JP2004208112A - 無線通信システム、受信装置および情報受信方法 - Google Patents

無線通信システム、受信装置および情報受信方法 Download PDF

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Yukitoshi Sanada
幸俊 眞田
Yoshito Kitayama
吉人 北山
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Abstract

【課題】マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行う無線通信システムを提供することである。
【解決手段】送信装置1は、情報源11から送信対象データを読み出し、変調部12及びパルス生成部13にて、変調したパルスを生成する。そして、生成したパルスを、送信アンテナ14を介して、受信装置2に向けて送信する。一方、受信装置2は、送信装置1から送られたパルスを、受信アンテナ21を介して受信すると、受信したパルスを、復調部22にてマルチパス成分を排除する。つまり、フィルタ22aは、正常なパルスだけを通過させ、マルチパスによる遅延パルスを通過させない。そして、受信装置2は、フィルタ22aを通過したパルス波形を積分器22bにて積分し、判定部22cにて積分結果と閾値とを比較してデータを復調(復元)する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことのできる無線通信システム、受信装置および情報受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線通信の分野において、UWB(Ultra Wide Band)に代表される超広帯域を使った通信技術が注目されている。このような通信技術は、搬送波を用いずに、送信対象の情報をパルス(インパルス)に変換して直接送信することを特徴としている。
【0003】
具体的に、このようなパルスを用いる無線通信システムでは、図12(a)に示すような全長1n秒に満たないパルス(インパルス)が使用されている。つまり、送信側は、図12(b)に示すように、送信対象のデジタルデータ(0又は1)を、順次パルスに変換して送信する。
この際、データ値(0又は1)は、図13にそれぞれ示すように、適宜変調される。例えば、図13(a)に示すパルス位置変調方式では、パルスの位置により、データ値を表現する。また、図13(b)に示すパルス振幅変調方式では、パルスの振幅(パルスの有無)により、データ値を表現する。
【0004】
一方、送信されたパルスを受信する受信側では、受信したパルスに対してウィンドウ処理を行う。このウィンドウ処理とは、パルスの中心波形を取り出し、パルスの判定を行い、送信されたデータを復元する処理のことである。
つまり、受信側は、受信したパルスをウィンドウ処理し、送信側の変調方式に対応して、送信されたデータを復元する。
【0005】
また、このようなパルスを用いた無線通信に、直交多値変換を適用した伝送方式の技術も開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−325071号公報 (第6−9頁、第1図)
【0007】
この他にも、CDMA(Code Division Multiple Access)方式等による無線通信では、時間差を持って到着する信号を同相合成(RAKE合成)することにより、ダイバーシティ効果を得て、受信特性を向上させる技術が適用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した無線通信システムにおいて、マルチパスノイズ等の影響を受ける場合があるという問題があった。
【0009】
マルチパスノイズとは、送信されたパルスが、障害物による反射等により、遅れて届く遅延パルス(マルチパス成分)を含んでしまい、このマルチパス成分が受信側装置に影響を与えるものである。
例えば、パルス位置変調方式にて送信されるパルスを一例として説明すると、図14に示すように、データ値0のパルスにマルチパスノイズが生じた場合に、本来の位置(データ値0の位置)とは遅れた位置に、マルチパスによる遅延パルスが現れることとなる。そして、このような遅延パルスを受信した受信側装置は、データ値を誤って復元することとなる。
【0010】
つまり、受信側装置には、マルチパスノイズ等の影響を受ける場合があるという問題があった。
【0011】
この他にも、受信側装置の消費電力が大きくなってしまうという問題もある。
これは、受信側がパルスの判定を行うために、上述したウィンドウ処理を行うが、この際、きわめて幅の小さい(1n秒以下の)パルスに対処する必要があり、パルス幅の逆数の周期(数ギガHz)の動作が求められる。
また、パルスの判定を高精度に行うために、ウィンドウの中心をパルスの中心に合わせる位置合わせ処理も必要となる。この位置合わせ処理には、更に細かい動作(ピコ秒レベルの動作)が求められる。
【0012】
