JP2004211655A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性及び性能が向上し、小型化を図れるスクロール型圧縮機を提供する。
【解決手段】スラスト軸受40には、旋回スクロール4に対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段41と、加圧手段41で低減されたスラスト力を受ける玉軸受42とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】スラスト軸受40には、旋回スクロール4に対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段41と、加圧手段41で低減されたスラスト力を受ける玉軸受42とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、冷媒や空気等を圧縮する圧縮機は、現在様々なものが提供されているが、その一つとしてスクロール型圧縮機が知られている。
スクロール型圧縮機は、固定スクロール及び旋回スクロールを備えており、固定スクロールは、端板の一面側に渦巻状突起が形成されケーシング内に固定されている。旋回スクロールは、固定スクロールと同様に端板の一面側に渦巻状突起が形成されており、固定スクロールの渦巻状突起に噛み合うようにケーシング内に旋回自在に支持されている。これら固定スクロールと旋回スクロ−ルとの渦巻状突起がそれぞれ噛み合わさることにより、三日月状の圧縮室が形成されている。
【0003】
このスクロール型圧縮機においては、固定スクロールに対して旋回スクロールが公転旋回運動することにより、導入した冷媒ガスを圧縮室にて圧縮させることができる。このとき旋回スクロールには、圧縮時に発生した大きなスラスト力が作用し、固定スクロールから離れる方向に押圧されている。このスラスト力により冷媒ガスの漏れ、圧縮効率の低下等が起因されるので、これを防止するため、スラスト力に対抗するように旋回スクロールの背圧側を軸受を用いて支持させている。
このようなスラスト力を支持するスラスト軸受としては、各種のものが提供されており、例えばスラスト玉軸受を用いたものや静圧軸受を用いたものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−346062号公報(第24−28段落、第1−3図)
【特許文献2】
特開2002−195173号公報(第21−26段落、第1−6図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来スクロール型圧縮機においては、スラスト軸受にスラスト玉軸受を用いた場合は、スラスト荷重により玉が磨耗するので、長期間の耐久性がなく信頼性が劣るという問題があった。
よって、玉の寿命期間を延ばすため玉の直径を大きくしたり、玉の個数を増加すると、スペースを必要とするので大型化するといった問題があった。
また、スラスト軸受に静圧軸受を用いた場合は、玉を使用しないので半永久的に使用することが可能であるが、旋回スクロールとの摩擦係数が大きいので静圧軸受での機械損失が大きくなり、圧縮効率の低下を招いて圧縮性能が低下するといった問題があった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、信頼性及び圧縮性能が向上し、小型化を図れるスクロール型圧縮機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、固定スクロールと、該固定スクロールと組み合わされて圧縮室を形成し、前記固定スクロールに対して自転を阻止されつつ公転旋回運動することで前記圧縮室内の被圧縮流体を圧縮する旋回スクロールと、該旋回スクロールに生じるスラスト力を受けるスラスト軸受と、前記旋回スクロールを回転駆動する駆動軸とを備えたスクロール型圧縮機において、前記スラスト軸受は、前記旋回スクロールに対して前記スラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、該加圧手段で低減された前記スラスト力を受ける玉軸受とが備えられていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、スラスト軸受は、旋回スクロールに対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、加圧手段で低減されたスラスト力を受ける玉軸受とを備えているので、玉軸受に働くスラスト力の負担が低減され、玉軸受の耐久性が向上する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスクロール型圧縮機において、前記加圧手段は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、前記旋回スクロールに対して前記流体圧を吐出する吐出口を有し、前記玉軸受は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、かつ前記吐出口よりも外径側に配置された複数の凹部と、これら凹部内に保持されたボールとを有することを特徴とするものである。
【0010】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、玉軸受は、吐出口よりも外径側に配置されているので、旋回スクロールの中心側の圧縮室より発生する高いスラスト力を効果的に軽減できる。また、ボールは摩擦係数が小さいので、ボールと旋回スクロールとの磨耗が低減する。更に、ボールは、旋回スクロールの外径側に配置されるので、安定して旋回スクロールを支持できる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のスクロール型圧縮機において、前記加圧手段は、前記流体圧に油圧を用い、前記各凹部と前記加圧手段との間には、前記旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、ボールが保持された凹部と加圧手段との間には、旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられているので、油をボールの潤滑油としても有効に利用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の一実施の形態について説明する。
