JP2004209526A - 中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法 - Google Patents

中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中空状構造部材の内部に発泡金属を固定する場合、接着剤を用いた従来の方法では、構造部材と発泡金属の充分な接合強度を得ることができないという課題があった。
【解決手段】構造部材1と同じ材質を含む薄板状部材3の片面に、溶融軽金属との密着性を向上させる処理を施した状態で、薄板状部材3と溶融・発泡状態の軽金属とを接触させ、表面の少なくとも一部に薄板状部材3を密着させた軽金属発泡体2を形成し、軽金属発泡体2を構造部材1の内部に配した後、構造部材1の外側から高密度エネルギ熱源を照射して構造部材1と薄板状部材3を溶接することにより、構造部材と軽金属発泡体との充分な接合強度を実現した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空状の構造部材の内部に軽金属発泡体を固定する方法に関するものであって、とくに、衝撃エネルギ吸収用の部材を製造するのに用いられる中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衝撃エネルギ吸収用の部材としては、自動車のメンバーやピラー等に用いられるものがある。この種の部材は、中空状の構造部材の内部に、発泡金属を充填した構造になっている。構造部材は、通常、材料として鋼を用いており、ハット形状部材とプレート部材とを溶接する方法や押し出し成形により製造され、少なくとも断面の一部が閉断面(中空状)を成している。また、発泡金属は、アルミニウムやマグネシウム等の軽金属中に多数の空孔(セル)を含む構造であって、軽量で優れた衝撃エネルギ吸収特性を示すものである。この発泡金属の代表的なものとしては発泡アルミニウムがある。
【0003】
そして、上記の如き衝撃エネルギ吸収用の部材の製造において、中空状構造部材の内部に発泡金属を固定する方法としては、接着剤を用いる方法があった(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】
『Metal Foams and Porous Metal Structures』 Verlag MIT Publishing p313〜316
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような中空状構造部材における発泡金属の固定にあっては、発泡金属の表面が粗い凹凸を有することから、接着剤の濡れが安定せず、且つ構造部材との間隙を埋める接着剤の厚さが不均一になり、これにより構造部材と発泡金属の接合強度が不安定になるので、自動車用の部材に採用することは困難であった。
【0005】
ここで、中空状構造部材における発泡金属の固定方法としては、溶接による方法も考えられる。ところが、材料的には、構造部材に鋼を用い、発泡金属にアルミニウムを用いるのが最もあり得る組み合わせであることから、構造部材と発泡金属を直接溶接しようとしても、鋼とアルミニウムという異種金属の溶接では脆弱な金属間化合物を生じるので、溶接による固定は困難であった。
【0006】
また、発泡金属は、構造部材との材料的な組み合わせが良好であるとしても、構造上殆どが空孔であり、空孔を形成するセル壁が非常に薄いので、溶接熱により簡単に溶融破断され、構造部材に溶接することは困難である。さらに、発泡金属は、製法によっては、表面に、薄いがセル壁よりは厚いスキン層が形成される場合もあるが、スキン層を均一に分布させることは難しく、溶接部に必ずしも充分な肉厚のスキン層が存在するとは限らないため、やはり溶接による固定は困難であった。
【0007】
なお、発泡金属の他の固定方法としては、発泡金属に受け用の板を溶接して構造部材の内部に圧入したり、構造部材の外側からボルト等を設けて機械的に固定したりすることが考えられるが、いずれの場合も重量の増加や工程の複雑化を招くので現実的ではなかった。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、中空状構造部材の内部に軽金属発泡体を固定するに際し、構造部材の内部に軽金属発泡体を効率良く固定することができると共に、構造部材と軽金属発泡体との高い接合強度を得ることができる中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法は、中空状の構造部材の内部に軽金属発泡体を固定するに際し、構造部材と同じ材質を含む薄板状部材の少なくとも片面に、溶融軽金属との密着性を向上させる処理を施した状態で、薄板状部材と溶融・発泡状態の軽金属とを接触させることにより、表面の少なくとも一部に薄板状部材を密着させた軽金属発泡体を形成し、この軽金属発泡体を構造部材の内部に配した後、構造部材の外側から高密度エネルギ熱源を照射して、構造部材と薄板状部材を溶接することを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】