つまり、受信側装置は、極めて高速な動作を行う必要があり、その動作周波数に比例して、消費電力が上昇してしまうという問題があった。
【0013】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことのできる無線通信システム、受信装置および情報受信方法を提供することを第1の目的とする。
また、この発明は、消費電力を低減しつつ、適切な無線通信を行うことのできる無線通信システム、受信装置および情報受信方法を提供することを第2の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線通信システムは、
送信装置と受信装置との間で、搬送波を用いずに、パルスによって情報の送受信を行う無線通信システムであって、
前記送信装置は、
送信対象の情報に従って、位置変調若しくは、振幅変調したパルスを生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段が生成したパルスを前記受信装置に向けて送信する送信手段と、を備え、
前記受信装置は、
前記送信装置の前記送信手段が送信したパルスを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタ手段と、
前記フィルタ手段にてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分手段と、
前記積分手段が積分した結果と所定の閾値との関係に従って、前記送信装置から送信された情報を復元する復元手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、送信装置において、パルス生成手段は、位置変調若しくは、振幅変調したパルスを生成する。一方、受信装置において、フィルタ手段は、例えば、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有するフィルタに受信したパルスを通過させる。積分手段は、フィルタを通過したパルス(通過波形)について、例えば、波形全体に対する電圧の積分を行う。そして、復元手段は、積分手段が積分した結果と所定の閾値とを比較し、例えば、積分結果が閾値を超えている場合にパルスありと判定し、逆に、積分結果が閾値を超えていない場合に、パルスなしと判定することにより、送信装置から送信された情報を復元する。この結果、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。
【0016】
前記フィルタ手段は、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルスのみを通過させてもよい。
【0017】
前記フィルタ手段は、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルス及びマルチパスによる遅延パルスを通過させ、
前記積分手段は、RAKE合成により、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、パルス電圧を積分してもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る受信装置は、
送信装置から搬送波を用いずに、パルスによって送信された情報を受信する受信装置であって、
前記送信装置から位置変調若しくは、振幅変調されて送信されたパルスを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタ手段と、
前記フィルタ手段にてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分手段と、
前記積分手段が積分した結果と所定の閾値との関係に従って、前記送信装置から送信された情報を復元する復元手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、フィルタ手段は、例えば、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有するフィルタに受信したパルスを通過させる。積分手段は、フィルタを通過したパルス(通過波形)について、例えば、波形全体に対する電圧の積分を行う。そして、復元手段は、積分手段が積分した結果と所定の閾値とを比較し、例えば、積分結果が閾値を超えている場合にパルスありと判定し、逆に、積分結果が閾値を超えていない場合に、パルスなしと判定することにより、送信装置から送信された情報を復元する。この結果、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。
【0020】
前記フィルタ手段は、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルスのみを通過させてもよい。
【0021】
前記フィルタ手段は、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルス及びマルチパスによる遅延パルスを通過させ、
