JP2004210801A - 敗血症を治療するためにリポタンパク質関連凝集インヒビターを用いる方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、第VII因子、第Xa因子、および組織因子の発現の活性化を含む、急性炎症または慢性炎症に関連する症候群(敗血症および敗血症性ショックなど)を予防的におよび治療的に処置するために使用でき組成物を提供する。この組成物は、有効量のリポタンパク質関連凝固因子(LACI)を含有する。本発明に従って、LACIを投与することで、TNF、IL−1、IL−6、または他のサイトカインが組織因子を上方制御する病状を治療することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、第VII因子、第Xa因子、および組織因子の発現の活性化を含む、急性炎症または慢性炎症に関連する症候群(敗血症および敗血症性ショックなど)を予防的におよび治療的に処置する方法であって、有効量のリポタンパク質関連凝固因子(LACI)を投与する工程を包含する方法である。さらに本発明は、LACIを投与して、TNF、IL−1、IL−6、または他のサイトカインが組織因子を上方制御する病状を治療する工程を包含する方法である。詳細には、これらの病状には急性炎症または慢性炎症を含む。好ましくは、LACIは、1μg/kgから20mg/kgの間、さらに好ましくは20μg/kgから10mg/kgの間、最も好ましくは1から7mg/kgの間の用量で静脈内に投与される。LACIは、好ましくは敗血症および敗血症性ショックを治療する添加剤(例えば、抗生物質)とともに投与される。
表1は、+30分でのコントロールのヒヒおよびLACI処置したヒヒの体重、性別、E.coli用量、および生存期間を示す。
(LACI)
上記のように、本発明は、LACIが敗血症性ショックの有害な効果を阻害し得ることの発見である。詳細には、LACIは、凝固障害ならびに急性炎症および敗血症性ショックに関連する炎症プロセスを阻害/減弱する。LACIは分子量38,000Kdの血清の糖タンパク質である。なぜなら、これは組織因子インヒビターとしても知られている。これは凝固を誘導する天然のトロンボプラスチン(組織因子)インヒビターである(米国特許第5,110,730号および第5,106,833号は組織因子を記載し、そして本明細書に参考として全体が援用されている)。LACIはプロテアーゼインヒビターであり、3つのクーニッツ(Kunitz)ドメインを有する。それぞれの内2つは、それぞれ第VII因子および第Xa因子をを相互作用することが公知であるが、第3のドメインの機能は、知られていない。LACIの構造特性の多くは、他の良く研究されたプロテアーゼとの相同性のため推察し得る。LACIは酵素ではないので、おそらく化学量論的にプロテアーゼの標的を阻害する;すなわち、LACIのドメインの1つが1つのプロテアーゼ分子を阻害する。LACIは、抗敗血症活性を維持するフラグメント、およびLACIを含むハイブリッド分子を含むと定義される。LACIフラグメントおよびその変異体に関しては米国特許第5,106,833号を参照のこと。
LACIは、いくつかの方法により作製および単離され得る。例えば、LACI分泌細胞には、約3日から4日間TNFで処置した加齢上皮細胞または若齢上皮細胞、また血液細胞または肝癌細胞も含まれる。LACIは従来の方法によりこの細胞培養物から精製し得る。例えば、これらの方法にはクロマトグラフ法を含み、それはPedersenら,1990,J. of Biological Chemistry,265:16786−16793,Novotnyら,1989,J. of Biological Chemistry,264;18832−18837,Novotnyら,1991,Blood,78:394−400,Wunら,1990,J. of Biological Chemistry,265;16096−16101、およびBrozeら,1987,PNAS(USA),84:1886−1890に示される。さらに、LACIは血流中に現れて、血液から精製し得た。前出のPedersenらを参照のこと。しかし、この方法は十分な量のLACIを得るのに大量の血液を必要とするので、提案しないかあるいは好ましくない。
(適切な、宿主、コントロール系、および方法)
最初に、成熟タンパク質(本明細書では全ての変異体を含む)をコードするDNA;前駆体タンパク質;あるいは、LACIタンパク質の活性を損なわない追加の配列または制御された条件下で切断されて(例えばペプチダーゼ処理)活性なタンパク質を生じる追加の配列への融合物、が得られる。この配列がイントロンにより妨害されない場合、任意の宿主中での発現に適切である。イントロンがある場合、発現は哺乳動物またはそれらをプロセシングし得る他の真核生物系において得られ得る。従って、この配列は切断可能なおよび回復可能な形である。次いで、切断可能なおよび回復可能なコーディング配列は、複製可能な発現ベクター中に適切なコントロール配列と共に作動可能に連結される。このベクターは適切な宿主に形質転換され、この形質転換された宿主を組換えLACIの生成に効果のある好ましい条件下で培養した。