本発明の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法によれば、上記構成を採用したことから、軽金属発泡体における軽金属と薄板状部材との密着性が良好であると共に、薄板状部材と構造部材とを高密度エネルギ熱源により良好に溶接し得ることとなり、発泡金属の破壊や重量増大を招くことなく、中空状構造部材の内部に軽金属発泡体を効率良く固定することができると共に、構造部材と軽金属発泡体との高い接合強度を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法の一実施形態を示す図である。図示の構造部材1は、鋼製であり、ハット形状部材1aとプレート部材1bを溶接により接合することで、断面矩形状の中空部を有するものとなっている。軽金属発泡体2の発泡金属2aは、アルミニウム製であり、保温した型に溶融アルミニウムを注入し、Ca等の増粘剤やTiH等の発泡剤を添加して攪拌することで溶融アルミニウムを発泡させ、構造部材1の内部に対応した角柱状に形成する。
【0012】
当該固定方法では、構造部材1の内部に軽金属発泡体2を固定するに際し、構造部材1と同じ材質を含む薄板状部材3を用いる。薄板状部材3は、鋼製であって、実際には図示例よりもはるかに薄肉であり、帯状を成している。そして、薄板状部材3の少なくとも片面に、発泡金属(溶融軽金属)2aとの密着性を向上させる処理(例えばアルミナイズ処理)を施した後、図1(a)に示すように、薄板状部材3の処理面を溶融・発泡状態の軽金属(2a)に接触させることにより、表面の少なくとも一部に薄板状部材3を密着させた軽金属発泡体2を形成する。図示の場合では、軽金属発泡体2の上面及び左右両面に、その長手方向に沿って薄板状部材3が設けてある。
【0013】
次に、当該固定方法では、図1(b)に示すように、構造部材1の内部に軽金属発泡体2を挿設した後、図1(c)に示すように、構造部材1の外側から高密度エネルギ熱源を照射することで、構造部材1と各薄板状部材3を長手方向にわたって連続的に溶接(W)し、これにより構造部材1の内部に軽金属発泡体2を固定する。
【0014】
このように、当該固定方法では、薄板状部材3に発泡金属2aとの密着性を向上させる処理を施すので、軽金属発泡体2の発泡金属2aと薄板状部材3との密着性が良好であると共に、構造部材1と同じ材質を含む薄板状部材3と構造部材1とを高密度エネルギ熱源により溶接するので、結果として構造部材1と軽金属発泡体2との高い接合強度が得られることとなる。
【0015】
しかも、当該固定方法では、構造部材1の外側から高密度エネルギ熱源を照射して溶接を行うので、発泡金属2aを破壊せずに構造部材1と軽金属発泡体2の固定を効率良く行うことが可能であり、これにより生産性も良いものとなり、且つ薄板状部材3以外の副資材を使用しないので、重量増大を招く心配もない。
【0016】
上記の如く軽金属発泡体2を固定した構造部材1は、衝撃エネルギ吸収を目的とする部材、より具体的には、自動車のメンバーやピラー等の部材として用いることができる。つまり、自動車のメンバーやピラーは、衝突時に変形しながら効率良く衝撃エネルギを吸収する必要があり、これに対して、上記の構造部材1は、発泡アルミニウムのように一定の圧縮応力下で変形が進行する性質を持つ多孔質金属が充填してあるので、大きな重量増を伴わずにより高い衝撃エネルギ吸収特性を得ることができる。また、先述の如く構造部材と軽金属発泡体2との充分な接合強度が得られるので、自動車の構造部材としての耐久性も確保し得る。
【0017】
このとき、当該固定方法においては、構造部材1に対する衝撃負荷方向が図1(c)中に矢印で示す如く長手方向である場合には、その衝撃負荷方向と同方向に溶接(W)を行うことが望ましい。このように溶接方向を設定すれば、接合部自体が変形時の抵抗になると共に、外側の構造部材1には溶接による組織の微細化や高強度組織化が起きるので、この点でも強度上有利になる。
【0018】
なお、上記の構造部材1を自動車のメンバーやピラー等の部材として用いる場合、構造部材1には、軽量性が強く望まれる場合を除いて、高強度で成形しやすく且つ溶接性に優れて低コストである炭素鋼を用いるのがよい。また、構造部材1の厚さ(肉厚)は、薄くては強度が不足し、厚くては成形し難く且つ重量が大きくなるので、例えば1.4〜2.0mmの範囲とするのがよい。
【0019】
