JP2004213514A - 容器入り飲料の加熱装置及びこれを用いた自動販売機 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質を維持可能な温度で保存した容器入り飲料を急速に加熱することができ、かつ、小型化およびコストの低減化を図る
【解決手段】飲料容器A(またはB)に向けて温水を噴射するノズル部を有する温水噴射装置4と、該飲料容器を保持するとともに該飲料容器を回転させる攪拌手段5と、温水タンク2に貯留された温水を温水噴射装置4に導くポンプ3とを備え、ポンプ3の駆動により攪拌手段5により回転中の飲料容器に温水を噴射して飲料を過熱する際、温水噴射装置4のノズル部は飲料容器の外壁に衝突噴流を形成するよう構成したものであって、温水噴射装置4のノズル部および攪拌手段5(飲料保持手段としての支持ローラ6)を傾斜して設置し、温水噴射装置4に投入された飲料容器が自重により加熱位置まで搬送されるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】飲料容器A(またはB)に向けて温水を噴射するノズル部を有する温水噴射装置4と、該飲料容器を保持するとともに該飲料容器を回転させる攪拌手段5と、温水タンク2に貯留された温水を温水噴射装置4に導くポンプ3とを備え、ポンプ3の駆動により攪拌手段5により回転中の飲料容器に温水を噴射して飲料を過熱する際、温水噴射装置4のノズル部は飲料容器の外壁に衝突噴流を形成するよう構成したものであって、温水噴射装置4のノズル部および攪拌手段5(飲料保持手段としての支持ローラ6)を傾斜して設置し、温水噴射装置4に投入された飲料容器が自重により加熱位置まで搬送されるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶, びん, ペットボトルなどの容器入り飲料を急速に加熱する加熱装置及びその加熱装置を用いて容器入り飲料(商品)を販売する自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶, びん, ペットボトルなどの容器入り飲料を加熱する装置としては容器入り飲料(商品)を庫内に収納して販売する自動販売機が知られており、一般的な前記飲料商品を販売する自動販売機の従来構成を図11に示す。図において、100は前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネット、101は本体キャビネット100に開閉可能に取付けられ、本体キャビネット100の前面開口を覆う片開き式の外扉、102は本体キャビネット100の庫内前面を開閉し、上下に二分割された断熱内扉である。前記本体キャビネット100の商品収納庫内には仕切壁104により左右に並ぶ複数の商品収納室が形成され、各商品収納室には商品投入口103aから投入された商品を貯蔵する商品収納ラック(サーペンタイン式商品収納ラック)103、冷却/加熱ユニット105および商品収納ラック103から搬出した商品を商品取出口101aに送出する搬出シュータ106が装備されている。本体キャビネット100の下部における機械室には冷凍機のコンデンシングユニット107を装備している。
【0003】
前記冷却/加熱ユニット105は冷凍機コンデンシングユニット107のエバポレータである冷却器105aと電熱ヒータ105bとファン105cとの組合せからなり、ホット/コールドの運転モードに合わせて冷却器105aで冷却した冷気,もしくは電熱ヒータ105bで加熱した暖気をファン105cにより庫内に循環送風して商品収納ラック103に収納した商品を販売適温(コールド商品:5℃前後,ホット商品:55℃前後)に冷却,もしくは加熱する。
図12は異なる従来の自動販売機の全体構成を示す。図12において、200は自動販売機の本体キャビネットである。この本体キャビネット200の庫内には商品を収納した商品収納ラック204が配備されている。一般的に、商品を冷却/加熱して販売する自動販売機においては、庫内外を断熱するため、本体キャビネットは断熱構造として形成されている。一方、前記本体キャビネット200は断熱構造をとらない筐体として構成されている。したがって、本体キャビネット200の庫内の商品は常温状態で保存されている。これにより、長時間にわたって加熱状態で保存されると品質や香味が損なわれる商品も安心して販売することができる。そして、商品収納ラック204から商品取出口201aに通じる商品搬出シュータ207の途中には商品冷却/加熱装置210が設置されている。
【0004】
前記商品冷却/加熱装置210は、商品を取り込み、該商品の壁面に低温,もしくは高温の熱媒体を吹き付けるノズル(図では省略)を有する密閉形のケース211と、熱媒体の冷却/加熱源212と、前記ケース211と冷却/加熱源212との間で熱媒体を循環送流する配管系213との組合せからなる。この商品冷却/加熱装置210は、商品販売時、すなわち、コールド飲料またはホット飲料の商品選択ボタンの操作による販売指令に基づき商品収納ラック204から搬出した商品を前記ケース211に取り込む。そして、コールド飲料またはホット飲料の商品選択ボタンの操作に合わせて低温,もしくは高温の熱媒体を飲料容器の壁面に吹き付けて販売温度に冷却,もしくは加熱した後、ケース211から取出して商品取出口201aに送り出す。
【0005】
前記商品冷却/加熱装置210におけるケース211の構造を図13 (a) ,(b)に示す。図に示すように、ケース211は内外二重の円筒構造として形成され、スライド式の開閉蓋214と組合せて基台215に載置されている。開閉蓋214は基台215に敷設したスライダ(送りねじ機構)215aに連繋して矢印A方向へ移動可能に案内支持されている。前記ケース211には周方向に熱媒体の導入室211aと回収室211bが交互に並んで仕切られている。前記導入室211aには、内筒を貫通して軸方向に並ぶ複数の熱媒体噴射用のノズル216が設けられ、回収室211bの内筒には前記ノズル216に対応して軸方向に並ぶ熱媒体の回収口217が開口している。また、開閉蓋214の内面側にはケース211の内方に向け延在し、商品を横置姿勢に支える左右一対の支持ローラ218を備えている。該支持ローラ218は、開閉蓋214の外面側に取付けられた駆動モータ219で駆動されて回転する。
【0006】
また、前記商品冷却/加熱装置210の系統図を図14に示す。図に示すように、冷却/加熱源212は、冷凍機220と組合せた熱媒体の冷却槽221と、電熱ヒータ222と組合せた加熱槽223を備えている。冷却槽221,加熱槽223にはブラインとして粘性が小さく、かつ食品衛生面で使用可能な水,あるいはエチルアルコールなどの熱媒体224が貯留されている。一方、前記冷却槽221,加熱槽223とケース211との間で熱媒体を循環送流させる配管系213は、ケース211の熱媒体導入室211aに通じる送り管213aと、熱媒体回収室211bに通じる戻り管213bと、送り管路213aに接続したポンプ213cと、送り管213a,戻り管213bを冷却槽221,加熱槽223のいずれかに切換える切換弁213dとにより構成されている。
【0007】
かかる構成において、販売待機状態では前記ケース211の開閉蓋214が開放し、またポンプ213cは停止している。一方、熱媒体の冷却/加熱源212では、冷凍機220,ヒータ222により冷却槽221,加熱槽223に貯留している熱媒体224が冷却,加熱されて低温,高温状態に維持されている。ここで、商品販売時にホット飲料が選択されると、常温状態で商品収納ラック204から搬出された商品205は、商品取出口201aの手前で商品冷却/加熱装置210に取り込まれる。すなわち、商品搬出シュータ207を転動もしくは滑動して送出される商品205は、該商品搬出シュータ207を転動もしくは滑動中に商品冷却/加熱装置210に取り込まれ、支持ローラ218の上に横置姿勢に載置される。支持ローラ218の上に商品が載置されると、引き続いて駆動モータ220を作動させる。駆動モータ220の回転によりスライダ(送りねじ機構)215aが回転し、スライダ215aに連繋した開閉蓋214を閉位置に移動させる。これにより商品205はケース211の中に収容される(図14参照)。また、配管系213の切換弁213dを加熱槽223側に切換えた上でポンプ213cを始動し、加熱槽223に貯留されている高温の熱媒体224をケース211に送流する。これにより、高温の熱媒体224がノズル216の先端から噴出して商品205の飲料容器の壁面に吹き付けられる。前記ポンプ213cは商品205の品温が所定の販売温度(55℃前後)に加熱される所定の加熱時間(数十秒程度)の間継続して駆動される。そして、所定の加熱時間(数十秒程度)が経過すると、ポンプ213cを停止して熱媒体の送液を止め、続いてケース211の開閉蓋214を開いて商品205を取出し、自動販売機の商品取出口201aに送り出して1回の販売動作を終了する。なお、前記支持ローラ218は所定の加熱時間の間、駆動モータ219により駆動されて回転しており、これにより支持ローラ218に載置された商品が回転して中身飲料を攪拌している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−307213号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来装置のうち、本体キャビネット101の庫内に冷気,もしくは暖気を循環送風して商品収納ラック104に収納した商品を販売適温に保冷,もしくは保温するようにした前者の自動販売機では、消費電力,商品の品温管理面などで次のような課題がある。
(1) 本体キャビネット101は断熱筐体として製作されているものの、庫内温度と外気温度との温度差から断熱壁を伝熱して外部に逃げる熱ロス分がかなり大きく、また、庫内の商品を適温に保持するためには常時冷凍機による冷却あるいは電熱ヒータによる加熱を行う必要があり、消費電力が大きい。
【0010】
(2) 前述したように、庫内の商品は常時冷却あるいは加熱されており、冷却保存の場合には問題がないが、加熱保存の際には、例えばコーヒー飲料などの商品は長時間高温にさらされると品質が低下したり香味が低下する。
一方、商品を常温で保存し、販売時点において高温の熱媒体を商品容器の周囲に吹き付ける後者の従来装置においては、前述した前者の従来装置における課題を解決することができる。しかしながら、後者の従来装置においては、商品に吹き付けられる熱媒体は閉回路を循環するように構成されており、雑菌については加熱槽で殺菌することができるものの、熱媒体の汚れは避けることができず、熱媒体の定期的な交換が必要となり、複数の自動販売機を管理するサービスマンの手間が増加するとともに交換する熱媒体や交換した熱媒体を持ち運ばねばならず、また、熱媒体内に異物が混入するとノズルが詰まったり、ポンプが故障した場合には自動販売機の稼動を停止しなければならないという課題を有する。
【0011】
