JP2004207251A - 金属被覆超電導線の断面積比の調整方法および製造方法 - Google Patents

金属被覆超電導線の断面積比の調整方法および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属被覆超電導線における芯線部と金属被覆の断面積比を長さ方向に均一化するための調整方法およびそれにより均一化された金属被覆超電導線を提供する。
【解決手段】金属被覆超電導線の断面積比の長さ方向の分布は、芯線部に含まれる第1の材料の電気抵抗値と金属被覆層を構成する第2の材料の電気抵抗値に基づき、実際に測定した電気抵抗値から算出される。測定された分布に基づいて、電解研磨により超電導線の表層部を溶解することによって断面積比の均一化が行われる。
【選択図】 図6

Description

この発明は、金属被覆超電導線の芯線部と金属被覆の断面積比の測定方法、ならびに金属被覆超電導線の断面積比の調整方法および製造方法に関するものであり、特に、芯線部とこの芯線部を覆う金属被覆層とを有する金属被覆超電導線の断面積比を非破壊で測定し、断面積比を電解研磨により調整する方法および長さ方向に均一化する方法に関するものである。
芯線部が金属被覆層によって覆われてなる金属被覆超電導線のうち、たとえば、Cu被覆NbTi超電導線等の金属系の超電導線は、その超電導状態が破れた際の回路保護のため、銅または銅合金からなる安定化材に、超電導材料が埋込まれた構造をなす。この場合、単芯線については、超電導材料のみからなる芯線部と、この芯線部を覆う銅または銅合金からなる被覆層とを有する。一方、多芯線については、安定化材中に超電導材料が埋めこまれてなる芯線部と、この芯線部を覆う被覆層とを有する。
従来、このような構造の超電導線は、たとえば次のように製造されていた。
図13は、NbTi超電導単芯線の製造工程を示す流れ図である。また、図14〜図16は、NbTi超電導単芯線の製造工程の各段階を示す図であり、図14および図16は斜視図、図15は断面図である。
図13および図14を参照して、まず、原材料からNbTi合金ロッドを作製し、このNbTi合金ロッド1を、単芯線にとっての安定化材になる中空円筒形状の銅管3の中に詰込み、銅製の蓋5をして真空に引き、電子ビーム溶接により密封する。このようにして得られた超電導複合体を、ビレットという。このビレットは、単芯線の最終形状と、ほぼ相似な断面を有している。
次に、図15を参照して、このビレット7を、押出機9にかけて、線径を50〜30%にまで落とす。
続いて、図16を参照して、押出しによって得られた押出体11を、線引き機13にかけて最終線径まで細線化する。
次に、このようにして得られた超電導線の表面を清浄にする。この表面を清浄にする方法としては、一般に、表面を化学的に溶解する酸洗いが利用される。この酸洗いは具体的には、サプライ手段と巻取り手段の機構を有したラインの間に、酸の入った槽を設置し、線を走らせて連続的に酸に浸漬させ、その表面を溶解させることにより行なわれる。このときの溶解量は、酸の強度、酸に浸漬している時間(槽の長さとラインの線速)によって調整される。また、酸の種類としては、たとえば、Cu被覆超電導線の場合は、硫酸系の酸が用いられる。
このような洗浄の後、単芯の超電導線が得られる。
一方、図17は、NbTi超電導多芯線の製造工程を示す流れ図である。また、図18は、NbTi超電導多芯線の製造工程の1段階を示す斜視図である。
図17および図18を参照して、単芯線15をダイスにかけて六角形断面に成形して、切断、洗浄した後、必要本数をまとめて再び銅管3の中に詰込み、銅製の蓋5をして真空に引き、電子ビーム溶接により密封し、多芯ビレットを作製する。
次に、このビレットを、単芯線の製造の場合と同様に、熱間押出機にかけた後、さらに伸線および熱処理を繰り返し、撚線等を行なって、多芯の超電導線が得られる。
このようにして得られたCu被覆超電導線において、NbTi等の超電導材料に対するCuまたはCu合金の断面積比(Cu/SC断面積比)は、一般に銅比と呼ばれている。この銅比は、超電導線の安定性を示す重要な特性値であり、超電導線の使用用途によって細かく規定されている。
従来、この銅比、すなわち、Cu/SC断面積比は、たとえば、以下のようにして測定されていた。
まず、Cu複合超電導線の端部をサンプリングし、その重量を測定する。次に、このCu被覆超電導線のCuまたはCu合金からなる安定化材部を除去し、残った超電導材料部の重量を測定する。このように、サンプリングしたCu被覆超電導線について測定した全体重量および超電導材料部の重量から、Cu/SC断面積比を、計算により求めていた。
一方、この銅比の調整は、以下のように行なわれていた。すなわち、ビレットと呼ばれる超電導複合体は、最終目的である超電導線と相似な断面を有するとみなすことができる。そのため、ビレットを作製する際に、最終目的とする銅比と等しくなるように、銅管の厚さおよび充填する超電導材料の量を調整していた。
特開昭62−211357号公報 特開昭52−66389号公報
しかしながら、前述した超電導線の製造等においては、以下のような種々の問題点があった。
従来の方法で超電導線の銅比を測定する際には、測定部分をサンプリングして破壊的に測定するため、Cu被覆超電導線における端部のCu/SC断面積比しか測定できない、という問題点があった。