軽金属発泡体2の発泡金属2aには、低コストで充分な性能が得られるアルミニウムが良いが、それ以外に、SiやMg等の含有により強度を高めたアルミニウム合金を用いることもよい。薄板状部材3は、厚さが薄いと溶接時に溶け込みが不安定になるので好ましくなく、厚すぎても溶接強度が変わらずに重量が増すだけであるので、例えば0.2〜1.0mmの範囲とするのがよい。
【0020】
このように、構造部材1、軽金属発泡体2及び薄板状部材3の材料や肉厚を設定することにより、大きな重量増を伴わずにより高い衝撃エネルギ吸収特性や耐久性が得られることとなり、自動車用の衝撃エネルギ吸収用の部材としてより一層好適なものとなる。
【0021】
また、当該固定方法において、構造部材1と軽金属発泡体2を高密度エネルギ熱源で溶接するには、レーザ溶接、電子ビーム溶接及びプラズマアーク溶接などを用いることができ、とくに、生産性や溶接変形の面で総合的に優れているレーザ溶接が望ましい。溶接用のレーザには、主にCOレーザやYAGレーザ等があるが、とくに、吸収率が高く、ビーム径も絞れてエネルギ密度が高く、さらに光ファイバで伝送することや複雑部品でもロボット溶接することが可能である点で、YAGレーザがより望ましい。なお、溶接用の熱源としてエネルギ密度が低いものは、生産性が劣り、変形も大きくなるので好ましくない。
【0022】
さらに、当該固定方法において、より具体的な溶接の条件としては、とくに、構造部材1、軽金属発泡体2及び薄板状部材3の材質や厚さを先述の如く設定した場合、YAGレーザ出力を2〜6kW、ビーム径を0.2〜0.5mm、溶接速度を2〜8m/分とするのが望ましい。
【0023】
つまり、レーザ出力が大きいほど、又はビーム径が小さいほど、又は溶接速度が小さいほど、単位長あたりの入熱が大きくなり、溶け込みは深いものとなる。また、入熱が小さいと溶け込みが不足し、過大になると変形が大きくなったり溶け落ちが生じたりするなどの不具合が生じる。したがって、溶接条件は、構造部材1の外側から照射した高密度エネルギ熱源が内部の薄板状部材3を貫通するように、必要且つ充分な入熱となるべく、レーザ出力、ビーム径及び溶接速度を上記範囲から選択すればよい。
【0024】
なお、構造部材1と薄板状部材3とを溶接する際、薄板状部材3の全板厚が溶融しない溶接条件、すなわち溶融した構造部材1が直接軽金属発泡体2に接触しない溶接条件とすれば、軽金属発泡体2の空孔を形成するセル壁が破断する心配が無く、軽金属発泡体2の製造条件が制約されることが無い点で好ましい。
【0025】
次に、薄板状部材3において、溶融軽金属との密着性を向上させる処理としては、軽金属をコーティングする処理が挙げられる。つまり、薄板状部材3の少なくとも片面に、発泡金属2aと同材質の軽金属層を金属的にまたは機械的に結合した状態でコーティングしておくと、軽金属を溶融・発泡させたときによく濡れて結合させることができる。このとき、コーティング層は、厚い必要はなく、数10μmもあればよい。また、コーティングの方法や種類は、乾式でも湿式でも良く、とくに限定されるものではなく、発泡金属2aがアルミニウムの場合は、いわゆるアルミナイズ処理でよい。
【0026】
さらに、薄板状部材3において、溶融軽金属との密着性を向上させる処理としては、薄板状部材3に、溶融・発泡状態の軽金属が貫通可能な貫通穴を設ける処理が挙げられる。つまり、薄板状部材3に貫通穴を形成し、この薄板状部材3を溶融・発泡状態の軽金属の表面に配置して、貫通穴に軽金属が充填された状態にすれば、軽金属が凝固収縮した際に軽金属と貫通穴が機械的に係合し、発泡金属2aと薄板状部材3を密着させることができる。
【0027】
このとき、溶融・発泡状態の軽金属の表面には、空孔ではなく、皮膜状の溶融金属があるので、貫通穴に充填されるのは素材とほぼ同じ密度の軽金属となる。また、貫通穴の径が小さいと表面張力の大きな溶融金属は充填されず、貫通穴の径が大きいと軽金属の発泡部分が含まれるようになって、凝固収縮による密着力が低くなる。
【0028】
したがって、貫通穴の径は、例えば0.5〜5mmの範囲とするのがよい。また、薄板状部材3において貫通穴が占める面積率は、極端に小さくても大きくても密着力が不足するので、例えば5〜50%程度の範囲が好ましく、この際、軽金属の種類に依存することはない。この貫通穴は、穴は機械的に形成してもよいし、レーザ照射により形成してもよい。
面積率(%)=(穴面積の総和/薄片片面の表面積)×100
【0029】
さらに、薄板状部材3において、溶融軽金属との密着性を向上させる処理としては、薄板状部材3の表面を粗面化する処理が挙げられる。つまり、薄板状部材3の表面を粗くすることによっても、溶融・発泡状態の軽金属が凝固収縮するときに、表面の密度の高い部分が薄板状部材3の表面に機械的に食い込んだ状態になって、発泡金属2aと薄板状部材3を密着させることができる。
【0030】
