JP2004208467A - 多相交流回転電機搭載インバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを提供すること。
【解決手段】インバータ5の各相の下アーム素子54〜56の交流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの基板側の主電極)が、各相の交流冷却フィン102〜104に個別に固定され、各相の下アーム素子54〜56の直流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの表面側の主電極)が−冷却フィン100にそれぞれ接続される。このようにすれば、各下アーム素子を良好に冷却することができ、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを実現することができる。
【選択図】図8
【解決手段】インバータ5の各相の下アーム素子54〜56の交流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの基板側の主電極)が、各相の交流冷却フィン102〜104に個別に固定され、各相の下アーム素子54〜56の直流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの表面側の主電極)が−冷却フィン100にそれぞれ接続される。このようにすれば、各下アーム素子を良好に冷却することができ、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを実現することができる。
【選択図】図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多相交流回転電機搭載インバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流電源と多相交流回転電機の電機子巻線との間に電力授受可能に介設されて、この電機子巻線に多相交流電圧を印加するインバータを交流回転電機に一体化することにより、小型軽量化や配線損失の低減を図った多相交流回転電機搭載インバータが提案されている。
【0003】
このインバータは、通常では、それぞれトランジスタからなる相数分の上アーム素子(ハイサイド素子)と、それぞれトランジスタからなる相数分の下アーム素子(ローサイド素子)を有し、同一相の上アーム素子と下アーム素子の交流側主電極は直列接続されて電機子巻線の各端子に接続され、上アーム素子の直流側主電極は正側ライン(高位直流ラインをいう)を通じて直流電源の高位電極端子(以下、正側端子ともいう)に接続され、下アーム素子の直流側主電極は負側ライン(低位直流ラインをいう)を通じて直流電源の低位電極端子(以下、負側端子ともいう)に接続されている。インバータの各トランジスタは、コントローラからの制御信号によりスイッチングされて多相交流電圧を発生させ、多相交流回転電機を駆動したり(以下、電動駆動ともいう)、あるいは多相交流回転電機が発生する多相交流電圧を同期整流したり(以下、同期整流駆動ともいう)する。
【0004】
上アーム素子及び下アーム素子は、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBTなどにより構成されるが、逆並列接続ダイオードを持たないバイポーラトランジスタ、IGBTを採用する場合には、接合ダイオードをそれらと逆並列接続するのが通常である。
【0005】
これら上アーム素子及び下アーム素子を構成するこれらのトランジスタとしては、多数キャリヤ電荷が電子であるタイプのものが、抵抗損失低減及び素子コスト低減の点で採用される。すなわち、MOSトランジスタにおいてはnチャンネルMOSトランジスタを、バイポーラトランジスタにおいてはnpnトランジスタを、IGBTにおいては絶縁ゲート付きのnpnトランジスタを採用する以外の選択は現状ではありえない。
【0006】
上記した多相交流回転電機搭載インバータに関連する技術として、従来の従来の車両用交流発電機に搭載される三相全波整流回路(レクチファイア)がある。このレクチファイアは、三相交流回転電機の後端面に位置して互いに軸方向に所定間隔を隔てて配置され、それぞれ径方向かつ周方向に延在する略円弧状の正側プレート及び負側プレートを有し、各相の上アーム側のダイオードは、正側ラインをなす放熱部材兼用共通電極板である正側プレートに共通固定され、各相の下アーム側のダイオードは、負側ラインをなす放熱部材兼用共通電極板である負側プレートに共通固定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した多相交流回転電機搭載インバータにおいて、上記車両用交流発電機のレクチファイアと同様に、冷却機能及び集電機能(配線機能)を兼ねる円弧状の放熱部材兼用共通電極板(以下、冷却フィンともいう)により正側プレートと負側プレート(直流電源の低位電極端子に接続されるならば実際に接地されていなくてもよい)を構成し、これら二枚の冷却フィンをを軸方向にずらせて多相交流回転電機のハウジング端面近傍に配置すれば、多相交流回転電機搭載インバータの冷却機能及び集電機能を従来の車両用交流発電機と同様に良好に確保しつつ、その装置体格を従来の車両用交流発電機と同程度にコンパクト化できることが期待される。
【0008】
しかしながら、多相交流回転電機のインバータの上アーム素子を正側プレートに共通搭載し、その下アーム素子を負側プレートに共通搭載することは、現状では以下の理由により困難である。
【0009】
つまり、下アーム素子を構成するトランジスタは内部に耐圧層(いわゆるコレクタ耐圧層又はドレイン耐圧層)を有する半導体チップにより構成され、この耐圧層は半導体チップの基板の直上に形成される。したがって、トランジスタの多数キャリヤを電子とする場合、言い換えれば、nチャンネルMOSトランジスタ、npnトランジスタ、n型のエミッタ、コレクタを有するIGBT(n型のIGBT)を採用する場合、半導体チップの基板側の電極は下アーム素子の交流側主電極を構成するので、半導体チップの表面側の主電極が直流側主電極として負側プレートに接続されることになる。トランジスタの制御電極(ゲート電極又はベース電極)は半導体製造プロセス上、半導体チップの表面に形成する他はないので、結局、各相の下アーム素子を構成するトランジスタの直流側主電極を負側プレートに密着接合すると、この直流側主電極に隣接して半導体チップの表面に形成される制御電極も負側プレートに密着接合されてしまい、外部に取り出すことが困難になってしまうため、各相の下アーム素子をなすトランジスタを良好な放熱を確保しつつ負側プレートに共通固定することが困難となる。つまり、多相交流回転電機搭載インバータでは、車両用交流発電機のレクチファイアのように2枚の冷却フィンの一方に各相の上アーム素子を、他方に各相の下アーム素子を固定するという冷却集電構造を採用することができない。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを提供することをその目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の多相交流回転電機搭載インバータは、相数の整数倍の上アーム素子と、相数の整数倍の下アーム素子とを有し、同一相の前記上アーム素子と前記下アーム素子の交流側主電極は、接続されて多相交流回転電機の電機子巻線の相端子に接続され、前記上アーム素子の直流側主電極は、正側ラインを通じて直流電源の正側端子に接続され、前記下アーム素子の直流側主電極は、負側ラインを通じて前記直流電源の負側端子に接続され、前記上アーム素子及び下アーム素子はそれぞれ、電子を主要なキャリア電荷とするトランジスタをなす半導体チップ又は半導体モジュールを含む多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記正側ラインは、前記多相交流回転電機のハウジングの端壁近傍に位置して略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する+冷却フィンからなり、前記負側ラインは、前記+冷却フィンから軸方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する−冷却フィンからなり、前記各相の上アーム素子の直流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの半導体基板側の主面に設けられて、前記+冷却フィンの表面に互いに周方向へ所定間隔を隔てて共通固定され、前記各相の下アーム素子の交流側主電極は、下アーム素子用の半導体チップ又は半導体モジュールの基板側の主面に設けられて、前記−冷却フィンに沿いつつ前記−冷却フィン及び+冷却フィンから軸方向又は径方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に円弧状に延在する相数分の交流冷却フィンに個別に固定され、前記各交流冷却フィンは、ロータ軸心を中心として径方向に略等しく、かつ、周方向に所定ピッチ離れた位置に配置され、前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに接続され、前記各相の上アーム素子及び下アーム素子の制御電極は、前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に形成されていることを特徴としている。
