JP2004213964A - 積層突板シート - Google Patents

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JP2004213964A JP2002380418A JP2002380418A JP2004213964A JP 2004213964 A JP2004213964 A JP 2004213964A JP 2002380418 A JP2002380418 A JP 2002380418A JP 2002380418 A JP2002380418 A JP 2002380418A JP 2004213964 A JP2004213964 A JP 2004213964A
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Abstract

【課題】照明具を用途として、木質感、素材感を有するとともに、熱や光に耐性があり、しかも様々なデザインに対応するために折り曲げ加工等の複雑な加工が可能な、かつ手入れのし易い突板シートの提供。
【解決手段】突板の上下両側に透明樹脂を積層した、積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(約290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、照明具の用途に使用される透明樹脂と突板を積層した、積層突板シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
木材を薄くスライスした突板は、光を透過し、その際の原料の樹種がもつ独特の色合い、透け具合と木目の浮き上がりが美しい。このため近年、形状や、光の取り入れ方、光の組合わせ等を工夫し、デザインされた照明のシェードや建具等の各種室内外建材、家具等に利用することが試みられている。
だが従来は、これらの薄い突板が、照明のシェード等に用いられる場合には、突板をそのまま使用するか、突板に紙等を裏貼りしたものが多い。
【0003】
ところで、照明のシェード等に使用する場合に、突板は発光源より発生する熱に曝され、また設置場所の温度や湿度環境の影響により、膨潤、収縮を繰り返すことになる。その結果、突板をそのまま使用したものまたは単に紙等で裏貼りしたものの場合には、突板に寸法変化(あばれ、目割れ)が生じて、劣化する。また、この場合、発光源や、周囲の光に含まれる紫外線によって退色/変色(やけ)が生じやすい上、汚れがついた場合の清掃・手入れがしにくい。
また、加工の際にも次のような問題がある。
突板は一般的には厚みが0.2mmから0.5mm程度のため、原料の樹種によっては、素材にコシやハリがなく、わずかな衝撃であっても割れたり裂けたりし、特に木目の粗い樹種は割れてバラバラになりやすく、また木地に粘りの無い樹種も細かく割れてボロボロになりやすい。また、折り曲げ等の加工の際、割れ易く、割れなくとも折り曲げ部分の表面がささくれ立つなど見た目が悪くなる。さらに折り曲げ形状を維持したままにすることも困難である。
従って、突板を材料とする場合、照明等の用途には、上記寸法変化の少ない柾目柄や、木理が単純で変形しにくい樹種の突板に限定され、折る、曲げる、ねじる等の加工形状が複雑なデザインに対応できず、使用可能なサイズや柄、デザイン形状上にかなり制約があった。また、突板の劣化までの時間が短く、輝き、機能、素材の質感、形状等のデザインにより得られる美観が喪失しやすいものであった。
【0004】
突板の木目や質感を損なわずに耐久性を与えるため、従来より、建具等の各種室内外建材、家具等の材料として板ガラスと貼り合わせた化粧板が知られている。
これらは、突板を特殊な接着剤でガラスに貼り合わせたものや、このような突板の両面を2枚のガラス板を接着剤を介して挟み込んだものである。しかし、ガラスと積層した化粧板は、上述のような照明シェードに使用する場合、曲面や複雑な形状に対応するのは容易ではなく、製造コスト等もかかる。
一方、突板と積層する基材として、プラスチックなどの合成樹脂も知られている。
特許文献1は透明樹脂を基盤とし、この基盤の片面または両面に透光性を有する木材薄片を貼付した4枚の板状体を光源の取付部を有する本体に着脱可能に取り付けることによる照明用シェードを開示する。しかし、この文献は木材薄片を透明樹脂で裏打ちすることによってそれを強化することを開示するのみであり、熱や光による木材表面の劣化防止や、曲げ等のデザインへの対応ならびに手入れに対する対応は何も記載されていない。