そこで、本発明の目的は前記課題を解決し、品質を維持可能な温度で保存するとともに径の異なる複数種類の容器入り飲料を急速に加熱することができ、かつ、小型化およびコストの低減化を図ることが可能な容器入り飲料の加熱装置およびこの加熱装置を装備した自動販売機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、飲料容器に向けて温水を噴射するノズル部とこのノズル部に熱媒体を導く導水管と前記ノズル部から噴射された熱媒体を排水する排水口からなる熱媒体噴射装置と、飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を前記熱媒体噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、高温の熱媒体を貯留する熱媒体貯留タンクと、この熱媒体貯留タンクに貯留された熱媒体を前記温水噴射装置に導くポンプと、前記熱媒体噴射装置の排水管からの排水を浄化する浄水器とを備え、前記熱媒体タンクとポンプと熱媒体噴射装置と浄水器を閉回路とする熱媒体循環経路を構成し、前記熱媒体噴射装置内に収納されて回転する飲料容器にノズル部から熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速に加熱する容器入り飲料の加熱装置において、前記熱媒体噴射装置のノズル部および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする(請求項1)。
【0013】
また、前記目的を達成するために本発明は、飲料容器の外壁に向けて高温高圧の過熱媒体を噴射するノズル部とこのノズル部に過熱媒体を導く導管とからなる過熱媒体噴射装置と、飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を過熱媒体噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、高温高圧の過熱媒体を貯留する過熱タンクと、この過熱タンクと前記過熱媒体噴射装置との間に配管され、前記過熱媒体噴射装置の導管に近接して配置されたバルブとを備え、前記バルブの開閉により過熱媒体噴射装置のノズル部から飲料容器の外壁に高温高圧の過熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速過熱する飲料の加熱装置において、前記過熱媒体噴射装置のノズル部および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする(請求項2)。
【0014】
この場合本発明によれば、ノズル部は傾斜した熱媒体噴射装置の下端側が小径容器の大きさに対応し、上端側に向かうにしたがって大径容器の大きさに対応するよう階段状に配置するように構成することができる(請求項3)。
そして、本発明は、自動販売機の加熱手段として前述した容器入り飲料の加熱装置を備えるものとする(請求項4)。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る請求項1に記載した発明は、熱媒体貯留タンク,ポンプ,熱媒体噴射装置の導水管,熱媒体噴射装置の配水口,浄水器および温水タンクからなる熱媒体循環経路が構成されるように配管し、熱媒体タンク内に配備、または熱媒体貯留タンクの外周に巻回した電熱ヒータにより熱媒体貯留タンク内に入れられた熱媒体を加熱し、該熱媒体を高温(例えば熱媒体が水の場合95℃)に維持する。容器入り飲料を加熱する際、まず飲料が入った飲料容器を攪拌手段の容器保持手段に投入する。この場合、容器保持手段が傾斜しているので容器保持手段に投入された飲料容器は容器保持手段の傾斜にしたがってその自重により下降して容器保持手段の所定位置に位置決めされる。そして、容器保持手段に保持された飲料容器を回転手段により回転させて容器内の飲料を攪拌させる。これと同時にポンプを駆動することにより、熱媒体貯留タンク内の高温の温水が熱媒体噴射装置の導水管を介してノズル部に導かれる。該ノズル部は容器保持手段と同様に傾斜して配置されているので、該ノズル部から噴流として飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突する。ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。一方、熱媒体噴射装置の配水管からの排水は浄水器に導かれ、ここで塵の除去や殺菌が施された後熱媒体タンクに戻されて再び高温に加熱される。
【0016】
本発明に係る請求項2に記載した発明は、過熱タンクから過熱媒体噴射装置の導水管との間の配管中に、過熱媒体噴射装置の導水管に近接してバルブを配備するように配管し、過熱タンク内に配備、または過熱タンクの外周に巻回した電熱ヒータにより過熱タンク内に入れられた熱媒体を加熱して過熱媒体とし、該過熱媒体を高温(例えば熱媒体が水の場合、飽和温度の100℃以上)に維持する。
飲料容器内の飲料を加熱する際、まず飲料が入った飲料容器を攪拌手段の容器保持手段に投入する。この場合、容器保持手段が傾斜しているので容器保持手段に投入された飲料容器は容器保持手段の傾斜にしたがってその自重により下降して容器保持手段の所定位置に位置決めされる。そして、容器保持手段に保持された飲料容器を回転手段により回転させて容器内の飲料を攪拌させる。これと同時にバルブを作動させることにより、過熱タンク内の高温高圧の過熱媒体が過熱媒体噴射装置の導水管を介して直ちにノズル部に導かれる。該ノズル部は容器保持手段と同様に傾斜して配置されているので、該ノズル部から噴流として飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突する。ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。一方、過熱媒体噴射装置の配管からの排水は熱媒体受け容器に一旦蓄えられ、バルブの開閉により過熱タンクに戻されて再び高温に加熱される循環方式とすることもでき、また、一回もしくは複数回の加熱ごとに過熱タンクに熱媒体を補充する補充方式とすることもできる。
【0017】
本発明に係る請求項3に記載した発明のように、ノズル部は傾斜した熱媒体噴射装置の下端側が小径容器の大きさに対応し、上端側に向かうにしたがって大径容器の大きさに対応するよう階段状に配置するように構成することにより、飲料容器の大きさ(径)にかかわらずノズル部と飲料容器との間の距離を狭くすることができるから、該ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に衝突して弾かれた熱媒体(または過熱媒体)を再び飲料容器側に戻して当該飲料容器の壁面に沿って流れるようにし、これにより熱媒体(または過熱媒体)から飲料容器への熱伝達を効率良く行うことができる。
【0018】
そして、本発明に係る請求項4に記載した発明は、自動販売機の加熱手段として請求項1ないし請求項3記載のいずれかに記載の容器入り飲料の加熱装置を装備する。この場合、庫内の商品収納ラックから搬出された商品が外扉の商品取出口に搬出されるまでの経路において温水噴射装置または過熱媒体噴射装置に導かれ、温水噴射装置または過熱媒体噴射装置で急速加熱された後商品取出口に送出される。このように庫内の商品収納ラックに収納された商品は販売時点において急速加熱されて販売されるため、庫内では常温で商品を保存することが可能となり、自動販売機を断熱構造とする必要がなくなるとともに常時高温で保存する場合に比して商品の品質劣化を防止することができ、商品の香味を長期間維持することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例により説明する。
(実施例1)
図1は本発明の容器入り飲料の加熱装置を示すブロック図であり、1は加熱装置を示し、この加熱装置1は、熱媒体貯留タンクとしての温水タンク2、ポンプ3、熱媒体噴射装置としての温水噴射装置4、浄水器9からなる温水(熱媒体)循環経路が構成されるように配管される。温水タンク2はその内部に配備、または温水タンク2の外周に巻回した電熱ヒータにより温水タンク2内に入れられた水を加熱して温水とし、該温水を高温(例えば95℃)に維持する。ポンプ3は温水タンク2内の温水を温水噴射装置4に送る。温水噴射装置4は、詳しくは後述するが、傾斜して配置された攪拌手段5にセットされた飲料容器Aまたは飲料容器Bに温水を噴射して飲料容器A,B内の飲料を加熱する。攪拌手段5は、矢印A方向から投入されて傾斜したシュータ10上を滑動する飲料容器A,Bを所定位置に保持するところの、容器保持手段を構成する支持ローラ6と、飲料容器A,Bを回転させる回転手段としての容器回転用モータ7とからなり、容器回転用モータ7の始動により飲料容器A,Bを回転させて容器内の飲料を攪拌させる。
浄水器9は、温水噴射装置4において飲料容器A,Bに噴射された温水が導かれ、該温水中から塵の除去,殺菌等を施こす。浄水器9により塵の除去,殺菌等が施こされた温水は再び温水タンク2に戻される。このように、温水タンク2内の温水は温水タンク2,ポンプ3,温水噴射装置4,浄水器9からなる温水循環経路中を循環する。
【0020】
前記温水噴射装置4は、基台(不図示)に載置されるとともに傾斜して配置された円筒状のケース41と、ポンプ3の出口配管に接続された切換弁42および当該切換弁42の出口配管に接続されるとともに傾斜して配置された階段状の導水管43とからなる。前記円筒状のケース41は、矢印Aで示す飲料容器の投入口部分に設けられた投入口扉411と、矢印Bで示す飲料容器の出口部分に設けられた排出口扉412を有する。投入口扉411および排出口扉412のそれぞれはヒンジ機構(不図示)により開閉自在であるとともに常時投入口および排出口を閉塞するようばね付勢されている。導水管43は、図2(a)に示すように、内外二重の円筒体を軸線方向に略半分に切断した半円筒構造(いわゆる馬蹄形)に形成された第1の導水管431と第2の導水管432とを有する。第1の導水管431の内筒は小径の飲料容器Bの外周に対峙し、第2の導水管432の内筒は大径の飲料容器Aに対峙するように、第1の導水管431の半径に対して第2の導水管432の半径は大きく形成され、側面から見ると第1の導水管431が低く第2の導水管432が高い階段状に並べて配設されている。
【0021】
また、第1の導水管431および第2の導水管432は内筒側に複数のノズル部44が飲料容器A,Bの中心線に向かうように設けられている。このノズル部44はこの実施例では図2(c)に示すように噴射される温水の形状が円柱状を形成する直進ノズル441として構成されている。前記第1の導水管431および第2の導水管432はそれぞれ密閉して形成され、各導水管431および導水管432には切換弁42の出口管が接続されている。この切換弁42の切換えによってポンプ3により循環する温水が切換弁42を介してそれぞれ一方の導水管431,432に満たされる。第1および第2の導水管431,432内が温水によって満たされ、その圧力が一定の圧力を超えるとノズル部44から温水が勢いよく噴射される。そして、各導水管431,432の内側にはそれぞれ滑りローラ433,434および従動ローラ435,436が設けられている。滑りローラ433,434は各導水管431,432の下方端部に配置され、飲料容器A,Bの軸線と直交する方向のローラ軸に支持されるとともに飲料容器A,Bの外周縁に当接して回転する。一方、従動ローラ435,436は各導水管431,432の中央に配置され、飲料容器A,Bの軸線と平行なローラ軸に支持されるとともに飲料容器A,Bの外周縁に当接して回転する。なお、ノズル部44から噴射された温水を排水するためケース42には排水口(不図示)が形成されている。
