JP2004210930A - ボールペン用水性インキ組成物 - Google Patents
ボールペン用水性インキ組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004210930A JP2004210930A JP2002381488A JP2002381488A JP2004210930A JP 2004210930 A JP2004210930 A JP 2004210930A JP 2002381488 A JP2002381488 A JP 2002381488A JP 2002381488 A JP2002381488 A JP 2002381488A JP 2004210930 A JP2004210930 A JP 2004210930A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- ink composition
- titanium oxide
- weight
- composite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Abstract
【課題】隠蔽性の高い筆跡を形成でき、同時にインキ組成物中での経時沈降安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供する
【解決手段】酸化チタン、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、および水を主成分とするボールペン用水性インキ組成物において、前記酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させて複合体としたボールペン用水性インキ組成物。
【解決手段】酸化チタン、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、および水を主成分とするボールペン用水性インキ組成物において、前記酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させて複合体としたボールペン用水性インキ組成物。
Description
【0001】
本発明は、ボールペン用水性インキ組成物に関するものであり、さらに詳しくは、隠蔽性と経時安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、濃色の紙面に白色の筆跡を描くためのボールペン用水性インキの着色剤として酸化チタンが使用されてきた。しかしながら、酸化チタンは比重が大きく、短期間で沈降・凝集し易い。酸化チタンの沈降、凝集を防止するために粒子径が0.1〜0.5μmの微粒子状酸化チタンを用いる方法が考えられるが、このような粒子径の酸化チタンを用いると、該酸化チタンは紙繊維の間に浸透してしまい、隠蔽性が低下してしまう。更に酸化チタンによる隠蔽性を保持するために、樹脂粒子を添加して酸化チタンが紙繊維の間に浸透することを防止する試みが開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、前記樹脂粒子を添加することにより酸化チタンの添加量が相対的に減少して隠蔽性の高い白色の筆跡が得られ難くなる。そこで、ボールペン用水性インキ組成物の着色剤として、酸化チタンを内包したマイクロカプセル顔料を添加することで、酸化チタンが紙面内部まで浸透したり、インキ組成物中で凝集することを防止する試みが開示(例えば、特許文献2参照。)されている。しかしながら、これは酸化チタンの紙内部への浸透防止については効果が見られるものの、粒子径が大きいため、沈降安定性が低下するという問題が発生してしまう。
【特許文献1】
特開平8−325503号公報
【特許文献2】
特開2000−265105号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した問題を解決するものであって、即ち、隠蔽性の高い筆跡を形成でき、同時にインキ組成物中での経時沈降安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、酸化チタンを無機担体に担持させてインキ組成物中に配合することによって、酸化チタンが紙面内部まで浸透したり、インキ組成物中で沈降することを防止しすると共に高い隠蔽性を備えた筆記線を得ることができ、その目的を達成しうることを見出し本発明を完成したものである。
即ち、本発明の要旨は、酸化チタン、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、および水を主成分とするボールペン用水性インキ組成物において、前記酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させた複合体を含有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物であり、前記複合体は、嵩密度が0.8g/cm3以下であることが好ましく、また、前記複合体は、多孔性であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてインキ組成物を構成する水溶性樹脂、水溶性有機溶剤及び水は従来より水溶性インキに使用しているものと変わらない。例えば、本発明において使用する水溶性樹脂は、粘度調整の目的で用いるが、水性ボールペンインキとして一般的に使用されている水溶性アクリル樹脂、架橋型アクリル酸樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、グリオキザール付加メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、ポリN−ビニルアセトアミドなどの合成品やトラガントガム、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン等の天然ガム質等を例示できる。これらの水溶性樹脂は一種または二種以上混合して使用することができる。
