JP2004211263A - 糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供する。
【解決手段】合成繊維糸条の熱処理装置100における糸条の入口101付近又は出口102付近に取り付けられ、又は形成され、熱処理装置100内を移動する糸条が通過する凹部14が形成されたベース11と、凹部14に対して位置決めされ、熱処理装置100内を移動する糸条を案内する糸ガイド12と、一端側21ベース11に位置決めされ、他端側22が糸ガイド12をベース11に対して押し付けるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する板バネ13と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】合成繊維糸条の熱処理装置100における糸条の入口101付近又は出口102付近に取り付けられ、又は形成され、熱処理装置100内を移動する糸条が通過する凹部14が形成されたベース11と、凹部14に対して位置決めされ、熱処理装置100内を移動する糸条を案内する糸ガイド12と、一端側21ベース11に位置決めされ、他端側22が糸ガイド12をベース11に対して押し付けるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する板バネ13と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、合成繊維糸条の仮撚又は延伸仮撚加工機においては、熱処理装置が備えられており、当該熱処理装置内を糸条が移動するとともに加熱され、接触または非接触状態で糸条の熱処理が行われる。非接触型の熱処理装置においては、熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイドが取り付けられる。
【0003】
糸条熱処理装置における糸ガイド取付構造としては、従来より、接着剤やネジを用いて糸ガイドを固定する方法が知られていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、接着剤の場合は、糸ガイドのみを交換することが困難なためにベースごと交換しなければならず、また、交換時に接着時間もかかるために交換作業に手間を要するという問題がある。ネジの場合も、糸ガイドの交換作業に手間を要することに加え、糸ガイドがセラミック製である場合は割れ易いという問題がある。そこで、糸ガイドをクリップによりヒータ(熱処理装置)本体に固定するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、糸ガイドにリテーナを嵌着し、ヒータブロックに形成された凹部とリテーナとを係止させて糸ガイドをヒータブロックに保持するものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平8−6050号公報(第1頁)
【特許文献2】
実公平8−6050号公報(第2頁、第1−4図)
【特許文献3】
実開平7−9985号公報(第2頁、第1−2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2、3に記載された糸ガイド取付構造は、構造がまだ複雑であり、より容易に糸ガイドを着脱できるものが望ましい。また、上記特許文献2、3に記載された糸ガイド取付構造は、とくに熱処理装置の内部において糸ガイドを取り付ける場合に有効な構造を提供するものであって、熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に糸ガイドを取り付ける場合は、熱処理装置の外部から容易に着脱できる構造が望まれる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造であって、前記入口付近又は出口付近に取り付けられ、又は形成され、当該熱処理装置内を移動する糸条が通過する凹部が形成されたベースと、前記凹部に対して位置決めされ、当該熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイドと、一端側が前記ベースに位置決めされ、他端側が前記糸ガイドを前記ベースに対して押し付けるとともに前記凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する板バネと、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、糸ガイドは、ベースの凹部に位置決めされた状態で、板バネによって、ベースに対して押し付けられるとともに、凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢されて固定される。このため、糸ガイドを取り付けるに際しては、糸ガイドをベースの凹部に位置決めし、一端側及び他端側が所定の位置に位置するように板バネを装着するだけで、糸ガイドを熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイドを取り外す場合も、板バネの装着を解除するだけで糸ガイドを取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することができる。
また、工具を使用することにより、糸条熱処理装置にベースが取り付けられた状態で、かつ糸ガイドが高温のときでも、糸ガイドのみを交換することが可能である。従って、糸ガイドの交換を迅速にすることができ、しかも、他の錘の運転を止める必要もない。
【0009】
請求項2に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項1において、前記糸ガイドには、前記ベースの一面側で前記凹部に対して係止されるフランジ部が設けられ、前記ベースには、孔部が設けられ、前記板バネは、湾曲するように折り曲げられて形成されるとともに、前記一端側が前記孔部を挿通しているように配設され、前記板バネの前記一端側は、前記ベースの一面側及び他面側でそれぞれ係止されて位置決めされ、前記板バネの前記他端側は、前記糸ガイドを前記ベースの一面側に押し付けるとともに前記凹部に奥側に向かって引き寄せる方向に付勢することを特徴とする。
【0010】