【0022】
次に、飲料容器A,Bを保持する容器保持手段としての支持ローラ6と飲料容器A,Bを回転させる回転手段としての容器回転用モータ7からなる攪拌手段5の構成を、図3を用いて説明する。図3はシュータ10と攪拌手段5とを分解した状態を示す分解斜視図である。
図3において、51は断面コ字状のベースであり、このベース51は上端側の脚片52に設けられた軸穴54を貫通する軸(不図示)によりケース41(図1参照)に軸支され、前記軸穴54を回転中心として上下方向に揺動自在に配設されている。ベース51の胴部には穴55が設けられ、この穴55には昇降用モータ7Aの軸に連結されたピニオンと噛み合うラック7A1が後述するように係合しており、昇降用モータ7Aによってベース51は上下方向に揺動する。前記ラック7A1と穴55との係合は、図4に示すように、穴55を貫通したラック7A1の上下に、穴55よりも大きく形成された球体状の摺動部7A2,7A3が取付けられ、摺動部7A2,7A3が穴55の縁部に係合するように構成されている。したがって、ラック7A1が下降すると摺動部7A2がベース51における穴55の縁部に当接してベース51を押し下げ、ラック7Aが上昇すると摺動部7A3がベース51における穴55の縁部に当接してベース51を押し上げる。
また、ベース51の脚片52には、一方に偏った位置に容器回転用モータ7が固定され、この容器回転用モータ7のモータ軸71がベース51の他方の脚片53との間に架設されている。さらに、前記ベース51の両脚片52,53にはモータ軸71に平行な従動軸72が架設され、この従動軸72は他方の脚片53側において歯車機構(図では脚片に隠れて見えない)を介してモータ軸71と連結されている。前記モータ軸71および従動軸72にはそれぞれ4個の支持ローラ6が取付けられ、これらの支持ローラ6は上段側の2個の支持ローラ6が飲料容器Aを、下段側の2個の支持ローラ6が飲料容器Bをそれぞれ支持するように配置されている。
【0023】
前記ベース51に重ねて配置されるシュータ10は上端に形成された軸11によりケース21(図1参照)に軸支され、この軸11を回転中心として上下方向に揺動自在に配設されている。シュータ10の中央には飲料容器A,Bが滑動する円弧状の滑動面12が設けられ、この滑動面12を挟んで両側にはそれぞれ8個の穴13が設けられている。この穴13を介してモータ軸71および従動軸72に設けられたそれぞれの支持ローラ6がシュータ10上に出没可能である。前記シュータ10は引張りばね15により常時上方向(軸11を回転中心として時計方向に揺動するよう)に付勢されており、また、不図示のストッパにより図1に示す状態で停止し、それ以上上方へ移動しないように構成されている。そして、シュータ10にはベース51側に向けて突出する左右一対の連結片14(一方の連結片14はシュータ10に隠れて見えない)が設けられており、それぞれの連結片14の先端に形成された鉤がモータ軸71および従動軸72と係合可能なように構成されている。この連結片14はベース51の下降に連動してシュータ10が下降するようにするためのものである。なお、モータ軸71および従動軸72とシュータ10と連結片14の鉤との間には、図5に示すように不感帯(遊び)Pが形成されている。この不感帯(遊び)Pの役割については後述する動作の説明において説明する。
【0024】
次に、かかる構成からなる加熱装置1の動作について図4を用いて説明する。
図6(a)〜(c)はそれぞれ飲料容器Aが加熱装置1に投入された後、加熱されて排出されるまでの工程を示すものである。
図6 (a)は、飲料容器Aを加熱装置1に投入する際の説明図である。加熱装置1の待機状態において、ベース51は昇降用モータ7Aにより下降した状態に保持され、一方、シュータ10は引張りばね15(図3参照)により上方に引き上げられた状態に保持され、これによってベース51に架設されたモータ軸71および従動軸72に取付けられた支持ローラ6がシュータ10から没した下方に位置している。また、待機状態ではポンプ3は停止しているとともに温水タンク2では電熱ヒータによりタンク内に貯留している水を加熱して高温状態に保持している。
【0025】
前述した待機状態から、ケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにして飲料容器Aをケース41内に投入すると、該飲料容器Aは重力の作用によりシュータ10の滑動面12(図3参照)に落下して該滑動面12上をシュータ10の傾斜に沿って下方に滑動する。投入口扉411は飲料容器Aの通過により投入口を塞ぐように閉じられる。図6(b)に示すように、シュータ10上に落下して滑動面12を滑動する飲料容器Aの先端が第2の導水管432の下方端部に配置された滑りローラ434に当接すると飲料容器Aが第2の導水管432で覆われた状態で停止する。ここで、不図示の加熱開始ボタンを押圧操作すると、昇降用モータ7Aに正転信号が供給される。昇降用モータ7Aが駆動されることによりラック7A1(摺動部743)を介してベース51が押し上げられる(ベース51が軸穴54を支点として図において時計方向に揺動する)。そして、ベース51が、図5に示したように、モータ軸71および従動軸72とシュータ10と連結片14の鉤との間に形成された不感帯(遊び)P分だけ押し上げられると、支持ローラ6がシュータ10に穴13を貫通してシュータ10上に出現する。これによって今までシュータ10により支持されていた飲料容器Aが支持ローラ6により支持されるようになり、また、飲料容器Aの外周上部が第2の導水管432に取付けた従動ローラ436により保持される。この状態を図6(b)に示す。なお、前述したようにベース51が不感帯(遊び)P分だけ押し上げられることによって、支持ローラ6がシュータ10の上面に出現し、モータ軸71および従動軸72がシュータ10に平行するように構成されている。したがって、待機状態においては支持ローラ6がシュータ10の下方に没入しており、支持ローラ6によって投入された飲料容器Aがシュータ10の滑動面12を滑動する際の妨げとならないように構成されている。また、前述では、加熱開始ボタンを押圧操作により昇降用モータ7Aに駆動信号が供給されることについて説明したが、飲料容器Aが第2の導水管432の位置で停止したことを検出器により検出して、昇降用モータ7Aに駆動信号を供給するようにして自動化することもできる。
【0026】
図6(b)に示すようにベース51が所定位置まで押し上げられたことが位置検知スイッチにより検出されると、容器回転用モータ7およびポンプ3が起動されるとともに切換弁42により第2の導水管432が循環経路に接続される。容器回転用モータ7の起動により支持ローラ6を介して飲料容器Aは回転を開始し、飲料容器A内の飲料が攪拌される。ポンプ3が駆動されると温水タンク2内の加熱された温水は切換弁42を介して第2の導水管432に送水される。第2の導水管432内が温水で満たされ、その導水管432内の圧力が一定の圧力を超えるとノズル部44から勢いよく温水が噴射される。ノズル部44からの噴流が飲料容器Aの壁面に直角に衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。
【0027】
ここで、衝突噴流について図7を用いて説明する。図7に示すように、一般的に衝突噴流の流れの様相は、自由噴流領域J1、衝突噴流領域J2、壁噴流領域J3の3領域に大別される。自由噴流領域J1は、衝突物体の影響を受けない流れの領域であり、流れの場の構造は一般的な自由噴流のものとほぼ同一である。
衝突噴流領域J2は、噴流が自由噴流から壁噴流に移行する領域で、流れの方向が急激に変化するので、大きな圧力勾配ができる。従って、流れの様相は非常に複雑である。また、壁噴流領域J3は、乱流強度の極めて高い流れを形成する。
このとき、衝突噴流による熱伝達特性は、衝突噴流領域J2のよどみ点近傍J4において最も高い熱伝達率が得られる。一方、飲料容器A内の飲料はローラ6によって飲料容器Aが回転することにより攪拌されている。このように飲料容器A内の飲料を攪拌させると、温水の衝突噴流により加熱された飲料容器Aの壁面から、飲料容器Aの飲料に熱を効率良く伝えることができる。その理由は次のとおりである。すなわち、図8に示すように、飲料容器Aを回転させると、飲料Dと飲料容器Aの壁面との間に相対速度が生じ、極めて強い強制対流熱伝達を生じさせることができる。また、飲料容器A壁面との摩擦力により、飲料Dが飲料容器A壁面の回転方向と同一方向に流動するため、攪拌による乱流熱伝達が促進される。
【0028】
温水噴射装置4のノズル部44から噴射された温水は飲料容器Aを加熱した後、ケース41の底部に落下し、ケース41の底部に形成された不図示の配水口から排水される。排水口から排水された温水は浄水器9に導かれ、ここで塵の除去や殺菌が施された後、温水タンク2に戻されて再び高温に加熱される。このように、温水の噴射および飲料容器内の飲料の攪拌により飲料は急速に加熱され、所定の加熱時間(数十秒)が経過して飲料容器A内の飲料が所定の温度(55℃前後)に加熱されると、ポンプ3および容器回転用モータ7の駆動を停止して温水の送水を止めるとともに飲料容器Aの回転を停止する。
【0029】
ポンプ3および容器回転用モータ7の停止に引き続いて昇降用モータ11に逆転指令が供給される。昇降用モータ7Aの逆転によりラック7A1(摺動部742)を介してベース51が下降(軸穴54を支点として反時計方向に揺動)を開始し、図5に示す遊びP分だけベース51が下降するとモータ軸71および従動軸72がシュータ10における連結片14の先端に形成された鉤と係合する。これによりベース51の下降に伴ってシュータ10も下降(軸11を支点に反時計方向に揺動)を開始する。シュータ10が下降を開始する時点では支持ローラ6がシュータ10から没入しており、シュータ10の下降により飲料容器Aの先端が第2の導水管432の下方端部に配置された滑りローラ434から外れると、飲料容器Aは重力の作用によりシュータ10の滑動面12を、矢印B(図1参照)で示すケース41の排出口扉412に向けて滑動する。そして、飲料容器Aはケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出される。昇降用モータ7Aはベース51が所定位置まで下降したことを検出する位置検知スイッチからの検出信号に基づいて正転に転じてベース51を待機位置まで押し上げる。これにより一回の加熱動作を終了する。
【0030】
なお、前述では飲料容器Aが投入された際の動作について説明したが、飲料容器Bが投入された際には飲料容器Bが第2の導水管432の位置を通過して第1の導水管431の下方端部に配置された滑りローラ433に当接して停止し、そして、切換弁42により第1の導水管431が循環経路に接続される点を除けば飲料容器Aの動作と同一であるので、ここでは説明を省略する。
(実施例2)
図9は本発明の異なる実施の形態を示す容器入り飲料の加熱装置を示すブロック図であり、図1に示した実施例1と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