前記積分手段は、RAKE合成により、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、パルス電圧を積分してもよい。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る情報受信方法は、
送信装置から搬送波を用いずに、パルスによって送信された情報を受信する受信装置における情報受信方法であって、
送信装置から位置変調若しくは、振幅変調されて送信されたパルスを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて受信されたパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタステップと、
前記フィルタステップにてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分ステップと、
前記積分ステップにて積分された結果と所定の閾値との関係に従って、送信装置から送信された情報を復元する復元ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、フィルタステップは、例えば、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有するフィルタに受信したパルスを通過させる。積分ステップは、フィルタを通過したパルス(通過波形)について、例えば、波形全体に対する電圧の積分を行う。そして、復元ステップは、積分ステップにおける積分結果と所定の閾値とを比較し、例えば、積分結果が閾値を超えている場合にパルスありと判定し、逆に、積分結果が閾値を超えていない場合に、パルスなしと判定することにより、送信装置から送信された情報を復元する。この結果、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかる無線通信システムについて、以下図面を参照して説明する。なお、以下に説明する無線通信システムは、UWB(Ultra Wide Band)の無線技術が適用され、搬送波を用いずに、パルスにより無線通信するシステムである。
【0025】
なお、UWBとは、極めて広い周波数帯域(超広帯域)を使って通信する技術であり、搬送波を使わずに、インパルス(立ち上がりと立ち下がりの時間が極めて短い信号;例えば、1n秒以下)を使用して情報を送受信することが第1の特徴として挙げられる。
このインパルスを使用することによって、単位時間当たりに、より多くの情報(例えば、1ビットのデータ)を伝送可能となる。つまり、インパルスの幅が1n秒だとすると、1秒間に10億もの情報(例えば、1ギガビットのデータ)を伝えられることになる。
また、搬送波を用いずに、インパルスを用いるため、送信側の消費電力を低減できる。これは、搬送波を使う場合だと、送信側にて常に電波を発信し続けなければならないのに対し、インパルスを使うと、インパルスを発信するタイミングにだけ電圧等を印加すればよいため、送信側の消費電力の低減が図れることになる。
【0026】
また、UWBでは、超広帯域(例えば、500メガHz〜数ギガHz以上の帯域)を使用するが、これは、インパルスが多くの周波数成分で構成される波であるためである。つまり、インパルス状の信号を分解すると、幅広い周波数の正弦波の組合せとなる。
そして、インパルスの幅が狭くなるに従って、使用される帯域幅が広がる。言い換えると、帯域幅が広いほど、より多くのインパルス(幅の狭いインパルス)を送信できることになる。
このような極めて広い周波数帯域には、ノイズの影響を受けにくいという効果もある。例えば、ある周波数成分にノイズが発生したとしても、影響を受けるのは、インパルスを構成する周波数成分の一部に止まる。そして、受信側では、情報の受信(例えば、1ビットのデータ値の判別)に、ほとんど不都合がないことになる。
【0027】
図1は、この発明の第1の実施の形態に適用される無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。このシステムは、搬送波を用いずに、パルスにより無線通信するシステムであり、送信装置1と受信装置2とから構成される。
【0028】
図示するように、送信装置1は、送信対象のデータとなる情報源11と、所定の変調を行う変調部12と、全長1n秒以下のパルス(インパルス)を生成するパルス生成部13と、パルスを送信する送信アンテナ14とからなる。
なお、変調部12は、例えば、上述した図13(a)に示すようなパルス位置変調、若しくは、図13(b)に示すようなパルス振幅変調を施すものとする。
【0029】
一方、受信装置2は、送信されたパルスを受信する受信アンテナ21と、受信したパルスを復調する復調部22と、リファレンス用のパルスを生成する基準パルス源23とからなる。
【0030】
具体的に復調部22は、フィルタ22aと、積分器22bと、判定部22cとから構成される。