たとえば、製造されたCu被覆超電導線の品質管理として、このような従来の方法によってCu/SC断面積比を測定すると、端部での測定値が許容範囲に入らない場合は、この端部を含めた一定長さ部分を切断・除去しなくてはならない。そのため、歩留りが悪くなるという問題が生じる。特に、Cu被覆超電導線の端部は、Cu/SC断面積比が変動しやいす部分であるため、Cu被覆超電導線全体のCu/SC断面積比を、端部での測定値から推定することは、問題があると考えられていた。したがって、従来、実験としては、全長にわたって破壊検査をして銅比のばらつきが生じていることを把握していたが、製品検査としては利用できないため、実際の製品における線材の途中の銅比は測定できないという問題点があった。
また、従来の方法で超電導線の銅比を調整する際には、減面加工では最終目的である線材と相似な断面構造しか得られないため、銅比をビレット作製時に決定しておく必要があった。すなわち、銅比の異なる超電導線を製造するためには、それぞれ異なる銅比のビレットを作製する必要があるため、製造工程が煩雑になる、という問題点があった。
そして、従来の方法で超電導線を製造する際には、特にビレットを押出しする際、高圧の加わるダイス内で材料の不均一変形が生じ、製造された超電導線の銅比がばらついてしまうという問題があった。
このような銅比のばらつきは、以下のようなメカニズムで生じていると推測される。
図19〜図21は、押出時の超電導線の状態を示す断面図である。
図19を参照して、NbTi超電導材料が安定化材である銅中に埋めこまれてなる芯線部17が銅被覆部19により覆われてなるビレットを、押出ダイス21を用いて矢印23の方向へ押出する際には、芯線部17と銅被覆部19との強度差および位置関係のため、押出ダイス21内で押出初期に銅被覆部19がうまく内部の芯線部17と一緒に流れ込むことができない、という現象が生ずる。
そのため、図20に示すように、銅被覆部19は削られたように後へ送られてしまう。
そして、その後、図21に示すように、行き場を失った銅は、今度は超電導材料を押しのけて居座り、いわゆる銅たまり25ができてしまう。
図22は、押出後の超電導線の状態を示す長さ方向の断面図である。
図22を参照して、このような押出後の超電導線の銅被覆部19においては、銅が後へ追いやられたために薄くなっている部分29や、銅たまり25ができている。そのため、このような超電導線においては、その長さ方向に芯線部と銅被覆部との断面積比にばらつきが生じるため、結果として銅比のばらつきが生じていることになる。
銅比は、前述のように、その超電導線の使用用途ごとに厳しく規定されている。これは、製品の超電導状態が破壊されたとき、安定化材である銅に電流が流れ込むためである。そのため、目的の線径において長さ方向に銅比がばらついていると、以下のような問題が生ずる。
まず、銅比が低い場合には、銅の面積が少ないために、超電導状態破壊時に電流が銅の方に迂回することができず、線材が焼ける等の大トラブルになる可能性がある。また、銅比が低い場合には、超電導部分の面積が大きくなる。すなわち、超電導フィラメントの各々について目的の加工度が十分得られていないことになるため、必要な臨界電流値を満たさなくなる可能性がある。一方、銅比が高い場合には、肝心の超電導部分の面積が少ないことになるため、それ自体が必要な臨界電流値を満たさなくなる可能性がある。
この発明の目的は、金属被覆超電導線の超電導材料からなる芯線部と金属材料からなる被覆層との断面積比を伸線後に調整方法を提供すること、及び、当該調整方法を用いた金属被覆超電導線の製造方法ならびに製造された金属被覆超電導線を提供することにある。
本願発明は、超電導材料からなる少なくとも一つの芯線部が金属被覆層により覆われてなる金属被覆超電導線の断面積比の調整方法であって、金属被覆超電導線における芯線部と金属被覆層との長さ方向の断面積比の分布状態を測定するステップと、長さ方向に不均一な断面積比の分布状態に応じて、金属被覆超電導線の長さ方向における表層部の除去量を調節しながら、金属被覆超電導線の表層部を電解研磨によって除去するステップを備える、金属被覆超電導線の断面積比の調整方法を提供する。
好ましくは、電解研磨は、電解槽中の超電導線を陽極にし、電解槽中に置かれた金属を陰極として、電解液を電気分解することによって、陽極となる超電導線の表層部を溶解させるとよい。
また好ましくは、電解研磨は、電解槽を連続的に通過させるように超電導線を長さ方向に連続的に移動させることと、電解槽中の超電導線を陽極にし、電解槽中に置かれた金属を陰極として、電解液を電気分解することによって、陽極となる超電導線の表層部を溶解させることを含むとよい。
さらに好ましくは表層部の除去量の調節は、電解液にかける電流の大きさを変化させることによって行なわれるとよい。
また好ましくは、表層部の除去量の調節は、金属被覆超電導線の移動速度を変化させことによって行なわれても良い。
また、好ましくは、電解研磨後の金属被覆超電導線をさらに伸線して、金属被覆超電導線の線径を長さ方向に均一にするステップをさらに備えるとよい。
さらに、好ましくは、電解研磨による表層部の除去は、超電導線の芯線部と金属被覆層との断面積比が所定の値となるまで行なわれるとよい。
また、好ましくは、電解研磨による表層部の除去は、超電導線の表面の欠陥および付着した異物を除去し得るに十分なだけ行なわれるとよい。
また、好ましくは、電解研磨の際、超電導線の表面電流密度を、1〜200A/dm2 とするとよい。
好ましくは、金属被覆層は、亜鉛、アルミニウム、金、銀、クロム、錫、タングステン、鉄、銅およびニッケルからなる群から選ばれた金属またはその合金であるとよい。
また、この発明に用いる超電導線の電解研磨装置は、電解液を含む電解槽と、電解槽中を連続的に通過させるように表面が金属からなる超電導線を長さ方向に連続的に移動させる手段と、超電導線を陽極化する手段と、電解槽中に配置された陰極となる金属部材と、電解研磨によって超電導線の表層部を溶解させるために超電導線と金属部材との間に電位差を生じさせる手段とを備えている。
