JP2004207159A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定支持された加熱手段37と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体34と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップNを形成する加圧部材29と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材Pを挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、高温多湿環境下で、コシのない幅広の長尺紙を被加熱材として通紙した場合においても紙しわの発生をなくす事にある。
【解決手段】ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整すること。
【選択図】図2
【解決手段】ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整すること。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機・プリンター等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置として用いて好適な加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真プロセスの複写機・プリンター等の画像形成装置には、記録材上に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた未定着トナー画像を永久画像として定着させるための加熱装置としての加熱定着装置が搭載される。
【0003】
この加熱定着方式には、熱エネルギーのみを利用するラジアントフラッシュ定着やオーブン定着方式、熱エネルギーと圧力を利用する熱ローラー方式、フィルム加熱定着方式などがある。現在は、高速性と安全性から、熱圧力定着方式を用いたフィルム加熱定着方式が主流である。
【0004】
フィルム加熱定着方式の装置は、固定支持された加熱手段(加熱体)としての例えばセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)と、該ヒーターと摺動する摺動移動部材としての例えば耐熱性樹脂フィルム(以下、フィルムと記す)と、該フィルムを介して前記ヒーターに圧接してニップを形成する加圧部材としての弾性加圧ローラー(以下、加圧ローラーと記す)と、を有し、ニップのフィルムと加圧ローラーとの間で未定着トナー画像を担持した記録材を挟持搬送させてフィルムを介した加熱手段からの熱により未定着トナー画像を記録材上に加熱溶融定着させるものである(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
上記のようなフィルム加熱定着方式の装置は、フィルムは、薄肉で熱容量が小さく、かつ熱応答性が良いため、ヒーターの熱応答を、ほぼそのままニップ内に反映する事ができる。よって、ヒーターオン時より短時間の定着温度到達が達成され、これに伴う省電力が実現される。
【特許文献1】
特開昭63−313182号公報
【特許文献2】
特開平4−44075号公報
【特許文献3】
特開平4−204980号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子写真方式のプリンターの市場は世界規模になり、多種多様な記録材(被加熱材、以下、紙と記す)が使われるようになった。またプリンターの使用環境として高温多湿環境下で使用される機会が増えた。高温多湿環境では、紙の吸湿に伴い紙のコシが弱くなり紙しわが発生しやすく、さらには従来には無かった紙しわが発生しやすい紙も増えた。また、A3やB4、LGLの幅広の長尺紙は面積が大きいため、ニップ内に突入した時の急激な温度変化による収縮範囲が広く、特に紙しわが発生しやすくなっている。
【0007】
本発明はかかる状況を鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上記のようなフィルム加熱タイプの加熱装置において、高温多湿環境下で、コシのない幅広の長尺紙を被加熱材として通紙した場合においても紙しわの発生をなくす事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする加熱装置、である。
【0009】
このように、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することで、回転体の温度を上昇させることが出来、ニップ手前での回転体の熱によるプレヒート効果によりニップ手前で被加熱材中の水分の気化を促進させることが出来る。これにより大サイズ材の被加熱材がニップに突入する時には、被加熱材表面の水分が十分飛ばされ均一化され、しわになりにくくする効果を発揮できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンターである。
【0011】
通例、電子写真方式における画像形成は、以下のプロセスにて行われる。すなわち、給紙カセット8から紙(記録材、転写材)Pが給紙ローラー9で給紙されたのち、転写部Tに至る紙パス(搬送路)51の途中に設けられたトップセンサー20にて紙Pの先端が認識され、これに同期して感光体ドラム2上に画像が形成される。10は紙搬送ローラーである。
【0012】
感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の周速度にて回転駆動され、その周面が帯電ローラー3によってマイナスの所定電位に一様に帯電される。その感光体ドラム2の一様帯電面に対してレーザー光学系6によってレーザービーム走査露光Lがなされて、紙Pの搬送に同期して、感光体ドラム2上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像が現像器4でネガトナーによってトナー画像として現像される。感光体ドラム2上のトナー画像は、転写部Tにおいて紙Pを介して転写ローラー11からネガトナーと逆の極性のプラス電圧を印加することで、紙P上に転写される。17は転写ローラー11に対する転写バイアス印加電源である。
【0013】
転写部Tを出た紙Pは感光体ドラム2の面から分離され、紙パス52を通って加熱定着装置14に導入され、紙P上に転写されたトナー画像は熱と圧をかけられることで紙上に永久画像として固着される。加熱定着装置14を出た紙Pは紙パス53を通って排紙ローラー16により排紙トレイ7にプリントとして排出される。
【0014】
また、転写部Tにおいて紙分離後に感光体ドラム2上に残ったトナーと紙粉はクリーナー5によって除去され、感光体ドラム2は繰り返して作像に供される。
【0015】
1はプリンター本体に対して着脱交換自在なプロセスカートリッジである。本例のプリンターにおいては、プロセスカートリッジ1に、感光体ドラム2、帯電ローラー3、現像器4、クリーナー5の4器を包含させてある。
【0016】
(2)加熱定着装置14
図2は加熱定着装置14の概略構成模型図である。本例の加熱定着装置14は、例えば特開平4−44075〜44083号公報等に開示されている、加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)のフィルム加熱方式の加熱装置である。
【0017】
37は加熱手段(加熱体)としてのセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)である。このヒーター37は図面に垂直方向を長手とする細長薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた通電発熱体層を基本構成とするもので、通電発熱体層に対する通電により全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する、低熱容量のヒーターである。