図1から図4は、この発明の第一の実施形態を示した図である。
図1に示すスクロール型圧縮機1は、ケーシング2、固定スクロール3、旋回スクロール4とを備えている。
ケーシング2は、カップ状のケーシング本体2aと、フロントケーシング2bとから構成され、これらはボルト5により互いに結合されている。フロントケーシング2bには、駆動軸6が挿通され、メイン軸受7及びサブ軸受8を介してフロントケーシング2bに回転自在に支持されている。また、駆動軸6には、図示しない駆動源の回転が伝達されるよう構成されている。
【0014】
固定スクロール3は、端板3aと端板3aの一端面(紙面に対して左側)に形成された渦巻形状のラップ3bとを備えており、ケーシング本体2aにボルト10にて固定されている。
また、端板3aには、吐出ポート16が穿設されており、この吐出ポート16を開閉させる吐出弁17a及びそれを抑えている規制部材17bが、固定スクロール3の背面に位置してボルト18により端板3aに固定されている。
また、高圧室14には吐出口19が連通され、この吐出口19には管路20が連結され、更に、この管路20には油分離器21が設けられている。そして、油分離器21は、ケーシング本体2aに形成された流路22と管路23により連結されている。
【0015】
旋回スクロール4は、図2に示すように端板4aと、ラップ4b及びボス4cとを備えている。端板4aの一端面(紙面に対して上側)には、固定スクロール3のラップ3bと同一形状である渦巻形状のラップ4bが形成されている。この旋回スクロール4と固定スクロール3とは、それぞれラップ3b、4bを対向させて噛み合わされている。このとき、旋回スクロール4と固定スクロール3とは、相互に公転旋回半径ρだけ偏心し、かつ、180°だけ位相をずらして噛み合わされている。
【0016】
また、固定スクロール3のラップ3bの先端に埋設された図示しないチップシールは、旋回スクロール4の端板4aの内面に密接されており、同様に旋回スクロール4のラップ4bの先端に埋設された図示しないチップシールも、固定スクロール3の端板3aの内面に密接されている。また、各ラップ3b、4bの側面は、互いに複数箇所にて密接されている。これにより、固定スクロール3と旋回スクロール4との間には、渦巻状の中心に対して略点対称をなす複数の密閉空間とされた圧縮室25が形成される。また、固定スクロール3と旋回スクロール4との間には、旋回スクロール4の自転を阻止して公転を許容する図示しない自転防止リングが設けられている。
【0017】
旋回スクロール4のボス4cは、端板4aの他端面(紙面に対して下側)に円筒状に形成されている。このボス4cの内部には、ドライブブッシュ26がラジアル軸受を兼ねる旋回軸受27を介して回動自在に収容されており、ドライブブッシュ26に穿設された貫通孔28内には駆動軸6に一体形成された偏心軸29が回動自在に嵌合されている。
【0018】
端板4aの他端面の外周縁には、環状のスラストプレート30が埋設され、ボルト31により端板4aに固定されている。また、スラストプレート30とフロントケーシング2bとの間には、スラスト部材32が駆動軸6の軸線周りに環状配置されている。このスラスト部材32には、環状の溝32aが形成されており、溝32aの底部に環状のスラストプレート33が配置され、スラストプレート33上に環状のリテーナ34が配置されている。これらスラスト部材32、スラストプレート33及びリテーナ34は、共にボルト35によりフロントケーシング2bに固定されている。
【0019】
また、スラスト部材32には、スラストプレート30に対向する面でリテーナ34の内径側に油圧ポケット36(吐出口)が環状に形成され、この油圧ポケット36の底面の一部に連結するよう流路37が形成されている。また、流路37の他方側は、ケーシング本体2aに形成された流路22に連結されている。
ここで、図3に示すようにリテーナ34は、環状に形成されており、ボールを保持する保持孔34a(凹部)が複数個環状配置され、各保持孔34a内にはボール38がそれぞれ保持されている。このボール38は、図2に示すようにリテーナ34より突出し、スラストプレート30、33の双方に当接している。また、スラストプレート30とスラスト部材32との間が所定間隔を有するように、ボール38の直径、リテーナ34の高さ等が設定されている。
これらスラスト部材32、スラストプレート33、リテーナ34、油圧ポケット36、流路37及びボール38は、スラスト軸受40を構成している。また、油圧ポケット36及び流路37は加圧手段41を、スラスト部材32、スラストプレート33、リテーナ34及びボール38は玉軸受42をそれぞれ構成している。
【0020】
このスクロール型圧縮機1においては、駆動源の回転が駆動軸6に伝達されると、駆動軸6の回転は、偏心軸29、貫通孔28、ドライブブッシュ26、旋回軸受27及びボス4cを介して旋回スクロール4を駆動させる。旋回スクロール4は、自転防止リングにより自転を阻止されつつ、固定スクロール3に対して半径ρの公転旋回運動を行う。旋回スクロール4が公転旋回運動すると、固定スクロール3のラップ3bと旋回スクロール4のラップ4bとの線接触部は、順次渦巻の中心方向に移動するので、圧縮室25は容積を減少しながら渦巻の中心方向に移動する。これに伴いケーシング本体2aに形成された吸入口(図示せず)から低圧室13に流入した冷媒ガス等の作動ガス(矢印A)は、ラップ3bとラップ4bとの外終端開口部から圧縮室25内に取り込まれ、順次圧縮されて中心部に移動する。
この圧縮された高圧ガスは、吐出ポート16を通り吐出弁17a及び規制部材17bを押開いて高圧室14を通り吐出口19に吐出される。吐出された高圧ガスは、管路20を通過する際に油分離器21にて油分を除去される。この捕集された油分は、高圧油として流路23、22及び37を介して油圧ポケット36に導入される。
【0021】