【0006】
本発明において使用する水溶性有機溶剤は、水に相溶性のある溶剤が全て有効であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等を例示できる。これらの水溶性有機溶剤は一種または二種以上混合して使用することができる。
【0007】
本発明においては、使用する白色顔料はルチル型、アナターゼ型の酸化チタンが使用でき、その粒子径としては特に規定されるものではないが、通常0.5〜1μm程度のものが坦持させるためには好ましい。商品として市販されている酸化チタンは、PW−155 white D(日本プリントインキ(株)製)、MICROLITH White R−WA(チバスペシャリティーケミカルズ製)、Emacol White PM−43(山陽色素(株)製)、タイトーンSR−1、同R−650、同R−3L(堺化学工業(株)製)、タイペークR−580、同R−560、同R−930(石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480(チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−931(デュポンジャパンリミテッド製)、チタニックスJR−300、同JR−600A、同JR−800(テイカ(株)製)等が例示できる。
【0008】
酸化チタンを坦持させる無機坦体としては、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸バリウム、炭酸コバルト、酸化コバルト(III)コバルト、水和酸化鉄、α−酸化鉄、コバルト−鉄炭酸塩、塩基性炭酸銅、金属銅、炭酸ニッケル等を挙げることが出来る。また、無機坦体は、複合体の嵩密度を低下させるために多孔性であることが望ましい。無機担体としてシリカを使用した場合、酸化チタンを含有したシリカよりなる複合体の嵩密度が0.8g/cm3以下で酸化チタンや溶媒よりも密度が小さいためインキ組成物中で沈降し難く、筆記先端部で目詰まりを発生させ難い。前記複合体の嵩密度が0.8g/cm3と非常に小さいのは、複合体調製時に複合体に多孔性が付与させるためである。また前記複合体微粒子中に包含された酸化チタンの含有率は10〜80重量%の範囲であることが好ましい。含有率が10重量%以下だと、複合体自体の隠蔽性がなくなるため、インキとしても十分な隠蔽性を保つことができなくなる。また含有率が80重量%以上だと複合体の嵩密度が高くなり、沈降しやすくなってしまう。前記複合体として市販されている商品としては、ゴットボールW−50H(鈴木油脂工業社製)等が例示できる。そして、本発明においては添加すべき白色顔料の5〜100%程度を複合体とする。
【0009】
さらに上記主成分の他、一般的に用いられている界面活性剤、分散剤、防錆剤、防腐剤、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤なども添加し使用することができる。界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩などのアニオン系界面活性剤等が挙げられる。分散剤としては、アクリル・スチレン共重合体、マレイン酸・スチレン共重合体、及びそれらの中和塩等が例示できる。防錆剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレート等が例示できる。防腐剤としては安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが例示でき、湿潤剤としては尿素、ノニオン系界面活性剤などが使用できる。
【0010】
【実施例】
次に実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明で使用した酸化チタン複合体の嵩密度、得られたインク組成物の隠蔽試験及び沈降試験は次のような方法で測定した。
【0011】
a.嵩密度の測定
実施例おける複合体の嵩密度および比較例におけるマイクロカプセルの嵩密度の測定はピクノメーターを用いて、以下の手順と式により算出した。
乾燥したピクノメーターの重量(mP)の測定
ピクノメーター+溶媒の重量→溶媒の重量(ml)算出→溶媒の密度を算出(ρl=ml/Vl)
ピクノメーター+複合体またはマイクロカプセルの重量の測定→粒子の重量(mS)算出
さらに複合体が入ったピクノメーターを溶媒で満たし、重量測定→複合体またはマイクロカプセル+溶媒の重量(m)を算出
次の式により複合体およびマイクロカプセルの嵩密度の算出
ρS(複合体およびマイクロカプセルの嵩密度)=mSρl/(ml+mS−m)
b.隠蔽試験
バーコーターを用いて黒色紙に塗布し、塗膜の隠蔽状態を観察し、次の基準に従って評価した。
○:紙面の黒色が視覚されない。
△:紙面の黒色が若干視覚される。
×:紙面の黒色が視覚される。
c.沈降試験
実施例及び比較例のインキ組成物について、温度50℃、湿度60%の環境において、3ヶ月保存後のインキ組成物の状態を観察し、次の基準に従って評価した。
○:色分かれが全く見られない。
△:若干色分かれが見られる。
×:かなり色分かれが見られる。
【0012】
実施例1
下記の組成のインキ組成物を調製した。
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0013】
実施例2
下記の組成のインキ組成物を調製した。
【0014】
実施例3
下記の組成のインキ組成物を調製した。
複合微粒子B〔鈴木油脂工業(株)製、商品名:ゴットボールW−50H、嵩密度0.56g/cm3、酸化チタン含有量50wt%〕 10重量%
酸化チタン分散液〔山陽色素(株)製、商品名:Emacol whitePM−43顔料分51%〕 58.8重量%