【0018】
33は上記のヒーター37を固定支持させたヒーター支持体兼フィルムガイドである。このフィルムガイド33は横断面略半円弧状樋型で、図面に垂直方向を長手とする耐熱・断熱性部材である。ヒーター37はこのフィルムガイド33の下面に長手に沿って形成具備させた溝部にヒーター表面側を下向きに露呈させて嵌め入れて耐熱性接着剤等により固定して配設してある。
【0019】
34は回転体としての円筒状(エンドレス)の耐熱性フィルム(以下、定着フィルムと記す)であり、上記のヒーター37を含むフィルムガイド33にルーズに外嵌させてある。
【0020】
定着フィルム34は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEPの単層、あるいはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを使用できる。金属製フィルムも使用できる。
【0021】
29は加圧部材としての弾性加圧ローラーであり、芯金29aとシリコンゴム等の離型性の良い耐熱ゴム層29bからなり、芯金29aの両端部を回転自由に軸受け支持させて配設してある。
【0022】
この加圧ローラー29の上側に上記のヒーター37・フィルムガイド33・定着フィルム34のアセンブリを、ヒーター37側を下向きにして加圧ローラー29に並行に配置し、フィルムガイド33を不図示の付勢部材で下方に押圧させることで、ヒーター37の下面を定着フィルム34を介して加圧ローラー29の上面にローラー弾性層の弾性に抗して圧接させて加熱部としての所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
【0023】
加圧ローラー29は不図示の駆動手段により矢印の反時計方向に所定の回転周速度にて回転駆動される。定着フィルム34はこの加圧ローラー29の回転駆動により、定着ニップ部Nでの加圧ローラー表面(非通紙時)もしくは記録材表面(通紙時)との圧接摩擦力により定着フィルム内面がヒーター37の下向き面に密着して摺動しながらフィルムガイド33の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。
【0024】
加圧ローラー29が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム34が従動回転状態になり、またヒーター37に通電がなされて該ヒーターが迅速に昇温して所定の定着温調温度に達したのちに、定着ニップ部Nの定着フィルム34と加圧ローラー29との間に未定着トナー画像tを担持した記録材Pが導入され、定着ニップ部Nにおいて記録材Pのトナー画像担持側面が定着フィルム34の外面に密着して定着フィルム34と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この際、記録材Pがスムーズに定着ニップ部Nに突入するために定着装置入り口には入り口ガイド38が設けてある。
【0025】
記録材Pは定着ニップ部Nを通過することで、ヒーター37の熱を定着フィルム34を介して受けて記録材P上の未定着トナー画像tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着フィルム34は、薄肉で熱容量が小さく、かつ熱応答性が良いため、ヒーター37の熱応答を、ほぼそのまま定着ニップ部N内に反映する事ができる。よって、ヒーターオン時より短時間の定着温度到達が達成され、これに伴う省電力が実現される。
【0026】
定着ニップ部Nを抜けた記録材Pは定着フィルム34の面から曲率分離して排出搬送され、先端部は排紙上ガイド32aおよび排紙下ガイド32bにより規制され、排紙センサー35及び排紙ローラー対をなす排紙コロ36aと排紙ローラー36bとのニップ部に導かれる。排紙センサー35は通例、定着装置内を記録材Pが所定の時間で通過するかをモニターすることでジャム発生の有無を監視するために設けてある。また通例、排紙ローラー対36a・36bは記録材Pを、次のステップである排紙口へ、安定して搬送するために設けてある。
【0027】
(3)ヒーター37
図3は本実施例における加熱手段としてのセラミックヒーター37の構造模型図である。(a)はヒーター表面側の一部切欠き平面模型図、(b)はヒーター背面側の平面模型図、(c)はヒーターの拡大横断面模型図である。
【0028】
aはヒーター基板であり、記録材Pの搬送方向と直交する方向を長手とする、厚み数百μm〜1mm程度の横長のアルミナ・窒化アルミニウム・炭化ケイ素等のセラミックス板(高絶縁性・高熱伝導性基板)である。
【0029】
ヒーター表面側において、bとcは第1と第2の並列2本の抵抗発熱体層であり、ヒーター基板長手に沿って、2本並行に、スクリーン印刷等により、厚み約10μm程度、幅1〜3mm程度の線状もしくは細帯状に塗工し焼成して形成した、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料層である。
【0030】
dとeは上記第1と第2の抵抗発熱体層b・cの各一端部側にそれぞれ電気的に導通させて設けた第1と第2の給電用電極部である。
【0031】
fは上記第1と第2の抵抗発熱体層bとcの各他端部側に電気的に導通させて共通に設けた共通電極部である。gはこの共通電極部fからの延長電路であり、ヒーター基板長手に沿って第1と第2の抵抗発熱体層b・cに並行に、第1の給電用電極部dの近くまで至らせてある。
【0032】
hとiは第1と第2の温調用電極部であり、共通電極部f側のヒーター端部のヒーター基板面に設けてある。
【0033】
上記の第1と第2の給電用電極部d・e、共通電極部fと延長電路g、第1と第2の温調用電極部h・iは、ヒーター基板aの表面側にAg等の導電材ペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターンを塗工し焼成して形成される。
【0034】
jはヒーター表面のオーバーコート層であり、第1と第2の抵抗発熱体層b・c、共通電極部f、延長電路gを定着フィルム内面との摺擦から保護するためにそれらを覆わせて形成した、厚さ数十μm程度のガラス等の耐熱材料層である。
【0035】
ヒーター基板aの背面側において、kは第3の給電用電極部(背面電極)であり、ヒーター基板表面側の共通電極部延長電路gの端部とスルーホールmを介して導通させてある。
【0036】
50は温度検出素子としてのサーミスターであり、ヒーター基板背面側で、ヒーター基板長手中央部寄りの位置において、ヒーター発熱量を的確に検知するために、ヒーター基板表面側の第1と第2の抵抗発熱体層bとcの中間の位置に対応する位置に接触させて配設してある。
【0037】
qとrはサーミスターと導通させた2本の導電路であり、それらの端部はそれぞれ基板表面側の第1と第2の温調用電極部hとiにスルーホールuとvを介して導通させてある。
【0038】
上記の第3の給電用電極部kと、第1と第2の温調用電極部hとiはヒーター基板aの背面側にAg等の導電材ペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターンを塗工し焼成して形成される。
【0039】
上記のヒーター37は、ヒーター支持体兼フィルムガイド33の下面に長手に沿って形成したヒーター嵌合溝内にヒーター表面側を外側にして嵌め込んで耐熱性接着剤で接着して保持させてある。
【0040】
第1と第2の抵抗発熱体層b・cは定着ニップ部Nにおける記録材搬送方向に関して、第1の抵抗発熱体層bが上流側であり、第2の抵抗発熱体層cが下流側のである。
【0041】
このような複数の抵抗発熱体層b・cを並列に配置するのは、おもに高速プリントを行うプリンターのフリッカー対策として用いられ、従来はそれぞれが均等の発熱になるように制御されている。
【0042】
(4)ヒーター駆動回路100