この構成によると、板バネの一端側は、ベースの孔部を挿通して配設されており、ベースの一面側及び他面側で係止されて位置決めされる。そして、湾曲形成された板バネの他端側が、フランジ部を介して糸ガイドをベースの一面側に対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する。したがって、板バネによって、糸ガイドをベースに対して、押し付けるとともに引き寄せるように取り付ける着脱容易で簡易な糸ガイド取付構造を実現できる。
【0011】
請求項3に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項2において、前記糸ガイドの前記フランジ部は、前記ベースの前記凹部を形成する縁部の奥側部分及び両側部分で前記ベースに当接可能に形成され、前記糸ガイドは前記凹部に嵌めこまれるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、糸ガイドのフランジ部が凹部の縁部の奥側部分及び両側部分と当接することで、糸ガイドが、凹部に嵌めこまれるように位置決めされる。したがって、凹部で糸ガイドの周囲を囲むようにして、糸ガイドをベースに安定して位置決めすることができる。
【0013】
請求項4に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項2又は3において、前記板バネの前記一端側は、前記ベースの他面側に沿うように一部折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、板バネの一端側が、ベースの他面側から突出した形状になることを抑制でき、取付スペースの観点から効率の良い糸ガイド取付構造を実現できる。
【0015】
請求項5に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記糸ガイドの一面側には、係止部が設けられ、前記板バネの前記他端側は、前記係止部に係合可能に折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、板バネの他端側と糸ガイドの係止部とを係合させることで、板バネの他端側が糸ガイドをベースに対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する簡易な構造を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造1(以下、「糸ガイド取付構造1」という)を示す斜視図である。この糸ガイド取付構造1は、合成繊維糸条の熱処理装置(図示せず)における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造である。なお、合成繊維糸条の熱処理装置は、例えば、図6に示す熱処理装置100のように、糸条が、下方に設けられた入口101から熱処理装置100内に進入し、装置内部を通過するとともに加熱され、上方に設けられた出口102から外部へと進出するものである。なお、入口及び出口の方向は、これに限られるものではない。例えば、入口及び出口が、水平方向に設けられているものであってもよい。
【0019】
図1において、糸ガイド取付構造1は、図示しない熱処理装置の入口又は出口付近に取り付けられるベース11と、ベース11に対して取り付けられるセラミック製の糸ガイド12(12a、12b)と、糸ガイド12をベース11に固定するための板バネ13(13a、13b)とを備えている。
【0020】
ベース11は、平面状に形成される基部11aと、基部11aから上方に折り曲げられて形成された取付部11bとを有している。この取付部11bを介してベース11は、図示しない熱処理装置にネジ等により取り付けられる。なお、取付部11bの形状は、ベース11が取り付けられる熱処理装置の入口付近又は出口付近の構造に合わせて、種々の形態を選択して設計することができるものである。
【0021】
ベース11の基部11aには、ベース11が取り付けられる熱処理装置内を移動する糸条が通過する凹部14(14a、14b)が、2箇所平行に形成されている(即ち、基部11aは、フラットなフォーク状に形成されている)。熱処理装置内を移動する糸条は、凹部14a及び14bをそれぞれ2本ずつ通過するようになっている。また、ベース11は、糸条の通過方向と基部11aとが略直交するように、図示しない熱処理装置に対して取り付けられる。
【0022】
また、凹部14の奥側部分の近傍における凹部14と平行な断面である図2の要部断面図に示すように、ベース11には、孔部15が形成されている。孔部15には後述するように、板バネ13の一端側21が挿通される。なお、孔部15は2箇所に設けられており、凹部14aの奥側部分の近傍に孔部15aが設けられ、凹部14bの奥側部分の近傍に孔部15bが設けられている(図1参照)。
【0023】
熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイド12は、セラミックで形成されており、凹部14に対して位置決めされる。図1に示すように、糸ガイド取付構造1においては、1つのベース11に対して糸ガイド12が2箇所に取り付けられ、糸ガイド12aが凹部14aに対して位置決めされ、糸ガイド12bが凹部14bに対して位置決めされる。なお、糸ガイド12a及び12bは、それぞれ2本ずつ糸条を案内するものであり、糸条案内用の溝16がそれぞれ2箇所ずつ形成されている(即ち、1つの溝16が1本の糸条を案内する)。
【0024】
また、図3は、糸ガイド取付構造1の一部平面図を示したものであり、図4は図3の各矢視位置における部分断面図であるが、図1〜4に示すように、糸ガイド12には、ベース11の一面17側で凹部14に対して係止されるフランジ部19が設けられている。このフランジ部19は、ベース11の凹部14を形成する縁部の両側部分でベース11に当接可能に形成される両側フランジ部19aと、ベース11の凹部14を形成する縁部の奥側部分でベース11に当接可能に形成される奥側フランジ部19bとを備えている。糸ガイド12は、これら両側フランジ部19a及び奥側フランジ部19bが設けられることで、凹部14に嵌めこまれるように形成されている。この構成により、凹部14で糸ガイド12の周囲を囲むようにして、糸ガイド12を安定して位置決めすることができる。
【0025】
