JP2004211505A - 建設機械用アーム - Google Patents
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Abstract
【課題】前方視界性の良好性および軽量化等の長所を維持しつつ、大断面でも容易に製作でき、コーナー部の精度を向上させることができ、かつ三角形断面に比べて強度の向上を図る。
【解決手段】建設機械の作業機を構成する筒形構造のアームであって、横断面形状を、頂点部が円弧状の略台形形状に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】建設機械の作業機を構成する筒形構造のアームであって、横断面形状を、頂点部が円弧状の略台形形状に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルのような建設機械に用いられる筒形構造の建設機械用アームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ショベルのような建設機械の作業機を構成するブーム、アーム等の筒形構造物(以下、単に「アーム」という。)としては、図5(a)に示されているように、上板51と下板52との間に左右の縦板53,54を配し、上板51および下板52と各縦板53,54との突き合わせ部aを溶接にて接合した四角形断面のものが最も一般的に用いられている。また、図5(b)に示されているように、この種の四角形断面アームを外側アーム55と内側アーム56とで入れ子状に組み合わせて構成した、所謂スライドアームにおいては、4つの平面部にそれぞれ摺動部材としてのパッド57を配して外側アーム55と内側アーム56とが円滑にスライドできるようにされている。
【0003】
ところが、前記従来の四角形断面アームでは、全体として重量が大きくなるほか、溶接線位置が4箇所に設けられていて、アーム強度がその溶接品質に影響を受け易いという問題点がある。また、このアームの位置が建設機械を操作するオペレータの側方にあるときに、アーム上部側方の角部が邪魔になってオペレータからのアーム前方の視界性が悪くなってしまうという問題点がある。さらに、この四角形断面のスライドアームの場合、溶接歪の影響を受け易い平面を平面状のパッド(摺動部材)で支持する構造を採用せざるを得ないため、このパッドの当たりにムラがあって、摺動時に特に左右方向のガタが多く発生するという問題点がある。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するものとして、断面三角形形状のアームが例えば特許文献1,2において提案されている。この三角形断面アームによれば、図6に示されるように、1枚の板材を曲げ加工して1箇所で突き合わせてその突合せ部bにて溶接して形成されることから、軽量化が図れるとともに、アーム前方の視界性も向上させることができるという利点がある。また、スライドアームに適用した場合には、円弧状に形成された3つのコーナー部にパッド57を配することで、摺動時のガタの発生も防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第99/04104号明細書
【特許文献2】
特開2002−47689号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記三角形断面アームは小型機種の建設機械の作業機に対しては有効であるものの、大断面のアームが要求される大型の機種において、曲げ加工すべき板材の厚みが厚くなると、曲げ加工が不能になってしまうという問題点がある。また、拘束溶接成形を行う必要があることから、板材のスプリングバックによってコーナー部(アール部)および側面の形状にムラがあり、不良品の発生率が高いという問題点もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、前方視界性の良好性および軽量化等の長所を維持しつつ、大断面でも容易に製作でき、コーナー部の精度を向上させることのできる建設機械用アームを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による建設機械用アームは、