好ましくは、電解槽は、電解槽中を通過する超電導線を巻回させるためのローラーを備えるとよい。
また、好ましくは、超電導線を移動させる手段は、その速度を変更することができる手段を含むとよい。
さらに、好ましくは、電解液にかける電流量を変更することができる手段を含むとよい。
さらに、この発明によるさらに別の局面に従って、第1の材料を含む芯線部と、この芯線部を覆う第2の材料からなる金属被覆層とを有する金属被覆超電導線の、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を長さ方向に均一にする装置が提供される。第1の材料および第2の材料の電気抵抗値をそれぞれ予め記憶する手段と、所定長さ領域の金属被覆超電導線に電流を流すための1対の第1電極と、1対の第1電極の内側に置かれ所定長さ領域の金属被覆超電導線に発生する電圧を測定するための1対の第2電極と、付与した電流値と測定した電圧値とに基づいて所定長さ領域における金属被覆超電導線の電気抵抗値を算出する手段と、予め記憶した第1の材料および第2の材料の電気抵抗値と、実際に測定して算出した金属被覆超電導線の電気抵抗値とに基づいて、所定長さ領域における第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を算出する手段と、電解液を含む電解槽と、超電導線を陽極化する手段と、電解槽中に配置された陰極となる金属部材と、電解研磨によって超電導線の表層部を溶解させるために超電導線と金属部材との間に電位差を生じさせる手段と、断面積比の測定に続けて電解槽中を連続的に通過させるように超電導線を長さ方向に連続的に移動させる手段と、断面積比の測定結果に応じて超電導線の表層部を溶解する量を制御する手段とを備えている。
この発明に従えば、金属被覆超電導線の芯線部すなわち第1の材料からなる部分と、金属被覆層すなわち第2の材料からなる部分との断面積比を、非破壊で測定することができる。そのため、あらゆる位置での断面積比の測定が可能になり、また、連続的に測定することによって、超電導線の全長にわたっての分布の測定も可能になる。
したがって、たとえば、超電導線の製造における品質管理等にこの発明を利用すれば、不良部分を確定できるため、その部分を無駄なく除去することにより、製造における歩留りを向上させることができる。
さらに、この発明は、最終製品のみならず、製造工程途中の線径の金属被覆超電導線についても適用できる。そのため、この発明は、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比の均一な超電導線を製造するためにも、有効に利用することができる。
なお、この発明では、予め記憶しておいた第1の材料および第2の材料の電気抵抗値と、実際に測定された金属被覆超電導線の電気抵抗値とから、以下の式(1)に従って、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比が計算される。
断面積比={(R・S/ρSC)−L}/{L−(R・S/ρCu)} …(1)
ただし、R=V/{I・(1+α)(T−20)}、Vは測定電圧、Iは通電電流、αは20℃を基準とした場合の定質量抵抗温度係数(1/℃)、Tは線材温度、Sは線材断面積、Lは電圧タップ間長さ、ρSCは第1の材料の抵抗率、ρCuは第2の材料の抵抗率である。
以下、この式(1)について説明する。
金属被覆超電導線の抵抗をR、第2の材料の抵抗をRCu、第1の材料の抵抗をRSCとする。
複合材の場合、全体の抵抗は、それぞれの抵抗が並列につながっていると考えられる。したがって、以下の式[1]が成り立つ。
1/R=1/RCu+1/RSC
∴R=(RCu・RSC)/(RCu+RSC) …[1]
ここで、金属被覆超電導線の線材断面積をS、第2の材料からなる部分の断面積をSCu、第1の材料からなる部分の断面積をSSCとし、さらに、第2の材料からなる部分の第1の材料からなる部分に対する断面積比をXとすると、以下の式[2]、[3]が成り立つ。
X=SCu/SSC …[2]
S=SSC+SCu …[3]
一方、第2の材料の抵抗および第1の材料の抵抗は、それぞれの比抵抗をρCu、ρSCとすると、以下の式[4]、[5]のように書ける。
Cu=ρCu・(L/SCu) …[4]
SC=ρSC・(L/SSC) …[5]
ここで、Lは、タップ間長さであり、第2の材料からなる部分と第1の材料からなる部分に対して共通である。したがって、式[2]、[3]および式[4]、[5]から、次の式[6]、[7]が得られる。
Cu={ρCu・L(X+1)}/SX …[6]
SC={ρSC・L(X+1)}/S …[7]
ここで、式[6]、[7]を式[1]に代入すると、以下の式[8]が得られる。
R={L(X+1)・ρCu・ρSC}・{S(ρCu+X・ρSC)} …[8]
この式[8]より、上述の計算式(1)、すなわち、
X={(R・S/ρSC)−L}/{L−(R・S/ρCu)}
が得られる。
また、この発明に従えば、金属被覆超電導線の被覆層の表層部を電解研磨により溶解することによって、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を調整することができる。すなわち、電解研磨によれば、目的の溶解量を容易かつ均一に得ることが可能であるため、ある断面積比を有する金属被覆超電導線の表層部を溶解することにより、それより低い断面積比の超電導線に加工することができるようになる。そのため、製造工程中に断面積比を変更することが可能となるため、同じ出発材料から様々な用途の超電導線製品を製造することが可能となる。したがって、製造工程が簡略化される。