ここで、図3及び図4(a)〜(c)に基づいて、糸ガイド12がベース11に対して位置決めされる構成について詳しく説明する。図4(a)は図3におけるA−A線矢視断面図、図4(b)は図3のA’−A’線矢視断面図、図4(c)は図3のA’’−A’’線矢視断面図である。図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、糸ガイド12が凹部14に嵌め込まれた状態では、両側フランジ部19aがベース11の一面17と当接しているため、矢印P方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。そして、糸ガイド12の側面23が、ベース11の側面24と当接することで、矢印Q方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。また、図3及び図4(c)に示すように、糸ガイド12が凹部14に嵌め込まれた状態では、奥側フランジ部19bがベース11の一面17と当接しているため、矢印P方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。そして、糸ガイド12の側面25が、ベース11の側面26と当接することで、矢印R方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。この構成により、糸ガイド12を、ベース11に対して安定して位置決めすることができる。
【0026】
なお、図1、2に示すように、糸ガイド12の一面側には、後述する板バネ13の他端側22と係合する係止部となる係止凹部20が設けられている。
【0027】
図5は、図3のB−B線矢視断面図を示したものであるが、図1、2、5に示すように、板バネ13は、1枚の略長方形の板バネを湾曲するように折り曲げることで形成されている。そして、図2、5に示すように、板バネ13の一端側21は、孔部15を挿通しているように配設されており、孔部15を挿通するこの一端側21が、ベース11の一面17側及び他面18側の両方の面でそれぞれ係止されて位置決めされる。また、板バネ13の一端側21は、その先端部分21aが、ベース11の他面18側に沿うように一部折り曲げられて形成されている。このため、糸ガイド12を取り付けたときに、ベース11の他面18側を略平坦な状態にすることができる。
【0028】
また、板バネ13の他端側22は、糸ガイド12の係止凹部20に係合可能に折り曲げられて形成されている。そして、湾曲形成された板バネ13の弾性回復力によって、他端側22が係止凹部20に嵌めこまれるように、板バネ13が配設される。即ち、他端側22が係止凹部20に嵌め込まれた状態では、板バネ13には、少し広げられた湾曲形状が縮もうとする方向に弾性回復力が生じている。これにより、板バネ13の他端側22が、糸ガイド12をベース11の一面17側に押し付けるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢するように配設される。なお、板バネ13によって、糸ガイド12が凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢された際、図4(c)に示すように、糸ガイド12の側面25とベース11の側面26とが当接して、板バネ13による奥側に向かって引き寄せる付勢力を受けることになる。
【0029】
つぎに、糸ガイド12を交換する場合の動作について説明する。熱処理装置に取り付けられているベース11に対して糸ガイド12を取り付ける場合、まず、凹部14に糸ガイド12を嵌め込んで、糸ガイド12の位置決めを行う。このとき、糸ガイド12の両側フランジ部19aが凹部14の縁部の両側部分と当接し、奥側フランジ部19bが凹部14の縁部の奥側部分と当接するように、糸ガイド12を凹部14に嵌め込んで位置決めする。即ち、糸ガイド12を凹部14に嵌め込むことで、図4(a)〜(c)に示すように、両側フランジ部19a及び奥側フランジ部19bがベース11の一面17と当接し、糸ガイド12の側面23がベース11の側面24と当接し、糸ガイド12の側面25がベース11の側面26と当接し、これにより、矢印P、Q、R方向に対して糸ガイド12が位置決めされる。
【0030】
そして、湾曲形成された板バネ13を弾性回復力に抗するように少し広げて、まず、その一端側21をベース11の孔部15に挿通する。このとき、一端側21の先端部分21aをベース11の他面18に沿わせるようにして引っ掛け、一端側21の位置決めを行う。一端側21が、ベース11の一面17及び他面18と係止されると、他端側22を離すことで、弾性回復力により、他端側22が、糸ガイド12の係止凹部20に嵌まり込む。これにより、糸ガイド12が、板バネ13によって、ベース11に対して押し付けられるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せられる方向に付勢されて固定される(5参照)。
【0031】
なお、糸ガイド12を凹部14に対して位置決めするより先に、板バネ13の一端側21を孔部15で位置決めし、その後に、糸ガイド12を凹部14に沿って奥側にスライド移動させつつ、板バネ13の他端側22を係止凹部20に嵌め込むようにして糸ガイド12を取り付けてもよい。
【0032】
また、ベース11に取り付けられている糸ガイド12を取り外す場合は、図4に示す状態から、板バネ13の他端側22を糸ガイド12の係止凹部20から引き離す方向に引っ張る。他端側22を係止凹部20から引き離した後に、一端側21を孔部15から抜き出して板バネ13を取り外し、糸ガイド12が凹部14から取り出される。なお、板バネ13の一端側21を係止凹部20から引き離した状態のままで、糸ガイド12を凹部14に沿ってスライド移動させて取り外してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る糸ガイド取付構造1によると、糸ガイド12を取り付けるに際しては、糸ガイド12をベース11の凹部14に位置決めし、一端側21及び他端側22が所定の位置に位置するように板バネ13を装着するだけで、糸ガイド12を熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイド12を取り外す場合も、板バネ13の装着を解除するだけで糸ガイド12を取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイド12を容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を得ることができる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施することができる。