【0012】
すなわち、この発明によれば、各相の下アーム素子の交流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの基板側の主電極)が、各相の交流冷却フィンに個別に固定され、各相の下アーム素子の直流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの表面側の主電極)が、−冷却フィンにそれぞれ接続されている。
【0013】
このようにすれば、各下アーム素子を良好に冷却することができ、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを実現することができる。
【0014】
好適な態様において、前記各交流冷却フィンは、径方向又は軸方向において前記+冷却フィンと−冷却フィンとの間に配置されることを特徴とする。これにより、優れた冷却構造を確保しつつコンパクト化を実現することができる。
【0015】
好適な態様において、前記−冷却フィン及び+冷却フィンは、円弧状に形成されて、界磁コイル型の前記多相交流回転電機のブラシと軸方向に重なり、周方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。このようにすれば、界磁コイル型の多相交流回転電機の軸長を短縮することができる。
【0016】
好適な態様において、前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに共通固定され、前記各相の上アーム素子の交流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記各交流冷却フィンに個別に固定されていることを特徴とする。このようにすれば、各上アーム素子及び各下アーム素子の両主面を、冷却フィンに接合しているので、各上アーム素子及び各下アーム素子を良好に冷却することができる。
【0017】
好適態様において、前記各交流冷却フィンは、前記上アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記交流側主電極に隣接して設けられた前記各相の上アーム素子の制御電極を露出させる制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする。このようにすれば、制御電極への配線を確保しつつ、前記上アーム素子を+冷却フィンと交流冷却フィンとにより両面冷却することができるので、上アーム素子の冷却性を向上することができる。
【0018】
好適な態様において、前記−冷却フィンは、前記下アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記直流側主電極に隣接して設けられた前記各相の下アーム素子の制御電極を露出させる複数の制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする。このようにすれば、制御電極への配線を確保しつつ、前記下アーム素子を−冷却フィンと交流冷却フィンとにより両面冷却することができるので、下アーム素子の冷却性を向上することができる。
【0019】
好適な態様において、前記制御電極配線背面側取り出し用窓において前記上アーム素子又は下アーム素子の前記制御電極に接合される制御信号線と、前記制御信号線に密着する樹脂テープとを有するフレキシブル配線を有し、前記フレキシブル配線は、前記冷却フィンの主面に沿いつつ延設されることを特徴とする。このようにすれば、バンプなどを熱圧接するなどして、制御信号線と制御電極との接続を容易に実現できる。また、このフレキシブル配線にその他の通信線を設けることにより、各線を一括して接続することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の多相交流回転電機搭載インバータの好適な態様を図面を参照して以下に説明する。
(車両用交流発電機1)
図1において、車両用発電電動機1は、三相界磁コイル型同期機であって、ロータ2、ステータ3、ハウジング4、電源端子6、回転軸7、ブラシ8、スリップリング9、コネクタと一体のレギュレータ11を有し、インバータ5を搭載している。レギュレータ11は界磁電流を断続制御するが周知のため説明は省略する。
【0021】
ステータ3は、ステータコイル31と、ハウジング4の周壁内周面に固定されたステータコア32とを有し、ステータコイル31はステータコア32の各スロットに巻装されている。この種の同期機自体は周知である。なお、本発明は、その他の種類の同期機に採用されることができることはもちろんである。
【0022】
ロータ3は、ハウジング4に回転自在に支持された回転軸7に固定されたロータコア71と、ロータコア71に巻装された界磁コイル72とを有し、ステータ3の径内側に配置されている。ステータコイル31は三相電機子巻線であって、その三つの交流端子は、インバータ5の各交流端子に接続されている。界磁コイル72は、ブラシ8およびスリップリング9を通じて給電された界磁電流により磁化されて界磁磁界を発生する。界磁電流は、図示しないレギュレータにより調整される。
(インバータ5)
インバータ5は、図2に示すように、バッテリ10から給電されて、車両用発電電動機1のステータコイル31の各交流端子に三相交流電圧を印加する。
【0023】
51はU相上アーム素子、52はV相上アーム素子、53はW相上アーム素子、54はU相下アーム素子、55はV相下アーム素子、56はW相下アーム素子であり、それぞれMOSトランジスタにより構成されているが、ダイオード付きのバイポーラトランジスタ又はIGBTによっても構成できることはもちろんである。各トランジスタ51〜56は、直流側主電極と交流側主電極と制御電極(ゲート電極)とを有している。上アーム素子51〜53は、交流側主電極の電位V1〜V3を出力する端子(通信用電極)を有し、下アーム素子54〜56は、直流側主電極の電位V4〜V6を出力する端子(通信用電極)を有している。その他、ミラー電流検出、温度検出のための端子を追加してもよい。
【0024】
57は、ゲートコントローラであり、回転角センサ58からの信号や上記通信端子からの信号に基づいて各トランジスタのゲート電圧G1〜G6を作成して各トランジスタ51〜56のゲート電極すなわち制御電極に送る。なお、各相の交流電流を検出する電流センサを追加してもよい。59は平滑コンデンサである。この種のインバータ5自体はよく知られているため、これ以上の説明は省略する。
(インバータ5の構造)
インバータ5、特にそのトランジスタ51〜56の構造について以下に説明する。
【0025】
図1において、100は−冷却フィン、101は+冷却フィン、102はU相冷却フィン、106はステータコイル31から突出するその相端子(実際には3本であるが1本のみ図示)である。+冷却フィン101の一端には、電源端子6が固定され、−冷却フィン100の一端はモータハウジング4を通じて接地されている。
【0026】
−冷却フィン100は、モータハウジング4の後端壁に近接して径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなり、+冷却フィン101は、−冷却フィン100から軸方向に所定間隔離れて径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなり、U相冷却フィン102は、−冷却フィン100と+冷却フィン101との間に配置されて径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなる。U相冷却フィン102の周方向長は、−冷却フィン100、+冷却フィン101の周方向長の1/3以下とされている。その他、U相冷却フィン102と略同一形状をもつV相冷却フィン、W相冷却フィンが、U相冷却フィン102と軸方向同位置にて、互いに周方向異なる位置に順番に配置されている。U相冷却フィン102は、図1に示すように、U相端子106に接合され、同様に、V相冷却フィン、W相冷却フィンも、ステータコイル31から軸方向に突出する図示しないV相端子、W相端子に接合されている。
【0027】