原核生物は、種々のE.coli株により最もたびたび代表される。しかし、桿菌(例えばBacillus subtilis)、種々のPseudomonas種、または他の細菌株のような他の微生物株も用いられる。このような原核生物系において、宿主と適合する種由来である複製部位およびコントロール配列を含むプラスミドベクターが用いられる。例えば、E.coliは、Bolivarら,1977,Gene,2:95によりE.coli種由来のプラスミドであるpBR322の誘導体を用いて典型的に形質転換される。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性の遺伝子を含み、従って、所望のベクターの構築において維持されるかまたは破壊されるかのいずれかであり得る追加のマーカーを提供する。通常用いられる原核生物のコントロール配列は、本明細書において転写開始プロモーター(必要であればリボソーム結合部位配列を伴うオペレーター)を含むと定義される。転写開始プロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)プロモーター系(Changら,1977,Nature,198:1056)、およびトリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら,1980,Nucleic Acids Res.,8:4057)、およびλ由来PLプロモーターおよびN−遺伝子リボソーム結合部位(Shimatakeら,1981,Nature,292:128)のような通常用いられるプロモーターを含む。これらは、ポータブルコントロールカセットとして有用であり、1987年12月8日に発行された米国特許第4,711,845号に記載されている。しかし、原核生物に適合し得るどんなプロモーター系も用いられ得る。
クローニングおよび配列決定のためには、ならびにほとんどの細菌のプロモーターの制御下での構築物の発現のためには、E.coli MM294株がE.coliから得られた(Genetic Stock Center GCSC #6135)。PLNRBSプロモーターの制御下での発現については、E.coli K12 MC1000株のλリソゲン、N7N53cI857 SusP80、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託した株(ATCC 39531)を用い得る。1987年4月7日にATCCに寄託したE.coli DG116(受託番号53606)もまた用い得る。
用いた宿主細胞によって、このような細胞に適切な標準の技術を用いて形質転換が行われる。Cohen,S.N.,1972,PNAS(USA),69:2110に記載されるような塩化カルシウムを用いるカルシウム処理が、原核細胞または実質的な細胞壁関門を含む他の細胞に用いられる。Agrobacterium tumefaciensでの感染(Shaw,C.H.ら,1983,Gene,23:315)が、特定の植物細胞に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物細胞については、Grahamおよびvan der Eb,1987,Virology,52:546のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。酵母中への形質転換は、Van Solingen,P.ら,1977,J. Bact.,130:946、およびHsiao,C.L.ら,1979,PNAS(USA),76:3829の方法に従って行われる。
RNAを、変性剤としてホルムアルデヒド(Maniatas,T.ら,1982,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Press,202−203頁)、または10mM メチル水銀(CH3HgOH)(Bailey,J.M.ら,1976,Anal.Biochem.,70:75−85;Shegal,P.B.ら,1980,Nature,288:95−97)を用いて十分に変性させる条件下で、アガローススラブゲル電気泳動によるノーザンブロットで分画した。メチル水銀ゲルについては、1.5%ゲルを、泳動用緩衝液(100mM ホウ酸、6mMホウ酸ナトリウム、10mM 硫酸ナトリウム、1mM EDTA、pH8.2)中にアガロースを溶解して調製し、60℃に冷却し、そして1/100容量の1M CH3HgOHを加えた。RNAを0.5×泳動用緩衝液に溶解して、室温で10分間10mM メチル水銀中でインキュベートすることにより変性させた。グリセロール(20%)およびブロモフェノールブルー(0.05%)をサンプルを載せるために加えた。緩衝液を再循環させてサンプルを500−600ボルト/時間で電気泳動する。電気泳動後、ゲルを10mM 2−メルカプトエタノール中で40分間洗浄して、メチル水銀を脱毒化する。そして、ゲルからメンブレンフィルターにRNAを転写することによりノーザンブロットを調製した。