図4はヒーター駆動回路100である。ヒーター37の第1〜第3の給電用電極部d・e・k側の端部には給電用電気コネクター(不図示)が嵌着されて、また第1と第2の温調用電極部h・i側の端部には温調用電気コネクター(不図示)が嵌着されて、それらの電極部d・e・k、h・iとヒーター駆動回路100とがACケーブルとDCケーブルを介して電気的に連絡状態となる。
【0043】
図4のヒーター駆動回路100において、40aと40bは第1と第2のトライアック、41は交流電源、42は制御回路部(CPU)、43はゼロクロス発生回路である。第1と第2のトライアック40aと40bはそれぞれ制御回路部42により制御される。第1のトライアック40aはヒーター37の第1の抵抗発熱体層bに対する通電・遮断を行う。第2のトライアック40bは第2の抵抗発熱体層cに対する通電・遮断を行う。すなわち第1と第2の抵抗発熱体層b・cは各々独立駆動可能である。
【0044】
交流電源41はゼロクロス検知回路43を介して制御回路部42にゼロクロス信号を送出する。制御回路部42はこのゼロクロス信号を基に第1と第2のトライアック40aと40bを制御する。ヒーター駆動回路100からヒーター37の第1と第2の抵抗発熱体層b・cに通電されることで、ヒーター37の全体が急速昇温する。
【0045】
ヒーター37の温度すなわちサーミスター50の温度は電圧値として制御回路部42でモニターされ、これによりヒーター温度が所定の設定定着温度に温調維持されるようにヒーター37への通電電力の制御が行われる。
【0046】
代表的な温度制御方式としては検知温度と設定温度の差に比例した電力を出力する方法(P制御)、温度偏差の積分に比例して電力を出力する方法(I制御)、温度の変化率に比例して電力を出力する方法(D制御)が知られており、一般にはこれらP、I、Dを組み合わせてPI制御や、PID制御、PD制御などが用いられている。また電力の制御法としては、波数制御や位相制御などがあるが、ここではとりあえず位相制御を用いて説明する。
【0047】
すなわちサーミスター50の温度を制御回路部42が2μsecごとに検知し、制御回路部42内で所望の温調温度に制御するようにPI制御にてヒーター37への電力供給量を決定する。
【0048】
たとえば電力の指定を5%刻みで行うには、一般に電源から供給される交流波形の1半波にたいして5%刻みの通電角を用いて行われる。通電角はゼロクロス発生回路43にてゼロクロス信号を検知したときを起点にトライアック40a・40bをONするタイミングとしてもとめられる。具体的に50%通電の時のヒーターへの通電を図5に示しておく。
【0049】
(5)定着ニップ部Nの記録材搬送方向におけるヒーター発熱分布の調整
制御回路部42は定着ニップ部Nに通紙される記録材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで定着ニップ部Nの記録材搬送方向におけるヒーター発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりもヒーター発熱分布の発熱ピークが定着ニップ部Nの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整する。
【0050】
本実施例においては、A3やB4、LGLの幅広の長尺紙を大サイズ材とし、よれよりもサイズが小さい短尺紙を小サイズ材とした。そして不図示の用紙サイズ検知手段等によりプリンターに通紙使用される記録材Pが大サイズ材であるか小サイズ材であるかが検知・判断されて、その通紙記録材サイズ情報が制御回路部42に入力する。
【0051】
本実施例においては、制御回路部42はその入力した通紙記録材サイズ情報に基づいて、ヒーター37の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cに対する通電比率を制御して、定着ニップ部Nに通紙される記録材が大サイズ材の時は小サイズ材通紙時よりもヒーター発熱分布の発熱ピークが定着ニップ部Nの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整している。
【0052】
位相制御を例に本実施例を説明する。位相制御の方法は前述した通りであるが、通電量の制御において前述と異なるのは、ヒーター37の上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cの発熱比率を通紙記録材の大サイズ材と小サイズ材それぞれで変える事である。
【0053】
第1と第2の各抵抗発熱体層b・cに対する具体的な通電量は図6及び図7に示す第1と第2の通電パターンテーブル従って行なわれる。図6の第1の通電パターンテーブルは小サイズ材通紙時用、図7の第2の通電パターンテーブルは大サイズ材通紙時用の、上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへの通電量をしめす。この第1と第2の通電パターンテーブルは制御データとして制御回路部42にメモリ(格納)されている。第1と第2の各通電パターンテーブルの通電量は、フル通電を10とした場合の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへの通電量を示す。図8は制御回路部42の制御フローチャートである。
【0054】
1)通紙記録材Pが小サイズ材であるときには、図6の第1の通電パターンテーブルに従いヒーター37の上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへ通電される。ここで発熱体A,Bとは上流もしくは下流の発熱体をしめす。A,Bへの割り当ては、一方が上流側の発熱体の時、他方は下流側の発熱体をさし、1半波ごとにそれぞれ上流発熱体、下流発熱体と交互に入れ替わるため、結果的に各発熱体の発熱量が等しくなるように制御される。
【0055】
2)通紙記録材Pが大サイズ材であるときには、図7に示すように下流側の発熱体の発熱量を多くする制御を行う。
【0056】
図7では上流側発熱体と下流側発熱体の出力割合は、1:2〜1:3になるように各発熱体の通電量を設定してある。この図中に示すように出力が大きい場合には、必ずしもこの範囲に入る下流側大の通電にならないし、極端に少ない10%通電のときなどは上下流均等発熱が行われてしまうが、これらの出力値は、極端に大きい若しくは小さい値なので、自動両面プリントの場合にはまず定常的に使われることはない。また出力の調整が2μsecごとに行われるため、一時的に入ることはあっても、すぐに変更されるため、結果として秒単位で見た場合には不均一発熱が実現される。
【0057】
このように通電パターンテーブルを用紙サイズにあわせて変えることで、上流発熱量:下流発熱量=1:2〜1:3の発熱が実現できる。
【0058】
あまり発熱比率を大きくすると定着ニップ内部の温度勾配が大きくなりトナー加熱時間が短くなる傾向になる。
【0059】
実験的に言っても、通電比率は1:2〜1:3の範囲が妥当である。
【0060】
このように下流側の発熱体の発熱量を多くすることで、定着フィルムの温度を上昇させることが出来、定着ニップ手前でのプレヒート効果により定着ニップ手前で紙中の水分の気化を促進させることが出来る。これにより大サイズ材の記録材(幅広長尺紙)が定着ニップに突入する時には、紙表面の水分が十分飛ばされ均一化され、しわになりにくくする効果を発揮できる。
【0061】
小サイズ材である幅が狭い紙や短い紙などはしわが発生しにくいため、先に述べたように定着性を良くすることや非通紙部昇温を抑えることを優先するため、発熱比率は均等にする必要がある。
【0062】
[実施例2]
本実施例は上述した実施例1において、ヒーター37の背面側の温度検出素子としてのサーミスター50の配設位置を図9のように、ヒーター表面側の第1と第2の抵抗発熱体層b・cの内の記録材搬送方向上流側である第1の抵抗発熱体層bの位置に対応するヒーター背面部分に配置したことを特徴とする。その他の装置構成・ヒーター構成・制御等は実施例1のものと同じである。