建設機械の作業機を構成する筒形構造のアームであって、横断面形状を、頂点部が円弧状の略台形形状に形成することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、軽量化が図れるとともにアーム前方の視界性が良好であるという三角形断面アームの長所を有しつつ、三角形断面アームよりも強度が大で、かつ板材の厚みが厚くなっても曲げ加工が容易に行えるため、大断面のアームが要求される大型の機種に対しても適用できるという効果がある。しかも、曲げ加工済部材の形状のまま断面が成形できるので、曲げ加工時に生じる板材のスプリングバックによってコーナー部形状および側面形状にムラが生じることも回避することができ、製品品質を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記横断面形状は、下辺および上辺に直交する中心線に対して左右対称に形成され、この中心線位置で左右の各アーム部材が接合されるのが好ましい。こうすることで、大断面形状であっても、浅曲げと端曲げとにより部材の曲げ加工が可能であり、製造工程を簡略化することができ、かつ品質向上を図ることができる。
【0011】
また、外側アームと内側アームとを各頂点部に配される摺動部材を介して入れ子状に組み合わせてなり、これら外側アームおよび内側アームが相互にスライド可能に構成されるのが好ましい。このようにスライドアームに適用したものにおいては、外側アームおよび内側アームが側面テーパ形状で、かつ溶接歪の影響を受けにくいため、円弧状に形成された4つのコーナー部に摺動部材を配することで、楔効果で摺動時のガタが少ないという効果がある。
【0012】
本発明においては、更に、前記外側アームに対して内側アームをスライドさせるスライド操作用の油圧シリンダが内蔵されるのが好ましい。こうすることで、スライド操作用の油圧シリンダおよびその配管を覆う保護部材が不要であり、部品点数を少なくすることができるとともに、アームの外側に突出する部材が無くなるので、シンプルな構成となって障害物の多い環境でも支障なく作業が行えるという利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による建設機械用アームの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係るスライドアームの部分断面正面図が示され、図2には、図1のA−A断面図が示され、図3には、図1のB−B断面図が示され、図4には、外側アームの断面図(図1のC−C断面図)(a)および内側アームの断面図(図1のD−D断面図)(b)がそれぞれ示されている。本実施形態は、油圧ショベルのブームに付設して使用される深掘揚土用の作業機としてのスライドアームに適用された例を示すものである。
【0015】
本実施形態のスライドアーム1は、断面が全体として略台形形状で、4つの頂点部2a,2b,2c,2dが円弧状に形成された外側アーム(外筒)2と、この外側アーム2に相似形の断面を有する内側アーム(内筒)3とを組み合わせて構成されている。前記外側アーム2は、2枚の鋼板の上部(頂点部2a,2dに相当する部分)および下部(頂点部2b,2cに相当する部分)をそれぞれ円弧状に曲げ加工して、全体として断面略コ字状のアーム部材とし、各アーム部材の互いに対応する端部同士を軸線方向に溶接部2e,2fにて溶接して筒形に形成したものである。また、内側アーム3も外側アーム2と同様に形成される。
【0016】
前記外側アーム2の後端部には、その外側アーム2の外形に沿った形状の端板4が溶接にて一体に接合されている。また、この端板4の外面には互いに平行な2枚のプレートにてなるブラケット5が軸線方向に取り付けられ、これらブラケット5によって、スライドアーム1内に配置されるスライド操作用の油圧シリンダ6の基端部6aが取り付けられている。なお、この油圧シリンダ6は、端板4に形成される透かし孔を通してスライドアーム1内に挿入される。
【0017】
図2に示されるように、前記外側アーム2の前端部には、各頂点部2a,2b,2c,2dの内周面部であって、内側アーム3の各頂点部の円弧面に対応する位置に、摺動部片(パッド)7a,7b,7c,7dが外側アーム2の外面側から取付ボルト8によって装着されている。ここで、各摺動部片7a,7b,7c,7dは、自己潤滑性をもつ複数個の偏平な軸受片がホルダー内に配置されて構成されている。
【0018】
一方、前記内側アーム3は、その外周面と前記外側アーム2の内周面との間に若干の空隙が形成されるようにその外形寸法が設定されている。また、図3に示されるように、前記内側アーム3の後端部には、外側アーム2の各頂点部2a〜2dの内面に対向するように摺動ブロック片9a,9b,9c,9dが取付座10a,10b,10c,10dに抱持されてボルト11によって固着されている。ここで、前記摺動ブロック片9a,9b,9c,9dは自己潤滑性を有する材料にて形成されている。なお、前記内側アーム3において、下部の溶接部の内側にはバックプレート12が配されている。