さらに特許文献2では突板に、23℃で引張破断伸度が80%以上のアクリルフィルムであって紫外線吸収剤を含むものを接着剤で積層した積層突板を開示する。この文献は突板にアクリルフィルムを積層することにより突板の加工性、耐候性を改善することを試みているが、これを照明シェードとして使用することや、熱による突板や樹脂表面の劣化防止についての記載はない。
また、特許文献1および2においては、突板がそのまま積層シートの表面を構成するので、周囲の温度や水分の影響により劣化が促進されやすい。
一方、特許文献3には木材シートの両面にプラスチックシートを熱接着してなる表面シート材を開示する。この文献は木材シートの加工性を改善し、また熱接着温度を調整して熱変色を与えることによって木材シートの色調を調整することを示すが、熱や光による突板や樹脂表面の劣化防止についての記載や照明シェードとして使用の記載はない。
【0005】
【特許文献1】
実開昭58−5206号公報
【特許文献2】
特開2001−58371号公報
【特許文献3】
特開平7−246680号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、照明具を用途として、木質感、素材感を有するとともに、熱や光に耐性があり、しかも様々なデザインに対応するために折り曲げ加工等の複雑な加工が可能な突板シートは未だ提案されていない。
したがって、本発明は上述のような問題をすべて解決し、木質のもつ素材の質感を有するとともに、熱や光に耐性があり、しかも複雑な加工が可能で、手入れもし易い突板シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、樹脂と積層した突板を鋭意検討した。その結果、突板の上下両側を、特定の物性をもつアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂から選択された透明樹脂で積層した突板シートが照明具の材料として優れていることを見出した。
従って、本発明は突板の上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シートに関する。
また本発明は、突板裏打ちシートの上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シートにも関する。
さらに本発明は、両面突板シートの上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シートにも関する。
上記積層突板シートは、突板と透明樹脂が、接着剤を介して積層されている態様のほか、突板と接着性の透明樹脂フィルムとが直接積層されている態様をとることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の積層突板シートに使用する透明樹脂は、突板表面の意匠を損ねない透明または半透明のものであって、しかも発光源からの熱(70℃〜80℃雰囲気)に耐える性能をもつことを要する。また突板への水分の影響をできるだけ遮断できるよう吸水性が少なく、様々なデザインに成形加工できるように、柔軟性をもち、折り曲げたときに外観を損なわない樹脂である。
このような条件を満たすように本発明のために選択される透明樹脂は、連続耐熱温度70℃以上、全光線透過率は45%以上、近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上吸収する性能をもつことが必要であり、量産性やコスト等を考慮すると、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂が選択される。
これらの透明樹脂は、厚みを約30μm〜1200μm程度とし、使用する突板のもつ性能を加味して、最終的に製品に望まれる張りや強度、性能、外観に合わせて厚みや特性を変えることができる。また、透明樹脂は同一種のものを使用すればそれらの間の突板の表裏のバランスがよりよくなるので、平らな製品を得ることができるが、異種のものを使用することもできる。
透明樹脂の連続耐熱温度は70℃以上、好ましくは80℃以上のものが好ましい。70℃未満の連続耐熱温度では発光源からの熱で樹脂が変形し、また積層シートに浮きや剥がれが生じる原因となる。
また、全光線透過率は45%以上のもの、特に直接照明のためには、75%以上のもの、さらに好ましくは85%〜95%である。45%未満のものであると、積層シートの単板のもつ素材感を十分引き出せないので望ましくない。一方照明具の照明方法には直接照明の他、半直接照明、全般拡散照明、半間接照明、間接照明等あり、それらの用途に応じて種々の透過率のものが利用され、それに対応するものが望ましい。
なお、樹脂は無色透明のものだけでなく、半透明、艶消し、艶有り、透明着色仕上げ等のなされたものも含まれる。印刷適性のある樹脂を用いれば製品の表面に箔押しや印刷などすることも可能である。樹脂表面に所望の模様等が印刷されているものでもよい。印刷面を突板との接着面とすれば、突板との貼り合わせ後には印刷面が保護されるので好ましい。