水 10.7重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0015】
比較例1
下記の組成のインキ組成物を調製した。
酸化チタン分散液〔山陽色素(株)製、商品名:Emacol whitePM−43、顔料分51%〕 70重量%
水 8.6重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0016】
比較例2
下記の組成のインキ組成物を調製した。
複合微粒子C〔根上工業(株)製、商品名:アートパールC800白、嵩密度1.2g/cm3〕 40重量%
水 38.6重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明は、酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させた複合体として用いることにより、隠蔽性の高い筆跡を形成でき、同時にインキ組成物中での経時沈降安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供することができる。
本発明は、ボールペン用水性インキ組成物に関するものであり、さらに詳しくは、隠蔽性と経時安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、濃色の紙面に白色の筆跡を描くためのボールペン用水性インキの着色剤として酸化チタンが使用されてきた。しかしながら、酸化チタンは比重が大きく、短期間で沈降・凝集し易い。酸化チタンの沈降、凝集を防止するために粒子径が0.1〜0.5μmの微粒子状酸化チタンを用いる方法が考えられるが、このような粒子径の酸化チタンを用いると、該酸化チタンは紙繊維の間に浸透してしまい、隠蔽性が低下してしまう。更に酸化チタンによる隠蔽性を保持するために、樹脂粒子を添加して酸化チタンが紙繊維の間に浸透することを防止する試みが開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、前記樹脂粒子を添加することにより酸化チタンの添加量が相対的に減少して隠蔽性の高い白色の筆跡が得られ難くなる。そこで、ボールペン用水性インキ組成物の着色剤として、酸化チタンを内包したマイクロカプセル顔料を添加することで、酸化チタンが紙面内部まで浸透したり、インキ組成物中で凝集することを防止する試みが開示(例えば、特許文献2参照。)されている。しかしながら、これは酸化チタンの紙内部への浸透防止については効果が見られるものの、粒子径が大きいため、沈降安定性が低下するという問題が発生してしまう。
【特許文献1】
特開平8−325503号公報
【特許文献2】
特開2000−265105号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した問題を解決するものであって、即ち、隠蔽性の高い筆跡を形成でき、同時にインキ組成物中での経時沈降安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、酸化チタンを無機担体に担持させてインキ組成物中に配合することによって、酸化チタンが紙面内部まで浸透したり、インキ組成物中で沈降することを防止しすると共に高い隠蔽性を備えた筆記線を得ることができ、その目的を達成しうることを見出し本発明を完成したものである。
即ち、本発明の要旨は、酸化チタン、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、および水を主成分とするボールペン用水性インキ組成物において、前記酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させた複合体を含有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物であり、前記複合体は、嵩密度が0.8g/cm3以下であることが好ましく、また、前記複合体は、多孔性であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてインキ組成物を構成する水溶性樹脂、水溶性有機溶剤及び水は従来より水溶性インキに使用しているものと変わらない。例えば、本発明において使用する水溶性樹脂は、粘度調整の目的で用いるが、水性ボールペンインキとして一般的に使用されている水溶性アクリル樹脂、架橋型アクリル酸樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、グリオキザール付加メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、ポリN−ビニルアセトアミドなどの合成品やトラガントガム、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン等の天然ガム質等を例示できる。これらの水溶性樹脂は一種または二種以上混合して使用することができる。
【0006】
本発明において使用する水溶性有機溶剤は、水に相溶性のある溶剤が全て有効であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等を例示できる。これらの水溶性有機溶剤は一種または二種以上混合して使用することができる。
【0007】
本発明においては、使用する白色顔料はルチル型、アナターゼ型の酸化チタンが使用でき、その粒子径としては特に規定されるものではないが、通常0.5〜1μm程度のものが坦持させるためには好ましい。商品として市販されている酸化チタンは、PW−155 white D(日本プリントインキ(株)製)、MICROLITH White R−WA(チバスペシャリティーケミカルズ製)、Emacol White PM−43(山陽色素(株)製)、タイトーンSR−1、同R−650、同R−3L(堺化学工業(株)製)、タイペークR−580、同R−560、同R−930(石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480(チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−931(デュポンジャパンリミテッド製)、チタニックスJR−300、同JR−600A、同JR−800(テイカ(株)製)等が例示できる。