所望のコーディングおよびコントロール配列を含む適切なベクターの構築は、当該分野で周知の標準のライゲーションおよび制限処理方法を用いる。単離したプラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドを切断し、適合するように仕立てて、そして所望の型に再ライゲーションする。
配列の改変を必要とするcDNAまたはゲノムDNA由来のベクターの部分について、変異を意図した部位特異的プライマーを用いる。この技術は現在当該分野で標準的であり、一本鎖ファージDNAに相補的なプライマー合成オリゴヌクレオチドを用いて行われ、限られたミス対合を除いて所望の変異を示すように変異する。簡単に述べると、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、ファージに相補的な鎖を直接合成し、得られた二本鎖DNAをファージ支持宿主細菌に形質転換する。形質転換された細菌の培養物をトップアガーにのせ、ファージを潜伏させた単細胞からプラーク形成し得る。
プラスミド構築の正しいライゲーションは、まず、ライゲーション混合物と、E.coli MM294株または他の適切な宿主を形質転換することにより確認した。成功した組換え体をアンピシリン、テトラサイクリン、または他の抗生物質の耐性により、あるいはプラスミド構築の態様に依存する他のマーカーを用いて、当該分野で理解されるように選択した。次いで、組換え体由来のプラスミドは、Clewell,D.B.ら,1969,PNAS(USA),62:1159の方法に従って、必要に応じて続いてクロラムフェニコール増幅(Clewell,D.B.,1972,J.Bacteriol,110:667)を行って調製する。単離されたDNAを、制限処理により分析、および/またはSanger,F.ら,1977,PNAS(USA),74:5463のジデオキシ法(さらにMessingら,1981,Nucleic Acids Res.,9:309により記載されたように)により、またはMaxamら,1980,Methods in Enzymology,65:499の方法により、配列決定する。
LACIを発現する哺乳動物細胞の精製について、次の方法を用い得る:ヘパリン−セファロース、MonoQ、MonoS、および逆相HPLCクロマトグラフィーの一連の適用。Pedersenら, 前出、Novotnyら,1989,J. of Biological Chemistry,264:18832−18837、Novotnyら,1991,Blood,78:394−400、Wunら,1990,J. of Biological Chemistry,265:16096−16101、およびBrozeら,1987,PNAS(USA),84:1886−1890を参照のこと。これらの参考文献は、哺乳動物の産生したLACIを精製する種々の方法を記載している。
LACIは、敗血症、急性炎症、または慢性炎症、およびサイトカインが組織因子を上方制御する他の疾患を治療および予防するために治療学的に有効な濃度で投与される。この目的を達成するために、LACIは好ましくは静脈内に投与される。この投与を達成するための方法は当業者に公知である。
上記のように、LACIは敗血症または敗血症性ショックのヒトの患者を治療的にまたは予防的に処置するのに有用である。一般的に、敗血症を有するヒトは、高熱(38.5℃より高い)または低体温症(35.5℃より低い)、低血圧、頻呼吸(20呼吸/分より多い)、頻脈(100拍動/分より多い)、白血球増加症(15,000細胞/mm3より多い)、および菌血症に関連する血小板減少症(100,000血小板/mm3より少ない)を特徴とする。LACIは患者が敗血症であると疑われると同時に投与される;フィブリノーゲンの20%より多いかまたは等しい低下、あるいはフィブリン分解生成物の出現、患者体温の上昇、ならびに敗血症と関連する白血球減少、血小板減少、および低血圧の診断でそれら自体が示される。また上記のように好ましい経路は静脈内投与による。一般的に、LACIは1μg/kgと20mg/kgとの間の用量で、さらに好ましくは20μg/kgと10mg/kgとの間の用量で、最も好ましくは1mg/kgと7mg/kgとの間の用量で与えられる。好ましくは、持続用量として与えられ、持続用量後4〜6時間は、循環レベルを10〜20倍増加する。点滴注入もまた持続用量後に用いられ得る。その場合、LACIは5μg/kg/分と20μg/kg/分との間の用量で、さらに好ましくは7μg/kg/分と15μg/kg/分との間の用量で注入され得る。
