JP2004210093A - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】展開膨張するエアバッグがキーに接続された付属品と干渉しても、ガス漏れの発生を防止可能な膝保護用エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグ40が、膨張用ガスGの流入時、ケースから車両後方側へ突出するとともに上昇しつつ展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護する。エアバッグ40は、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部48と、上縁40a側におけるカバー部以外の一般部47と、を備える。エアバッグのカバー部48における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部47における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されるように、運転者側壁部41とコラム側壁部42とを連結するテザー45によって、カバー部48へのガスGの流入量が抑えられている。
【選択図】図4
【解決手段】膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグ40が、膨張用ガスGの流入時、ケースから車両後方側へ突出するとともに上昇しつつ展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護する。エアバッグ40は、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部48と、上縁40a側におけるカバー部以外の一般部47と、を備える。エアバッグのカバー部48における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部47における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されるように、運転者側壁部41とコラム側壁部42とを連結するテザー45によって、カバー部48へのガスGの流入量が抑えられている。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグが、運転者の膝を保護可能な膝保護用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者の膝を保護する膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグが、運転者の前方側に配置されたケースに収納保持されていた。そして、エアバッグは、膨張用ガスの流入時、ステアリングコラムの下面に沿うように上昇しつつ、展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護可能としていた。さらに、エアバッグは、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部を、上縁側の左右方向の角部付近に、備えていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開WO 02/03231 A1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の膝保護用エアバッグ装置では、キーシリンダに差し込まれたキーに、サブキーやアクセサリー等の付属品が吊り下げられている場合がある。そして、その場合には、エアバッグが展開膨張すると、その付属品の下端側がエアバッグの膨張部位に対して直交状態で干渉して、エアバッグが傷付けられ、ガス漏れが発生する虞れが生ずる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するもので、展開膨張するエアバッグがキーに接続された付属品と干渉しても、ガス漏れの発生を防止可能な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグが、
運転者の前方側におけるステアリングコラムの下方に配置されたケースに収納保持され、膨張用ガスの流入時、ケースから車両方向側へ突出するとともに上昇しつつ展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護可能とし、
さらに、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部を、上縁側の左右方向の角部付近に備えて、
構成されている膝保護用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、上縁側におけるカバー部以外の部位を一般部とし、
エアバッグのカバー部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されるように、エアバッグが、抑制手段を設けられて、ケースに収納されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る膝保護エアバッグ装置では、エアバッグが展開膨張する際、抑制手段により、エアバッグのカバー部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されて、低い。そのため、カバー部が、付属品の下端側等と干渉しても、傷付けられ難くなり、すなわち、仮に、付属品の下端側と、その軸方向に略沿って干渉しても、傷付けられ難くなって、ガス漏れを防止することが可能となる。
【0008】
したがって、本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、展開膨張するエアバッグがキーに接続された付属品と干渉しても、ガス漏れの発生を防止することができる。
【0009】
また、カバー部の運動エネルギーが低減されていることから、逆に、カバー部の付属品との干渉時、付属品をキーから飛散させるようなことも、防止できる。
【0010】
なお、カバー部の運動エネルギーを低減させるためには、カバー部の質量と移動速度とを低減させることが必要となり、特に、運動エネルギーが速度の2乗に比例することから、カバー部の移動速度を低減させることが効果的となる。すなわち、カバー部自体の重量を変えない限り、カバー部の運動エネルギーの抑制は、カバー部の速度を抑制することと、同じである。そして、運動エネルギーの低減を測定する際には、カバー部の移動速度を測定すれば、容易に判別できる。勿論、カバー部の運動エネルギーを低減させるためには、カバー部の強度低下を招かない状態で、カバー部を、一般部に比べて軽量にしてもよい。
【0011】
そしてさらに、カバー部の移動速度を低減させることをエアバッグの内部の挙動で考えれば、エアバッグ内の膨張用ガスの挙動が影響し、例えば、カバー部への流入する膨張用ガスの流速を低減させることが重要となる。直ちに、カバー部の移動速度を低減できるからである。また、一般部の膨張に比べて、カバー部の膨張を遅らせることもよい。カバー部が一般部より遅れて膨張すれば、展開膨張完了時の直前時点付近に、カバー部が膨張することとなり、膨張用ガスの流速が低下しているからである。そして、カバー部の膨張を一般部の膨張より遅らせるためには、カバー部への膨張用ガスの流入する時期を遅らせたり、あるいは、カバー部の膨張を完了させる時期を遅らせたり、あるいは、カバー部へのガスの流入量を、一般部より少なくする、あるいは、カバー部を一般部より膨張用ガスの下流側部位とする等の、対策がある。
【0012】
すなわち、カバー部の運動エネルギーを抑制する抑制手段としては、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速を、一般部側の流速に比べて、低減させたり、一般部の膨張に比べて、カバー部の膨張を遅らせるようにして、カバー部への膨張用ガスの流れを規制し、カバー部の運動エネルギーを低減させるガス流れ規制手段がある。
【0013】
そして、展開膨張完了時のエアバッグが、ステアリングコラム側に位置するコラム側壁部と、運転者側に位置する運転者側壁部と、を備えた略板形状として、展開膨張完了時のエアバッグの厚さを規制可能に、コラム側壁部と運転者側壁部とを連結するテザーが、エアバッグ内に配設される場合には、テザーが、ガス流れ規制手段を構成して、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速を、一般部側の流速に比べて、低減させたり、あるいは、一般部の膨張よりカバー部の膨張を遅らせて、カバー部の移動速度を低減させるようにしてもよい。
【0014】
このような構成は、例えば、テザーが、カバー部と一般部とへの膨張用ガスの流入口の開口面積を調整し、カバー部側の流入口を小さく絞るように、構成することができる。このような構成では、エアバッグの展開膨張時、テザーによって、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速が低下しており、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0015】
そして、上記のような構成では、膨張完了時のエアバッグの厚さ規制用のテザーの配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグの製造に手間取らない。
【0016】
また、エアバッグ内に厚さ規制用のテザーを配設させる場合、つぎのように構成してもよい。すなわち、テザーは、展開膨張完了時のエアバッグにおける一般部とカバー部との下方側となる膨張用ガスの上流側部位に、左右方向に沿って、配設する。そして、一般部とカバー部とは、テザーの左右両端とエアバッグの左右方向の内周面とのそれぞれの間を、膨張用ガスを流入させるガス流入口とする。そして、エアバッグの折り畳み行程において、上下方向に沿う折目を付けて、エアバッグの左右の少なくとも一方の縁側を、中央側に接近させる縦折りを行なう際、カバー部側の折目をテザーにかかる位置に配置させ、テザーにおける一般部側の端部側には折目を配置させない状態とするように、縦折りする。この場合には、ガス流れ規制手段が、主に、テザーにおけるカバー部側にかかる縦折りの折目から、構成される。
【0017】
このような構成では、エアバッグが、テザーにおけるカバー部側の端部に縦折りの折目を付けられているため、カバー部側へ膨張用ガスを流すガス流入口は、縦折りの折目とテザーとで閉塞されており、縦折りの折目を解消させないと、開口しない。一方、一般部側へ膨張用ガスを流すガス流入口は、テザーにおける一般部側の端部側には縦折りの折目が配置されない状態としているため、縦折りの折目の解消と無関係に、一般部側へ膨張用ガスを流すことができる。すなわち、このような構成では、カバー部への膨張用ガスの流入する際の開始時期を、確実に、一般部より遅らせることができて、カバー部が膨張する際には、膨張用ガス自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下していることから(観点を変えれば、折目を解消してカバー部側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下されて、カバー部の移動速度が抑えられていることから)、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、カバー部が一般部より遅れて膨張を完了させる状態を、エアバッグ毎に、安定させることができて、カバー部のガス漏れ防止を、エアバッグ毎に、安定して、確保することができる。勿論、このような構成でも、エアバッグのケースへの収納時の折り畳み行程(縦折り行程)やエアバッグの厚さ規制用のテザーの配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグの製造や折り畳みに手間取らない。
【0018】
また、エアバッグ内に、膨張用ガスを供給するインフレーターが、配設される場合には、インフレーターが、ガス流れ規制手段を構成して、カバー部側に比べて、一般部側への膨張用ガスの吐出量を多くするように、インフレーターをエアバッグ内に配設させるようにしてもよい。
【0019】
このような構成では、カバー部が、一般部に比べて、膨張用ガスの流入量を少なくしているため、一般部より遅れて、膨張を完了させることができ、展開膨張完了時の直前付近に、カバー部が膨張することとなる。そしてその際には、膨張用ガス自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下している。この場合も、観点を変えれば、カバー部側へ流れる膨張用ガスの流速を、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下させることとなって、カバー部の移動速度を抑えることができる、と説明することもできる。その結果、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、このような構成では、エアバッグに膨張用ガスを流出させるインフレーターのガス流出口の向きや開口面積を、調整するだけでよく、簡便に構成することができる。
【0020】
