JP2003067965A - 対物レンズ、光学ピックアップ装置及び記録再生装置 - Google Patents

対物レンズ、光学ピックアップ装置及び記録再生装置

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JP2003067965A
JP2003067965A JP2001260395A JP2001260395A JP2003067965A JP 2003067965 A JP2003067965 A JP 2003067965A JP 2001260395 A JP2001260395 A JP 2001260395A JP 2001260395 A JP2001260395 A JP 2001260395A JP 2003067965 A JP2003067965 A JP 2003067965A
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lenses
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Fumisada Maeda
史貞 前田
Shinichi Nagashima
紳一 長島
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 複数のレンズから構成され開口数が0.7以
上の対物レンズにおいて、レンズ間の相対位置の高精度
の調整を容易化し、また、球面収差の発生を抑える。 【解決手段】複数枚のレンズから構成され、光学記録媒
体に対する情報信号の書込み又は読み出しを行う光学ピ
ックアップ装置の対物レンズにおいて、一のレンズ1の
光学記録媒体に近い側のコバ部分1a、2aは、テーパ
状の面となされているか、または、反射防止膜が形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚数のレンズ
から構成され、例えば光学記録媒体に対する情報信号の
書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置の対物
レンズとして用いられる対物レンズ及びこのような対物
レンズを備えた光学ピックアップ装置及び記録再生装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスクの如き光学記録媒体が
提案され、この光学記録媒体に対して情報信号の書込み
及び読出しを行うための光学ピックアップ装置が提案さ
れている。この光学ピックアップ装置は、光源として半
導体レーザを備え、この半導体レーザから発せられた光
束を対物レンズによって光学記録媒体の信号記録面上に
集光して照射するように構成されている。
【0003】このような光学ピックアップ装置において
は、光学記録媒体の信号記録面上に照射される光束のス
ポット径が小さいほど、光学記録面上に高密度で情報信
号を書込むことができ、また、高密度で書込まれた情報
信号の読出しを行うことができる。
【0004】光学記録媒体の信号記録面上に照射される
光束のスポット径を小さくするには、光源の発する光束
を短波長化すること、及び、対物レンズの開口数(N
A)を大きくすることが有効である。
【0005】そして、開口数の大きな対物レンズとし
て、本件出願人は、特開平8−315404号公報及び
特開平10−123410号公報などに記載されている
ように、2群2枚構成からなり、開口数が0.7以上で
ある対物レンズを提案している。
【0006】すなわち、それまで、光ディスク用の対物
レンズとしては、いわゆる「単玉レンズ」とよばれる1
群1枚構成のレンズが主流であった。この「単玉レン
ズ」は、いわゆる「ガラスモールド成形」によって形成
することができ、金型を高精度に製作するとともに、レ
ンズ成形時の温度管理等を高精度に制御することによっ
て、高性能のレンズを再現性よく成形できるというメリ
ットを有していた。ところが、レンズの開口数(NA)
をより高く、0.7程度以上にしようとすると、レンズ
により高い屈折パワーが必要となり、金型の加工が極度
に困難となるとともに、レンズの傾き等の摂動によって
性能が極度に悪化するということなど、種々の課題を解
決しなければならない。
【0007】そこで、屈折力を2枚のレンズに分担させ
ることにより、各レンズの成形性を良好として製造を容
易化し、また、レンズの摂動による光学性能の劣化を抑
えることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な2群2枚構成の対物レンズにおいては、各レンズの成
形精度が緩和されるうえ、摂動による光学性能の劣化を
抑えることができる反面、各レンズ間の相対位置決めが
必要になる。すなわち、対物レンズを構成する各レンズ
間の距離、平行度、偏芯について、各レンズを高精度に
位置決めすることが必要になる。
【0009】そのため、対物レンズの製造方法として、
組立てた対物レンズにレーザ光を入射させ、各レンズに
より干渉計を構成することによって各レンズの相対位置
を調整する方法や、組立てた対物レンズを経てレーザ光
を出射させ、このレーザ光のニアフィールドパターンを
観察することによって調整する方法などが考えられる。
しかし、これらの方法においては、各調整パラメータに
対して、観察される事象が独立に変化しないため、最終
的な性能に追い込むのに、多くのループ的な手順の調整
が必要になり、調整に多くの時間を要することになる。
【0010】また、レンズホルダとレンズとの間に空隙
(あそび)を設けておき、この空隙の範囲でレンズの位
置を調整する方法の場合、調整後には、この空隙内に接
着剤(紫外線硬化樹脂)等を充填して硬化させることと
なる。このように接着剤によって位置決めされたレンズ
は、高温化や高湿化等の環境変化によって、位置ずれを
起こす可能性がある。
【0011】そこで、レンズの傾き及び光軸方向の位置
を、レンズホルダの形状精度によって決めることが考え
られた。すなわち、レンズホルダ内に段差部を設けてお
き、この段差部にレンズの外周側のコバ部を当接させる
ことにより、レンズの傾き及び光軸方向の位置決めを行
おうとするものである。この構成の場合、段差部が高い
位置精度にて形成されていれば、レンズも高精度に位置
決めされることとなる。
【0012】しかしなから、例えば、有効径が3mmで
ある場合において、2枚のレンズ間の平行度を0.1de
g程度の精度に保つためには、レンズの外周部の光軸方
向についての位置の誤差を1μm程度以下にする必要が
ある。このような精度を維持することは、実用上困難で
ある。さらに、組立てを行う環境によっては、レンズホ
ルダの段差部とレンズとの間に(1μm程度の)微小な
塵挨が挟まりやすく、レンズ間の平行度を維持すること
は困難である。
【0013】ところで、レンズの厚み誤差等に代表され
る球面収差に影響を及ぼす形状誤差は、レンズの成形に
あたって複数の金型を用いる場合、金型間の形状誤差や
成形時の条件によって発生することが予想される。この
ように、複数の金型を用いて成形した複数のレンズ同士
を、金型やロット管理なしに任意に組合わせたときに
は、球面収差のばらつきが大きくなることが予想され
る。
【0014】そこで、特開平10−255303号公報
に記載されているように、上述のような光学記録媒体用
の2群2枚構成の対物レンズにおいては、各レンズの曲
面(レンズ面)間の距離を一定に保つことによって、レ
ンズの厚み誤差等に起因する球面収差の発生を緩和する
ことができる。
【0015】また、規格の厳しい用途のレンズについて
は、組立時に球面収差量を検出しながら調整することに
よって最適値に追い込み、金型間や成形条件のバラツキ
による誤差を吸収することが可能である。この際、干渉
計によって、球面収差を測定することが可能であるが、
複雑な装置が必要であり、コストも高くなるという問題
が招来される。
【0016】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提
案されるものであって、複数枚数のレンズから構成され
た開口数が0.7以上の対物レンズであって、レンズ間
の相対位置の高精度の調整が容易化され、球面収差の発
生も抑えることができる対物レンズ及びこのような対物
レンズを用いた光学ピックアップ装置及び記録再生装置
を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明に係る対物レンズは、複数枚数のレンズから
構成され光学記録媒体に対する情報信号の書込みまたは
読出しを行う光学ピックアップ装置の対物レンズとして
用いられる開口数が0.7以上の対物レンズであって、
各レンズ間の相対位置決めは、光学記録媒体から最も遠
い側の一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレン
ズホルダ内に取り付けて固定した後、この一のレンズの
光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準面として他の
レンズを位置決めして他のレンズを該レンズホルダに対
して固定することによってなされており、一のレンズの
光学記録媒体に近い側のコバ部分は、テーパ状の面とな
されているか、または、反射防止膜が形成されているこ
とを特徴とするものである。
【0018】また、本発明に係る光学ピックアップ装置
は、光源と、この光源より発せられた光束を光学記録媒
体の信号記録面上に集光して照射する対物レンズと、光
束の信号記録面からの反射光束を検出する光検出器とを
備え、対物レンズは、複数枚数のレンズから構成され、
開口数が0.7以上であって、各レンズ間の相対位置決
めが、一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレン
ズホルダ内に取り付けて固定した後、他のレンズを当該
一のレンズの光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準
面として位置決めして該レンズホルダに対して固定する
ことによってなされており、一のレンズの光学記録媒体
に近い側のコバ部分が、テーパ状の面となされている
か、または、反射防止膜が形成されていることを特徴と
するものである。
【0019】そして、本発明に係る記録再生装置は、光
学記録媒体を保持する記録媒体保持機構と、光源及びこ
の光源が発した光束を記録媒体保持機構により保持され
た光学記録媒体の信号記録面上に集光して照射する対物
レンズを有する光学ピックアップ装置とを備え、光学ピ
ックアップ装置の対物レンズは、複数枚数のレンズから
構成され、開口数が0.7以上であって、各レンズ間の
相対位置決めが、一のレンズを合成樹脂材料からなる円
筒状のレンズホルダ内に取り付けて固定した後、他のレ
ンズを当該一のレンズの光学記録媒体から遠い側のコバ
部分を基準面として位置決めして該レンズホルダに対し
て固定することによってなされており、一のレンズの光
学記録媒体に近い側のコバ部分が、テーパ状の面となさ
れているか、または、反射防止膜が形成されていること
を特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しなから説明する。この実施の形態においては、
まず、対物レンズについて説明する。
【0021】本発明における対物レンズは、複数枚数の
レンズを有して構成された、開口数(NA)が0.7以
上の対物レンズであって、この実施の形態においては、
図1に示すように、2群2枚のレンズ1,2を有して構
