファイバレーザを用いることもできる。例えば青用の光源である211Bには、図1ないし図3を用いて前に説明したファイバレーザ装置(図1に101で示されている)において、希土類添加ファイバ125として、Tmが添加されたアップコンバージョンファイバレーザが用いられる。
【0051】
それぞれのファイバレーザ装置211R,211Gおよび211Bからは、R,GおよびBの所定の強度の光が出射される。
【0052】
各レーザ装置211R,211Gおよび211Bから出射された光は、R,GおよびBの画像を表示する液晶パネル212R,212Gおよび212Bに入射され、空間変調される。
【0053】
空間変調されたR,GおよびB光は、ダイクロイックプリズムなどの合成手段213によって合成され、投射レンズ202に入力される。
【0054】
投射レンズ202から出射された光は、スクリーン205にカラー映像として表示される。
【0055】
図6は、図5に示した映像表示装置の別の例を説明する概略図である。なお、図5に示した構成と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図6に示されるように、映像表示装置301は、加法混色法によりカラー映像を表示させるための第1ないし第3の光源211R,211Gおよび211B、各光源からの光により投射されるべき映像が表示されるカラー表示が可能な液晶パネル302を有する。なお、それぞれ光源のうち少なくとも1つ、例えば赤用の光源である211Gには、図1ないし図4を用いて前に説明したファイバレーザ装置(101)が用いられる。
【0057】
それぞれのファイバレーザ装置211R,211Gおよび211Bから出力された3光は、巨視的には、すなわち図示しない白色光生成機構により合成した状態で、または3つのレーザ装置からの光を案内する導光体を近接して配置した状態で所定の距離だけ離れた位置から見た状態では、実質的に白色光と見なすことができるから、例えばカラーフィルタ付の液晶パネル302に表示された映像をスクリーン203に投影するために利用可能である。
【0058】
このように、図5または図6に示した映像表示装置では、ディスプレイ用途のファイバレーザ装置として、未吸収のまま出力された励起レーザ光を再利用することのできる偏光子と高反射ミラーからなる入出力光学系を用いることで、励起レーザ光の利用効率を高める事ができ、そのうえ励起用レーザに戻る戻りレーザ光を無くすこともできる。
【0059】
上述したこの発明のファイバレーザ装置を用いた各映像表示装置によれば、民生用ディスプレイ用途のファイバレーザ装置として、励起光の戻り光を再利用することの出来る入出力光学系を用いる。これにより、励起光の利用効率を高める事が出来、そのうえ励起用レーザに戻るレーザ光を遮断もしくは軽減することもできる。
【0060】
なお、この発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合、組み合わせによる効果が得られる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本提案によれば、ディスプレイ用途の光源として、アップコンバージョンファイバレーザ装置を用いる場合に、励起レーザ光の利用効率を向上できる。
【0062】
また、アップコンバージョンファイバからの戻り光、すなわち励起レーザ光のうちの励起に利用されなかったレーザ光が半導体レーザに戻されることがないので、励起レーザ光出力が安定化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態が適用可能なファイバレーザ装置の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示したファイバレーザ装置に組み込み可能な入出力光学系の第1の例を説明する概略図。
【図3】図2に示した入出力光学系の別の一例を説明する概略図。
【図4】図2に示した入出力光学系のさらに別の一例を説明する概略図。
【図5】図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の例を説明する概略図。
【図6】図1ないし図4に示したファイバレーザ装置を用いた映像表示装置の別の例を説明する概略図。
【符号の説明】
101…アップコンバージョンファイバレーザ装置(ファイバレーザ装置)、120…励起用レーザ、121…励起レーザ光、122…入出力光学系、123…励起レーザ光(S偏波)、124…入力側ミラー、125…アップコンバージョンファイバ(ファイバ)、126…出力側ミラー、127…レーザ光(出力レーザ光)、128…残りの励起レーザ光、132,142,152…偏光ビームスプリッタ、141,151…ビームスプリッタユニット。
Claims (10)