【0063】
サーミスター50は記録材搬送方向上流側である第1の抵抗発熱体層bの位置に対応するヒーター背面部分配置することによって、ヒーター温度は上流側抵抗発熱体層bの温度変化により制御されるようになるため、上流発熱量:下流発熱量=1:2〜1:3とした場合、サーミスター50を複数の発熱体の中心に配置した時よりも相対的に下流側発熱体の温度が高くなる。
【0064】
よって、しわの発生を抑えつつ、十分な定着性を確保することが可能となる。
【0065】
[その他]
a)加熱手段(加熱体)としては例示のセラミックヒーターに限られるものではなく、その他、例えば、SUSヒーター、背面加熱型ヒーター、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター、電磁誘導発熱性部材などを用いることもできる。
【0066】
b)フィルム加熱方式の加熱定着装置は、実施例のものは加圧用回転体駆動方式であるが、摺動移動部材としてのエンドレスの定着フィルムの内周面に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら駆動する方式の装置であってもよい。
【0067】
c)加圧回転体は、ローラ体の代わりに、エンドレスベルト体にすることもできる。また、例えば、特開2001−228731公報に開示されているエンドレスベルトと加圧部材からなる加圧フィルムユニットを用いて小熱容量化を図ってもよい。
【0068】
d)ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、所定サイズよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせる手段構成は実施例のものに限られないことは勿論である。
【0069】
e)本発明の加熱装置は実施形態例の加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0070】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0071】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0072】
〔実施態様1〕 固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、
ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする加熱装置。
【0073】
〔実施態様2〕 加熱手段は各々独立駆動可能な複数本の発熱体を有し、これらの複数本の発熱体はニップ内で被加熱材搬送方向に配列されており、制御手段は各発熱体に対する通電比率を制御して加熱手段発熱分布を調整することを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0074】
〔実施態様3〕 複数の発熱体はニップ内で被加熱材搬送方向の上流側と下流側に配置された並列接続の2本の発熱体であることを特徴とする実施態様2に記載の加熱装置。
【0075】
〔実施態様4〕 加熱手段の温度制御に使用するための温度検出素子は、該加熱手段の複数の発熱体の内の被加熱材搬送方向最上流側の発熱体の位置に対応する加熱手段背面部分に配置したことを特徴とする実施態様2または3に記載の加熱装置。
【0076】
〔実施態様5〕 加圧部材はローラーであることを特徴とする実施態様1から4の何れかに記載の加熱装置。
【0077】
〔実施態様6〕 被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする実施態様1から5の何れかに記載の加熱装置。
【0078】
〔実施態様7〕 加熱手段と、この加熱手段を内包する回転体を有し、該回転体は未定着画像を担持した記録材と等速で移動し、該回転体に加圧圧接してニップを形成するための加圧ローラーを有し、前記ニップの回転体と加圧ローラーとの間で未定着画像を担持した記録材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により未定着画像を記録材上に加熱定着させる像加熱装置において、
前記加熱手段は各々独立駆動可能な複数本の発熱体を有し、これらの複数本の発熱体はニップ内で記録材搬送方向に配列されており、制御手段は各発熱体に対する通電比率を制御して、ニップに通紙する記録材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで、ニップの記録材搬送方向における加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする像加熱装置。
【0079】
〔実施態様8〕 複数の発熱体はニップ内で記録材上流側と下流側に配置された並列接続の2本の発熱体であることを特徴とする実施態様7に記載の像加熱装置。
【0080】
〔実施態様9〕 加熱手段の温度制御に使用するための温度検出素子は、該加熱手段の複数の発熱体の内の被加熱材搬送方向最上流側の発熱体の位置に対応する加熱手段背面部分に配置したことを特徴とする実施態様7または8に記載の像加熱装置。
【0081】
〔実施態様10〕 記録材上に未定着画像を形成担持させる作像手段と、記録材上の未定着画像を永久固着させるための画像加熱定着手段を有し、前記画像加熱定着手段が、実施態様1から6の何れかに記載の加熱装置、もしくは請求項7から9の何れかに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フィルム加熱方式の加熱装置のように、固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、高温多湿環境下で、被加熱材がコシのない幅広の長尺紙であっても紙しわの発生をなくす事ができる。
【0083】
又、温度検出素子を上流側発熱体の背面にずらして配置することによって紙しわの発生を抑制しながら十分な被加熱材加熱性、加熱定着装置にあっては十分な定着性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における画像形成装置例の概略構成図
【図2】加熱定着装置部分の概略構成図
【図3】ヒーターの構成説明図
【図4】ヒーター駆動回路図の概略構成図
【図5】位相制御の50%通電パターンを示した図
【図6】第1の通電パターンテーブル(小サイズ材通紙時用:短尺紙の出力値毎の上下流各ヒーターへの通電量を示した図)
【図7】第2の通電パターンテーブル(大サイズ材通紙時用:幅広長尺紙の出力値毎の上下流各ヒーターへの通電量を示した図)
【図8】制御フローチャート
【図9】実施例2におけるヒーターの構成模型図
【符号の説明】
14・・加熱定着装置(加熱装置)、37・・セラミックヒーター(加熱手段)、a・・ヒーター基板、bとc・・第1と第2の抵抗発熱体層、34・・定着フィルム(回転体)、29加圧ローラー(加圧部材)、N・・定着ニップ部、P・・記録材(被加熱材)、100・・ヒーター駆動回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機・プリンター等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置として用いて好適な加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真プロセスの複写機・プリンター等の画像形成装置には、記録材上に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた未定着トナー画像を永久画像として定着させるための加熱装置としての加熱定着装置が搭載される。
【0003】