また、圧縮室25内で圧縮された高圧ガスは、スラスト力を発生し旋回スクロール4をスラスト軸受40方向に押圧させるが、油圧ポケット36に導入された高圧油は、旋回スクロール4のスラスト荷重に対抗するよう旋回スクロール4に押圧力を与えるので、そのスラスト荷重を軽減できる。なお、この高圧油の圧力は、旋回スクロール4のスラスト荷重に対して低い値になるように設定される。よって、旋回スクロール4は、固定スクロール3側に浮き上がることはなく、スラストプレート30は常にボール38と当接状態が維持されている。
また、スラストプレート30は、ボール38に当接しているので、スラスト荷重は直接ボール38により支持されている。なお、ボール38は、リテーナ34の保持孔34a内にて旋回スクロール4と同位相で公転旋回を行うので、スラスト荷重を常に支持させている。
【0022】
ここで、圧縮室25で圧縮される作動ガスは、渦巻の中心部において最も圧力が高いので、図4に示すように、旋回スクロール4を押圧するスラスト荷重Fの分布も同様に旋回スクロール4の中心部において最も高く、旋回スクロール4の外径に向けて次第に低下していく。このように旋回スクロール4を押圧するスラスト荷重Fは、旋回スクロール4の位置に応じて荷重分布を有している。
油圧ポケット36は、ボール38の内側で中心に近い位置に設けられているので、旋回スクロール4の中心部の高いスラスト荷重Fを効果的に軽減できる。仮に、油圧ポケット36がボール38の外側に設けられている場合には、旋回スクロール4に作用している荷重差が更に助長され、旋回スクロール4にたわみ等の変形が生じる恐れがある。
更に、ボール38が外側に設けられているので、旋回スクロール4のより外径側において直接スラスト荷重を支持できる。よって、安定して旋回スクロール4を支持できる。
【0023】
上述したように、スクロール型圧縮機1は、加圧手段41と玉軸受42とが併設されたスラスト軸受40を備えているので、油圧ポケット36内の高圧油が旋回スクロール4のスラスト荷重を軽減させ、ボール38に働くスラスト荷重の負担を軽減できる。従って、ボール38の磨耗が減りボール38の寿命を延ばすので、耐久性が良くなり、信頼性を向上させることができる。
また、ボール38を利用しているので、摩擦係数を小さくできる。よって、機械損失が軽減するので、圧縮効率が増加し性能を向上させることができる。
更に、油圧ポケット36は、ボール38の内側で旋回スクロール4の中心に近い位置に設けられているので、旋回スクロール4の中心部の高いスラスト荷重を効果的に軽減できる。従って、旋回スクロール4のたわみ等の変形が防止でき、作動ガスの漏れがなくなることからも圧縮効率が増加し性能を向上させることができる。
更には、直接スラスト荷重を受けるボール38が、旋回スクロール4の外径側に配置されているので、安定して旋回スクロール4を支持できる。よって、安定かつ円滑に公転旋回運動を行い圧縮が安定して行われることからも、性能を向上させることができる。
【0024】
図5は、この発明の第二の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図1から図4に示すものとその基本的構成は同一であるが、図3に示すスラスト軸受40の構成が異なっている。なお、図5において、図1から図4の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0025】
図5に示すスラスト軸受50は、スラスト部材32及びリテーナ34に流路51(導入路)が形成されている。この流路51は、油圧ポケット36と各保持孔34aとの間に設けられ、互いに連結可能な構成とされている。
このスクロール型圧縮機1は、スラスト軸受50の油圧ポケット36に導入されている高圧油を流路51を介して積極的に各保持孔34a内に導入できる。よって、高圧油をボール38の潤滑油としても有効に利用することができる。また、ボール38の動きが円滑となりボール38の磨耗が減少されるので、ボールの寿命を更に延ばすことができる。
更に、ボール38の潤滑油系統を別途設ける必要がないので、構成を簡単にし小型化を図ることができる。
【0026】
図6、図7は、この発明の第三の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図1から図4に示すものとその基本的構成は同一であるが、図2、図3に示すスラスト軸受40の構成が異なっている。即ち、スラスト部材32を備えていない構成とされている。なお、図6、図7において、図1から図4の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0027】
図6、図7に示すスラスト軸受60は、スラストプレート33、リテーナ34、ボール38及び流路37とを備えている。リテーナ34は、その内側に油圧ポケット36が形成され、油圧ポケット36と各保持孔34aとの間には流路61(導入路)が形成されている。この流路61によって油圧ポケット36は、各保持孔34aに連結される構成となっている。また、リテーナ34及びスラストプレート33には、流路37が形成され、流路の一方は油圧ポケット36の底面の一部に連結され、他方はケーシング本体2aに形成された流路22に連結されている。
このように構成されたスラスト軸受60は、フロントケーシング2bと旋回スクロール4との間に位置して、ボルト35によりフロントケーシング2bに固定されている。また、これらスラストプレート33、リテーナ34及びボール38は、玉軸受62を構成している。
【0028】
このスクロール型圧縮機1は、スラスト軸受60のリテーナ34に油圧ポケット36が形成されている構成なので、リテーナ34のスペースを有効に利用してリテーナ34をより機能的に使用できる。よって、油圧ポケット36のために新たな部材を設ける必要がなく、構成を簡単にするのでより小型化を図ることができる。
【0029】
図8は、この発明の第四の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図6、図7に示すものとその基本的構成は同一であるが、油圧ポケット36の構成が異なっている。なお、図8において、図7の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0030】