フィルタ22aは、予め定められた時間応答特性を有するフィルタであり、受信アンテナ21にて受信したパルスを、必要なタイミングにて通過させる。なお、フィルタ22aには、送信側のパルス変調方式に応じて、複数種類のフィルタが用いられる。
【0031】
例えば、送信装置1にて上述した図13(b)のパルス振幅変調が施されたパルスが送信される場合に、フィルタ22aは、図2(a)に示すように、パルスの到達が予想される幅Wでのみ応答し、パルスを通過させる。すなわち、上述の図14に示すようなマルチパスによる遅延パルスが続いて受信された場合でも、フィルタ22aは、遅延パルスを通過させない。
一方、送信装置1にて上述した図13(a)のパルス位置変調方式が施されたパルスが送信される場合に、フィルタ22aは、時間応答特性の異なる2つのフィルタをそれぞれ用いる。
つまり、図2(b)に示すように、データ値0のパルスの到達が予想される幅Wで応答するフィルタと、図2(c)に示すように、データ値1のパルスの到達が予想される幅Wで応答するフィルタとを用いる。
この場合、フィルタ22aは、受信アンテナ21にて受信したパルスを、図2(b),(c)に示す両方のフィルタにそれぞれ通す。つまり、データ値0のパルスは、図2(b)のフィルタを通過し、図2(c)のフィルタを通過しない。一方、データ値1のパルスは、図2(c)のフィルタを通過し、図2(b)のフィルタを通過しない。これらのフィルタでも、マルチパスによる遅延パルスが続いて受信された場合に、遅延パルスを通過させない。
【0032】
なお、フィルタ22aは、図2に示すような特性のフィルタに限られず、例えば、図3に示すような時間応答特性のフィルタであってもよい。
つまり、パルス振幅変調方式にて変調されたパルスに対して、フィルタ22aは、図3(a)に示すように、パルスの到達が予想される幅Wでのみ応答し、パルスを通過させる。
一方、パルス位置変調方式にて変調されたパルスに対して、フィルタ22aは図3(b),(c)に示すような、時間応答特性の異なる2つのフィルタをそれぞれ用いる。
つまり、図3(b)に示すように、データ値0のパルスの到達が予想される幅Wで応答するフィルタにて、データ値0のパルスだけを通過させ、図3(c)に示すように、データ値1のパルスの到達が予想される幅Wで応答するフィルタにて、データ値1のパルスだけを通過させる。これらのフィルタでも、マルチパスによる遅延パルスが続いて受信された場合に、遅延パルスを通過させない。
【0033】
上述したような、フィルタ22aは、例えば、図4(a)に示すような抵抗R1とコンデンサC1とを含んだRC回路に方形パルスを入力し、RC回路から出力される図4(b)に示すような三角波形を利用する。つまり、この三角波形を受信したパルスと組み合わせてフィルタとして用いる。
そして、図4(c)に示すように、フィルタと受信したパルスとを乗算し、積分器22bへ出力する。
【0034】
積分器22bは、フィルタ22aを通過したパルス(通過波形)について、波形全体に対する電圧の積分を行う。つまり、積分器22bは、図5に示すように、フィルタ22aから出力されたパルス電圧を積分し、積分結果を出力する。
【0035】
また、判定部22cは、積分器22bの出力結果と、予め定められた閾値とを比較し、パルスの有無を判定する。例えば、判定部22cは、図6(a)に示すように、積分器22bから出力される積分結果が閾値を超えている場合に、パルスありと判定する。逆に、図6(b)に示すように、積分結果が閾値を超えていない場合に、パルスなしと判定する。
【0036】
このような構成の復調部22は、送信装置1(変調部12)における変調方式に対応して、パルス波形に対して積分を行い、そして、パルスの有無の判定を行う。
例えば、送信パルスにパルス振幅変調が施されている場合に、復調部22は、図7(a)に示すように、パルスの到達が予想される範囲Rにて、受信波形の積分を行い、その値に対し閾値を設定し、比較することにより、パルスの有無を判定する。なお、パルスは、図2(a)や図3(a)に示すような時間応答特性を有するフィルタ22aを通過したものとする。
【0037】
一方、送信パルスにパルス位置変調が施されている場合に、復調部22は、図7(b),(c)に示すように、それぞれの範囲Rにて、受信波形の積分を行い、そして、パルスの有無を判定する。なお、パルスは、図2(b),(c)や図3(b),(c)に示すような時間応答特性を有するフィルタ22aを、データ値に応じて通過したものとする。
【0038】
そして、このようなパルスの有無の判定結果に従って、復調部22は、送信装置1から送信されたデータを復調(復元)する。
【0039】
以下、この発明の実施の形態にかかる無線通信システムの動作について、図8等を参照して説明する。
図8は、送信装置1における送信処理と、受信装置2における受信処理を説明するためのフローチャートである。なお、これらの処理は、例えば、送信装置1における送信開始指示に応答して開始される。
【0040】
まず、送信装置1は、情報源11から送信対象データ(例えば、デジタルデータ等)を読み出す(ステップS11)。そして、変調部12及びパルス生成部13にて、データ値(0又は1)が、パルス振幅変調方式、若しくは、パルス位置変調方式にて、順次パルスに変換され、変調されたパルス(インパルス)が生成される(ステップS12)。
