JP2004212521A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

【課題】視認性が優れ、耐衝撃性に優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル１と保護パネル２とをポリオルガノシロキサン層３を介して密接着させた積層体であり、ポリオルガノシロキサン層３は、ＪＩＳ Ｋ６２４９に記載の可塑性試験によって２５℃で測定された可塑度が１００〜８００のポリオルガノシロキサン組成物から形成する。適度な柔らかさを有するので、液晶パネルと保護パネルとの間隙に隙間なく埋めることができ、入射する光の反射や吸収を防止すると共に、光の屈折によって生じる光の散乱を防止することができる。このため、視認性をより向上させることができる。適度な柔らかさを有するので、与えられる衝撃を吸収することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、液晶表示装置には、何らかの衝撃が加わった場合にその衝撃が直接液晶パネルに伝わらないように、液晶パネルとこの液晶パネルを保護する保護パネルとは、一定の間隙を介して設けられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、この間隙は空気層であるため、上記の液晶パネルや保護パネルを構成する材料とこの空気層との屈折率の差に起因する光の反射損失が大きく、良好な視認性が得られないという問題点を有しており、また耐衝撃性も充分なものではなかった。
【０００４】
そこで、この発明は、視認性が優れ、かつ、耐衝撃性に優れた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この発明は、液晶パネルと保護パネルとをポリオルガノシロキサン層を介して密接着させた積層体であり、上記ポリオルガノシロキサン層は、ＪＩＳ Ｋ ６２４９に記載の可塑性試験によって２５℃で測定された可塑度が１００〜８００のポリオルガノシロキサン組成物から形成された層である液晶表示装置をもちいることにより、上記課題を解決したのである。
【０００６】
所定のポリオルガノシロキサン組成物は、適度な柔らかさを有するので、液晶パネルと保護パネルとの間隙に隙間なく埋めることができ、かつ、入射する光の反射や吸収を防止すると共に、光の屈折によって生じる光の散乱を防止することができる。このため、得られる液晶表示装置の視認性をより向上させることができる。
【０００７】
また、所定のポリオルガノシロキサン組成物は、適度な柔らかさを有するので、得られる液晶表示装置に与えられる衝撃をこのポリオルガノシロキサン層に吸収することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかる液晶表示装置は、図１に示すように、液晶パネル１と保護パネル２とをポリオルガノシロキサン層３を介して密接着させた積層体である。
【０００９】
上記液晶パネル１は、液晶を２枚の透明な電極板で挟むことによって構成され、通過する光を制御して表示するものである。上記透明電極板の具体例としては、ガラス板やアクリル板等の合成樹脂板を支持板とし、この支持板に対して酸化インジウムや酸化錫等の透明導電膜を電極として貼り付けたものがあげられる。上記の電極の表面処理を調節することにより、液晶分子の配列を支持板に垂直、平行、傾斜あるいはこれらを組み合わせてねじれを持たせた配列とすることが可能になる。
【００１０】
上記保護パネル２は、上記液晶パネル１を保護する役目をするものである。また、保護と同時に光の透過率が良く、液晶パネル１の表面に現れる文字、図形等を外部から明瞭に認識可能なものである必要がある。このため、この保護パネル２の素材としては、無色透明あるいは有色透明のガラス板やアクリル板、ポリカーボネート板等の合成樹脂板が好ましい。
【００１１】
上記ポリオルガノシロキサン層３は、所定のポリオルガノシロキサン組成物から形成される層であり、入射する光の反射、吸収を防止し、また光の屈折によって生ずる光の錯乱を防止することで表示画面上に現れる文字や図形を明るく、明瞭に写し出すという機能をもつ。また、保護パネル２にかかる外的負荷の液晶パネル１への伝達を防止する機能を併せ持つ。
【００１２】