【0035】
(1)ベースは、熱処理装置に対して別体として設けられるものでなく、熱処理装置と一体的に形成されているものであってもよい。例えば、熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近を構成する板金で直に形成されているものであってもよい。
【0036】
(2)1つのベースに、2箇所の凹部が形成されているものに限らず、1箇所若しくは3箇所以上形成されているものであってもよい。図6は、凹部31が1箇所のみ設けられているベース30を用いて糸ガイド12を取り付ける場合を例示したものである。熱処理装置100の入口101付近には、1つの凹部31aが設けられるとともに屈曲して形成されたベース30aがネジ32を介して取り付けられる。入口101は、熱処理装置100の下方に設けられているため、ベース30aの取付面33が、ベース30aを熱処理装置100の下方から取り付けられるように形成されている。そして、入口付近101に取り付けられたベース30aに対して、糸ガイド12が前記実施形態と同様に凹部31aに位置決めされて板バネ13で固定される。このとき、糸ガイド12は、ベース30aにおける入口101側の面に取り付けられる。また、出口102側においては、1つの凹部31bが設けられるとともに平板状に形成されたベース30bが、ネジ32を介して出口102付近に取り付けられ、このベース30bに対して、上記と同様に糸ガイド12が板バネ13で固定される。このとき、糸ガイド12は、ベース30bにおける出口102とは反対側の面に取り付けられる。
【0037】
(3)糸ガイドの一面側に設けられる係止部は、前記実施形態のように係止凹部として設けられるものでなくてもよい。例えば、図7に示すように、係止凸部33として設けられるものであってもよい。即ち、係止凸部33は、糸ガイド12の一面側に突出しており、板バネ13の他端側22は、係止凸部33に係合可能に折り曲げられて形成されているものであってもよい。このように係止部を形成した場合であっても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、糸ガイドは、ベースの凹部に位置決めされた状態で、板バネによって、ベースに対して押し付けられるとともに、凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢されて固定される。このため、糸ガイドを取り付けるに際しては、糸ガイドをベースの凹部に位置決めし、一端側及び他端側が所定の位置に位置するように板バネを装着するだけで、糸ガイドを熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイドを取り外す場合も、板バネの装着を解除するだけで糸ガイドを取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入付近又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することができる。
また、工具を使用することにより、糸条熱処理装置にベースが取り付けられた状態で、かつ糸ガイドが高温のときでも、糸ガイドのみを交換することが可能である。従って、糸ガイドの交換を迅速にすることができ、しかも、他の錘の運転を止める必要もない。
【0039】
請求項2の発明によると、板バネの一端側は、ベースの孔部を挿通して配設されており、ベースの一面側及び他面側で係止されて位置決めされる。そして、湾曲形成された板バネの他端側が、フランジ部を介して糸ガイドをベースの一面側に対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する。したがって、板バネによって、糸ガイドをベースに対して、押し付けるとともに引き寄せるように取り付ける着脱容易で簡易な糸ガイド取付構造を実現できる。
【0040】
請求項3の発明によると、糸ガイドのフランジ部が凹部の縁部の奥側部分及び両側部分と当接することで、糸ガイドが、凹部に嵌めこまれるように位置決めされる。したがって、凹部で糸ガイドの周囲を囲むようにして、糸ガイドをベースに安定して位置決めすることができる。
【0041】
請求項4の発明によると、板バネの一端側が、ベースの他面側から突出した形状になることを抑制でき、取付スペースの観点から効率の良い糸ガイド取付構造を実現できる。
【0042】
請求項5の発明によると、板バネの他端側と糸ガイドの係止部とを係合させることで、板バネの他端側が糸ガイドをベースに対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する簡易な構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る糸ガイド取付構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す糸ガイド取付構造の要部断面図である。
【図3】図1に示す糸ガイド取付構造の平面図の一部である。
【図4】図3におけるA−A線矢視断面図(図4(a))、A’−A’線矢視断面図(図4(b))、及びA’’−A’’線矢視断面図(図4(c))である。
【図5】図3におけるB−B線矢視断面図である。
【図6】熱処理装置および本発明の実施形態に係る糸ガイド取付構造の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る糸ガイド取付構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造
11 ベース
12 糸ガイド
13 板バネ
14 凹部
21 一端側
22 他端側
100 熱処理装置
101 入口
102 出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、合成繊維糸条の仮撚又は延伸仮撚加工機においては、熱処理装置が備えられており、当該熱処理装置内を糸条が移動するとともに加熱され、接触または非接触状態で糸条の熱処理が行われる。非接触型の熱処理装置においては、熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイドが取り付けられる。
【0003】