この加熱定着方式には、熱エネルギーのみを利用するラジアントフラッシュ定着やオーブン定着方式、熱エネルギーと圧力を利用する熱ローラー方式、フィルム加熱定着方式などがある。現在は、高速性と安全性から、熱圧力定着方式を用いたフィルム加熱定着方式が主流である。
【0004】
フィルム加熱定着方式の装置は、固定支持された加熱手段(加熱体)としての例えばセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)と、該ヒーターと摺動する摺動移動部材としての例えば耐熱性樹脂フィルム(以下、フィルムと記す)と、該フィルムを介して前記ヒーターに圧接してニップを形成する加圧部材としての弾性加圧ローラー(以下、加圧ローラーと記す)と、を有し、ニップのフィルムと加圧ローラーとの間で未定着トナー画像を担持した記録材を挟持搬送させてフィルムを介した加熱手段からの熱により未定着トナー画像を記録材上に加熱溶融定着させるものである(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
上記のようなフィルム加熱定着方式の装置は、フィルムは、薄肉で熱容量が小さく、かつ熱応答性が良いため、ヒーターの熱応答を、ほぼそのままニップ内に反映する事ができる。よって、ヒーターオン時より短時間の定着温度到達が達成され、これに伴う省電力が実現される。
【特許文献1】
特開昭63−313182号公報
【特許文献2】
特開平4−44075号公報
【特許文献3】
特開平4−204980号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子写真方式のプリンターの市場は世界規模になり、多種多様な記録材(被加熱材、以下、紙と記す)が使われるようになった。またプリンターの使用環境として高温多湿環境下で使用される機会が増えた。高温多湿環境では、紙の吸湿に伴い紙のコシが弱くなり紙しわが発生しやすく、さらには従来には無かった紙しわが発生しやすい紙も増えた。また、A3やB4、LGLの幅広の長尺紙は面積が大きいため、ニップ内に突入した時の急激な温度変化による収縮範囲が広く、特に紙しわが発生しやすくなっている。
【0007】
本発明はかかる状況を鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上記のようなフィルム加熱タイプの加熱装置において、高温多湿環境下で、コシのない幅広の長尺紙を被加熱材として通紙した場合においても紙しわの発生をなくす事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする加熱装置、である。
【0009】
このように、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することで、回転体の温度を上昇させることが出来、ニップ手前での回転体の熱によるプレヒート効果によりニップ手前で被加熱材中の水分の気化を促進させることが出来る。これにより大サイズ材の被加熱材がニップに突入する時には、被加熱材表面の水分が十分飛ばされ均一化され、しわになりにくくする効果を発揮できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンターである。
【0011】
通例、電子写真方式における画像形成は、以下のプロセスにて行われる。すなわち、給紙カセット8から紙(記録材、転写材)Pが給紙ローラー9で給紙されたのち、転写部Tに至る紙パス(搬送路)51の途中に設けられたトップセンサー20にて紙Pの先端が認識され、これに同期して感光体ドラム2上に画像が形成される。10は紙搬送ローラーである。
【0012】
感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の周速度にて回転駆動され、その周面が帯電ローラー3によってマイナスの所定電位に一様に帯電される。その感光体ドラム2の一様帯電面に対してレーザー光学系6によってレーザービーム走査露光Lがなされて、紙Pの搬送に同期して、感光体ドラム2上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像が現像器4でネガトナーによってトナー画像として現像される。感光体ドラム2上のトナー画像は、転写部Tにおいて紙Pを介して転写ローラー11からネガトナーと逆の極性のプラス電圧を印加することで、紙P上に転写される。17は転写ローラー11に対する転写バイアス印加電源である。
【0013】
転写部Tを出た紙Pは感光体ドラム2の面から分離され、紙パス52を通って加熱定着装置14に導入され、紙P上に転写されたトナー画像は熱と圧をかけられることで紙上に永久画像として固着される。加熱定着装置14を出た紙Pは紙パス53を通って排紙ローラー16により排紙トレイ7にプリントとして排出される。
【0014】
また、転写部Tにおいて紙分離後に感光体ドラム2上に残ったトナーと紙粉はクリーナー5によって除去され、感光体ドラム2は繰り返して作像に供される。
【0015】
1はプリンター本体に対して着脱交換自在なプロセスカートリッジである。本例のプリンターにおいては、プロセスカートリッジ1に、感光体ドラム2、帯電ローラー3、現像器4、クリーナー5の4器を包含させてある。
【0016】
(2)加熱定着装置14
図2は加熱定着装置14の概略構成模型図である。本例の加熱定着装置14は、例えば特開平4−44075〜44083号公報等に開示されている、加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)のフィルム加熱方式の加熱装置である。
【0017】
37は加熱手段(加熱体)としてのセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)である。このヒーター37は図面に垂直方向を長手とする細長薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた通電発熱体層を基本構成とするもので、通電発熱体層に対する通電により全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する、低熱容量のヒーターである。
【0018】
33は上記のヒーター37を固定支持させたヒーター支持体兼フィルムガイドである。このフィルムガイド33は横断面略半円弧状樋型で、図面に垂直方向を長手とする耐熱・断熱性部材である。ヒーター37はこのフィルムガイド33の下面に長手に沿って形成具備させた溝部にヒーター表面側を下向きに露呈させて嵌め入れて耐熱性接着剤等により固定して配設してある。
【0019】
34は回転体としての円筒状(エンドレス)の耐熱性フィルム(以下、定着フィルムと記す)であり、上記のヒーター37を含むフィルムガイド33にルーズに外嵌させてある。
【0020】
定着フィルム34は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEPの単層、あるいはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを使用できる。金属製フィルムも使用できる。
【0021】
29は加圧部材としての弾性加圧ローラーであり、芯金29aとシリコンゴム等の離型性の良い耐熱ゴム層29bからなり、芯金29aの両端部を回転自由に軸受け支持させて配設してある。
【0022】
この加圧ローラー29の上側に上記のヒーター37・フィルムガイド33・定着フィルム34のアセンブリを、ヒーター37側を下向きにして加圧ローラー29に並行に配置し、フィルムガイド33を不図示の付勢部材で下方に押圧させることで、ヒーター37の下面を定着フィルム34を介して加圧ローラー29の上面にローラー弾性層の弾性に抗して圧接させて加熱部としての所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
【0023】