さらに、エアバッグのカバー部が、膨張完了時の厚さを、一般部より、厚くするように、形成されて、カバー部自体が、ガス流れ規制手段を構成してもよい。すなわち、このような構成では、一般部よりカバー部が容積を大きくしていることから、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速が、一般部へ流入する膨張用ガスの流速より、低くなる。そのため、カバー部が付属品の下端側に干渉しても、その運動エネルギーが低くなって、カバー部は、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0021】
なお、この場合のカバー部は、容積が大きく、付属品との干渉時、付属品との干渉部位を容易に凹ませることが可能となり、一層、ガス漏れを生ずるような干渉とはならない。
【0022】
そしてまた、抑制手段は、折り畳み行程により構成することもでき、この場合には、ケース内ヘ収納するためのエアバッグの折り畳み行程において、エアバッグの展開膨張時における一般部とカバー部との折り畳み解消時に、カバー部の折りの解消を一般部より遅らせるように、エアバッグを折り畳めばよい。
【0023】
このような構成では、カバー部の折りの解消が、一般部の折りの解消より遅くなり、エアバッグの膨張完了時の直前となって、カバー部に流入する膨張用ガスの流速が、膨張開始直後より遅くなっていることから、付属品の下端側と干渉する際のカバー部の運動エネルギーを低く抑えることができ、その結果、カバー部が付属品から傷付けられることを、防止できる。この場合も、観点を変えれば、折目を解消してカバー部側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下する状態となって、カバー部の移動速度を抑えることができることから、このような構成は、折り畳みの折目が、ガス流れ規制手段を構成している、と判断することもできる。
【0024】
そして、このような折り畳みは、例えば、エアバッグの折り畳み行程において、カバー部の周囲に折目を配置させるカバー部折り畳み行程を設けて、カバー部折り畳み行程を、一般部を折り畳む行程より、先に行なうことが例示できる。そして、このような折り畳みは、エアバッグの折り畳み行程の最初に、単に、カバー部を折るだけでよいことから、簡便に構成することができる。
【0025】
さらに、抑制手段としては、エアバッグの展開膨張時における一般部とカバー部との折り畳み解消時に、カバー部の折りの解消を一般部より遅らせるように、解除可能にカバー部の折り畳み状態を維持する折り畳み維持部材から、構成してもよい。このような構成では、折り畳み維持部材が、エアバッグの折り畳み維持状態から、その維持を解除する際に、カバー部の運動エネルギーを、消費させて、低減させることができる。そのため、付属品の下端側と干渉する際、既に、カバー部は、運動エネルギーを低く抑えられているため、その結果、カバー部が付属品から傷付けられることを、防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sは、図1・7に示すように、運転者Dの膝Kを保護できるように、運転者Dの車両前方側であるステアリングコラム2の下方に配設されている。
【0027】
なお、本明細書での上下・前後・左右の関係は、エアバッグ装置Sが車両に搭載された状態を基準とするもので、搭載時の車両の上下・前後・左右の関係と一致するものである。
【0028】
ステアリングコラム2は、図1に示すように、ステアリングホイール1に連結されるメインシャフト3と、メインシャフト3の周囲を覆うコラムチューブ4と、それらの周囲を覆うコラムカバー5と、を備えて構成されている。
【0029】
コラムカバー5は、略四角筒形状等の合成樹脂製として、ステアリングホイール1の下方のメインシャフト3やコラムチューブ4を覆うように、メインシャフト3の軸方向に沿って配設されている。コラムカバー5は、インストルメントパネル(以下、インパネとする)10から斜め上後方に突出するように、配設されている。そして、コラムカバー5の右側面5cには、エンジン始動用のイグニッションキーEを挿入させるキーシリンダ6が配設されている。なお、実施形態の場合、キーシリンダ6に挿入されたイグニッションキーEには、接続環等の接続具Jを使用して、サブキー等の付属品(キー付属品)Aが、垂れ下がるように接続されている。
【0030】
膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ40、エアバッグ40に膨張用ガスを供給するインフレーター21、折り畳まれたエアバッグ40とインフレーター21とを収納するとともに車両後方側を開口させたケース13、及び、ケース13の車両後方側を覆うエアバッグカバー29、を備えて構成されている。
【0031】
ケース13は、図1〜3に示すように、板金製として、ステアリングコラム2の下方側に配置されており、略四角筒形状の周壁部14と、周壁部14の車両前方側を塞ぐ底壁部17と、を備えるとともに、車両後方側に略長方形形状の開口13aを備えて、構成されている。そして、ケース13の周壁部14における上下で対向する壁部14a・14bの外表面側には、それぞれ、エアバッグカバー29の側壁部31・32をケース13に組み付けるための複数の係止部15(15U・15D)が、配設されている。
【0032】
上方側の壁部14aの外表面側に配設される係止部15Uは、エアバッグカバー29の上側壁部31の係止孔31aに挿入されて係止孔31aの周縁を係止可能な係止フックとして構成されている。係止フック15Uは、上側壁部31の係止孔31aに対応して、車両の左右方向に沿って複数配設されている。係止部15Dは、エアバッグカバー29の下側壁部32の係止孔32aに挿入可能な係止突起として構成され、この係止突起15Dも、下側壁部32の係止孔32aに対応して、車両の左右方向に沿って複数配設されている。そして、各係止突起15Dには、係止孔32aへの挿入後の係止孔32aからの抜け止めを図る閂材16が、挿入されている。閂材16は、挿入部16aを下側壁部32の外表面と各係止突起15Dの内周面との間に挿入させて、ケース13に固定されている。
【0033】
さらに、周壁部14における右方側の壁部14cには、インフレーター21の本体22の端部を挿通可能な挿通孔14dが、形成されている(図3参照)。また、底壁部17には、インフレーター21の各ボルト23dを挿通させるための二つの挿通孔17aが、形成されている。
【0034】
また、ケース13は、開口13aの周囲に、周壁部14から外方へ延びるフランジ部19を備えて構成されている。ケース13は、フランジ部19、周壁部14、及び、底壁部17の所定部位から図示しないブラケットを突出させて、車両のボディ側に固定されている。
【0035】
インフレーター21は、図2・3に示すように、軸方向を車両の左右方向に沿って配設させるシリンダタイプとして構成され、略円柱状の本体22とディフューザー23とを備えて構成されている。このインフレーター21は、図4・5に示すように、エアバッグ40内の左右方向の中央付近で、かつ、カバー部48から離れた下縁40b側に、配置されている。本体22は、略円柱状の一般部22aと、一般部22aの端面から突出する小径の小径部22bと、を備え、小径部22bの外周面に複数のガス吐出口22cを配設させて、構成されている。そして、一般部22aにおける小径部22bから離れた端面に、作動信号入力用のリード線27を結線させたコネクタ26が、接続されている。
【0036】
ディフューザー23は、本体22を覆い可能な略円筒状として、膨張用ガスGを流出可能な複数のガス流出口23aを、車両搭載状態の後方側の面に配設させている。また、ディフューザー23は、車両前方側へ突出する複数(実施形態では二本)のボルト23dを備えて構成されている。さらに、ディフューザー23は、本体22を保持するための複数の挟持部23cを備えている。そして、本体22のディフューザー23への固定は、ディフューザー23内に、小径部22bを先頭にして、挿通孔23bから本体22を挿入させ、各挟持部23cを一般部22aの外周面側にさらに押圧すれば、本体22をディフューザー23に固定することができ、各ボルト23dをケース13の底壁部17の挿通孔17aに挿通させて、ナット24を締め付ければ、インフレーター21をケース13に固定することができる。
【0037】
なお、複数のガス流出口23aは、ケース13内の左右方向に沿う全域において、ガス吐出口22cからのガスGが略均等に車両後方側へ流れるように、開口面積が調整されて配置されている。
【0038】
また、インフレーター21は、車両に搭載されたエアバッグ作動回路が、車両の前面衝突を検知した際、リード線27を介して、作動信号が入力され、その際、同時に、ステアリングホイール1に搭載された図示しないエアバッグ装置も作動される。
【0039】
エアバッグカバー29は、ケース13の開口13a付近とフランジ部19付近との車両後方側を覆い可能なように、構成されて、ケース13に連結保持されている。このエアバッグカバー29は、図1・7に示すように、アッパパネル10aとロアパネル10bとからなるインパネ10におけるコラムカバー5の周縁のロアパネル10b側に配置されて、インパネ10から突出するコラムカバー5の下側周縁を覆っている。
【0040】
そして、エアバッグカバー29は、ケース13の開口13aを車両後方側で覆っている二つの扉部37・38と、扉部37・38の周囲に配置されて車両への搭載時に周囲をロアパネル10bに囲まれる一般部30と、を備えて構成されている。このエアバッグカバー29は、扉部37・38や側壁部31・32・33・34を含めた部位を、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成し、その周囲の一般部30を、ポリプロピレン等の合成樹脂から形成した二色成形品としている。
【0041】
扉部37・38は、略長方形板状に形成されて、周囲に、略H字形状となる薄肉の破断予定部36を配設させて、構成されている。破断予定部36は、扉部37・38が膨張するエアバッグ40に押された際に容易に破断するように、エアバッグカバー29の車両前方側の面に連続的若しくは断続的な凹溝を設けて、形成されている。そして、破断予定部36がエアバッグ40に押されて破断した際には、扉部37は、上端側の上側壁部31付近をヒンジ部として上開きに開き、扉部38は、下端側の下側壁部32付近をヒンジ部として下開きで開く。
【0042】
また、扉部37・38の周囲の部位には、ケース13の周壁部14の外周側において、周壁部14と隣接するように車両前方側に突出する4つの側壁部31・32・33・34が、形成されている。そして、ケース周壁部14の上部側に配置される上側壁部31と周壁部14の下部側に配置される下側壁部32とは、エアバッグカバー29をケース13に連結保持させる部位となり、これらの各壁部31・32には、既述したように、周壁部14に配設された各係止部15(15U・15D)を挿入させて、各係止部15に周縁を係止させる係止孔31a・32aが、それぞれ、形成されている。
【0043】
エアバッグ40は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド糸等からなる織布から形成されて、展開膨張完了時の形状を、図1・4・5・7に示すように、運転者Dの両膝Kを保護可能な左右方向の幅寸法を備えた略長方形板状としている。そして、エアバッグ40は、展開膨張完了時に、運転者D側に運転者側壁部41を配置させ、コラムカバー5側にコラム側壁部42を配置させるように、構成されている。壁部41・42は、相互に略同形状に形成されている。なお、実施形態のエアバッグ40は、壁部41・42相互が下縁40b側で連なった一枚の織布を、下縁40bで二つ折りし、外周縁を縫合して、形成されている。また、エアバッグ40の下縁40b側の中央付近におけるコラム側壁部42の部位43には、図3・6に示すように、二つの挿通孔43a・43aと一つの挿通孔43bとが形成されている。挿通孔43a・43aは、インフレーター21の各ボルト23dを挿通させるものであり、挿通孔43bは、インフレーター21の本体22を挿通させるものである。そして、エアバッグ40は、挿通孔43bからインフレーター21の本体22を突出させて、各挿通孔43aの周縁43を、ディフューザー23とケース13の底壁部17とに挟持させて、ケース13に取り付けられている。すなわち、このエアバッグ40は、挿通孔43aの周縁を取付部43として、この取付部43が、ケース13の底壁部17に対して、取付固定されている。
【0044】
また、このエアバッグ40では、車両搭載状態で、展開膨張を完了させた際、図1や図7のBに示すように、上縁40a側における右縁側の角部C付近を、キーシリンダ6の車両後方側を覆うカバー部48としている。なお、このカバー部48は、展開膨張完了時、キーシリンダ6に挿入されたキーEに接続されて垂れ下がっている付属品Aの領域も、車両後方側から覆えるように構成されている。また、エアバッグ40の上縁40a側におけるカバー部48以外の部位は、一般部47としている。
【0045】
さらに、このエアバッグ40内には、左右方向に沿って配設されるテザー45・46が、上下二段に配設されている。各テザー45・46は、壁部41・42を連結して、膨張完了時のエアバッグ40の厚さを規制し、エアバッグ40を略板形状に維持するものであり、これらのテザー45・46は、膝Kとコラムカバー5との間が狭くとも、展開膨張時のエアバッグ40を、膝Kとコラムカバー5との間に円滑に配置させるために、配設されている。なお、各テザー45・46は、一般部47やカバー部48より、膨張用ガスGの上流側部位となる一般部47・カバー部48の下方に、配置されている。また、実施形態の場合、各テザー45・46は、それぞれ、相互に連結されるとともに、一方の壁部41・42に結合される二枚ずつの布材45a・46aから形成されているが、テザーは、エアバッグ40の全体の厚さを板状に規制できればよいことから、単に、壁部41・42相互を接触させるように結合させて、その結合部をテザーとしてもよい。