【0008】
酸化チタンを坦持させる無機坦体としては、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸バリウム、炭酸コバルト、酸化コバルト(III)コバルト、水和酸化鉄、α−酸化鉄、コバルト−鉄炭酸塩、塩基性炭酸銅、金属銅、炭酸ニッケル等を挙げることが出来る。また、無機坦体は、複合体の嵩密度を低下させるために多孔性であることが望ましい。無機担体としてシリカを使用した場合、酸化チタンを含有したシリカよりなる複合体の嵩密度が0.8g/cm3以下で酸化チタンや溶媒よりも密度が小さいためインキ組成物中で沈降し難く、筆記先端部で目詰まりを発生させ難い。前記複合体の嵩密度が0.8g/cm3と非常に小さいのは、複合体調製時に複合体に多孔性が付与させるためである。また前記複合体微粒子中に包含された酸化チタンの含有率は10〜80重量%の範囲であることが好ましい。含有率が10重量%以下だと、複合体自体の隠蔽性がなくなるため、インキとしても十分な隠蔽性を保つことができなくなる。また含有率が80重量%以上だと複合体の嵩密度が高くなり、沈降しやすくなってしまう。前記複合体として市販されている商品としては、ゴットボールW−50H(鈴木油脂工業社製)等が例示できる。そして、本発明においては添加すべき白色顔料の5〜100%程度を複合体とする。
【0009】
さらに上記主成分の他、一般的に用いられている界面活性剤、分散剤、防錆剤、防腐剤、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤なども添加し使用することができる。界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩などのアニオン系界面活性剤等が挙げられる。分散剤としては、アクリル・スチレン共重合体、マレイン酸・スチレン共重合体、及びそれらの中和塩等が例示できる。防錆剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレート等が例示できる。防腐剤としては安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが例示でき、湿潤剤としては尿素、ノニオン系界面活性剤などが使用できる。
【0010】
【実施例】
次に実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明で使用した酸化チタン複合体の嵩密度、得られたインク組成物の隠蔽試験及び沈降試験は次のような方法で測定した。
【0011】
a.嵩密度の測定
実施例おける複合体の嵩密度および比較例におけるマイクロカプセルの嵩密度の測定はピクノメーターを用いて、以下の手順と式により算出した。
乾燥したピクノメーターの重量(mP)の測定
ピクノメーター+溶媒の重量→溶媒の重量(ml)算出→溶媒の密度を算出(ρl=ml/Vl)
ピクノメーター+複合体またはマイクロカプセルの重量の測定→粒子の重量(mS)算出
さらに複合体が入ったピクノメーターを溶媒で満たし、重量測定→複合体またはマイクロカプセル+溶媒の重量(m)を算出
次の式により複合体およびマイクロカプセルの嵩密度の算出
ρS(複合体およびマイクロカプセルの嵩密度)=mSρl/(ml+mS−m)
b.隠蔽試験
バーコーターを用いて黒色紙に塗布し、塗膜の隠蔽状態を観察し、次の基準に従って評価した。
○:紙面の黒色が視覚されない。
△:紙面の黒色が若干視覚される。
×:紙面の黒色が視覚される。
c.沈降試験
実施例及び比較例のインキ組成物について、温度50℃、湿度60%の環境において、3ヶ月保存後のインキ組成物の状態を観察し、次の基準に従って評価した。
○:色分かれが全く見られない。
△:若干色分かれが見られる。
×:かなり色分かれが見られる。
【0012】
実施例1
下記の組成のインキ組成物を調製した。
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0013】
実施例2
下記の組成のインキ組成物を調製した。
【0014】
実施例3
下記の組成のインキ組成物を調製した。
複合微粒子B〔鈴木油脂工業(株)製、商品名:ゴットボールW−50H、嵩密度0.56g/cm3、酸化チタン含有量50wt%〕 10重量%
酸化チタン分散液〔山陽色素(株)製、商品名:Emacol whitePM−43顔料分51%〕 58.8重量%
水 10.7重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0015】
比較例1
下記の組成のインキ組成物を調製した。
酸化チタン分散液〔山陽色素(株)製、商品名:Emacol whitePM−43、顔料分51%〕 70重量%
水 8.6重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0016】
比較例2
下記の組成のインキ組成物を調製した。
複合微粒子C〔根上工業(株)製、商品名:アートパールC800白、嵩密度1.2g/cm3〕 40重量%
水 38.6重量%
ジエチレングリコール 10重量%
プロピレングリコール 10重量%
水溶性樹脂 0.2重量%
消泡剤 0.1重量%
防腐剤 1.0重量%
pH調整剤 0.1重量%