−冷却フィン100及び+冷却フィン101は、ブラシ8と軸方向に重なる位置に設けられているが、円弧状に形成された冷却フィン100、101及び各相の冷却フィンは、ブラシ8及びその径方向外側に配置されたレギュレータ11と干渉しない周方向位置に配置されている。
【0028】
図1に示すように、MOSトランジスタチップからなるU相の上アーム素子51は、+冷却フィン101とU相冷却フィン102との間に配置されている。上アーム素子51の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子51の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてU相冷却フィン102に接合されている。後述するように、U相冷却フィン102には上アーム素子51を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G1)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0029】
同様に、MOSトランジスタチップからなるV相の上アーム素子52も、+冷却フィン101とV相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。上アーム素子52の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子52の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてV相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、V相冷却フィン(図1では図示せず)には上アーム素子52を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G2)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0030】
同様に、MOSトランジスタチップからなるW相の上アーム素子53も、+冷却フィン101とW相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。上アーム素子53の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子53の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてW相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、W相冷却フィン(図1では図示せず)には上アーム素子53を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G3)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0031】
図1に示すように、MOSトランジスタチップからなるU相の下アーム素子54は、−冷却フィン100とU相冷却フィン102との間に配置されている。下アーム素子54の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子54の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてU相冷却フィン102に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子54を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G4)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0032】
同様に、MOSトランジスタチップからなるV相の下アーム素子55は、−冷却フィン100とV相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。下アーム素子55の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子55の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてV相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子55を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G5)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0033】
同様に、MOSトランジスタチップからなるW相の下アーム素子56は、−冷却フィン100とW相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。下アーム素子56の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子56の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてW相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子56を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G6)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0034】
上記各MOSトランジスタチップ51〜56はNチャンネルMOSトランジスタが形成された半導体チップである。
【0035】
−冷却フィン100は直接又はスペーサ(図1では図示せず)を介してモータハウジング4の後端壁に固定されている。各交流端子としてのU相冷却フィン102、V相冷却フィン、W相冷却フィン、+冷却フィン101は、電気絶縁性のスペーサ(図1では図示せず)を介して−冷却フィン100に固定されている。各MOSトランジスタチップ51〜56は、上記接合の後、エポキシ樹脂などにより封止されている。
【0036】
結局、この実施例では、インバータ5の正側ラインを+冷却フィン101により構成している。すなわち、+冷却フィン101は、放熱部材兼用共通電極板となっている。また、インバータ5の負側ラインを−冷却フィン100により構成している。すなわち、−冷却フィン100は、放熱部材兼用共通電極板となっている。更に、インバータ5のU相配線の一部をU相冷却フィン102により構成し、同様に、V相配線、W相配線の各一部をV相冷却フィン、W相冷却フィンにより構成している。すなわち、各相の冷却フィンは放熱部材兼用共通電極板となっている。更に、これらの冷却フィンを、軸方向に互いに離れて3カ所に分置して、それぞれ径方向及び周方向に延設している。このような冷却フィン群の配置により、カバー12に設けた外気吸入孔(図示省略)からカバー12内に軸方向又は径内方向へ導入された外気は良好に各冷却フィンを冷却することができ、各冷却フィンを通じて各MOSトランジスタチップを冷却することができる。各冷却フィンを冷却した外気はモータハウジング4の後壁面に設けた外気流入孔からモータハウジング4内に導入される。この外気の流れはロータ2に設けたファン13により形成され、モータハウジング4の周壁に設けた排気孔から外部に排出される。
【0037】
このような開放冷却モータ構造の代わりにモータ及びインバータ5を密閉型とすることも可能である。この場合には、インバータ5の各冷却フィンは、水冷されるモータハウジング4に密着することができる。もちろん、この場合、−冷却フィン100を除く他の冷却フィンは絶縁フィルムを介してモータハウジング4に密着される。その他、水冷パイプやヒートパイプなどをこれら冷却フィンに直接密着することもできる。
【0038】
また、磁石式の同期機においては、レギュレータ11やブラシ8を省略することができるので、インバータ5の−冷却フィン100や+冷却フィン101は輪板状に形成することができる。
【0039】
(MOSトランジスタチップの配置)
上アーム素子51の配置を図3に示す。201は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される交流側主電極の領域であり、U相冷却フィン102に半田付けされている。202は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの基板側の主面に形成される直流側主電極の領域であり、+冷却フィン101に半田付けされている。203は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される制御電極の領域であり、ボンディングワイヤ204に接続されている。ボンディングワイヤ204は、U相冷却フィン102の溝部1021を貫通してU相冷却フィン102の裏側に取り出され、図示しないフレキシブルテープなどの配線によりコントローラ57に達している。この溝部1021には通信線をなすボンディングワイヤ(図3では図示せず)も貫通しており、この通信線をなすボンディングワイヤは、MOSトランジスタチップ51の制御電極の領域に隣接する電位V1検出領域に接合されている。ボンディングワイヤ以外にたとえば図4に示す窓貫通端子を用いてもよい。