この図9に示す実施例2においては、実施例1における温水循環用のポンプ3を不要としたものであり、図9において図1と異なる点は、図1の温水タンク2、ポンプ3に変えて過熱タンク20、バルブ30,32を設け、また、浄水器9の位置に熱媒体受け容器31を配置した点である。なお、この実施例では図1に示す温水噴射装置4を過熱媒体噴射装置40と呼ぶこととする。
前記過熱タンク20は、高温高圧にも耐えられるような剛性の高い構造をもつタンク内に、電熱ヒータが設置され内部の水が加熱される。加熱されたタンク内の水は、通常の大気圧(0.1013MPa)の状態においては、100℃で沸点に達し、しだいに蒸気へと変わっていく。この場合の、この大気圧(0.1013MPa)のことを飽和圧力と呼び、100℃の温度を飽和温度と呼ぶ。この飽和温度と飽和圧力の間には相関関係があり、圧力が高くなるほど、飽和温度も高くなる。この実施例に用いられている過熱タンク20は、密閉構造で高温高圧にも耐えられるため、加熱され100℃を超えたタンク内の水は、加熱によりタンク内の圧力が上がるにつれ、更に温度を上げていく。この100℃以上となった温水のことを、以降、過熱水と呼ぶ。また図には記載されていないが、タンクには、タンク内の圧力が一定となるよう調整する安全弁が設置されており、タンク内の圧力が設定値以上となると弁が開き、内部の圧力が低下する。
【0032】
バルブ30は過熱媒体噴射装置40に近接して配置され、過熱タンク2内の過熱水を過熱媒体噴射装置40に供給または停止するものである。過熱媒体噴射装置40の構成については、上述の実施例1と同一であり、傾斜して配置された攪拌手段5にセットされた飲料容器AまたはBに過熱水を噴射して飲料容器AまたはB内の飲料を加熱する。熱媒体受け容器31は、過熱媒体噴射装置40において飲料容器AまたはBに噴射され、該過熱媒体噴射装置40から排水される温水を貯留する。この熱媒体受け容器31に貯留された温水はバルブ32の作動により再び過熱タンク20に戻される。
【0033】
次に、過熱水の噴射による容器内飲料の加熱について説明する。なお、過熱媒体噴射装置40の動作については図1に示す実施例の温水噴射装置4と基本的に同一であるので過熱媒体噴射装置40の動作については説明を省略する。
待機状態においてバルブ30は閉じており、過熱タンク20では電熱ヒータによりタンク内に貯留している水を加熱して100℃を超える高温状態の過熱水として保持している。前記バルブ30は過熱媒体噴射装置40からの信号により制御され、投入された飲料容器A(またはB)が過熱媒体噴射装置40の所定位置に到達した際に過熱媒体噴射装置40から供給される信号によりバルブ30が開かれる。過熱タンク20内で高温高圧となった過熱水は、過熱媒体噴射装置40の手前のバルブ30が開いた後、切換弁42を介して勢い良く導水管43を経由しノズル部に達し、高温の過熱水が飲料容器に噴射される。そして、所定の加熱時間(数秒)が経過して飲料容器A(またはB)内の飲料が所定の温度(55℃前後)に加熱されると、バルブ30を閉じて温水の送水を止める。前述した飲料容器の加熱の際、過熱水の温度は非常に高いために殺菌効果も得られる。この実施例の構成では、衝突噴流を形成するノズル部に近接してバルブ30を設け、バルブ30の手前の配管内に常に高温の温水を満たすことで、バルブ30が開いた後の噴流速度と温水温度の立ち上がりが早くなり、容器内飲料の加熱時間が短縮される。また、図1に示す実施例に対して温水を送るポンプ3が不要となる。温水温度が高いほど、容器内飲料と温水との温度差が大きくなり加熱量が上がり、加熱時間が短縮する。従って、ノズル部に近接してバルブ30を設け、バルブ30手前の配管内に高温の温水を満たし、更に過熱水を用いることで、大幅な加熱時間の短縮が可能となる。
【0034】
次に、本発明に係る加熱装置は自動販売機に搭載して使用することができる。
その一例として図10に示し、 (a)は側断面図、(b)は外扉を外した状態の正面図である。図において、51は自動販売機の本体キャビネットであり、この本体キャビネット51は断熱構造をとらない筐体として構成されている。52は自動販売機の外扉、53は外扉52の中段位置に開口した商品取出口、54は外扉52の背後に設けた内扉であり、この内扉54も断熱構造をとらない扉として形成されている。55は内扉54の下部に開口した商品搬出口の開閉フラッパ、56は庫内に設置して缶商品57を収納する例えばサーペンタイン式の商品収納ラックであり、商品収納ラック56に収納した商品57は常温状態で保存されている。58は商品収納ラック56の下方に設けたシュータ、59は本体キャビネット51の下部に形成した機械室であり、この機械室59に図1に示した温水タンク2,ポンプ3が配設されている。
【0035】
ここで、庫内には複数基、この実施例では3基の商品収納ラック56が左右に並べられて収設されており、各基の商品収納ラック56と個々に対応してシュータ58,内扉54の開閉フラッパ55などが左右に並んで配列されている。また、商品取出口53は、庫内に収設した3基の前記商品収納ラック56に共用のものである。そして、外扉52と内扉54との間のスペースには、各商品収納ラック56から搬出した缶商品57を受け取って上方に持ち上げ搬送し、その上昇終端から放出して前記商品取出口53に投入させる商品リフタ60を装備しており、さらに商品リフタ60の終端と商品取出口53との間の商品放出経路の中間には、本発明による加熱装置1における温水噴射装置4が設置されている。
【0036】
この実施例における自動販売機の場合、商品選択ボタンの操作により商品収納ラック56から搬出された商品57はシュータ58を転動し、開閉フラッパ55を押し開いて商品リフタ60を構成する搬送ベルト61の上に投出される。前記商品57が商品搬出口を通過する際に開閉する開閉フラッパ55の開閉を検知して搬送ベルト61が駆動され、搬送ベルト61により商品57が横搬送を経由して縦搬送される。搬送ベルト61により搬送される商品57はその縦搬送終端において方向転換されて本発明における温水噴射装置4の機構部、具体的には、図1に示す温水噴射装置4のケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにしてケース41内に投入される。ケース41内に商品が投入されると加熱装置1の一連の動作が開始され、商品は温水噴射装置4により加熱された後、ケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出されて商品取出口53に放出される。
【0037】
また、本発明に係る加熱装置は図12に示した自動販売機に搭載して使用することができる。この場合、図12に示した自動販売機における商品冷却/加熱装置210に代えて本発明の加熱装置1を設ける。そして、図12に示した自動販売機に本発明を適用した場合、商品収納ラックから搬出された商品はシュータ207を転動する途中において温水噴射装置4のケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにしてケース41内に投入される。ケース41内に商品が投入されると加熱装置1の一連の動作が開始され、商品は温水噴射装置4により加熱された後、ケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出されて商品取出口201aに放出される。
【0038】
以上、この発明の好適な実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、温水の衝突噴流により加熱を行うため、金属容器以外の容器収納飲料にも適用可能で、また、局部加熱による品質低下を生じず、短時間で加熱を行うことができ、さらに、販売時のみ加熱を行うため、飲料は長時間高温に曝されることなく品質も低下せず、しかも大幅な低消費電力化が実現できる。また、飲料容器を過熱位置まで重力の作用を利用して搬送することが可能となり、飲料容器を過熱位置まで搬送するためのモータ等の駆動部品が不要であることから部品点数の削減とコストの低減を図ることができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる加熱装置の主要部のブロック図
【図2】図1の温水噴射装置の構成図を示し、(a)はその正面断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)はノズル部を示す拡大図
【図3】図1における攪拌手段の分解斜視図
【図4】図1の攪拌手段における昇降用モータとベースとの連結を表す説明図
【図5】図4の昇降用モータとベースとの間の不感帯を説明するためのシュータの断面図
【図6】図1における温水噴射装置の動作を示し、(a)は飲料容器の投入時の説明図、(b)は飲料容器の過熱時の説明図、(c)は飲料容器の搬出時の説明図
【図7】衝突噴流の様相を示す説明図
【図8】容器内飲料の攪拌の様相を示す説明図
【図9】本発明の異なる実施の形態に係わる加熱装置の主要部のブロック図
【図10】本発明を自動販売機に適用した場合の実施例を示し、(a)は側断面図、(b)は外扉を外した状態の正面図
【図11】従来の自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)は側面図
【図12】従来の異なる自動販売機を示す外略側面図
【図13】図12における冷却/加熱装置を示し、(a)は縦断断面図、(b)は(a)のX−X断面図
【図14】図12における冷却/加熱装置の系統図
【符号の説明】
1 加熱装置
2 温水タンク
3 ポンプ
4 温水噴射装置
5 攪拌手段
6 容器支持手段(支持ローラ)
7 回転手段(容器回転用モータ)
7A 昇降用もーた
9 浄水器
・ シュータ
16 切換弁
41 ケース
43 導水管
431 導水管
・ 導水管
433,434 滑りローラ
435,436 従動ローラ
44 ノズル部
51 ベース
71 モータ軸
72 従動軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶, びん, ペットボトルなどの容器入り飲料を急速に加熱する加熱装置及びその加熱装置を用いて容器入り飲料(商品)を販売する自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶, びん, ペットボトルなどの容器入り飲料を加熱する装置としては容器入り飲料(商品)を庫内に収納して販売する自動販売機が知られており、一般的な前記飲料商品を販売する自動販売機の従来構成を図11に示す。図において、100は前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネット、101は本体キャビネット100に開閉可能に取付けられ、本体キャビネット100の前面開口を覆う片開き式の外扉、102は本体キャビネット100の庫内前面を開閉し、上下に二分割された断熱内扉である。前記本体キャビネット100の商品収納庫内には仕切壁104により左右に並ぶ複数の商品収納室が形成され、各商品収納室には商品投入口103aから投入された商品を貯蔵する商品収納ラック(サーペンタイン式商品収納ラック)103、冷却/加熱ユニット105および商品収納ラック103から搬出した商品を商品取出口101aに送出する搬出シュータ106が装備されている。本体キャビネット100の下部における機械室には冷凍機のコンデンシングユニット107を装備している。