(LACIの生成)
(A.加齢細胞)
ヒト臍静脈内皮細胞(HuVec)をプレートにまき、標準の組織培養液中で維持した。それらを32〜36日間加齢し、新鮮な培地で一週間に2度培地交換して、32日後に培養上清を取り出した(いわゆる調整培地またはCM)。CMはLACIを含んでいた。
同様のHuVec細胞をプレートにまき、24〜48時間組織培養液中で維持し、次いで3〜4日間種々の濃度の腫瘍壊死因子(TNF)と接触させた。LACIを含む培地を取り出した。これをTNF CMと呼ぶ。
(LACIの敗血症阻害)
次のアッセイを考案し、LACIによる敗血症の阻害を測定した。HuVec細胞をプレートにまき、48時間インキュベートした。細菌のリポ多糖(LPS)を敗血症の誘導剤として加えた。LPSの添加が、単純な凝固よりも広い敗血症様応答を刺激するための最良の方法であった。誘導剤を加えた場合、試験サンプルを加えて内皮細胞上のLPS効果への影響を試験した。試験したサンプルはLACIを含んでいた。細胞を4時間と5時間との間インキュベートし、次いでクロモザイム(chromozyme)を加えた。クロモザイムは、第II因子、第VII因子、第IX因子、および第X因子を含む。この最初の方法では組織因子の誘導阻害および活性阻害を測定した。組織因子活性の阻害を測定する本アッセイの2つの内の1つでは、サンプルをクロモザイムと共に加え、次いで45分間インキュベートした。LACI阻害活性をA405で分光光度計で吸光度(色調変化を生じる)を読むことにより測定した。
(LACIを用いるヒト患者の治療)
敗血症に罹患したヒト患者は、LACIを用いて治療的に処置され得る。患者は、上昇した熱、血圧の低下、白血球数の減少、およびフィブリノーゲンの20%以上の低下が現れる場合、LACIを、3〜10mg/kgの持続用量として、および10〜20μg/kg/分の3〜4時間の注入として静脈内に投与する。あるいは、LACIを約10mg/kg/分の連続した速さで3日間または3〜4日間毎日4時間投与し得る。抗菌治療または広いスペクトルの抗菌剤をLACIと共に患者に投与する。
本実験において、高度に精製した組換えLACI(6mg/kg)を致死量のE.coli静脈内注入の開始後30分または4時間のいずれかでヒヒに投与した。発病後初期のLACI処置の結果、a)永続的な7日の生存動物(5/5)が生存の質において有意な改善を示したが、コントロールの平均生存時間(5/5)は39.9時間であった(生存動物なし);b)腎臓、副腎、および肺を含むE.coli敗血症の標的細胞で観察される病理における有意な減少を伴う、有意な凝固応答および種々の程度の細胞障害の減少を生じる。LACI投与は、平均の全身性動脈圧の減少、細菌感染に関連する呼吸速度および心拍数の増加、または体温変化に影響しなかった。LACI処置のE.coli感染ヒヒは、リン酸緩衝化生理食塩水処置コントロールより20倍低いIL−6レベルを有していた。初期の30分治療に比較して、細菌感染の開始後4時間、すなわち240分でのLACIの投与の結果、生存率(2匹の生存動物)で40%改善した生存時間の延長を生じ、特にフィブリノーゲンレベルがLACI投与時に正常の10%を超える動物における凝固応答のいくらかの減少を生じた。
LACIを、Wunら, 1992, Thrombosis Haemost., 68:54−59, Limulus変形細胞溶菌試験での細菌内毒素の検出、Alan R. Liss, Inc., NY.に記載されているようにヒト肝癌細胞SK Hep株中で発現した。物質は標準法により精製して95%を超える純粋な調製物を得た。LACIを、賦形剤コントロールとして用いられる150mM NaClおよび20mM NaPO4(pH7.2)中に処方した。LACIサンプル中の最終タンパク質濃度は、2.3mg/ml〜3.7mg/mlの範囲であり、アミノ酸組成により決定した;内毒素レベルはタンパク質15ミリグラム当たり8から27内毒素ユニットの範囲であった。LACIのロットは、組織因子阻害アッセイを用いて生物学的活性をモニターした(Bozeら, Blood(1988)71:335−343)。