さらに、樹脂は紫外線による突板の退色、変色を防止するため、木材の変色させ易い近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の、好ましくは80%以上の光を吸収し、紫外線が突板に到達するのを妨げると同時に、突板の意匠を損なわないためにそれ以外の可視光域(約400〜700nm)において高い透過率をもつことが望ましい。
この樹脂の紫外線の調整は、樹脂材料への紫外線吸収剤の混合や、樹脂表面への紫外線吸収剤の塗布等によって行うことができる。紫外線吸収剤等で調整された条件に適合する透明樹脂は市販されている。
例えばアクリプレンHBS006(三菱レイヨン(株)製)(厚さ50μm)では290〜370nm光線を吸収できる。
また、加工の作業性を考慮すると、その樹脂の物性として好ましい曲げ強さは約400〜1200kg/cm程度、好ましい曲げ弾性率は約12000〜38000kg/cm程度である。
【0009】
本発明の積層突板シートに適当な透明樹脂の一般的な物性を表1に示す。また、実施例にて実際に使用した透明樹脂の物性も示す。
【表1】
Figure 2004213964
*1) 三菱レイヨン(株)製
*2) 三菱エンジニアプラスチック(株)製
さらに、樹脂には必要に応じて慣用の添加剤、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、艶消剤が添加されたものを使用できる。
さらにまた、透明樹脂表面をさらにより大きい硬度を付与するコート剤で処理することによって、傷に強いシートとするなどの付加価値を与えることも有利である。
なお、選択する透明樹脂や、その柔軟度、厚みを調節することによって、突板の木地の凹凸に従って透明樹脂の表面にも凹凸がつく突板の素材感、質感を持った仕上がりのもの、または突板上の透明樹脂に光沢を与えて、プラスチック独特の仕上がりのものも自在に作ることができる。
【0010】
本発明で使用する突板は、照明具の用途のためには突板の光透過率は、約40%ないし約80%程度が好ましく、そのための厚みは50μm〜600μm程度であり、好ましくは100ないし400μmの厚さに切削加工された単板である。突板は、透明樹脂と透明樹脂との間に積層されるため、樹種のもつ物性に左右されることなく、針葉樹・広葉樹などほとんど全ての樹種で使用でき、また、突板の木理は、特に限定されず、板目・柾目・杢目も使用可能である。さらに、天然木の他、集成突板や人工突板なども使用できる。天然木の好ましい樹種の例は、次のとおりである:桧、楢、欅、桜、楡、黒柿、栃、桂、楓、槐、楠、キハダ、シオジ、タブオキ、アカダモ、タモ、セン、ミズナラなどの国産材、および、チーク、ローズウッド、マホガニー、バーズアイメープル、ブラックウォールナット、ゼブラウッド、コクタン(黒壇)、アボデイラ、シタン(紫檀)、マンガシノロ、サテンウッド、ブラジリアンローズ、アンデスローズ、ブラジリアンコア、アフリカンローズ、ユーラシアンチーク、ホワイトタガヤ、バンゼルローズ、アマゾンローズ、タマクラ、パイン、シャム柿、ブビンガ、オリーブウォールナット、アイリスローズ、クラロウォールナット、シルバーハート、ラテンウォールナット、ゼブラウッド、カリン(花梨)、レッドウッド、パープルウッド、アメリカンチェリー、シルキーオーク、タイワンクス、黒レオ(ダオ)、白レオ、サペリ、ブビンカ、マコレ、マドローナ、ミルトル、メープルなどの輸入材である。また、突板が寸法変化や割れ止め等を目的として薬品処理されたものも好ましく、さらに突板自体に着色や染色処理を施したものでも良い。
【0011】
また、本発明における、突板裏打ちシートと透明樹脂を積層した積層突板シートで使用する突板裏打ちシートとは、突板の下側を不織布、薄葉紙または含浸紙などの繊維質材で裏打ちしたものである。さらに、本発明である両面突板シートと透明樹脂を積層した積層突板シートで使用する両面突板シートとは、突板の下側を不織布、薄葉紙、または含浸紙などの繊維質材で裏打ちし、さらに同種または異種の突板を張り合わせたものである。
上記不織布、薄葉紙または含浸紙などの繊維質材等の裏打ち補強材は従来から一般に使用されている天然または合成由来の材料、例えばパルプ、ビニロン、ポリプロピレン、レーヨンなどが本発明に利用できるが、光透過を妨げる繊維成分等の密度があまり大きくない透明度の高いものを選択する。
裏打ち補強材を突板に接着するための接着剤としては、硬化後の光透過に影響のない透明または半透明でかつ耐熱性を有するものである。例えば、酢酸ビニル系、スチレン−ブタジエンラテックス系、水性高分子イソシアネート系の接着剤が適用される他、下記の透明樹脂に使用する接着剤と同種類のものも使用できる。
