JP2004206759A - 磁気転写装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スレーブ媒体、マスター担体あるいはホルダーに不具合を生じさせることなく、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させて高品位に磁気転写することが可能な磁気転写装置を提供する。
【解決手段】片側ホルダー23又は他側ホルダー25の少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材33を少なくともスレーブ媒体31と対峙する領域に配設すると共に、該緩衝材33の配設された内面に、緩衝材33の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い緩衝材33のスレーブ媒体31半径方向への変形を規制する壁部25b,25cを形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】片側ホルダー23又は他側ホルダー25の少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材33を少なくともスレーブ媒体31と対峙する領域に配設すると共に、該緩衝材33の配設された内面に、緩衝材33の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い緩衝材33のスレーブ媒体31半径方向への変形を規制する壁部25b,25cを形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報が担持されたマスター担体からスレーブ媒体へ磁気転写する磁気転写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクの記録密度が高密度化され、これに伴い、記録ヘッドの位置調整を指示する信号であるサーボ信号も細かくなり、このため、磁気転写による書き込み時間の短縮化を図ることが行われつつある。この磁気転写の原理は、ハードディスクに限らず、高密度フレキシブルディスクにも適用可能である。
磁気転写は、少なくとも表層に磁性層を有するサーボ信号等の転写パターンが凹凸形状あるいは埋め込み構造で形成されたマスター担体(パターンドマスター)を、磁気記録部を有するスレーブ媒体と密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報に対応する磁気パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。この磁気転写の一例としては、例えば特許文献1〜4に記載されたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−183623号公報
【特許文献2】
特開平10−40544号公報
【特許文献3】
特開平10−269566号公報
【特許文献4】
特開2001−256644号公報
【0004】
ここで、マスター担体の磁気パターンをスレーブ媒体に転写記録する磁気転写装置の一例を説明する。
図6は磁気転写装置の概略断面図を示すものである。磁気転写装置のホルダー1は、接離移動可能かつ回転可能な片側ホルダー2と他側ホルダー3とを備え、両者の接近に伴い外周のシール部4により密閉形成される内部空間に、中央に開口を有する円盤型のスレーブ媒体5とマスター担体6,7とを対峙密着させる。つまり、双方を接触密着させたり、或いはごく僅かな隙間を空けて対峙させる。
片側ホルダー2の基準面となる押圧内面2aは、一方のマスター担体6及びスレーブ媒体5を保持する。他側ホルダー3は、その内面3aには緩衝材8が備えられ、この他側ホルダー3の内面3aとは反対側の緩衝材8の表面(押圧内面)9に、他方のマスター担体7を保持する。
【0005】
片側ホルダー2の押圧内面2aには、エア通路10に連通する吸引穴2bが形成され、また、片側ホルダー2側の押圧内面9の中央近傍には、エア通路11に連通する吸引穴2cが形成されている。エア通路10,11は真空ポンプに接続されて、吸引圧の導入によってマスター担体6が押圧内面2aに吸着保持され、また、スレーブ媒体5も吸着されてマスター担体6に重なった状態に保持される。
【0006】
他側ホルダー3及び緩衝材8には互いに連通する吸引穴3b、8aが形成されエア通路12に連通されている。また、他側ホルダー3には、他側ホルダー3の中央に連通するエア通路13が形成されている。エア通路12,13は真空ポンプに接続されて、エア通路12による吸引圧の導入によってマスター担体7が他側ホルダー3側の押圧内面9に吸着保持され、エア通路13による吸引圧の導入によって片側ホルダー2及び他側ホルダー3を互いに当接させてシール部4によって密閉した状態にされ、内部空間が減圧される。また、片側ホルダー2及び他側ホルダー3の裏面側には、それぞれ電磁石等からなる磁界印加装置14を備えている。
【0007】
次に、上記構造の磁気転写装置によりスレーブ媒体への磁気転写を行う場合について説明する。
片側ホルダー2にマスター担体6及びスレーブ媒体5を真空ポンプの駆動により吸着保持させ、他側ホルダー3にマスター担体7を保持させた状態で、片側ホルダー2及び他側ホルダー3を互いに当接させる。すると、シール部4により内部空間が密閉され、エア通路13を介して内部空間が減圧される。このようにすると、スレーブ媒体5に他側ホルダー3のマスター担体7が緩衝材8を介して押し付けられ、スレーブ媒体5がマスター担体6、7によって挟持された状態となる。次いで、磁界印加装置14により、トラック方向に対して平行に転写用磁界を発生させた状態で、互いに当接させた片側ホルダー2及び他側ホルダー3を回転させ、スレーブ媒体5及びマスター担体6、7の全面に転写用磁界を印加する。
これにより、スレーブ媒体5の磁気記録部に、マスター担体6、7の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サーボ信号等の細かい信号のパターンをスレーブ媒体5に記録する場合、スレーブ媒体5の全面にいかにマスター担体6、7を密着させるかが信号抜け等の信号品位に大きく影響する。このため、上記装置においては、他側ホルダー3に緩衝材8を設け、この緩衝材8の弾性力によってマスター担体6、7をスレーブ媒体5に押圧する構造としているが、緩衝材8は、押圧時に、その内外周側で半径方向への変形成分を有し、押圧面へ垂直に作用する力が弱くなり、内外周側に向かって次第に圧力低下する圧力分布となってしまう(図6参照)。
【0009】
このため、緩衝材8の内外周付近における圧力不足により、双方の密着が不十分となって信号品位不良の発生原因となる恐れがあった。そこで、全体の押圧力を高めて緩衝材8の内外周付近の圧力を十分なレベルにすることも考えられるが、その場合、緩衝材8の中間部分における圧力が過度となってしまい、スレーブ媒体5及びマスター担体6,7の損傷を招いたり、ホルダー1の変形等により加圧が不均一となったり、ホルダー1自体の損傷等を招く恐れがあった。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スレーブ媒体、マスター担体あるいはホルダーに不具合を生じさせることなく、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させて高品位に磁気転写することが可能な磁気転写装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は下記構成により達成することができる。
(1)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材の配設された前記ホルダー内面に、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い前記緩衝材のスレーブ媒体半径方向への変形を規制する壁部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0012】