Charles River Primate Center(Wilmington, MA)から購入した雄および雌のPapio anubisヒヒ(7.6±2.4kg)を最低で30日間、University of Oklahoma Health Sciences Center Animal Resource Facility(Oklahoma City, OK)に隔離した。動物は、36%以上のヘマトクリットを有する感染または寄生生物のないものであった。
Escherichia coli 086:K61H生物(ATCC 33985; Rockville, MD)を、Children’s Memorial Hospital, Oklahoma Cityで便試料から単離した。それらを、トリプシンソイビーンアガー中で増殖した後、4℃で凍結乾燥状態で保存し、Hinshawら, J. Trauma(1982)23:361−365に記載のように再構成して特徴付けした。
(内毒素測定)
LACI調製物および賦形剤緩衝液中の内毒素レベルをlimulus変形細胞溶菌試験(Wunら, Thromb. Haemost., (1992) 68:54−59)によりモニターした。E.coli由来のLPS(B5505;Mallinckrodt, St.Louis, MO)を標準として含んだ。このアッセイの検出限界は、10内毒素ユニット(E.U.)/mlであった。
ヒヒの血漿中のTNFレベルを、ヒトTNFを検出するために開発されたELISAを用いて測定した(Creaseyら, Circ. Shock(1991)33:84−91)。精製したモノクローナル抗TNF抗体(24510E11)を、マイクロタイタープレートのウエル(Dynatech Immunolon I, Fisher)に結合させた。次いで、プラスチック上の占領されていない結合部位をウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。標準の濃度の精製組換えヒトTNFまたはヒヒ血漿試料のアリコートを2重測定でインキュベートした。ELISAウエルを、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−コンジュゲートした組換えヒトTNFに対する親和性を有するポリクローナルウサギ抗体に曝し、続いてO−フェニレンジアミン基質を色素原として曝した。ウエルを、連続したインキュベーションの間に、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS, pH7.5)で繰り返してすすいだ。吸光度(OD)を自動化2波長プレートリーダー(Bio−Tek Instruments)で490nmで測定した。本アッセイのヒヒのTNFの検出限界は、0.5ng/mlであった。
IL−6生物活性を、IL−6依存性マウスハイブリドーマ細胞株B9を用いて、そしてアッセイ標準として、Amgen, Inc.(Thousand Oaks,CA)から市販で入手し得るIL−6を用いて、ヒヒ血漿中で定量した(Creaseyら, 前出)。本アッセイの検出限界は、10pg/mlであった。
Novotnyら, Blood(1991)78:394−400に以前に記載されたように、LACIの競合蛍光免疫アッセイを用いた。ウサギ抗LACI IgGを用いて、試験すべきサンプル中のLACIを捕捉し、FITC−LACI(Hep G2)を加えて、抗LACI結合部位の残存数を定量した。標準曲線を、集めたヒト血漿(George King Biomedical,Overland Park,KS)の希釈物または純粋なHep G2 LACIの希釈物を用いて描いた。
各々のヒヒのデータ(種々のサンプル時間における、μg LACI/ml血漿)は2コンパートメントモデルに適合した。モデルパラメータをPKDAASデータ分析システム(Chiron CorporationでVAXコンピュータ用に開発され、登録番号TXU 416−977として米国著作権庁に寄託された)を用いて非直線最小二乗曲線適合法により測定した。各時間での正しい濃度のC(t)は、各々の二乗された濃度の逆数として考量した。次いで、考量した値を次の2指数方程式を用いて個々の被験体の曲線に適合させた:
C(t)=(DOSE/VC)*[(1−B)*2−να+B2*−νβ]
ここで、tは時間、そしてVC、B、α、およびβはモデルパラメータである。係数の合計は1.0に標準化した。次いで、全身クリアランス(CL)を以下の式から計算した:
CL=VC/MRT、ここで、
MRT=[(1−B)*α+B*β]ln(2)。
データをstudentのt検定を用いて分析し、所定の時間における群間の平均の有意差(p<0.05)を測定した。変動の分析(ANOVA)および多重比較Duncanの検定を用いて、群内での0時およびこれに続く時間での平均の間の有意差を測定した。Fisherの精密(exact)検定を用いて、生存率の観点で群間の有意差を測定した。