【0040】
下アーム素子54の配置を図4に示す。201は、下アーム素子54をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される直流側主電極の領域であり、−冷却フィン100に半田付けされている。202は、下アーム素子54をなすMOSトランジスタチップの基板側の主面に形成される交流側主電極の領域であり、U相冷却フィン102にに半田付けされている。203は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される制御電極の領域であり、窓貫通端子205に半田付けされている。窓貫通端子205は、−冷却フィン100の孔部1022を貫通して−冷却フィン100の裏側に取り出され、図示しないバスバーなどの配線によりコントローラ57に達している。この孔部1022には通信線をなす窓貫通端子(図4では図示せず)も貫通しており、この通信線をなす窓貫通端子は、MOSトランジスタチップ51の制御電極の領域に隣接する電位V4を検出領域に接合されている。
【0041】
U相の上アーム素子51と下アーム素子54との配置を図5に示す。ただし、図5では、下アーム素子54の制御電極に接続される制御信号線205はボンディングワイヤとされている。各冷却フィン100〜102は同軸配置された円弧状の銅板により形成されている。
【0042】
図6に、下アーム素子をなすMOSトランジスタチップ54と−冷却フィン100との接合状態の一例を示す。窓部1022から、制御信号線をなすボンディングワイヤ205と、通信線をなすボンディングワイヤ206とが取り出されている。ボンディングワイヤ206は電位V4を伝送する。
【0043】
図7に、上アーム素子をなすMOSトランジスタチップ51とU相冷却フィン102との接合状態の一例を示す。溝部1021から、制御信号線をなすボンディングワイヤ204と、通信線をなすボンディングワイヤ207とが取り出されている。ボンディングワイヤ207は電位V1を伝送する。
【0044】
図8に、各冷却フィンの配置を示す。図8において、103はV相冷却フィン(交流冷却フィン)、104はW相冷却フィン(交流冷却フィン)であり、U相冷却フィン(交流冷却フィン)102とともに、軸方向等位置、周方向異なる位置に配置されている。
(変形態様)
なお、上記実施例の変形態様として、各下アーム素子の直流側主電極をなす半導体チップの表面電極を配線300により−冷却フィン100に接続しても良い(図9参照)。
【0045】
また、上記実施例では、上アーム素子51〜53と下アーム素子54〜56を半導体チップで構成したが、半導体チップの両主面に形成された一対の主電極にそれぞれ導体板を接合し、半導体チップの側面を樹脂モールドしてなる半導体モジュールとしてもよいことは当然であり、更に、半導体チップの表面側の主面に、上記導体板に隣接して制御電極用の導体板を接合してもよいことは当然である。
【0046】
コントローラ57やレギュレータ11をなす回路部品は−冷却フィン100上に実装することができ、レギュレータ11をこれら冷却フィンとインサート整形などにより一体形成することも可能である。更に、平滑コンデンサ59を扁平に形成し、その側面をモータハウジング4に固定するとともに、−冷却フィン100に固定することも可能である。
(変形態様)
上記した制御信号線や通信線を、ボンディングワイヤや端子を用いる代わりに、フレキシブル配線を用いて交流冷却フィンの窓から上アーム素子用の半導体チップの表面側の制御電極や通信電極に配線し、同様に、フレキシブル配線を用いて−冷却フィンの窓から下アーム素子用の半導体チップの表面側の制御電極や通信電極に配線することができる。
【0047】
−冷却フィンの窓にフレキシブル配線の先端を接続する態様を図10に示す。図10において、−冷却フィン100は窓をなす溝部161をもち、−冷却フィン100の一主面には下アーム素子をなす半導体チップ1000が接合されている。半導体チップ1000の制御電極領域1001には制御電極をなす導電パッド(図示せず)が露出している。2000はフレキシブル配線であり、樹脂テープ2001上には銅箔をパターニングして形成された多数の信号線が互いに並行に延設されている。2002は、これら信号線の一つである制御信号線であり、その先端部はハンダバンプ3000を介して半導体チップ1000の制御電極領域1001に存在する制御電極に熱圧接されている。他の信号線も同様に、半導体チップ1000の通信電極に熱圧接されている。フレキシブル配線2000は−冷却フィン100の主面(どちらがわでもよい)に沿いつつコントローラまで延設されている。このようにすれば、配線作業を簡素化することができる。なお、フレキシブル配線2000を−冷却フィン100の主面に接着してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインバータを搭載する多相交流回転電機の一例を示す軸方向断面図である。
【図2】図1のインバータの回路図である。
【図3】図1の上アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図4】図1の下アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図5】図1の上アーム素子及び下アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図6】図1の下アーム素子を示す部分径方向部分正面図である。
【図7】図1の上アーム素子を示す部分径方向部分正面図である。
【図8】各冷却フィンの配置を示す正面図である。
【図9】冷却フィン配置の変形態様を示す正面図である。
【図10】制御電極配線構造の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
51〜53 上アーム素子
54〜56 下アーム素子
1 車両用発電電動機(多相交流回転電機)
100 −冷却フィン
101 +冷却フィン
102 U相冷却フィン
204 ボンディングワイヤ(制御信号線)
205 端子(制御信号線)
206 ボンディングワイヤ(通信線)
1021 溝部(制御電極配線背面側取り出し用窓)
1022 孔部(制御電極配線背面側取り出し用窓)
【発明の属する技術分野】
本発明は、多相交流回転電機搭載インバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流電源と多相交流回転電機の電機子巻線との間に電力授受可能に介設されて、この電機子巻線に多相交流電圧を印加するインバータを交流回転電機に一体化することにより、小型軽量化や配線損失の低減を図った多相交流回転電機搭載インバータが提案されている。
【0003】
このインバータは、通常では、それぞれトランジスタからなる相数分の上アーム素子(ハイサイド素子)と、それぞれトランジスタからなる相数分の下アーム素子(ローサイド素子)を有し、同一相の上アーム素子と下アーム素子の交流側主電極は直列接続されて電機子巻線の各端子に接続され、上アーム素子の直流側主電極は正側ライン(高位直流ラインをいう)を通じて直流電源の高位電極端子(以下、正側端子ともいう)に接続され、下アーム素子の直流側主電極は負側ライン(低位直流ラインをいう)を通じて直流電源の低位電極端子(以下、負側端子ともいう)に接続されている。インバータの各トランジスタは、コントローラからの制御信号によりスイッチングされて多相交流電圧を発生させ、多相交流回転電機を駆動したり(以下、電動駆動ともいう)、あるいは多相交流回転電機が発生する多相交流電圧を同期整流したり(以下、同期整流駆動ともいう)する。
【0004】
上アーム素子及び下アーム素子は、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBTなどにより構成されるが、逆並列接続ダイオードを持たないバイポーラトランジスタ、IGBTを採用する場合には、接合ダイオードをそれらと逆並列接続するのが通常である。
【0005】
これら上アーム素子及び下アーム素子を構成するこれらのトランジスタとしては、多数キャリヤ電荷が電子であるタイプのものが、抵抗損失低減及び素子コスト低減の点で採用される。すなわち、MOSトランジスタにおいてはnチャンネルMOSトランジスタを、バイポーラトランジスタにおいてはnpnトランジスタを、IGBTにおいては絶縁ゲート付きのnpnトランジスタを採用する以外の選択は現状ではありえない。