【0046】
そして、実施形態では、テザー45が、エアバッグ40の展開膨張時に、カバー部48における展開膨張完了位置への配置直前の運動エネルギーを低減させるための抑制手段R0としてのガス流れ規制手段RGを構成するものである。実施形態の場合、テザー45の左右の端部45c・45dの近傍におけるエアバッグ40の左右の縁40c・40dの内周面と、端部45c・45dとの隙間52・53に関し、カバー部48側となる右側の隙間53が、左側の隙間52より小さく設定されている。なお、これらの隙間52・53は、インフレーター21からの膨張用ガスGが一般部47やカバー部48へ流入する際のガス流入口52・53となり、実施形態の場合、テザー45の右端45dが、エアバッグ40の右縁40dに接近しているため、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくしている。
【0047】
つぎに、このエアバッグ装置Sの組み立てについて説明する。まず、各挿通孔43aからボルト23dを突出させ、挿通孔43bから本体22の端部を突出させるように、エアバッグ40内に、組付済みのインフレーター21を、収納させ、ついで、エアバッグ40を、ケース13内に収納可能に、折り畳む。
【0048】
このエアバッグ40の折り畳み行程では、左右方向に沿う折目を付けるようにして、上縁40aを下縁40bに接近させる横折り行程と、ケース13の幅寸法に対応させるように、エアバッグ40の左右方向の幅寸法を整えるための、上下(前後)方向に沿う折目を付ける縦折り行程と、がある。
【0049】
そして、実施形態の場合、まず、横折り行程を行ない、その際、図6のA・Bに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させるロール折りを行なう。
【0050】
そして、ケース13に収納できる左右方向の幅寸法とするために、図6のB・Cに示すように、ロール折りした折り畳み部位50の左右の両端部50b・50bを、折り畳み部位50の中央部50aの下方に配置させる縦折り行程を行なえば、エアバッグ40の折り畳み行程を完了させることができる。
【0051】
その後、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ40をくるむ。この時、挿通孔43a・43bから突出したインフレーター21のボルト23dや本体22の端部は、ラッピングフィルムから突出させておく。なお、ラッピングフィルムとしては、樹脂製のシート材の他、エアバッグ40を形成した織布等の布材・テープ材・紐材を利用してもよい。
【0052】
その後、インフレーター21の各ボルト23dを挿通孔17aから突出させるとともに、インフレーター本体22の端部を挿通孔14dから突出させるようにして、インフレーター21を、折り畳まれたエアバッグ40とともに、ケース13内に収納させ、各ボルト23dに図示しないスプリングナットを締結すれば、インフレーター21とエアバッグ40とを、ケース13に収納させるとともに、ケース13に取り付けることができる。
【0053】
ついで、エアバッグカバー29を、ケース13に組み付ける。このエアバッグカバー29のケース13への組み付けは、エアバッグカバー29の各側壁部31・32・33・34を、開口13a側のケース周壁部14に外装させ、各係止フック15Uを、上側壁部31の係止孔31aに挿入係止させるとともに、各係止突起15Dを、下側壁部32の各係止孔32aに挿入させて、下側壁部32の外表面側に突出させ、下側壁部32の外表面と各係止突起15Dの内周面との間に、閂材16の挿入部16aを挿入させ、閂材16にボルト23dを貫通させて、ナット24をボルト23dに締結すれば、エアバッグカバー29をケース13に連結保持させることができて、エアバッグ装置Sを組み立てることができる。
【0054】
そして、エアバッグ装置Sの車両への搭載は、リード線27を結線させたコネクタ26をインフレーター21の本体22に接続させるとともに、ケース13から延びる所定のブラケットを、車両のボディ側に連結固定させるとともに、リード線27をエアバッグ作動回路に接続させれば、エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
【0055】
なお、この時、車両には、既に、アッパパネル10aやロアパネル10b等が取り付けられている。また、アンダーカバー11は、エアバッグ装置Sを車両に搭載した後に取り付ければよい。
【0056】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、リード線27を経て、インフレーター21の本体22に作動信号が入力されれば、インフレーター21のガス吐出口22cから膨張用ガスGが吐出され、膨張用ガスGが、ディフューザー23のガス流出口23aを経て、エアバッグ40内に流入することとなる(図3・4参照)。そして、エアバッグ40は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともに、エアバッグカバー29の扉部37・38を押し、破断予定部36を破断させる。そして、エアバッグ40は、扉部37・38を開かせて、図1の二点鎖線に示すように、ケース13の開口13aから車両後方側へ突出し、さらに、ステアリングコラム2のコラムカバー下面5aに沿って上方へ向かって大きく突出するように、展開膨張することとなる。
【0057】
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ40が、膨張用ガスGを流入させてケース13から突出すれば、エアバッグ40の折り畳み行程の略逆の行程で、折りを解消して、展開膨張する。そのため、展開膨張するエアバッグ40は、縦折りを解消しつつケース13から突出し、さらに、ロール折りの折りを解消しつつ、エアバッグ40の上縁40a側を、コラムカバー5の下面(後面)5aに沿わせて、コラムカバー5の上端5b付近まで、上昇させることとなる。
【0058】
その際、実施形態のエアバッグ40では、テザー45により、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくして、カバー部48へのガスGの流入量が、一般部47への流入量より少ないことから、図7のA・Bに示すように、カバー部48が、一般部47より遅れて、膨張を完了させることとなって、展開膨張完了時の直前時点付近に、カバー部48が膨張することとなる。そして、その際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0059】
そして、上記の作用を観点を変えれば、テザー45によって、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくして、絞られていることから、カバー部48へ流入する膨張用ガスGの流速を、一般部46へのガスGの流速より低減できて、直接的に、カバー部48の移動速度を、一般部46への移動速度に比べて、低減できるため、カバー部48は、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難くなる、と説明することもできる。
【0060】
したがって、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、展開膨張するエアバッグ40がキーEに接続された付属品Aと干渉しても、ガス漏れの発生を防止することができる。
【0061】
また、カバー部48の運動エネルギーが低減されていることから、逆に、カバー部48の付属品Aとの干渉時、付属品AをキーEから飛散させるようなことも、防止できる。
【0062】
なお、実施形態の場合、テザー45の右端45dに、カバー部48に下方から連通するガス流入口53を配設させた場合を示したが、ガス流入口53を設けないように、例えば、右端45dをエアバッグ40の右縁40dまで延ばすように、テザー45を配設して、カバー部48が、一般部47より、膨張用ガスGの下流側部位となるように、構成してもよい。この構成でも、カバー部48の膨張完了が、一般部47より遅れることから、カバー部48が膨張する際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0063】
また、実施形態では、膨張完了時のエアバッグ40の厚さ規制用のテザー45の配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグ40の製造に手間取らない。
【0064】
なお、実施形態では、エアバッグ40が、上縁40a側を下縁40b側に接近させる横折り行程を、コラム側壁部42の側で折るロール折りとしているため、このロール折りの解消時には、極力、コラムカバー5の下面5aに沿って、展開し、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面5aとの隙間が狭くても、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面5aとの間に、エアバッグ40を的確に配置させることができる。
【0065】
また、実施形態では、エアバッグ40内に配置させた上方側のテザー45だけをガス流れ規制手段RGとした場合を示したが、図8に示すエアバッグ40Aのように、上方のテザー45Aの右端45dをエアバッグ40Aの右縁40dから離して、下方のテザー46Aの右端部46dをエアバッグ40の右縁40d側に延ばして、このテザー46Aだけをガス流れ規制手段RGとしてもよく、さらに、エアバッグ40・40Aの二つのテザー45・46Aを使用して、二つのテザー45・46Aをガス流れ規制手段RGとしてもよい。
【0066】
さらに、実施形態では、エアバッグ40の左右方向の幅寸法を狭める縦折り行程を、図9に示すように、ロール折り行程前にも、行なうようにしてもよい。図9に示すエアバッグ40の折り畳みは、まず、図9のA・Bに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、エアバッグ40の左右の縁40c・40d付近に、前後方向(上下方向)に沿う折目F1(F1L・F1R)を付けて、縁40c・40dを左右方向の中央O1側に接近させる縦折りをする縦折り行程を行う。その後、図6のA・B・Cの行程と同様に、図9のB・C・Dに示すように、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させる横折りのロール折り行程、及び、端部50bを折る縦折り行程を行なって、折り畳み行程を終了させる。そして、この折目F1の配置位置を、図4の二点鎖線に示すように、カバー部48側の折目F1Rをテザー45にかかる位置に配置させ、一般部47側の折目F1Lをテザー45にかからない位置に配置させるように、縦折りしている。
【0067】
このような構成では、エアバッグ40が、テザー45におけるカバー部48側の端部45dに縦折りの折目F1Rを付けられているため、カバー部48側へ膨張用ガスGを流すガス流入口53は、縦折りの折目F1Rとテザー45とで閉塞されており、縦折りの折目F1Rを解消させないと、開口しない。一方、一般部47側へ膨張用ガスGを流すガス流入口52は、テザー45における一般部47側の端部45cにかからないように縦折りの折目F1Lが付けられているため、縦折りの折目F1Lの解消前に、一般部47側へ膨張用ガスGを流すことができる。
【0068】
すなわち、このような構成では、ガス流れ規制手段RGが、テザー45にかかる縦折りの折目F1Rから、構成されて、カバー部48への膨張用ガスGの流入する際の開始時期を、確実に、一般部47より遅らせることができ、カバー部48が膨張する際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側と干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、カバー部48が一般部47より遅れて膨張を完了させる状態を、エアバッグ40毎に、安定させることができて、カバー部48のガス漏れ防止を、エアバッグ40毎に、安定して、確保することができる。
【0069】
なお、上記の作用を観点を変えみれば、折目F1Rを解消してカバー部48側へ流れる膨張用ガスGの流速が、一般部47へ流れる膨張用ガスGの流速より、低下されて、カバー部48の移動速度が抑えられることから、その結果、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側と干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い、と説明することもできる。
【0070】
そして、上記のような構成でも、エアバッグ40のケース13への収納時の折り畳み行程(縦折り行程)やエアバッグ40の厚さ規制用のテザー45の配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグ40の製造や折り畳みに手間取らない。