糸条熱処理装置における糸ガイド取付構造としては、従来より、接着剤やネジを用いて糸ガイドを固定する方法が知られていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、接着剤の場合は、糸ガイドのみを交換することが困難なためにベースごと交換しなければならず、また、交換時に接着時間もかかるために交換作業に手間を要するという問題がある。ネジの場合も、糸ガイドの交換作業に手間を要することに加え、糸ガイドがセラミック製である場合は割れ易いという問題がある。そこで、糸ガイドをクリップによりヒータ(熱処理装置)本体に固定するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、糸ガイドにリテーナを嵌着し、ヒータブロックに形成された凹部とリテーナとを係止させて糸ガイドをヒータブロックに保持するものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平8−6050号公報(第1頁)
【特許文献2】
実公平8−6050号公報(第2頁、第1−4図)
【特許文献3】
実開平7−9985号公報(第2頁、第1−2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2、3に記載された糸ガイド取付構造は、構造がまだ複雑であり、より容易に糸ガイドを着脱できるものが望ましい。また、上記特許文献2、3に記載された糸ガイド取付構造は、とくに熱処理装置の内部において糸ガイドを取り付ける場合に有効な構造を提供するものであって、熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に糸ガイドを取り付ける場合は、熱処理装置の外部から容易に着脱できる構造が望まれる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造であって、前記入口付近又は出口付近に取り付けられ、又は形成され、当該熱処理装置内を移動する糸条が通過する凹部が形成されたベースと、前記凹部に対して位置決めされ、当該熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイドと、一端側が前記ベースに位置決めされ、他端側が前記糸ガイドを前記ベースに対して押し付けるとともに前記凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する板バネと、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、糸ガイドは、ベースの凹部に位置決めされた状態で、板バネによって、ベースに対して押し付けられるとともに、凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢されて固定される。このため、糸ガイドを取り付けるに際しては、糸ガイドをベースの凹部に位置決めし、一端側及び他端側が所定の位置に位置するように板バネを装着するだけで、糸ガイドを熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイドを取り外す場合も、板バネの装着を解除するだけで糸ガイドを取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することができる。
また、工具を使用することにより、糸条熱処理装置にベースが取り付けられた状態で、かつ糸ガイドが高温のときでも、糸ガイドのみを交換することが可能である。従って、糸ガイドの交換を迅速にすることができ、しかも、他の錘の運転を止める必要もない。
【0009】
請求項2に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項1において、前記糸ガイドには、前記ベースの一面側で前記凹部に対して係止されるフランジ部が設けられ、前記ベースには、孔部が設けられ、前記板バネは、湾曲するように折り曲げられて形成されるとともに、前記一端側が前記孔部を挿通しているように配設され、前記板バネの前記一端側は、前記ベースの一面側及び他面側でそれぞれ係止されて位置決めされ、前記板バネの前記他端側は、前記糸ガイドを前記ベースの一面側に押し付けるとともに前記凹部に奥側に向かって引き寄せる方向に付勢することを特徴とする。
【0010】
この構成によると、板バネの一端側は、ベースの孔部を挿通して配設されており、ベースの一面側及び他面側で係止されて位置決めされる。そして、湾曲形成された板バネの他端側が、フランジ部を介して糸ガイドをベースの一面側に対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する。したがって、板バネによって、糸ガイドをベースに対して、押し付けるとともに引き寄せるように取り付ける着脱容易で簡易な糸ガイド取付構造を実現できる。
【0011】
請求項3に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項2において、前記糸ガイドの前記フランジ部は、前記ベースの前記凹部を形成する縁部の奥側部分及び両側部分で前記ベースに当接可能に形成され、前記糸ガイドは前記凹部に嵌めこまれるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、糸ガイドのフランジ部が凹部の縁部の奥側部分及び両側部分と当接することで、糸ガイドが、凹部に嵌めこまれるように位置決めされる。したがって、凹部で糸ガイドの周囲を囲むようにして、糸ガイドをベースに安定して位置決めすることができる。
【0013】
請求項4に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項2又は3において、前記板バネの前記一端側は、前記ベースの他面側に沿うように一部折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、板バネの一端側が、ベースの他面側から突出した形状になることを抑制でき、取付スペースの観点から効率の良い糸ガイド取付構造を実現できる。
【0015】