【0006】
上記した多相交流回転電機搭載インバータに関連する技術として、従来の従来の車両用交流発電機に搭載される三相全波整流回路(レクチファイア)がある。このレクチファイアは、三相交流回転電機の後端面に位置して互いに軸方向に所定間隔を隔てて配置され、それぞれ径方向かつ周方向に延在する略円弧状の正側プレート及び負側プレートを有し、各相の上アーム側のダイオードは、正側ラインをなす放熱部材兼用共通電極板である正側プレートに共通固定され、各相の下アーム側のダイオードは、負側ラインをなす放熱部材兼用共通電極板である負側プレートに共通固定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した多相交流回転電機搭載インバータにおいて、上記車両用交流発電機のレクチファイアと同様に、冷却機能及び集電機能(配線機能)を兼ねる円弧状の放熱部材兼用共通電極板(以下、冷却フィンともいう)により正側プレートと負側プレート(直流電源の低位電極端子に接続されるならば実際に接地されていなくてもよい)を構成し、これら二枚の冷却フィンをを軸方向にずらせて多相交流回転電機のハウジング端面近傍に配置すれば、多相交流回転電機搭載インバータの冷却機能及び集電機能を従来の車両用交流発電機と同様に良好に確保しつつ、その装置体格を従来の車両用交流発電機と同程度にコンパクト化できることが期待される。
【0008】
しかしながら、多相交流回転電機のインバータの上アーム素子を正側プレートに共通搭載し、その下アーム素子を負側プレートに共通搭載することは、現状では以下の理由により困難である。
【0009】
つまり、下アーム素子を構成するトランジスタは内部に耐圧層(いわゆるコレクタ耐圧層又はドレイン耐圧層)を有する半導体チップにより構成され、この耐圧層は半導体チップの基板の直上に形成される。したがって、トランジスタの多数キャリヤを電子とする場合、言い換えれば、nチャンネルMOSトランジスタ、npnトランジスタ、n型のエミッタ、コレクタを有するIGBT(n型のIGBT)を採用する場合、半導体チップの基板側の電極は下アーム素子の交流側主電極を構成するので、半導体チップの表面側の主電極が直流側主電極として負側プレートに接続されることになる。トランジスタの制御電極(ゲート電極又はベース電極)は半導体製造プロセス上、半導体チップの表面に形成する他はないので、結局、各相の下アーム素子を構成するトランジスタの直流側主電極を負側プレートに密着接合すると、この直流側主電極に隣接して半導体チップの表面に形成される制御電極も負側プレートに密着接合されてしまい、外部に取り出すことが困難になってしまうため、各相の下アーム素子をなすトランジスタを良好な放熱を確保しつつ負側プレートに共通固定することが困難となる。つまり、多相交流回転電機搭載インバータでは、車両用交流発電機のレクチファイアのように2枚の冷却フィンの一方に各相の上アーム素子を、他方に各相の下アーム素子を固定するという冷却集電構造を採用することができない。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを提供することをその目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の多相交流回転電機搭載インバータは、相数の整数倍の上アーム素子と、相数の整数倍の下アーム素子とを有し、同一相の前記上アーム素子と前記下アーム素子の交流側主電極は、接続されて多相交流回転電機の電機子巻線の相端子に接続され、前記上アーム素子の直流側主電極は、正側ラインを通じて直流電源の正側端子に接続され、前記下アーム素子の直流側主電極は、負側ラインを通じて前記直流電源の負側端子に接続され、前記上アーム素子及び下アーム素子はそれぞれ、電子を主要なキャリア電荷とするトランジスタをなす半導体チップ又は半導体モジュールを含む多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記正側ラインは、前記多相交流回転電機のハウジングの端壁近傍に位置して略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する+冷却フィンからなり、前記負側ラインは、前記+冷却フィンから軸方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する−冷却フィンからなり、前記各相の上アーム素子の直流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの半導体基板側の主面に設けられて、前記+冷却フィンの表面に互いに周方向へ所定間隔を隔てて共通固定され、前記各相の下アーム素子の交流側主電極は、下アーム素子用の半導体チップ又は半導体モジュールの基板側の主面に設けられて、前記−冷却フィンに沿いつつ前記−冷却フィン及び+冷却フィンから軸方向又は径方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に円弧状に延在する相数分の交流冷却フィンに個別に固定され、前記各交流冷却フィンは、ロータ軸心を中心として径方向に略等しく、かつ、周方向に所定ピッチ離れた位置に配置され、前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに接続され、前記各相の上アーム素子及び下アーム素子の制御電極は、前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に形成されていることを特徴としている。
【0012】
すなわち、この発明によれば、各相の下アーム素子の交流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの基板側の主電極)が、各相の交流冷却フィンに個別に固定され、各相の下アーム素子の直流側主電極(nチャンネルMOSトランジスタでは半導体チップの表面側の主電極)が、−冷却フィンにそれぞれ接続されている。
【0013】
このようにすれば、各下アーム素子を良好に冷却することができ、優れた冷却集電構造を確保しつつ簡素な構造を有してコンパクト化が可能な多相交流回転電機搭載インバータを実現することができる。
【0014】
好適な態様において、前記各交流冷却フィンは、径方向又は軸方向において前記+冷却フィンと−冷却フィンとの間に配置されることを特徴とする。これにより、優れた冷却構造を確保しつつコンパクト化を実現することができる。
【0015】
好適な態様において、前記−冷却フィン及び+冷却フィンは、円弧状に形成されて、界磁コイル型の前記多相交流回転電機のブラシと軸方向に重なり、周方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。このようにすれば、界磁コイル型の多相交流回転電機の軸長を短縮することができる。
【0016】
好適な態様において、前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに共通固定され、前記各相の上アーム素子の交流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記各交流冷却フィンに個別に固定されていることを特徴とする。このようにすれば、各上アーム素子及び各下アーム素子の両主面を、冷却フィンに接合しているので、各上アーム素子及び各下アーム素子を良好に冷却することができる。
【0017】
好適態様において、前記各交流冷却フィンは、前記上アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記交流側主電極に隣接して設けられた前記各相の上アーム素子の制御電極を露出させる制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする。このようにすれば、制御電極への配線を確保しつつ、前記上アーム素子を+冷却フィンと交流冷却フィンとにより両面冷却することができるので、上アーム素子の冷却性を向上することができる。
【0018】
好適な態様において、前記−冷却フィンは、前記下アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記直流側主電極に隣接して設けられた前記各相の下アーム素子の制御電極を露出させる複数の制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする。このようにすれば、制御電極への配線を確保しつつ、前記下アーム素子を−冷却フィンと交流冷却フィンとにより両面冷却することができるので、下アーム素子の冷却性を向上することができる。
【0019】