この磁気転写装置では、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方の半径方向への変形を拘束する壁部が形成されているので、押圧時に緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させることができ、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0013】
(2)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記緩衝材の内周縁部、外周縁部の少なくとも一方に、その周方向に沿って管状部材が配設されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0014】
この磁気転写装置では、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方の半径方向への変形を拘束する管状部材が配設されているので、押圧時に緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させることができ、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0015】
(3)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記ホルダー内面に前記緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0016】
この磁気転写装置では、ホルダー内面に緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されているので、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の端部である内外周側で、傾斜部によって比較的強く押し当てられるため、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にでき、双方の密着性を向上することができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0017】
(4)前記傾斜部が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど浅くなる傾斜であることを特徴とする(3)記載の磁気転写装置。
【0018】
この磁気転写装置では、傾斜部の傾斜が緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど浅くなるように形成されているため、圧力低下の生じやすい内周側と外周側との少なくとも一方に対する押圧力が高められ、その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化される。
【0019】
(5)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方のホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材が、半径方向に厚み分布を有していることを特徴とする磁気転写装置。
【0020】
この磁気転写装置では、緩衝材が半径方向に厚み分布を有しているので、例えば押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の部位の厚みを増加させることで、比較的強く相手側へ押し当てられるようにでき、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にし、双方の密着性を向上させることができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、マスター担体及びスレーブ媒体に十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0021】
(6)前記厚み分布が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど厚くなる厚み分布であることを特徴とする(5)記載の磁気転写装置。
【0022】
この磁気転写装置では、緩衝材が、内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど厚くなる厚み分布を有しているので、圧力低下の生じやすい内周側と外周側との少なくとも一方に対する押圧力が高められ、その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気転写装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に磁気転写装置の概略断面図を示した。
本実施形態における磁気転写装置100のホルダー21は、両面同時磁気転写を行うものであり、接離移動可能かつ回転可能な片側ホルダー23と他側ホルダー25とを備えている。これら片側ホルダー23及び他側ホルダー25は、それぞれ支持軸24、26を有し、これら支持軸24,26が軸受27,28によって回転自在に支持されている。これら片側ホルダー23及び他側ホルダー25は、図示しない回転駆動機構に連結されて磁気転写時に支持軸24,26を中心として一体に回転駆動される。
【0024】
片側ホルダー23の基準面となる押圧内面23aは、一方のマスター担体29と、スレーブ媒体31とを保持する。他側ホルダー25は、その内面25aに円環平板状の緩衝材33が備えられ、この緩衝材33の他側ホルダー25の内面25aとは反対側の緩衝材33の表面(押圧表面)34に、他方のマスター担体35を保持する。なお、緩衝材33は、少なくともスレーブ媒体31と対峙する領域には配設されるようにする。
【0025】
この緩衝材33としては、例えば弾性率(ヤング率)が5MPa〜200MPaであるものが好ましく、ウレタンゴムやNBR(ニトリルブタジエンゴム)等の弾性体を好適に利用できる。また、この弾性体にフッ素等を含浸させると、表面摩擦係数が小さくなり、発塵を抑制することができる。
【0026】
マスター担体29,35は、中央に開口を有し、円盤型の基板上に形成された微細凹凸パターンに磁性体が被覆され、この磁性体被覆面が、スレーブ媒体31に密着される転写パターンの形成された転写情報担持面となる。マスター担体29、35の基板材料としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等が使用可能であり、凹凸パターンは、スタンバー法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法等により形成することができる。なお、面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体が使用される。
【0027】
他側ホルダー25には、緩衝材33が配設されたホルダー内面25aの内周側及び外周側に、緩衝材33の内周側縁部及び外周側縁部を覆う周方向に沿って立設された壁部25b,25cが形成されている。これにより、緩衝材33は、その内周側側面及び外周側側面が壁部25b,25cによって拘束され、径方向への変形が規制される。なお、壁部25b,25cは周方向に連続した円環状に形成される他にも、周方向に対して離散的に複数箇所に設けた構成であってもよい。また、壁部25b、25cの高さは、緩衝材33の厚みと略同じか若干低く設定されることが好ましい。
【0028】
片側ホルダー23の押圧内面23aには、エア通路39に連通する吸引穴23bが形成され、また、片側ホルダー23の押圧内面23aの中央近傍には、エア通路41に連通する吸引穴23cが形成されている。エア通路39,41は、軸受27に接続されたエアチューブ43を介して図示しない真空ポンプに接続され、真空ポンプからの吸引圧の導入により、マスター担体29が押圧内面23aに吸着保持され、また、スレーブ媒体31が吸着されてマスター担体29に重なった状態に保持される。
【0029】