成され、開口数が0.85、使用中心波長は405nm
となっている。また、この実施の形態においては、対物
レンズの有効径を3mmとして説明する。そして、本発
明における対物レンズ製造装置は、この対物レンズを組
立てる方法であり、また、本発明における対物レンズ製
造方法は、この対物レンズを組立てる方法である。この
対物レンズは、図2、図3及び図4に示すように、第1
及び第2のレンズ1,2と、これらレンズ1,2を保持
するレンズホルダ3とから構成されている。
【0022】第1及び第2のレンズ1,2は、いわゆる
「ガラスモールド成形」によって形成されている。した
がって、レンズ面の形状(非球面、または、球面形
状)、レンズ面と外周側のコバ部分1a,2aとの位置
関係などは、成形用の金型の形状精度及び成形条件に依
存している。
【0023】レンズホルダ3は、熱硬化型の合成樹脂材
料、例えば、シリカ(二酸化ケイ(珪)素)を充填剤と
するエポキシ樹脂により射出成形によって、図5、図6
及び図7に示すように、略々円筒形状に形成されてい
る。このレンズホルダ3には、第1及び第2のレンズ
1,2が挿入され、それぞれ接着剤(紫外線硬化樹脂)
によって固定されている。
【0024】〔各レンズ1,2間の偏心について〕この
対物レンズにおいて、各レンズ1,2間の相対位置のう
ち、光軸に対する偏心、すなわち、光軸方向に直交する
2軸方向における位置は、各レンズ1,2のコバ部分1
a,2aの外径とレンズホルダ3の内径によって位置決
めされている。すなわち、レンズホルダ3には、図2及
び図5に示すように、各レンズ1,2が挿入されてこれ
らレンズ1,2の偏心を規制するための第1及び第2の
レンズ挿入部4,5が形成されている。
【0025】そして、この対物レンズにおいて、第1及
び第2のレンズ1,2のレンズ面間に相対的な偏心が生
ずると、図8に示すように、収差が増大し、光学性能が
劣化する。すなわち、対物レンズの有効径が3mm、開
口数(NA)が0.85である場合において、第1及び
第2のレンズ1,2のレンズ面間の相対的な偏心が±3
0μmを越えると、収差のRMS値は、マーシャルクラ
イテリアの限界(波面収差が0.07λrms)を越えて
しまう。すなわち、対物レンズの有効径が3mm、開口
数(NA)が0.85、使用中心波長が405nmであ
る場合において、各レンズ1,2は、少なくとも、各レ
ンズ1,2のレンズ面がレンズホルダ3の外径に対して
それぞれ30μm以内の同軸度となるように、レンズホ
ルダ3に対して固定されている必要がある。このような
第1及び第2のレンズ1,2のレンズ面間の相対的な偏
心が生ずる原因としては、以下のものが考えられる。 (1)各レンズ1,2のコバ部分1a,2aの外周部
と、レンズ面との同軸度の誤差 (2)レンズホルダ3における各レンズ挿入部4,5間
の同軸度の誤差 (3)各レンズ挿入部4,5と各レンズ1,2のコバ部
分1a,2aとの間のクリアランス これらの累積によって、各レンズ1,2のレンズ面間の
偏芯量がきまるので、それぞれが、少なくとも30μm
以内の同軸度を有していることが必要条件となる。
【0026】すなわち、各レンズ1,2において、コバ
部分1a,2aの外周の側面とレンズ面とは、ガラスモ
ールド成形によって一体的に形成されるので、これらコ
バ部分1a,2aの外周の側面とレンズ面との同軸度
は、成形用の金型の形状精度及び成形条件に依存する。
そして、対物レンズの有効径が3mmである場合におい
て、これらコバ部分1a,2aの外周の側面とレンズ面
とは、30μm以内の同軸度を有している。
【0027】また、レンズホルダ3を成形するための金
型においては、図9に示すように、第1のレンズ挿入部
4を成形する部分101と第2のレンズ挿入部5を成形
する部分102とは、同一の凸状の型103上に形成さ
れている。レンズホルダ3を成形するための金型は、こ
の凸状の型103と、この凸状の型103が挿入される
凹状の型104とからなる。この金型においては、凸状
の型103が凹状の型104に挿入された状態における
これら凸状の型103と凹状の型104との間に形成さ
れるキャビティ105において、レンズホルダ3が成形
される。
【0028】レンズホルダ3を成形する金型の凸状の型
103においては、第1のレンズ挿入部4を成形する部
分101と第2のレンズ挿入部5を成形する部分102
とは、旋盤によるいわゆる同時加工(同一チャッキング
における加工)によって形成され、同軸度が高精度に確
保されている。そして、形成されたレンズホルダ3にお
ける第1のレンズ挿入部4は、対物レンズの有効径を3
mm、使用中心波長を405nmとした場合において、
第2のレンズ挿入部5に対して、30μm以内の同軸度
で形成されている。
【0029】そして、レンズホルダ3において、第1の
レンズ挿入部4の内径は、第1のレンズ1のコバ部分1
aの外径に略々等しく、対物レンズの有効径を3mm、
使用中心波長を405nmとした場合において、第1の
レンズ1のコバ部分1aの外径に対する差が、60μm
以内となされている。また、第2のレンズ挿入部5の内
径は、第2のレンズ2のコバ部分2aの外径に略々等し
く、対物レンズの有効径を3mm、使用中心波長を40
5nmとした場合において、第2のレンズ2のコバ部分
2aの外径に対する差が、60μm以内となされてい
る。
【0030】〔各レンズ1,2間の距離及び平行度につ
いて〕この対物レンズにおいては、各レンズ1,2間の
平行度が劣化すると、図10に示すように、収差が増大
し、光学性能が劣化する。すなわち、対物レンズの有効
径が3mm、使用中心波長を405nm、開口数(N
A)が0.85である場合において、第1及び第2のレ
ンズ1,2間の平行度が±0.1degを越えると、収差
のRMS値は、マーシャルクライテリアの限界(波面収
差が0.07λrms)を越えてしまう。
【0031】ここで、レンズの外径を2mm程度である
とすると、±0.1degの平行度を確保するためには、
以下の式により、±3.5μm程度の位置精度が必要と
なる。 2〔mm〕×tan(±0.1〔deg〕)=±3.5〔μ
m〕 量産に用いる金型において、このような精度をばらつき
まで含めて再現性よく実現することは困離である。ま
た、仮にこのような精度のレンズホルダ3が製作された
としても、実環境のなかでは、レンズ1,2とレンズホ
ルダ3との間に塵挨等が挟まることにより、実際にレン
ズ1,2間の平行度を確保することは困難である。
【0032】各レンズ1,2間の距離については、所定
の距離からのずれがあると、図11に示すように、収差
が増大し、光学性能が劣化する。すなわち、対物レンズ
の有効径が3mm、使用中心波長が405nm、開口数
が0.85である場合において、第1及び第2のレンズ
1,2間の距離の誤差が±13μmを越えると、収差の
RMS値は、マーシャルクライテリアの限界(波面収差
が0.07λrms)を越えてしまう。
【0033】量産に用いる金型において、このような精
度をばらつきまで含めて再現性よく実現することは困離
である。また、仮にこのような精度のレンズホルダ3が
製作されたとしても、上述の各レンズ1,2間の平行度
を同時に維持することはできない。
【0034】したがって、本発明における対物レンズに
おいては、各レンズ1,2間の平行度及び距離の精度
は、レンズホルダ3の形状精度に依存するのではなく、
後述するように、対物レンズ製造装置によって維持する
こととしている。
【0035】すなわち、各レンズ1,2間の相対位置決
めは、図12に示すように、第1のレンズ1をレンズホ
ルダ3内に取り付けて紫外線硬化樹脂により接着、固定
した後、この第1のレンズ1のコバ部分1aの主面部を
対物レンズ製造装置の基台30上に倣わせて保持させ、
この基台30に対して精度の確保された対物レンズ製造
装置の保持部31によって第2のレンズ2を保持して、
レンズホルダ3に取付けることによって行う。保持部3
1は、いわゆる「エアチャッキング」により、第2のレ
ンズ2を保持する。このとき、第2のレンズ2は、第1
のレンズ1を基準として位置決めされて、レンズホルダ
3に対して紫外線硬化樹脂により接着、固定されること
になる。
【0036】なお、第1のレンズ1は、光軸方向につい
てのレンズホルダ3に対する位置及びレンズホルダ3の
軸に対する傾きについては、このレンズホルダ3内に形
成された段差部3aに対してコバ部分1aを当接させる
ことによって規制されている。また、第1のレンズ1の
コバ部分1aとレンズホルダ3内の段差部3aとの間に
は、厚さが10μm程度の接着剤(紫外線硬化樹脂)の
膜が介在し、これら第1のレンズ1及びレンズホルダ3
間を接着させている。
【0037】また、この対物レンズが光ディスクの如き
光学記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを
行う光学ピックアップ装置の対物レンズとして用いられ
るものである場合、第2のレンズ2の位置決めのための
基準となる第1のレンズ1は、光学記録媒体から遠い側
となるレンズであって、この第1のレンズ1のコバ部分
1aの光学記録媒体から遠い側の主面部が、第2のレン
ズ2の位置決めを行うための基準面となる。
【0038】なお、第2のレンズ2は、レンズホルダ3
の第2のレンズ挿入部5によって、光軸に対する偏心を
規制された状態で、第1のレンズ1に対する平行度(光
軸に対する傾き)及び距離が調整可能である。これは、
第2のレンズ2の成形時においては、金型がレンズの厚
み方向(光軸方向)に加圧されるため、図13に示すよ
うに、成形工程において金型内のガラス材料が最後に到
達するコバ部分2aの前後の稜線部がR面となり、この
コバ部分2aの外周部において正確に円筒面となるの
は、100μm程度の幅の部分しかないためである。す
なわち、第2のレンズ2のコバ部分2aの外周面とレン
ズ挿入部5の内周面との接触面は、幅が100μm程度
の帯状の部分のみということになり、そのため、この第
2のレンズ2がレンズ挿入部5内において傾くこと及び
光軸方向に移動することが可能となっている。
【0039】〔レンズのコバ部分の形状等について〕後
述する対物レンズ製造装置においては、装置の基準面に
対する第1のレンズ1の光軸の傾きの検出は、図14に
示すように、第1のレンズ1の基準面(コバ部分1aの
光学記録媒体から遠い側の主面部)1bにレーザ光を照
射し、この第1のレンズ1の基準面1bからの反射光を
第1のCCD(撮像素子)32などの検出手段を用いて
第1のモニタ33を介して測定することによって行って
いる。
【0040】ここで、第1のレンズ1のコバ部分1aの
光学記録媒体に近い側となる主面部1cは、レンズの中
心側が凸となったテーパ状(すなわち、円錐面)となさ
れている。したがって、基準面1bに照射されこの基準
面1bを透過したレーザ光の一部は、この主面部1cで
反射されても、第1のCCD32に到達することがな
く、第1のレンズ1の傾きの検出が良好に行える。
【0041】すなわち、この主面部1cが、図17に示
すように、テーパ状となされておらず、基準面1bに平
行な平面となっているとすると、基準面1bにレーザ光
を照射したとき、このレーザ光の一部が基準面1bを透
過して対向する主面部1cに到達し、この主面部1cで
反射されて第1のCCD32に到達することがある。こ
のように、基準面1bにおける反射光と主面部1cにお
ける反射光とが混在して第1のCCD32に到達する
と、これら反射光同士の干渉が生じ、第1のレンズ1の
傾きの検出に対するノイズとなる。また、基準面1bと
主面部1cとの間における多重反射も生ずる虞れがあ