【0003】
前記冷却/加熱ユニット105は冷凍機コンデンシングユニット107のエバポレータである冷却器105aと電熱ヒータ105bとファン105cとの組合せからなり、ホット/コールドの運転モードに合わせて冷却器105aで冷却した冷気,もしくは電熱ヒータ105bで加熱した暖気をファン105cにより庫内に循環送風して商品収納ラック103に収納した商品を販売適温(コールド商品:5℃前後,ホット商品:55℃前後)に冷却,もしくは加熱する。
図12は異なる従来の自動販売機の全体構成を示す。図12において、200は自動販売機の本体キャビネットである。この本体キャビネット200の庫内には商品を収納した商品収納ラック204が配備されている。一般的に、商品を冷却/加熱して販売する自動販売機においては、庫内外を断熱するため、本体キャビネットは断熱構造として形成されている。一方、前記本体キャビネット200は断熱構造をとらない筐体として構成されている。したがって、本体キャビネット200の庫内の商品は常温状態で保存されている。これにより、長時間にわたって加熱状態で保存されると品質や香味が損なわれる商品も安心して販売することができる。そして、商品収納ラック204から商品取出口201aに通じる商品搬出シュータ207の途中には商品冷却/加熱装置210が設置されている。
【0004】
前記商品冷却/加熱装置210は、商品を取り込み、該商品の壁面に低温,もしくは高温の熱媒体を吹き付けるノズル(図では省略)を有する密閉形のケース211と、熱媒体の冷却/加熱源212と、前記ケース211と冷却/加熱源212との間で熱媒体を循環送流する配管系213との組合せからなる。この商品冷却/加熱装置210は、商品販売時、すなわち、コールド飲料またはホット飲料の商品選択ボタンの操作による販売指令に基づき商品収納ラック204から搬出した商品を前記ケース211に取り込む。そして、コールド飲料またはホット飲料の商品選択ボタンの操作に合わせて低温,もしくは高温の熱媒体を飲料容器の壁面に吹き付けて販売温度に冷却,もしくは加熱した後、ケース211から取出して商品取出口201aに送り出す。
【0005】
前記商品冷却/加熱装置210におけるケース211の構造を図13 (a) ,(b)に示す。図に示すように、ケース211は内外二重の円筒構造として形成され、スライド式の開閉蓋214と組合せて基台215に載置されている。開閉蓋214は基台215に敷設したスライダ(送りねじ機構)215aに連繋して矢印A方向へ移動可能に案内支持されている。前記ケース211には周方向に熱媒体の導入室211aと回収室211bが交互に並んで仕切られている。前記導入室211aには、内筒を貫通して軸方向に並ぶ複数の熱媒体噴射用のノズル216が設けられ、回収室211bの内筒には前記ノズル216に対応して軸方向に並ぶ熱媒体の回収口217が開口している。また、開閉蓋214の内面側にはケース211の内方に向け延在し、商品を横置姿勢に支える左右一対の支持ローラ218を備えている。該支持ローラ218は、開閉蓋214の外面側に取付けられた駆動モータ219で駆動されて回転する。
【0006】
また、前記商品冷却/加熱装置210の系統図を図14に示す。図に示すように、冷却/加熱源212は、冷凍機220と組合せた熱媒体の冷却槽221と、電熱ヒータ222と組合せた加熱槽223を備えている。冷却槽221,加熱槽223にはブラインとして粘性が小さく、かつ食品衛生面で使用可能な水,あるいはエチルアルコールなどの熱媒体224が貯留されている。一方、前記冷却槽221,加熱槽223とケース211との間で熱媒体を循環送流させる配管系213は、ケース211の熱媒体導入室211aに通じる送り管213aと、熱媒体回収室211bに通じる戻り管213bと、送り管路213aに接続したポンプ213cと、送り管213a,戻り管213bを冷却槽221,加熱槽223のいずれかに切換える切換弁213dとにより構成されている。
【0007】
かかる構成において、販売待機状態では前記ケース211の開閉蓋214が開放し、またポンプ213cは停止している。一方、熱媒体の冷却/加熱源212では、冷凍機220,ヒータ222により冷却槽221,加熱槽223に貯留している熱媒体224が冷却,加熱されて低温,高温状態に維持されている。ここで、商品販売時にホット飲料が選択されると、常温状態で商品収納ラック204から搬出された商品205は、商品取出口201aの手前で商品冷却/加熱装置210に取り込まれる。すなわち、商品搬出シュータ207を転動もしくは滑動して送出される商品205は、該商品搬出シュータ207を転動もしくは滑動中に商品冷却/加熱装置210に取り込まれ、支持ローラ218の上に横置姿勢に載置される。支持ローラ218の上に商品が載置されると、引き続いて駆動モータ220を作動させる。駆動モータ220の回転によりスライダ(送りねじ機構)215aが回転し、スライダ215aに連繋した開閉蓋214を閉位置に移動させる。これにより商品205はケース211の中に収容される(図14参照)。また、配管系213の切換弁213dを加熱槽223側に切換えた上でポンプ213cを始動し、加熱槽223に貯留されている高温の熱媒体224をケース211に送流する。これにより、高温の熱媒体224がノズル216の先端から噴出して商品205の飲料容器の壁面に吹き付けられる。前記ポンプ213cは商品205の品温が所定の販売温度(55℃前後)に加熱される所定の加熱時間(数十秒程度)の間継続して駆動される。そして、所定の加熱時間(数十秒程度)が経過すると、ポンプ213cを停止して熱媒体の送液を止め、続いてケース211の開閉蓋214を開いて商品205を取出し、自動販売機の商品取出口201aに送り出して1回の販売動作を終了する。なお、前記支持ローラ218は所定の加熱時間の間、駆動モータ219により駆動されて回転しており、これにより支持ローラ218に載置された商品が回転して中身飲料を攪拌している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−307213号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来装置のうち、本体キャビネット101の庫内に冷気,もしくは暖気を循環送風して商品収納ラック104に収納した商品を販売適温に保冷,もしくは保温するようにした前者の自動販売機では、消費電力,商品の品温管理面などで次のような課題がある。
(1) 本体キャビネット101は断熱筐体として製作されているものの、庫内温度と外気温度との温度差から断熱壁を伝熱して外部に逃げる熱ロス分がかなり大きく、また、庫内の商品を適温に保持するためには常時冷凍機による冷却あるいは電熱ヒータによる加熱を行う必要があり、消費電力が大きい。
【0010】
(2) 前述したように、庫内の商品は常時冷却あるいは加熱されており、冷却保存の場合には問題がないが、加熱保存の際には、例えばコーヒー飲料などの商品は長時間高温にさらされると品質が低下したり香味が低下する。
一方、商品を常温で保存し、販売時点において高温の熱媒体を商品容器の周囲に吹き付ける後者の従来装置においては、前述した前者の従来装置における課題を解決することができる。しかしながら、後者の従来装置においては、商品に吹き付けられる熱媒体は閉回路を循環するように構成されており、雑菌については加熱槽で殺菌することができるものの、熱媒体の汚れは避けることができず、熱媒体の定期的な交換が必要となり、複数の自動販売機を管理するサービスマンの手間が増加するとともに交換する熱媒体や交換した熱媒体を持ち運ばねばならず、また、熱媒体内に異物が混入するとノズルが詰まったり、ポンプが故障した場合には自動販売機の稼動を停止しなければならないという課題を有する。
【0011】
そこで、本発明の目的は前記課題を解決し、品質を維持可能な温度で保存するとともに径の異なる複数種類の容器入り飲料を急速に加熱することができ、かつ、小型化およびコストの低減化を図ることが可能な容器入り飲料の加熱装置およびこの加熱装置を装備した自動販売機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、飲料容器に向けて温水を噴射するノズル部とこのノズル部に熱媒体を導く導水管と前記ノズル部から噴射された熱媒体を排水する排水口からなる熱媒体噴射装置と、飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を前記熱媒体噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、高温の熱媒体を貯留する熱媒体貯留タンクと、この熱媒体貯留タンクに貯留された熱媒体を前記温水噴射装置に導くポンプと、前記熱媒体噴射装置の排水管からの排水を浄化する浄水器とを備え、前記熱媒体タンクとポンプと熱媒体噴射装置と浄水器を閉回路とする熱媒体循環経路を構成し、前記熱媒体噴射装置内に収納されて回転する飲料容器にノズル部から熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速に加熱する容器入り飲料の加熱装置において、前記熱媒体噴射装置のノズル部および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする(請求項1)。
【0013】
また、前記目的を達成するために本発明は、飲料容器の外壁に向けて高温高圧の過熱媒体を噴射するノズル部とこのノズル部に過熱媒体を導く導管とからなる過熱媒体噴射装置と、飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を過熱媒体噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、高温高圧の過熱媒体を貯留する過熱タンクと、この過熱タンクと前記過熱媒体噴射装置との間に配管され、前記過熱媒体噴射装置の導管に近接して配置されたバルブとを備え、前記バルブの開閉により過熱媒体噴射装置のノズル部から飲料容器の外壁に高温高圧の過熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速過熱する飲料の加熱装置において、前記過熱媒体噴射装置のノズル部および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする(請求項2)。
【0014】
この場合本発明によれば、ノズル部は傾斜した熱媒体噴射装置の下端側が小径容器の大きさに対応し、上端側に向かうにしたがって大径容器の大きさに対応するよう階段状に配置するように構成することができる(請求項3)。