図8に示すスラスト軸受70は、リテーナ34の内側に油圧ポケット71(導入路)が保持孔34aと同数個環状配置され、かつ、各保持孔34a間に油圧ポケット71が位置するよう形成されている。この油圧ポケット71の少なくとも一つの底部には流路37が連結され、各油圧ポケット71は、リテーナ34内部にて図示しない流路によってそれぞれ連結されている。また、各油圧ポケット71と各保持孔34aとの間には、流路72(導入路)がそれぞれ設けられている。この流路37及び油圧ポケット71は、加圧手段73を構成している。
このスクロール型圧縮機1は、油圧ポケット71と保持孔34aとをリテーナ34上に効率よく配置できるので、リテーナ34をより小さくでき、更に小型化を図ることができる。
【0031】
また、図9に示す第五の実施形態のように、油圧ポケット71の数を保持孔34aより少ない構成としても良い。この場合は、油圧ポケット71の高圧油を効率よく保持孔34aに導入できるので、油圧ポケット71の数を減らし、より簡単に作製することができる。
【0032】
なお、上記の実施の形態においては、油圧ポケット36、71は、上記の構成に限られるものではなく、旋回スクロール4に対して、スラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える構成であれば良い。
また、油圧ポケット36、71の高圧油は、油分離機21から導入される構成としたが、これに限られるものではなく、高圧油が導入できる構成であれば良い。
また、油圧ポケット36、71と保持孔34aとを連結する流路51、61、72は、上記の構成に限られるものではなく、保持孔34aに高圧油が導入できる構成であれば良い。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、スラスト軸受は、旋回スクロールに対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、加圧手段で低減されたスラスト力を受ける玉軸受とを備えているので、玉軸受に働くスラスト力の負担が低減され、玉軸受の耐久性が向上する。よって、長期間使用することができ、信頼性を向上させることができる。
【0034】
請求項2に係る発明によれば、玉軸受は、吐出口よりも外径側に配置されているので、旋回スクロールの中心側の圧縮室より発生する高いスラスト力を効果的に軽減できる。よって、スラスト力による旋回スクロールのたわみ等の変形が防止でき、圧縮室からの漏れがなくなるので、圧縮効率を高め性能を向上させることができる。
また、ボールは摩擦係数が小さいので、ボールと旋回スクロールとの磨耗が低減する。よって、機械損失が低減し圧縮効率を高めることからも、性能を向上させることができる。
更に、ボールは、旋回スクロールの外径側に配置されるので、安定して旋回スクロールを支持できる。よって、安定かつ円滑に公転旋回運動を行い圧縮が安定して行われることからも、性能を向上させることができる。
【0035】
請求項3に係る発明によれば、ボールが保持された凹部と加圧手段との間には、旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられているので、油をボールの潤滑油として有効に利用できる。よって、ボールへの潤滑系統を別途設ける必要がないので、構成が容易にでき小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクロール型圧縮機の第一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示すスクロール型圧縮機の要部を拡大した断面図である。
【図3】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、スラスト軸受の上部断面図である。
【図4】旋回スクロ−ルに作用する荷重を示す図である。
【図5】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第二のスラスト軸受の上部断面図である。
【図6】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第三のスラスト軸受の上部断面図である。
【図7】図6に示すスラスト軸受のC−C線矢視図である。
【図8】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第四のスラスト軸受の上部断面図である。
【図9】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第五のスラスト軸受の上部断面図である。
【符号の説明】
1 スクロール型圧縮機
3 固定スクロール
4 旋回スクロール
6 駆動軸
25 圧縮室
41、73 加圧手段
42、62 玉軸受
34a 凹部(保持孔)
36、71 吐出口(油圧ポケット)
51、61、72 導入路(流路)
38 ボール
40、50、60、70 スラスト軸受
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、冷媒や空気等を圧縮する圧縮機は、現在様々なものが提供されているが、その一つとしてスクロール型圧縮機が知られている。
スクロール型圧縮機は、固定スクロール及び旋回スクロールを備えており、固定スクロールは、端板の一面側に渦巻状突起が形成されケーシング内に固定されている。旋回スクロールは、固定スクロールと同様に端板の一面側に渦巻状突起が形成されており、固定スクロールの渦巻状突起に噛み合うようにケーシング内に旋回自在に支持されている。これら固定スクロールと旋回スクロ−ルとの渦巻状突起がそれぞれ噛み合わさることにより、三日月状の圧縮室が形成されている。
【0003】
このスクロール型圧縮機においては、固定スクロールに対して旋回スクロールが公転旋回運動することにより、導入した冷媒ガスを圧縮室にて圧縮させることができる。このとき旋回スクロールには、圧縮時に発生した大きなスラスト力が作用し、固定スクロールから離れる方向に押圧されている。このスラスト力により冷媒ガスの漏れ、圧縮効率の低下等が起因されるので、これを防止するため、スラスト力に対抗するように旋回スクロールの背圧側を軸受を用いて支持させている。