り、第1のレンズ1の傾きの検出が良好に行えなくなる
虞れがある。
【0042】また、主面部1cの形状は、図15に示す
ように、レンズの中心側が凹となったテーパ状としても
よい。この場合には、基準面1bに対向する主面部1c
における反射光が光軸から離れる方向に射出されるの
で、この反射光が第1のCCD32に到達することをよ
り確実に防止することができる。また、図16に示すよ
うに、主面部1cの形状をレンズの中心側が凹となった
テーパ状とし、かつ、このテーパ状の面がレンズ面にな
めらかにつながったものとしてもよい。
【0043】さらに、このような主面部1cにおける反
射光が第1のCCD32に到達しないようにするには、
この主面部1cにARコート(反射防止膜)を形成する
こととしてもよい。
【0044】〔レンズホルダのエア抜き部について〕本
発明における対物レンズは、例えば、光ディスクの如き
光学記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを
行う光学ピックアップ装置の対物レンズとして用いられ
る場合、氷点下の温度環境から60°C以上の温度環境
までにおいて正常な動作を保証する必要がある。このよ
うな温度環境の変化があると、第1及び第2のレンズ
1,2間の空隙部に存在する空気の密度が大きく変化す
る。
【0045】したがって、第1及び第2のレンズ1,2
間の空隙部が密閉された空間であるとすると、この空隙
部内に存在する空気は、温度環境の変化によって気圧が
大きく変化してしまうことになる。すなわち、高温にな
ったときは、各レンズ1,2間の気圧が大気圧よりも大
きくなり、各レンズ1,2間を引き離そうとする圧力が
生じ、逆に低温になったときは、各レンズ1,2間の気
圧が大気圧よりも小さくなり、各レンズ1,2間を近づ
ける方向の圧力が生ずる。
【0046】ところで、第1のレンズ1とレンズホルダ
3とは、コバ部分1aの主面部とレンズホルダ3の段差
部3aとが紫外線硬化樹脂により接着されることにより
強固に固定されているが、第2のレンズ2とレンズホル
ダ3とは、図4に示すように、第2のレンズ2の外周部
の3箇所の接着剤塗布部3bにおいてのみ接着されて固
定されている。
【0047】そのため、第1及び第2のレンズ1,2間
が密閉されており温度変化の繰返し(いわゆるヒートサ
イクル)による各レンズ1,2間の気圧の変化が繰返さ
れると、各レンズ1,2,特に、第2のレンズ2とレン
ズホルダ3との間を固定している接着剤にストレスが生
じ、レンズに不可逆的な距離及び傾きの変動が生じ、光
学的収差特性の劣化が招来される。
【0048】また、第1及び第2のレンズ1,2間の空
隙部が密閉された空間であるとすると、第1のレンズ1
をレンズホルダ3に取り付けた後に、このレンズホルダ
3に第2のレンズ2を挿入するとき、これら第1及び第
2のレンズ1,2間の空隙部に存在する空気が圧縮され
て密度が増大する。すると、各レンズ1,2間には、こ
れらレンズ1,2間を引き離そうとする圧力が常に生じ
ていることとなる。
【0049】そこで、本発明における対物レンズにおい
ては、図3及び図5に示すように、レンズホルダ3にエ
ア抜き部3cを設け、第1及び第2のレンズ1,2間の
空隙部をレンズホルダ3の外方側に通じた空間とするよ
うにしている。このエア抜き部3cは、第1のレンズ1
のコバ部分1aの主面部が当接される段差部3aの一部
に、コバ部分1aの主面部に接触しない凹部3dを設け
るとともに、この凹部3dをレンズホルダ3の外周面に
つなげる切り欠き部3eを設けることにより形成されて
いる。
【0050】このようにレンズホルダ3にエア抜き部3
cを設けることにより、第1及び第2のレンズ1,2間
の空隙部は密閉された空間とならず、この空隙内の空気
は、温度変化によって密度が変化しても気圧の変化を生
ずることがなく、各レンズ1,2に対して圧力を作用さ
せないため、温度変化が繰り返されても、光学的収差特
性の劣化を生じさせることがない。
【0051】また、このように第1及び第2のレンズ
1,2間の空隙部が密閉された空間とならないことによ
り、第1のレンズ1をレンズホルダ3に取り付けた後、
このレンズホルダ3に第2のレンズ2を挿入するとき
に、これら第1及び第2のレンズ1,2間に存在する空
気が圧縮されて密度が増大することがない。
【0052】なお、レンズホルダ3の段差部3aの一部
に凹部3dを設けるには、このレンズホルダ3を成形す
る金型の凸状の型103において、凹部3dを成形する
部分に対して段差部3aを成形する部分を切削して形成
することによって行う。
【0053】また、レンズホルダ3の射出成形における
ゲート位置は、図5に示すように、エア抜き部3cを構
成する切り欠き部3eに対応してレンズホルダ3の外周
面に形成された溝部3f内の位置となっている。
【0054】〔レンズホルダをなす材料の線膨張係数に
ついて〕本発明における対物レンズは、例えば、光ディ
スクの如き光学記録媒体に対する情報信号の書込みまた
は読出しを行う光学ピックアップ装置の対物レンズとし
て用いられる場合、氷点下の温度環境から60°C以上
の温度環境までにおいて正常な動作を保証する必要があ
る。このような温度環境の変化があると、レンズホルダ
3自体の熱膨張(収縮)によって、第1及び第2のレン
ズ1,2間の間隔が変化してしまうことが予想される。
【0055】第1及び第2のレンズ1,2間の間隔の誤
差を、上述したように、有効径が3mm、使用中心波長
が405nm、開口数が0.85である場合において、
13μm以内にすることを前提とし、レンズホルダ3を
なす材料の線膨張係数をαとすると、以下の関係が定め
られる。 α×△t×L<13×10−3(mm) ここで、△t(温度変化)及びL(レンズホルダの長
さ)を以下のように定める。 △t=60/2=30(°C) L=2(mm) これらの条件より、レンズホルダ3をなす材料の線膨張
係数αについての条件が定まる。 α<2×10−4 なお、レンズホルダ3をなす材料として、シリカ(二酸
化ケイ(珪)素)を充填剤とするエポキシ樹脂を選択し
た場合、線膨張係数αは、1×10−5程度に抑えるこ
とができる。
【0056】〔プロテクタについて〕本発明における対
物レンズのように、NA0.7以上の2群2枚構成の対
物レンズは、従来の光学ピックアップ装置用の単玉対物
レンズに比べて、作動距離(ワーキングディスタンス:
光学記録媒体の表面と対物レンズの先端面との間の物理
的距離)が小さい。光学ピックアップ装置においては、
いわゆるフォーカスサーボ動作により、光学記録媒体の
表面と対物レンズの先端面との間の距離が常に所定の作
動距離となるように、対物レンズの位置が制御される
が、例えば、衝撃などの外乱によって、対物レンズが、
制御されている位置から外れてしまうことがある。この
ような場合において、作動距離が長ければ、光学記録媒
体と対物レンズとが衝突する可能性は低いが、作動距離
が短いと、光学記録媒体と対物レンズとが衝突する可能
性が高くなる。
【0057】このような光学記録媒体と対物レンズとの
衝突が生じた場合において、光学記録媒体の表面と対物
レンズのレンズ面とが直接接触した場合には、これら表
面及びレンズ面の双方が傷が生ずるなどのダメージを受
け、記録再生特性が悪影響を受ける虞れがある。
【0058】本発明における対物レンズにおいては、光
学記録媒体と対物レンズとの衝突が生じても、光学記録
媒体の表面及び対物レンズのレンズ面にダメージが生じ
ないようにするため、図18に示すように、レンズホル
ダ3の一端面の第2のレンズ2の周囲部に、プロテクタ
6を有している。このプロテクタ6は、例えば、弾性を
有するフッ素樹脂コートなどから形成されており、最も
光学記録媒体側となる第2のレンズ2のレンズ面より
も、光学記録媒体側に突出されて形成されている。この
プロテクタ6により、光学記録媒体の表面と対物レンズ
のレンズ面とが直接接触することが防止されるととも
に、これら光学記録媒体及び対物レンズにおける衝突に
よる衝撃力が緩衝される。また、このプロテクタ6の光
学記録媒体の表面に対する摩擦係数は小さいので、いわ
ゆる焼き付き等が回避される。
【0059】しかし、このようなプロテクタ6を設けた
場合において、このプロテクタ6が光学記録媒体の表面
に衝突した場合、光学記録媒体の表面に傷がつくことは
防止されるが、このプロテクタ6をなすフッ素樹脂など
の材料が剥離する。このように剥離したプロテクタ6か
らの剥離片は、対物レンズのレンズ面上に蓄積する。そ
して、このような剥離片が、第2のレンズ2のレンズ面
において光束が通過する領域内に蓄積すると、光路が妨
げられて透過率が減少するとともに、光学的空間周波数
等の光学特性も悪影響を被ることになる。
【0060】ところで、このような剥離片は、プロテク
タ6から剥離した後、光学記録媒体の対物レンズに対す
る相対移動方向、例えば、光ディスクにおける接線方向
に移動する。
【0061】そこで、本発明における対物レンズにおい
ては、図18に示すように、プロテクタ6には、第2の
レンズ2のレンズ面における光束の径よりも広い幅の切
り欠き部7を形成している。この対物レンズは、この切
り欠き部7が、この対物レンズに対して光学記録媒体が
相対的に移動して来る側となるように配置して使用す
る。
【0062】〔対物レンズ製造装置の構成〕そして、上
述の対物レンズを製造するための対物レンズ製造装置
は、図19に示すように、各レンズ1,2をレンズホル
ダ3に対して位置決めし、組立を行う組立部と、各レン
ズ1,2のレンズ面やコバ部分1a,2aの平行度等を
モニタする検出部とを有して構成されている。
【0063】組立部は、第1のレンズ1が置かれる装置
基準面30aを有する基台部30及び第2のレンズ2を
位置決めする装置基準面31aを有する保持部31を備
えている。基台部30の上面部である装置基準面30a
は、ここに置かれる第1のレンズ1の光軸に対して正確
に垂直になるように調整されている。
【0064】この基台部30は、内部に空間部を有する
略々円筒形状に構成されており、装置基準面30aに第
1のレンズ1のコバ部分1aを置き、内部の空気(エ
ア)を吸引孔30bを介して外方側に吸引することによ
り、その吸引力により内外に生ずる気圧差によって、第
1のレンズ1を保持する構造となっている。このとき、
基台部30の上端側は、第1のレンズ1によって閉塞さ
れた状態となる。また、この基台部30の下端側には、
内部の空間を密閉空間とするためのカバーガラス34が
取付けられている。このカバーガラス34は、第1のレ
ンズ1のコバ部分1aに照射されるレーザ光等を反射し
て迷光を発生させないように、上端側の装置基準面30
aに対して傾斜されている。
【0065】保持部31は、内部に空間部を有する略々
円筒形状に構成されており、下端側の装置基準面31a
に第2のレンズ2のコバ部分2aを当接させ、内部の空
気(エア)を吸引孔31bを介して外方側に吸引するこ
とにより、その吸引力により内外に生ずる気圧差によっ
て、第2のレンズ2を保持する構造となっている。この
とき、保持部31の下端側は、第2のレンズ2によって
閉塞された状態となる。また、この保持部31の上端側
には、内部の空間を密閉空間とするためのカバーガラス
35が取付けられている。このカバーガラス35は、第
2のレンズ2に照射されるレーザ光等を反射して迷光を
発生させないように、下端側の装置基準面31aに対し
て傾斜されている。
【0066】保持部31は、いわゆるクロスローラベア
リング、すなわち、一軸移動ステージ36によって支持
され、各レンズ1,2の光軸方向に移動可能となされて