好適な態様において、前記制御電極配線背面側取り出し用窓において前記上アーム素子又は下アーム素子の前記制御電極に接合される制御信号線と、前記制御信号線に密着する樹脂テープとを有するフレキシブル配線を有し、前記フレキシブル配線は、前記冷却フィンの主面に沿いつつ延設されることを特徴とする。このようにすれば、バンプなどを熱圧接するなどして、制御信号線と制御電極との接続を容易に実現できる。また、このフレキシブル配線にその他の通信線を設けることにより、各線を一括して接続することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の多相交流回転電機搭載インバータの好適な態様を図面を参照して以下に説明する。
(車両用交流発電機1)
図1において、車両用発電電動機1は、三相界磁コイル型同期機であって、ロータ2、ステータ3、ハウジング4、電源端子6、回転軸7、ブラシ8、スリップリング9、コネクタと一体のレギュレータ11を有し、インバータ5を搭載している。レギュレータ11は界磁電流を断続制御するが周知のため説明は省略する。
【0021】
ステータ3は、ステータコイル31と、ハウジング4の周壁内周面に固定されたステータコア32とを有し、ステータコイル31はステータコア32の各スロットに巻装されている。この種の同期機自体は周知である。なお、本発明は、その他の種類の同期機に採用されることができることはもちろんである。
【0022】
ロータ3は、ハウジング4に回転自在に支持された回転軸7に固定されたロータコア71と、ロータコア71に巻装された界磁コイル72とを有し、ステータ3の径内側に配置されている。ステータコイル31は三相電機子巻線であって、その三つの交流端子は、インバータ5の各交流端子に接続されている。界磁コイル72は、ブラシ8およびスリップリング9を通じて給電された界磁電流により磁化されて界磁磁界を発生する。界磁電流は、図示しないレギュレータにより調整される。
(インバータ5)
インバータ5は、図2に示すように、バッテリ10から給電されて、車両用発電電動機1のステータコイル31の各交流端子に三相交流電圧を印加する。
【0023】
51はU相上アーム素子、52はV相上アーム素子、53はW相上アーム素子、54はU相下アーム素子、55はV相下アーム素子、56はW相下アーム素子であり、それぞれMOSトランジスタにより構成されているが、ダイオード付きのバイポーラトランジスタ又はIGBTによっても構成できることはもちろんである。各トランジスタ51〜56は、直流側主電極と交流側主電極と制御電極(ゲート電極)とを有している。上アーム素子51〜53は、交流側主電極の電位V1〜V3を出力する端子(通信用電極)を有し、下アーム素子54〜56は、直流側主電極の電位V4〜V6を出力する端子(通信用電極)を有している。その他、ミラー電流検出、温度検出のための端子を追加してもよい。
【0024】
57は、ゲートコントローラであり、回転角センサ58からの信号や上記通信端子からの信号に基づいて各トランジスタのゲート電圧G1〜G6を作成して各トランジスタ51〜56のゲート電極すなわち制御電極に送る。なお、各相の交流電流を検出する電流センサを追加してもよい。59は平滑コンデンサである。この種のインバータ5自体はよく知られているため、これ以上の説明は省略する。
(インバータ5の構造)
インバータ5、特にそのトランジスタ51〜56の構造について以下に説明する。
【0025】
図1において、100は−冷却フィン、101は+冷却フィン、102はU相冷却フィン、106はステータコイル31から突出するその相端子(実際には3本であるが1本のみ図示)である。+冷却フィン101の一端には、電源端子6が固定され、−冷却フィン100の一端はモータハウジング4を通じて接地されている。
【0026】
−冷却フィン100は、モータハウジング4の後端壁に近接して径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなり、+冷却フィン101は、−冷却フィン100から軸方向に所定間隔離れて径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなり、U相冷却フィン102は、−冷却フィン100と+冷却フィン101との間に配置されて径方向及び周方向に延設される円弧状の銅輪板からなる。U相冷却フィン102の周方向長は、−冷却フィン100、+冷却フィン101の周方向長の1/3以下とされている。その他、U相冷却フィン102と略同一形状をもつV相冷却フィン、W相冷却フィンが、U相冷却フィン102と軸方向同位置にて、互いに周方向異なる位置に順番に配置されている。U相冷却フィン102は、図1に示すように、U相端子106に接合され、同様に、V相冷却フィン、W相冷却フィンも、ステータコイル31から軸方向に突出する図示しないV相端子、W相端子に接合されている。
【0027】
−冷却フィン100及び+冷却フィン101は、ブラシ8と軸方向に重なる位置に設けられているが、円弧状に形成された冷却フィン100、101及び各相の冷却フィンは、ブラシ8及びその径方向外側に配置されたレギュレータ11と干渉しない周方向位置に配置されている。
【0028】
図1に示すように、MOSトランジスタチップからなるU相の上アーム素子51は、+冷却フィン101とU相冷却フィン102との間に配置されている。上アーム素子51の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子51の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてU相冷却フィン102に接合されている。後述するように、U相冷却フィン102には上アーム素子51を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G1)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0029】
同様に、MOSトランジスタチップからなるV相の上アーム素子52も、+冷却フィン101とV相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。上アーム素子52の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子52の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてV相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、V相冷却フィン(図1では図示せず)には上アーム素子52を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G2)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0030】
同様に、MOSトランジスタチップからなるW相の上アーム素子53も、+冷却フィン101とW相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。上アーム素子53の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されて+冷却フィン101に接合されている。上アーム素子53の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されてW相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、W相冷却フィン(図1では図示せず)には上アーム素子53を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G3)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0031】
図1に示すように、MOSトランジスタチップからなるU相の下アーム素子54は、−冷却フィン100とU相冷却フィン102との間に配置されている。下アーム素子54の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子54の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてU相冷却フィン102に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子54を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G4)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0032】