【0012】
本発明の突板、突板裏打ちシートまたは両面突板シートと、透明樹脂とを接着する接着剤もまた、硬化後、光の透過に影響のない透明または半透明なものであり、かつ耐熱性を有するものである。
これらの接着剤は所望の量を塗布した後、必要に応じてロールプレス、コールドプレス、ホットプレス、ラミネーター、ラッピング、真空プレス等の方法で圧着できる。さらに接着の際にアクリルフィルム面側にエンボス加工することも可能である。
特に、接着剤として、例えば次の成分を主体とする熱可塑性の接着剤が好都合に使用されうる。
ポリアミド系:例えばナイロン−12樹脂
フィルムエチレンコポリマー系:エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)
エチレン・メチルアクリレート共重合樹脂(EMA)
エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
酢酸ビニル−アクリル共重合体接着剤
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂/
ポリアミド系/
ポリウレタン系/
エポキシ系/
シアノアクリレート系/
アクリル系粘着剤
水性高分子イソシアネート系接着剤。
より好ましい接着剤は、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メチルアクリレート共重合樹脂(EMA)、またはエチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)より成る。使用する接着剤が熱圧締の温度で充分に軟化溶融する性質を有しないとき、熱圧締時、透明樹脂が軟化流動せず、突板表面の凹部内に深く侵入することができない。これとは反対に、使用する接着剤がEAA、EMAおよびEEAの接着剤であるとき、軟化した透明樹脂が流動し、突板表面の凹部内にその凹形状に沿って深く侵入することができ、忠実な浮彫りが木理化粧シートまたはボードの表面に形成されるので、より好ましい。
【0013】
さらに、好ましいことには本発明の透明樹脂はそれ自体が接着性をもつ接着性透明樹脂フィルムを使用すれば、透明樹脂と突板との間の接着剤は不要となり、より簡素な構成とすることができる。
【0014】
本発明の積層突板シートの好ましい構成を以下に示す。
1. 透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3’/不織布または薄葉紙5/接着剤3/透明樹脂2よりなる積層突板シート1a(図1参照)
2. 透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3’/不織布、薄葉紙または含浸紙5/接着剤3’/突板4/接着剤3/透明樹脂2よりなる積層突板シート1b(図2参照)
3. 透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3/透明樹脂2よりなる積層突板シート1c(図3参照)
4. 接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着剤3’/不織布または薄葉紙5/接着性透明樹脂フィルム2’よりなる積層突板シート1d(図4参照)
5. 接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着剤3’/不織布、薄葉紙または含浸紙5/接着剤3’/突板4/接着性透明樹脂フィルム2’よりなる積層突板シート1e(図5参照)
6. 接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着性透明樹脂フィルム2’よりなる積層突板シート1f(図6参照)。
【0015】
こうして製造された本発明の積層突板シートは、新規な照明具用材料であり、住宅や各種店舗、オフィス用建物、劇場等の装飾用の様々な形状の照明具のシェードに使用することができる。
照明具の種類は例えば、ペンダント、シャンデリア等の吊下灯、ブラケット、スポットライト、ダウンライト等の壁面照明灯、卓上用、床置き用の室内置形灯の他、様々な形態の照明具に使用できる。また、直接照明のためのシェードの他、半直接照明、全般拡散照明、半間接照明、間接照明のシェードとしても利用できる。特に、本発明の積層突板シートは突板に光を透過させる照明効果が期待できるので、全体照明の他、特に局部照明、または装飾照明に好ましく用いることができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、図1に示すように、突板裏打ちシートを用い、接着剤を介在させて、表1のアクリル樹脂フィルム(125μm)を上下両側に積層した4層の積層突板シートを製造する。
