JP2004205775A - 光学ユニットの作製方法 - Google Patents

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勇一 新
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Abstract

【課題】複数の光学素子を組み合わせて一体とした光学ユニットを組み立てるにあたり、簡易な工程で組立後の光学ユニットの個々の光学素子の位置精度を向上する。
【解決手段】樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子とを組み合わせて一体とした部分を有する光学ユニットを組み立てるにあたり、前記樹脂からなる光学素子の光学機能部周縁に受容部を設け、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁を該受容部にはめ込んで嵌合する構成とし、加温により該樹脂からなる光学素子の受容部を熱膨張させて、ガラスからなる光学素子をはめ込む光学素子の作製方法。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子を組み合わせて一体とした光学素子の作製方法に関し、詳しくは、簡易な工程で組立後の光学ユニットの個々の光学素子の位置精度が向上できる光学素子の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、400〜450nmという短波長の青紫色レーザを使用した光記録方式を用いる、次世代DVDの開発に電気・情報通信分野の各社がしのぎを削っている。これは高開口数レンズとの併用により、650nm程度の赤色レーザを用いる現在のDVDに比べて高密度の記録が行なえるものである。
【0003】
ところで単レンズで光ピックアップ用対物レンズの高開口数を達成することは、両光学面のシフト等によるレンズ性能への誤差感度が大きくなり、更に光ピックアップの光源に400nm程度の青紫色レーザを使用するといった光源波長の短波長化を図る場合にはその誤差感度が更に著しく大きくなるため、金型製作や成型における技術的難度が高くなり、その実現は極めて難しいという問題がある。また、難度の高い技術を駆使して最終的に得られたレンズは、必然的に高価なものとならざるを得ないという問題もある。
【0004】
その問題を解消するために、本出願人は2以上のプラスチックモールドレンズを組み合わせて一体化した光ピックアップ用対物レンズを提案し、実用に供した(例えば特許文献1参照)。
【0005】
更に短波長のレーザを用いる光記録の場合、レーザダイオードの発振波長が急激に変化すると、光ディスクの記録面上の集光スポットの位置がズレ、あまりに急激であるとフォーカシングが追いつかない問題を避けるため、色収差補正素子をレンズと一体化して併用するのが実用的である(色収差補正素子については、例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−269794号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平6−82725号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような理由から、例えば次世代DVDに対応する光ピックアップ用対物レンズとしての、複数の光学素子(レンズを含む)を組み合わせて一体化したもの(以下、光学ユニット)は図1に示す様な形態となる。
【0009】
図1(a)はレーザ光源側から見た背面図であり、図1(b)は図1(a)のP−P断面を示す。
【0010】
レーザ光源からの光束は、ビームスプリッタを透過し、コリメータレンズを介して平行光束にされ、1/4波長板を透過し(以上、図示せず)、図1(b)の如く色収差補正素子11に入射する様に構成される。この色収差補正素子11は上記特許文献2に記載のものと同様の構造で、樹脂により成形されている。12は結像系を構成する光学素子であり、ここではガラスレンズである。なお13は光ディスクであり、13aは透明保護層である。この様に、機能により色収差補正と結像に関わる部分を分離した構成の光学ユニット10とすることで、個々の金型制作や成型を容易にでき、安定的製造が可能になる。
【0011】
しかしながら、この様に光学素子を一体化するに当たって、色収差補正素子11とガラスレンズ12の光軸方向の相対的位置決めにより両者の間隔を所定の距離にし、光軸に垂直な方向の相対的位置決めにより色収差補正素子11の光軸とガラスレンズ12の光軸とを一致、もしくは所望の範囲内のずれ量とする必要があり、この様な、軸方向の相対的位置決め、或いは光軸に垂直な方向の相対的位置決めを高精度に行う組み立て工程はいくつもの工数を有する複雑なものであった。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の光学素子を組み合わせて一体とした光学ユニットを組み立てるにあたり、簡易な工程で組立後の光学ユニットの個々の光学素子の位置精度を向上することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
1) 樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子とを組み合わせて一体とした部分を有する光学ユニットを組み立てるにあたり、前記樹脂からなる光学素子の光学機能部周縁に受容部を設け、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁を該受容部にはめ込んで嵌合する構成とし、加温により該樹脂からなる光学素子の受容部を熱膨張させて、ガラスからなる光学素子をはめ込む光学ユニットの作製方法、
2) 樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子おを組み合わせて一体とした部分を有する光学ユニットを組み立てるにあたり、前記樹脂からなる光学素子の光学機能部周縁に受容部を設け、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁を該受容部にはめ込んで嵌合する構成とし、該樹脂からなる光学素子を成型して型抜きした後、冷却前にガラスからなる光学素子をはめ込む光学ユニットの作製方法、
によって達成される。
【0014】