いる。また、この保持部31の移動量は、例えば磁気式
の測長装置37によって検出可能となっている。そし
て、この保持部31は、エアシリンダやリニアモータ、
ステッピングモータ等の駆動力源38によって、移動操
作される。
【0067】基台部30の装置基準面30aに載置され
た第1のレンズのコバ部分の装置基準面30aに対する
平行度は、第1のレーザ光源39を有する検出系によっ
て検出される。この第1のレーザ光源39としては、半
導体レーザの他、ガスレーザ、固体レーザ等、単色光源
を用いている。
【0068】第1のレーザ光源39から出射された光束
は、コリメータレンズ及びビームエキスパンダ40によ
り、ビーム径を拡大された平行光束となされる。この平
行光束は、ビームスプリッタ41を透過し、ミラー42
を経て、基台部30の下端側のカバーガラス34を透過
してこの基台部30の上端側に向けて入射される。図1
9に示すように、この基台部30の上端側の装置基準面
30a上に第1のレンズが載置されている場合には、こ
の平行光束は、第1のレンズ1のコバ部分1aの基準面
1bで反射され、カバーガラス34及びミラー42を経
て、ビームスプリッタ41に戻る。
【0069】なお、基台部30の上端側の装置基準面3
0aは、図20に示すように、第1のレンズ1のコバ部
分1aの基準面1bの全面を覆うものではなく、この基
準面1bの例えば3箇所において一部のみに当接し当該
当接部分のみを覆うものである。したがって、基台部3
0の下端側より入射されたレーザ光束は、第1のレンズ
1のコバ部分1aの基準面1bのうち、基台部30の上
端側の装置基準面30aによって隠されていない部分に
入射して反射される。
【0070】第1のレンズ1のコバ部分1aの基準面1
bからの戻り光束は、ビームスプリッタ41の反射面よ
り反射され、第1のレーザ光源39に戻る光路から分岐
されて、ミラー43を経て検出手段となる第1のCCD
32に入射する。この第1のCCD32による撮像画像
は、第1のモニタ33に表示される。第1のレーザ光源
39からの光束のコリメーションは、この第1のCCD
32の撮像面でビーム径が最小となるように調整されて
いる。
【0071】また、保持部31の装置基準面31aに吸
引保持された第2のレンズのコバ部分の装置基準面31
aに対する平行度は、第2のレーザ光源44を有する検
出系によって検出される。この第2のレーザ光源44と
しては、半導体レーザの他、ガスレーザ、固体レーザ
等、単色光源を用いている。
【0072】第2のレーザ光源44から出射された光束
は、コリメータレンズ及びビームエキスパンダ45によ
り、ビーム径を拡大された平行光束となされる。この平
行光束は、ビームスプリッタ46を透過し、ミラー47
を経て、保持部31の上端側のカバーガラス35を透過
してこの保持部31の下端側に向けて入射される。この
保持部31の下端側の装置基準面31aに第2のレンズ
が保持されている場合には、この平行光束は、第2のレ
ンズのコバ部分の基準面で反射され、カバーガラス35
及びミラー47を経て、ビームスプリッタ46に戻る。
ここで、戻り光束は、ビームスプリッタ46の反射面よ
り反射され、第2のレーザ光源44に戻る光路から分岐
されて、ミラー48を経て検出手段となる第2のCCD
49に入射する。この第2のCCD49による撮像画像
は、第2のモニタ50に表示される。第2のレーザ光源
44からの光束のコリメーションは、この第2のCCD
49の撮像面でビーム径が最小となるように調整されて
いる。
【0073】〔装置基準面の平行出し〕以下、上述の対
物レンズの組立手順について、図21及び図22のフロ
ーチャートを用いて説明する。なお、ここで対物レンズ
としては、開口数(NA)0.85、使用中心波長
(λ)405nm、有効径3mmであって、光学ピック
アップ装置の対物レンズとして使用されるものを想定し
ている。ここで、完成した対物レンズにおいては、第2
のレンズ2のコバ部分2aの光学記録媒体に近い側の主
面と第1のレンズ1のコバ部分1aの光学記録媒体から
遠い側の主面とは、概ね0.2mrad(ミリラジアン)
乃至0.3mrad程度の傾きの範囲内に入っている必要
がある。したがって、対物レンズ製造装置においては、
第1のレンズ1のコバ部分1aを位置決めする面と第2
のレンズ2のコバ部分2aを位置決めする面とは、これ
らレンズ1,2間に必要とされる精度以上の精度に予め
調整されている必要がある。
【0074】この調整は、図23に示すように、第1の
レーザ光源39から出射されるレーザ光を用いて行う。
すなわち、まず、図21のステップst1において、各
レンズ1,2を製造装置から外した状態で、第1のレー
ザ光源39から出射されたレーザ光の保持部31の装置
基準面31aでの反射光を第1のCCD32に入射さ
せ、ステップst2において、受光位置がセンタとなる
ように、第1のモニタ33を見ながら、第1のCCD3
2の位置調整を行う。
【0075】このとき、第1のモニタ33においては、
保持部31の装置基準面31aが円環形状(ドーナツ
状)となっているため、図23に示すように、同心円状
の回折パターンが観測される。第1のCCD32の位置
調整は、この同心円状のパターンの中心が第1のモニタ
33の画面の中心に合うように調整する。
【0076】次に、図21のステップst3において
は、図24に示すように、基台部30の装置基準面30
a上に平面の反射ミラー51を置く。図21のステップ
st4においては、第1のレーザ光源39からの光束の
反射ミラー51による反射光が第1のCCD32に入射
したときに、第1のモニタ33に映し出されるビーム
が、画面のセンタに来るように、装置基準台30aの傾
き調整を行う。
【0077】このステップst4までで、保持部31の
装置基準面31aと基台部30の装置基準面30aとの
平行出しが行われた。
【0078】そして、同様に、ステップst5において
は、第2のCCD49の位置を、第2のレーザ光源44
及び第2のモニタ50を用いて調整する。
【0079】〔第1のレンズの基台部の装置基準面上へ
の設置〕次に、ステップst8に進み、予めステップs
t6及びステップst7においてレンズホルダ3に挿入
され接着された第1のレンズ1を、図25に示すよう
に、基台部30の装置基準面30a上に設置する。この
とき、基台部30内の空気を外方側に吸引し内部圧力を
低下させることにより、第1のレンズ1は、装置基準面
30aに吸着される。
【0080】ここで、第1のレンズ1のコバ部分1aの
基準面1bは、正確に基台部30の装置基準面30aに
面当てされる必要がある。すなわち、これら基準面1
b,30a間にごみ等が挟まれると、組立後において、
各レンズ1,2間にティルト(tilt)が生じ、収差
などの光学性能を悪化させることになるからである。こ
のため、第1のレンズ1を基台部30の装置基準面30
a上に置いた状態でも、第1のレンズ1の基準面1bと
装置基準面30aとの平行度が観測できる必要がある。
【0081】したがって、この製造装置においては、図
20に示すように、装置基準面30aに切り欠き部分が
あり、この装置基準面30aを確保しつつ、切り欠き部
分を通して、第1のレンズ1の基準面1bにおける反射
光が第1のCCD32に戻るようにしている。
【0082】第1のレンズ1の基準面1bは円環形状
(ドーナツ状)であるため、図21のステップst9に
おいては、この基準面1bからの反射光は、第1のCC
D32において、同心円状の回折パターンとして観測さ
れる。このとき、第1のレンズ1の基準面1bが保持部
30の装置基準面30aに完全に密着している状態であ
れば、これら基準面1b,30a同士は完全に平行であ
るので、第1のモニタ33に表示される同心円状の回折
パターンは、画面のセンタに来る。
【0083】ステップst10において、基準面1b,
30a間にごみ等が挟まったことなどにより、これら基
準面1b,30a間の平行度が基準値以内でないことが
第1のモニタ33の表示画面からわかったとき(つま
り、同心円状の回折パターンが第1のモニタ33の画面
のセンタに来ない場合)には、ステップst8に戻って
第1のレンズ1の再セッティングを行うか、または、各
基準面1b,30aを清掃するなどの必要がある。
【0084】なお、ここまでの工程において、第1のレ
ンズ1のコバ部分1bと光軸(あるいは、保持部30の
装置基準面30a)との直角度(あるいは、平行度)を
確認することができ、次の工程に進む前に、第1のレン
ズ1についての不良状態を検知することができる。
【0085】〔第2のレンズの保持部の装置基準面への
装着〕次に、ステップst11に進み、図26に示すよ
うに、第2のレンズ2を保持部31の装置基準面31a
に、保持部31内部の空気を吸引することにより、保持
させる。
【0086】そして、図21のステップst12に進
み、上述と同様に、第2のレンズ2からの反射光が第2
のCCD49のセンタに入射しているかどうかの確認を
行う。ステップst13においては、第2のモニタ50
において、反射光のセンタのの画面センタからの偏差が
基準値に入っていない場合は、ステップst11に戻
り、第2のレンズ2の装着のし直し、または、装置基準
面31aの清掃を行う。
【0087】〔第2のレンズのレンズホルダヘの挿入〕
ここまでの工程が完了したことにより、第2のレンズ2
と第1のレンズ1との平行度は、ある規定値以内に入っ
ていることになる。この状態で、ステップst14で
は、図27に示すように、第2のレンズ2を上方よりレ
ンズホルダ3側に下降させる。
【0088】第1のレンズ1及び第2のレンズ2を各装
置基準面30a,31aに吸着させた状態では、各レン
ズ1,2間の平行度は確保されているが、これらレンズ
1,2間の偏芯に関しては位置決めされていない。
【0089】そして、レンズホルダ3は、上述のよう
に、熱硬化型樹脂等で成形され、第2のレンズ2及び第
1のレンズ1間の偏芯を数μm以内に抑える機能をもっ
ている。すなわち、第2のレンズ2がレンズホルダ3に
挿入されると同時に、第2のレンズ2を光軸と直交する
2軸に関して移動し、レンズホルダ3の内径に沿うよう
な形態で位置決めすれば、各レンズ1,2間の偏芯は解
消される。
【0090】レンズ1,2間の偏芯がレンズホルダ3に
よって解消された後、保持部31は、図21のステップ
st15において、所定の位置まで下降される。この位
置は、第2のレンズ2が最終的に位置決めされるべき状
態である。この位置で装置基準面31aが停止するよう
に、例えば、ストッパなどの機構が設けられている。な
お、保持部31が正確な位置まで降下されたかどうか
は、測長装置37を用いてモニタすることができる。
【0091】そして、ステップst16において、各レ
ンズ1,2の基準面1b,2a間の平行度を確認し、不
良であれば、ステップst8に戻り、良好であれば、次
のステップst17に進む。このように、この製造装置
においては、第2のレンズ2を位置決めしてレンズホル
ダ3に対して接着する前に、各レンズ1,2同士の間の
平行度、距離が基準値以内に入っているかどうかを確認
することができる。
【0092】〔第2のレンズ2のレンズホルダヘの接
着〕次に、ステップst17においては、第2のレンズ
2のレンズホルダ3に対する位置決めが基準値以内の精
度で行われた状態で、紫外線硬化型接着剤(UV接着
剤)等を用いて、第2のレンズ2をレンズホルダ3に対
して接着する。
【0093】この製造装置においては、ステップst1
8において、紫外線硬化型接着剤が硬化した後も、第2
のCCD49におけるビームポジションを観察すること