E.coli敗血症性ショックモデルの適切なLACI用量を決定するために、本発明者らは3匹の健康なヒヒで薬動力学的研究を行った。図5は0.5mg/kgで持続用量として投与したものを示し、LACIは2相の半減期を示した;約2分のα相および約2時間のβ相。次いで、上記のようにこれらのデータをモデル化し、必要なLACI用量を同定して、2μg/mlの循環LACI血清濃度を達成した。これは、霊長類でのLACIの内在性レベルが約0.1μg/mlであることが報告されていたので(Novotnyら, J. Biol. Chem.(1989)264:18832−18837)、所望のLACI血液濃度として便宜上定義した。従って、ヒヒにおけるLACI血清濃度の20倍増加を達成するために、本発明者らは、LACIを700μg/kgの負荷用量およびE.coli感染の開始30分後続けて開始した10μg/kg/分の持続用量(すなわち6,000μg/kgの全用量)を投与した。
各ヒヒを、研究当日の朝、筋肉内に塩酸ケタミン(14mg/kg)固定し、Hinshawら,J.Surg.Res.(1989)28:151−170に記載のように橈側皮静脈に配置した経皮カテーテルを介してペントバルビタールナトリウム(約9mg/kg)でゆっくりと麻酔した。わずかな体液損失を補うために、動物を、細菌投与後それぞれ30分または240分に、上腕静脈を介して12時間、3.3ml/kg/時で等張の生理食塩水を注入した。LACIを700μg/kgの負荷用量で15分間投与し、そして10μg/kg/分でLACIの連続注入をさらに525分間与えた(0時間と定義した細菌注入の開始から数えて)。ヒヒ1匹当りに同じ全LACI用量を送達するために、+240分で処置した動物は2.8μg/kgの負荷用量を15分間、および同時に10μg/kg/分でのLACIの連続注入を480分間受けた。
LACIが細菌感染したヒヒを防御するメカニズムを測定するために、凝集、臨床化学、および炎症応答に関連する選択された生理学的パラメータを測定した。図6は細菌感染に関連する凝固障害の多くが、LACI治療したヒヒで阻害されたおよび/または弱まったことを示す。賦形剤コントロール動物におけるフィブリノーゲンレベルは3時間で約80%減少したが、LACI治療したヒヒは20%(p<0.0001)のみの減少であった。同様に、コントロールに比較して、フィブリノーゲン消費のマーカーとしての240分および720分でのフィブリン分解生成物の増加は、LACI治療動物において明白ではなかった(p<0.05)。
呼吸速度および心拍が両群で増加した。呼吸速度は細菌注入の開始後すぐに上昇し、12時間上昇したままであった。同様に、E.coli注入の最初の2時間以内に心拍が120回/分から200回/分まで劇的に増加し、12時間上昇したままであった。
表2はE.coli感染し、治療した10匹のヒヒの臨床化学値をまとめた。血清クレアチニン、総ビリルビン、尿酸、乳酸、トリグリセリド、アニオンギャップ、塩素、およびナトリウムにおける増加を12時間で測定した。しかし、増加の程度は、賦形剤コントロール動物よりLACI治療動物においてより低かった(p<0.05)。次のパラメーターの濃度変化を観察した:アルブミン、アルカリホスファターゼ、AST、BUN、カルシウム、コレステロール、CK、二酸化炭素、コルチゾール、カリウム、乳酸デヒドロゲナーゼ、リン、SGPT、および総タンパク質。それらの濃度の増加または減少は、LACI治療により影響されなかった(p>0.05)。しかし、アルブミン、尿素窒素(BUN)、および乳酸の平均濃度は、7日目で、LACI治療した動物(すなわち、生存動物)におけるベースラインに戻らなかった。特に、アルブミン濃度は、実験開始時の3.7±0.1に比較して7日目で2.7±0.2であった。従って、アルブミンは約25%減少した。同様に、7日目で、血清尿素窒素値(BUN)は、実験開始時の29.6±3.9に対して13.8±2.1であった。最終的に、乳酸濃度は生存動物で約3倍に増加した。これらの動物の平均のベースラインの乳酸濃度は手法の開始時で1.7±0.5meq/Lであり、7日目で5.7±1.2meq/Lに増加した。
血漿TNF濃度は、賦形剤群およびLACI治療したヒヒの両方で上昇した。本発明者らの以前の研究(Creaseyら, Circ.Shock(1991)33:84−91)と一致して、ピークのTNFレベルは120分(E.coli注入の終わり)にあった。LACI治療は、血清TNF濃度の上昇またはその放出のキネティクスに影響しないようであった(表3)。血漿IL−6濃度はまた、賦形剤コントロール群で時間と共に増加した。ここで、IL−6レベルは、26〜39ピコグラムで始まり、4時間を過ぎて100〜200ナノグラムに上昇した(表4)。興味深いことに、LACI治療動物の血漿IL−6濃度は、コントロール群の濃度より、特に4時間でおよび4時間を過ぎて、低かった。IL−6濃度は、12時間で、賦形剤コントロール群よりLACI治療群で約20倍低かった(p>0.05)。