加圧ローラー29は不図示の駆動手段により矢印の反時計方向に所定の回転周速度にて回転駆動される。定着フィルム34はこの加圧ローラー29の回転駆動により、定着ニップ部Nでの加圧ローラー表面(非通紙時)もしくは記録材表面(通紙時)との圧接摩擦力により定着フィルム内面がヒーター37の下向き面に密着して摺動しながらフィルムガイド33の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。
【0024】
加圧ローラー29が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム34が従動回転状態になり、またヒーター37に通電がなされて該ヒーターが迅速に昇温して所定の定着温調温度に達したのちに、定着ニップ部Nの定着フィルム34と加圧ローラー29との間に未定着トナー画像tを担持した記録材Pが導入され、定着ニップ部Nにおいて記録材Pのトナー画像担持側面が定着フィルム34の外面に密着して定着フィルム34と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この際、記録材Pがスムーズに定着ニップ部Nに突入するために定着装置入り口には入り口ガイド38が設けてある。
【0025】
記録材Pは定着ニップ部Nを通過することで、ヒーター37の熱を定着フィルム34を介して受けて記録材P上の未定着トナー画像tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着フィルム34は、薄肉で熱容量が小さく、かつ熱応答性が良いため、ヒーター37の熱応答を、ほぼそのまま定着ニップ部N内に反映する事ができる。よって、ヒーターオン時より短時間の定着温度到達が達成され、これに伴う省電力が実現される。
【0026】
定着ニップ部Nを抜けた記録材Pは定着フィルム34の面から曲率分離して排出搬送され、先端部は排紙上ガイド32aおよび排紙下ガイド32bにより規制され、排紙センサー35及び排紙ローラー対をなす排紙コロ36aと排紙ローラー36bとのニップ部に導かれる。排紙センサー35は通例、定着装置内を記録材Pが所定の時間で通過するかをモニターすることでジャム発生の有無を監視するために設けてある。また通例、排紙ローラー対36a・36bは記録材Pを、次のステップである排紙口へ、安定して搬送するために設けてある。
【0027】
(3)ヒーター37
図3は本実施例における加熱手段としてのセラミックヒーター37の構造模型図である。(a)はヒーター表面側の一部切欠き平面模型図、(b)はヒーター背面側の平面模型図、(c)はヒーターの拡大横断面模型図である。
【0028】
aはヒーター基板であり、記録材Pの搬送方向と直交する方向を長手とする、厚み数百μm〜1mm程度の横長のアルミナ・窒化アルミニウム・炭化ケイ素等のセラミックス板(高絶縁性・高熱伝導性基板)である。
【0029】
ヒーター表面側において、bとcは第1と第2の並列2本の抵抗発熱体層であり、ヒーター基板長手に沿って、2本並行に、スクリーン印刷等により、厚み約10μm程度、幅1〜3mm程度の線状もしくは細帯状に塗工し焼成して形成した、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料層である。
【0030】
dとeは上記第1と第2の抵抗発熱体層b・cの各一端部側にそれぞれ電気的に導通させて設けた第1と第2の給電用電極部である。
【0031】
fは上記第1と第2の抵抗発熱体層bとcの各他端部側に電気的に導通させて共通に設けた共通電極部である。gはこの共通電極部fからの延長電路であり、ヒーター基板長手に沿って第1と第2の抵抗発熱体層b・cに並行に、第1の給電用電極部dの近くまで至らせてある。
【0032】
hとiは第1と第2の温調用電極部であり、共通電極部f側のヒーター端部のヒーター基板面に設けてある。
【0033】
上記の第1と第2の給電用電極部d・e、共通電極部fと延長電路g、第1と第2の温調用電極部h・iは、ヒーター基板aの表面側にAg等の導電材ペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターンを塗工し焼成して形成される。
【0034】
jはヒーター表面のオーバーコート層であり、第1と第2の抵抗発熱体層b・c、共通電極部f、延長電路gを定着フィルム内面との摺擦から保護するためにそれらを覆わせて形成した、厚さ数十μm程度のガラス等の耐熱材料層である。
【0035】
ヒーター基板aの背面側において、kは第3の給電用電極部(背面電極)であり、ヒーター基板表面側の共通電極部延長電路gの端部とスルーホールmを介して導通させてある。
【0036】
50は温度検出素子としてのサーミスターであり、ヒーター基板背面側で、ヒーター基板長手中央部寄りの位置において、ヒーター発熱量を的確に検知するために、ヒーター基板表面側の第1と第2の抵抗発熱体層bとcの中間の位置に対応する位置に接触させて配設してある。
【0037】
qとrはサーミスターと導通させた2本の導電路であり、それらの端部はそれぞれ基板表面側の第1と第2の温調用電極部hとiにスルーホールuとvを介して導通させてある。
【0038】
上記の第3の給電用電極部kと、第1と第2の温調用電極部hとiはヒーター基板aの背面側にAg等の導電材ペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターンを塗工し焼成して形成される。
【0039】
上記のヒーター37は、ヒーター支持体兼フィルムガイド33の下面に長手に沿って形成したヒーター嵌合溝内にヒーター表面側を外側にして嵌め込んで耐熱性接着剤で接着して保持させてある。
【0040】
第1と第2の抵抗発熱体層b・cは定着ニップ部Nにおける記録材搬送方向に関して、第1の抵抗発熱体層bが上流側であり、第2の抵抗発熱体層cが下流側のである。
【0041】
このような複数の抵抗発熱体層b・cを並列に配置するのは、おもに高速プリントを行うプリンターのフリッカー対策として用いられ、従来はそれぞれが均等の発熱になるように制御されている。
【0042】
(4)ヒーター駆動回路100
図4はヒーター駆動回路100である。ヒーター37の第1〜第3の給電用電極部d・e・k側の端部には給電用電気コネクター(不図示)が嵌着されて、また第1と第2の温調用電極部h・i側の端部には温調用電気コネクター(不図示)が嵌着されて、それらの電極部d・e・k、h・iとヒーター駆動回路100とがACケーブルとDCケーブルを介して電気的に連絡状態となる。
【0043】
図4のヒーター駆動回路100において、40aと40bは第1と第2のトライアック、41は交流電源、42は制御回路部(CPU)、43はゼロクロス発生回路である。第1と第2のトライアック40aと40bはそれぞれ制御回路部42により制御される。第1のトライアック40aはヒーター37の第1の抵抗発熱体層bに対する通電・遮断を行う。第2のトライアック40bは第2の抵抗発熱体層cに対する通電・遮断を行う。すなわち第1と第2の抵抗発熱体層b・cは各々独立駆動可能である。
【0044】
交流電源41はゼロクロス検知回路43を介して制御回路部42にゼロクロス信号を送出する。制御回路部42はこのゼロクロス信号を基に第1と第2のトライアック40aと40bを制御する。ヒーター駆動回路100からヒーター37の第1と第2の抵抗発熱体層b・cに通電されることで、ヒーター37の全体が急速昇温する。
【0045】
ヒーター37の温度すなわちサーミスター50の温度は電圧値として制御回路部42でモニターされ、これによりヒーター温度が所定の設定定着温度に温調維持されるようにヒーター37への通電電力の制御が行われる。
【0046】
代表的な温度制御方式としては検知温度と設定温度の差に比例した電力を出力する方法(P制御)、温度偏差の積分に比例して電力を出力する方法(I制御)、温度の変化率に比例して電力を出力する方法(D制御)が知られており、一般にはこれらP、I、Dを組み合わせてPI制御や、PID制御、PD制御などが用いられている。また電力の制御法としては、波数制御や位相制御などがあるが、ここではとりあえず位相制御を用いて説明する。