により、第1のレンズ1と第2のレンズ2との平行度が
基準値以内に収まっているかどうかの確認をすることが
できる。ここで、各レンズ1,2間の平行度が基準値以
内に収まっていなければ、不良レンズと判断する。
【0094】ステップst19においては、接着剤が完
全に硬化した状態において、保持部31の装置基準面3
1aに対する第2のレンズ2の吸引を解除し、各レンズ
1,2及びレンズホルダ3からなるレンズアッシー(A
ssy)と装置基準面31aとをリリースする。
【0095】〔レンズ同士の偏芯の確認〕次に、ステッ
プst20において、図28に示すように、保持部31
が上方側に退避したあと、偏芯確認用ミラー52をレン
ズアッシーの上方に挿入する。このとき、第1のレーザ
光源39から出射されたレーザ光は、レンズアッシーの
各レンズ1,2に入射して透過し、偏芯確認用ミラー5
2を経て、第3のCCD53により受光される。この第
3のCCD53によって撮像される回折パターンは、第
3のモニタ54に表示される。
【0096】そして、図21のステップst21におい
て、各レンズ1,2間の偏芯量が規定値以内であるかど
うかが判断される。レンズ同士の偏芯の検出について
は、特開平10−255304号公報に記載されている
ように、レーザ光を第1のレンズ1及び第2のレンズ2
を透過させ、その透過光の回折パターンの中心位置を遠
方で検出することにより、第1のレンズ1に対する第2
のレンズ2の偏芯を検出することができる。ここで、各
レンズ1,2同士の偏芯が既定値以内にはいっていなけ
れば、不良レンズと判断する。
【0097】そして、ステップst22においては、第
1のレンズ1及び第2のレンズ2からなる対物レンズの
収差を測定する。収差が基準値以内であれば、ステップ
st23に進み、対物レンズの完成となり、収差が基準
値以内でなければ、不良レンズと判断する。
【0098】〔他の実施の形態〕次に、第2のレンズ2
が挿入されて接着されたレンズホルダ3に、第1のレン
ズ1を挿入する装置について説明する。また、この実施
の形態における製造装置を用いて対物レンズを製造する
工程について、図29及び図30のフローチャートを用
いて説明する。
【0099】〔第2のレンズをレンズホルダに挿入する
装置〕この対物レンズ製造装置は、図31に示すよう
に、第2のレンズ2をレンズホルダ3に挿入する装置
と、図34に示すように、第2のレンズ2が挿入された
レンズホルダ3に第1のレンズ1を挿入する装置とから
なる。
【0100】まず、第2のレンズ2をレンズホルダ3に
挿入する装置は、図31に示すように、上述の製造装置
と同様に、保持部31及び基台部30を有する。この装
置は、図32に示すように、第2のレンズ2をレンズホ
ルダ3の所定位置に挿入するものである。
【0101】保持部31は、上述した製造装置と同様
に、内部に空間部を有する略々円筒形状に構成されてお
り、下端側の装置基準面31aに第2のレンズ2のコバ
部分2aを当接させ、内部の空気(エア)を吸引孔31
bを介して外方側に吸引することにより、その吸引力に
より内外に生ずる気圧差によって、第2のレンズ2を保
持する構造となっている。このとき、保持部31の下端
側は、第2のレンズ2によって閉塞された状態となる。
また、この保持部31の上端側には、内部の空間を密閉
空間とするためのカバーガラス35が取付けられてい
る。
【0102】また、保持部31いわゆるクロスローラベ
アリング、すなわち、一軸移動ステージ36によって支
持され、第2のレンズ2の光軸方向に移動可能となされ
ている。また、この保持部31の移動量は、例えば磁気
式の測長装置37によって検出可能となっている。そし
て、この保持部31は、エアシリンダやリニアモータ、
ステッピングモータ等の駆動力源38によって、移動操
作される。
【0103】そして、基台部30は、略々円柱状に形成
され、上面部が装置基準面30aとなっている。この装
置基準面30aは、上述の実施の形態においては第1の
レンズ1のコバ部分1aが載置される形状となっていた
が、この実施の形態においては、レンズホルダ3が直接
載置される形状となっている。
【0104】この製造装置においては、各装置基準面3
1a,30aの光軸方向についての絶対距離は、測長装
置37によって検出可能となっている。
【0105】まず、図29のステップst31におい
て、保持部31の装置基準面31aと基台部30の装置
基準面30aとは、予め、正確に平行度を調整してお
く。ステップst32においては、各装置基準面31
a,30a間が規定の平行度以内となっていれば、ステ
ップst33に進み、規定の平行度以内となっていなけ
れば、ステップst31に戻る。
【0106】次に、ステップst33において、図31
に示すように、基台部30の装置基準面30a上に、レ
ンズホルダ3を設置する。装置基準面30aの外径は、
第1のレンズ1の外径に等しくなされており、レンズホ
ルダ3の基準面となる段差部3aが、この装置基準面3
0aに面当てされる。
【0107】そして、図29のステップst34におい
ては、図31に示すように、保持部31の装置基準面3
1aに第2のレンズ2の基準面2bを当て、この保持部
31内の空気を吸引することにより、第2のレンズ2を
保持部31に吸着させる。このとき、図29のステップ
st35において、第2のレンズ2の基準面2bと保持
部31の装置基準面31aとの平行度が確保されている
かを、レーザ光を用いてモニタする。この平行度が規定
値に入っている場合には、ステップst36に進み、規
定値に入っていない場合には、ステップst34に戻っ
て再セッティングを行うか、または、各基準面2b,3
1aの清掃を行い規定の平行度が得られるまで繰り返
す。
【0108】ステップst36では、保持部31をレン
ズホルダ3測に下降させ、ステップst37で、図32
に示すように、保持部31の装置基準面31aと基台部
30の装置基準面30aとが所定の距離になった時点で
停止させる。このとき、第2のレンズ2とレンズホルダ
3との位置関係は、図33に示すように、第2のレンズ
2の光学記録媒体側となる面と、レンズホルダ3のプロ
テクタ6の表面との距離が一定の所定距離となるように
なされている。
【0109】ここで、図33中aで示すレンズホルダ3
の段差部3aからプロテクタ6の表面までの距離が正確
に規定されていれば、図33中矢印bで示す段差部3a
に当接される基台部30の装置基準面30aから第2の
レンズ2の光学記録媒体側となる面までの距離を規定す
ることによって、第2のレンズ2の光学記録媒体側とな
る面とプロテクタ6の表面との間の距離を正確に規定す
ることができる。
【0110】レンズホルダ3は、上述のように、例え
ば、熱硬化型樹脂材料で形成され、段差部3aからプロ
テクタ6が形成される端面までの距離は、概ね、±3μ
m以内の精度で成形されている。そして、プロテクタ6
は、例えば、フッ素コーティングなどの緩衝及び低摩擦
係数を有するプロテクタ材によって形成されており、概
ね、数十μm以内の厚さ精度で形成されている。したが
って、図33中矢印aで示す段差部3aからプロテクタ
6の表面までの距離については、概ね数十μm以内の精
度が確保されていることになる。そして、図33中矢印
bで示す装置基準面30aから第2のレンズ2の面まで
の距離の誤差は、対物レンズ製造装置によって、概ね数
μm以内に抑えられる。したがって、第2のレンズ2の
面とプロテクタ6の表面との間の距離については、概ね
数十μm以内の精度が確保される。
【0111】〔第2のレンズが挿入されたレンズホルダ
に第1のレンズを挿入する装置〕次に、図30のステッ
プst38においては、図34に示すように、第2のレ
ンズ2が取付けられたレンズホルダ3を、このレンズホ
ルダ3に第1のレンズ1を挿入する装置に装着する。
【0112】この装置は、第1のレンズ1を装置基準面
58において吸着保持することができる可動基台部59
と、第2のレンズ2が取付けられたレンズホルダ3を装
置基準面55において吸着保持することができる保持部
56とを備えている。可動基台部59の上面部である装
置基準面58は、ここに置かれる第1のレンズ1の光軸
に対して正確に垂直になるように調整されている。
【0113】可動基台部59は、内部に空間部を有する
略々円筒形状に構成されており、装置基準面58に第1
のレンズ1のコバ部分1aを置き、内部の空気(エア)
を吸引孔を介して外方側に吸引することにより、その吸
引力により内外に生ずる気圧差によって、第1のレンズ
1を保持する構造となっている。このとき、可動基台部
59の上端側は、第1のレンズ1によって閉塞された状
態となる。また、この可動基台部59の下端側には、内
部の空間を密閉空間とするためのカバーガラス34が取
付けられている。このカバーガラス34は、第1のレン
ズ1のコバ部分1aに照射されるレーザ光等を反射して
迷光を発生させないように、上端側の装置基準面58に
対して傾斜されている。
【0114】この可動基台部59は、いわゆるクロスロ
ーラベアリング、すなわち、一軸移動ステージ36によ
って支持され、各レンズ1,2の光軸方向に移動可能と
なされている。また、この可動基台部59の移動量は、
例えば磁気式の測長装置37によって検出可能となって
いる。そして、この可動基台部59は、エアシリンダや
リニアモータ、ステッピングモータ等の駆動力源38に
よって、移動操作される。
【0115】そして、保持部56は、内部に空間部を有
する略々円筒形状に構成されており、装置基準面55に
第2のレンズ2が取付けられたレンズホルダ3を当接さ
せ、内部の空気(エア)を吸引孔を介して外方側に吸引
することにより、その吸引力により内外に生ずる気圧差
によって、レンズホルダ3を保持する構造となってい
る。このとき、第2のレンズ2が取付けられたレンズホ
ルダ3は、プロテクタ6が形成された面を装置基準面5
5に突き当てて保持される。また、このとき、保持部5
6の下端側は、レンズホルダ3及び第2のレンズ2によ
って閉塞された状態となる。そして、この保持部56の
上端側には、内部の空間を密閉空間とするためのカバー
ガラス35が取付けられている。このカバーガラス35
は、第2のレンズ2のコバ部分2aに照射されるレーザ
光等を反射して迷光を発生させないように、下端側の装
置基準面55に対して傾斜されている。
【0116】この保持部56は、傾斜ステージ57によ
って支持され、傾き調整が可能となっている。
【0117】そして、この装置は、可動基台部59の装
置基準面58に載置された第1のレンズのコバ部分の装
置基準面58に対する平行度を検出するための、第1の
レーザ光源39を有する検出系を備えている。この第1
のレーザ光源39としては、半導体レーザの他、ガスレ
ーザ、固体レーザ等、単色光源を用いている。
【0118】第1のレーザ光源39から出射された光束
は、コリメータレンズ及びビームエキスパンダ40によ
り、ビーム径を拡大された平行光束となされる。この平
行光束は、ビームスプリッタ41を透過し、ミラー42
を経て、可動基台部59の下端側のカバーガラス34を
透過してこの可動基台部58の上端側に向けて入射され
る。この可動基台部58の上端側の装置基準面59上に
第1のレンズが載置されている場合には、この平行光束
は、第1のレンズ1のコバ部分1aの基準面1bで反射
され、カバーガラス34及びミラー42を経て、ビーム
スプリッタ41に戻る。
【0119】第1のレンズ1のコバ部分1aの基準面1
bからの戻り光束は、ビームスプリッタ41の反射面よ
り反射され、第1のレーザ光源39に戻る光路から分岐
されて、ミラー43を経て検出手段となる第1のCCD