そして、本発明は、自動販売機の加熱手段として前述した容器入り飲料の加熱装置を備えるものとする(請求項4)。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る請求項1に記載した発明は、熱媒体貯留タンク,ポンプ,熱媒体噴射装置の導水管,熱媒体噴射装置の配水口,浄水器および温水タンクからなる熱媒体循環経路が構成されるように配管し、熱媒体タンク内に配備、または熱媒体貯留タンクの外周に巻回した電熱ヒータにより熱媒体貯留タンク内に入れられた熱媒体を加熱し、該熱媒体を高温(例えば熱媒体が水の場合95℃)に維持する。容器入り飲料を加熱する際、まず飲料が入った飲料容器を攪拌手段の容器保持手段に投入する。この場合、容器保持手段が傾斜しているので容器保持手段に投入された飲料容器は容器保持手段の傾斜にしたがってその自重により下降して容器保持手段の所定位置に位置決めされる。そして、容器保持手段に保持された飲料容器を回転手段により回転させて容器内の飲料を攪拌させる。これと同時にポンプを駆動することにより、熱媒体貯留タンク内の高温の温水が熱媒体噴射装置の導水管を介してノズル部に導かれる。該ノズル部は容器保持手段と同様に傾斜して配置されているので、該ノズル部から噴流として飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突する。ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。一方、熱媒体噴射装置の配水管からの排水は浄水器に導かれ、ここで塵の除去や殺菌が施された後熱媒体タンクに戻されて再び高温に加熱される。
【0016】
本発明に係る請求項2に記載した発明は、過熱タンクから過熱媒体噴射装置の導水管との間の配管中に、過熱媒体噴射装置の導水管に近接してバルブを配備するように配管し、過熱タンク内に配備、または過熱タンクの外周に巻回した電熱ヒータにより過熱タンク内に入れられた熱媒体を加熱して過熱媒体とし、該過熱媒体を高温(例えば熱媒体が水の場合、飽和温度の100℃以上)に維持する。
飲料容器内の飲料を加熱する際、まず飲料が入った飲料容器を攪拌手段の容器保持手段に投入する。この場合、容器保持手段が傾斜しているので容器保持手段に投入された飲料容器は容器保持手段の傾斜にしたがってその自重により下降して容器保持手段の所定位置に位置決めされる。そして、容器保持手段に保持された飲料容器を回転手段により回転させて容器内の飲料を攪拌させる。これと同時にバルブを作動させることにより、過熱タンク内の高温高圧の過熱媒体が過熱媒体噴射装置の導水管を介して直ちにノズル部に導かれる。該ノズル部は容器保持手段と同様に傾斜して配置されているので、該ノズル部から噴流として飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突する。ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に直角に近い角度で衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。一方、過熱媒体噴射装置の配管からの排水は熱媒体受け容器に一旦蓄えられ、バルブの開閉により過熱タンクに戻されて再び高温に加熱される循環方式とすることもでき、また、一回もしくは複数回の加熱ごとに過熱タンクに熱媒体を補充する補充方式とすることもできる。
【0017】
本発明に係る請求項3に記載した発明のように、ノズル部は傾斜した熱媒体噴射装置の下端側が小径容器の大きさに対応し、上端側に向かうにしたがって大径容器の大きさに対応するよう階段状に配置するように構成することにより、飲料容器の大きさ(径)にかかわらずノズル部と飲料容器との間の距離を狭くすることができるから、該ノズル部からの噴流が飲料容器の壁面に衝突して弾かれた熱媒体(または過熱媒体)を再び飲料容器側に戻して当該飲料容器の壁面に沿って流れるようにし、これにより熱媒体(または過熱媒体)から飲料容器への熱伝達を効率良く行うことができる。
【0018】
そして、本発明に係る請求項4に記載した発明は、自動販売機の加熱手段として請求項1ないし請求項3記載のいずれかに記載の容器入り飲料の加熱装置を装備する。この場合、庫内の商品収納ラックから搬出された商品が外扉の商品取出口に搬出されるまでの経路において温水噴射装置または過熱媒体噴射装置に導かれ、温水噴射装置または過熱媒体噴射装置で急速加熱された後商品取出口に送出される。このように庫内の商品収納ラックに収納された商品は販売時点において急速加熱されて販売されるため、庫内では常温で商品を保存することが可能となり、自動販売機を断熱構造とする必要がなくなるとともに常時高温で保存する場合に比して商品の品質劣化を防止することができ、商品の香味を長期間維持することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例により説明する。
(実施例1)
図1は本発明の容器入り飲料の加熱装置を示すブロック図であり、1は加熱装置を示し、この加熱装置1は、熱媒体貯留タンクとしての温水タンク2、ポンプ3、熱媒体噴射装置としての温水噴射装置4、浄水器9からなる温水(熱媒体)循環経路が構成されるように配管される。温水タンク2はその内部に配備、または温水タンク2の外周に巻回した電熱ヒータにより温水タンク2内に入れられた水を加熱して温水とし、該温水を高温(例えば95℃)に維持する。ポンプ3は温水タンク2内の温水を温水噴射装置4に送る。温水噴射装置4は、詳しくは後述するが、傾斜して配置された攪拌手段5にセットされた飲料容器Aまたは飲料容器Bに温水を噴射して飲料容器A,B内の飲料を加熱する。攪拌手段5は、矢印A方向から投入されて傾斜したシュータ10上を滑動する飲料容器A,Bを所定位置に保持するところの、容器保持手段を構成する支持ローラ6と、飲料容器A,Bを回転させる回転手段としての容器回転用モータ7とからなり、容器回転用モータ7の始動により飲料容器A,Bを回転させて容器内の飲料を攪拌させる。
浄水器9は、温水噴射装置4において飲料容器A,Bに噴射された温水が導かれ、該温水中から塵の除去,殺菌等を施こす。浄水器9により塵の除去,殺菌等が施こされた温水は再び温水タンク2に戻される。このように、温水タンク2内の温水は温水タンク2,ポンプ3,温水噴射装置4,浄水器9からなる温水循環経路中を循環する。
【0020】
前記温水噴射装置4は、基台(不図示)に載置されるとともに傾斜して配置された円筒状のケース41と、ポンプ3の出口配管に接続された切換弁42および当該切換弁42の出口配管に接続されるとともに傾斜して配置された階段状の導水管43とからなる。前記円筒状のケース41は、矢印Aで示す飲料容器の投入口部分に設けられた投入口扉411と、矢印Bで示す飲料容器の出口部分に設けられた排出口扉412を有する。投入口扉411および排出口扉412のそれぞれはヒンジ機構(不図示)により開閉自在であるとともに常時投入口および排出口を閉塞するようばね付勢されている。導水管43は、図2(a)に示すように、内外二重の円筒体を軸線方向に略半分に切断した半円筒構造(いわゆる馬蹄形)に形成された第1の導水管431と第2の導水管432とを有する。第1の導水管431の内筒は小径の飲料容器Bの外周に対峙し、第2の導水管432の内筒は大径の飲料容器Aに対峙するように、第1の導水管431の半径に対して第2の導水管432の半径は大きく形成され、側面から見ると第1の導水管431が低く第2の導水管432が高い階段状に並べて配設されている。
【0021】
また、第1の導水管431および第2の導水管432は内筒側に複数のノズル部44が飲料容器A,Bの中心線に向かうように設けられている。このノズル部44はこの実施例では図2(c)に示すように噴射される温水の形状が円柱状を形成する直進ノズル441として構成されている。前記第1の導水管431および第2の導水管432はそれぞれ密閉して形成され、各導水管431および導水管432には切換弁42の出口管が接続されている。この切換弁42の切換えによってポンプ3により循環する温水が切換弁42を介してそれぞれ一方の導水管431,432に満たされる。第1および第2の導水管431,432内が温水によって満たされ、その圧力が一定の圧力を超えるとノズル部44から温水が勢いよく噴射される。そして、各導水管431,432の内側にはそれぞれ滑りローラ433,434および従動ローラ435,436が設けられている。滑りローラ433,434は各導水管431,432の下方端部に配置され、飲料容器A,Bの軸線と直交する方向のローラ軸に支持されるとともに飲料容器A,Bの外周縁に当接して回転する。一方、従動ローラ435,436は各導水管431,432の中央に配置され、飲料容器A,Bの軸線と平行なローラ軸に支持されるとともに飲料容器A,Bの外周縁に当接して回転する。なお、ノズル部44から噴射された温水を排水するためケース42には排水口(不図示)が形成されている。
【0022】
次に、飲料容器A,Bを保持する容器保持手段としての支持ローラ6と飲料容器A,Bを回転させる回転手段としての容器回転用モータ7からなる攪拌手段5の構成を、図3を用いて説明する。図3はシュータ10と攪拌手段5とを分解した状態を示す分解斜視図である。
図3において、51は断面コ字状のベースであり、このベース51は上端側の脚片52に設けられた軸穴54を貫通する軸(不図示)によりケース41(図1参照)に軸支され、前記軸穴54を回転中心として上下方向に揺動自在に配設されている。ベース51の胴部には穴55が設けられ、この穴55には昇降用モータ7Aの軸に連結されたピニオンと噛み合うラック7A1が後述するように係合しており、昇降用モータ7Aによってベース51は上下方向に揺動する。前記ラック7A1と穴55との係合は、図4に示すように、穴55を貫通したラック7A1の上下に、穴55よりも大きく形成された球体状の摺動部7A2,7A3が取付けられ、摺動部7A2,7A3が穴55の縁部に係合するように構成されている。したがって、ラック7A1が下降すると摺動部7A2がベース51における穴55の縁部に当接してベース51を押し下げ、ラック7Aが上昇すると摺動部7A3がベース51における穴55の縁部に当接してベース51を押し上げる。
また、ベース51の脚片52には、一方に偏った位置に容器回転用モータ7が固定され、この容器回転用モータ7のモータ軸71がベース51の他方の脚片53との間に架設されている。さらに、前記ベース51の両脚片52,53にはモータ軸71に平行な従動軸72が架設され、この従動軸72は他方の脚片53側において歯車機構(図では脚片に隠れて見えない)を介してモータ軸71と連結されている。前記モータ軸71および従動軸72にはそれぞれ4個の支持ローラ6が取付けられ、これらの支持ローラ6は上段側の2個の支持ローラ6が飲料容器Aを、下段側の2個の支持ローラ6が飲料容器Bをそれぞれ支持するように配置されている。
【0023】
前記ベース51に重ねて配置されるシュータ10は上端に形成された軸11によりケース21(図1参照)に軸支され、この軸11を回転中心として上下方向に揺動自在に配設されている。シュータ10の中央には飲料容器A,Bが滑動する円弧状の滑動面12が設けられ、この滑動面12を挟んで両側にはそれぞれ8個の穴13が設けられている。この穴13を介してモータ軸71および従動軸72に設けられたそれぞれの支持ローラ6がシュータ10上に出没可能である。前記シュータ10は引張りばね15により常時上方向(軸11を回転中心として時計方向に揺動するよう)に付勢されており、また、不図示のストッパにより図1に示す状態で停止し、それ以上上方へ移動しないように構成されている。そして、シュータ10にはベース51側に向けて突出する左右一対の連結片14(一方の連結片14はシュータ10に隠れて見えない)が設けられており、それぞれの連結片14の先端に形成された鉤がモータ軸71および従動軸72と係合可能なように構成されている。この連結片14はベース51の下降に連動してシュータ10が下降するようにするためのものである。なお、モータ軸71および従動軸72とシュータ10と連結片14の鉤との間には、図5に示すように不感帯(遊び)Pが形成されている。この不感帯(遊び)Pの役割については後述する動作の説明において説明する。