同様に、MOSトランジスタチップからなるV相の下アーム素子55は、−冷却フィン100とV相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。下アーム素子55の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子55の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてV相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子55を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G5)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0033】
同様に、MOSトランジスタチップからなるW相の下アーム素子56は、−冷却フィン100とW相冷却フィン(図1では図示せず)との間に配置されている。下アーム素子56の直流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の表面側の主面に形成されて−冷却フィン100に接合されている。下アーム素子56の交流側主電極はMOSトランジスタチップ(半導体チップ)の基板側の主面に形成されてW相冷却フィン(図1では図示せず)に接合されている。後述するように、−冷却フィン100には下アーム素子56を構成するMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成されるその制御電極(ゲート電極G6)に制御信号線を接続するために、孔(図1では図示省略)が設けられている。
【0034】
上記各MOSトランジスタチップ51〜56はNチャンネルMOSトランジスタが形成された半導体チップである。
【0035】
−冷却フィン100は直接又はスペーサ(図1では図示せず)を介してモータハウジング4の後端壁に固定されている。各交流端子としてのU相冷却フィン102、V相冷却フィン、W相冷却フィン、+冷却フィン101は、電気絶縁性のスペーサ(図1では図示せず)を介して−冷却フィン100に固定されている。各MOSトランジスタチップ51〜56は、上記接合の後、エポキシ樹脂などにより封止されている。
【0036】
結局、この実施例では、インバータ5の正側ラインを+冷却フィン101により構成している。すなわち、+冷却フィン101は、放熱部材兼用共通電極板となっている。また、インバータ5の負側ラインを−冷却フィン100により構成している。すなわち、−冷却フィン100は、放熱部材兼用共通電極板となっている。更に、インバータ5のU相配線の一部をU相冷却フィン102により構成し、同様に、V相配線、W相配線の各一部をV相冷却フィン、W相冷却フィンにより構成している。すなわち、各相の冷却フィンは放熱部材兼用共通電極板となっている。更に、これらの冷却フィンを、軸方向に互いに離れて3カ所に分置して、それぞれ径方向及び周方向に延設している。このような冷却フィン群の配置により、カバー12に設けた外気吸入孔(図示省略)からカバー12内に軸方向又は径内方向へ導入された外気は良好に各冷却フィンを冷却することができ、各冷却フィンを通じて各MOSトランジスタチップを冷却することができる。各冷却フィンを冷却した外気はモータハウジング4の後壁面に設けた外気流入孔からモータハウジング4内に導入される。この外気の流れはロータ2に設けたファン13により形成され、モータハウジング4の周壁に設けた排気孔から外部に排出される。
【0037】
このような開放冷却モータ構造の代わりにモータ及びインバータ5を密閉型とすることも可能である。この場合には、インバータ5の各冷却フィンは、水冷されるモータハウジング4に密着することができる。もちろん、この場合、−冷却フィン100を除く他の冷却フィンは絶縁フィルムを介してモータハウジング4に密着される。その他、水冷パイプやヒートパイプなどをこれら冷却フィンに直接密着することもできる。
【0038】
また、磁石式の同期機においては、レギュレータ11やブラシ8を省略することができるので、インバータ5の−冷却フィン100や+冷却フィン101は輪板状に形成することができる。
【0039】
(MOSトランジスタチップの配置)
上アーム素子51の配置を図3に示す。201は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される交流側主電極の領域であり、U相冷却フィン102に半田付けされている。202は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの基板側の主面に形成される直流側主電極の領域であり、+冷却フィン101に半田付けされている。203は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される制御電極の領域であり、ボンディングワイヤ204に接続されている。ボンディングワイヤ204は、U相冷却フィン102の溝部1021を貫通してU相冷却フィン102の裏側に取り出され、図示しないフレキシブルテープなどの配線によりコントローラ57に達している。この溝部1021には通信線をなすボンディングワイヤ(図3では図示せず)も貫通しており、この通信線をなすボンディングワイヤは、MOSトランジスタチップ51の制御電極の領域に隣接する電位V1検出領域に接合されている。ボンディングワイヤ以外にたとえば図4に示す窓貫通端子を用いてもよい。
【0040】
下アーム素子54の配置を図4に示す。201は、下アーム素子54をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される直流側主電極の領域であり、−冷却フィン100に半田付けされている。202は、下アーム素子54をなすMOSトランジスタチップの基板側の主面に形成される交流側主電極の領域であり、U相冷却フィン102にに半田付けされている。203は、上アーム素子51をなすMOSトランジスタチップの表面側の主面に形成される制御電極の領域であり、窓貫通端子205に半田付けされている。窓貫通端子205は、−冷却フィン100の孔部1022を貫通して−冷却フィン100の裏側に取り出され、図示しないバスバーなどの配線によりコントローラ57に達している。この孔部1022には通信線をなす窓貫通端子(図4では図示せず)も貫通しており、この通信線をなす窓貫通端子は、MOSトランジスタチップ51の制御電極の領域に隣接する電位V4を検出領域に接合されている。
【0041】
U相の上アーム素子51と下アーム素子54との配置を図5に示す。ただし、図5では、下アーム素子54の制御電極に接続される制御信号線205はボンディングワイヤとされている。各冷却フィン100〜102は同軸配置された円弧状の銅板により形成されている。
【0042】
図6に、下アーム素子をなすMOSトランジスタチップ54と−冷却フィン100との接合状態の一例を示す。窓部1022から、制御信号線をなすボンディングワイヤ205と、通信線をなすボンディングワイヤ206とが取り出されている。ボンディングワイヤ206は電位V4を伝送する。
【0043】
図7に、上アーム素子をなすMOSトランジスタチップ51とU相冷却フィン102との接合状態の一例を示す。溝部1021から、制御信号線をなすボンディングワイヤ204と、通信線をなすボンディングワイヤ207とが取り出されている。ボンディングワイヤ207は電位V1を伝送する。
【0044】
図8に、各冷却フィンの配置を示す。図8において、103はV相冷却フィン(交流冷却フィン)、104はW相冷却フィン(交流冷却フィン)であり、U相冷却フィン(交流冷却フィン)102とともに、軸方向等位置、周方向異なる位置に配置されている。
(変形態様)
なお、上記実施例の変形態様として、各下アーム素子の直流側主電極をなす半導体チップの表面電極を配線300により−冷却フィン100に接続しても良い(図9参照)。
【0045】
また、上記実施例では、上アーム素子51〜53と下アーム素子54〜56を半導体チップで構成したが、半導体チップの両主面に形成された一対の主電極にそれぞれ導体板を接合し、半導体チップの側面を樹脂モールドしてなる半導体モジュールとしてもよいことは当然であり、更に、半導体チップの表面側の主面に、上記導体板に隣接して制御電極用の導体板を接合してもよいことは当然である。
【0046】
コントローラ57やレギュレータ11をなす回路部品は−冷却フィン100上に実装することができ、レギュレータ11をこれら冷却フィンとインサート整形などにより一体形成することも可能である。更に、平滑コンデンサ59を扁平に形成し、その側面をモータハウジング4に固定するとともに、−冷却フィン100に固定することも可能である。
(変形態様)