このようなスラスト力を支持するスラスト軸受としては、各種のものが提供されており、例えばスラスト玉軸受を用いたものや静圧軸受を用いたものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−346062号公報(第24−28段落、第1−3図)
【特許文献2】
特開2002−195173号公報(第21−26段落、第1−6図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来スクロール型圧縮機においては、スラスト軸受にスラスト玉軸受を用いた場合は、スラスト荷重により玉が磨耗するので、長期間の耐久性がなく信頼性が劣るという問題があった。
よって、玉の寿命期間を延ばすため玉の直径を大きくしたり、玉の個数を増加すると、スペースを必要とするので大型化するといった問題があった。
また、スラスト軸受に静圧軸受を用いた場合は、玉を使用しないので半永久的に使用することが可能であるが、旋回スクロールとの摩擦係数が大きいので静圧軸受での機械損失が大きくなり、圧縮効率の低下を招いて圧縮性能が低下するといった問題があった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、信頼性及び圧縮性能が向上し、小型化を図れるスクロール型圧縮機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、固定スクロールと、該固定スクロールと組み合わされて圧縮室を形成し、前記固定スクロールに対して自転を阻止されつつ公転旋回運動することで前記圧縮室内の被圧縮流体を圧縮する旋回スクロールと、該旋回スクロールに生じるスラスト力を受けるスラスト軸受と、前記旋回スクロールを回転駆動する駆動軸とを備えたスクロール型圧縮機において、前記スラスト軸受は、前記旋回スクロールに対して前記スラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、該加圧手段で低減された前記スラスト力を受ける玉軸受とが備えられていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、スラスト軸受は、旋回スクロールに対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、加圧手段で低減されたスラスト力を受ける玉軸受とを備えているので、玉軸受に働くスラスト力の負担が低減され、玉軸受の耐久性が向上する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスクロール型圧縮機において、前記加圧手段は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、前記旋回スクロールに対して前記流体圧を吐出する吐出口を有し、前記玉軸受は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、かつ前記吐出口よりも外径側に配置された複数の凹部と、これら凹部内に保持されたボールとを有することを特徴とするものである。
【0010】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、玉軸受は、吐出口よりも外径側に配置されているので、旋回スクロールの中心側の圧縮室より発生する高いスラスト力を効果的に軽減できる。また、ボールは摩擦係数が小さいので、ボールと旋回スクロールとの磨耗が低減する。更に、ボールは、旋回スクロールの外径側に配置されるので、安定して旋回スクロールを支持できる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のスクロール型圧縮機において、前記加圧手段は、前記流体圧に油圧を用い、前記各凹部と前記加圧手段との間には、前記旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係るスクロール型圧縮機においては、ボールが保持された凹部と加圧手段との間には、旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられているので、油をボールの潤滑油としても有効に利用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の一実施の形態について説明する。
図1から図4は、この発明の第一の実施形態を示した図である。
図1に示すスクロール型圧縮機1は、ケーシング2、固定スクロール3、旋回スクロール4とを備えている。
ケーシング2は、カップ状のケーシング本体2aと、フロントケーシング2bとから構成され、これらはボルト5により互いに結合されている。フロントケーシング2bには、駆動軸6が挿通され、メイン軸受7及びサブ軸受8を介してフロントケーシング2bに回転自在に支持されている。また、駆動軸6には、図示しない駆動源の回転が伝達されるよう構成されている。
【0014】
固定スクロール3は、端板3aと端板3aの一端面(紙面に対して左側)に形成された渦巻形状のラップ3bとを備えており、ケーシング本体2aにボルト10にて固定されている。
また、端板3aには、吐出ポート16が穿設されており、この吐出ポート16を開閉させる吐出弁17a及びそれを抑えている規制部材17bが、固定スクロール3の背面に位置してボルト18により端板3aに固定されている。
また、高圧室14には吐出口19が連通され、この吐出口19には管路20が連結され、更に、この管路20には油分離器21が設けられている。そして、油分離器21は、ケーシング本体2aに形成された流路22と管路23により連結されている。
【0015】
旋回スクロール4は、図2に示すように端板4aと、ラップ4b及びボス4cとを備えている。端板4aの一端面(紙面に対して上側)には、固定スクロール3のラップ3bと同一形状である渦巻形状のラップ4bが形成されている。この旋回スクロール4と固定スクロール3とは、それぞれラップ3b、4bを対向させて噛み合わされている。このとき、旋回スクロール4と固定スクロール3とは、相互に公転旋回半径ρだけ偏心し、かつ、180°だけ位相をずらして噛み合わされている。