【0071】
なお、図9では、縦折りの折目F1を左右両側に設けたが、カバー部48側だけに折目F1Rを付けた縦折り行程としてもよい。また、左右に縦折りの折目を設ける場合、その折幅は、左右均等でなくともよい。さらに、テザー45と相違して、図10に示すエアバッグ40Bのように、左右方向に沿って配設されるテザー45Bが、エアバッグ40Bの中心から略左右対称に設けられている場合でも、縦折りの折目をガス流れ規制手段RGとする構成に適用でき、その場合には、縦折りの折目F1がそのテザー45Bにかかるように、カバー部48側の折幅を大きくしたり、あるいは、カバー部48側だけに縦折りの折目F1を付けるようにしてもよい。なお、エアバッグ40Bは、エアバッグ40Bの左右方向の中央を中心として、テザー45B・46が左右対称の長さとしている点が、エアバッグ40と相違するだけである。
【0072】
また、ガス流れ規制手段RGとしては、図11に示すように、エアバッグ40内に配設されるインフレーター21A自体から構成してもよい。このインフレーター21Aは、ディフューザー23Aに配置されるガス流出口23aが、左端側だけに配設されて、カバー部48側に比べて、一般部47側への膨張用ガスGの吐出量を多くするように、構成されている。なお、インフレーター21Aの他の構成は、インフレーター21と同様であり、車両への搭載状態は、エアバッグ装置Sと同様である。
【0073】
このようなインフレーター21Aの構成では、カバー部48が、一般部47に比べて、膨張用ガスGの流入量を少なくしているため、一層、一般部47より遅れて、膨張を完了させることができ、展開膨張完了時の直前付近に、カバー部48が膨張することとなる。そしてその際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下している。また、この場合も、観点を変えれば、カバー部48側へ流れる膨張用ガスGの流速を、一般部47へ流れる膨張用ガスGの流速より、低下させることとなって、カバー部48の移動速度を抑えることができる、と説明できる。その結果、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、このような構成では、エアバッグ40に膨張用ガスGを流出させるインフレーター21Aのガス流出口23aの向きや開口面積を、調整するだけでよく、簡便に構成することができる。なお、このようなインフレーター21Aは、左右対称にテザー45B・46を配置させているエアバッグ40Bに使用してもよい。
【0074】
さらに、図12・13に示すように、エアバッグ40Cのカバー部48が、膨張完了時の厚さT0を、一般部47の厚さT1より、厚くするように、形成されて、カバー部48自体が、ガス流れ規制手段GRを構成してもよい。このエアバッグ40Cは、テザー55・56が左右方向に沿って複数設けられて、カバー部48の近傍におけるガスGの下流側のテザー56が短い長さとして、展開膨張完了時のカバー部48の容積を大きくしている。他の構成は、エアバッグ40と同様であり、折り畳み行程等を含めて、エアバッグ装置Sと同様な工程を経て、車両に搭載されている。
【0075】
このような構成では、エアバッグ40Cの展開膨張時、カバー部48へ流入する膨張用ガスGの流速が、カバー部48の容積が大きいことから、カバー部48に流入した時点で、低下して、一般部47へ流入する膨張用ガスGの流速より、低くなる。そのため、カバー部48が付属品Aの下端Ab側に干渉しても、その運動エネルギーが低くなって、カバー部48は、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0076】
なお、この場合のカバー部48は、容積が大きく、付属品Aとの干渉時、付属品Aとの干渉部位を容易に凹ませることが可能となり、一層、ガス漏れを生ずるような干渉とはならない。
【0077】
また、抑制手段R0は、折り畳み行程により構成することもできる。すなわち、図14に示すように、ケース13内ヘ収納するためのエアバッグ40の折り畳み行程において、カバー部48の周囲に折目F0を配置させるカバー部折り畳み行程を設けて、カバー部折り畳み行程を、一般部47を折り畳む行程より、先に行なうエアバッグの折り畳み行程によって、抑制手段R0を、構成している。
【0078】
具体的に説明すると、エアバッグ40の折り畳み行程において、まず、カバー部折り畳み行程を行ない、その行程は、図14のAに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、ついで、図14のA・Bに示すように、カバー部48の角部C付近の折り重ね部49を、折目F0を付けて、エアバッグ40の左右方向の中央O1付近側に折る。図例の場合、詳しくは、折り重ね部49を、エアバッグ40の上下(前後)左右の中心O2側に向けて、運転者側壁部41の側に折っている。この折り重ね部49は、付属品AがキーEから垂れ下がっている状態でのその付属品Aの領域自体を、エアバッグ40が展開膨張を完了させた際に、車両後方側から覆うことができる部位である。そして、折り重ね部49の折幅Bは、エアバッグ40の展開膨張完了時付近で、折目F0の折りが解消される際、折目F0付近は、付属品Aと干渉せず、折り重ね部49の外周縁49a付近が、折目F0を回転中心として回転して、付属品Aの下端Ab側と干渉できるように、設定されている。
【0079】
ついで、図14のB・Cに示すように、エアバッグ40の左右の縁40c・40d付近に、前後方向(上下方向)に沿う折目F1・F1を付けて、縁40c・40dを左右方向の中央O1側に接近させる縦折りをする縦折り行程を行う。
【0080】
その後、図14のC・Dに示すように、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させるロール折り行程を行なう。
【0081】
そして、ケース13に収納できる左右方向の幅寸法とするために、図14のD・Eに示すように、ロール折りした折り畳み部位50の左右の両端部50b・50bを、折り畳み部位50の中央部50aの下方に配置させる縦折り行程を行なえば、エアバッグ40の折り畳み行程を完了させることができる。
【0082】
このような構成では、エアバッグ40の折り畳み行程の最初に、カバー部48を折っている。そのため、このカバー部48の折り重ね部49の折りの解消が、エアバッグ40の膨張完了時の直前となって、折り重ね部49に流入する膨張用ガスの流速が、膨張開始直後より遅くなっていることから、付属品Aの下端Ab側と干渉する際の折り重ね部49の運動エネルギーを低く抑えることができ、その結果、カバー部48の折り重ね部49が付属品Aから傷付けられることを、防止できる。この場合も、観点を変えれば、折目F0を解消してカバー部48側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部47へ流れる膨張用ガスの流速より、低下する状態となって、カバー部48の移動速度を抑えることができることから、このような構成は、折り畳みの折目F0が、ガス流れ規制手段RGを構成している、と判断することもできる。
【0083】
そして、このような構成では、エアバッグ40の折り畳み行程の最初に、単に、カバー部48を折るだけでよいことから、簡便に対処することができる。
【0084】
なお、カバー部48に折目F0を付けておる場合には、図15に示すように、折り重ね部49をコラム側壁部42の側に折ってもよい。また、図14・15の折り畳み行程において、縦折りの折目F1を付ける縦折り行程は、省略してもよい。
【0085】
さらにまた、カバー部48の折りの解消が一般部47より遅れれば、図例の場合に限定されず、折りの解消時の抵抗となるような折り方で、カバー部48側を折ってもよい。
【0086】
さらに、抑制手段R0としては、図16に示すように、エアバッグ40の展開膨張時における一般部47とカバー部48との折り畳み解消時に、カバー部48の折りの解消を一般部47より遅らせるように、解除可能にカバー部48の折り畳み状態を維持する折り畳み維持部材58から、構成してもよい。図例の場合、折り畳み維持部材58は、ロール折りする際にカバー部48付近を他の部位に対して剥離可能に接着させた接着剤(粘着材)から、構成されている。なお、エアバッグ40やインフレーター21等の他の構成は、車両への搭載行程も含めて、エアバッグ装置Sと同様である。
【0087】
そして、このような構成では、折り畳み維持部材58が、エアバッグ40の折り畳み維持状態からその維持を解除する際に、すなわち、接着剤58を剥離させる際、カバー部48の運動エネルギーが、消費されて、低減されることとなる。そのため、付属品Aの下端Ab側と干渉する際、既に、カバー部48は、運動エネルギーを低く抑えられているため、その結果、カバー部48が付属品Aから傷付けられることを、防止できる。
【0088】
なお、折り畳み維持部材としては、他に、エアバッグ40の外部に縫合等して結合させた破断可能な糸等の連結材が例示でき、図16のBの二点鎖線に示すように、連結材59を使用して、折り畳んだカバー部48付近の外周縁49aを他の部位に、結合させてもよい。
【0089】
なお、実施形態では、キーシリンダ6がステアリングコラム2(コラムカバー5)自体に配置されている場合について、説明したが、図17に示すように、キーシリンダ6が、インパネ10(図例の場合にはアッパパネル10a)の位置に配置されている場合にも、膝保護用エアバッグ装置のエアバッグ40・40B・40Cが、そのキーシリンダ6に挿入されたキーEの付属品Aと干渉するカバー部48を有していれば、本発明を適用することができる。
【0090】
さらに、キーシリンダ6が、コラムカバー5の左側面や、コラムカバー5から左方側に離れたインパネ10に、配置されていても、そのキーシリンダ6に挿入されたキーEの付属品Aと干渉するカバー部を、エアバッグに設けて、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図2】実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図3】実施形態の膝保護用エアバッグ装置における車両前後方向の概略拡大横縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のインフレーターを内蔵させた展開状態のエアバッグを示す概略正面図である。
【図5】図4のV−V部位の概略断面図である。
【図6】実施形態のエアバッグの折り畳み行程を説明する図である。
【図7】実施形態の膝保護用エアバッグ装置における作動状態を順に説明する正面図である。
【図8】実施形態のエアバッグの変形例を示す概略正面図である。
【図9】実施形態のエアバッグの他の折り畳み行程を説明する図である。
【図10】実施形態のエアバッグの変形例を示す概略正面図である。
【図11】実施形態のインフレーターの変形例を示す概略正面図である。
【図12】実施形態のエアバッグのさらに他の変形例を示す概略正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII部位の断面図である。
【図14】実施形態のエアバッグのさらに他の折り畳み行程を説明する図である。
【図15】図14に示す折り畳み行程の変形例を示す図である。
【図16】他の抑制手段R0を説明する図である。
【図17】実施形態の変形例を示す膝保護用エアバッグ装置の正面図である。
【符号の説明】
2…ステアリングコラム、
5…コラムカバー、
5a…下面(後面)、
6…キーシリンダ、
13…ケース、
21・21A…インフレーター、
40・40A・40B・40C…エアバッグ、
40a…(エアバッグの)上縁、
40b…(エアバッグの)下縁、
41…運転者側壁部、
42…コラム側壁部、
45・46A…テザー、
47…一般部、
48…カバー部、
52・53…ガス流入口、
E…キー、
A…(キー付属品)付属品、
Ab…(付属品の)下端、
C…(カバー部の)コーナ部、
R0…抑制手段、
RG…ガス流れ規制手段、
G…膨張用ガス、
D…運転者、
K…膝、
S…膝保護用エアバッグ装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグが、運転者の膝を保護可能な膝保護用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者の膝を保護する膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグが、運転者の前方側に配置されたケースに収納保持されていた。そして、エアバッグは、膨張用ガスの流入時、ステアリングコラムの下面に沿うように上昇しつつ、展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護可能としていた。さらに、エアバッグは、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部を、上縁側の左右方向の角部付近に、備えていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開WO 02/03231 A1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の膝保護用エアバッグ装置では、キーシリンダに差し込まれたキーに、サブキーやアクセサリー等の付属品が吊り下げられている場合がある。そして、その場合には、エアバッグが展開膨張すると、その付属品の下端側がエアバッグの膨張部位に対して直交状態で干渉して、エアバッグが傷付けられ、ガス漏れが発生する虞れが生ずる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するもので、展開膨張するエアバッグがキーに接続された付属品と干渉しても、ガス漏れの発生を防止可能な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグが、