上記ポリオルガノシロキサン組成物は、ＪＩＳ Ｋ ６２４９に記載の可塑性試験によって２５℃で測定された可塑度が１００〜８００であり、２００〜６００が好ましい。可塑度が１００未満では、柔らかすぎて取扱性に劣る傾向にある。一方、可塑度が８００を超えると、硬すぎて、液晶パネル１に影響を与えることなく液晶パネル１と保護パネル２との間隙を隙間なく埋めることが困難となる。
【００１３】
また、上記ポリオルガノシロキサン組成物の温度３０℃、周波数０．１Ｈｚで測定した剪断弾性率Ｇ’は、０．０１〜５ＭＰａが好ましく、０．１〜１ＭＰａがより好ましい。０．０１ＭＰａ未満だと、柔らかすぎて取扱性に劣る傾向にある。一方、５ＭＰａを超えると、硬すぎて、液晶パネル１に影響を与えることなく液晶パネル１と保護パネル２との間隙を隙間なく埋めることが困難となる。
【００１４】
上記剪断弾性率Ｇ’は、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー（株）製の粘弾性測定装置：ＲＤＡ−ＩＩを用い、パラレルプレート法（２５ｍｍφのパラレルプレートを使用）にて、Ｓｔｒａｉｎ：０．５％、温度３０℃、周波数０．１Ｈｚの条件下で測定することによって得られる。
【００１５】
上記ポリオルガノシロキサン組成物には、必要に応じて、補強性の充填剤を含有することができる。この充填剤は、ポリオルガノシロキサン組成物に適度な可塑度と作業性を与え、かつ機機的性質を与えるためのものである。
【００１６】
上記補強性の充填剤としては、煙霧質シリカ、シリカアエロゲル、沈殿シリカのようなシリカ微粉末が例示され、そのまま用いても、表面を疎水化するために、有機ケイ素化合物で処理してもよい。
【００１７】
上記ポリオルガノシロキサン組成物には、必要に応じて、接着性付与剤を添加することができる。
【００１８】
上記接着性付与剤としては、３ーグリシドキシプロピル、２−（３，４−エボキシシクロヘキシル）エチル、ビニル、３−メタクリロキシプロピル、３−アクリロキシプロピルのようなエポキシ基又はオレフィン性二重結合を有する基から選ばれる少なくとも１種の炭素官能基を有し、かつケイ素原子に結合したメトキシ、エトキシ、２−メトキシエトキシのような置換又は非置換のアルコキシ基及び／又は水素原子を有するシラン又はシロキサンが用いられる。また、他の接着性付与剤として、ケイ素原子に結合したメトキシ、エトキシ、プロポキシ、２−メトキシエトキシのような置換又は非置換のアルコキシ基を有するケイ素官能性イソシアヌレートも用いられる。
【００１９】
このような接着性付与剤の例としては、エポキシ基含有シラン、（メタ）アクリル基含有シラン、ビニル基含有シラン等や及びそれらの部分加水分解縮合物、環状シロキサン、鎖状シロキサン、シアヌル環含有有機ケイ素化合物等があげられる。
【００２０】
上記エポキシ基含有シラン及びそれらの部分加水分解縮合物の具体例としては、３−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、３−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、３一グリシドキシプロピル（メチル）ジメトキシシラン、２−（３，４−エボキシシクロへキシル）エチルトリメトキシシラン、２−（３，４−エポキシシクロヘキシル）エチルトリエトキシシラン、２−（３，４，−エボキシシクロヘキシル）エチル（メチル）ジメトキシシランのようなエポキシ基含有シラン及びそれらの部分加水分解縮合物等があげられる。
【００２１】
上記（メタ）アクリル基含有シランおよびそれらの部分加水分解縮合物の例としては、３−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、３−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、３−メタクリロキシプロピル（メチル）ジメトキシシラン等があげられる。
【００２２】
上記ビニル基含有シランおよびそれらの部分加水分解縮合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス（２−メトキシエトキシ）シラン等があげられる。
【００２３】
上記環状シロキサンの例としては、３−グリシドキシプロピル基含有メチルハイドロジェン環状テトラシロキサン、３−メタクリロキシプロピル基含有メチルハイドロジェン環状テトラシロキサン、３−グリシドキシプロピル基含有メチルメトキシ環状シロキサン、３−グリシドキシプロピル基と２−（トリメトキシシリル）エチル基を有するメチルハイドロジェン環状シロキサン、３−メタクリロキシプロピル基と２−（トリメトキシシリル）エチル基を有するメチルハイドロジェン環状シロキサン、２−〔（３−トリメトキシシリル）プロピルオキシカルポニル〕プロピル基含有メチルハイドロジェン環状シロキサン等があげられる。