【0019】
こうして、外側アーム2内に挿入された内側アーム3は、前部の各頂点部が外側アーム2の内面に配される摺動部片7a,7b,7c,7dに支持されるとともに、後部の各頂点部に取り付けられる摺動ブロック片9a,9b,9c,9dが外側アーム2の各頂点部内面に当接され、外側アーム2に対して摺動自在に保持される。
【0020】
また、前記油圧シリンダ6のロッド6bの先端部が、内側アーム3の内部に突設されて左右両側のボス部13と連結ピン13aにて連結されることによって、この油圧シリンダ6の伸縮作動時に外側アーム2に対して内側アーム3が伸縮摺動される。
【0021】
前記内側アーム3の先端にはバケット取付ブラケット14が前方へ突出するように固着され、このバケット取付ブラケット14の先端部にバケット15の基端部がピン16にて支持されている。また、前記バケット15は、バケット操作用油圧シリンダ17のロッド17a先端部にリンク機構18を介して連結され、この油圧シリンダ17の伸縮作動によって開閉されるように構成されている。
【0022】
前記バケット操作用油圧シリンダ17は、その後端部(基端部)が内側アーム3の下部に内設されたブラケット19に連結ピン17bにより取着されている。ここで、前記ブラケット19は、その後端側が内側アーム3の軸方向にその内側アーム3の後端部近傍まで延設された細長形状とされている。
【0023】
また、前記外側アーム2の後端部には固定側端末部材20が取り付けられ、この固定側端末部材20には油圧装置に接続する油圧配管(図示せず)が接続されるとともに、油圧シリンダ6に接続する油圧配管(図示せず)が接続されている。また、この固定側端末部材20にはゴムホース21の基端部が接続され、そのゴムホース21の先端部は、内側アーム3の後端部に取着された移動側端末部材22に接続されている。そして、この移動側端末部材22には油圧シリンダ17の油圧配管23が接続されている。
【0024】
前記ゴムホース21は、内側アーム3の移動時に屈曲されることから、可撓性ホース案内支持装置(ケーブルベア;登録商標)24によって保護されて案内・支持されている。この可撓性ホース案内支持装置24は、四角柱状部材をチェーン状に屈曲自在に連結してなるものであって、その先端部が内側アーム3の後端部下部に固定されるとともに、固定側の所定位置が油圧シリンダ6に吊持されて支持されている。
【0025】
図1は、油圧シリンダ6を伸長してスライドアーム1を最長にした状態を示している。この状態において、可撓性ホース案内支持装置24の両側方は、後方まで延設されたブラケット19によって保護されている。このように、前記バケット操作用油圧シリンダ17の基端部を支持するブラケット19が内側アーム3の後端部近傍まで延設されているので、可撓性ホース案内支持装置24に横荷重がかかったとしてもその可撓性ホース案内支持装置24が横ずれするのを防止することができ、この可撓性ホース案内支持装置24の形状を矯正するとともに、その破損を確実に防ぐことができる。しかも、このブラケット19がリブ構成になり強度が向上するのでスライドアーム1全体の強度向上を図ることができる。
【0026】
本実施形態のスライドアーム1は、スライド操作用の油圧シリンダ6に作動油を供給してロッド6bを前進・後退させれば、外側アーム2の前端部内面に配される摺動部片7a,7b,7c,7dによって内側アーム3の先端部から中間部が案内・支持され、内側アーム3の後端部に配設される摺動ブロック片9a,9b,9c,9dによってその内側アーム3の後端部が外側アーム2の内面に案内・支持され、伸張・収縮される。この伸縮作動時に外側アーム2と内側アーム3とは各頂点部においてV字形に接触しているので、その楔作用によってガタツキなく摺動させることができる。
【0027】
また、三角形断面のスライドアームでは、拘束溶接成形に伴う板材のスプリングバックによってコーナー部および側面の形状にムラがあるのに対し、台形断面アームでは、そのような不具合もなく、しかも大断面のアームに対しても適用できるという優れた効果がある。
【0028】
また、本実施形態のスライドアーム1によれば、スライド操作用油圧シリンダ6、バケット操作用油圧シリンダ17およびその配管等をアーム内に内蔵させているので、これら油圧シリンダ等を覆う保護部材が不要であり、部品点数を少なくすることができるとともに、アームの外側に突出する部材が無くなるので、シンプルな構成となって障害物の多い環境でも支障なく作業が行えるという利点がある。
【0029】