LACIが、E.coliショックを弱めることにもはや有効ではない時間を測定するために、細菌注入の終了後2時間までLACIの投与を遅らせた。フィブリノーゲンの消耗およびフィブリン分解生成物の生成は、4時間ではっきりと明らかになった。表5は、この一連の実験において、賦形剤コントロール群の平均E.coli用量が5.68(±2.6) x 1010CFU/kgそして28.2±9.6時間の平均生存時間であったことを示す。LACI群の平均E.coli用量は5.43(±0.19) x 1010CFU/kgであり、平均生存時間は99±29時間であった。5匹のLACI治療動物のうち2匹は7日間生存動物であった(p<0.05)。平均体重または上記群の各々に投与したE.coli用量に差異は無かった(p>0.05)。
2時間の細菌注入の終了後2時間のLACIの投与は、12時間以上で、FDPレベル、およびプロトロンビン時間の減少により明らかなように、凝固障害応答を若干弱めるのに有効であった。+30分に一致して、IL−6レベルは、12時間で、賦形剤対照よりLACI治療ヒヒで2倍、より低かった。フィブリノーゲン濃度、APTT、および血小板細胞濃度は、12時間で、賦形剤コントロールおよびLACI治療ヒヒの間に有意な差異はなかった。しかし、生存した2匹の動物における7日目のフィブリノーゲンレベルは若干上昇した;FDP、APTT、およびPT値は正常近くに回復したが、血小板細胞濃度は一匹(435)は正常そしてもう1匹(97)では低かった。
死後検査を全てのヒヒについて行った。動物のサーベイランスを最初の36時間継続した;そのため、死後数分以内に分析のために取り出し、それによって死後の自己消化変化を避けた。肺、肝臓、副腎、腎臓、脾臓、および胆嚢が、E.coli細菌注入の標的器官であった。特に、賦形剤+E.coliを受けた動物は、重篤なうっ血、出血、フィブリン沈着、肺および肝臓での浮腫および大量の白血球蓄積、脾臓での髄質洞様毛細血管(medullary sinusoid)の重篤なうっ血、ならびに腎臓内の尿細管壊死および血栓症の顕著な証拠、ならびに副腎の皮質の重篤なうっ血を患った。E.coliに冒されなかった器官は、胃、心臓、膵臓、小腸、および大腸であった。LACIは、肝臓、副腎、腎臓、脾臓、および胆嚢を保護した。そこでは、ほんの軽症か病理変化のないことが観察された。保護の程度は、肺では若干減少され、穏やかな血管うっ血、および軽症の白血球の蓄積が観察された。
Claims (12)
- 炎症疾患を処置するための組成物であって、ヘパリンの非存在下で、TFPI−1−276、ala−TFPI−1−160、ala−TFPI−13−161、ala−TFPI−22−150、およびala−TFPI−1−276からなる群より選択される治療有効量のポリペプチドを含む、組成物。
- 前記ポリペプチドが、非グリコシル化形態である、請求項1に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−1−160である、請求項2に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−13−161である、請求項2に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−22−150である、請求項2に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−1−276である、請求項2に記載の組成物。
- 敗血症および敗血症性ショックを含む炎症の危険および重篤度を低減するための予防用組成物であって、TFPI−1−276、ala−TFPI−1−160、ala−TFPI−13−161、ala−TFPI−22−150、およびala−TFPI−1−276からなる群より選択される予防有効量のポリペプチドを含む、組成物。
- 前記ポリペプチドが、非グリコシル化形態である、請求項7に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−1−160である、請求項8に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−13−161である、請求項8に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−22−150である、請求項8に記載の組成物。
- 前記ポリペプチドが、ala−TFPI−1−276である、請求項8に記載の組成物。
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