1)合成樹脂繊維・パルプ混合の不織布5(30g/m)に酢酸ビニル系の接着剤3’(60g/m)を塗布し、突板4(ハードメープル)(200μm)とホットプレスにて熱圧接着し(プレス温度105℃、プレス圧力4kg/cm、プレス時間3分)、突板裏打ちシートを作成する。
2)この突板裏打ちシートの上下両側に熱可塑性の接着剤3(60g/m)を塗布し、上側と下側から2枚のアクリル樹脂フィルム2(125μm)ではさみ、ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度120℃、プレス圧力6kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機とアクリル樹脂フィルムとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1aは折曲げ加工が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0017】
実施例2
本実施例は、図2に示す2枚の突板の間に裏打ち材を積層した両面突板シートに、接着剤を介して実施例1で使用したアクリル樹脂フィルム(125μm)を上下両側に積層した5層の積層突板シートである。
1)合成樹脂繊維・パルプ混合の不織布5の上下両側に酢酸ビニル系の接着剤3’を塗布し、2枚の突板4(ホワイトオーク)(200μm)とホットプレスにて熱圧接着し(プレス温度105℃、プレス圧力4kg/cm、プレス時間3分)、両面突板シートを作成する。
2)この両面突板シートの上下両側に熱可塑性の接着剤3を塗布し、上側と下側から2枚のアクリル樹脂フィルム2(125μm)ではさみ、ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度120℃、プレス圧力6kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機とアクリル樹脂フィルムとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1bは折曲げ加工が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0018】
実施例3
本実施例は、図3に示すように、突板単体を用い、接着剤を介在させて、実施例1で使用したアクリル樹脂フィルム(125μm)を上下両側に積層した3層の積層突板シートを製造する。
突板4(ホワイトアッシュ)200μmの上下両側に熱可塑性の接着剤3を塗布し、上側と下側から2枚のアクリル樹脂フィルム2(125μm)ではさみ、ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度120℃、プレス圧力6kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機とアクリル樹脂フィルムとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1cは折曲げ加工が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0019】
実施例4
図6に示すように、突板の上下両側に接着性のアクリル樹脂フィルムを積層した、3層の積層突板シートを示す。
1)突板単体(アメリカンチェリー)4(200μm)の上下両側に接着性アクリル樹脂フィルム2’(120μm)を積層する。
2)ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度120℃、プレス圧力4kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機と接着性アクリレート樹脂フィルムとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1fは非常に柔軟であり、折曲げやねじり加工が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0020】
実施例5
本実施例は、図2に示す2枚の突板の間に裏打ち材を積層した両面突板シートに、接着剤を介して表1のポリスチレン樹脂フィルム(125μm)を上下両側に積層した5層の積層突板シートである。
1)合成樹脂繊維・パルプ混合の不織布5の上下両側に酢酸ビニル系の接着剤3’を塗布し、2枚の突板4(ホワイトオーク)(200μm)とホットプレスにて熱圧接着し(プレス温度105℃、プレス圧力4kg/cm、プレス時間3分)、両面突板シートを作成する。