このとき、薄板状部材3の表面粗さが小さいと当然密着力も小さいので、山から谷の深さを0.1mm以上とすることにより、密着力を安定させることができる。この薄板状部材3の表面を粗面化する手段としては、機械加工やショットブラスト等の機械的な方法や、エッチング等の化学的な方法を採用し得る。
【0031】
さらに、薄板状部材3において、溶融軽金属との密着性を向上させる処理としては、薄板状部材3を凹凸に成形する処理が挙げられる。つまり、図5に示すように、薄板状部材3の全体を凹凸の波形に成形することにより、溶融・発泡状態の軽金属が凝固収縮するときに、表面の密度の高い部分が薄板状部材3の表面に機械的に食い込んだ状態になって、発泡金属2aと薄板状部材3を密着させることができる。
【0032】
このとき、凹凸の深さHが小さいと密着力は安定せず、凹凸の深さHが大きいと、構造部材1中に充填したときに構造部材1との隙間が大きくなって、安定した溶接ができなくなる。したがって、凹凸の深さHの範囲は、0.1〜0.5mm程度の範囲とするのが望ましい。また、凹凸の頂部や底部の折れ角度αは、小さいと溶融した発泡金属が凹部に浸透し難く、大きいと発泡金属の食い込みが甘く充分な密着力を発揮しづらいため、例えば60〜120°の範囲とするのが好ましい。この凹凸を成形する手段としては、例えばプレスが用いられる。
【0033】
なお、当該固定方法において、薄板状部材3は、構造部材1と軽金属発泡体2との充分な接合強度を確保するのに必要な溶接箇所に対応して、数や形状を設定し、発泡金属2aの表面に配置すればよい。また、薄板状部材3は、溶接部とその周囲に対応する大きさであればよい。
【0034】
つまり、薄板状部材3は、その幅を広くすれば、熱影響が小さくなると共に、溶接部から外れる心配もなくなるが、当該薄板状部材3が鋼製である場合には、体積を大きくすると重量増になる。したがって、実際の薄板状部材3は、少なくとも溶接ビード幅の3倍程度の幅とするのが良く、これにより発泡金属2aとの密着部分への熱影響も小さくなり、機能として充分である。
【0035】
また、図1には、構造部材1の長手方向にわたって連続的に溶接Wをした場合を示したが、図1に示す如く発泡金属2の表面に帯状の薄板状部材3を配置し、又は発泡金属2の表面に短冊状の薄板状部材を所定間隔で配置して、構造部材1の長手方向にわたって断続的に(点線状に)溶接を行ってもよい。
【0036】
さらに、構造部材1の材質が、軽量化等の理由で軽金属であり、発泡金属と同材質の場合には、薄板状部材3同材質にすれば溶融・発泡状態の軽金属との密着性が得られるので、密着性を向上させる処理は不要となる。しかし、上記したように鋼製の構造部材1にアルミニウム製の軽金属発泡体2を固定する際には、薄板状部材3に密着性向上処理を施すことにより、異種金属同士の接合において充分な密着性が得られ、構造部材1と軽金属発泡体2の充分な接合強度の確保においてきわめて効果的である。
【0037】
【実施例】
図4(a)に示すように、500℃程度に加熱保温した型F内に、溶融したアルミニウム(約700℃)を注入し、Ca等の増粘剤及びTiH等の発泡剤を添加し且つ攪拌してアルミニウムを発泡させた。一方、厚さ0.7mm、幅10mm、長さ50mmの鋼製の薄板状部材13に密着性向上処理を施した後、この薄板状部材3を図4(b)に示す治具Jに仮止めし、治具Jとともに薄板状部材3を型F内の発泡アルミニウムAに浸漬して、発泡アルミニウムAに薄板状部材3を密着させた。
【0038】
次に、発泡アルミニウムAが凝固した後、図4(c)に示すように、そのブロックから幅50mm、長さ150mm、厚さ20mmの試験片(軽金属発泡体)12を切り出した。このとき、薄板状部材13は、図2に示すように、試験片12の幅方向に配置してある。
【0039】
こののち、試験片12に、厚さ1.6mm、幅50mm、長さ150mmの鋼板11を、薄板状部材3を被う状態で重ね代を50mmにして重合し、この重合部分の中心に沿って鋼板11の表面からYAGレーザを照射し、試験片12と鋼板11を溶接した。溶接条件は、レーザ出力5kW、ビーム径0.3mm、溶接速度3m/分とし、溶接方向は引っ張り方向に対して直角方向であり、溶接本数は1本である。
【0040】
なお、実施例1では、密着性向上処理として、薄板状部材13にアルミナイズ処理を施し、実施例2では、密着性向上処理として、薄板状部材13に、径3mmの貫通穴を面積率12%で形成し、実施例3では、密着性向上処理として、深さ0.3mm、底部の折れ曲がり角度が90度のV溝を機械加工により面積率20%で形成し、実施例4では、密着性向上処理として、深さ0.5mm、頂部と底部の折れ曲がり角度が90度の凹凸をプレス加工により全面に形成し、比較例1では、密着性向上処理をせずに、試験片12と鋼板を直接溶接した。
【0041】