32に入射する。この第1のCCD32による撮像画像
は、第1のモニタ33に表示される。第1のレーザ光源
39からの光束のコリメーションは、この第1のCCD
32の撮像面でビーム径が最小となるように調整されて
いる。
【0120】また、この装置は、保持部56の装置基準
面55に吸引保持された第2のレンズ2のコバ部分の装
置基準面55に対する平行度を検出するための、第2の
レーザ光源44を有する検出系を備えている。この第2
のレーザ光源44としては、半導体レーザの他、ガスレ
ーザ、固体レーザ等、単色光源を用いている。
【0121】第2のレーザ光源44から出射された光束
は、コリメータレンズ及びビームエキスパンダ45によ
り、ビーム径を拡大された平行光束となされる。この平
行光束は、ビームスプリッタ46を透過し、ミラー47
を経て、保持部56の上端側のカバーガラス35を透過
してこの保持部56の下端側に向けて入射される。この
保持部56の下端側の装置基準面55にレンズホルダ3
に取付けられた第2のレンズ2が保持されている場合に
は、この平行光束は、第2のレンズのコバ部分の基準面
で反射され、カバーガラス35及びミラー47を経て、
ビームスプリッタ46に戻る。ここで、戻り光束は、ビ
ームスプリッタ46の反射面より反射され、第2のレー
ザ光源44に戻る光路から分岐されて、ミラー48を経
て検出手段となる第2のCCD49に入射する。この第
2のCCD49による撮像画像は、第2のモニタ50に
表示される。第2のレーザ光源44からの光束のコリメ
ーションは、この第2のCCD49の撮像面でビーム径
が最小となるように調整されている。
【0122】さらに、この装置は、フォーカスエラー信
号検出光学系60を備えている。このフォーカスエラー
信号検出光学系60は、光ディスク用の光学ピックアッ
プ装置において使用されている光学系と同様のものであ
り、いわゆる「非点収差法」、「差動同心円法」などの
方法によってフォーカスエラー信号を検出する光学系で
ある。すなわち、このフォーカスエラー信号検出光学系
60は、光源となる半導体レーザ61を有し、この半導
体レーザ61から発せられた光束を、コリメータレンズ
62によって平行光束としてビームスプリッタ63を透
過させ、ミラー64を経て、可動基台部59の下方側よ
りカバーガラス34を透してこの可動基台部59内に照
射する。この光束は、可動基台部59の装置基準面58
上に第1のレンズ1が載置されている場合には、この第
1のレンズ1に入射される。さらに、この光束は、保持
部56によってレンズホルダ3に取付けられた第2のレ
ンズ2が取付けられている場合には、この第2のレンズ
2に入射される。このように、第1のレンズ1及び第2
のレンズ2に順次入射された平行光束は、第2のレンズ
2の上方側に焦点を結ぶこととなる。なお、ミラー64
は、可動基台部59の下方位置に対して、進退操作可能
となされており、対物レンズの有効径に相当するアパー
チャを具備する。
【0123】そして、第1及び第2のレンズ1,2(す
なわち、対物レンズ)の焦点位置の近傍には、図35に
示すように、反射面を有するカバーガラス69が設置さ
れている。このカバーガラス69は、この対物レンズが
使用される光学記録媒体のカバー層と、厚み及び屈析率
が等しくなされて形成されている。第1及び第2のレン
ズ1,2を経て集光された光束は、図34に示すよう
に、カバーガラス69の反射面によって反射され、第2
のレンズ2、第1のレンズ1、カバーガラス34及びミ
ラー64を経て、ビームスプリッタ63に戻る。この戻
り光は、ビームスプリッタ63において、このビームス
プリッタ63の反射面により反射され、半導体レーザ6
1に戻る光路より分岐される。そして、この戻り光は、
「非点収差法」を使用する場合、ミラー65を経て、集
光レンズ66及びシリンドリカルレンズ67を透過して
非点収差を生じて、光検出器68の受光面上に集光され
る。
【0124】光検出器68の受光面は、中心より放射状
に4つの領域に分割されており、分割された領域ごとに
独立的に光検出信号を出力するようになっている。この
光検出器68から出力される4つの光検出信号に基づく
演算をすることにより、後述するように、フォーカスエ
ラー信号及びプルイン信号を生成することができる。
【0125】カバーガラス69は、図35に示すよう
に、光軸方向に駆動可能な駆動手段であるボイスコイル
モータの可動部に固定されることにより支持されてい
る。このボイスコイルモータは、リーフスプリング70
を有し、このリーフスプリング70によってカバーガラ
ス69及びコイル72を支持しており、これらカバーガ
ラス69及びコイル72を可動部として移動可能として
いる。そして、ボイスコイルモータは、固定部であって
コイル72の近傍にマグネット71を有している。
【0126】このボイスコイルモータにおいては、コイ
ル72に駆動電流が供給されることにより、このコイル
72が形成する磁界とマグネット71の磁力との相互作
用により、カバーガラス69が、光軸方向に移動操作さ
れる。
【0127】また、ボイスコイルモータのリーフスプリ
ング70には、例えば、図35及び図36に示すよう
に、第2のレーザ光源44から出射されたレーザ光が第
2のレンズ2の光学記録媒体に近い側の面を照射できる
ように、第2のレンズ2の径よりも小さい径の透過用の
穴73が設けられている。第2のレーザ光源44を有す
る検出系においては、この穴73を通して、第2のレン
ズ2の光学記録媒体に近い側の面の可動基台部59の装
置基準面58に対する平行度をモニタすることができ
る。
【0128】そして、図30のステップst39におい
ては、可動基台部59において第1のレンズ1を位置決
めする装置基準面58と、保持部56に保持されたレン
ズホルダ3に取付けられた第2のレンズ2の光学記録媒
体に近い側の面との平行度の調整を行う。第2のレンズ
2の面と可動基台部59の装置基準面58の平行度が既
定値以内に入っていない場合には、傾斜ステージ57を
調整し、第2のレンズ2の面と可動基台部59の装置基
準面58との平行度が既定値以内に入るように調整す
る。ステップst40において、これら装置基準面58
及び第2のレンズ2の面の間の平行度についての判断を
行い、規定の平行度以内であればステップst41に進
み、規定の平行度以内でなければステップst39に戻
る。
【0129】ステップst41では、図34に示すよう
に、第1のレンズ1を、可動基台部59の装置基準面5
8上に装着する。そして、図30のステップst42に
おいて、第1のレーザ光源39からのレーザ光の第1の
レンズ1の基準面1bによる反射光をみて、第1のレン
ズ1の基準面1bと可動基台部59の装置基準面58と
の平行度を確認する。このときは、フォーカスエラー信
号検出光学系60のミラー64は、可動基台部59の下
方側位置より退避されている。
【0130】ステップst43において、これらの平行
度が規定値以内であればステップst44に進み、平行
度が規定値以内でなければステップst41に戻って再
セッティングを行うか、もしくは、各基準面1b,58
の清掃を行い、基準値内に収まるまで繰り返す。
【0131】第1のレンズ1の基準面1bの装置基準面
58に対する平行度が確認された段階で、図34に示す
ように、フォーカスエラー信号検出光学系60のミラー
64を可動基台部59の下方側位置に挿入する。
【0132】2群構成の各レンズの屈析曲面及び厚みが
全て設計値に等しい場合には、2群間の距離が設計値に
等しいときに、球面収差は0となるはずである。ところ
が、実際には、成形用の金型の設計値からの偏差及び成
形条件のばらつき等によって、各レンズの屈析曲面形状
や厚みなど、球面収差に影響を及ぼす要因が設計値から
ずれたものとなる。このとき、2群レンズが組みあがっ
た状態で球面収差を最小にするために、2群間の距離の
調整で対応できることが知られている。この対物レンズ
製造装置においては、この原理を応用して、フォーカス
エラー信号を検出しながら、そのフォーカスエラー信号
のセンタ値が0になる位置まで、装置基準面58を上昇
させることにより、様々な金型や成形条件によって成形
されたレンズが混在する状態で、結果的に対物レンズに
おける球面収差が最小になるように調整することができ
る。
【0133】すなわち、図30のステップst44で
は、可動基台部59を上昇させ、装置基準面58上に載
置された第1のレンズ1をレンズホルダ3に挿入してゆ
く。そして、ステップst45では、カバーガラス69
をボイスコイルモータによって光軸方向に振動させる。
すなわち、可動基台部59を上昇させるときには、ボイ
スコイルモータのコイル72に、例えば正弦波駆動電圧
を供給することにより、カバーガラス69を光軸方向に
振動させる。
【0134】光学記録媒体を用いる記録再生装置の光学
ピックアップ装置では、対物レンズ駆動アクチュエータ
によって対物レンズを光軸方向に振動させ、いわゆるフ
ォーカスエラー信号(S字信号)とディテクタに入射さ
れる和信号(プルイン信号)とを検出して、フォーカス
サーボをかけるタイミングを決めている。そして、この
製造装置では、対物レンズを対物レンズ駆動アクチュエ
ータで振動させる代わりに、対物レンズは固定し、カバ
ーガラス69を振動させる。このとき、図37に示すよ
うに、フォーカスエラー信号とプルインレベルが検出さ
れる。
【0135】ここで、各信号レベルは、図34中に示す
ように、光検出器68の受光面の各領域からの光検出信
号をA,B,C,Dとすると、例えば、非点収差法の場
合において、フォーカスエラー(Focus Error)信号
は、〔A+C−(B+D)〕、プルインレベル(pull i
n level)は、〔A+C+B+D〕と定義されている。
【0136】次に、フォーカスエラー信号のS字波形
と、対物レンズの球面収差との関係を、図37を用いて
説明する。球面収差が0のときは、図37中(b)で示
すように、フォーカスエラー信号のS字波形が上下対称
になり、プルインレベルが最大になる点でフォーカスエ
ラー信号は0Vになる。そして、球面収差が負のとき
は、図37中(a)で示すように、フォーカスエラー信
号のS字信号は上下非対称になり、プルインレベルが最
大になる点でフォーカスエラー信号は負となる。反対に
対物レンズの球面収差が正のときは、図37中(c)で
示すように、フォーカスエラー信号のS字信号は上下非
対称であり、プルインレベルが最大になる点でフォーカ
スエラー信号は正となる。
【0137】つまり、プルインレベルが最大になる点に
おけるフォーカスエラーの信号レベルを見ることによっ
て、球面収差の状態を推定することが可能である。ある
いは、フォーカスエラー信号のS字信号のセンタ値のレ
ベルを検出することによって、球面収差の状態を推定す
ることが可能である。
【0138】フォーカスエラー信号のS字信号のセンタ
値のレベル(Vcenter)は、以下のように定義される。
【0139】Vcenter=(Vt+Vb)/2 ここで、Vtは、フォーカスエラー信号のS字信号のト
ップ電圧であり、Vbは、フォーカスエラー信号のS字
信号のボトム電圧である。
【0140】対物レンズの球面収差とフォーカスエラー
信号のS字信号のセンタ値(電圧)をプロットすると、
図38に示すように、一定の関係が得られる。なお、こ
のグラフは、開口数(NA)を0.85、使用波長
(λ)を405nm、有効径を3mmとし、複数の金型
で成形したレンズを混在させたときのデータである。こ
れらの関係から、球面収差の絶対値が最小になるS字信
号のセンタ値を求めることが可能である。