他側ホルダー25及び緩衝材33には、互いに連通する吸引穴25d,33aが形成され、エア通路45に連通されている。また、他側ホルダー25には、中央部に連通するエア通路47が形成されている。エア通路45,47は、軸受28に接続されたエアチューブ44を介して図示しない真空ポンプに接続されている。真空ポンプからの吸引圧の導入により、マスター担体35が緩衝材33の表面、即ち、他側ホルダー25側の押圧表面34に吸着されて保持され、さらに、片側ホルダー23及び他側ホルダー25を互いに当接させて後述するシール部49によって密閉された状態で内部空間が減圧される。
【0030】
他側ホルダー25の外周に設置されたシール部49は、リング状の部材であり、他側ホルダー25の外周面に突設されたフランジ25eに装着されている。このシール部49の端面には、Oリング等からなる端面シール材53が備えられ、片側ホルダー23に圧接することで内部空間を密閉する。また、シール部49の内周面には、Oリング等からなる周面シール材55が備えられ、他側ホルダー25の周方向に沿って立設された壁部25cの外周面側との間を摺動自在にシールする。
【0031】
そして、このホルダー21では、片側ホルダー23及び他側ホルダー25の接近に伴い外周のシール部49によって密閉形成される内部空間に、スレーブ媒体31とマスター担体29、35とを対峙して密着させる。
片側ホルダー23及び他側ホルダー25のマスター担体29,35の配置側とは反対側の背面側には、それぞれ電磁石等により磁界を発生する磁界印加装置57を備えている。この磁界印加装置57は、例えばスレーブ媒体31とマスター担体29,35の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルを巻き付けた電磁石装置がホルダー21の両側面に配設されてなり、ホルダー21の両側面で転写用磁界を印加するものである。
【0032】
なお、緩衝材33はホルダー21に対して接着等によって固着させてもよく、マスター担体29も緩衝材を介して接着等によって固着保持してもよい。
【0033】
次に、上記構造の磁気転写装置100を用いてスレーブ媒体21へ磁気転写する手順について説明する。
真空ポンプを駆動させて片側ホルダー23にマスター担体29及びスレーブ媒体31を保持させると共に、他側ホルダー25にマスター担体35を保持させた状態で、片側ホルダー23及び他側ホルダー25を互いに当接させ、シール部49により内部空間を密閉し、エア通路47を介して内部空間を減圧する。このようにすると、スレーブ媒体31に他側ホルダー25のマスター担体35が緩衝材33を介して押し付けられ、スレーブ媒体31がマスター担体29,35によって挟持された状態となる。
【0034】
ここで、他側ホルダー25のホルダー内面25aに配設された緩衝材33は、その内周縁部及び外周縁部が壁部25b及び25cによって拘束されている。このように、径方向への変形が規制されているので、押圧時において、円環平板状の緩衝材33に作用する押圧面の内周側から外周側にかけての押圧面の垂直方向の弾性力が、その押圧面全体にわたって均等になる。これにより、緩衝材33の弾性力がマスター担体35へ均一に作用し、その結果、スレーブ媒体31は、均一な圧力分布状態でマスター担体29,35に挟持されて密着される。
【0035】
次いで、磁界印加装置57によりトラック方向と平行に転写用磁界を発生させた状態で、互いに当接させた片側ホルダー23及び他側ホルダー25を回転駆動機構によって回転させ、スレーブ媒体31及びマスター担体29,35の全周面に転写用磁界を印加する。
このように転写用磁界を印加すると、転写用磁界はマスター担体29、35の転写パターンにおけるスレーブ媒体31と密着した磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合には、この部分の初期磁化が反転され、その他の部分の初期磁化は反転しない。その結果、スレーブ媒体31には、マスター担体29,35の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の磁気転写装置100によれば、円環平板状の緩衝材33の内周側側面及び外周側側面が、他側ホルダー25の壁部25b,25cによって押圧表面34に対して垂直方向に拘束されて半径方向への変形が規制される。このため、押圧時においても、その押圧力によって緩衝材33の内周側と外周側が径方向に変形して伸ばされることがなく、押圧力に対抗する緩衝材33からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材33の表面に対して均等に作用する。これにより、スレーブ媒体31が、均一な圧力分布状態でマスター担体29,35に挟持されて密着される。従って、スレーブ媒体31の全面にマスター担体29,35を均一な圧力で密着させて高品位に磁気転写することができ、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、密着性を上げるために押圧力を増加させて局所的に過大な圧力を加える必要がなくなり、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0037】
また、他側ホルダー25に壁部25b,25cを設けた構成以外にも、例えば、この壁部の機能を発揮する管状部材を緩衝材33自体に設けてもよい。即ち、緩衝材33の内周縁部、外周縁部の少なくとも一方に、その周方向に沿って金属等の管状部材を配設する。この管状部材によって緩衝材33の半径方向への変形が規制される。
【0038】
なお、上記の例では、ホルダー21を回転させて磁気転写を行ったが、逆に磁界印加装置57をホルダー21の回りで回転させつつ転写用磁界を印加して磁気転写を行っても良い。また、磁界印加装置57としては、電磁石に限らず永久磁石を用いても良い。
また、上記の例では、スレーブ媒体31の両面にマスター担体29,35を密着させて、ホルダー21の両側から磁界印加装置57によって転写用磁界を印加する両面同時磁気転写を例としたが、これに限らず、スレーブ媒体31の片面にマスター担体を密着させ、ホルダー21の片側に磁界印加装置を設置し、この磁界印加装置によって転写用磁界を印加してスレーブ媒体31の片面だけに磁気転写を行う片面磁気転写の場合にも適用することができる。
【0039】
次に、本発明に係る磁気転写装置の第2実施形態を説明する。
図2は本実施形態の磁気転写装置の概略断面図である。ここで、以降の説明では、前述の図1に示す同一の機能を有する部材に対しては同一の符号を付与することでその説明は省略するものとする。
この磁気転写装置200のホルダー21では、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに、緩衝材33を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されている。この傾斜部は、緩衝材33の内周側と外周側に近づくほど凹状の深みが浅くなる傾斜である。
【0040】
このように、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに傾斜部を形成することにより、押圧時において、圧力低下の生じやすい緩衝材33の端部である内外周側で、この傾斜部によって相手側へ比較的強く押し当てられるようになる。つまり、傾斜部の傾斜が緩衝材33の内周側と外周側に近づくほど浅くなるように形成されているため、緩衝材33の表面となる押圧表面34が押圧方向に変位され、圧力低下の生じやすい内周側と外周側に対する押圧力が高められる。その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化され、マスター担体29,35及びスレーブ媒体31への押圧力を均一にでき、マスター担体29,35とスレーブ媒体31との密着性を向上することができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、第1実施形態同様に、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0041】