そして、上記各実施例1〜4及び比較例1の各試験片12及び鋼板11を引っ張り試験に供して、破断強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004209526
【0043】
表1から明らかなように、実施例1〜4については、比較例1に比べて、大幅に高い引っ張り剪断強さが得られることを確認した。
【0044】
次に、厚さ1.6mm、長さ240mmの鋼板を80mm角のハット形状に成形し、内側に実施例1と同じ仕様の軽金属発泡体を充填した後、ハット形状の開放部分を厚さ1.6mm、長さ240mmの鋼板で覆い、フランジ部をスポット溶接して、内部に軽金属発泡体2を収容した試験片を作成した。
【0045】
その後、この試験片にYAGレーザを照射し、軽金属発泡体と鋼板を溶接して衝撃試験片を作成した。このとき、実施例5では、図1(c)に示すように、試験片の長手方向に3本の溶接を行い、実施例6では、図3に示すように、試験片の周方向に2本の溶接を行い、比較例2では、溶接を行わないものとした。そして、これらの試験片に、質量300kgwの鋼製ブロックを衝突時の速度が約7.6m/秒になるようにして長手方向から衝突させ、衝撃力を与えて吸収エネルギを計測した。表2に変位100mmまでの平均反力を示す。
【0046】
【表2】
Figure 2004209526
【0047】
表2に示すように、実施例5及び6については、比較例2に比べて平均反力が高い値を示し、エネルギ吸収性能が優れていること明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法を工程順に示す各々斜視説明図(a)〜(c)である。
【図2】実施例1〜4及び比較例1の試験片及び鋼板を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
【図3】実施例6の衝撃試験片を説明する斜視図である。
【図4】軽金属発泡体の作成過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図5】密着性向上処理の一例として凹凸に成形した薄板状部材の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空状構造部材
2 軽金属発泡体
3 薄板状部材

Claims (8)

  1. 中空状の構造部材の内部に軽金属発泡体を固定するに際し、構造部材と同じ材質を含む薄板状部材の少なくとも片面に、溶融軽金属との密着性を向上させる処理を施した状態で、薄板状部材と溶融・発泡状態の軽金属とを接触させることにより、表面の少なくとも一部に薄板状部材を密着させた軽金属発泡体を形成し、この軽金属発泡体を構造部材の内部に配した後、構造部材の外側から高密度エネルギ熱源を照射して、構造部材と薄板状部材を溶接することを特徴とする中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  2. 溶融軽金属との密着性を向上させる処理として、薄板状部材の少なくとも片面に、軽金属をコーティングすることを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  3. 溶融軽金属との密着性を向上させる処理として、薄板状部材に、溶融・発泡状態の軽金属が貫通可能な貫通穴を設けることを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  4. 溶融軽金属との密着性を向上させる処理として、薄板状部材の表面を粗面化することを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  5. 溶融軽金属との密着性を向上させる処理として、薄板状部材を凹凸に成形することを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  6. 構造部材が鋼製であると共に、軽金属がアルミニウム製であり、薄板状部材の厚さが0.2〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  7. 構造部材の厚さが1.4〜2.0mmであって、高密度エネルギ熱源として溶接用レーザを用い、レーザ出力が2〜6kW、ビーム径が0.2〜0.5mm、溶接速度が2〜8m/分の条件で溶接をすることを特徴とする請求項6に記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
  8. 構造部材が、衝撃エネルギ吸収を目的とする部材であって、衝撃負荷方向と同方向に溶接を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の中空状構造部材における軽金属発泡体の固定方法。
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