【0024】
次に、かかる構成からなる加熱装置1の動作について図4を用いて説明する。
図6(a)〜(c)はそれぞれ飲料容器Aが加熱装置1に投入された後、加熱されて排出されるまでの工程を示すものである。
図6 (a)は、飲料容器Aを加熱装置1に投入する際の説明図である。加熱装置1の待機状態において、ベース51は昇降用モータ7Aにより下降した状態に保持され、一方、シュータ10は引張りばね15(図3参照)により上方に引き上げられた状態に保持され、これによってベース51に架設されたモータ軸71および従動軸72に取付けられた支持ローラ6がシュータ10から没した下方に位置している。また、待機状態ではポンプ3は停止しているとともに温水タンク2では電熱ヒータによりタンク内に貯留している水を加熱して高温状態に保持している。
【0025】
前述した待機状態から、ケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにして飲料容器Aをケース41内に投入すると、該飲料容器Aは重力の作用によりシュータ10の滑動面12(図3参照)に落下して該滑動面12上をシュータ10の傾斜に沿って下方に滑動する。投入口扉411は飲料容器Aの通過により投入口を塞ぐように閉じられる。図6(b)に示すように、シュータ10上に落下して滑動面12を滑動する飲料容器Aの先端が第2の導水管432の下方端部に配置された滑りローラ434に当接すると飲料容器Aが第2の導水管432で覆われた状態で停止する。ここで、不図示の加熱開始ボタンを押圧操作すると、昇降用モータ7Aに正転信号が供給される。昇降用モータ7Aが駆動されることによりラック7A1(摺動部743)を介してベース51が押し上げられる(ベース51が軸穴54を支点として図において時計方向に揺動する)。そして、ベース51が、図5に示したように、モータ軸71および従動軸72とシュータ10と連結片14の鉤との間に形成された不感帯(遊び)P分だけ押し上げられると、支持ローラ6がシュータ10に穴13を貫通してシュータ10上に出現する。これによって今までシュータ10により支持されていた飲料容器Aが支持ローラ6により支持されるようになり、また、飲料容器Aの外周上部が第2の導水管432に取付けた従動ローラ436により保持される。この状態を図6(b)に示す。なお、前述したようにベース51が不感帯(遊び)P分だけ押し上げられることによって、支持ローラ6がシュータ10の上面に出現し、モータ軸71および従動軸72がシュータ10に平行するように構成されている。したがって、待機状態においては支持ローラ6がシュータ10の下方に没入しており、支持ローラ6によって投入された飲料容器Aがシュータ10の滑動面12を滑動する際の妨げとならないように構成されている。また、前述では、加熱開始ボタンを押圧操作により昇降用モータ7Aに駆動信号が供給されることについて説明したが、飲料容器Aが第2の導水管432の位置で停止したことを検出器により検出して、昇降用モータ7Aに駆動信号を供給するようにして自動化することもできる。
【0026】
図6(b)に示すようにベース51が所定位置まで押し上げられたことが位置検知スイッチにより検出されると、容器回転用モータ7およびポンプ3が起動されるとともに切換弁42により第2の導水管432が循環経路に接続される。容器回転用モータ7の起動により支持ローラ6を介して飲料容器Aは回転を開始し、飲料容器A内の飲料が攪拌される。ポンプ3が駆動されると温水タンク2内の加熱された温水は切換弁42を介して第2の導水管432に送水される。第2の導水管432内が温水で満たされ、その導水管432内の圧力が一定の圧力を超えるとノズル部44から勢いよく温水が噴射される。ノズル部44からの噴流が飲料容器Aの壁面に直角に衝突すると衝突噴流となり、衝突噴流による高い熱伝達率により飲料容器内の飲料が急速に加熱される。
【0027】
ここで、衝突噴流について図7を用いて説明する。図7に示すように、一般的に衝突噴流の流れの様相は、自由噴流領域J1、衝突噴流領域J2、壁噴流領域J3の3領域に大別される。自由噴流領域J1は、衝突物体の影響を受けない流れの領域であり、流れの場の構造は一般的な自由噴流のものとほぼ同一である。
衝突噴流領域J2は、噴流が自由噴流から壁噴流に移行する領域で、流れの方向が急激に変化するので、大きな圧力勾配ができる。従って、流れの様相は非常に複雑である。また、壁噴流領域J3は、乱流強度の極めて高い流れを形成する。
このとき、衝突噴流による熱伝達特性は、衝突噴流領域J2のよどみ点近傍J4において最も高い熱伝達率が得られる。一方、飲料容器A内の飲料はローラ6によって飲料容器Aが回転することにより攪拌されている。このように飲料容器A内の飲料を攪拌させると、温水の衝突噴流により加熱された飲料容器Aの壁面から、飲料容器Aの飲料に熱を効率良く伝えることができる。その理由は次のとおりである。すなわち、図8に示すように、飲料容器Aを回転させると、飲料Dと飲料容器Aの壁面との間に相対速度が生じ、極めて強い強制対流熱伝達を生じさせることができる。また、飲料容器A壁面との摩擦力により、飲料Dが飲料容器A壁面の回転方向と同一方向に流動するため、攪拌による乱流熱伝達が促進される。
【0028】
温水噴射装置4のノズル部44から噴射された温水は飲料容器Aを加熱した後、ケース41の底部に落下し、ケース41の底部に形成された不図示の配水口から排水される。排水口から排水された温水は浄水器9に導かれ、ここで塵の除去や殺菌が施された後、温水タンク2に戻されて再び高温に加熱される。このように、温水の噴射および飲料容器内の飲料の攪拌により飲料は急速に加熱され、所定の加熱時間(数十秒)が経過して飲料容器A内の飲料が所定の温度(55℃前後)に加熱されると、ポンプ3および容器回転用モータ7の駆動を停止して温水の送水を止めるとともに飲料容器Aの回転を停止する。
【0029】
ポンプ3および容器回転用モータ7の停止に引き続いて昇降用モータ11に逆転指令が供給される。昇降用モータ7Aの逆転によりラック7A1(摺動部742)を介してベース51が下降(軸穴54を支点として反時計方向に揺動)を開始し、図5に示す遊びP分だけベース51が下降するとモータ軸71および従動軸72がシュータ10における連結片14の先端に形成された鉤と係合する。これによりベース51の下降に伴ってシュータ10も下降(軸11を支点に反時計方向に揺動)を開始する。シュータ10が下降を開始する時点では支持ローラ6がシュータ10から没入しており、シュータ10の下降により飲料容器Aの先端が第2の導水管432の下方端部に配置された滑りローラ434から外れると、飲料容器Aは重力の作用によりシュータ10の滑動面12を、矢印B(図1参照)で示すケース41の排出口扉412に向けて滑動する。そして、飲料容器Aはケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出される。昇降用モータ7Aはベース51が所定位置まで下降したことを検出する位置検知スイッチからの検出信号に基づいて正転に転じてベース51を待機位置まで押し上げる。これにより一回の加熱動作を終了する。
【0030】
なお、前述では飲料容器Aが投入された際の動作について説明したが、飲料容器Bが投入された際には飲料容器Bが第2の導水管432の位置を通過して第1の導水管431の下方端部に配置された滑りローラ433に当接して停止し、そして、切換弁42により第1の導水管431が循環経路に接続される点を除けば飲料容器Aの動作と同一であるので、ここでは説明を省略する。
(実施例2)
図9は本発明の異なる実施の形態を示す容器入り飲料の加熱装置を示すブロック図であり、図1に示した実施例1と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
この図9に示す実施例2においては、実施例1における温水循環用のポンプ3を不要としたものであり、図9において図1と異なる点は、図1の温水タンク2、ポンプ3に変えて過熱タンク20、バルブ30,32を設け、また、浄水器9の位置に熱媒体受け容器31を配置した点である。なお、この実施例では図1に示す温水噴射装置4を過熱媒体噴射装置40と呼ぶこととする。
前記過熱タンク20は、高温高圧にも耐えられるような剛性の高い構造をもつタンク内に、電熱ヒータが設置され内部の水が加熱される。加熱されたタンク内の水は、通常の大気圧(0.1013MPa)の状態においては、100℃で沸点に達し、しだいに蒸気へと変わっていく。この場合の、この大気圧(0.1013MPa)のことを飽和圧力と呼び、100℃の温度を飽和温度と呼ぶ。この飽和温度と飽和圧力の間には相関関係があり、圧力が高くなるほど、飽和温度も高くなる。この実施例に用いられている過熱タンク20は、密閉構造で高温高圧にも耐えられるため、加熱され100℃を超えたタンク内の水は、加熱によりタンク内の圧力が上がるにつれ、更に温度を上げていく。この100℃以上となった温水のことを、以降、過熱水と呼ぶ。また図には記載されていないが、タンクには、タンク内の圧力が一定となるよう調整する安全弁が設置されており、タンク内の圧力が設定値以上となると弁が開き、内部の圧力が低下する。
【0032】
バルブ30は過熱媒体噴射装置40に近接して配置され、過熱タンク2内の過熱水を過熱媒体噴射装置40に供給または停止するものである。過熱媒体噴射装置40の構成については、上述の実施例1と同一であり、傾斜して配置された攪拌手段5にセットされた飲料容器AまたはBに過熱水を噴射して飲料容器AまたはB内の飲料を加熱する。熱媒体受け容器31は、過熱媒体噴射装置40において飲料容器AまたはBに噴射され、該過熱媒体噴射装置40から排水される温水を貯留する。この熱媒体受け容器31に貯留された温水はバルブ32の作動により再び過熱タンク20に戻される。
【0033】
次に、過熱水の噴射による容器内飲料の加熱について説明する。なお、過熱媒体噴射装置40の動作については図1に示す実施例の温水噴射装置4と基本的に同一であるので過熱媒体噴射装置40の動作については説明を省略する。
待機状態においてバルブ30は閉じており、過熱タンク20では電熱ヒータによりタンク内に貯留している水を加熱して100℃を超える高温状態の過熱水として保持している。前記バルブ30は過熱媒体噴射装置40からの信号により制御され、投入された飲料容器A(またはB)が過熱媒体噴射装置40の所定位置に到達した際に過熱媒体噴射装置40から供給される信号によりバルブ30が開かれる。過熱タンク20内で高温高圧となった過熱水は、過熱媒体噴射装置40の手前のバルブ30が開いた後、切換弁42を介して勢い良く導水管43を経由しノズル部に達し、高温の過熱水が飲料容器に噴射される。そして、所定の加熱時間(数秒)が経過して飲料容器A(またはB)内の飲料が所定の温度(55℃前後)に加熱されると、バルブ30を閉じて温水の送水を止める。前述した飲料容器の加熱の際、過熱水の温度は非常に高いために殺菌効果も得られる。この実施例の構成では、衝突噴流を形成するノズル部に近接してバルブ30を設け、バルブ30の手前の配管内に常に高温の温水を満たすことで、バルブ30が開いた後の噴流速度と温水温度の立ち上がりが早くなり、容器内飲料の加熱時間が短縮される。また、図1に示す実施例に対して温水を送るポンプ3が不要となる。温水温度が高いほど、容器内飲料と温水との温度差が大きくなり加熱量が上がり、加熱時間が短縮する。従って、ノズル部に近接してバルブ30を設け、バルブ30手前の配管内に高温の温水を満たし、更に過熱水を用いることで、大幅な加熱時間の短縮が可能となる。