本実施形態では、2段伸縮式のスライドアームについて説明したが、断面台形の筒状体を複数段組み合わせることによって多段スライドアームを構成することもできる。
【0030】
本発明に係る建設機械用アームは、深掘揚土装置やクレーンのブームのみならず、その他の建設機械に使用することができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るスライドアームの部分断面正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B断面図である。
【図4】図4は、外側アームの断面図(図1のC−C断面図)(a)および内側アームの断面図(図1のD−D断面図)(b)である。
【図5】図5(a)(b)は、従来の四角形断面アームを示す図である。
【図6】図6は、従来の三角形断面アームを示す図である。
【符号の説明】
1 スライドアーム
2 外側アーム
2a〜2d 頂点部
2e,2f 溶接部
3 内側アーム
6 スライド操作用油圧シリンダ
7a〜7d 摺動部片
9a〜9d 摺動ブロック片
17 バケット操作用油圧シリンダ
19 ブラケット
24 可撓性ホース案内支持装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルのような建設機械に用いられる筒形構造の建設機械用アームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ショベルのような建設機械の作業機を構成するブーム、アーム等の筒形構造物(以下、単に「アーム」という。)としては、図5(a)に示されているように、上板51と下板52との間に左右の縦板53,54を配し、上板51および下板52と各縦板53,54との突き合わせ部aを溶接にて接合した四角形断面のものが最も一般的に用いられている。また、図5(b)に示されているように、この種の四角形断面アームを外側アーム55と内側アーム56とで入れ子状に組み合わせて構成した、所謂スライドアームにおいては、4つの平面部にそれぞれ摺動部材としてのパッド57を配して外側アーム55と内側アーム56とが円滑にスライドできるようにされている。
【0003】
ところが、前記従来の四角形断面アームでは、全体として重量が大きくなるほか、溶接線位置が4箇所に設けられていて、アーム強度がその溶接品質に影響を受け易いという問題点がある。また、このアームの位置が建設機械を操作するオペレータの側方にあるときに、アーム上部側方の角部が邪魔になってオペレータからのアーム前方の視界性が悪くなってしまうという問題点がある。さらに、この四角形断面のスライドアームの場合、溶接歪の影響を受け易い平面を平面状のパッド(摺動部材)で支持する構造を採用せざるを得ないため、このパッドの当たりにムラがあって、摺動時に特に左右方向のガタが多く発生するという問題点がある。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するものとして、断面三角形形状のアームが例えば特許文献1,2において提案されている。この三角形断面アームによれば、図6に示されるように、1枚の板材を曲げ加工して1箇所で突き合わせてその突合せ部bにて溶接して形成されることから、軽量化が図れるとともに、アーム前方の視界性も向上させることができるという利点がある。また、スライドアームに適用した場合には、円弧状に形成された3つのコーナー部にパッド57を配することで、摺動時のガタの発生も防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第99/04104号明細書
【特許文献2】
特開2002−47689号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記三角形断面アームは小型機種の建設機械の作業機に対しては有効であるものの、大断面のアームが要求される大型の機種において、曲げ加工すべき板材の厚みが厚くなると、曲げ加工が不能になってしまうという問題点がある。また、拘束溶接成形を行う必要があることから、板材のスプリングバックによってコーナー部(アール部)および側面の形状にムラがあり、不良品の発生率が高いという問題点もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、前方視界性の良好性および軽量化等の長所を維持しつつ、大断面でも容易に製作でき、コーナー部の精度を向上させることのできる建設機械用アームを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による建設機械用アームは、