なお、上記傾斜部は、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに設ける以外にも、片側ホルダー23、又は片側ホルダー23と他側ホルダー61との両方に設けてもよい。つまり、片側ホルダー23と他側ホルダー61の少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、少なくともマスター担体29や35と対面する領域に緩衝材33を配設すればよい。また、傾斜部は、緩衝材33の内周側と外周側との少なくとも一方にあればよいが、両方に設ける方が押圧力の均一化効果が高くなるため望ましい。
【0042】
ここで、上記した傾斜部は、緩衝材33の弾性率や硬度、厚さ、或いはスレーブ媒体等の大きさによって最適形状が異なる。例として、63.5mm(2.5インチ)の直径のスレーブ媒体に、緩衝材33として厚さ3mm、硬度50度のウレタンを使用した場合の傾斜部の最適形状の一例を以下に示す。
図3に模式的に示したマスター担体とスレーブ媒体と緩衝材の全体に対する、これを受けるホルダー内面25aの形状を示した。
【0043】
図3に示すように、
緩衝材33の内周径L1=23.2mm
ホルダー内面61aの内周側傾斜部の始端径L2=23.5mm
ホルダー内面61aの内周側傾斜部の終端径L3=31.0mm
ホルダー内面61aの外周側傾斜部の終端径L4=57.0mm
ホルダー内面61aの外周側傾斜部の始端径L5=67.5mm
緩衝材33の外周径L6=68.0mm
ホルダー内面61aの外周側高さと傾斜部の深さの差d1=0.025mm
ホルダー内面61aの内周側高さと傾斜部の深さの差d2=0.015mm
緩衝材33とマスター担体35、29とスレーブ媒体31とを積層した厚みt=3.01mm
と設定することで、スレーブ媒体31とマスター担体29,35との良好な密着性を得ることができる。
【0044】
次に、本発明に係る磁気転写装置の第3実施形態を説明する。
図4は、本実施形態の磁気転写装置の概略断面図である。
この磁気転写装置300のホルダー21では、他側ホルダー25に配設された緩衝材65が、その半径方向に厚み分布を有している。この厚み分布は、緩衝材65の内周側と外周側に近づくほど厚くなる厚み分布である。
【0045】
このように、緩衝材65に厚み分布を持たせることにより、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材65の部位の厚みを増加させることにより、相手側に比較的強く押し当てられるようになる。つまり、緩衝材65の内周側と外周側に近づくほど厚くなる厚み分布を持たせることで、押圧表面34を押圧方向に変位させ、圧力低下の生じやすい内周側と外周側に対する押圧力を高めることができる。その結果、緩衝材65の全体にわたって押圧力の分布が均等化され、マスター担体29,35及びスレーブ媒体31への押圧力を均一にできる。そして、マスター担体29,35とスレーブ媒体31との密着性を向上することができ、前述の実施形態同様、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。
【0046】
なお、上記の緩衝材65の厚み分布は、緩衝材65の内周側と外周側との少なくとも一方にあればよいが、両方に設ける方が押圧力の均一化効果が高くなるため望ましい。
【0047】
ここで、上記第2実施形態及び第3実施形態における、押圧方向に変位される押圧表面34は、図5(a)に示す円弧状の凹部として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば図5(b)に示す階段状の段差を段階的に設けることで段付きの凹部として形成したり、図5(c)に示す外周側のみ傾斜部を設けた凹部として形成したり、或いは内周側のみ傾斜部を設けた凹部として形成したり、図5(d)に示す傾斜部が凹部の略船体にわたって傾斜する面である形状であってもよい。このように、押圧表面34の形状を決定する他側ホルダー61の押圧内面61aや緩衝材65の形状等を適宜変更することで、各部材の組合せに応じて最適な形状に設定することができ、高品位な磁気転写が可能となる。また、各ホルダーや緩衝材等の部材の加工を簡略化して、製造コストを抑えることができる。
【0048】
また、緩衝材65を、他側ホルダー25のホルダー内面25aに沿って緩衝材表面を略隙間なく取り付けすることにより、マスター担体35側とは反対側のホルダー内面25a側に緩衝材65の凹部が配置される方向で、この緩衝材65をホルダー21内に組み付けることができる。これにより、方向性を気にすることなく緩衝材65の組み付けが行え、スレーブ媒体31を交換する場合等の磁気転写工程を簡略化できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の磁気転写装置によれば、接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置に対して、緩衝材の配設されたホルダー内面に、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い緩衝材のスレーブ媒体半径方向への変形を規制する壁部を形成したことにより、押圧時における緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体、マスター担体、あるいはホルダーに不具合を生じさせることなく、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させ、高品位な磁気転写することができる。
また、ホルダー内面に緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部を形成し、或いは、緩衝材が半径方向に厚み分布を有するようにすることで、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の端部である内外周側で、傾斜部や厚み分布によって比較的強く相手側に押し当てて、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にでき、双方の密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気転写装置の構造を示す磁気転写装置の概略断面図である。
【図2】本発明に係る磁気転写装置の他側ホルダーに凹部を形成した構造を示す磁気転写装置の概略断面図である。
【図3】磁気転写装置のホルダー内面等の一寸法例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る磁気転写装置の緩衝材に凹部を形成した構造を説明する磁気転写装置の概略断面図である。
【図5】ホルダー面及び緩衝材の押圧内面に対する断面形状の例を示す説明図である。
【図6】従来の磁気転写装置の構造を説明する磁気転写装置の概略断面図である。
【符号の説明】
21 ホルダー
23 片側ホルダー
25,61 他側ホルダー
25a,61a ホルダー内面
25b,25c 壁部
29,35 マスター担体
31 スレーブ媒体
33,65 緩衝材
34 押圧内面
100,200,300 磁気転写装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報が担持されたマスター担体からスレーブ媒体へ磁気転写する磁気転写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクの記録密度が高密度化され、これに伴い、記録ヘッドの位置調整を指示する信号であるサーボ信号も細かくなり、このため、磁気転写による書き込み時間の短縮化を図ることが行われつつある。この磁気転写の原理は、ハードディスクに限らず、高密度フレキシブルディスクにも適用可能である。
磁気転写は、少なくとも表層に磁性層を有するサーボ信号等の転写パターンが凹凸形状あるいは埋め込み構造で形成されたマスター担体(パターンドマスター)を、磁気記録部を有するスレーブ媒体と密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報に対応する磁気パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。この磁気転写の一例としては、例えば特許文献1〜4に記載されたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−183623号公報