請求項5に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記糸ガイドの一面側には、係止部が設けられ、前記板バネの前記他端側は、前記係止部に係合可能に折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、板バネの他端側と糸ガイドの係止部とを係合させることで、板バネの他端側が糸ガイドをベースに対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する簡易な構造を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造1(以下、「糸ガイド取付構造1」という)を示す斜視図である。この糸ガイド取付構造1は、合成繊維糸条の熱処理装置(図示せず)における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造である。なお、合成繊維糸条の熱処理装置は、例えば、図6に示す熱処理装置100のように、糸条が、下方に設けられた入口101から熱処理装置100内に進入し、装置内部を通過するとともに加熱され、上方に設けられた出口102から外部へと進出するものである。なお、入口及び出口の方向は、これに限られるものではない。例えば、入口及び出口が、水平方向に設けられているものであってもよい。
【0019】
図1において、糸ガイド取付構造1は、図示しない熱処理装置の入口又は出口付近に取り付けられるベース11と、ベース11に対して取り付けられるセラミック製の糸ガイド12(12a、12b)と、糸ガイド12をベース11に固定するための板バネ13(13a、13b)とを備えている。
【0020】
ベース11は、平面状に形成される基部11aと、基部11aから上方に折り曲げられて形成された取付部11bとを有している。この取付部11bを介してベース11は、図示しない熱処理装置にネジ等により取り付けられる。なお、取付部11bの形状は、ベース11が取り付けられる熱処理装置の入口付近又は出口付近の構造に合わせて、種々の形態を選択して設計することができるものである。
【0021】
ベース11の基部11aには、ベース11が取り付けられる熱処理装置内を移動する糸条が通過する凹部14(14a、14b)が、2箇所平行に形成されている(即ち、基部11aは、フラットなフォーク状に形成されている)。熱処理装置内を移動する糸条は、凹部14a及び14bをそれぞれ2本ずつ通過するようになっている。また、ベース11は、糸条の通過方向と基部11aとが略直交するように、図示しない熱処理装置に対して取り付けられる。
【0022】
また、凹部14の奥側部分の近傍における凹部14と平行な断面である図2の要部断面図に示すように、ベース11には、孔部15が形成されている。孔部15には後述するように、板バネ13の一端側21が挿通される。なお、孔部15は2箇所に設けられており、凹部14aの奥側部分の近傍に孔部15aが設けられ、凹部14bの奥側部分の近傍に孔部15bが設けられている(図1参照)。
【0023】
熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイド12は、セラミックで形成されており、凹部14に対して位置決めされる。図1に示すように、糸ガイド取付構造1においては、1つのベース11に対して糸ガイド12が2箇所に取り付けられ、糸ガイド12aが凹部14aに対して位置決めされ、糸ガイド12bが凹部14bに対して位置決めされる。なお、糸ガイド12a及び12bは、それぞれ2本ずつ糸条を案内するものであり、糸条案内用の溝16がそれぞれ2箇所ずつ形成されている(即ち、1つの溝16が1本の糸条を案内する)。
【0024】
また、図3は、糸ガイド取付構造1の一部平面図を示したものであり、図4は図3の各矢視位置における部分断面図であるが、図1〜4に示すように、糸ガイド12には、ベース11の一面17側で凹部14に対して係止されるフランジ部19が設けられている。このフランジ部19は、ベース11の凹部14を形成する縁部の両側部分でベース11に当接可能に形成される両側フランジ部19aと、ベース11の凹部14を形成する縁部の奥側部分でベース11に当接可能に形成される奥側フランジ部19bとを備えている。糸ガイド12は、これら両側フランジ部19a及び奥側フランジ部19bが設けられることで、凹部14に嵌めこまれるように形成されている。この構成により、凹部14で糸ガイド12の周囲を囲むようにして、糸ガイド12を安定して位置決めすることができる。
【0025】
ここで、図3及び図4(a)〜(c)に基づいて、糸ガイド12がベース11に対して位置決めされる構成について詳しく説明する。図4(a)は図3におけるA−A線矢視断面図、図4(b)は図3のA’−A’線矢視断面図、図4(c)は図3のA’’−A’’線矢視断面図である。図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、糸ガイド12が凹部14に嵌め込まれた状態では、両側フランジ部19aがベース11の一面17と当接しているため、矢印P方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。そして、糸ガイド12の側面23が、ベース11の側面24と当接することで、矢印Q方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。また、図3及び図4(c)に示すように、糸ガイド12が凹部14に嵌め込まれた状態では、奥側フランジ部19bがベース11の一面17と当接しているため、矢印P方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。そして、糸ガイド12の側面25が、ベース11の側面26と当接することで、矢印R方向に対して糸ガイド12が位置決めされている。この構成により、糸ガイド12を、ベース11に対して安定して位置決めすることができる。
【0026】
なお、図1、2に示すように、糸ガイド12の一面側には、後述する板バネ13の他端側22と係合する係止部となる係止凹部20が設けられている。
【0027】
図5は、図3のB−B線矢視断面図を示したものであるが、図1、2、5に示すように、板バネ13は、1枚の略長方形の板バネを湾曲するように折り曲げることで形成されている。そして、図2、5に示すように、板バネ13の一端側21は、孔部15を挿通しているように配設されており、孔部15を挿通するこの一端側21が、ベース11の一面17側及び他面18側の両方の面でそれぞれ係止されて位置決めされる。また、板バネ13の一端側21は、その先端部分21aが、ベース11の他面18側に沿うように一部折り曲げられて形成されている。このため、糸ガイド12を取り付けたときに、ベース11の他面18側を略平坦な状態にすることができる。