建設機械の作業機を構成する筒形構造のアームであって、横断面形状を、頂点部が円弧状の略台形形状に形成することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、軽量化が図れるとともにアーム前方の視界性が良好であるという三角形断面アームの長所を有しつつ、三角形断面アームよりも強度が大で、かつ板材の厚みが厚くなっても曲げ加工が容易に行えるため、大断面のアームが要求される大型の機種に対しても適用できるという効果がある。しかも、曲げ加工済部材の形状のまま断面が成形できるので、曲げ加工時に生じる板材のスプリングバックによってコーナー部形状および側面形状にムラが生じることも回避することができ、製品品質を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記横断面形状は、下辺および上辺に直交する中心線に対して左右対称に形成され、この中心線位置で左右の各アーム部材が接合されるのが好ましい。こうすることで、大断面形状であっても、浅曲げと端曲げとにより部材の曲げ加工が可能であり、製造工程を簡略化することができ、かつ品質向上を図ることができる。
【0011】
また、外側アームと内側アームとを各頂点部に配される摺動部材を介して入れ子状に組み合わせてなり、これら外側アームおよび内側アームが相互にスライド可能に構成されるのが好ましい。このようにスライドアームに適用したものにおいては、外側アームおよび内側アームが側面テーパ形状で、かつ溶接歪の影響を受けにくいため、円弧状に形成された4つのコーナー部に摺動部材を配することで、楔効果で摺動時のガタが少ないという効果がある。
【0012】
本発明においては、更に、前記外側アームに対して内側アームをスライドさせるスライド操作用の油圧シリンダが内蔵されるのが好ましい。こうすることで、スライド操作用の油圧シリンダおよびその配管を覆う保護部材が不要であり、部品点数を少なくすることができるとともに、アームの外側に突出する部材が無くなるので、シンプルな構成となって障害物の多い環境でも支障なく作業が行えるという利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による建設機械用アームの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係るスライドアームの部分断面正面図が示され、図2には、図1のA−A断面図が示され、図3には、図1のB−B断面図が示され、図4には、外側アームの断面図(図1のC−C断面図)(a)および内側アームの断面図(図1のD−D断面図)(b)がそれぞれ示されている。本実施形態は、油圧ショベルのブームに付設して使用される深掘揚土用の作業機としてのスライドアームに適用された例を示すものである。
【0015】
本実施形態のスライドアーム1は、断面が全体として略台形形状で、4つの頂点部2a,2b,2c,2dが円弧状に形成された外側アーム(外筒)2と、この外側アーム2に相似形の断面を有する内側アーム(内筒)3とを組み合わせて構成されている。前記外側アーム2は、2枚の鋼板の上部(頂点部2a,2dに相当する部分)および下部(頂点部2b,2cに相当する部分)をそれぞれ円弧状に曲げ加工して、全体として断面略コ字状のアーム部材とし、各アーム部材の互いに対応する端部同士を軸線方向に溶接部2e,2fにて溶接して筒形に形成したものである。また、内側アーム3も外側アーム2と同様に形成される。
【0016】
前記外側アーム2の後端部には、その外側アーム2の外形に沿った形状の端板4が溶接にて一体に接合されている。また、この端板4の外面には互いに平行な2枚のプレートにてなるブラケット5が軸線方向に取り付けられ、これらブラケット5によって、スライドアーム1内に配置されるスライド操作用の油圧シリンダ6の基端部6aが取り付けられている。なお、この油圧シリンダ6は、端板4に形成される透かし孔を通してスライドアーム1内に挿入される。
【0017】
図2に示されるように、前記外側アーム2の前端部には、各頂点部2a,2b,2c,2dの内周面部であって、内側アーム3の各頂点部の円弧面に対応する位置に、摺動部片(パッド)7a,7b,7c,7dが外側アーム2の外面側から取付ボルト8によって装着されている。ここで、各摺動部片7a,7b,7c,7dは、自己潤滑性をもつ複数個の偏平な軸受片がホルダー内に配置されて構成されている。
【0018】