- 励起光を出力する励起用レーザと、
前記励起用レーザから励起光が入力されることで、予め添加されている希土類の種類に応じた波長のレーザ出力を出力可能な希土類添加ファイバと、
前記希土類添加ファイバの出力側に設けられ、上記励起光を前記希土類添加ファイバの入力側に反射する高反射ミラーと、
前記希土類添加ファイバの入力側に設けられ、前記高反射ミラーと協働して、前記希土類添加ファイバを光共振器として動作可能とする入力側ミラーと、
前記励起用レーザと前記希土類添加ファイバとの間に設けられ、少なくとも前記励起用レーザからの励起光の偏波を透過可能な偏光子と、この偏光子を通過した励起光の偏波を所定角度回転させるファラデー回転子と、このファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、この偏光ビームスプリッタを通過した励起光が前記高反射ミラーで反射されて戻された励起光のうち偏波の方向が前記偏光ビームスプリッタで反射される偏波である光を再び前記偏光ビームスプリッタに向けて反射する戻り光反射ミラーとを含む入出力光学系と、
を有することを特徴とするファイバレーザ装置。 - 前記入力側ミラーは、前記入出力光学系と一体に形成されることを特徴とする請求項1記載のファイバレーザ装置。
- 前記希土類添加ファイバには、PrあるいはYbあるいはTmもしくはHoまたはErあるいはそれらの合金が少なくとも1つ添加されていることを特徴とする請求項1または2記載のファイバレーザ装置。
- 励起用レーザからの励起レーザ光の偏波を特定の方向に方向づける光学素子により特定の方向に方向づけてアップコンバージョン用の希土類添加ファイバに供給して共振させてレーザ出力を得、
希土類添加ファイバから戻された励起レーザ光の一部を偏波の方向に関連づけて再び希土類添加ファイバに戻すことで励起レーザ光の利用度を高める、
ことを特徴とする、
レーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法。 - 前記光学素子は、偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項4記載のレーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法。
- 前記光学素子は、ファラデー回転子であることを特徴とする請求項4記載のレーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法。
- 前記希土類添加ファイバには、PrあるいはYbあるいはTmもしくはHoまたはErあるいはそれらの合金が少なくとも1つ添加されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のレーザ光を用いて希土類添加ファイバを励起するアップコンバージョンファイバレーザ装置における励起方法。
- R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、
前記複数のファイバレーザ装置からの各出力光を空間変調する複数の空間変調素子と、
前記複数の空間変調素子によりそれぞれ空間変調されたR光、G光およびB光を合成する合成手段と、
前記合成手段の出力光を所定の位置に結像させる光学素子と、
を具備した映像表示装置において、
前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置。 - R光、G光およびB光を出力する複数のファイバレーザ装置と、
前記複数のファイバレーザ装置の各出力光を実質的に白色光となるようにまとめる白色光生成機構と、
前記白色光生成機構の出力光を、表示すべき画像情報により空間変調する空間変調素子と、
前記空間変調素子により空間変調された光を所定の位置に結像させる光学素子と、
を具備した映像表示装置において、
前記複数のファイバレーザ装置の少なくとも1つは、ファイバの出力側ミラーが励起光を高反射する特性を持ち、励起用レーザと前記ファイバとの間に、偏光子と、ファラデー回転子と、ファラデー回転子により偏波の方向が所定の角度回転された励起光が透過可能に配置された偏光ビームスプリッタと、高反射ミラーと、で構成される入出力光学系を具備し、前記ファイバの出力側ミラーによって戻る励起レーザ光のうち前記ファイバへの入射時の偏波と直交する偏波の光を、再び前記ファイバ内に戻すことを特徴とするファイバレーザ装置であることを特徴とする映像表示装置。 - 前記ファイバレーザ装置の前記ファイバには、PrあるいはYbあるいはTmもしくはHoまたはErあるいはそれらの合金が少なくとも1つが添加されていることを特徴とする請求項8または9に記載の映像表示装置。
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