運転者の前方側におけるステアリングコラムの下方に配置されたケースに収納保持され、膨張用ガスの流入時、ケースから車両方向側へ突出するとともに上昇しつつ展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護可能とし、
さらに、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部を、上縁側の左右方向の角部付近に備えて、
構成されている膝保護用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、上縁側におけるカバー部以外の部位を一般部とし、
エアバッグのカバー部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されるように、エアバッグが、抑制手段を設けられて、ケースに収納されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る膝保護エアバッグ装置では、エアバッグが展開膨張する際、抑制手段により、エアバッグのカバー部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、一般部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されて、低い。そのため、カバー部が、付属品の下端側等と干渉しても、傷付けられ難くなり、すなわち、仮に、付属品の下端側と、その軸方向に略沿って干渉しても、傷付けられ難くなって、ガス漏れを防止することが可能となる。
【0008】
したがって、本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、展開膨張するエアバッグがキーに接続された付属品と干渉しても、ガス漏れの発生を防止することができる。
【0009】
また、カバー部の運動エネルギーが低減されていることから、逆に、カバー部の付属品との干渉時、付属品をキーから飛散させるようなことも、防止できる。
【0010】
なお、カバー部の運動エネルギーを低減させるためには、カバー部の質量と移動速度とを低減させることが必要となり、特に、運動エネルギーが速度の2乗に比例することから、カバー部の移動速度を低減させることが効果的となる。すなわち、カバー部自体の重量を変えない限り、カバー部の運動エネルギーの抑制は、カバー部の速度を抑制することと、同じである。そして、運動エネルギーの低減を測定する際には、カバー部の移動速度を測定すれば、容易に判別できる。勿論、カバー部の運動エネルギーを低減させるためには、カバー部の強度低下を招かない状態で、カバー部を、一般部に比べて軽量にしてもよい。
【0011】
そしてさらに、カバー部の移動速度を低減させることをエアバッグの内部の挙動で考えれば、エアバッグ内の膨張用ガスの挙動が影響し、例えば、カバー部への流入する膨張用ガスの流速を低減させることが重要となる。直ちに、カバー部の移動速度を低減できるからである。また、一般部の膨張に比べて、カバー部の膨張を遅らせることもよい。カバー部が一般部より遅れて膨張すれば、展開膨張完了時の直前時点付近に、カバー部が膨張することとなり、膨張用ガスの流速が低下しているからである。そして、カバー部の膨張を一般部の膨張より遅らせるためには、カバー部への膨張用ガスの流入する時期を遅らせたり、あるいは、カバー部の膨張を完了させる時期を遅らせたり、あるいは、カバー部へのガスの流入量を、一般部より少なくする、あるいは、カバー部を一般部より膨張用ガスの下流側部位とする等の、対策がある。
【0012】
すなわち、カバー部の運動エネルギーを抑制する抑制手段としては、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速を、一般部側の流速に比べて、低減させたり、一般部の膨張に比べて、カバー部の膨張を遅らせるようにして、カバー部への膨張用ガスの流れを規制し、カバー部の運動エネルギーを低減させるガス流れ規制手段がある。
【0013】
そして、展開膨張完了時のエアバッグが、ステアリングコラム側に位置するコラム側壁部と、運転者側に位置する運転者側壁部と、を備えた略板形状として、展開膨張完了時のエアバッグの厚さを規制可能に、コラム側壁部と運転者側壁部とを連結するテザーが、エアバッグ内に配設される場合には、テザーが、ガス流れ規制手段を構成して、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速を、一般部側の流速に比べて、低減させたり、あるいは、一般部の膨張よりカバー部の膨張を遅らせて、カバー部の移動速度を低減させるようにしてもよい。
【0014】
このような構成は、例えば、テザーが、カバー部と一般部とへの膨張用ガスの流入口の開口面積を調整し、カバー部側の流入口を小さく絞るように、構成することができる。このような構成では、エアバッグの展開膨張時、テザーによって、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速が低下しており、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0015】
そして、上記のような構成では、膨張完了時のエアバッグの厚さ規制用のテザーの配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグの製造に手間取らない。
【0016】
また、エアバッグ内に厚さ規制用のテザーを配設させる場合、つぎのように構成してもよい。すなわち、テザーは、展開膨張完了時のエアバッグにおける一般部とカバー部との下方側となる膨張用ガスの上流側部位に、左右方向に沿って、配設する。そして、一般部とカバー部とは、テザーの左右両端とエアバッグの左右方向の内周面とのそれぞれの間を、膨張用ガスを流入させるガス流入口とする。そして、エアバッグの折り畳み行程において、上下方向に沿う折目を付けて、エアバッグの左右の少なくとも一方の縁側を、中央側に接近させる縦折りを行なう際、カバー部側の折目をテザーにかかる位置に配置させ、テザーにおける一般部側の端部側には折目を配置させない状態とするように、縦折りする。この場合には、ガス流れ規制手段が、主に、テザーにおけるカバー部側にかかる縦折りの折目から、構成される。
【0017】
このような構成では、エアバッグが、テザーにおけるカバー部側の端部に縦折りの折目を付けられているため、カバー部側へ膨張用ガスを流すガス流入口は、縦折りの折目とテザーとで閉塞されており、縦折りの折目を解消させないと、開口しない。一方、一般部側へ膨張用ガスを流すガス流入口は、テザーにおける一般部側の端部側には縦折りの折目が配置されない状態としているため、縦折りの折目の解消と無関係に、一般部側へ膨張用ガスを流すことができる。すなわち、このような構成では、カバー部への膨張用ガスの流入する際の開始時期を、確実に、一般部より遅らせることができて、カバー部が膨張する際には、膨張用ガス自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下していることから(観点を変えれば、折目を解消してカバー部側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下されて、カバー部の移動速度が抑えられていることから)、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、カバー部が一般部より遅れて膨張を完了させる状態を、エアバッグ毎に、安定させることができて、カバー部のガス漏れ防止を、エアバッグ毎に、安定して、確保することができる。勿論、このような構成でも、エアバッグのケースへの収納時の折り畳み行程(縦折り行程)やエアバッグの厚さ規制用のテザーの配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグの製造や折り畳みに手間取らない。
【0018】
また、エアバッグ内に、膨張用ガスを供給するインフレーターが、配設される場合には、インフレーターが、ガス流れ規制手段を構成して、カバー部側に比べて、一般部側への膨張用ガスの吐出量を多くするように、インフレーターをエアバッグ内に配設させるようにしてもよい。
【0019】
このような構成では、カバー部が、一般部に比べて、膨張用ガスの流入量を少なくしているため、一般部より遅れて、膨張を完了させることができ、展開膨張完了時の直前付近に、カバー部が膨張することとなる。そしてその際には、膨張用ガス自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下している。この場合も、観点を変えれば、カバー部側へ流れる膨張用ガスの流速を、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下させることとなって、カバー部の移動速度を抑えることができる、と説明することもできる。その結果、カバー部が、付属品の下端側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、このような構成では、エアバッグに膨張用ガスを流出させるインフレーターのガス流出口の向きや開口面積を、調整するだけでよく、簡便に構成することができる。
【0020】
さらに、エアバッグのカバー部が、膨張完了時の厚さを、一般部より、厚くするように、形成されて、カバー部自体が、ガス流れ規制手段を構成してもよい。すなわち、このような構成では、一般部よりカバー部が容積を大きくしていることから、カバー部へ流入する膨張用ガスの流速が、一般部へ流入する膨張用ガスの流速より、低くなる。そのため、カバー部が付属品の下端側に干渉しても、その運動エネルギーが低くなって、カバー部は、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0021】
なお、この場合のカバー部は、容積が大きく、付属品との干渉時、付属品との干渉部位を容易に凹ませることが可能となり、一層、ガス漏れを生ずるような干渉とはならない。
【0022】
そしてまた、抑制手段は、折り畳み行程により構成することもでき、この場合には、ケース内ヘ収納するためのエアバッグの折り畳み行程において、エアバッグの展開膨張時における一般部とカバー部との折り畳み解消時に、カバー部の折りの解消を一般部より遅らせるように、エアバッグを折り畳めばよい。
【0023】
このような構成では、カバー部の折りの解消が、一般部の折りの解消より遅くなり、エアバッグの膨張完了時の直前となって、カバー部に流入する膨張用ガスの流速が、膨張開始直後より遅くなっていることから、付属品の下端側と干渉する際のカバー部の運動エネルギーを低く抑えることができ、その結果、カバー部が付属品から傷付けられることを、防止できる。この場合も、観点を変えれば、折目を解消してカバー部側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部へ流れる膨張用ガスの流速より、低下する状態となって、カバー部の移動速度を抑えることができることから、このような構成は、折り畳みの折目が、ガス流れ規制手段を構成している、と判断することもできる。
【0024】
そして、このような折り畳みは、例えば、エアバッグの折り畳み行程において、カバー部の周囲に折目を配置させるカバー部折り畳み行程を設けて、カバー部折り畳み行程を、一般部を折り畳む行程より、先に行なうことが例示できる。そして、このような折り畳みは、エアバッグの折り畳み行程の最初に、単に、カバー部を折るだけでよいことから、簡便に構成することができる。
【0025】
さらに、抑制手段としては、エアバッグの展開膨張時における一般部とカバー部との折り畳み解消時に、カバー部の折りの解消を一般部より遅らせるように、解除可能にカバー部の折り畳み状態を維持する折り畳み維持部材から、構成してもよい。このような構成では、折り畳み維持部材が、エアバッグの折り畳み維持状態から、その維持を解除する際に、カバー部の運動エネルギーを、消費させて、低減させることができる。そのため、付属品の下端側と干渉する際、既に、カバー部は、運動エネルギーを低く抑えられているため、その結果、カバー部が付属品から傷付けられることを、防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sは、図1・7に示すように、運転者Dの膝Kを保護できるように、運転者Dの車両前方側であるステアリングコラム2の下方に配設されている。
【0027】
なお、本明細書での上下・前後・左右の関係は、エアバッグ装置Sが車両に搭載された状態を基準とするもので、搭載時の車両の上下・前後・左右の関係と一致するものである。
【0028】
ステアリングコラム2は、図1に示すように、ステアリングホイール1に連結されるメインシャフト3と、メインシャフト3の周囲を覆うコラムチューブ4と、それらの周囲を覆うコラムカバー5と、を備えて構成されている。
【0029】