【特許文献2】
特開平10−40544号公報
【特許文献3】
特開平10−269566号公報
【特許文献4】
特開2001−256644号公報
【0004】
ここで、マスター担体の磁気パターンをスレーブ媒体に転写記録する磁気転写装置の一例を説明する。
図6は磁気転写装置の概略断面図を示すものである。磁気転写装置のホルダー1は、接離移動可能かつ回転可能な片側ホルダー2と他側ホルダー3とを備え、両者の接近に伴い外周のシール部4により密閉形成される内部空間に、中央に開口を有する円盤型のスレーブ媒体5とマスター担体6,7とを対峙密着させる。つまり、双方を接触密着させたり、或いはごく僅かな隙間を空けて対峙させる。
片側ホルダー2の基準面となる押圧内面2aは、一方のマスター担体6及びスレーブ媒体5を保持する。他側ホルダー3は、その内面3aには緩衝材8が備えられ、この他側ホルダー3の内面3aとは反対側の緩衝材8の表面(押圧内面)9に、他方のマスター担体7を保持する。
【0005】
片側ホルダー2の押圧内面2aには、エア通路10に連通する吸引穴2bが形成され、また、片側ホルダー2側の押圧内面9の中央近傍には、エア通路11に連通する吸引穴2cが形成されている。エア通路10,11は真空ポンプに接続されて、吸引圧の導入によってマスター担体6が押圧内面2aに吸着保持され、また、スレーブ媒体5も吸着されてマスター担体6に重なった状態に保持される。
【0006】
他側ホルダー3及び緩衝材8には互いに連通する吸引穴3b、8aが形成されエア通路12に連通されている。また、他側ホルダー3には、他側ホルダー3の中央に連通するエア通路13が形成されている。エア通路12,13は真空ポンプに接続されて、エア通路12による吸引圧の導入によってマスター担体7が他側ホルダー3側の押圧内面9に吸着保持され、エア通路13による吸引圧の導入によって片側ホルダー2及び他側ホルダー3を互いに当接させてシール部4によって密閉した状態にされ、内部空間が減圧される。また、片側ホルダー2及び他側ホルダー3の裏面側には、それぞれ電磁石等からなる磁界印加装置14を備えている。
【0007】
次に、上記構造の磁気転写装置によりスレーブ媒体への磁気転写を行う場合について説明する。
片側ホルダー2にマスター担体6及びスレーブ媒体5を真空ポンプの駆動により吸着保持させ、他側ホルダー3にマスター担体7を保持させた状態で、片側ホルダー2及び他側ホルダー3を互いに当接させる。すると、シール部4により内部空間が密閉され、エア通路13を介して内部空間が減圧される。このようにすると、スレーブ媒体5に他側ホルダー3のマスター担体7が緩衝材8を介して押し付けられ、スレーブ媒体5がマスター担体6、7によって挟持された状態となる。次いで、磁界印加装置14により、トラック方向に対して平行に転写用磁界を発生させた状態で、互いに当接させた片側ホルダー2及び他側ホルダー3を回転させ、スレーブ媒体5及びマスター担体6、7の全面に転写用磁界を印加する。
これにより、スレーブ媒体5の磁気記録部に、マスター担体6、7の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サーボ信号等の細かい信号のパターンをスレーブ媒体5に記録する場合、スレーブ媒体5の全面にいかにマスター担体6、7を密着させるかが信号抜け等の信号品位に大きく影響する。このため、上記装置においては、他側ホルダー3に緩衝材8を設け、この緩衝材8の弾性力によってマスター担体6、7をスレーブ媒体5に押圧する構造としているが、緩衝材8は、押圧時に、その内外周側で半径方向への変形成分を有し、押圧面へ垂直に作用する力が弱くなり、内外周側に向かって次第に圧力低下する圧力分布となってしまう(図6参照)。
【0009】
このため、緩衝材8の内外周付近における圧力不足により、双方の密着が不十分となって信号品位不良の発生原因となる恐れがあった。そこで、全体の押圧力を高めて緩衝材8の内外周付近の圧力を十分なレベルにすることも考えられるが、その場合、緩衝材8の中間部分における圧力が過度となってしまい、スレーブ媒体5及びマスター担体6,7の損傷を招いたり、ホルダー1の変形等により加圧が不均一となったり、ホルダー1自体の損傷等を招く恐れがあった。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スレーブ媒体、マスター担体あるいはホルダーに不具合を生じさせることなく、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させて高品位に磁気転写することが可能な磁気転写装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は下記構成により達成することができる。
(1)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材の配設された前記ホルダー内面に、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い前記緩衝材のスレーブ媒体半径方向への変形を規制する壁部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0012】
この磁気転写装置では、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方の半径方向への変形を拘束する壁部が形成されているので、押圧時に緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させることができ、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0013】
(2)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記緩衝材の内周縁部、外周縁部の少なくとも一方に、その周方向に沿って管状部材が配設されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0014】
この磁気転写装置では、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方の半径方向への変形を拘束する管状部材が配設されているので、押圧時に緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させることができ、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0015】
(3)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記ホルダー内面に前記緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。
【0016】
この磁気転写装置では、ホルダー内面に緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されているので、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の端部である内外周側で、傾斜部によって比較的強く押し当てられるため、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にでき、双方の密着性を向上することができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0017】
(4)前記傾斜部が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど浅くなる傾斜であることを特徴とする(3)記載の磁気転写装置。
【0018】