さらに、この発明に従えば、金属被覆超電導線の被覆層の表層部を電解研磨により溶解することによって、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を、長さ方向に均一にすることができる。すなわち、電解研磨によれば、目的の溶解量を容易かつ均一に得ることが可能であるため、金属被覆超電導線の断面積比を予め測定し、また規定の断面積比にするための溶解量を計算しておき、電解研磨の際、これらの測定値および計算値に応じて断面積比の高い部分は多く、逆に断面積比が低い部分は少なく被覆層の表層部を溶解することにより、断面積比を均一にすることができる。その結果、金属被覆超電導線の製造における歩留りが向上し、コストの低下が期待できる。
この溶解量の調整は、電解研磨において電解液にかける電流を変化させることにより、行なうことができる。すなわち、電流を大きくすれば溶解量は多くなり、逆に電流を小さくすれば溶解量が少なくなる。
また、溶解量の調整は、超電導線の移動速度を変化させることによっても行なうことができる。すなわち、金属被覆超電導線の移動速度を速くすれば、超電導線が電解液中を通過する時間が短くなるため、金属被覆層の溶解量は少なくなる。一方、超電導線の移動速度を遅くすれば、超電導線が電解液中を通過する時間が長くなるため、被覆層の溶解量は多くなる。
また、この発明に従えば、表面が金属からなる超電導線の表層部を電解研磨によって除去することにより、超電導線の表面を清浄にすることができる。すなわち、電解研磨を用いると、従来の酸洗い等と比べて、多くの外皮を溶解させることができ、かつ、目的の溶解量を容易にかつ均一に得ることができる。そのため、従来より短時間でより多くの外皮を効率的に溶解させることによって、表面に付着した異物を除去し、表面を滑らかに仕上げることができる。その結果、従来異物が原因で発生していた断線を防止することもできる。
このように、金属被覆超電導線の製造方法において、電解研磨を利用することによって、断面積比の調整、均一化または、表面の洗浄を行なうことができる。
また、電解研磨によって断面積比が均一となった金属被覆超電導線は、線径が長さ方向に不揃いになっている。そこで、この線径が不揃いの超電導線を、再度ダイス引きして伸線することにより、線径を均一にすることができる。
さらに、電解研磨の際、超電導線の表面電流密度を1〜200A/dm2 とすると、電解研磨の際、超電導線に表面上の起伏や多数の気泡状中空部分が発生することなく、金属被覆層を溶解することができる。
図1は、本発明による金属被覆超電導線の第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を非破壊で測定するための一例の測定装置の概略を示す図である。
図1を参照して、この測定装置は超電導線27に1対の第1電極29a,29bを介して一定の電流を通電するための定電流電源31と、1対の第2電極33a,33b間で発生する電圧を測定するための電圧計35とを備えている。なお、1対の第2電極33a,33bは、1対の第1電極29a,29bの内側に設けられている。電圧計35には、測定された電圧を電気抵抗値に換算し、さらに断面積比を連続的に計算するためのコンピュータ37が接続されている。また、この測定装置は、超電導線27の電圧を連続的に測定するため、サプライ手段39および巻取り手段41を備えている。
このように構成される測定装置を用いて、たとえばCu複合超電導線の全長銅比測定は、以下のようにして行なわれる。
まず、Cu複合超電導線27のCuまたはCu合金からなる安定化材部と超電導材料部の電気抵抗値を、それぞれ予め測定しておき、得られたデータをコンピュータ37に入力しておく。
次に、Cu複合超電導線27を、サプライ手段39から巻取り手段41へ連続的に巻換えながら、Cu複合超電導線27の電気抵抗値をその長さ方向に沿って連続的に測定する。このCu複合超電導線27の電気抵抗値の測定は、1対の第1電極29a,29bを介して、定電流電源31から定電流を通電し、1対の第2電極33a,33b間で発生する電圧を電圧計35により測定し、さらにコンピュータ37によって電気抵抗値に換算することによって行なわれる。
さらに、コンピュータ37では、予め入力されたCuまたはCu合金からなる安定化材部および超電導材料部の電気抵抗値と、上述のように連続的に測定されたCu複合超電導線27の電気抵抗値とに応答して、前述の式(1)に従って、Cu/SC断面積比を連続的に計算する。
このような測定方法により、実際に、外径3mmのCu複合超電導線約5000mの全長銅比を測定した。なお、測定は、100m間隔で、全長にわたって行なった。その結果を図2に示す。図2において、横軸は線材の長さ(m)を示し、縦軸はCu/SC断面積比を示している。
図2により明らかなように、このようにして、Cu複合超電導線のCu/SC断面積比の分布を、全長にわたって非破壊で測定できることがわかる。
したがって、たとえば、超電導線の製造における品質管理等にこの発明を利用すれば、不良部分を確定できるため、その部分を無駄なく除去することにより、製造における歩留りを向上させることができる。さらに、この発明は、最終製品のみならず、製造工程途中の線径の金属被覆超電導線についても適用できる。そのため、この発明は、Cu/SC断面積比の均一なCu複合超電導線を製造するためにも、有効に利用することができる。
なお、上述の実施例のように、サプライ手段と巻取り手段の機構を有したラインの間に、4端子法用の電極を設置しておき、線を走らせながら4端子法用の電極からある一定の電流を流して、その電圧を連続的に測定する場合、その測定頻度は、電極をローラー状にしておいてアナログ的に取込むようにするほか、ある一定の位置ごとに測定することも考えられる。