コラムカバー5は、略四角筒形状等の合成樹脂製として、ステアリングホイール1の下方のメインシャフト3やコラムチューブ4を覆うように、メインシャフト3の軸方向に沿って配設されている。コラムカバー5は、インストルメントパネル(以下、インパネとする)10から斜め上後方に突出するように、配設されている。そして、コラムカバー5の右側面5cには、エンジン始動用のイグニッションキーEを挿入させるキーシリンダ6が配設されている。なお、実施形態の場合、キーシリンダ6に挿入されたイグニッションキーEには、接続環等の接続具Jを使用して、サブキー等の付属品(キー付属品)Aが、垂れ下がるように接続されている。
【0030】
膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ40、エアバッグ40に膨張用ガスを供給するインフレーター21、折り畳まれたエアバッグ40とインフレーター21とを収納するとともに車両後方側を開口させたケース13、及び、ケース13の車両後方側を覆うエアバッグカバー29、を備えて構成されている。
【0031】
ケース13は、図1〜3に示すように、板金製として、ステアリングコラム2の下方側に配置されており、略四角筒形状の周壁部14と、周壁部14の車両前方側を塞ぐ底壁部17と、を備えるとともに、車両後方側に略長方形形状の開口13aを備えて、構成されている。そして、ケース13の周壁部14における上下で対向する壁部14a・14bの外表面側には、それぞれ、エアバッグカバー29の側壁部31・32をケース13に組み付けるための複数の係止部15(15U・15D)が、配設されている。
【0032】
上方側の壁部14aの外表面側に配設される係止部15Uは、エアバッグカバー29の上側壁部31の係止孔31aに挿入されて係止孔31aの周縁を係止可能な係止フックとして構成されている。係止フック15Uは、上側壁部31の係止孔31aに対応して、車両の左右方向に沿って複数配設されている。係止部15Dは、エアバッグカバー29の下側壁部32の係止孔32aに挿入可能な係止突起として構成され、この係止突起15Dも、下側壁部32の係止孔32aに対応して、車両の左右方向に沿って複数配設されている。そして、各係止突起15Dには、係止孔32aへの挿入後の係止孔32aからの抜け止めを図る閂材16が、挿入されている。閂材16は、挿入部16aを下側壁部32の外表面と各係止突起15Dの内周面との間に挿入させて、ケース13に固定されている。
【0033】
さらに、周壁部14における右方側の壁部14cには、インフレーター21の本体22の端部を挿通可能な挿通孔14dが、形成されている(図3参照)。また、底壁部17には、インフレーター21の各ボルト23dを挿通させるための二つの挿通孔17aが、形成されている。
【0034】
また、ケース13は、開口13aの周囲に、周壁部14から外方へ延びるフランジ部19を備えて構成されている。ケース13は、フランジ部19、周壁部14、及び、底壁部17の所定部位から図示しないブラケットを突出させて、車両のボディ側に固定されている。
【0035】
インフレーター21は、図2・3に示すように、軸方向を車両の左右方向に沿って配設させるシリンダタイプとして構成され、略円柱状の本体22とディフューザー23とを備えて構成されている。このインフレーター21は、図4・5に示すように、エアバッグ40内の左右方向の中央付近で、かつ、カバー部48から離れた下縁40b側に、配置されている。本体22は、略円柱状の一般部22aと、一般部22aの端面から突出する小径の小径部22bと、を備え、小径部22bの外周面に複数のガス吐出口22cを配設させて、構成されている。そして、一般部22aにおける小径部22bから離れた端面に、作動信号入力用のリード線27を結線させたコネクタ26が、接続されている。
【0036】
ディフューザー23は、本体22を覆い可能な略円筒状として、膨張用ガスGを流出可能な複数のガス流出口23aを、車両搭載状態の後方側の面に配設させている。また、ディフューザー23は、車両前方側へ突出する複数(実施形態では二本)のボルト23dを備えて構成されている。さらに、ディフューザー23は、本体22を保持するための複数の挟持部23cを備えている。そして、本体22のディフューザー23への固定は、ディフューザー23内に、小径部22bを先頭にして、挿通孔23bから本体22を挿入させ、各挟持部23cを一般部22aの外周面側にさらに押圧すれば、本体22をディフューザー23に固定することができ、各ボルト23dをケース13の底壁部17の挿通孔17aに挿通させて、ナット24を締め付ければ、インフレーター21をケース13に固定することができる。
【0037】
なお、複数のガス流出口23aは、ケース13内の左右方向に沿う全域において、ガス吐出口22cからのガスGが略均等に車両後方側へ流れるように、開口面積が調整されて配置されている。
【0038】
また、インフレーター21は、車両に搭載されたエアバッグ作動回路が、車両の前面衝突を検知した際、リード線27を介して、作動信号が入力され、その際、同時に、ステアリングホイール1に搭載された図示しないエアバッグ装置も作動される。
【0039】
エアバッグカバー29は、ケース13の開口13a付近とフランジ部19付近との車両後方側を覆い可能なように、構成されて、ケース13に連結保持されている。このエアバッグカバー29は、図1・7に示すように、アッパパネル10aとロアパネル10bとからなるインパネ10におけるコラムカバー5の周縁のロアパネル10b側に配置されて、インパネ10から突出するコラムカバー5の下側周縁を覆っている。
【0040】
そして、エアバッグカバー29は、ケース13の開口13aを車両後方側で覆っている二つの扉部37・38と、扉部37・38の周囲に配置されて車両への搭載時に周囲をロアパネル10bに囲まれる一般部30と、を備えて構成されている。このエアバッグカバー29は、扉部37・38や側壁部31・32・33・34を含めた部位を、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成し、その周囲の一般部30を、ポリプロピレン等の合成樹脂から形成した二色成形品としている。
【0041】
扉部37・38は、略長方形板状に形成されて、周囲に、略H字形状となる薄肉の破断予定部36を配設させて、構成されている。破断予定部36は、扉部37・38が膨張するエアバッグ40に押された際に容易に破断するように、エアバッグカバー29の車両前方側の面に連続的若しくは断続的な凹溝を設けて、形成されている。そして、破断予定部36がエアバッグ40に押されて破断した際には、扉部37は、上端側の上側壁部31付近をヒンジ部として上開きに開き、扉部38は、下端側の下側壁部32付近をヒンジ部として下開きで開く。
【0042】
また、扉部37・38の周囲の部位には、ケース13の周壁部14の外周側において、周壁部14と隣接するように車両前方側に突出する4つの側壁部31・32・33・34が、形成されている。そして、ケース周壁部14の上部側に配置される上側壁部31と周壁部14の下部側に配置される下側壁部32とは、エアバッグカバー29をケース13に連結保持させる部位となり、これらの各壁部31・32には、既述したように、周壁部14に配設された各係止部15(15U・15D)を挿入させて、各係止部15に周縁を係止させる係止孔31a・32aが、それぞれ、形成されている。
【0043】
エアバッグ40は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド糸等からなる織布から形成されて、展開膨張完了時の形状を、図1・4・5・7に示すように、運転者Dの両膝Kを保護可能な左右方向の幅寸法を備えた略長方形板状としている。そして、エアバッグ40は、展開膨張完了時に、運転者D側に運転者側壁部41を配置させ、コラムカバー5側にコラム側壁部42を配置させるように、構成されている。壁部41・42は、相互に略同形状に形成されている。なお、実施形態のエアバッグ40は、壁部41・42相互が下縁40b側で連なった一枚の織布を、下縁40bで二つ折りし、外周縁を縫合して、形成されている。また、エアバッグ40の下縁40b側の中央付近におけるコラム側壁部42の部位43には、図3・6に示すように、二つの挿通孔43a・43aと一つの挿通孔43bとが形成されている。挿通孔43a・43aは、インフレーター21の各ボルト23dを挿通させるものであり、挿通孔43bは、インフレーター21の本体22を挿通させるものである。そして、エアバッグ40は、挿通孔43bからインフレーター21の本体22を突出させて、各挿通孔43aの周縁43を、ディフューザー23とケース13の底壁部17とに挟持させて、ケース13に取り付けられている。すなわち、このエアバッグ40は、挿通孔43aの周縁を取付部43として、この取付部43が、ケース13の底壁部17に対して、取付固定されている。
【0044】
また、このエアバッグ40では、車両搭載状態で、展開膨張を完了させた際、図1や図7のBに示すように、上縁40a側における右縁側の角部C付近を、キーシリンダ6の車両後方側を覆うカバー部48としている。なお、このカバー部48は、展開膨張完了時、キーシリンダ6に挿入されたキーEに接続されて垂れ下がっている付属品Aの領域も、車両後方側から覆えるように構成されている。また、エアバッグ40の上縁40a側におけるカバー部48以外の部位は、一般部47としている。
【0045】
さらに、このエアバッグ40内には、左右方向に沿って配設されるテザー45・46が、上下二段に配設されている。各テザー45・46は、壁部41・42を連結して、膨張完了時のエアバッグ40の厚さを規制し、エアバッグ40を略板形状に維持するものであり、これらのテザー45・46は、膝Kとコラムカバー5との間が狭くとも、展開膨張時のエアバッグ40を、膝Kとコラムカバー5との間に円滑に配置させるために、配設されている。なお、各テザー45・46は、一般部47やカバー部48より、膨張用ガスGの上流側部位となる一般部47・カバー部48の下方に、配置されている。また、実施形態の場合、各テザー45・46は、それぞれ、相互に連結されるとともに、一方の壁部41・42に結合される二枚ずつの布材45a・46aから形成されているが、テザーは、エアバッグ40の全体の厚さを板状に規制できればよいことから、単に、壁部41・42相互を接触させるように結合させて、その結合部をテザーとしてもよい。
【0046】
そして、実施形態では、テザー45が、エアバッグ40の展開膨張時に、カバー部48における展開膨張完了位置への配置直前の運動エネルギーを低減させるための抑制手段R0としてのガス流れ規制手段RGを構成するものである。実施形態の場合、テザー45の左右の端部45c・45dの近傍におけるエアバッグ40の左右の縁40c・40dの内周面と、端部45c・45dとの隙間52・53に関し、カバー部48側となる右側の隙間53が、左側の隙間52より小さく設定されている。なお、これらの隙間52・53は、インフレーター21からの膨張用ガスGが一般部47やカバー部48へ流入する際のガス流入口52・53となり、実施形態の場合、テザー45の右端45dが、エアバッグ40の右縁40dに接近しているため、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくしている。
【0047】
つぎに、このエアバッグ装置Sの組み立てについて説明する。まず、各挿通孔43aからボルト23dを突出させ、挿通孔43bから本体22の端部を突出させるように、エアバッグ40内に、組付済みのインフレーター21を、収納させ、ついで、エアバッグ40を、ケース13内に収納可能に、折り畳む。
【0048】
このエアバッグ40の折り畳み行程では、左右方向に沿う折目を付けるようにして、上縁40aを下縁40bに接近させる横折り行程と、ケース13の幅寸法に対応させるように、エアバッグ40の左右方向の幅寸法を整えるための、上下(前後)方向に沿う折目を付ける縦折り行程と、がある。
【0049】
そして、実施形態の場合、まず、横折り行程を行ない、その際、図6のA・Bに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させるロール折りを行なう。
【0050】
そして、ケース13に収納できる左右方向の幅寸法とするために、図6のB・Cに示すように、ロール折りした折り畳み部位50の左右の両端部50b・50bを、折り畳み部位50の中央部50aの下方に配置させる縦折り行程を行なえば、エアバッグ40の折り畳み行程を完了させることができる。
【0051】
その後、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ40をくるむ。この時、挿通孔43a・43bから突出したインフレーター21のボルト23dや本体22の端部は、ラッピングフィルムから突出させておく。なお、ラッピングフィルムとしては、樹脂製のシート材の他、エアバッグ40を形成した織布等の布材・テープ材・紐材を利用してもよい。
【0052】
その後、インフレーター21の各ボルト23dを挿通孔17aから突出させるとともに、インフレーター本体22の端部を挿通孔14dから突出させるようにして、インフレーター21を、折り畳まれたエアバッグ40とともに、ケース13内に収納させ、各ボルト23dに図示しないスプリングナットを締結すれば、インフレーター21とエアバッグ40とを、ケース13に収納させるとともに、ケース13に取り付けることができる。
【0053】