この磁気転写装置では、傾斜部の傾斜が緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど浅くなるように形成されているため、圧力低下の生じやすい内周側と外周側との少なくとも一方に対する押圧力が高められ、その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化される。
【0019】
(5)接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方のホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材が、半径方向に厚み分布を有していることを特徴とする磁気転写装置。
【0020】
この磁気転写装置では、緩衝材が半径方向に厚み分布を有しているので、例えば押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の部位の厚みを増加させることで、比較的強く相手側へ押し当てられるようにでき、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にし、双方の密着性を向上させることができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、マスター担体及びスレーブ媒体に十分な密着性が得られるため、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0021】
(6)前記厚み分布が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど厚くなる厚み分布であることを特徴とする(5)記載の磁気転写装置。
【0022】
この磁気転写装置では、緩衝材が、内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど厚くなる厚み分布を有しているので、圧力低下の生じやすい内周側と外周側との少なくとも一方に対する押圧力が高められ、その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気転写装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に磁気転写装置の概略断面図を示した。
本実施形態における磁気転写装置100のホルダー21は、両面同時磁気転写を行うものであり、接離移動可能かつ回転可能な片側ホルダー23と他側ホルダー25とを備えている。これら片側ホルダー23及び他側ホルダー25は、それぞれ支持軸24、26を有し、これら支持軸24,26が軸受27,28によって回転自在に支持されている。これら片側ホルダー23及び他側ホルダー25は、図示しない回転駆動機構に連結されて磁気転写時に支持軸24,26を中心として一体に回転駆動される。
【0024】
片側ホルダー23の基準面となる押圧内面23aは、一方のマスター担体29と、スレーブ媒体31とを保持する。他側ホルダー25は、その内面25aに円環平板状の緩衝材33が備えられ、この緩衝材33の他側ホルダー25の内面25aとは反対側の緩衝材33の表面(押圧表面)34に、他方のマスター担体35を保持する。なお、緩衝材33は、少なくともスレーブ媒体31と対峙する領域には配設されるようにする。
【0025】
この緩衝材33としては、例えば弾性率(ヤング率)が5MPa〜200MPaであるものが好ましく、ウレタンゴムやNBR(ニトリルブタジエンゴム)等の弾性体を好適に利用できる。また、この弾性体にフッ素等を含浸させると、表面摩擦係数が小さくなり、発塵を抑制することができる。
【0026】
マスター担体29,35は、中央に開口を有し、円盤型の基板上に形成された微細凹凸パターンに磁性体が被覆され、この磁性体被覆面が、スレーブ媒体31に密着される転写パターンの形成された転写情報担持面となる。マスター担体29、35の基板材料としては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、合金、セラミックス、合成樹脂等が使用可能であり、凹凸パターンは、スタンバー法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法等により形成することができる。なお、面内記録と垂直記録とで、ほぼ同様のマスター担体が使用される。
【0027】
他側ホルダー25には、緩衝材33が配設されたホルダー内面25aの内周側及び外周側に、緩衝材33の内周側縁部及び外周側縁部を覆う周方向に沿って立設された壁部25b,25cが形成されている。これにより、緩衝材33は、その内周側側面及び外周側側面が壁部25b,25cによって拘束され、径方向への変形が規制される。なお、壁部25b,25cは周方向に連続した円環状に形成される他にも、周方向に対して離散的に複数箇所に設けた構成であってもよい。また、壁部25b、25cの高さは、緩衝材33の厚みと略同じか若干低く設定されることが好ましい。
【0028】
片側ホルダー23の押圧内面23aには、エア通路39に連通する吸引穴23bが形成され、また、片側ホルダー23の押圧内面23aの中央近傍には、エア通路41に連通する吸引穴23cが形成されている。エア通路39,41は、軸受27に接続されたエアチューブ43を介して図示しない真空ポンプに接続され、真空ポンプからの吸引圧の導入により、マスター担体29が押圧内面23aに吸着保持され、また、スレーブ媒体31が吸着されてマスター担体29に重なった状態に保持される。
【0029】
他側ホルダー25及び緩衝材33には、互いに連通する吸引穴25d,33aが形成され、エア通路45に連通されている。また、他側ホルダー25には、中央部に連通するエア通路47が形成されている。エア通路45,47は、軸受28に接続されたエアチューブ44を介して図示しない真空ポンプに接続されている。真空ポンプからの吸引圧の導入により、マスター担体35が緩衝材33の表面、即ち、他側ホルダー25側の押圧表面34に吸着されて保持され、さらに、片側ホルダー23及び他側ホルダー25を互いに当接させて後述するシール部49によって密閉された状態で内部空間が減圧される。
【0030】
他側ホルダー25の外周に設置されたシール部49は、リング状の部材であり、他側ホルダー25の外周面に突設されたフランジ25eに装着されている。このシール部49の端面には、Oリング等からなる端面シール材53が備えられ、片側ホルダー23に圧接することで内部空間を密閉する。また、シール部49の内周面には、Oリング等からなる周面シール材55が備えられ、他側ホルダー25の周方向に沿って立設された壁部25cの外周面側との間を摺動自在にシールする。
【0031】
そして、このホルダー21では、片側ホルダー23及び他側ホルダー25の接近に伴い外周のシール部49によって密閉形成される内部空間に、スレーブ媒体31とマスター担体29、35とを対峙して密着させる。
片側ホルダー23及び他側ホルダー25のマスター担体29,35の配置側とは反対側の背面側には、それぞれ電磁石等により磁界を発生する磁界印加装置57を備えている。この磁界印加装置57は、例えばスレーブ媒体31とマスター担体29,35の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルを巻き付けた電磁石装置がホルダー21の両側面に配設されてなり、ホルダー21の両側面で転写用磁界を印加するものである。
【0032】
なお、緩衝材33はホルダー21に対して接着等によって固着させてもよく、マスター担体29も緩衝材を介して接着等によって固着保持してもよい。
【0033】
次に、上記構造の磁気転写装置100を用いてスレーブ媒体21へ磁気転写する手順について説明する。
真空ポンプを駆動させて片側ホルダー23にマスター担体29及びスレーブ媒体31を保持させると共に、他側ホルダー25にマスター担体35を保持させた状態で、片側ホルダー23及び他側ホルダー25を互いに当接させ、シール部49により内部空間を密閉し、エア通路47を介して内部空間を減圧する。このようにすると、スレーブ媒体31に他側ホルダー25のマスター担体35が緩衝材33を介して押し付けられ、スレーブ媒体31がマスター担体29,35によって挟持された状態となる。
