JP2004207048A - X線管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】先端側の開口部にX線出射窓2Cを有する第1筒部2Bの先端部周縁と取付フランジ2Aの周縁とに跨って第1筒部2Bの周面を包囲する仮想面(仮想線L)の内側に排気管5および保護キャップ7が配置されているため、板状の試料である試料板をX線出射窓2Cに近づけた状態でX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させる際、試料板は排気管5および保護キャップ7に接触することなく第1筒部2Bの先端部周縁または取付フランジ2Aの周縁に接触するまで大きく傾斜可能となる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の非破壊検査などに使用されるX線発生装置に組み込まれるX線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料を破壊することなくその内部構造を検査するための装置として、試料にX線を照射するX線管を組み込んだX線発生装置が従来一般に知られている(例えば特許文献1参照)。このX線発生装置は、試料の透視画像を得る非破壊検査システムの一部として、試料を透過したX線を検出するX線カメラと組み合わせて使用されるものであり、X線管のX線発生ポイントから試料までの距離が近いほど拡大率の大きな透視画像が得られる。
【0003】
また、X線管としては、X線出射窓を有する筒部内にターゲットを収容した構造のX線発生部と、このX線発生部の筒部の周面から突出する筒部内に電子銃を収容した構造の電子銃部とを備えたものが従来一般に知られている(例えば特許文献2参照)。このX線管は、電子銃がターゲットに向けて電子線を出射すると、ターゲットがX線出射窓に向けてX線を出射するように構成されている。
【0004】
ここで、特許文献1の図1に示されるように、X線管はX線発生部および電子銃部が外部に露出する状態でX線発生装置の筐体に固定されている。そして、このX線発生装置においては、特許文献1の図5に示されるように、試料をX線管のX線出射窓に近づけた状態でX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜可能とするための傾斜面がX線管のX線発生部および筐体に形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−224624号公報(図1および図5参照)
【特許文献2】
特開平7−296751号公報(図1参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来一般に知られているX線管においては、内部を真空化するための排気管(チップ管)がX線発生部の筒部の周面に突設されている。このため、前述のように試料をX線管のX線出射窓に近づけた状態でX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させる際、排気管が突設された方向には排気管が邪魔となって試料または試料を載持する試料台を大きく傾斜させることができず、試料の複雑な内部構造を立体的に観察するのに支障があるという問題が指摘されている。
【0007】
そこで、本発明は、排気管が突設された方向にも試料または試料を載持する試料台を大きく傾斜させることができるX線管を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るX線管は、先端側の開口部にX線出射窓を有し、基端側に取付フランジを有する第1筒部と、この第1筒部内に連通して第1筒部の周面から突出する第2筒部とを備えた真空外囲器内に電子銃およびターゲットが収容されており、電子銃がターゲットへ向けて電子線を出射し、ターゲットがX線出射窓を通してX線を出射するように構成されたX線管において、第1筒部の周面には真空外囲器内を真空化するための排気管が突設されており、排気管は、第1筒部の先端部周縁と取付フランジの周縁とに跨って第1筒部の周面を包囲する仮想面の内側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るX線管では、試料を第1筒部の開口部に設けられたX線出射窓に近づけた状態でX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させる際に、試料または試料を載持する試料台は排気管に接触することなく第1筒部の先端部周縁または取付フランジの周縁に接触するまで大きく傾斜可能となる。
【0010】
本発明に係るX線管において、排気管が取付フランジの近傍に配置されている場合、傾斜した試料または試料を載持する試料台に接触しない範囲で排気管のチップオフ長を長くすることができ、X線管内を確実に真空化することが可能となる。
【0011】