得られたインキ組成物について隠蔽試験及び沈降試験を行った。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明は、酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させた複合体として用いることにより、隠蔽性の高い筆跡を形成でき、同時にインキ組成物中での経時沈降安定性に優れたボールペン用水性インキ組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 酸化チタン、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、および水を主成分とするボールペン用水性インキ組成物において、前記酸化チタンの少なくとも一部を無機担体に含有させて複合体としたことを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
- 前記複合体は、嵩密度が0.8g/cm3以下であることを特徴とする請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記複合体は、多孔性であることを特徴とする請求項1又は2記載のボールペン用水性インキ組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002381488A JP2004210930A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | ボールペン用水性インキ組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002381488A JP2004210930A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | ボールペン用水性インキ組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004210930A true JP2004210930A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32817388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002381488A Pending JP2004210930A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | ボールペン用水性インキ組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004210930A (ja) |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002381488A patent/JP2004210930A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100364179B1 (ko) | 수성 볼펜용 백색 안료 잉크 | |
JP6626369B2 (ja) | 筆記具用水性インク組成物 | |
JP5918867B2 (ja) | 水性インキ組成物及び水性ボールペン | |
JP5283250B2 (ja) | 水性インキ組成物およびその製造方法、ならびに筆記具 | |
JP5599666B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP4713372B2 (ja) | 水性ボールペン用インキ組成物 | |
JP2009019191A (ja) | 出没式ボールペン用水性インキ組成物及びそれを収容した出没式ボールペン | |
JP6718259B2 (ja) | ボールペン用水性インク組成物 | |
JP2004210930A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物 | |
JP2009046660A (ja) | 水性光輝性インキ組成物 | |
JP4008150B2 (ja) | 筆記具用水性インキ組成物 | |
JP5543695B2 (ja) | 水性光輝性インキ組成物 | |
JP4836816B2 (ja) | 水性ボールペン | |
JP4326912B2 (ja) | 水性ボールペン | |
JP5963610B2 (ja) | 筆記具用水性インク組成物 | |
JP2018001755A (ja) | ボールペン | |
JPS62124170A (ja) | 水性インキ組成物 | |
EP4382579A1 (en) | Aqueous ink composition for writing instruments | |
JPH11106695A (ja) | 水性ボールペン用顔料インキ組成物 | |
JP4308675B2 (ja) | 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 | |
JP2024141830A (ja) | 筆記具用水性インク組成物 | |
JP2008183879A (ja) | 水性ボールペン | |
JP2003113340A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP2024135133A (ja) | 筆記具用水性インク組成物 | |
JP2019196451A (ja) | 筆記具用水性インク組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050225 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20080724 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20081202 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090331 |