【0034】
ここで、他側ホルダー25のホルダー内面25aに配設された緩衝材33は、その内周縁部及び外周縁部が壁部25b及び25cによって拘束されている。このように、径方向への変形が規制されているので、押圧時において、円環平板状の緩衝材33に作用する押圧面の内周側から外周側にかけての押圧面の垂直方向の弾性力が、その押圧面全体にわたって均等になる。これにより、緩衝材33の弾性力がマスター担体35へ均一に作用し、その結果、スレーブ媒体31は、均一な圧力分布状態でマスター担体29,35に挟持されて密着される。
【0035】
次いで、磁界印加装置57によりトラック方向と平行に転写用磁界を発生させた状態で、互いに当接させた片側ホルダー23及び他側ホルダー25を回転駆動機構によって回転させ、スレーブ媒体31及びマスター担体29,35の全周面に転写用磁界を印加する。
このように転写用磁界を印加すると、転写用磁界はマスター担体29、35の転写パターンにおけるスレーブ媒体31と密着した磁性体による凸部パターンに吸い込まれ、面内記録の場合には、この部分の初期磁化が反転され、その他の部分の初期磁化は反転しない。その結果、スレーブ媒体31には、マスター担体29,35の転写パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の磁気転写装置100によれば、円環平板状の緩衝材33の内周側側面及び外周側側面が、他側ホルダー25の壁部25b,25cによって押圧表面34に対して垂直方向に拘束されて半径方向への変形が規制される。このため、押圧時においても、その押圧力によって緩衝材33の内周側と外周側が径方向に変形して伸ばされることがなく、押圧力に対抗する緩衝材33からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材33の表面に対して均等に作用する。これにより、スレーブ媒体31が、均一な圧力分布状態でマスター担体29,35に挟持されて密着される。従って、スレーブ媒体31の全面にマスター担体29,35を均一な圧力で密着させて高品位に磁気転写することができ、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、密着性を上げるために押圧力を増加させて局所的に過大な圧力を加える必要がなくなり、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0037】
また、他側ホルダー25に壁部25b,25cを設けた構成以外にも、例えば、この壁部の機能を発揮する管状部材を緩衝材33自体に設けてもよい。即ち、緩衝材33の内周縁部、外周縁部の少なくとも一方に、その周方向に沿って金属等の管状部材を配設する。この管状部材によって緩衝材33の半径方向への変形が規制される。
【0038】
なお、上記の例では、ホルダー21を回転させて磁気転写を行ったが、逆に磁界印加装置57をホルダー21の回りで回転させつつ転写用磁界を印加して磁気転写を行っても良い。また、磁界印加装置57としては、電磁石に限らず永久磁石を用いても良い。
また、上記の例では、スレーブ媒体31の両面にマスター担体29,35を密着させて、ホルダー21の両側から磁界印加装置57によって転写用磁界を印加する両面同時磁気転写を例としたが、これに限らず、スレーブ媒体31の片面にマスター担体を密着させ、ホルダー21の片側に磁界印加装置を設置し、この磁界印加装置によって転写用磁界を印加してスレーブ媒体31の片面だけに磁気転写を行う片面磁気転写の場合にも適用することができる。
【0039】
次に、本発明に係る磁気転写装置の第2実施形態を説明する。
図2は本実施形態の磁気転写装置の概略断面図である。ここで、以降の説明では、前述の図1に示す同一の機能を有する部材に対しては同一の符号を付与することでその説明は省略するものとする。
この磁気転写装置200のホルダー21では、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに、緩衝材33を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されている。この傾斜部は、緩衝材33の内周側と外周側に近づくほど凹状の深みが浅くなる傾斜である。
【0040】
このように、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに傾斜部を形成することにより、押圧時において、圧力低下の生じやすい緩衝材33の端部である内外周側で、この傾斜部によって相手側へ比較的強く押し当てられるようになる。つまり、傾斜部の傾斜が緩衝材33の内周側と外周側に近づくほど浅くなるように形成されているため、緩衝材33の表面となる押圧表面34が押圧方向に変位され、圧力低下の生じやすい内周側と外周側に対する押圧力が高められる。その結果、緩衝材の全体にわたって押圧力の分布が均等化され、マスター担体29,35及びスレーブ媒体31への押圧力を均一にでき、マスター担体29,35とスレーブ媒体31との密着性を向上することができる。これにより、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。また、十分な密着性が得られるため、第1実施形態同様に、局所的に過大な圧力を加える必要がなく、スレーブ媒体、マスター担体、或いはホルダーに損傷を与える虞もなくなる。
【0041】
なお、上記傾斜部は、他側ホルダー61の緩衝材33が配設されるホルダー内面61aに設ける以外にも、片側ホルダー23、又は片側ホルダー23と他側ホルダー61との両方に設けてもよい。つまり、片側ホルダー23と他側ホルダー61の少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、少なくともマスター担体29や35と対面する領域に緩衝材33を配設すればよい。また、傾斜部は、緩衝材33の内周側と外周側との少なくとも一方にあればよいが、両方に設ける方が押圧力の均一化効果が高くなるため望ましい。
【0042】
ここで、上記した傾斜部は、緩衝材33の弾性率や硬度、厚さ、或いはスレーブ媒体等の大きさによって最適形状が異なる。例として、63.5mm(2.5インチ)の直径のスレーブ媒体に、緩衝材33として厚さ3mm、硬度50度のウレタンを使用した場合の傾斜部の最適形状の一例を以下に示す。
図3に模式的に示したマスター担体とスレーブ媒体と緩衝材の全体に対する、これを受けるホルダー内面25aの形状を示した。
【0043】
図3に示すように、
緩衝材33の内周径L1=23.2mm
ホルダー内面61aの内周側傾斜部の始端径L2=23.5mm
ホルダー内面61aの内周側傾斜部の終端径L3=31.0mm
ホルダー内面61aの外周側傾斜部の終端径L4=57.0mm
ホルダー内面61aの外周側傾斜部の始端径L5=67.5mm
緩衝材33の外周径L6=68.0mm
ホルダー内面61aの外周側高さと傾斜部の深さの差d1=0.025mm
ホルダー内面61aの内周側高さと傾斜部の深さの差d2=0.015mm
緩衝材33とマスター担体35、29とスレーブ媒体31とを積層した厚みt=3.01mm
と設定することで、スレーブ媒体31とマスター担体29,35との良好な密着性を得ることができる。
【0044】
次に、本発明に係る磁気転写装置の第3実施形態を説明する。
図4は、本実施形態の磁気転写装置の概略断面図である。
この磁気転写装置300のホルダー21では、他側ホルダー25に配設された緩衝材65が、その半径方向に厚み分布を有している。この厚み分布は、緩衝材65の内周側と外周側に近づくほど厚くなる厚み分布である。
【0045】
このように、緩衝材65に厚み分布を持たせることにより、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材65の部位の厚みを増加させることにより、相手側に比較的強く押し当てられるようになる。つまり、緩衝材65の内周側と外周側に近づくほど厚くなる厚み分布を持たせることで、押圧表面34を押圧方向に変位させ、圧力低下の生じやすい内周側と外周側に対する押圧力を高めることができる。その結果、緩衝材65の全体にわたって押圧力の分布が均等化され、マスター担体29,35及びスレーブ媒体31への押圧力を均一にできる。そして、マスター担体29,35とスレーブ媒体31との密着性を向上することができ、前述の実施形態同様、高品位な磁気転写が行え、良好な信号品位を得ることができる。