【0047】
すなわちサーミスター50の温度を制御回路部42が2μsecごとに検知し、制御回路部42内で所望の温調温度に制御するようにPI制御にてヒーター37への電力供給量を決定する。
【0048】
たとえば電力の指定を5%刻みで行うには、一般に電源から供給される交流波形の1半波にたいして5%刻みの通電角を用いて行われる。通電角はゼロクロス発生回路43にてゼロクロス信号を検知したときを起点にトライアック40a・40bをONするタイミングとしてもとめられる。具体的に50%通電の時のヒーターへの通電を図5に示しておく。
【0049】
(5)定着ニップ部Nの記録材搬送方向におけるヒーター発熱分布の調整
制御回路部42は定着ニップ部Nに通紙される記録材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで定着ニップ部Nの記録材搬送方向におけるヒーター発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりもヒーター発熱分布の発熱ピークが定着ニップ部Nの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整する。
【0050】
本実施例においては、A3やB4、LGLの幅広の長尺紙を大サイズ材とし、よれよりもサイズが小さい短尺紙を小サイズ材とした。そして不図示の用紙サイズ検知手段等によりプリンターに通紙使用される記録材Pが大サイズ材であるか小サイズ材であるかが検知・判断されて、その通紙記録材サイズ情報が制御回路部42に入力する。
【0051】
本実施例においては、制御回路部42はその入力した通紙記録材サイズ情報に基づいて、ヒーター37の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cに対する通電比率を制御して、定着ニップ部Nに通紙される記録材が大サイズ材の時は小サイズ材通紙時よりもヒーター発熱分布の発熱ピークが定着ニップ部Nの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整している。
【0052】
位相制御を例に本実施例を説明する。位相制御の方法は前述した通りであるが、通電量の制御において前述と異なるのは、ヒーター37の上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cの発熱比率を通紙記録材の大サイズ材と小サイズ材それぞれで変える事である。
【0053】
第1と第2の各抵抗発熱体層b・cに対する具体的な通電量は図6及び図7に示す第1と第2の通電パターンテーブル従って行なわれる。図6の第1の通電パターンテーブルは小サイズ材通紙時用、図7の第2の通電パターンテーブルは大サイズ材通紙時用の、上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへの通電量をしめす。この第1と第2の通電パターンテーブルは制御データとして制御回路部42にメモリ(格納)されている。第1と第2の各通電パターンテーブルの通電量は、フル通電を10とした場合の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへの通電量を示す。図8は制御回路部42の制御フローチャートである。
【0054】
1)通紙記録材Pが小サイズ材であるときには、図6の第1の通電パターンテーブルに従いヒーター37の上下流の第1と第2の各抵抗発熱体層b・cへ通電される。ここで発熱体A,Bとは上流もしくは下流の発熱体をしめす。A,Bへの割り当ては、一方が上流側の発熱体の時、他方は下流側の発熱体をさし、1半波ごとにそれぞれ上流発熱体、下流発熱体と交互に入れ替わるため、結果的に各発熱体の発熱量が等しくなるように制御される。
【0055】
2)通紙記録材Pが大サイズ材であるときには、図7に示すように下流側の発熱体の発熱量を多くする制御を行う。
【0056】
図7では上流側発熱体と下流側発熱体の出力割合は、1:2〜1:3になるように各発熱体の通電量を設定してある。この図中に示すように出力が大きい場合には、必ずしもこの範囲に入る下流側大の通電にならないし、極端に少ない10%通電のときなどは上下流均等発熱が行われてしまうが、これらの出力値は、極端に大きい若しくは小さい値なので、自動両面プリントの場合にはまず定常的に使われることはない。また出力の調整が2μsecごとに行われるため、一時的に入ることはあっても、すぐに変更されるため、結果として秒単位で見た場合には不均一発熱が実現される。
【0057】
このように通電パターンテーブルを用紙サイズにあわせて変えることで、上流発熱量:下流発熱量=1:2〜1:3の発熱が実現できる。
【0058】
あまり発熱比率を大きくすると定着ニップ内部の温度勾配が大きくなりトナー加熱時間が短くなる傾向になる。
【0059】
実験的に言っても、通電比率は1:2〜1:3の範囲が妥当である。
【0060】
このように下流側の発熱体の発熱量を多くすることで、定着フィルムの温度を上昇させることが出来、定着ニップ手前でのプレヒート効果により定着ニップ手前で紙中の水分の気化を促進させることが出来る。これにより大サイズ材の記録材(幅広長尺紙)が定着ニップに突入する時には、紙表面の水分が十分飛ばされ均一化され、しわになりにくくする効果を発揮できる。
【0061】
小サイズ材である幅が狭い紙や短い紙などはしわが発生しにくいため、先に述べたように定着性を良くすることや非通紙部昇温を抑えることを優先するため、発熱比率は均等にする必要がある。
【0062】
[実施例2]
本実施例は上述した実施例1において、ヒーター37の背面側の温度検出素子としてのサーミスター50の配設位置を図9のように、ヒーター表面側の第1と第2の抵抗発熱体層b・cの内の記録材搬送方向上流側である第1の抵抗発熱体層bの位置に対応するヒーター背面部分に配置したことを特徴とする。その他の装置構成・ヒーター構成・制御等は実施例1のものと同じである。
【0063】
サーミスター50は記録材搬送方向上流側である第1の抵抗発熱体層bの位置に対応するヒーター背面部分配置することによって、ヒーター温度は上流側抵抗発熱体層bの温度変化により制御されるようになるため、上流発熱量:下流発熱量=1:2〜1:3とした場合、サーミスター50を複数の発熱体の中心に配置した時よりも相対的に下流側発熱体の温度が高くなる。
【0064】
よって、しわの発生を抑えつつ、十分な定着性を確保することが可能となる。
【0065】
[その他]
a)加熱手段(加熱体)としては例示のセラミックヒーターに限られるものではなく、その他、例えば、SUSヒーター、背面加熱型ヒーター、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター、電磁誘導発熱性部材などを用いることもできる。
【0066】
b)フィルム加熱方式の加熱定着装置は、実施例のものは加圧用回転体駆動方式であるが、摺動移動部材としてのエンドレスの定着フィルムの内周面に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら駆動する方式の装置であってもよい。
【0067】
c)加圧回転体は、ローラ体の代わりに、エンドレスベルト体にすることもできる。また、例えば、特開2001−228731公報に開示されているエンドレスベルトと加圧部材からなる加圧フィルムユニットを用いて小熱容量化を図ってもよい。
【0068】
d)ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、所定サイズよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせる手段構成は実施例のものに限られないことは勿論である。
【0069】