【0016】
また、固定スクロール3のラップ3bの先端に埋設された図示しないチップシールは、旋回スクロール4の端板4aの内面に密接されており、同様に旋回スクロール4のラップ4bの先端に埋設された図示しないチップシールも、固定スクロール3の端板3aの内面に密接されている。また、各ラップ3b、4bの側面は、互いに複数箇所にて密接されている。これにより、固定スクロール3と旋回スクロール4との間には、渦巻状の中心に対して略点対称をなす複数の密閉空間とされた圧縮室25が形成される。また、固定スクロール3と旋回スクロール4との間には、旋回スクロール4の自転を阻止して公転を許容する図示しない自転防止リングが設けられている。
【0017】
旋回スクロール4のボス4cは、端板4aの他端面(紙面に対して下側)に円筒状に形成されている。このボス4cの内部には、ドライブブッシュ26がラジアル軸受を兼ねる旋回軸受27を介して回動自在に収容されており、ドライブブッシュ26に穿設された貫通孔28内には駆動軸6に一体形成された偏心軸29が回動自在に嵌合されている。
【0018】
端板4aの他端面の外周縁には、環状のスラストプレート30が埋設され、ボルト31により端板4aに固定されている。また、スラストプレート30とフロントケーシング2bとの間には、スラスト部材32が駆動軸6の軸線周りに環状配置されている。このスラスト部材32には、環状の溝32aが形成されており、溝32aの底部に環状のスラストプレート33が配置され、スラストプレート33上に環状のリテーナ34が配置されている。これらスラスト部材32、スラストプレート33及びリテーナ34は、共にボルト35によりフロントケーシング2bに固定されている。
【0019】
また、スラスト部材32には、スラストプレート30に対向する面でリテーナ34の内径側に油圧ポケット36(吐出口)が環状に形成され、この油圧ポケット36の底面の一部に連結するよう流路37が形成されている。また、流路37の他方側は、ケーシング本体2aに形成された流路22に連結されている。
ここで、図3に示すようにリテーナ34は、環状に形成されており、ボールを保持する保持孔34a(凹部)が複数個環状配置され、各保持孔34a内にはボール38がそれぞれ保持されている。このボール38は、図2に示すようにリテーナ34より突出し、スラストプレート30、33の双方に当接している。また、スラストプレート30とスラスト部材32との間が所定間隔を有するように、ボール38の直径、リテーナ34の高さ等が設定されている。
これらスラスト部材32、スラストプレート33、リテーナ34、油圧ポケット36、流路37及びボール38は、スラスト軸受40を構成している。また、油圧ポケット36及び流路37は加圧手段41を、スラスト部材32、スラストプレート33、リテーナ34及びボール38は玉軸受42をそれぞれ構成している。
【0020】
このスクロール型圧縮機1においては、駆動源の回転が駆動軸6に伝達されると、駆動軸6の回転は、偏心軸29、貫通孔28、ドライブブッシュ26、旋回軸受27及びボス4cを介して旋回スクロール4を駆動させる。旋回スクロール4は、自転防止リングにより自転を阻止されつつ、固定スクロール3に対して半径ρの公転旋回運動を行う。旋回スクロール4が公転旋回運動すると、固定スクロール3のラップ3bと旋回スクロール4のラップ4bとの線接触部は、順次渦巻の中心方向に移動するので、圧縮室25は容積を減少しながら渦巻の中心方向に移動する。これに伴いケーシング本体2aに形成された吸入口(図示せず)から低圧室13に流入した冷媒ガス等の作動ガス(矢印A)は、ラップ3bとラップ4bとの外終端開口部から圧縮室25内に取り込まれ、順次圧縮されて中心部に移動する。
この圧縮された高圧ガスは、吐出ポート16を通り吐出弁17a及び規制部材17bを押開いて高圧室14を通り吐出口19に吐出される。吐出された高圧ガスは、管路20を通過する際に油分離器21にて油分を除去される。この捕集された油分は、高圧油として流路23、22及び37を介して油圧ポケット36に導入される。
【0021】
また、圧縮室25内で圧縮された高圧ガスは、スラスト力を発生し旋回スクロール4をスラスト軸受40方向に押圧させるが、油圧ポケット36に導入された高圧油は、旋回スクロール4のスラスト荷重に対抗するよう旋回スクロール4に押圧力を与えるので、そのスラスト荷重を軽減できる。なお、この高圧油の圧力は、旋回スクロール4のスラスト荷重に対して低い値になるように設定される。よって、旋回スクロール4は、固定スクロール3側に浮き上がることはなく、スラストプレート30は常にボール38と当接状態が維持されている。
また、スラストプレート30は、ボール38に当接しているので、スラスト荷重は直接ボール38により支持されている。なお、ボール38は、リテーナ34の保持孔34a内にて旋回スクロール4と同位相で公転旋回を行うので、スラスト荷重を常に支持させている。
【0022】
ここで、圧縮室25で圧縮される作動ガスは、渦巻の中心部において最も圧力が高いので、図4に示すように、旋回スクロール4を押圧するスラスト荷重Fの分布も同様に旋回スクロール4の中心部において最も高く、旋回スクロール4の外径に向けて次第に低下していく。このように旋回スクロール4を押圧するスラスト荷重Fは、旋回スクロール4の位置に応じて荷重分布を有している。
油圧ポケット36は、ボール38の内側で中心に近い位置に設けられているので、旋回スクロール4の中心部の高いスラスト荷重Fを効果的に軽減できる。仮に、油圧ポケット36がボール38の外側に設けられている場合には、旋回スクロール4に作用している荷重差が更に助長され、旋回スクロール4にたわみ等の変形が生じる恐れがある。
更に、ボール38が外側に設けられているので、旋回スクロール4のより外径側において直接スラスト荷重を支持できる。よって、安定して旋回スクロール4を支持できる。
【0023】