【0046】
なお、上記の緩衝材65の厚み分布は、緩衝材65の内周側と外周側との少なくとも一方にあればよいが、両方に設ける方が押圧力の均一化効果が高くなるため望ましい。
【0047】
ここで、上記第2実施形態及び第3実施形態における、押圧方向に変位される押圧表面34は、図5(a)に示す円弧状の凹部として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば図5(b)に示す階段状の段差を段階的に設けることで段付きの凹部として形成したり、図5(c)に示す外周側のみ傾斜部を設けた凹部として形成したり、或いは内周側のみ傾斜部を設けた凹部として形成したり、図5(d)に示す傾斜部が凹部の略船体にわたって傾斜する面である形状であってもよい。このように、押圧表面34の形状を決定する他側ホルダー61の押圧内面61aや緩衝材65の形状等を適宜変更することで、各部材の組合せに応じて最適な形状に設定することができ、高品位な磁気転写が可能となる。また、各ホルダーや緩衝材等の部材の加工を簡略化して、製造コストを抑えることができる。
【0048】
また、緩衝材65を、他側ホルダー25のホルダー内面25aに沿って緩衝材表面を略隙間なく取り付けすることにより、マスター担体35側とは反対側のホルダー内面25a側に緩衝材65の凹部が配置される方向で、この緩衝材65をホルダー21内に組み付けることができる。これにより、方向性を気にすることなく緩衝材65の組み付けが行え、スレーブ媒体31を交換する場合等の磁気転写工程を簡略化できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の磁気転写装置によれば、接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置に対して、緩衝材の配設されたホルダー内面に、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い緩衝材のスレーブ媒体半径方向への変形を規制する壁部を形成したことにより、押圧時における緩衝材の半径方向への変形が規制され、緩衝材の内外周側における緩衝材からの弾性復元力が、押圧方向に対して略平行な方向へ確実に作用して、緩衝材の弾性力を均一化させることができる。これにより、スレーブ媒体、マスター担体、あるいはホルダーに不具合を生じさせることなく、スレーブ媒体の全面にマスター担体を均一な圧力で密着させ、高品位な磁気転写することができる。
また、ホルダー内面に緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部を形成し、或いは、緩衝材が半径方向に厚み分布を有するようにすることで、押圧時において圧力低下の生じやすい緩衝材の端部である内外周側で、傾斜部や厚み分布によって比較的強く相手側に押し当てて、マスター担体及びスレーブ媒体への押圧力を均一にでき、双方の密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気転写装置の構造を示す磁気転写装置の概略断面図である。
【図2】本発明に係る磁気転写装置の他側ホルダーに凹部を形成した構造を示す磁気転写装置の概略断面図である。
【図3】磁気転写装置のホルダー内面等の一寸法例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る磁気転写装置の緩衝材に凹部を形成した構造を説明する磁気転写装置の概略断面図である。
【図5】ホルダー面及び緩衝材の押圧内面に対する断面形状の例を示す説明図である。
【図6】従来の磁気転写装置の構造を説明する磁気転写装置の概略断面図である。
【符号の説明】
21 ホルダー
23 片側ホルダー
25,61 他側ホルダー
25a,61a ホルダー内面
25b,25c 壁部
29,35 マスター担体
31 スレーブ媒体
33,65 緩衝材
34 押圧内面
100,200,300 磁気転写装置
Claims (6)
- 接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、
前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材の配設された前記ホルダー内面に、緩衝材の内周側縁部と外周側縁部との少なくとも一方を周方向に沿って覆い前記緩衝材のスレーブ媒体半径方向への変形を規制する壁部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。 - 接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、
前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記緩衝材の内周縁部、外周縁部の少なくとも一方に、その周方向に沿って管状部材が配設されていることを特徴とする磁気転写装置。 - 接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、
前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方の対峙するホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、前記ホルダー内面に前記緩衝材を受ける領域を凹状とする傾斜部が形成されていることを特徴とする磁気転写装置。 - 前記傾斜部が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど浅くなる傾斜であることを特徴とする請求項3記載の磁気転写装置。
- 接離移動する片側ホルダーと他側ホルダーとの間に開閉される内部空間に、転写情報を担持したマスター担体と転写を受けるスレーブ媒体とを収容して、これらマスター担体及びスレーブ媒体を対向側から押圧して対峙密着させるホルダーを備えた磁気転写装置であって、
前記片側ホルダー又は前記他側ホルダーの少なくとも一方のホルダー内面に、弾性を有する緩衝材が少なくとも前記スレーブ媒体と対峙する領域に配設されると共に、該緩衝材が、半径方向に厚み分布を有していることを特徴とする磁気転写装置。 - 前記厚み分布が、前記緩衝材の内周側と外周側との少なくとも一方に近づくほど厚くなる厚み分布であることを特徴とする請求項5記載の磁気転写装置。
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JP2002372520A JP2004206759A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 磁気転写装置 |
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JP2002372520A JP2004206759A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 磁気転写装置 |
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JP2002372520A Pending JP2004206759A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 磁気転写装置 |
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2002
- 2002-12-24 JP JP2002372520A patent/JP2004206759A/ja active Pending
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