e)本発明の加熱装置は実施形態例の加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0070】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0071】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0072】
〔実施態様1〕 固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、
ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする加熱装置。
【0073】
〔実施態様2〕 加熱手段は各々独立駆動可能な複数本の発熱体を有し、これらの複数本の発熱体はニップ内で被加熱材搬送方向に配列されており、制御手段は各発熱体に対する通電比率を制御して加熱手段発熱分布を調整することを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0074】
〔実施態様3〕 複数の発熱体はニップ内で被加熱材搬送方向の上流側と下流側に配置された並列接続の2本の発熱体であることを特徴とする実施態様2に記載の加熱装置。
【0075】
〔実施態様4〕 加熱手段の温度制御に使用するための温度検出素子は、該加熱手段の複数の発熱体の内の被加熱材搬送方向最上流側の発熱体の位置に対応する加熱手段背面部分に配置したことを特徴とする実施態様2または3に記載の加熱装置。
【0076】
〔実施態様5〕 加圧部材はローラーであることを特徴とする実施態様1から4の何れかに記載の加熱装置。
【0077】
〔実施態様6〕 被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする実施態様1から5の何れかに記載の加熱装置。
【0078】
〔実施態様7〕 加熱手段と、この加熱手段を内包する回転体を有し、該回転体は未定着画像を担持した記録材と等速で移動し、該回転体に加圧圧接してニップを形成するための加圧ローラーを有し、前記ニップの回転体と加圧ローラーとの間で未定着画像を担持した記録材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により未定着画像を記録材上に加熱定着させる像加熱装置において、
前記加熱手段は各々独立駆動可能な複数本の発熱体を有し、これらの複数本の発熱体はニップ内で記録材搬送方向に配列されており、制御手段は各発熱体に対する通電比率を制御して、ニップに通紙する記録材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりもサイズが小さい小サイズ材である場合とで、ニップの記録材搬送方向における加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの記録材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする像加熱装置。
【0079】
〔実施態様8〕 複数の発熱体はニップ内で記録材上流側と下流側に配置された並列接続の2本の発熱体であることを特徴とする実施態様7に記載の像加熱装置。
【0080】
〔実施態様9〕 加熱手段の温度制御に使用するための温度検出素子は、該加熱手段の複数の発熱体の内の被加熱材搬送方向最上流側の発熱体の位置に対応する加熱手段背面部分に配置したことを特徴とする実施態様7または8に記載の像加熱装置。
【0081】
〔実施態様10〕 記録材上に未定着画像を形成担持させる作像手段と、記録材上の未定着画像を永久固着させるための画像加熱定着手段を有し、前記画像加熱定着手段が、実施態様1から6の何れかに記載の加熱装置、もしくは請求項7から9の何れかに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フィルム加熱方式の加熱装置のように、固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、高温多湿環境下で、被加熱材がコシのない幅広の長尺紙であっても紙しわの発生をなくす事ができる。
【0083】
又、温度検出素子を上流側発熱体の背面にずらして配置することによって紙しわの発生を抑制しながら十分な被加熱材加熱性、加熱定着装置にあっては十分な定着性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における画像形成装置例の概略構成図
【図2】加熱定着装置部分の概略構成図
【図3】ヒーターの構成説明図
【図4】ヒーター駆動回路図の概略構成図
【図5】位相制御の50%通電パターンを示した図
【図6】第1の通電パターンテーブル(小サイズ材通紙時用:短尺紙の出力値毎の上下流各ヒーターへの通電量を示した図)
【図7】第2の通電パターンテーブル(大サイズ材通紙時用:幅広長尺紙の出力値毎の上下流各ヒーターへの通電量を示した図)
【図8】制御フローチャート
【図9】実施例2におけるヒーターの構成模型図
【符号の説明】
14・・加熱定着装置(加熱装置)、37・・セラミックヒーター(加熱手段)、a・・ヒーター基板、bとc・・第1と第2の抵抗発熱体層、34・・定着フィルム(回転体)、29加圧ローラー(加圧部材)、N・・定着ニップ部、P・・記録材(被加熱材)、100・・ヒーター駆動回路
Claims (1)
- 固定支持された加熱手段と、内面が該加熱手段と摺動して回転する回転体と、該回転体を介して前記加熱手段に圧接してニップを形成する加圧部材と、を有し、ニップの回転体と加圧部材との間で被加熱材を挟持搬送させて回転体を介した加熱手段からの熱により加熱する加熱装置において、
ニップの被加熱材搬送方向における加熱手段発熱分布を調整する制御手段を有し、該制御手段により、ニップに通紙する被加熱材が所定サイズ以上の大サイズ材である場合と、それよりも小さい小サイズ材である場合とで加熱手段発熱分布を異ならせ、大サイズ材通紙時は小サイズ材通紙時よりも加熱手段発熱分布の発熱ピークがニップの被加熱材搬送方向下流側に来るような発熱分布に調整することを特徴とする加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377672A JP2004207159A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377672A JP2004207159A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 加熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004207159A true JP2004207159A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32814780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002377672A Pending JP2004207159A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004207159A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008090302A (ja) * | 2006-10-03 | 2008-04-17 | Xerox Corp | ゼログラフィ印刷システム及び定着装置用ヒーターコントローラシステム |
JP2008299205A (ja) * | 2007-06-01 | 2008-12-11 | Canon Inc | ヒータ及び像加熱装置 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377672A patent/JP2004207159A/ja active Pending
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