【0028】
また、板バネ13の他端側22は、糸ガイド12の係止凹部20に係合可能に折り曲げられて形成されている。そして、湾曲形成された板バネ13の弾性回復力によって、他端側22が係止凹部20に嵌めこまれるように、板バネ13が配設される。即ち、他端側22が係止凹部20に嵌め込まれた状態では、板バネ13には、少し広げられた湾曲形状が縮もうとする方向に弾性回復力が生じている。これにより、板バネ13の他端側22が、糸ガイド12をベース11の一面17側に押し付けるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢するように配設される。なお、板バネ13によって、糸ガイド12が凹部14の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢された際、図4(c)に示すように、糸ガイド12の側面25とベース11の側面26とが当接して、板バネ13による奥側に向かって引き寄せる付勢力を受けることになる。
【0029】
つぎに、糸ガイド12を交換する場合の動作について説明する。熱処理装置に取り付けられているベース11に対して糸ガイド12を取り付ける場合、まず、凹部14に糸ガイド12を嵌め込んで、糸ガイド12の位置決めを行う。このとき、糸ガイド12の両側フランジ部19aが凹部14の縁部の両側部分と当接し、奥側フランジ部19bが凹部14の縁部の奥側部分と当接するように、糸ガイド12を凹部14に嵌め込んで位置決めする。即ち、糸ガイド12を凹部14に嵌め込むことで、図4(a)〜(c)に示すように、両側フランジ部19a及び奥側フランジ部19bがベース11の一面17と当接し、糸ガイド12の側面23がベース11の側面24と当接し、糸ガイド12の側面25がベース11の側面26と当接し、これにより、矢印P、Q、R方向に対して糸ガイド12が位置決めされる。
【0030】
そして、湾曲形成された板バネ13を弾性回復力に抗するように少し広げて、まず、その一端側21をベース11の孔部15に挿通する。このとき、一端側21の先端部分21aをベース11の他面18に沿わせるようにして引っ掛け、一端側21の位置決めを行う。一端側21が、ベース11の一面17及び他面18と係止されると、他端側22を離すことで、弾性回復力により、他端側22が、糸ガイド12の係止凹部20に嵌まり込む。これにより、糸ガイド12が、板バネ13によって、ベース11に対して押し付けられるとともに凹部14の奥側に向かって引き寄せられる方向に付勢されて固定される(5参照)。
【0031】
なお、糸ガイド12を凹部14に対して位置決めするより先に、板バネ13の一端側21を孔部15で位置決めし、その後に、糸ガイド12を凹部14に沿って奥側にスライド移動させつつ、板バネ13の他端側22を係止凹部20に嵌め込むようにして糸ガイド12を取り付けてもよい。
【0032】
また、ベース11に取り付けられている糸ガイド12を取り外す場合は、図4に示す状態から、板バネ13の他端側22を糸ガイド12の係止凹部20から引き離す方向に引っ張る。他端側22を係止凹部20から引き離した後に、一端側21を孔部15から抜き出して板バネ13を取り外し、糸ガイド12が凹部14から取り出される。なお、板バネ13の一端側21を係止凹部20から引き離した状態のままで、糸ガイド12を凹部14に沿ってスライド移動させて取り外してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る糸ガイド取付構造1によると、糸ガイド12を取り付けるに際しては、糸ガイド12をベース11の凹部14に位置決めし、一端側21及び他端側22が所定の位置に位置するように板バネ13を装着するだけで、糸ガイド12を熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイド12を取り外す場合も、板バネ13の装着を解除するだけで糸ガイド12を取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイド12を容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を得ることができる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施することができる。
【0035】
(1)ベースは、熱処理装置に対して別体として設けられるものでなく、熱処理装置と一体的に形成されているものであってもよい。例えば、熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近を構成する板金で直に形成されているものであってもよい。
【0036】
(2)1つのベースに、2箇所の凹部が形成されているものに限らず、1箇所若しくは3箇所以上形成されているものであってもよい。図6は、凹部31が1箇所のみ設けられているベース30を用いて糸ガイド12を取り付ける場合を例示したものである。熱処理装置100の入口101付近には、1つの凹部31aが設けられるとともに屈曲して形成されたベース30aがネジ32を介して取り付けられる。入口101は、熱処理装置100の下方に設けられているため、ベース30aの取付面33が、ベース30aを熱処理装置100の下方から取り付けられるように形成されている。そして、入口付近101に取り付けられたベース30aに対して、糸ガイド12が前記実施形態と同様に凹部31aに位置決めされて板バネ13で固定される。このとき、糸ガイド12は、ベース30aにおける入口101側の面に取り付けられる。また、出口102側においては、1つの凹部31bが設けられるとともに平板状に形成されたベース30bが、ネジ32を介して出口102付近に取り付けられ、このベース30bに対して、上記と同様に糸ガイド12が板バネ13で固定される。このとき、糸ガイド12は、ベース30bにおける出口102とは反対側の面に取り付けられる。
【0037】