また、この測定装置は、Cu被覆超電導線のみならず、第1の材料を含む芯線部とこの芯線部を覆う第2の材料からなる金属被覆超電導線の、第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を非破壊で測定する場合にも、広く適用可能である。
図3は、この発明による金属被覆超電導線の電解研磨装置の一例を示す概略図である。
図3を参照して、この電解研磨装置は、電解液43を含む電解槽45と、超電導線27を陽極化する給電部49と、電解槽45中に配置された陰極となる金属部材51とを備え、超電導線27と金属部材51との間に電位差が生じるように構成されている。また、電解槽45中を連続的に通過させるように超電導線27を長さ方向に連続的に移動させるための、サプライ手段39および巻取り手段41を備えている。
このように構成された電解研磨装置を用いて、サプライ手段39に巻かれた超電導線27を、陽極となるように給電しながら、陰極の金属部材51を含む電解液43中に通す。すると、超電導線の外皮は、電気分解によって溶解する。このように溶解研磨された超電導線27を、巻取り手段41に巻換える。なお、これらの工程は、連続的に行なわれる。
なお、この場合、電解研磨による金属被覆層の溶解量は、電解液にかける電流の大きさおよび超電導線の移動速度によって制御することができる。
図4は、電解研磨において、電解液にかける電流の大きさと金属被覆層の溶解量との関係を示す図である。図4より、電流量が大きくなるほど、溶解量も大きくなる。
図5は、電解研磨において、超電導線の移動速度と金属被覆層の溶解量との関係を示す図である。図5より、超電導線の移動速度が速くなるほど、溶解量は小さくなる。
次に、この電解研磨装置を用いて、実際に、Cu被覆超電導線の銅比の調整を行なった。以下に、その具体例を示す。
(実施例1)
超電導線の製造段階において、銅比が1.00、線径が3mmの超電導単芯線1000mを、外皮片側の溶解量が50μmとなるように、図3に示す電解研磨装置を用いてリン酸浴中で電解研磨して、銅比を0.87にすることを目指した。
(比較例1)
超電導線の製造段階において、銅比が1.00、線径が3mmの超電導単芯線1000mを、外皮片側の溶解量が50μmとなるよう希硫酸で溶解させて、銅比を0.87にすることを目指した。
その結果、電解研磨を用いた実施例1の方法では、0.3時間の浸漬時間によって、全長を目標の0.87の銅比に仕上げることができた。しかし、比較例1では、3時間浸漬させたが、溶解させるに従って、酸の溶解能力が低下するため、全長を同じ銅比で仕上げることができなかった。また、酸溶解で同じ溶解量を得るためには、電解研磨に用いる酸の数十倍の量を必要とした。
(実施例2)
実施例1の超電導線を電解研磨により銅比を調整する際、超電導多芯線の表面電流密度を100A/dmとして、表面の銅外皮を溶解した。
(実施例3)
実施例1の超電導線を電解研磨により銅比を調整する際、超電導多芯線の表面電流密度を300A/dmとして、表面の銅外皮を溶解した。
このようにして作製された実施例2および実施例3の超電導線を比較した。その結果、実施例2の超電導線の銅溶解後の表面は、非常に滑らかであった。これに対して、実施例3の超電導線は、電解研磨の際の表面電流密度が高すぎるため、湯じわや巣が大量に発生してしまった。
(実施例4)
超電導線の製造段階において、銅比が1.00、線径が3mmの超電導単芯線1000mを外皮片側の溶解量が50μmとなるように、図3に示した電解研磨装置を用いて、リン酸浴中で電解研磨して、銅比を0.87にすることを目指した。なお、このとき、リン酸浴43中での超電導線27と金属部材51との距離は、5cmであった。
(実施例5)
超電導線の製造段階において、銅比が1.00、線径が12mmの超電導単芯線60mを外皮片側の溶解量が200μmとなるように、図3に示した電解研磨装置を用いて、リン酸浴中で電解研磨して、銅比を0.87にすることを目指した。なお、このとき、リン酸浴43中での超電導線27と金属部材51との距離は、5cmであった。
このようにして作製された実施例4および実施例5の超電導線を比較した。その結果、実施例4の超電導線は周方向に均一に溶解されているのに対して、実施例5の超電導線は周全体のマイナス電極からの距離を一定に保つことが困難なため、周方向に不均一に溶解してしまった。
以上のことから、電解研磨によれば、製造工程中に銅比の調整を短時間で行なうことができることがわかる。また、電解研磨の際には、超電導線の表面電流密度を1〜200A/dm2 とすることが好ましい。
また、超電導線の製造方法は、前述のように、原材料から製品まで数十の工程があるため、各ビレット間でそれまでの加工による差が生じることはかなりの頻度で想定される。銅比についても同様で、ロット内(1本の線の長さ方向で)のばらつきのほか、ロット間でのばらつきは非常に問題となることが多い。この発明によれば、伸線後の銅比のばらつきを修正することができるようになる。
なお、この電解研磨装置は、Cu被覆超電導線のみならず、芯線部とこの芯線部を覆う金属被覆層とを有する金属被覆超電導線の、芯線部と金属被覆層との断面積比を調整する場合にも、広く適用可能である。
この場合、適用可能な被覆層としては、亜鉛、アルミニウム、金、銀、クロム、錫、タングステン、鉄、銅、ニッケル等の電気伝導度の良い材料が考えられる。電解研磨のためにはある程度の表面電流密度が必要であり、電気伝導度の悪いものは、その際の発熱が伴う可能性があるからである。
また、電解液は、溶解する金属との相性によって異なるが、過塩素酸系、リン酸系、硫酸系、クロム酸系、硝酸系、水酸化ナトリウム系、水酸化カリウム系、シアン系等の酸が考えられる。たとえば、銅を溶解する場合には、リン酸系、硫酸系の酸が好ましい。