ついで、エアバッグカバー29を、ケース13に組み付ける。このエアバッグカバー29のケース13への組み付けは、エアバッグカバー29の各側壁部31・32・33・34を、開口13a側のケース周壁部14に外装させ、各係止フック15Uを、上側壁部31の係止孔31aに挿入係止させるとともに、各係止突起15Dを、下側壁部32の各係止孔32aに挿入させて、下側壁部32の外表面側に突出させ、下側壁部32の外表面と各係止突起15Dの内周面との間に、閂材16の挿入部16aを挿入させ、閂材16にボルト23dを貫通させて、ナット24をボルト23dに締結すれば、エアバッグカバー29をケース13に連結保持させることができて、エアバッグ装置Sを組み立てることができる。
【0054】
そして、エアバッグ装置Sの車両への搭載は、リード線27を結線させたコネクタ26をインフレーター21の本体22に接続させるとともに、ケース13から延びる所定のブラケットを、車両のボディ側に連結固定させるとともに、リード線27をエアバッグ作動回路に接続させれば、エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
【0055】
なお、この時、車両には、既に、アッパパネル10aやロアパネル10b等が取り付けられている。また、アンダーカバー11は、エアバッグ装置Sを車両に搭載した後に取り付ければよい。
【0056】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、リード線27を経て、インフレーター21の本体22に作動信号が入力されれば、インフレーター21のガス吐出口22cから膨張用ガスGが吐出され、膨張用ガスGが、ディフューザー23のガス流出口23aを経て、エアバッグ40内に流入することとなる(図3・4参照)。そして、エアバッグ40は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともに、エアバッグカバー29の扉部37・38を押し、破断予定部36を破断させる。そして、エアバッグ40は、扉部37・38を開かせて、図1の二点鎖線に示すように、ケース13の開口13aから車両後方側へ突出し、さらに、ステアリングコラム2のコラムカバー下面5aに沿って上方へ向かって大きく突出するように、展開膨張することとなる。
【0057】
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ40が、膨張用ガスGを流入させてケース13から突出すれば、エアバッグ40の折り畳み行程の略逆の行程で、折りを解消して、展開膨張する。そのため、展開膨張するエアバッグ40は、縦折りを解消しつつケース13から突出し、さらに、ロール折りの折りを解消しつつ、エアバッグ40の上縁40a側を、コラムカバー5の下面(後面)5aに沿わせて、コラムカバー5の上端5b付近まで、上昇させることとなる。
【0058】
その際、実施形態のエアバッグ40では、テザー45により、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくして、カバー部48へのガスGの流入量が、一般部47への流入量より少ないことから、図7のA・Bに示すように、カバー部48が、一般部47より遅れて、膨張を完了させることとなって、展開膨張完了時の直前時点付近に、カバー部48が膨張することとなる。そして、その際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0059】
そして、上記の作用を観点を変えれば、テザー45によって、カバー部48に連通するガス流入口53が、一般部47に連通するガス流入口52より、開口面積を小さくして、絞られていることから、カバー部48へ流入する膨張用ガスGの流速を、一般部46へのガスGの流速より低減できて、直接的に、カバー部48の移動速度を、一般部46への移動速度に比べて、低減できるため、カバー部48は、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難くなる、と説明することもできる。
【0060】
したがって、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、展開膨張するエアバッグ40がキーEに接続された付属品Aと干渉しても、ガス漏れの発生を防止することができる。
【0061】
また、カバー部48の運動エネルギーが低減されていることから、逆に、カバー部48の付属品Aとの干渉時、付属品AをキーEから飛散させるようなことも、防止できる。
【0062】
なお、実施形態の場合、テザー45の右端45dに、カバー部48に下方から連通するガス流入口53を配設させた場合を示したが、ガス流入口53を設けないように、例えば、右端45dをエアバッグ40の右縁40dまで延ばすように、テザー45を配設して、カバー部48が、一般部47より、膨張用ガスGの下流側部位となるように、構成してもよい。この構成でも、カバー部48の膨張完了が、一般部47より遅れることから、カバー部48が膨張する際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0063】
また、実施形態では、膨張完了時のエアバッグ40の厚さ規制用のテザー45の配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグ40の製造に手間取らない。
【0064】
なお、実施形態では、エアバッグ40が、上縁40a側を下縁40b側に接近させる横折り行程を、コラム側壁部42の側で折るロール折りとしているため、このロール折りの解消時には、極力、コラムカバー5の下面5aに沿って、展開し、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面5aとの隙間が狭くても、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面5aとの間に、エアバッグ40を的確に配置させることができる。
【0065】
また、実施形態では、エアバッグ40内に配置させた上方側のテザー45だけをガス流れ規制手段RGとした場合を示したが、図8に示すエアバッグ40Aのように、上方のテザー45Aの右端45dをエアバッグ40Aの右縁40dから離して、下方のテザー46Aの右端部46dをエアバッグ40の右縁40d側に延ばして、このテザー46Aだけをガス流れ規制手段RGとしてもよく、さらに、エアバッグ40・40Aの二つのテザー45・46Aを使用して、二つのテザー45・46Aをガス流れ規制手段RGとしてもよい。
【0066】
さらに、実施形態では、エアバッグ40の左右方向の幅寸法を狭める縦折り行程を、図9に示すように、ロール折り行程前にも、行なうようにしてもよい。図9に示すエアバッグ40の折り畳みは、まず、図9のA・Bに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、エアバッグ40の左右の縁40c・40d付近に、前後方向(上下方向)に沿う折目F1(F1L・F1R)を付けて、縁40c・40dを左右方向の中央O1側に接近させる縦折りをする縦折り行程を行う。その後、図6のA・B・Cの行程と同様に、図9のB・C・Dに示すように、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させる横折りのロール折り行程、及び、端部50bを折る縦折り行程を行なって、折り畳み行程を終了させる。そして、この折目F1の配置位置を、図4の二点鎖線に示すように、カバー部48側の折目F1Rをテザー45にかかる位置に配置させ、一般部47側の折目F1Lをテザー45にかからない位置に配置させるように、縦折りしている。
【0067】
このような構成では、エアバッグ40が、テザー45におけるカバー部48側の端部45dに縦折りの折目F1Rを付けられているため、カバー部48側へ膨張用ガスGを流すガス流入口53は、縦折りの折目F1Rとテザー45とで閉塞されており、縦折りの折目F1Rを解消させないと、開口しない。一方、一般部47側へ膨張用ガスGを流すガス流入口52は、テザー45における一般部47側の端部45cにかからないように縦折りの折目F1Lが付けられているため、縦折りの折目F1Lの解消前に、一般部47側へ膨張用ガスGを流すことができる。
【0068】
すなわち、このような構成では、ガス流れ規制手段RGが、テザー45にかかる縦折りの折目F1Rから、構成されて、カバー部48への膨張用ガスGの流入する際の開始時期を、確実に、一般部47より遅らせることができ、カバー部48が膨張する際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下しており、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側と干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、カバー部48が一般部47より遅れて膨張を完了させる状態を、エアバッグ40毎に、安定させることができて、カバー部48のガス漏れ防止を、エアバッグ40毎に、安定して、確保することができる。
【0069】
なお、上記の作用を観点を変えみれば、折目F1Rを解消してカバー部48側へ流れる膨張用ガスGの流速が、一般部47へ流れる膨張用ガスGの流速より、低下されて、カバー部48の移動速度が抑えられることから、その結果、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側と干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い、と説明することもできる。
【0070】
そして、上記のような構成でも、エアバッグ40のケース13への収納時の折り畳み行程(縦折り行程)やエアバッグ40の厚さ規制用のテザー45の配置位置を、単に調整するだけで、容易に、ガス漏れ防止作用を得ることができることから、エアバッグ40の製造や折り畳みに手間取らない。
【0071】
なお、図9では、縦折りの折目F1を左右両側に設けたが、カバー部48側だけに折目F1Rを付けた縦折り行程としてもよい。また、左右に縦折りの折目を設ける場合、その折幅は、左右均等でなくともよい。さらに、テザー45と相違して、図10に示すエアバッグ40Bのように、左右方向に沿って配設されるテザー45Bが、エアバッグ40Bの中心から略左右対称に設けられている場合でも、縦折りの折目をガス流れ規制手段RGとする構成に適用でき、その場合には、縦折りの折目F1がそのテザー45Bにかかるように、カバー部48側の折幅を大きくしたり、あるいは、カバー部48側だけに縦折りの折目F1を付けるようにしてもよい。なお、エアバッグ40Bは、エアバッグ40Bの左右方向の中央を中心として、テザー45B・46が左右対称の長さとしている点が、エアバッグ40と相違するだけである。
【0072】
また、ガス流れ規制手段RGとしては、図11に示すように、エアバッグ40内に配設されるインフレーター21A自体から構成してもよい。このインフレーター21Aは、ディフューザー23Aに配置されるガス流出口23aが、左端側だけに配設されて、カバー部48側に比べて、一般部47側への膨張用ガスGの吐出量を多くするように、構成されている。なお、インフレーター21Aの他の構成は、インフレーター21と同様であり、車両への搭載状態は、エアバッグ装置Sと同様である。
【0073】
このようなインフレーター21Aの構成では、カバー部48が、一般部47に比べて、膨張用ガスGの流入量を少なくしているため、一層、一般部47より遅れて、膨張を完了させることができ、展開膨張完了時の直前付近に、カバー部48が膨張することとなる。そしてその際には、膨張用ガスG自体の運動エネルギーが、展開膨張当初に比べて、低下している。また、この場合も、観点を変えれば、カバー部48側へ流れる膨張用ガスGの流速を、一般部47へ流れる膨張用ガスGの流速より、低下させることとなって、カバー部48の移動速度を抑えることができる、と説明できる。その結果、カバー部48が、付属品Aの下端Ab側に干渉しても、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。また、このような構成では、エアバッグ40に膨張用ガスGを流出させるインフレーター21Aのガス流出口23aの向きや開口面積を、調整するだけでよく、簡便に構成することができる。なお、このようなインフレーター21Aは、左右対称にテザー45B・46を配置させているエアバッグ40Bに使用してもよい。
【0074】
さらに、図12・13に示すように、エアバッグ40Cのカバー部48が、膨張完了時の厚さT0を、一般部47の厚さT1より、厚くするように、形成されて、カバー部48自体が、ガス流れ規制手段GRを構成してもよい。このエアバッグ40Cは、テザー55・56が左右方向に沿って複数設けられて、カバー部48の近傍におけるガスGの下流側のテザー56が短い長さとして、展開膨張完了時のカバー部48の容積を大きくしている。他の構成は、エアバッグ40と同様であり、折り畳み行程等を含めて、エアバッグ装置Sと同様な工程を経て、車両に搭載されている。
【0075】
このような構成では、エアバッグ40Cの展開膨張時、カバー部48へ流入する膨張用ガスGの流速が、カバー部48の容積が大きいことから、カバー部48に流入した時点で、低下して、一般部47へ流入する膨張用ガスGの流速より、低くなる。そのため、カバー部48が付属品Aの下端Ab側に干渉しても、その運動エネルギーが低くなって、カバー部48は、ガス漏れを生ずるように傷付けられ難い。