上述したように、スクロール型圧縮機1は、加圧手段41と玉軸受42とが併設されたスラスト軸受40を備えているので、油圧ポケット36内の高圧油が旋回スクロール4のスラスト荷重を軽減させ、ボール38に働くスラスト荷重の負担を軽減できる。従って、ボール38の磨耗が減りボール38の寿命を延ばすので、耐久性が良くなり、信頼性を向上させることができる。
また、ボール38を利用しているので、摩擦係数を小さくできる。よって、機械損失が軽減するので、圧縮効率が増加し性能を向上させることができる。
更に、油圧ポケット36は、ボール38の内側で旋回スクロール4の中心に近い位置に設けられているので、旋回スクロール4の中心部の高いスラスト荷重を効果的に軽減できる。従って、旋回スクロール4のたわみ等の変形が防止でき、作動ガスの漏れがなくなることからも圧縮効率が増加し性能を向上させることができる。
更には、直接スラスト荷重を受けるボール38が、旋回スクロール4の外径側に配置されているので、安定して旋回スクロール4を支持できる。よって、安定かつ円滑に公転旋回運動を行い圧縮が安定して行われることからも、性能を向上させることができる。
【0024】
図5は、この発明の第二の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図1から図4に示すものとその基本的構成は同一であるが、図3に示すスラスト軸受40の構成が異なっている。なお、図5において、図1から図4の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0025】
図5に示すスラスト軸受50は、スラスト部材32及びリテーナ34に流路51(導入路)が形成されている。この流路51は、油圧ポケット36と各保持孔34aとの間に設けられ、互いに連結可能な構成とされている。
このスクロール型圧縮機1は、スラスト軸受50の油圧ポケット36に導入されている高圧油を流路51を介して積極的に各保持孔34a内に導入できる。よって、高圧油をボール38の潤滑油としても有効に利用することができる。また、ボール38の動きが円滑となりボール38の磨耗が減少されるので、ボールの寿命を更に延ばすことができる。
更に、ボール38の潤滑油系統を別途設ける必要がないので、構成を簡単にし小型化を図ることができる。
【0026】
図6、図7は、この発明の第三の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図1から図4に示すものとその基本的構成は同一であるが、図2、図3に示すスラスト軸受40の構成が異なっている。即ち、スラスト部材32を備えていない構成とされている。なお、図6、図7において、図1から図4の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0027】
図6、図7に示すスラスト軸受60は、スラストプレート33、リテーナ34、ボール38及び流路37とを備えている。リテーナ34は、その内側に油圧ポケット36が形成され、油圧ポケット36と各保持孔34aとの間には流路61(導入路)が形成されている。この流路61によって油圧ポケット36は、各保持孔34aに連結される構成となっている。また、リテーナ34及びスラストプレート33には、流路37が形成され、流路の一方は油圧ポケット36の底面の一部に連結され、他方はケーシング本体2aに形成された流路22に連結されている。
このように構成されたスラスト軸受60は、フロントケーシング2bと旋回スクロール4との間に位置して、ボルト35によりフロントケーシング2bに固定されている。また、これらスラストプレート33、リテーナ34及びボール38は、玉軸受62を構成している。
【0028】
このスクロール型圧縮機1は、スラスト軸受60のリテーナ34に油圧ポケット36が形成されている構成なので、リテーナ34のスペースを有効に利用してリテーナ34をより機能的に使用できる。よって、油圧ポケット36のために新たな部材を設ける必要がなく、構成を簡単にするのでより小型化を図ることができる。
【0029】
図8は、この発明の第四の実施形態を示す図である。
この実施の形態においては、図6、図7に示すものとその基本的構成は同一であるが、油圧ポケット36の構成が異なっている。なお、図8において、図7の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0030】
図8に示すスラスト軸受70は、リテーナ34の内側に油圧ポケット71(導入路)が保持孔34aと同数個環状配置され、かつ、各保持孔34a間に油圧ポケット71が位置するよう形成されている。この油圧ポケット71の少なくとも一つの底部には流路37が連結され、各油圧ポケット71は、リテーナ34内部にて図示しない流路によってそれぞれ連結されている。また、各油圧ポケット71と各保持孔34aとの間には、流路72(導入路)がそれぞれ設けられている。この流路37及び油圧ポケット71は、加圧手段73を構成している。
このスクロール型圧縮機1は、油圧ポケット71と保持孔34aとをリテーナ34上に効率よく配置できるので、リテーナ34をより小さくでき、更に小型化を図ることができる。
【0031】
また、図9に示す第五の実施形態のように、油圧ポケット71の数を保持孔34aより少ない構成としても良い。この場合は、油圧ポケット71の高圧油を効率よく保持孔34aに導入できるので、油圧ポケット71の数を減らし、より簡単に作製することができる。
【0032】
なお、上記の実施の形態においては、油圧ポケット36、71は、上記の構成に限られるものではなく、旋回スクロール4に対して、スラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える構成であれば良い。
また、油圧ポケット36、71の高圧油は、油分離機21から導入される構成としたが、これに限られるものではなく、高圧油が導入できる構成であれば良い。