送信装置1は、生成したパルスを、送信アンテナ14を介して、受信装置2に向けて送信する(ステップS13)。
【0041】
一方、受信装置2は、送信装置1から送られたパルスを、受信アンテナ21を介して、受信する(ステップS21)。
受信装置2は、受信したパルスにフィルタをかける(ステップS22)。すなわち、復調部22のフィルタ22aは、パルス振幅変調のパルスに対応して、図2(a)又は図3(a)に示すフィルタにパルスを通過させ、若しくは、パルス位置変調のパルスに対応して、図2(b),(c)又は図3(b),(c)に示すフィルタにパルスを通過させる。
この際、フィルタ22aは、マルチパスによる遅延パルスが続いて受信された場合でも、遅延パルスを通過させない。
【0042】
受信装置2は、フィルタ22aを通過したパルスの電圧を、復調部22にて積分する(ステップS23)。すなわち、復調部22の積分器22bは、図5に示すように、フィルタがかけられたパルス(通過波形)について、波形全体に対する電圧の積分を行う。
【0043】
そして、受信装置2は、復調部22にて、積分結果と閾値とを比較してデータを復調する(ステップS24)。すなわち、復調部22の判定部22cは、図6に示すように、積分器22bの出力結果と、予め定められた閾値とを比較し、パルスの有無を判定する。そして、パルスの有無の判定に従って、送信装置1から送られたデータを復調(復元)する。
【0044】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、受信装置2は、フィルタ22aにてマルチパス成分(マルチパスによる遅延パルス)を通過させずに、積分器22bにて正常なパルスだけを対象として積分し、判定部22cにてパルスの有無を判別できる。
この結果、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。
【0045】
また、受信装置2は、受信したパルス全体の範囲を積分し、その出力からパルスの有無を判別できるため、通常のパルス幅程度の動作周期で、復調動作が可能となる。
この結果、受信装置2は、あまり高速な動作が要求されないため、消費電力を低減することができる。
【0046】
上記の第1の実施の形態では、復調部22の判定部22cにて、予め定められた閾値に対してパルスの有無を判別したが、これを実際の利用環境(通信環境)に応じて変化させてもよい。
例えば、通信の初期段階において、送信装置1からテスト用のパルスを送信し、受信装置2にてこれを受け取る。その際、積分器22bから出力される電力値を、判定部22cにて測定し、この値を参考にして利用環境に応じた閾値を設定する。
【0047】
上記の第1の実施の形態では、復調部22のフィルタ22aに、図2や図3に示すような時間応答特性を有するフィルタを適用し、マルチパス成分を排除する(マルチパスによる遅延パルスを通過させない)場合について説明した。これに対し、マルチパス成分を含めたパルスを使って、パルスの有無を判別するようにしてもよい。
以下、この発明の第2の実施の形態に適用される無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
【0048】
なお、第2の実施の形態にかかる無線通信システム(送信装置1及び受信装置2)の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同一である。
つまり、送信装置1は、同様に、情報源11と、変調部12と、パルス生成部13と、送信アンテナ14とからなる。そして、送信装置1は、情報源11から読み出した送信対象データを、変調部12にて順次パルスに変換し、パルス位置変調、若しくは、パルス振幅変調したパルス(インパルス)を送信アンテナ14を介して受信装置2に向けて送信する。
【0049】
一方、受信装置2は、同様に、受信アンテナ21と、復調部22と、基準パルス源23とからなる。そして、復調部22は、同様に、フィルタ22aと、積分器22bと、判定部22cとから構成される。
なお、フィルタ22aは、上述の第1の実施の形態と異なり、マルチパスによる遅延パルスを含めたパルスを通過させる時間応答特性を有するフィルタである。なお、このフィルタ22aにも、送信側のパルス変調方式に応じて、複数種類のフィルタが用いられる。
【0050】
例えば、パルス振幅変調方式にて変調されたパルスが送信される場合に、フィルタ22aは、図9(a)に示すように、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される幅Wdでのみ応答し、正常なパルスだけでなく、マルチパスによる遅延パルスも通過させる。
一方、パルス位置変調方式にて変調されたパルスが送信される場合に、フィルタ22aは、時間応答特性の異なる2つのフィルタをそれぞれ用いる。