一方、前記内側アーム3は、その外周面と前記外側アーム2の内周面との間に若干の空隙が形成されるようにその外形寸法が設定されている。また、図3に示されるように、前記内側アーム3の後端部には、外側アーム2の各頂点部2a〜2dの内面に対向するように摺動ブロック片9a,9b,9c,9dが取付座10a,10b,10c,10dに抱持されてボルト11によって固着されている。ここで、前記摺動ブロック片9a,9b,9c,9dは自己潤滑性を有する材料にて形成されている。なお、前記内側アーム3において、下部の溶接部の内側にはバックプレート12が配されている。
【0019】
こうして、外側アーム2内に挿入された内側アーム3は、前部の各頂点部が外側アーム2の内面に配される摺動部片7a,7b,7c,7dに支持されるとともに、後部の各頂点部に取り付けられる摺動ブロック片9a,9b,9c,9dが外側アーム2の各頂点部内面に当接され、外側アーム2に対して摺動自在に保持される。
【0020】
また、前記油圧シリンダ6のロッド6bの先端部が、内側アーム3の内部に突設されて左右両側のボス部13と連結ピン13aにて連結されることによって、この油圧シリンダ6の伸縮作動時に外側アーム2に対して内側アーム3が伸縮摺動される。
【0021】
前記内側アーム3の先端にはバケット取付ブラケット14が前方へ突出するように固着され、このバケット取付ブラケット14の先端部にバケット15の基端部がピン16にて支持されている。また、前記バケット15は、バケット操作用油圧シリンダ17のロッド17a先端部にリンク機構18を介して連結され、この油圧シリンダ17の伸縮作動によって開閉されるように構成されている。
【0022】
前記バケット操作用油圧シリンダ17は、その後端部(基端部)が内側アーム3の下部に内設されたブラケット19に連結ピン17bにより取着されている。ここで、前記ブラケット19は、その後端側が内側アーム3の軸方向にその内側アーム3の後端部近傍まで延設された細長形状とされている。
【0023】
また、前記外側アーム2の後端部には固定側端末部材20が取り付けられ、この固定側端末部材20には油圧装置に接続する油圧配管(図示せず)が接続されるとともに、油圧シリンダ6に接続する油圧配管(図示せず)が接続されている。また、この固定側端末部材20にはゴムホース21の基端部が接続され、そのゴムホース21の先端部は、内側アーム3の後端部に取着された移動側端末部材22に接続されている。そして、この移動側端末部材22には油圧シリンダ17の油圧配管23が接続されている。
【0024】
前記ゴムホース21は、内側アーム3の移動時に屈曲されることから、可撓性ホース案内支持装置(ケーブルベア;登録商標)24によって保護されて案内・支持されている。この可撓性ホース案内支持装置24は、四角柱状部材をチェーン状に屈曲自在に連結してなるものであって、その先端部が内側アーム3の後端部下部に固定されるとともに、固定側の所定位置が油圧シリンダ6に吊持されて支持されている。
【0025】
図1は、油圧シリンダ6を伸長してスライドアーム1を最長にした状態を示している。この状態において、可撓性ホース案内支持装置24の両側方は、後方まで延設されたブラケット19によって保護されている。このように、前記バケット操作用油圧シリンダ17の基端部を支持するブラケット19が内側アーム3の後端部近傍まで延設されているので、可撓性ホース案内支持装置24に横荷重がかかったとしてもその可撓性ホース案内支持装置24が横ずれするのを防止することができ、この可撓性ホース案内支持装置24の形状を矯正するとともに、その破損を確実に防ぐことができる。しかも、このブラケット19がリブ構成になり強度が向上するのでスライドアーム1全体の強度向上を図ることができる。
【0026】
本実施形態のスライドアーム1は、スライド操作用の油圧シリンダ6に作動油を供給してロッド6bを前進・後退させれば、外側アーム2の前端部内面に配される摺動部片7a,7b,7c,7dによって内側アーム3の先端部から中間部が案内・支持され、内側アーム3の後端部に配設される摺動ブロック片9a,9b,9c,9dによってその内側アーム3の後端部が外側アーム2の内面に案内・支持され、伸張・収縮される。この伸縮作動時に外側アーム2と内側アーム3とは各頂点部においてV字形に接触しているので、その楔作用によってガタツキなく摺動させることができる。
【0027】
また、三角形断面のスライドアームでは、拘束溶接成形に伴う板材のスプリングバックによってコーナー部および側面の形状にムラがあるのに対し、台形断面アームでは、そのような不具合もなく、しかも大断面のアームに対しても適用できるという優れた効果がある。
【0028】