【００２４】
上記鎖状シロキサンの例としては、３−グリシドキシプロピル基含有メチルメトキシシロキサン、３−グリシドキシ基とビニル基を有するメチルハイドロジェンシロキサン、３−グリシドキシ基と２−（トリメトキシシリル）エチル基を有するメチルシロキサン等があげられる。
【００２５】
上記シアヌル環含有有機ケイ素化合物の例としては、トリス（３−トリメトキシシリルプロピル）イソシアヌレート等があげられる。
【００２６】
上記ポリオルガノシロキサン組成物の全光線透過率は、８５％以上がよく、９０％以上が好ましい。８５％未満だと、十分な透過性が得られにくくなり、視認性が十分でなくなる傾向が生じる。
【００２７】
上記ポリオルガノシロキサン層３の厚みは、視認性や耐衝撃性の点から、０．２〜３．０ｍｍが好ましく、０．５〜１．０ｍｍが特に好ましい。０．２ｍｍ未満だと、耐衝撃性に劣る傾向があり、３．０ｍｍを超えると、視認性に劣る傾向がある。
【００２８】
上記のポリオルガノシロキサン層３、液晶パネル１及び保護パネル２の密接着方法としては、上記ポリオルガノシロキサン層３、上記液晶パネル１及び保護パネル２の間に真空圧着等の方法で密接着する方法等があげられる。
【００２９】
【実施例】
（実施例１）
液晶パネル（６ｃｍ×６ｃｍ）（ＳＴＮタイプ）に、あらかじめ厚み０．５ｍｍのシート状に成形された、下記特性をもつポリオルガノシロキサン組成物を、ロール圧着した後、その上に、ガラス製保護パネル（６ｃｍ×６ｃｍ、厚さ１．１ｍｍ）（青板ガラス）をセットし、真空下、面圧１．５Ｋｇ／ｃｍ^２でプレスすることによって液晶表示装置を得た。
また、液晶表示パネルのかわりにガラス製保護パネルを用いて、上記と同様な方法により、光学特性測定用試料を得た。
【００３０】
・ポリオルガノシロキサン組成物の特性
・ＪＩＳ Ｋ ６２４９に記載されている可塑性試験にしたがって、２５℃で測定した可塑度が４５０。
・せん断法、すなわち、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー（株）製の粘弾性測定装置：ＲＤＡ−ＩＩを用い、パラレルプレート法（２５ｍｍφのパラレルプレートを使用）にて、Ｓｔｒａｉｎ：０．５％、温度３０℃、周波数０．１Ｈｚの条件下で測定した剪断弾性率Ｇ’が０．５ＭＰａ。
・ＪＩＳ Ｋ ７１０５の記載にしたがって測定した全光線透過率が９０％
【００３１】
得られた液晶表示装置及び光学特性測定用試料について下記の特性を調べた。その結果を表１に示す。
【００３２】
［ヘイズ値］
ＪＩＳ Ｋ ７１０５にしたがって、光学特性測鮭用試料のヘイズ値を測定した。
［耐衝撃性］
保護パネルを上として、液晶表示装置を銅板上に置き、保護パネルに対して、ＪＩＳ Ｂ １５０１に準拠した直径１０ｍｍの鋼球を１ｍの高さから自然落下させ、保護パネルの状態を目視観察した。
［密着性］
温度６０℃、湿度９５％に設定した恒温恒湿槽中に液晶表示装置を５００時間放置した後、液晶表示装置を目視観察した。
【００３３】
【表１】

【００３４】
【発明の効果】
この発明によると、視認性、耐衝撃性に優れた液晶表示装置を得ることができる。さらに、密着性にも優れた液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】液晶表示装置の例を示す断面図
【符号の説明】
１ 液晶パネル
２ 保護パネル
３ ポリオルガノシロキサン層

Claims (3)

1. 液晶パネルと保護パネルとをポリオルガノシロキサン層を介して密接着させた積層体であり、上記ポリオルガノシロキサン層は、ＪＩＳ Ｋ６２４９に記載の可塑性試験によって２５℃で測定された可塑度が１００〜８００のポリオルガノシロキサン組成物から形成された層である液晶表示装置。
2. 上記ポリオルガノシロキサン組成物の剪断弾性率Ｇ’が０．０１〜５ＭＰａ（温度３０℃、周波数０．１Ｈｚ）である請求項１に記載の液晶表示装置。
3. 上記ポリオルガノシロキサン組成物の全光線透過率が８５％以上である請求項１又は２に記載の液晶表示装置。

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