つまり、図9(b)に示すように、マルチパス成分を含めたデータ値0の到達が予想される幅Wdで応答するフィルタにて、データ値0のパルスだけでなく、遅延パルスも通過させ、また、図9(c)に示すように、マルチパス成分を含めたデータ値1の到達が予想される幅Wdで応答するフィルタにて、データ値1のパルスだけでなく、遅延パルスも通過させる。
【0051】
なお、フィルタ22aは、図9に示すような特性のフィルタに限られず、例えば、図10に示すような時間応答特性のフィルタであってもよい。
つまり、パルス振幅変調方式にて変調されたパルスに対して、フィルタ22aは、図10(a)に示すように、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される幅Wdでのみ応答し、パルスを通過させる。
一方、パルス位置変調方式にて変調されたパルスに対して、フィルタ22aは図10(b),(c)に示すような、時間応答特性の異なる2つのフィルタをそれぞれ用いる。
つまり、図10(b)に示すように、マルチパス成分を含めたデータ値0のパルスの到達が予想される幅Wdで応答するフィルタにて、データ値0のパルスだけでなく、遅延パルスを通過させ、また、図10(c)に示すように、マルチパス成分を含めたデータ値1のパルスの到達が予想される幅Wdで応答するフィルタにて、データ値1のパルスだけでなく、遅延パルスも通過させる。
【0052】
積分器22bは、同様に、フィルタ22aを通過したパルス(通過波形)について、波形全体に対する電圧の積分を行う。なお、積分器22bは、RAKE合成(同相合成)を用いて、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、パルス電圧を積分し、積分結果を出力してもよい。
【0053】
そして、判定部22cは、同様に、積分器22bの出力結果と、閾値とを比較し、パルスの有無を判定する。
【0054】
このような構成の第2の実施の形態にかかる無線通信システムにおいても、上述した図8に示す送信処理及び受信処理を実行することにより、送信装置1から送られたデータを受信装置2にて復調(復元)する。
その際、受信装置2は、フィルタ22aにてマルチパス成分も含んだパルスを通過させ、例えば、RAKE合成(同相合成)を用いて、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、積分器22bにて積分し、判定部22cにてパルスの有無を判別する。
この結果、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。
【0055】
また、受信装置2は、受信したパルス全体の範囲を積分し、その出力からパルスの有無を判別できるため、通常のパルス幅程度の動作周期で、復調動作が可能となる。
この結果、受信装置2は、あまり高速な動作が要求されないため、消費電力を低減することができる。
【0056】
上記の第2の実施の形態では、復調部22のフィルタ22aにて、予め定められた時間応答特性が設定されたフィルタを用いて、マルチパス成分を含めたパルスを通過させたが、これを実際の利用環境(通信環境)に応じて、フィルタの特性を変化させてもよい。
例えば、通信の初期段階において、送信装置1からテスト用のパルスを送信し、受信装置2にてこれを受け取る。その際、受信したパルスに対するマルチパスの状態を測定することで、図11(a),(b)に示すような利用環境に応じた特性のフィルタを使用できるようにしてもよい。
【0057】
上記の実施の形態では、UWBの無線技術が適用された無線通信システムについて説明したが、UWBに限られず、搬送波を用いずにパルスにより通信する無線通信システムに適宜適用可能である。
また、電磁波による無線通信に限定されるものではなく、例えば、赤外線等による無線通信にも適用してもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マルチパスノイズ等の影響を適切に排除した無線通信を行うことができる。また、本発明によれば、消費電力を低減しつつ、適切な無線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)共に、フィルタにおける時間応答特性の一例を示す模式図である。
【図3】(a)〜(c)共に、フィルタにおける他の時間応答特性の一例を示す模式図である。
【図4】(a)がRC回路の一例を示す回路図であり、(b)がRC回路から出力される三角波形の一例を示す模式図であり、(c)がフィルタの動作を説明するための模式図である。
【図5】積分器の動作を説明するための模式図である。
【図6】(a),(b)共に、復調部の判定動作を説明するための模式図である。
【図7】(a)〜(c)共に、復調部の判定動作を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る送信処理及び、受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】(a)〜(c)共に、本発明の第2の実施の形態に適用されるフィルタにおける時間応答特性の一例を示す模式図である。
【図10】(a)〜(c)共に、本発明の第2の実施の形態に適用されるフィルタにおける他の時間応答特性の一例を示す模式図である。