【0141】そして、図30のステップst46におい
ては、フォーカスエラー信号のS字信号のセンタ値を検
出し、所定の値に対する規定値以内となっているかを判
断し、規定値以内となっていれば、ステップst47に
進み、規定値以内となっていなければ、ステップst4
4に戻って、第1のレンズ1の位置の調整を繰り返す。
【0142】ステップst47では、第1のレンズ1を
レンズホルダ3に対して接着し、接着剤を硬化させ、ス
テップst48で完成となる。
【0143】〔対物レンズ駆動デバイス(アクチュエー
タ)、光学ピックアップ装置及び記録再生装置につい
て〕本発明における対物レンズは、従来の単玉ガラスモ
ールド対物レンズ、あるいは、プラスティックモールド
対物レンズ等の対物レンズと同様の目的において同様の
機能を果たすものであり、光学ピックアップ装置におい
ては、図39及び図40に示すように、従来の対物レン
ズ駆動デバイス(アクチュエータ)に対し従来の対物レ
ンズと同様に搭載されて使用される。
【0144】対物レンズ駆動デバイス自体は、従来のも
のと同様のものを使用することができる。例えば、図3
9及び図40に示す「4ワイヤ型」の対物レンズ駆動デ
バイスにおいては、対物レンズが取付けられたコイルボ
ビン8は、4本の可撓性を有するワイヤ9により、基台
10に対して移動可能に支持されている。これらワイヤ
9の基台10側の基端側には、ダンパ材11が設けられ
ている。コイルボビン8には、フォーカスコイル12及
びトラッキングコイル13が取付けられている。そし
て、基台10上には、マグネット14及びヨーク15が
取付けられている。これらマグネット14及びヨーク1
5は、形成する磁界中にフォーカスコイル12及びトラ
ッキングコイル13を位置させるように配設されてい
る。
【0145】この対物レンズ駆動デバイスにおいては、
フォーカスコイル12に駆動電流が供給されると、この
電流とマグネット14及びヨーク15が形成する磁界と
の相互作用により、コイルボビン8は、対物レンズの光
軸方向、すなわち、フォーカス方向に移動操作される。
また、この対物レンズ駆動デバイスにおいては、トラッ
キングコイル13に駆動電流が供給されると、この電流
とマグネット14及びヨーク15が形成する磁界との相
互作用により、コイルボビン8は、対物レンズの光軸に
直交する方向、すなわち、トラッキング方向に移動操作
される。
【0146】光学ピックアップ装置においては、フォー
カスコイル12及びトラッキングコイル13に供給する
駆動電流をそれぞれ制御することにより、対物レンズが
移動操作されてこの対物レンズを通って集光される光ス
ポットが常に光学記録媒体の所定の位置において結像す
るように、対物レンズ駆動デバイスを制御する。
【0147】なお、光学記録媒体が光ディスクである場
合においては、図39における上下方向及び図40にお
ける紙面奥行き方向が光ディスクのラジアル(radial)
方向に相当し、図39及び図40における左右方向が光
ディスクのタンジェンシャル(tangential)方向に相当
する。
【0148】このような対物レンズ駆動デバイス及び対
物レンズを有して構成される光学ピックアップ装置は、
図41に示すように、光源となる半導体レーザ(LD)
16を有している。この半導体レーザ16から発せられ
た直線偏光の光束は、コリメータレンズ17によって平
行光束となされ、ミラー18をを経て、偏光ビームスプ
リッタ(PBS)19に入射する。そして、この偏光ビ
ームスプリッタ19を透過した光束は、四分の一波長板
(λ/4板:QWP)20によって円偏光光束となされ
て、凹レンズ及び凸レンズからなるビームエキスパンダ
21に入射して光束の径を拡げられて、対物レンズに入
射する。この対物レンズは、図示しない対物レンズ駆動
デバイスによって移動操作可能に支持されている。
【0149】対物レンズに入射された光束は、光ディス
ク108の如き光学記録媒体の信号記録面上に、この対
物レンズによって集光されて照射される。そして、この
ように信号記録面上に照射された光束は、この信号記録
面において、例えば、偏光方向について所定の変調を受
けて反射され、対物レンズに戻る。この戻り光束は、ビ
ームエキスパンダ21を経て、四分の一波長板(λ/4
板:QWP)20によって、光学記録媒体に対して入射
する光束の偏光方向に対して直交する偏光方向の直線偏
光光束となされて、偏光ビームスプリッタ19に戻る。
【0150】ここで、戻り光束は、ビームスプリッタ1
9内の反射面によって反射され、第2の偏光ビームスプ
リッタ22に入射する。この第2のビームスプリッタ2
2は、戻り光束が光学記録媒体で変調されていない状態
において透過光量と反射光量とが等しくなるように設定
されている。第2のビームスプリッタ22を透過した戻
り光束は、拡大レンズ系23,24を経て、第1の光検
出器(PD1)25上に集光される。第2のビームスプ
リッタ22により反射された戻り光束は、集光レンズ系
26及びナイフエッジ27を経て、第2の光検出器(P
D2)28上に集光される。これら各光検出器25,2
8からの光出力の検出信号に基づいて、RF信号、フォ
ーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等の種々
の信号を生成することができ、光学記録媒体に記録され
た情報信号の読出しを行うことができる。
【0151】フォーカスエラー信号の検出方式として
は、上述したいわゆるナイフエッジ法の他に、いわゆる
非点収差法、いわゆる差動同心円法などを用いることが
できる。また、トラッキングエラー信号の検出方式とし
ては、いわゆるプッシュプル法、いわゆる差動プッシュ
プル法、いわゆるDPD法などを用いることができる。
さらに、この光学ピックアップ装置は、光学記録媒体か
らの情報信号の読出しのみならず、光学記録媒体への情
報信号の書込みを行うこともできる。
【0152】そして、図41に示すように、上述のよう
な光学ピックアップ装置と、光学記録媒体である光ディ
スク108を保持して回転操作する記録媒体保持機構と
を備えることにより、記録再生装置が構成される。この
記録再生装置においては、光学ピックアップ装置によっ
て光ディスク108より読出された信号が信号処理回路
によって処理されて、RF信号及び各種エラー信号が生
成される。また、この記録再生装置においては、外部か
ら入力された信号が信号処理回路によって処理されて、
光学ピックアップ装置によって光ディスク108に対し
て書込まれる。
【0153】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る対物レンズ
は、複数枚数のレンズから構成され光学記録媒体に対す
る情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアッ
プ装置の対物レンズとして用いられる開口数が0.7以
上の対物レンズであって、各レンズ間の相対位置決め
は、光学記録媒体から最も遠い側の一のレンズを合成樹
脂材料からなる円筒状のレンズホルダ内に取り付けて固
定した後、この一のレンズの光学記録媒体から遠い側の
コバ部分を基準面として他のレンズを位置決めして他の
レンズを該レンズホルダに対して固定することによって
なされており、一のレンズの光学記録媒体に近い側のコ
バ部分は、テーパ状の面となされているか、または、反
射防止膜が形成されている。
【0154】したがって、この対物レンズにおいては、
コバ部分に光束を照射してこのコバ部分の傾きを検出す
るとき、一方の面からの反射光のみが検出され、他方の
面からの反射光が検出されてノイズとなることがない。
【0155】すなわち、本発明は、複数枚数のレンズか
ら構成された開口数が0.7以上の対物レンズであっ
て、レンズ間の相対位置の高精度の調整が容易化され、
球面収差の発生も抑えることができる対物レンズ及びこ
のような対物レンズを用いた光学ピックアップ装置及び
記録再生装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における対物レンズのレンズ構成を示す
縦断面図である。
【図2】上記対物レンズの構成を示す縦断面図である。
【図3】上記対物レンズの構成を示す第1のレンズ側よ
り臨む斜視図である。
【図4】上記対物レンズの構成を示す第2のレンズ側よ
り臨む斜視図である。
【図5】上記対物レンズを構成するレンズホルダの構成
を示す第1のレンズ挿入部側より臨む斜視図である。
【図6】上記対物レンズを構成するレンズホルダの構成
を示す第2のレンズ挿入部側より臨む斜視図である。
【図7】上記対物レンズを構成するレンズホルダの構成
を示す平面図、底面図及び縦断面図である。
【図8】レンズ間の偏心と波面収差の量との関係を示す
グラフである。
【図9】上記レンズホルダを成形するための金型の構成
を示す縦断面図である。
【図10】レンズ間の平行度と波面収差の量との関係を
示すグラフである。
【図11】レンズ間隔と波面収差の量との関係を示すグ
ラフである。
【図12】上記対物レンズの組立て工程を示す縦断面図
である。
【図13】上記対物レンズにおける第2のレンズとレン
ズホルダとの嵌合部の状態を示す要部縦断面図である。
【図14】本発明における対物レンズ製造装置に装着さ
れた上記対物レンズを示す縦断面図である。
【図15】上記対物レンズ製造装置に装着された対物レ
ンズの構成の他の形態を示す縦断面図である。
【図16】上記対物レンズ製造装置に装着された対物レ
ンズの構成のさらに他の形態を示す縦断面図である。
【図17】上記対物レンズ製造装置に装着された従来の
対物レンズの構成を示す縦断面図である。
【図18】上記対物レンズにおけるプロテクタの構成を
示す平面図及び縦断面図である。
【図19】本発明における対物レンズ製造装置の構成を
一部を破断して示す側面図である。
【図20】上記対物レンズ製造装置において第1のレン
ズを位置決めする装置基準面の形状を示す平面図、縦断
面図及び第1のレンズの基準面を示す平面図である。
【図21】上記対物レンズ製造装置を用いた対物レンズ
製造方法の手順を示すフローチャートである。
【図22】上記図21に示した手順に続く手順を示すフ
ローチャートである。
【図23】上記対物レンズ製造方法における装置の第1
の調整を実施している状態の上記対物レンズ駆動装置の
状態を一部を破断して示す側面図である。
【図24】上記対物レンズ製造方法における装置の第2
の調整を実施している状態の上記対物レンズ駆動装置の
状態を一部を破断して示す側面図である。
【図25】上記対物レンズ製造方法における第1のレン
ズの装着を実施している状態の上記対物レンズ駆動装置
の状態を一部を破断して示す側面図である。
【図26】上記対物レンズ製造方法における第2のレン
ズの装着を実施している状態の上記対物レンズ駆動装置
の状態を一部を破断して示す側面図である。
【図27】上記対物レンズ製造方法における第2のレン
ズのレンズホルダへの位置決めを実施している状態の上
記対物レンズ駆動装置の状態を一部を破断して示す側面
図である。
【図28】上記対物レンズ製造方法におけるレンズ間の
偏芯の確認を実施している状態の上記対物レンズ駆動装
置の状態を一部を破断して示す側面図である。
【図29】本発明における対物レンズ製造装置の他の形
態を用いた対物レンズ製造方法の手順を示すフローチャ
ートである。
【図30】上記図29に示した手順に続く手順を示すフ
ローチャートである。
【図31】本発明における対物レンズ製造装置の他の形
態の第1の装置の構成を一部を破断して示す側面図であ
る。
【図32】上記図31に示した対物レンズ製造装置にお