また、本実施形態のスライドアーム1によれば、スライド操作用油圧シリンダ6、バケット操作用油圧シリンダ17およびその配管等をアーム内に内蔵させているので、これら油圧シリンダ等を覆う保護部材が不要であり、部品点数を少なくすることができるとともに、アームの外側に突出する部材が無くなるので、シンプルな構成となって障害物の多い環境でも支障なく作業が行えるという利点がある。
【0029】
本実施形態では、2段伸縮式のスライドアームについて説明したが、断面台形の筒状体を複数段組み合わせることによって多段スライドアームを構成することもできる。
【0030】
本発明に係る建設機械用アームは、深掘揚土装置やクレーンのブームのみならず、その他の建設機械に使用することができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るスライドアームの部分断面正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B断面図である。
【図4】図4は、外側アームの断面図(図1のC−C断面図)(a)および内側アームの断面図(図1のD−D断面図)(b)である。
【図5】図5(a)(b)は、従来の四角形断面アームを示す図である。
【図6】図6は、従来の三角形断面アームを示す図である。
【符号の説明】
1 スライドアーム
2 外側アーム
2a〜2d 頂点部
2e,2f 溶接部
3 内側アーム
6 スライド操作用油圧シリンダ
7a〜7d 摺動部片
9a〜9d 摺動ブロック片
17 バケット操作用油圧シリンダ
19 ブラケット
24 可撓性ホース案内支持装置
Claims (4)
- 建設機械の作業機を構成する筒形構造のアームであって、横断面形状を、頂点部が円弧状の略台形形状に形成することを特徴とする建設機械用アーム。
- 前記横断面形状は、下辺および上辺に直交する中心線に対して左右対称に形成され、この中心線位置で左右の各アーム部材が接合される請求項1に記載の建設機械用アーム。
- 外側アームと内側アームとを各頂点部に配される摺動部材を介して入れ子状に組み合わせてなり、これら外側アームおよび内側アームが相互にスライド可能に構成される請求項1または2に記載の建設機械用アーム。
- 前記外側アームに対して内側アームをスライドさせるスライド操作用の油圧シリンダが内蔵される請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械用アーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003002468A JP2004211505A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 建設機械用アーム |
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Publications (1)
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JP2004211505A true JP2004211505A (ja) | 2004-07-29 |
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ID=32820203
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004211505A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010537920A (ja) * | 2007-09-05 | 2010-12-09 | パルフィンガー アーゲー | クレーンブームの輪郭形状 |
US7958693B2 (en) | 2006-03-13 | 2011-06-14 | Yanmar Co., Ltd. | Boom for excavation machine |
-
2003
- 2003-01-08 JP JP2003002468A patent/JP2004211505A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7958693B2 (en) | 2006-03-13 | 2011-06-14 | Yanmar Co., Ltd. | Boom for excavation machine |
JP2010537920A (ja) * | 2007-09-05 | 2010-12-09 | パルフィンガー アーゲー | クレーンブームの輪郭形状 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080108 |