【0076】
なお、この場合のカバー部48は、容積が大きく、付属品Aとの干渉時、付属品Aとの干渉部位を容易に凹ませることが可能となり、一層、ガス漏れを生ずるような干渉とはならない。
【0077】
また、抑制手段R0は、折り畳み行程により構成することもできる。すなわち、図14に示すように、ケース13内ヘ収納するためのエアバッグ40の折り畳み行程において、カバー部48の周囲に折目F0を配置させるカバー部折り畳み行程を設けて、カバー部折り畳み行程を、一般部47を折り畳む行程より、先に行なうエアバッグの折り畳み行程によって、抑制手段R0を、構成している。
【0078】
具体的に説明すると、エアバッグ40の折り畳み行程において、まず、カバー部折り畳み行程を行ない、その行程は、図14のAに示すように、コラム側壁部42と運転者側壁部41とを重ねて平らにした状態として、ついで、図14のA・Bに示すように、カバー部48の角部C付近の折り重ね部49を、折目F0を付けて、エアバッグ40の左右方向の中央O1付近側に折る。図例の場合、詳しくは、折り重ね部49を、エアバッグ40の上下(前後)左右の中心O2側に向けて、運転者側壁部41の側に折っている。この折り重ね部49は、付属品AがキーEから垂れ下がっている状態でのその付属品Aの領域自体を、エアバッグ40が展開膨張を完了させた際に、車両後方側から覆うことができる部位である。そして、折り重ね部49の折幅Bは、エアバッグ40の展開膨張完了時付近で、折目F0の折りが解消される際、折目F0付近は、付属品Aと干渉せず、折り重ね部49の外周縁49a付近が、折目F0を回転中心として回転して、付属品Aの下端Ab側と干渉できるように、設定されている。
【0079】
ついで、図14のB・Cに示すように、エアバッグ40の左右の縁40c・40d付近に、前後方向(上下方向)に沿う折目F1・F1を付けて、縁40c・40dを左右方向の中央O1側に接近させる縦折りをする縦折り行程を行う。
【0080】
その後、図14のC・Dに示すように、エアバッグ40の上縁40a側を、コラム側壁部42の側で巻いて、下縁40b側に接近させるロール折り行程を行なう。
【0081】
そして、ケース13に収納できる左右方向の幅寸法とするために、図14のD・Eに示すように、ロール折りした折り畳み部位50の左右の両端部50b・50bを、折り畳み部位50の中央部50aの下方に配置させる縦折り行程を行なえば、エアバッグ40の折り畳み行程を完了させることができる。
【0082】
このような構成では、エアバッグ40の折り畳み行程の最初に、カバー部48を折っている。そのため、このカバー部48の折り重ね部49の折りの解消が、エアバッグ40の膨張完了時の直前となって、折り重ね部49に流入する膨張用ガスの流速が、膨張開始直後より遅くなっていることから、付属品Aの下端Ab側と干渉する際の折り重ね部49の運動エネルギーを低く抑えることができ、その結果、カバー部48の折り重ね部49が付属品Aから傷付けられることを、防止できる。この場合も、観点を変えれば、折目F0を解消してカバー部48側へ流れる膨張用ガスの流速が、一般部47へ流れる膨張用ガスの流速より、低下する状態となって、カバー部48の移動速度を抑えることができることから、このような構成は、折り畳みの折目F0が、ガス流れ規制手段RGを構成している、と判断することもできる。
【0083】
そして、このような構成では、エアバッグ40の折り畳み行程の最初に、単に、カバー部48を折るだけでよいことから、簡便に対処することができる。
【0084】
なお、カバー部48に折目F0を付けておる場合には、図15に示すように、折り重ね部49をコラム側壁部42の側に折ってもよい。また、図14・15の折り畳み行程において、縦折りの折目F1を付ける縦折り行程は、省略してもよい。
【0085】
さらにまた、カバー部48の折りの解消が一般部47より遅れれば、図例の場合に限定されず、折りの解消時の抵抗となるような折り方で、カバー部48側を折ってもよい。
【0086】
さらに、抑制手段R0としては、図16に示すように、エアバッグ40の展開膨張時における一般部47とカバー部48との折り畳み解消時に、カバー部48の折りの解消を一般部47より遅らせるように、解除可能にカバー部48の折り畳み状態を維持する折り畳み維持部材58から、構成してもよい。図例の場合、折り畳み維持部材58は、ロール折りする際にカバー部48付近を他の部位に対して剥離可能に接着させた接着剤(粘着材)から、構成されている。なお、エアバッグ40やインフレーター21等の他の構成は、車両への搭載行程も含めて、エアバッグ装置Sと同様である。
【0087】
そして、このような構成では、折り畳み維持部材58が、エアバッグ40の折り畳み維持状態からその維持を解除する際に、すなわち、接着剤58を剥離させる際、カバー部48の運動エネルギーが、消費されて、低減されることとなる。そのため、付属品Aの下端Ab側と干渉する際、既に、カバー部48は、運動エネルギーを低く抑えられているため、その結果、カバー部48が付属品Aから傷付けられることを、防止できる。
【0088】
なお、折り畳み維持部材としては、他に、エアバッグ40の外部に縫合等して結合させた破断可能な糸等の連結材が例示でき、図16のBの二点鎖線に示すように、連結材59を使用して、折り畳んだカバー部48付近の外周縁49aを他の部位に、結合させてもよい。
【0089】
なお、実施形態では、キーシリンダ6がステアリングコラム2(コラムカバー5)自体に配置されている場合について、説明したが、図17に示すように、キーシリンダ6が、インパネ10(図例の場合にはアッパパネル10a)の位置に配置されている場合にも、膝保護用エアバッグ装置のエアバッグ40・40B・40Cが、そのキーシリンダ6に挿入されたキーEの付属品Aと干渉するカバー部48を有していれば、本発明を適用することができる。
【0090】
さらに、キーシリンダ6が、コラムカバー5の左側面や、コラムカバー5から左方側に離れたインパネ10に、配置されていても、そのキーシリンダ6に挿入されたキーEの付属品Aと干渉するカバー部を、エアバッグに設けて、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図2】実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図3】実施形態の膝保護用エアバッグ装置における車両前後方向の概略拡大横縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のインフレーターを内蔵させた展開状態のエアバッグを示す概略正面図である。
【図5】図4のV−V部位の概略断面図である。
【図6】実施形態のエアバッグの折り畳み行程を説明する図である。
【図7】実施形態の膝保護用エアバッグ装置における作動状態を順に説明する正面図である。
【図8】実施形態のエアバッグの変形例を示す概略正面図である。
【図9】実施形態のエアバッグの他の折り畳み行程を説明する図である。
【図10】実施形態のエアバッグの変形例を示す概略正面図である。
【図11】実施形態のインフレーターの変形例を示す概略正面図である。
【図12】実施形態のエアバッグのさらに他の変形例を示す概略正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII部位の断面図である。
【図14】実施形態のエアバッグのさらに他の折り畳み行程を説明する図である。
【図15】図14に示す折り畳み行程の変形例を示す図である。
【図16】他の抑制手段R0を説明する図である。
【図17】実施形態の変形例を示す膝保護用エアバッグ装置の正面図である。
【符号の説明】
2…ステアリングコラム、
5…コラムカバー、
5a…下面(後面)、
6…キーシリンダ、
13…ケース、
21・21A…インフレーター、
40・40A・40B・40C…エアバッグ、
40a…(エアバッグの)上縁、
40b…(エアバッグの)下縁、
41…運転者側壁部、
42…コラム側壁部、
45・46A…テザー、
47…一般部、
48…カバー部、
52・53…ガス流入口、
E…キー、
A…(キー付属品)付属品、
Ab…(付属品の)下端、
C…(カバー部の)コーナ部、
R0…抑制手段、
RG…ガス流れ規制手段、
G…膨張用ガス、
D…運転者、
K…膝、
S…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (8)
- 折り畳まれたエアバッグが、
運転者の前方側におけるステアリングコラムの下方に配置されたケースに収納保持され、膨張用ガスの流入時、前記ケースから車両後方側へ突出するとともに上昇しつつ展開膨張を完了させて、運転者の膝を保護可能とし、
さらに、展開膨張完了時に、キーシリンダ付近の領域の車両後方側を覆うカバー部を、上縁側の左右方向の角部付近に備えて、
構成されている膝保護用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、上縁側における前記カバー部以外の部位を一般部とし、
前記エアバッグのカバー部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーが、前記一般部における展開膨張完了時の配置位置へ配置される際の運動エネルギーに比べて、抑制されるように、前記エアバッグが、抑制手段を設けられて、前記ケースに収納されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 前記抑制手段が、前記膨張用ガスの流れを規制するガス流れ規制手段として、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
- 展開膨張完了時の前記エアバッグが、ステアリングコラム側に位置するコラム側壁部と、運転者側に位置する運転者側壁部と、を備えた略板形状とし、
展開膨張完了時の前記エアバッグの厚さを規制可能に、前記コラム側壁部と前記運転者側壁部とを連結するテザーが、前記エアバッグ内に配設され、
該テザーが、ガス流れ規制手段を構成して、前記カバー部へ流入する膨張用ガスの流速を、前記一般部へ流入する膨張用ガスの流速に比べて、低減させるように、前記エアバッグ内に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。 - 展開膨張完了時の前記エアバッグが、ステアリングコラム側に位置するコラム側壁部と、運転者側に位置する運転者側壁部と、を備えた略板形状とし、
展開膨張完了時の前記エアバッグの厚さを規制可能に、前記コラム側壁部と前記運転者側壁部とを連結するテザーが、前記エアバッグ内に配設され、
前記テザーが、展開膨張完了時の前記エアバッグにおける前記一般部と前記カバー部との下方側となる膨張用ガスの上流側部位に、左右方向に沿って、配設されて、
前記一般部と前記カバー部とが、前記テザーの左右両端と前記エアバッグの左右方向の内周面とのそれぞれの間を、膨張用ガスを流入させるガス流入口として、配設され、
前記エアバッグの折り畳み行程において、上下方向に沿う折目を付けて、前記エアバッグの左右の少なくとも一方の縁側を、中央側に接近させる縦折りを行なう際、前記カバー部側の折目を前記テザーにかかる位置に配置させ、前記テザーにおける前記一般部側の端部側には折目を配置させない状態として、縦折りし、
前記ガス流れ規制手段を、前記テザーにおける前記カバー部側にかかる縦折りの折目から、構成することを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。 - 前記エアバッグ内に、膨張用ガスを供給するインフレーターが、配設され、
前記インフレーターが、ガス流れ規制手段を構成して、前記カバー部側に比べて、前記一般部側への膨張用ガスの吐出量を多くするように、前記エアバッグ内に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。 - 前記エアバッグのカバー部が、膨張完了時の厚さを、前記一般部より、厚くするように、形成されて、前記カバー部自体が、ガス流れ規制手段を構成していることを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。
- 前記抑制手段が、前記エアバッグの展開膨張時における前記一般部と前記カバー部との折り畳み解消時に、前記カバー部の折りの解消を前記一般部より遅らせるように、前記エアバッグを折り畳むエアバッグの折り畳み行程によって、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
- 前記抑制手段が、前記エアバッグの展開膨張時における前記一般部と前記カバー部との折り畳み解消時に、前記カバー部の折りの解消を前記一般部より遅らせるように、解除可能に前記カバー部の折り畳み状態を維持する折り畳み維持部材から、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
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-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002381498A patent/JP2004210093A/ja not_active Withdrawn
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