いて第2のレンズのレンズホルダへの位置決めを行って
いる状態を一部を破断して示す側面図である。
【図33】上記図31に示した対物レンズ製造装置にお
いて位置決めされた第2のレンズ及びレンズホルダを示
す縦断面図である。
【図34】本発明における対物レンズ製造装置の他の形
態の第2の装置の構成を一部を破断して示す側面図であ
る。
【図35】上記対物レンズ製造装置の他の形態の第2の
装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【図36】上記対物レンズ製造装置の他の形態の第2の
装置の要部の構成を一部を破断して示す平面図である。
【図37】対物レンズにおける球面収差とフォーカスエ
ラー信号との関係を示すグラフである。
【図38】対物レンズにおける球面収差とフォーカスエ
ラー信号の中心値との関係を示すグラフである。
【図39】上記対物レンズを用いた対物レンズ駆動デバ
イスの構成を示す平面図である。
【図40】上記対物レンズを用いた対物レンズ駆動デバ
イスの構成を示す側面図である。
【図41】上記対物レンズを用いた対物レンズ駆動デバ
イスを有する本発明に係る光学ピックアップ装置及び記
録再生装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 第1のレンズ、1a,2a コバ部分、2 第2の
レンズ、3 レンズホルダ、3c エア抜き部、4 第
1のレンズ挿入部、5 第2のレンズ挿入部、6 プロ
テクタ、31,56 保持部、30 基台部、59 可
動基台部
フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA13 PA02 PA17 PB02 QA02 QA05 QA12 QA21 QA33 QA41 5D119 AA20 AA39 EC01 JA44 JA49 JA65 JB02 JC06 JC07 5D789 AA20 AA39 CA21 CA22 CA23 EC01 JA44 JA49 JA65 JB02 JC06 JC07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚数のレンズから構成され、光学記
    録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光
    学ピックアップ装置の対物レンズとして用いられる開口
    数が0.7以上の対物レンズであって、 各レンズ間の相対位置決めは、光学記録媒体から最も遠
    い側の一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレン
    ズホルダ内に取り付けて固定した後、この一のレンズの
    光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準面として他の
    レンズを位置決めして、該他のレンズを該レンズホルダ
    に対して固定することによってなされており、 上記一のレンズの光学記録媒体に近い側のコバ部分は、
    テーパ状の面となされていることを特徴とする対物レン
    ズ。
  2. 【請求項2】 有効径を3mm、使用中心波長を405
    nm、開口数を0.85以上として構成した場合におい
    て、各レンズの側面は、各レンズのレンズ面の中心に対
    して、30μm以内の同軸度となされていることを特徴
    とする請求項1記載の対物レンズ。
  3. 【請求項3】 レンズホルダは、各レンズの外径部が挿
    入されて該各レンズの偏心を規制するレンズ挿入部を有
    しており、 有効径を3mm、使用中心波長を405nm、開口数を
    0.85以上として構成した場合において、一のレンズ
    の偏心を規制するレンズ挿入部に対して、他のレンズの
    偏心を規制するレンズ挿入部の同軸度が、30μm以内
    となっていることを特徴とする請求項1記載の対物レン
    ズ。
  4. 【請求項4】 レンズホルダは、各レンズの外径部が挿
    入されて該各レンズの偏心を規制するレンズ挿入部を有
    しており、 有効径を3mm、使用中心波長を405nm、開口数を
    0.85以上として構成した場合において、上記レンズ
    挿入部の内径は、このレンズ挿入部に挿入されるレンズ
    の外径部の径に対する差が、60μm以内であることを
    特徴とする請求項1記載の対物レンズ。
  5. 【請求項5】 複数枚数のレンズから構成され、光学記
    録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光
    学ピックアップ装置の対物レンズとして用いられる開口
    数が0.7以上の対物レンズであって、 各レンズ間の相対位置決めは、光学記録媒体から最も遠
    い側の一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレン
    ズホルダ内に取り付けて固定した後、この一のレンズの
    光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準面として他の
    レンズを位置決めして、該他のレンズを該レンズホルダ
    に対して固定することによってなされており、 上記一のレンズの光学記録媒体に近い側のコバ部分に
    は、反射防止膜が形成されていることを特徴とする対物
    レンズ。
  6. 【請求項6】 有効径を3mm、使用中心波長を405
    nm、開口数を0.85以上として構成した場合におい
    て、各レンズの側面は、各レンズのレンズ面の中心に対
    して、30μm以内の同軸度となされていることを特徴
    とする請求項4記載の対物レンズ。
  7. 【請求項7】 レンズホルダは、各レンズの外径部が挿
    入されて該各レンズの偏心を規制するレンズ挿入部を有
    しており、 有効径を3mm、使用中心波長を405nm、開口数を
    0.85以上として構成した場合において、一のレンズ
    の偏心を規制するレンズ挿入部に対して、他のレンズの
    偏心を規制するレンズ挿入部の同軸度が、30μm以内
    となっていることを特徴とする請求項4記載の対物レン
    ズ。
  8. 【請求項8】 レンズホルダは、各レンズの外径部が挿
    入されて該各レンズの偏心を規制するレンズ挿入部を有
    しており、 有効径を3mm、使用中心波長を405nm、開口数を
    0.85以上として構成した場合において、上記レンズ
    挿入部の内径は、このレンズ挿入部に挿入されるレンズ
    の外径部の径に対する差が、60μm以内であることを
    特徴とする請求項4記載の対物レンズ。
  9. 【請求項9】 光源と、 上記光源より発せられた光束を光学記録媒体の信号記録
    面上に集光して照射する対物レンズと、 上記光束の上記信号記録面からの反射光束を検出する光
    検出器とを備え、 上記対物レンズは、複数枚数のレンズから構成され、開
    口数が0.7以上であって、各レンズ間の相対位置決め
    が、一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレンズ
    ホルダ内に取り付けて固定した後、他のレンズを当該一
    のレンズの光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準面
    として位置決めして該レンズホルダに対して固定するこ
    とによってなされており、一のレンズの光学記録媒体に
    近い側のコバ部分は、テーパ状の面となされていること
    を特徴とする光学ピックアップ装置。
  10. 【請求項10】 光源と、 上記光源より発せられた光束を光学記録媒体の信号記録
    面上に集光して照射する対物レンズと、 上記光束の上記信号記録面からの反射光束を検出する光
    検出器とを備え、 上記対物レンズは、複数枚数のレンズから構成され、開
    口数が0.7以上であって、各レンズ間の相対位置決め
    が、一のレンズを合成樹脂材料からなる円筒状のレンズ
    ホルダ内に取り付けて固定した後、他のレンズを当該一
    のレンズの光学記録媒体から遠い側のコバ部分を基準面
    として位置決めして該レンズホルダに対して固定するこ
    とによってなされており、一のレンズの光学記録媒体に
    近い側のコバ部分に反射防止膜が形成されていることを
    特徴とする光学ピックアップ装置。
  11. 【請求項11】 光学記録媒体を保持する記録媒体保持
    機構と、 光源及びこの光源が発した光束を上記記録媒体保持機構
    により保持された光学記録媒体の信号記録面上に集光し
    て照射する対物レンズを有する光学ピックアップ装置と
    を備え、 上記光学ピックアップ装置の対物レンズは、複数枚数の
    レンズから構成され、開口数が0.7以上であって、各
    レンズ間の相対位置決めが、一のレンズを合成樹脂材料
    からなる円筒状のレンズホルダ内に取り付けて固定した
    後、他のレンズを当該一のレンズの光学記録媒体から遠
    い側のコバ部分を基準面として位置決めして該レンズホ
    ルダに対して固定することによってなされており、一の
    レンズの光学記録媒体に近い側のコバ部分は、テーパ状
    の面となされていることを特徴とする記録再生装置。
  12. 【請求項12】 光学記録媒体を保持する記録媒体保持
    機構と、 光源及びこの光源が発した光束を上記記録媒体保持機構
    により保持された光学記録媒体の信号記録面上に集光し
    て照射する対物レンズを有する光学ピックアップ装置と
    を備え、 上記光学ピックアップ装置の対物レンズは、複数枚数の
    レンズから構成され、開口数が0.7以上であって、各
    レンズ間の相対位置決めが、一のレンズを合成樹脂材料
    からなる円筒状のレンズホルダ内に取り付けて固定した
    後、他のレンズを当該一のレンズの光学記録媒体から遠
    い側のコバ部分を基準面として位置決めして該レンズホ
    ルダに対して固定することによってなされており、一の
    レンズの光学記録媒体に近い側のコバ部分に反射防止膜
    が形成されていることを特徴とする記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006085837A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Konica Minolta Opto Inc 対物レンズユニット及びこれを用いた光ピックアップ装置
US8179605B2 (en) 2009-07-23 2012-05-15 Panasonic Corporation Optical element
CN112166358A (zh) * 2018-05-30 2021-01-01 宁波舜宇光电信息有限公司 光学镜头、摄像模组及其组装方法
US11183810B2 (en) 2018-12-18 2021-11-23 Sharp Kabushiki Kaisha Light source module and light source device including the same

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