さらに、電解研磨工程は、金属被覆超電導線の製造工程中、いずれの段階で行なわれてもよい。
次に、この電解研磨装置を用いて、Cu被覆超電導線の表面の洗浄を行なった。以下にその具体例を示す。
(実施例6)
超電導線の製造段階において、異物除去のため、線径が3mmの超電導多芯線5000mを外皮片側の溶解量が30μmとなるように、図3に示す電解研磨装置を用いて、リン酸浴中で電解研磨した。その後、0.8mmまで伸線した。
(比較例2)
超電導線の製造段階において、異物除去のため、線径が3mmの超電導多芯線5000mの外皮片側の溶解量が3μmとなるように、希硫酸で溶解させた。その後、0.8mmまで伸線した。
その結果、実施例6の超電導線の製造における異物が原因の断線回数は1回であったのに対して、比較例2の超電導線の製造における異物が原因の断線回数は20回であった。これは、電解研磨は、酸溶解よりも多く溶解可能なために、より完全に異物除去されたためと考えられる。
なお、この電解研磨装置は、Cu被覆超電導線のみならず、表面が金属からなる超電導線の表面を清浄にする場合にも、広く適用可能である。
この場合、表面の金属としては、亜鉛、アルミニウム、金、銀、クロム、錫、タングステン、鉄、銅、ニッケル等の電気伝導度の良い材料が考えられる。電解研磨のためにはある程度の表面電流密度が必要であり、電気伝導度の悪いものは、その際の発熱が伴う可能性があるからである。
また、電解液は、溶解する金属との相性によって異なるが、過塩素酸系、リン酸系、硫酸系、クロム酸系、硝酸系、水酸化ナトリウム系、水酸化カリウム系、シアン系等の酸が考えられる。たとえば、銅を溶解する場合には、リン酸系、硫酸系の酸が好ましい。
さらに、電解研磨工程は、金属被覆超電導線の製造工程中、いずれの段階で行なわれてもよいが、洗浄の目的が伸線時の断線を抑えることにある場合は、断線が生じる可能性のある前に洗浄する方が効果的と考えられる。
次に、電解研磨を用いた金属被覆超電導線の断面積比の均一化方法について、図を用いて詳しく説明する。
図6は、この発明による金属被覆超電導線の第1の材料からなる部分と第2の材料からなる部分との断面積比を長さ方向に均一化するための電解研磨装置の一例を示す概略図である。
図6を参照して、この電解研磨装置は、図1に示す測定装置と図3に示す電解研磨装置とが組合わされて構成される。
すなわち、連続断面積比測定系として、超電導線27に1対の第1電極29a,29bを介して一定の電流を通電するための定電流電源31と、1対の第2電極33a,33b間で発生する電圧を測定するための電圧計35とを備えている。なお、1対の第2電極33a,33bは、1対の第1電極29a,29bの内側に設けられている。また、電解研磨系として、電解研磨液43を含む電解槽45と、超電導線27を陽極化する給電部49と、電解槽45中に配置された陰極となる金属部材51とを備え、超電導線27と金属部材51との間に電位差が生じるように構成されている。また、超電導線27の電圧を連続的に測定し、電解槽45中を連続的に通過させるように、超電導線27を長さ方向に連続的に移動させるための、サプライ手段39および巻取り手段41を備えている。
さらに、この装置においては、電圧計35に接続されたコンピュータ53は、測定された電圧を電気抵抗値に換算し、断面積比を連続的に計算するとともに、目的の断面積比とするための溶解量を計算して、超電導線の移動速度および電解液にかける電流量を算出し、算出された線速および電流量を指示する。
なお、目的の断面積比とするための溶解量は、以下の式(2)により求めることができる。ただし、溶解前の断面積比が、目標とする断面積比よりも大きいことが条件とされる。
(D/D={(1+C)/(1+C)} …(2)
(ただし、Dは電解前線径、Cは電解前断面積比、Dは目標線径、Cは目標断面積比とする。)
また、溶解量の経時的な調整は、予め、実験により電流、線速と研磨量の関係を求めておけば、どれだけ溶解したいかがわかれば、その製造条件を簡単に決めることができる。特に、長さ方向の断面積比を調整する目的で使用する場合は、目標溶解量から予め、線の位置と電流、線速の関係を計算しておいて、ラインでそれらをパターン制御するとよい。すなわち、ラインに線を走らせたときの線の位置を調尺カウンタから読込むことにより、経時的に制御することがきる。
さらに、断面積比の測定結果から、電解研磨の条件を設定する場合、具体的にはたとえば以下のように行なわれる。
まず、4端子法で一定の間隔に一定の電流を流して、「線の位置−電圧特性」データを測定した後、その値をコンピュータで計算して、「線の位置−電気抵抗特性」→「線の位置−断面積比特性」→「線の位置−必要な溶解量」→「線の位置−電流、線速値」を求め、そのパターンを電解研磨装置を制御するコンピュータに書込み、ラインを動かすと、自動的に電流量および線速が制御され、目標とする溶解量が得られる。
また、超電導線の電解液中への浸漬時間をかせぐためには、電解槽の長さを長くすることが必要となるが、超電導線を巻回させることにより、電解槽の長さ以上の超電導線を電解液に浸漬することが可能となる。
図7は、電解槽中の超電導線を巻回させる状態を示す平面図である。
図7を参照して、このように超電導線27をシーブローラー55によって何ターンも巻回させることによって、電解槽の長さ以上の長さの超電導線を、電解液中に浸漬させることが可能となる。
また、断面積比測定と研磨を同時に行なう装置とした場合、溶解後の線径測定データをフィードバックして溶解量の補正を行なう機構を取付けることが望ましいと考えられる。
次に、このように構成される電解研磨装置を用いて、たとえばCu被覆超電導線の銅比の均一化を行なった。以下に、その具体例を示す。
(実施例7)