上記した制御信号線や通信線を、ボンディングワイヤや端子を用いる代わりに、フレキシブル配線を用いて交流冷却フィンの窓から上アーム素子用の半導体チップの表面側の制御電極や通信電極に配線し、同様に、フレキシブル配線を用いて−冷却フィンの窓から下アーム素子用の半導体チップの表面側の制御電極や通信電極に配線することができる。
【0047】
−冷却フィンの窓にフレキシブル配線の先端を接続する態様を図10に示す。図10において、−冷却フィン100は窓をなす溝部161をもち、−冷却フィン100の一主面には下アーム素子をなす半導体チップ1000が接合されている。半導体チップ1000の制御電極領域1001には制御電極をなす導電パッド(図示せず)が露出している。2000はフレキシブル配線であり、樹脂テープ2001上には銅箔をパターニングして形成された多数の信号線が互いに並行に延設されている。2002は、これら信号線の一つである制御信号線であり、その先端部はハンダバンプ3000を介して半導体チップ1000の制御電極領域1001に存在する制御電極に熱圧接されている。他の信号線も同様に、半導体チップ1000の通信電極に熱圧接されている。フレキシブル配線2000は−冷却フィン100の主面(どちらがわでもよい)に沿いつつコントローラまで延設されている。このようにすれば、配線作業を簡素化することができる。なお、フレキシブル配線2000を−冷却フィン100の主面に接着してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインバータを搭載する多相交流回転電機の一例を示す軸方向断面図である。
【図2】図1のインバータの回路図である。
【図3】図1の上アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図4】図1の下アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図5】図1の上アーム素子及び下アーム素子を示す径方向部分断面図である。
【図6】図1の下アーム素子を示す部分径方向部分正面図である。
【図7】図1の上アーム素子を示す部分径方向部分正面図である。
【図8】各冷却フィンの配置を示す正面図である。
【図9】冷却フィン配置の変形態様を示す正面図である。
【図10】制御電極配線構造の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
51〜53 上アーム素子
54〜56 下アーム素子
1 車両用発電電動機(多相交流回転電機)
100 −冷却フィン
101 +冷却フィン
102 U相冷却フィン
204 ボンディングワイヤ(制御信号線)
205 端子(制御信号線)
206 ボンディングワイヤ(通信線)
1021 溝部(制御電極配線背面側取り出し用窓)
1022 孔部(制御電極配線背面側取り出し用窓)
Claims (8)
- 相数の整数倍の上アーム素子と、相数の整数倍の下アーム素子とを有し、
同一相の前記上アーム素子と前記下アーム素子の交流側主電極は、接続されて多相交流回転電機の電機子巻線の相端子に接続され、
前記上アーム素子の直流側主電極は、正側ラインを通じて直流電源の正側端子に接続され、
前記下アーム素子の直流側主電極は、負側ラインを通じて前記直流電源の負側端子に接続され、
前記上アーム素子及び下アーム素子はそれぞれ、電子を主要なキャリア電荷とするトランジスタをなす半導体チップ又は半導体モジュールを含む多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記正側ラインは、前記多相交流回転電機のハウジングの端壁近傍に位置して略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する+冷却フィンからなり、
前記負側ラインは、前記+冷却フィンから軸方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に延在して放熱部材兼用共通電極板を構成する−冷却フィンからなり、
前記各相の上アーム素子の直流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの半導体基板側の主面に設けられて、前記+冷却フィンの表面に互いに周方向へ所定間隔を隔てて共通固定され、
前記各相の下アーム素子の交流側主電極は、下アーム素子用の半導体チップ又は半導体モジュールの基板側の主面に設けられて、前記−冷却フィンに沿いつつ前記−冷却フィン及び+冷却フィンから軸方向又は径方向に所定間隔離れるとともに略径方向及び略周方向に円弧状に延在する相数分の交流冷却フィンに個別に固定され、
前記各交流冷却フィンは、ロータ軸心を中心として径方向に略等しく、かつ、周方向に所定ピッチ離れた位置に配置され、
前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに接続され、
前記各相の上アーム素子及び下アーム素子の制御電極は、前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に形成されていることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項1記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記各交流冷却フィンは、径方向又は軸方向において前記+冷却フィンと−冷却フィンとの間に配置されることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項1記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記−冷却フィン及び+冷却フィンは、円弧状に形成されて、界磁コイル型の前記多相交流回転電機のブラシと軸方向に重なり、周方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項1記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記各相の下アーム素子の直流側主電極は、下アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記−冷却フィンに共通固定され、
前記各相の上アーム素子の交流側主電極は、上アーム素子用の前記半導体チップ又は半導体モジュールの表面側の主面に設けられて前記各交流冷却フィンに個別に固定されていることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項4記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記各交流冷却フィンは、前記上アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記交流側主電極に隣接して設けられた前記各相の上アーム素子の制御電極を露出させる制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項4記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記−冷却フィンは、前記下アーム素子用の前記半導体チップ又は前記半導体モジュールの前記表面側の主面に前記直流側主電極に隣接して設けられた前記各相の下アーム素子の制御電極を露出させる複数の制御電極配線背面側取り出し用窓を有することを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項5又は6記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記制御電極配線背面側取り出し用窓において前記上アーム素子又は下アーム素子の前記制御電極に接合される制御信号線と、前記制御信号線に密着する樹脂テープとを有するフレキシブル配線を有し、
前記フレキシブル配線は、前記冷却フィンの主面に沿いつつ延設されることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。 - 請求項1記載の多相交流回転電機搭載インバータにおいて、
前記+冷却フィン及び−冷却フィンの少なくとも一方は、平板状に形成されていることを特徴とする多相交流回転電機搭載インバータ。
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JP2002377336A JP2004208467A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 多相交流回転電機搭載インバータ |
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2002
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