また、油圧ポケット36、71と保持孔34aとを連結する流路51、61、72は、上記の構成に限られるものではなく、保持孔34aに高圧油が導入できる構成であれば良い。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、スラスト軸受は、旋回スクロールに対してスラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、加圧手段で低減されたスラスト力を受ける玉軸受とを備えているので、玉軸受に働くスラスト力の負担が低減され、玉軸受の耐久性が向上する。よって、長期間使用することができ、信頼性を向上させることができる。
【0034】
請求項2に係る発明によれば、玉軸受は、吐出口よりも外径側に配置されているので、旋回スクロールの中心側の圧縮室より発生する高いスラスト力を効果的に軽減できる。よって、スラスト力による旋回スクロールのたわみ等の変形が防止でき、圧縮室からの漏れがなくなるので、圧縮効率を高め性能を向上させることができる。
また、ボールは摩擦係数が小さいので、ボールと旋回スクロールとの磨耗が低減する。よって、機械損失が低減し圧縮効率を高めることからも、性能を向上させることができる。
更に、ボールは、旋回スクロールの外径側に配置されるので、安定して旋回スクロールを支持できる。よって、安定かつ円滑に公転旋回運動を行い圧縮が安定して行われることからも、性能を向上させることができる。
【0035】
請求項3に係る発明によれば、ボールが保持された凹部と加圧手段との間には、旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられているので、油をボールの潤滑油として有効に利用できる。よって、ボールへの潤滑系統を別途設ける必要がないので、構成が容易にでき小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクロール型圧縮機の第一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示すスクロール型圧縮機の要部を拡大した断面図である。
【図3】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、スラスト軸受の上部断面図である。
【図4】旋回スクロ−ルに作用する荷重を示す図である。
【図5】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第二のスラスト軸受の上部断面図である。
【図6】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第三のスラスト軸受の上部断面図である。
【図7】図6に示すスラスト軸受のC−C線矢視図である。
【図8】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第四のスラスト軸受の上部断面図である。
【図9】図2に示すスクロール型圧縮機のB−B線矢視図で、第五のスラスト軸受の上部断面図である。
【符号の説明】
1 スクロール型圧縮機
3 固定スクロール
4 旋回スクロール
6 駆動軸
25 圧縮室
41、73 加圧手段
42、62 玉軸受
34a 凹部(保持孔)
36、71 吐出口(油圧ポケット)
51、61、72 導入路(流路)
38 ボール
40、50、60、70 スラスト軸受
Claims (3)
- 固定スクロールと、
該固定スクロールと組み合わされて圧縮室を形成し、前記固定スクロールに対して自転を阻止されつつ公転旋回運動することで前記圧縮室内の被圧縮流体を圧縮する旋回スクロールと、
該旋回スクロールに生じるスラスト力を受けるスラスト軸受と、
前記旋回スクロールを回転駆動する駆動軸とを備えたスクロール型圧縮機において、
前記スラスト軸受には、前記旋回スクロールに対して前記スラスト力の作用方向に対抗する方向に流体圧を与える加圧手段と、該加圧手段で低減された前記スラスト力を受ける玉軸受とが備えられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項1記載のスクロール型圧縮機において、
前記加圧手段は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、前記旋回スクロールに対して前記流体圧を吐出する吐出口を有し、
前記玉軸受は、前記駆動軸の軸線周りに環状配置され、かつ前記吐出口よりも外径側に配置された複数の凹部と、これら凹部内に保持されたボールとを有することを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項2記載のスクロール型圧縮機において、
前記加圧手段は、前記流体圧に油圧を用い、前記各凹部と前記加圧手段との間には、前記旋回スクロールを加圧した後の油を導く導入路が設けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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JP2003002180A JP2004211655A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | スクロール型圧縮機 |
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JP2004211655A true JP2004211655A (ja) | 2004-07-29 |
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JP2003002180A Withdrawn JP2004211655A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | スクロール型圧縮機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004211655A (ja) |
-
2003
- 2003-01-08 JP JP2003002180A patent/JP2004211655A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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