まず、対辺距離が2.55mmの六角超電導単芯線を、外径307mm、内径251mmの銅管の中に、銅比が1.38となるように約8000本充填し、銅製の蓋をして密封し、ビレットを作製した。次に、このビレットを熱間押出して減面加工し、直径が80mmφの多芯超電導体を作製した。続いて、これを線引き加工を繰り返し、直径が2.9mmφになるまで伸線を行なった。
このようにして得られた超電導多芯線の銅外皮を、電解研磨により溶解して、銅比が1.25になるように調整した。
この電解研磨による銅比調整の方法について、以下に図面を参照して詳しく説明する。
図8〜図10は、銅比のばらついている超電導線を、電解研磨により均一な銅比となるように調整する製造工程図である。
図8は、上述の伸線加工までの工程によって得られた超電導多芯線の長さ方向の断面図である。
図8を参照して、この超電導多芯線は、超電導材料が安定化材である銅中に埋めこまれてなる芯線部17と銅外皮19とからなり、銅外皮19に対する芯線部17の断面積比は長さ方向に不均一になっているため、結果として銅比も長さ方向に不均一となっている。
まず、この超電導線の銅比分布を、以下のように、全長にわたって非破壊で測定した。
超電導線を、細くかつ全長はあまり長くならないサイズで、適当な長さの4端子電極に接触させながら巻換え、電気抵抗を測定した。この電気抵抗値を、予め求めておいた銅および超電導材料のそれぞれの電気抵抗値を使用して、両者の断面積比に換算した。このようにして、超電導線の銅比分布を連続的に測定することができた。すなわち、このような多芯線に本発明を適用した場合には、芯線部のうちの超電導材料からなる部分の断面積と、芯線部のうちの安定化材からなる部分および被覆層を構成する銅または銅合金の合計の断面積との比が測定できる。
次に、電解研磨により銅外皮を溶解した。
この際、電解研磨において電解液にかける電流量および超電導線の移動速度と、銅の溶解量との関係を、予め求めておく。この関係をもとにして、電解液にかける電流量および超電導線の移動速度を制御しながら電解研磨を行ない、銅外皮を銅比の高い部分を多く、逆に銅比の低い部分は少なく溶解した。
図9は、このようにして電解研磨が施された後の超電導線の長さ方向の断面図である。
図9を参照して、この超電導多芯線は、芯線部17と銅外皮59とからなり、銅比は長さ方向に均一となっている。
(比較例3)
まず、対辺距離が2.55mmの六角超電導単芯線を、外径307mm、内径251mmの銅管の中に、銅比が1.25となるように約8000本充填し、銅製の蓋をして密封し、ビレットを作製した。次に、このビレットを熱間押出して減面加工し、直径が80mmφの多芯超電導体を作製した。続いて、これを線引き加工を繰り返し、直径が2.9mmφになるまで伸線を行なった。
このようにして作製された実施例7および比較例3の超電導多芯線の最終の銅比分布を測定した。その結果を、図11および図12に示す。
図11は、実施例7の超電導多芯線について、長さ方向の銅比分布を示す図である。また、図12は、比較例3の超電導多芯線について、長さ方向の銅比分布を示す図である。図11および図12において、横軸は直径2.9mmφへの熱間押出し後の先頭からの長さ(m)を示し、縦軸は銅比を示している。
さらに、これらの測定結果から、実施例7および比較例3の超電導多芯線の銅比分布の最大値、最小値および平均値等を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2004207251
図11および図12および表1から明らかなように、実施例7の超電導多芯線は、比較例3の超電導多芯線と比べて、非常に均一な銅比分布を有していることがわかる。
なお、このように電解研磨により銅比を調整する際には、その効率を考慮して、線径が1〜4mm程度の超電導線について、その線径が1〜200μm程度小さくなるような銅溶解量を設定することが望ましい。
(実施例8)
電解研磨により銅比調整した実施例7の超電導多芯線は、その線径が、2.78mmから2.91mmまでばらついていた。
この線径にばらつきのある超電導多芯線2500mを、18%の減面率を有するダイス系列を用いて、再び伸線加工した。
図10は、このような伸線加工後の超電導線の長さ方向の断面図である。
図10を参照して、この超電導多芯線は、芯線部57と銅外皮59とからなり、銅比および線径は、長さ方向に均一となっている。
(実施例9)
上述のように線径にばらつきのある、実施例7の超電導多芯線2500mを、30%の減面率を有するダイス系列を用いて、再び伸線加工した。
このようにして作製された実施例8および実施例9の超電導多芯線について、加工中の断線の発生数を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2004207251
表2より明らかなように、実施例8の超電導線は、実施例9の超電導線と比べて、断線数が少なく、伸線性が良いことがわかる。
これらのことから、電解研磨による銅比調整後の超電導線を再び伸線して線径を均一とする際には、銅または銅合金の外皮が後部に流れたり断線が発生したりするのを防ぐために、ダイスの減面率を10〜25%とすることが望ましいと考えられる。
(実施例10)
実施例7の超電導多芯線を電解研磨により銅比を調整する際、超電導多芯線の表面電流密度を100A/dmとして、表面の銅外皮を溶解した。
(実施例11)
実施例7の超電導多芯線を電解研磨により銅比を調整する際、超電導多芯線の表面電流密度を300A/dmとして、表面の銅外皮を溶解した。
このようにして作製された実施例10および実施例11の超電導多芯線を比較した。その結果、実施例10の超電導多芯線の銅溶解後の表面は、非常に滑らかであった。これに対して、実施例11の超電導多芯線は、電解研磨の際の超電導線の表面電流密度が高すぎるため、湯じわや巣が大量に発生してしまった。