(3)糸ガイドの一面側に設けられる係止部は、前記実施形態のように係止凹部として設けられるものでなくてもよい。例えば、図7に示すように、係止凸部33として設けられるものであってもよい。即ち、係止凸部33は、糸ガイド12の一面側に突出しており、板バネ13の他端側22は、係止凸部33に係合可能に折り曲げられて形成されているものであってもよい。このように係止部を形成した場合であっても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、糸ガイドは、ベースの凹部に位置決めされた状態で、板バネによって、ベースに対して押し付けられるとともに、凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢されて固定される。このため、糸ガイドを取り付けるに際しては、糸ガイドをベースの凹部に位置決めし、一端側及び他端側が所定の位置に位置するように板バネを装着するだけで、糸ガイドを熱処理装置の外部から容易に取り付けることができる。また、糸ガイドを取り外す場合も、板バネの装着を解除するだけで糸ガイドを取り外すことができる。したがって、合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入付近又は出口付近に設けられる糸ガイドを容易に着脱できる簡易な糸ガイド取付構造を提供することができる。
また、工具を使用することにより、糸条熱処理装置にベースが取り付けられた状態で、かつ糸ガイドが高温のときでも、糸ガイドのみを交換することが可能である。従って、糸ガイドの交換を迅速にすることができ、しかも、他の錘の運転を止める必要もない。
【0039】
請求項2の発明によると、板バネの一端側は、ベースの孔部を挿通して配設されており、ベースの一面側及び他面側で係止されて位置決めされる。そして、湾曲形成された板バネの他端側が、フランジ部を介して糸ガイドをベースの一面側に対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する。したがって、板バネによって、糸ガイドをベースに対して、押し付けるとともに引き寄せるように取り付ける着脱容易で簡易な糸ガイド取付構造を実現できる。
【0040】
請求項3の発明によると、糸ガイドのフランジ部が凹部の縁部の奥側部分及び両側部分と当接することで、糸ガイドが、凹部に嵌めこまれるように位置決めされる。したがって、凹部で糸ガイドの周囲を囲むようにして、糸ガイドをベースに安定して位置決めすることができる。
【0041】
請求項4の発明によると、板バネの一端側が、ベースの他面側から突出した形状になることを抑制でき、取付スペースの観点から効率の良い糸ガイド取付構造を実現できる。
【0042】
請求項5の発明によると、板バネの他端側と糸ガイドの係止部とを係合させることで、板バネの他端側が糸ガイドをベースに対して押し付けるとともに凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する簡易な構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る糸ガイド取付構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す糸ガイド取付構造の要部断面図である。
【図3】図1に示す糸ガイド取付構造の平面図の一部である。
【図4】図3におけるA−A線矢視断面図(図4(a))、A’−A’線矢視断面図(図4(b))、及びA’’−A’’線矢視断面図(図4(c))である。
【図5】図3におけるB−B線矢視断面図である。
【図6】熱処理装置および本発明の実施形態に係る糸ガイド取付構造の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る糸ガイド取付構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造
11 ベース
12 糸ガイド
13 板バネ
14 凹部
21 一端側
22 他端側
100 熱処理装置
101 入口
102 出口
Claims (5)
- 合成繊維糸条の熱処理装置における糸条の入口付近又は出口付近に設けられる糸ガイドの取付構造であって、
前記入口付近又は出口付近に取り付けられ、又は形成され、当該熱処理装置内を移動する糸条が通過する凹部が形成されたベースと、
前記凹部に対して位置決めされ、当該熱処理装置内を移動する糸条を案内する糸ガイドと、
一端側が前記ベースに位置決めされ、他端側が前記糸ガイドを前記ベースに対して押し付けるとともに前記凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢する板バネと、を備えることを特徴とする糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造。 - 前記糸ガイドには、前記ベースの一面側で前記凹部に対して係止されるフランジ部が設けられ、
前記ベースには、孔部が設けられ、
前記板バネは、湾曲するように折り曲げられて形成されるとともに、前記一端側が前記孔部を挿通しているように配設され、
前記板バネの前記一端側は、前記ベースの一面側及び他面側でそれぞれ係止されて位置決めされ、
前記板バネの前記他端側は、前記糸ガイドを前記ベースの一面側に押し付けるとともに前記凹部の奥側に向かって引き寄せる方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造。 - 前記糸ガイドの前記フランジ部は、前記ベースの前記凹部を形成する縁部の奥側部分及び両側部分で前記ベースに当接可能に形成され、前記糸ガイドは前記凹部に嵌め込まれるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造。
- 前記板バネの前記一端側は、前記ベースの他面側に沿うように一部折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造。
- 前記糸ガイドの一面側には、係止部が設けられ、
前記板バネの前記他端側は、前記係止部に係合可能に折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の糸条熱処理装置の糸ガイド取付構造。
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- 2003-01-08 JP JP2003001977A patent/JP2004211263A/ja active Pending
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