また、本発明のX線管において、第2筒部の軸線に沿ったカット面が第1筒部の周面に形成されている場合、そのカット面方向に試料または試料を載持する試料台を一層大きく傾斜させることができ、試料をX線出射窓に一層接近させて試料の非破壊検査を一層精密に行うことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係るX線管の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態に係るX線管の概略構造を示す全体斜視図、図2は図1に示したX線管の縦断面図、図3は図1のIII矢視図、図4は図1のIV矢視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、一実施形態に係るX線管1は、X線発生部2、電子銃部3、バルブ部4などを備えており、後述するX線発生部2の第1筒部2B、電子銃部3の第2筒部3Aおよびバルブ部4のバルブ4Aによって真空外囲器が構成されている。
【0014】
X線発生部2は、取付フランジ2Aが基端部に形成された第1筒部2Bを有し、その先端側の開口部にはX線出射窓2Cが装着されている。この第1筒部2Bの内部には、電子線(e)の入射を受けてX線(x)を発生する反射型のターゲット2Dが収容されている(図2参照)。このターゲット2Dは、バルブ部4の本体であるバルブ4Aの中心部に保持具4Bを介して絶縁状態で保持された棒状の高圧陽極4Cの内端部に構成されており、X線出射窓2Cに向けてX線(x)を出射する反射面2D1が高圧陽極4Cの軸線に斜交して形成されている。
【0015】
電子銃部3は、X線発生部2の第1筒部2Bの内部に連通して第1筒部2Bの周面から突出する第2筒部3Aを有し、その先端側の開口部には給電用のステムピン3Bを有するステム3Cが装着されている。そして、第2筒部3Aの内部には、第1筒部2B内に収容されたターゲット2Dの反射面2D1に向けて電子線(e)を出射するための電子銃3Dが収容されている。
【0016】
電子銃3Dは、ステムピン3Bから供給される電力によって発熱するヒータ3Eと、ヒータ3Eにより加熱されて熱電子を放出する陰極3F、陰極3Fから放出される熱電子を収束して加速することにより、ターゲット2Dの反射面2D1へ向けて電子線(e)を出射するフォーカスグリッド電極3Gなどを備えて構成されている。
【0017】
ここで、図1、図2および図3に示すように、X線発生部2の第1筒部2Bの周面には、電子銃部3の第2筒部3Aの軸線3Lと平行な一対のカット面2B1,2B1が第1筒部2Bの軸線2Lと平行に形成されている。また、第2筒部3Aが突出する側と反対側の第1筒部2Bの周面には、X線管1の内部を真空化するための排気管(チップ管)5が突設されている。
【0018】
排気管5は、その内端部が第1筒部2Bの内部に連通しており(図2参照)、その外端部は、X線管1内の真空状態を保持するようにチップオフ加工されている。この排気管5の外端部の扁平に潰されて切断されたチップオフ端には、合成樹脂の接着剤6により保護キャップ7が固定されている。
【0019】
このような排気管5は、第1筒部2Bの先端部の周縁と取付フランジ2Aの周縁とに跨って第1筒部2Bの周面を包囲する仮想面の内側において、取付フランジ2Aの近傍に配置されている。すなわち、排気管5は、図1および図2に2点鎖線で示すように、第1筒部2Bの先端部の周縁と取付フランジ2Aの周縁とを結ぶ仮想線Lから外側にはみ出さないように配置されている。
【0020】
以上のように構成された一実施形態のX線管1は、例えば非破壊検査システムを構成する図示しないX線発生装置の筐体に取付フランジ2Aが固定されることにより、筐体の外部にX線発生部2および電子銃部3が露出する状態でX線発生装置に組み込まれる。
【0021】
このようにX線発生装置に組み込まれたX線管1は、図5および図6に示すように、X線カメラXCとの間に配置された板状の試料である試料板SPの内部構造をX線カメラXCにより透視画像として観察するため、X線発生部2のX線出射窓2CからX線カメラXCに向けてX線(x)を照射する(図2参照)。
【0022】
ここで、X線管1のX線発生ポイントXPから試料板SPまでの距離が近い程、X線カメラXCによる試料板SPの透視画像の拡大率が大きくなるため、試料板SPは、通常、X線発生ポイントXPに近接して配置される。また、試料板SPの内部構造を立体的に観察する場合には、試料板SPをX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させる。
【0023】
図5に示すように、試料板SPをX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させた状態で試料板SPの観察ポイントPをX線発生ポイントXPに接近させて立体的に観察する際、2点鎖線で示すように排気管5が長く突出している従来例においては、試料板SPが保護キャップ7に接触する距離まで、すなわち、X線発生ポイントXPから観察ポイントPまでの距離がD1となる距離までしか試料板SPの観察ポイントPをX線発生ポイントXPに接近させることができない。
【0024】
これに対し、図2に示すように排気管5および保護キャップ7が仮想線Lの内側に配置されている一実施形態のX線管1においては、図5に実線で示すように試料板SPが第1筒部2Bの先端部周縁に接触する距離まで、すなわち、X線発生ポイントXPから観察ポイントPまでの距離がD2となる距離まで試料板SPの観察ポイントPをX線発生ポイントXPに接近させることができる。その結果、試料板SPの観察ポイントPの透視画像を一層大きく拡大して観察ポイントPの非破壊検査を一層精密に行うことが可能となる。
【0025】