【0034】
次に、本発明に係る加熱装置は自動販売機に搭載して使用することができる。
その一例として図10に示し、 (a)は側断面図、(b)は外扉を外した状態の正面図である。図において、51は自動販売機の本体キャビネットであり、この本体キャビネット51は断熱構造をとらない筐体として構成されている。52は自動販売機の外扉、53は外扉52の中段位置に開口した商品取出口、54は外扉52の背後に設けた内扉であり、この内扉54も断熱構造をとらない扉として形成されている。55は内扉54の下部に開口した商品搬出口の開閉フラッパ、56は庫内に設置して缶商品57を収納する例えばサーペンタイン式の商品収納ラックであり、商品収納ラック56に収納した商品57は常温状態で保存されている。58は商品収納ラック56の下方に設けたシュータ、59は本体キャビネット51の下部に形成した機械室であり、この機械室59に図1に示した温水タンク2,ポンプ3が配設されている。
【0035】
ここで、庫内には複数基、この実施例では3基の商品収納ラック56が左右に並べられて収設されており、各基の商品収納ラック56と個々に対応してシュータ58,内扉54の開閉フラッパ55などが左右に並んで配列されている。また、商品取出口53は、庫内に収設した3基の前記商品収納ラック56に共用のものである。そして、外扉52と内扉54との間のスペースには、各商品収納ラック56から搬出した缶商品57を受け取って上方に持ち上げ搬送し、その上昇終端から放出して前記商品取出口53に投入させる商品リフタ60を装備しており、さらに商品リフタ60の終端と商品取出口53との間の商品放出経路の中間には、本発明による加熱装置1における温水噴射装置4が設置されている。
【0036】
この実施例における自動販売機の場合、商品選択ボタンの操作により商品収納ラック56から搬出された商品57はシュータ58を転動し、開閉フラッパ55を押し開いて商品リフタ60を構成する搬送ベルト61の上に投出される。前記商品57が商品搬出口を通過する際に開閉する開閉フラッパ55の開閉を検知して搬送ベルト61が駆動され、搬送ベルト61により商品57が横搬送を経由して縦搬送される。搬送ベルト61により搬送される商品57はその縦搬送終端において方向転換されて本発明における温水噴射装置4の機構部、具体的には、図1に示す温水噴射装置4のケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにしてケース41内に投入される。ケース41内に商品が投入されると加熱装置1の一連の動作が開始され、商品は温水噴射装置4により加熱された後、ケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出されて商品取出口53に放出される。
【0037】
また、本発明に係る加熱装置は図12に示した自動販売機に搭載して使用することができる。この場合、図12に示した自動販売機における商品冷却/加熱装置210に代えて本発明の加熱装置1を設ける。そして、図12に示した自動販売機に本発明を適用した場合、商品収納ラックから搬出された商品はシュータ207を転動する途中において温水噴射装置4のケース41の投入口部分に設けられた投入口扉411を押し開くようにしてケース41内に投入される。ケース41内に商品が投入されると加熱装置1の一連の動作が開始され、商品は温水噴射装置4により加熱された後、ケース41の排出口扉412を押し開いてケース41から搬出されて商品取出口201aに放出される。
【0038】
以上、この発明の好適な実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、温水の衝突噴流により加熱を行うため、金属容器以外の容器収納飲料にも適用可能で、また、局部加熱による品質低下を生じず、短時間で加熱を行うことができ、さらに、販売時のみ加熱を行うため、飲料は長時間高温に曝されることなく品質も低下せず、しかも大幅な低消費電力化が実現できる。また、飲料容器を過熱位置まで重力の作用を利用して搬送することが可能となり、飲料容器を過熱位置まで搬送するためのモータ等の駆動部品が不要であることから部品点数の削減とコストの低減を図ることができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる加熱装置の主要部のブロック図
【図2】図1の温水噴射装置の構成図を示し、(a)はその正面断面図、(b)は(a)の左側面図、(c)はノズル部を示す拡大図
【図3】図1における攪拌手段の分解斜視図
【図4】図1の攪拌手段における昇降用モータとベースとの連結を表す説明図
【図5】図4の昇降用モータとベースとの間の不感帯を説明するためのシュータの断面図
【図6】図1における温水噴射装置の動作を示し、(a)は飲料容器の投入時の説明図、(b)は飲料容器の過熱時の説明図、(c)は飲料容器の搬出時の説明図
【図7】衝突噴流の様相を示す説明図
【図8】容器内飲料の攪拌の様相を示す説明図
【図9】本発明の異なる実施の形態に係わる加熱装置の主要部のブロック図
【図10】本発明を自動販売機に適用した場合の実施例を示し、(a)は側断面図、(b)は外扉を外した状態の正面図
【図11】従来の自動販売機を示し、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)は側面図
【図12】従来の異なる自動販売機を示す外略側面図
【図13】図12における冷却/加熱装置を示し、(a)は縦断断面図、(b)は(a)のX−X断面図
【図14】図12における冷却/加熱装置の系統図
【符号の説明】
1 加熱装置
2 温水タンク
3 ポンプ
4 温水噴射装置
5 攪拌手段
6 容器支持手段(支持ローラ)
7 回転手段(容器回転用モータ)
7A 昇降用もーた
9 浄水器
・ シュータ
16 切換弁
41 ケース
43 導水管
431 導水管
・ 導水管
433,434 滑りローラ
435,436 従動ローラ
44 ノズル部
51 ベース
71 モータ軸
72 従動軸
Claims (4)
- 飲料容器に向けて温水を噴射するノズル部とこのノズル部に熱媒体を導く導水管と前記ノズル部から噴射された熱媒体を排水する排水口からなる熱媒体噴射装置と、
飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を温水噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、
高温の熱媒体を貯留する熱媒体貯留タンクと、
この熱媒体貯留タンクに貯留された熱媒体を前記熱媒体噴射装置に導くポンプと、
前記熱媒体噴射装置の排水管からの排水を浄化する浄水器とを備え、
前記熱媒体貯留タンクとポンプと熱媒体噴射装置と浄水器を閉回路とする熱媒体循環経路を構成し、前記熱媒体噴射装置内に収納されて回転する飲料容器にノズル部から熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速加熱する容器入り飲料の加熱装置において、
前記熱媒体噴射装置のノズル部および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする容器入り飲料の加熱装置。 - 飲料容器の外壁に向けて高温高圧の過熱媒体を噴射するノズル部とこのノズル部に過熱媒体を導く導管とからなる過熱媒体噴射装置と、
飲料容器を保持する容器保持手段とこの容器保持手段に保持された飲料容器を過熱媒体噴射装置内で回転させる回転手段とからなる攪拌手段と、
高温高圧の過熱媒体を貯留する過熱タンクと、
この過熱タンクと前記過熱媒体噴射装置との間に配管され、前記過熱媒体噴射装置の導管に近接して配置されたバルブとを備え、
前記バルブの開閉により過熱媒体噴射装置のノズル部から飲料容器の外壁に高温高圧の過熱媒体を噴射して該容器外壁に衝突噴流を形成して容器内の飲料を急速過熱する飲料の加熱装置において、
前記過熱媒体噴射装置および攪拌手段の容器保持手段をそれぞれ傾斜して設置したことを特徴とする容器入り飲料の加熱装置。 - 請求項1または請求項2のいずれかに記載の加熱装置において、ノズル部は傾斜した熱媒体噴射装置または過熱媒体噴射装置の下端側が小径容器の大きさに対応し、上端側に向かうにしたがって大径容器の大きさに対応するよう階段状に配置したことを特徴とする容器入り飲料の加熱装置。
- 請求項1ないし請求項3記載のいずれかに記載の容器入り飲料の加熱装置を備えた自動販売機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003001880A JP2004213514A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 容器入り飲料の加熱装置及びこれを用いた自動販売機 |
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JP2003001880A JP2004213514A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 容器入り飲料の加熱装置及びこれを用いた自動販売機 |
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ID=32819788
Family Applications (1)
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JP2003001880A Pending JP2004213514A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 容器入り飲料の加熱装置及びこれを用いた自動販売機 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008533464A (ja) * | 2005-03-07 | 2008-08-21 | ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ | 滅菌法 |
-
2003
- 2003-01-08 JP JP2003001880A patent/JP2004213514A/ja active Pending
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JP2008533464A (ja) * | 2005-03-07 | 2008-08-21 | ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ | 滅菌法 |
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