2)この両面突板シートの上下両側に熱可塑性の接着剤3を塗布し、上側と下側から2枚のポリスチレン樹脂フィルム2(125μm)ではさみ、ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度120℃、プレス圧力6kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機とポリスチレン樹脂フィルムとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1bは折曲げ加工が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0021】
実施例6
本実施例は、図3に示すように、突板単体を用い、接着剤を介在させて、表1のポリカーボネート樹脂シート500μmを積層した3層の積層突板シートを製造する。
突板4(パープルウッド)200μmの上下両側に熱可塑性の接着剤3(100g/m)を塗布し、上側と下側から2枚のポリカーボネート樹脂シート2(500μm)ではさみ、ホットプレスにて熱圧締し(プレス温度115℃、プレス圧力4kg/cm、プレス時間20分)、そのまま常温まで冷却する。この際表面の仕上がりを良好にするために、プレス機とポリカーボネート樹脂シートとの間にポリエステル等からなる離型性のシートを挿入した。
得られた積層突板シート1cはゆがみのない平板であり、また湾曲使用が可能で、照明用シェードの材料に適しているものである。また汚れもふき取りにより容易にとることができる。
【0022】
比較例1
実施例1で使用したのアクリル樹脂フィルムに代えて連続耐熱温度65℃、紫外線吸収剤の添加されてないアクリル樹脂フィルムを使用して、実施例1と同様の構成からなる4層の積層突板シートを製造する。
【0023】
使用例1:置形灯
実施例1で得られた積層突板シート1aを鋏かカッターで矩形に切断し、図7のような行燈灯10を形成するように、4カ所を折曲げる。折曲げは積層突板シート1aの裏側即ち裏打ちシートの裏打ち側に保護フィルムを当てて、その上から熱を加えることによって行う。本発明の積層突板シートはこのように折曲げ成形しても、シート表面がささくれたり、突板が折れて外見が悪くなったりしない。さらに突板シート1aは成形後、形成された形状を保持する。積層突板シート1aの重なり部分は金具または適当な接着剤、両面テープで固定してシェード11を形成し、さらに光源を備えた基板上12に上述と同様の固定手段で固定する。
【0024】
使用例2:吊下灯
実施例2で得られた積層突板シート1bを鋏かカッターで矩形に切断し、適用例1と同様な方法で、図8のように山折りおよび谷折りを連続して作成する。積層突板シートの重なり部分を金具または適当な接着剤、両面テープで固定して襞形状のシェード21にする。さらに光源を備えた基材部分22に金具等で固定して吊下灯20とする。使用例1と同様に折曲げ成形によりシート表面の外見が劣化することはなく、また形成された形状はそのまま保持された。
【0025】
使用例3:壁面照明灯(半間接照明用)
図9に示すように、実施例6で得られた積層突板シート1cから大小2枚のシートを鋏かカッターで切出す。これらの2枚のシートは同じものでも、他種類の積層突板シートを使用して互いに異なっていてもよい。これらの2枚の積層突板シートを各々湾曲させた状態で、基板32に金具にて固定し、シェード31を作成し、光源を備えた基板32部分を金具または適当な接着剤、両面テープを併用して固定することにより壁面照明灯30を作成する。
【0026】
使用例4:卓上スタンド
実施例4で得られた積層突板シート1fから細長いテープ状のシート片を鋏またはカッターで切出し、そのままねじり加工し、図10に示すような卓上スタンド40の傘型の半透明の樹脂の表面に接着剤で固定してシェード41を作成し、光源を備えた本体部分42に装着した。実施例4のような薄型の積層突板シート1fは薄く、折曲げ加工の他、ねじり加工が可能であるので、紙製材料と同様に取り扱うことができる。
【0027】
試験例:
実施例1ないし実施例6、ならびに比較例1で得られた積層突板シートの耐熱性、耐候性を以下の通り試験した。積層突板シート(250mm×150mm)を、発光源として200W電球を用いシートの表面温度が平均70℃以上となるような光源からの距離(約5cm)に電球を囲むようにして置き、3ヶ月間10時間/日で点灯した。
実施例1ないし実施例6の積層突板シートはいずれも、樹脂の変形等がみられず、また、突板の変色もみられなかった。