即ち本発明者は、樹脂材料の熱膨張率が非常に大きいことに着目し、樹脂からなる光学素子に設ける、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁の受容部を、光学ユニットの使用環境温度(常温)ではガラス光学素子がはめられない大きさに形成し、加温によって膨張させ、又は成型して型抜きした後の冷却前で、嵌合可能なサイズの時に、ガラス光学素子の光学機能部周縁を受容部の所定位置まで押し込んで嵌合させ、冷却して閉まり締めにすると、組立後の両光学素子のクリアランスを0〜数μmとすることができて、組立後の光学ユニットの個々の光学素子の位置精度を向上できることを見出し、本発明に至った。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図も用いて本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定される訳ではない。
【0016】
図2は本発明に係る光学ユニットの作製工程の1例をモデル的に断面図で示すものである。
【0017】
図の工程においては、図示しない駆動系で矢印方向に間欠的に移動される搬送台100上に、光学素子の台座となり、双方向に回転するネスト111、112が等間隔で配置される。ここでは、ネスト111の台座113に樹脂からなる色収差補正素子11が光学素子供給装置121により設置され、図示しないファンにより温風が吹き付けられ、色収差補正素子11の光学機能部周縁のガラスレンズ受容部を熱膨張させ、嵌合可能なサイズの時に、光学素子供給装置121によりガラスレンズ12を供給し、2つの光学素子が重ねられた状態でネスト112の位置に進み、レンズ押さえ130の圧接部132で押圧され、ガラスレンズが所定位置まで押し込まれて勘合され、図示しない冷却ファンで冷却されて閉まり締めにされる。嵌合が終了すると図示しない光学ユニット取り出し手段により光学ユニット10は取り出されて次工程に搬送される。
【0018】
なお加温は、温風の吹きつけばかりではなく、ネスト111の台座113や、光学素子供給装置121の先端122にヒータを内蔵させる等、様々な形態をとり得る。
【0019】
ここでネスト111に供給される色収差補正素子11が、成型されて型抜き直後のもので有れば、温風などで加温して熱膨張させる必要が無く好ましい。
【0020】
色収差補正素子11の設置、ガラスレンズ12の供給、レンズ押さえ130の圧接部132の当接の各位置決めはネストの回転で調整される。なお嵌合後光学素子同士の当接部周縁を接着剤や超音波溶着で補強してもよく、その場合もネストの回転に伴って処理が行われる。なお接着剤を用いる場合は紫外線硬化性のものが好ましい。
【0021】
光学素子供給装置121は昇降可能に構成され、ネスト111の台座112に先端122が接触する状態で光学素子供給路123から吸引により素子が供給され、ネスト111の回転により位置決めされて配置される。
【0022】
レンズ押さえ130は設置部材(図示せず)に保持されて下降し、ネスト112の回転により押圧部材132と光学ユニット10の位置合わせがされてローレット112上に設置される。押圧部材132の先端は光学ユニット10を保護するためゴムなどの弾性部材で構成される。なおレンズ押さえ130の下端部134も弾性部材から構成されると、光学ユニットへの押圧が均等に行われ好ましい。
【0023】
なお101はサクション等により塵芥を取り除く塵芥除去穴である。
また例えば図3(a)に示す如く、色収差補正素子に設ける受容部11aについては、その内径をガラスレンズの光学機能部周縁の外径よりも大きく形成すると共に、突起部11bを3つ設け、当該突起部でガラスレンズと嵌合する形態とすれば、ロットの金型に起因して多少受容部形状にバラツキが生じても、突起形状の調整により精度良く光軸を合わせることができる。
【0024】
他の受容部11aの形態として、図3(b)の様に、切り欠き11cを3カ所に入れた形態とすれば、ガラスレンズを押し込んで嵌合する際の押圧力を小さくすることができる。更に嵌合壁11dの内径をガラスレンズの光学機能部周縁の外径よりも大きく形成し、上記の様な突起部11bを設けることもできる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の光学素子を組み合わせて一体とした光学ユニットを簡易な工程で組立後の光学ユニットの個々の光学素子の位置精度良く組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ピックアップ用対物レンズとしての、複数の光学素子を組み合わせて一体化した光学ユニットの1例を示す図である。
【図2】本発明に係る光学ユニットの作製工程の1例をモデル的に示す断面図である。
【図3】樹脂からなる光学素子に設けるガラスからなる光学素子の受容部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 光学ユニット
11 色収差補正素子
12 ガラスレンズ
13 光ディスク
100 搬送台
101 塵芥除去穴
111、112 ネスト
121 光学素子供給装置
130 レンズ押さえ

Claims (2)

  1. 樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子とを組み合わせて一体とした部分を有する光学ユニットを組み立てるにあたり、前記樹脂からなる光学素子の光学機能部周縁に受容部を設け、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁を該受容部にはめ込んで嵌合する構成とし、加温により該樹脂からなる光学素子の受容部を熱膨張させて、ガラスからなる光学素子をはめ込むことを特徴とする光学ユニットの作製方法。
  2. 樹脂からなる光学素子とガラスからなる光学素子とを組み合わせて一体とした部分を有する光学ユニットを組み立てるにあたり、前記樹脂からなる光学素子の光学機能部周縁に受容部を設け、ガラスからなる光学素子の光学機能部周縁を該受容部にはめ込んで嵌合する構成とし、該樹脂からなる光学素子を成型して型抜きした後、冷却前にガラスからなる光学素子をはめ込むことを特徴とする光学ユニットの作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006195331A (ja) * 2005-01-17 2006-07-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 撮影レンズ

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