これらのことから、銅比を調整するために電解研磨を行なう際には、超電導線の表面電流密度を1〜200A/dmにすることが望ましいと考えられる。
以上の述べたように、本発明に従って製造された超電導線は、その長さ方向の銅比の均一性が確保される。したがって、製造における歩留りが向上し、コストの低下が期待できる。また、本発明によれば、銅比の均一になった超電導線をさらに伸線加工することにより、線径も均一となり、性能の高い超電導線が得られる。
なお、この電解研磨装置は、Cu被覆超電導線のみならず、芯線部とこの芯線部を覆う金属被覆層とを有する金属被覆超電導線の、芯線部と金属被覆層との断面積比を長さ方向に均一にする場合にも、広く適用可能である。
この場合、適用可能な被覆層としては、亜鉛、アルミニウム、金、銀、クロム、錫、タングステン、鉄、銅、ニッケル等の電気伝導度の良い材料が考えられる。電解研磨のためにはある程度の表面電流密度が必要であり、電気伝導度の悪いものは、その際の発熱が伴う可能性があるからである。
また、電解液は、溶解する金属との相性によって異なるが、過塩素酸系、リン酸系、硫酸系、クロム酸系、硝酸系、水酸化ナトリウム系、水酸化カリウム系、シアン系等の酸が考えられる。たとえば、銅を溶解する場合には、リン酸系、硫酸系の酸が好ましい。
さらに、電解研磨工程は、金属被覆超電導線の製造工程中、いずれの段階で行なわれてもよい。ただし、線径を揃えるためには、研磨後に再度伸線することが必要である。
本発明に用いる金属被覆超電導線の全長断面積比測定装置の一例を示す概略図である。 本発明により測定したCu被覆超電導線の全長銅比の測定結果を示す図である。 本発明に用いる金属被覆超電導線の電解研磨装置の一例を示す概略図である。 電解研磨において電流と溶解量との関係を示す図である。 電解研磨において、線速と溶解量との関係を示す図である。 本発明に用いる金属被覆超電導線の断面積比測定と電解研磨とを組合わせた装置の一例を示す概略図である。 超電導線を巻回させる状態を示す図である。 銅比のばらついている超電導線を、電解研磨により均一な銅比となるように調整する製造工程図である。 銅比のばらついている超電導線を、電解研磨により均一な銅比となるように調整する製造工程図である。 銅比のばらついている超電導線を、電解研磨により均一な銅比となるように調整する製造工程図である。 本発明により長さ方向の銅比を均一化した超電導多芯線の長さ方向の銅比分布の一例を示す図である。 従来の超電導多芯線について、長さ方向の銅比分布の一例を示す図である。 従来のNbTi超電導単芯線の製造工程を示す流れ図である。 従来のNbTi超電導単芯線の製造工程の各段階を示す図である。 従来のNbTi超電導単芯線の製造工程の各段階を示す図である。 従来のNbTi超電導単芯線の製造工程の各段階を示す図である。 従来のNbTi超電導多芯線の製造工程を示す流れ図である。 従来のNbTi超電導多芯線の製造工程の1段階を示す図である。 押出時の超電導線の状態を示す断面図である。 押出時の超電導線の状態を示す断面図である。 押出時の超電導線の状態を示す断面図である。 従来の押出後の超電導線の状態を示す長さ方向の断面図である。
符号の説明
1 NbTi合金ロッド
3 銅管
7 ビレット
9 押出機
11 押出体
13 線引き機
15 単芯線
17 芯線部
19 銅被覆部
27 Cu複合超電導線
29a,29b 第1電極
31 定電流電源
33a,33b 第2電極
35 電圧計
37 コンピュータ
39 サプライ手段
41 巻取り手段
43 電解液
45 電解槽
49 給電部
51 金属部材
53 コンピュータ
55 シーブローラ
57 芯線部
59 銅被覆層
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (6)

  1. 超電導材料からなる少なくとも一つの芯線部が金属被覆層により覆われてなる金属被覆超電導線の断面積比の調整方法であって、
    前記金属被覆超電導線における芯線部と金属被覆層との長さ方向の断面積比の分布状態を測定するステップと、
    長さ方向に不均一な断面積比の前記分布状態に応じて、前記金属被覆超電導線の長さ方向における表層部の除去量を調節しながら、前記金属被覆超電導線の表層部を電解研磨によって除去するステップを備える、金属被覆超電導線の断面積比の調整方法。
  2. 前記電解研磨は、
    電解槽を連続的に通過させるように前記金属被覆超電導線を長さ方向に連続的に移動させることを含む、請求項1記載の金属被覆超電導線の断面積比の調整方法。
  3. 前記表層部の除去量の調節は、電解液にかける電流の大きさを変化させることによって行なわれる、請求項1又は2に記載の金属被覆超電導線の断面積比の調整方法。
  4. 前記表層部の除去量の調節は、前記金属被覆超電導線の移動速度を変化させことによって行なわれる、請求項1又は2に記載の金属被覆超電導線の断面積比の調整方法。
  5. 前記電解研磨後の金属被覆超電導線をさらに伸線して、前記金属被覆超電導線の線径を長さ方向に均一にするステップをさらに備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属被覆超電導線の断面積比の調整方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の断面積比の調整方法を用いて長さ方向の断面積比を均一にするステップを備えることを特徴とする、金属被覆超電導線の製造方法。
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