一方、比較例1の積層突板シートは樹脂表面が熱によりやや変形し、また突板は発光源の光が最も強く当たる部分で変色がみられた。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の積層突板シートは突板を特定の性能を有する透明樹脂の間に積層するものであるので、突板の風合いを損なうことなく突板に強度や熱、光に対する耐性を与え、かつ突板そのものや突板が積層シート表面となる従来品と比較して、温度や湿度の影響からも突板を保護できるので突板の変形、変色・退色を抑え、耐久性が格段に良い。しかも、従来品のように突板が表面にある場合に比べて、汚れにくく掃除等の手入れもし易い照明具を提供できる。
また、表面の樹脂の性質により折り曲げ等に対する加工性ならびに成形安定性が良いので、従来の突板を使用したものよりもより複雑なデザインの照明具の材料として利用することができる。
特に、突板表面の透明樹脂の柔軟度や厚さならびに突板の種類や厚さを変更することによって、突板シートの素材感、質感や、光透過度を調整でき、また様々な樹種を使用できるので、多種の積層突板シートを提供できる。従って、本発明は、これらの多種の突板シートを使用することにより、従来の突板を用いた製品よりも多様なテザインの照明具を提供することができる。
また、本発明は加工性のよい様々な突板シートを量産提供できるので、突板を材料とする照明具においても、従来の樹脂製の照明具のような量産ライン加工をも可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1の方法により製造される積層突板シート1aであって、透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3’/不織布または薄葉紙5/接着剤3/透明樹脂2により構成されるものである。
【図2】図2は、本発明の実施例2および5の方法により製造される積層突板シート1bであって、透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3’/不織布、薄葉紙または含浸紙5/接着剤3’/突板4/接着剤3/透明樹脂2より構成されるものである。
【図3】図3は、本発明の実施例3および6の方法により製造される積層突板シート1cあって、透明樹脂2/接着剤3/突板4/接着剤3/透明樹脂2より構成されるものである。
【図4】図4は、本発明の他の態様であって、接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着剤3’/不織布または薄葉紙5/接着性透明樹脂フィルム2’より構成される積層突板シート1dである
【図5】図5は、本発明の別の態様であって、接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着剤3’/不織布、薄葉紙または含浸紙5/接着剤3’/突板4/接着性透明樹脂フィルム2’より構成される積層突板シート1eである。
【図6】図6は、本発明の実施例4の方法により製造される積層突板シート1fであって、接着性透明樹脂フィルム2’/突板4/接着性透明樹脂フィルム2’より構成されるものである。
【図7】図7は、本発明の積層突板シートの置形灯シェードへの使用例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の積層突板シートの吊下灯シェードへの使用例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の積層突板シートの壁面照明灯シェードへの使用例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の積層突板シートの卓上スタンドへの使用例を示す図である。
【符号の説明】
1a〜1f 積層突板シート
2 透明樹脂
2’ 接着性透明樹脂フィルム
3、3’ 接着剤
4 突板
5 裏打ち強化材

Claims (3)

  1. 突板の上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シート。
  2. 突板裏打ちシートの上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シート。
  3. 両面突板シートの上下両側に透明樹脂を積層した積層突板シートであって、前記透明樹脂がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂よりなる群から選択され、かつ前記透明樹脂は連続耐熱温度70℃以上で、全光線透過率45%以上であり、さらに近紫外線(290〜400nm)の波長域の全体にわたって70%以上の光吸収率を有することを特徴とする照明具用積層突板シート。
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