【図11】(a),(b)共に、本発明の第2の実施の形態の変形例となるフィルタの時間応答特性の一例を示す模式図である。
【図12】(a)がパルスについて説明するための模式図であり、(b)が送信データがパルスに変換される様子を説明するための模式図である。
【図13】(a)がパルス位置変調方式を説明するための模式図であり、(b)がパルス振幅変調方式を説明するための模式図である。
【図14】マルチパスによる遅延パルスを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1・・・送信装置、2・・・受信装置、11・・・情報源、12・・・変調部、13・・・パルス生成部、14・・・送信アンテナ、21・・・受信アンテナ、22・・・復調部、23・・・基準パルス源

Claims (7)

  1. 送信装置と受信装置との間で、搬送波を用いずに、パルスによって情報の送受信を行う無線通信システムであって、
    前記送信装置は、
    送信対象の情報に従って、位置変調若しくは、振幅変調したパルスを生成するパルス生成手段と、
    前記パルス生成手段が生成したパルスを前記受信装置に向けて送信する送信手段と、を備え、
    前記受信装置は、
    前記送信装置の前記送信手段が送信したパルスを受信する受信手段と、
    前記受信手段が受信したパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段にてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分手段と、
    前記積分手段が積分した結果と所定の閾値との関係に従って、前記送信装置から送信された情報を復元する復元手段と、を備える、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記フィルタ手段は、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルスのみを通過させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記フィルタ手段は、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルス及びマルチパスによる遅延パルスを通過させ、
    前記積分手段は、RAKE合成により、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、パルス電圧を積分する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 送信装置から搬送波を用いずに、パルスによって送信された情報を受信する受信装置であって、
    前記送信装置から位置変調若しくは、振幅変調されて送信されたパルスを受信する受信手段と、
    前記受信手段が受信したパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段にてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分手段と、
    前記積分手段が積分した結果と所定の閾値との関係に従って、前記送信装置から送信された情報を復元する復元手段と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  5. 前記フィルタ手段は、正常なパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルスのみを通過させる、
    ことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
  6. 前記フィルタ手段は、マルチパス成分を含めたパルスの到達が予想される範囲でのみ応答する時間応答特性を有し、正常なパルス及びマルチパスによる遅延パルスを通過させ、
    前記積分手段は、RAKE合成により、正常なパルスと遅延パルスとを合成した後に、パルス電圧を積分する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
  7. 送信装置から搬送波を用いずに、パルスによって送信された情報を受信する受信装置における情報受信方法であって、
    送信装置から位置変調若しくは、振幅変調されて送信されたパルスを受信する受信ステップと、
    前記受信ステップにて受信されたパルスを、予め定められた時間応答特性を有するフィルタに通過させるフィルタステップと、
    前記フィルタステップにてフィルタを通過したパルスの電圧を積分する積分ステップと、
    前記積分ステップにて積分された結果と所定の閾値との関係に従って、送信装置から送信された情報を復元する復元ステップと、
    を備えることを特徴とする情報受信方法。
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