一方、図6に示すように、試料板SPをX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させてX線発生ポイントXPから距離D3にある試料板SPの観察ポイントPを立体的に観察する際、2点鎖線で示すように排気管5が長く突出している従来例においては、試料板SPを保護キャップ8に接触するまでの角度θ1までしか傾斜させることができない。
【0026】
これに対し、図2に示すように排気管5および保護キャップ7が仮想線Lの内側に配置されている一実施形態のX線管1においては、図6に示すように試料板SPを取付フランジ2Aの周縁に接触する角度θ2まで大きく傾斜させることができる。その結果、試料板SPの観察ポイントPの非破壊検査を立体的に一層精密に行うことが可能となる。
【0027】
ここで、一実施形態のX線管1では、排気管5が取付フランジ2Aの近傍に配置されているため、図5および図6に示すように傾斜した試料板SPに接触しない範囲で排気管5のチップオフ長を長くすることができ、X線管1内を確実に真空化することが可能となる。
【0028】
また、一実施形態のX線管1では、電子銃部3の第2筒部3Aの軸線に沿ったカット面2B1,2B1がX線発生部2の第1筒部2Bの周面に形成されているため、そのカット面2B1,2B1に向かって試料板SPを傾斜させることにより、試料板SPを一層大きく傾斜させることができ、また、試料板SPをX線発生ポイントXPに向かって一層接近させることができる。
【0029】
本発明に係るX線管は、一実施形態に限定されるものではない。例えば、排気管5は、図7に実線で示すように第1筒部2Bの一方のカット面2B1から突出するように配置してもよいし、図7に2点鎖線で示すように電子銃部3の第2筒部3Aに沿って突出するように配置してもよい。
【0030】
第1筒部2Bの一方のカット面2B1から突出するように配置された排気管5は、取付フランジ2Aの近傍に配置することで、チップオフ長をより一層長くすることができ、X線管1内をより確実に真空化することが可能となる。
【0031】
また、第1筒部2Bの基端側に突設される取付フランジ2Aは、図示のような円形に限らず、四角形や六角形などの任意の形状とすることができる。
【0032】
さらに、第1筒部2Bの先端部周縁と取付フランジ2Aの周縁とに跨って第1筒部2Bの周面を包囲する仮想面は、電子銃部3の近傍においては、第1筒部2Bの先端部周縁と第2筒部3Aの外周縁と取付フランジ2Aの周縁との3者に跨って第1筒部2Bの周面を包囲する仮想面とすることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るX線管によれば、先端側の開口部にX線出射窓を有する第1筒部の先端部周縁と取付フランジの周縁とに跨って第1筒部の周面を包囲する仮想面の内側に排気管が配置されているため、試料をX線出射窓に近づけた状態でX線の照射方向と直交する軸廻りに傾斜させる際、排気管が突設された方向にも試料または試料を載持する試料台を第1筒部の先端部周縁または取付フランジの周縁に接触するまで大きく傾斜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線管の概略構造を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示したX線管の縦断面図である。
【図3】図1のIII矢視図図である。
【図4】図1のIV矢視図である。
【図5】一実施形態に係るX線管の第1の作用を説明する側面図である。
【図6】一実施形態に係るX線管の第2の作用を説明する側面図である。
【図7】図1に示した排気管の配置の変形例を示す図4に対応した図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線発生部、2A…取付フランジ、2B…第1筒部、2B1…カット面、2C…X線出射窓、3…電子銃部、3A…第2筒部、3B…ステムピン、3C…ステム、3D…電子銃、3E…ヒータ、3F…陰極、3G…フォーカスグリッド電極、4…バルブ部、4A…バルブ、4B…保持具、4C…高圧陽極、、5…排気管、6…接着剤、7…保護キャップ、L…仮想線、XC…X線カメラ、SP…試料板、P…観察ポイント、XP…X線発生ポイント。
Claims (3)
- 先端側の開口部にX線出射窓を有し、基端側に取付フランジを有する第1筒部と、この第1筒部内に連通して第1筒部の周面から突出する第2筒部とを備えた真空外囲器内に電子銃およびターゲットが収容されており、前記電子銃が前記ターゲットへ向けて電子線を出射し、前記ターゲットが前記X線出射窓を通してX線を出射するように構成されたX線管において、
前記第1筒部の周面には前記真空外囲器内を真空化するための排気管が突設されており、
前記排気管は、前記第1筒部の先端部周縁と前記取付フランジの周縁とに跨って第1筒部の周面を包囲する仮想面の内側に配置されていることを特徴とするX線管。 - 前記排気管が前記取付フランジの近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管。
- 前記第1筒部の周面には、前記第2筒部の軸線に沿ったカット面が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のX線管。
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