JP2004204297A - アイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法並びに装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイアンカーバイドから鉄を製造する技術において、高純度の鉄が得られるようにする。
【解決手段】反応炉を二炉で構成し、第1の反応炉14にアイアンカーバイド及び酸化鉄と水蒸気を供給して低温度域で反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、第1の反応炉14で生成した鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を前記還元ガスとともに第2の反応炉16に供給し、第2の反応炉16に水蒸気を供給して高温度域で反応させ、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して高純度の鉄を製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】反応炉を二炉で構成し、第1の反応炉14にアイアンカーバイド及び酸化鉄と水蒸気を供給して低温度域で反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、第1の反応炉14で生成した鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を前記還元ガスとともに第2の反応炉16に供給し、第2の反応炉16に水蒸気を供給して高温度域で反応させ、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して高純度の鉄を製造する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイアンカーバイド(炭化鉄、Fe3C)を利用した水素・鉄の併産技術に関し、高純度の鉄を効率よく生成させることができる方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アイアンカーバイドと水蒸気を反応させて、可燃性ガス(水素、COガス)と純鉄を生成させる方法及び装置は、これまでも知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この技術では、Fe3C+H2O→3Fe+H2+COの反応により、比較的低温・低圧で水素と鉄を製造している。
【0003】
例えば、図3に示すように、従来は、流動層反応炉10にアイアンカーバイド粒子と水蒸気を供給し、400〜800℃で上記の反応をさせて、水素ガス及びCOガスからなる可燃性ガスを生成させるとともに、純鉄を生成させている。反応に必要な熱は、反応炉10手前で供給ガスをガス加熱器12等にて燃料により間接的に加熱してガスの顕熱を高めることで得ている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2954585号公報
【特許文献2】
特開2002−194411号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、上記の反応で水素・鉄を生成させる反応炉として、流動層方式の反応炉を用いた場合、アイアンカーバイド粒子は滞留時間分布を示して炉内に滞留するため、特に滞留時間の長いアイアンカーバイド粒子については、過剰の水蒸気が供給されると、純鉄が生成された後に生成鉄が酸化されることになり、反応炉で得られる鉄の純度が低くなる。
【0006】
また、上記の反応が起こるのに適した温度範囲は400〜800℃と比較的高温であるために、反応に必要な熱源として廃熱を利用しようとすると、高温かつ大量の廃熱が必要であり、例えば、高温・多量の廃ガスが必要となってくる。このため、反応炉の熱源として廃熱を利用するのには制約がある。
【0007】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、反応炉を二炉から構成し、第1の反応炉でアイアンカーバイド、鉄鉱石で代表される酸化鉄と水蒸気を比較的低温で反応させて、水素等を含む可燃性ガス(還元ガス)と純鉄を生成させ、第1の反応炉で生成した可燃性ガス(還元ガス)を純鉄、アイアンカーバイド、酸化鉄とともに第2の反応炉に供給することにより、第2の反応炉で生成した純鉄の酸化を抑制して高純度で、かつ同時に鉄鉱石を還元してより多くの鉄を得ることができる方法及び装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、第1の反応炉、第2の反応炉でそれぞれ生成した可燃性ガス(水素及び/又はCOガス等を含む)の一部、又はどちらかの反応炉で生成した可燃性ガスを燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として各反応炉で利用することにより、廃熱を反応に必要な熱源として利用する場合の制約がなくなる方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法は、反応炉を二炉で構成し、第1の反応炉にアイアンカーバイド(炭化鉄、Fe3C)及び鉄鉱石などの酸化鉄(Fe2O3等)と水蒸気又は水蒸気を含むガスを供給して低温度域で反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、第1の反応炉で生成した鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を前記還元ガスとともに第2の反応炉に供給し、第2の反応炉に水蒸気又は水蒸気を含むガスを供給して高温度域で反応させ、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させるように構成されている。
【0010】
上記の方法において、第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの一部を第1の反応炉に供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の方法において、第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素の導入により燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の方法において、第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの少なくとも一部に燃焼空気又は酸素を供給し、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させ、生成した燃焼排ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼排ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0011】
また、これらの方法において、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給し、鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させることが好ましい。
また、これらの方法において、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、これらの方法においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素を供給して燃焼させて、第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにしてもよい。
さらに、これらの方法において、低温度域を300〜500℃、高温度域を550〜700℃とすることが好ましい。
【0012】
本発明のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置は、アイアンカーバイド及び酸化鉄に水蒸気又は水蒸気を含むガスを接触させて、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換する第1の反応炉と、第1の反応炉で生成した鉄と未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を供給するとともに、第1の反応炉からの前記還元ガスを還元ガス供給手段により供給し、水蒸気又は水蒸気を含むガスと接触させて、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させる第2の反応炉とを備えたことを特徴としている。
【0013】
上記の装置においては、第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段を分岐して、可燃性ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を設け、第1の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の装置においては、第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼させて反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の装置においては、第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、生成した燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を接続し、燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給して、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0014】
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、炉内での鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させることが好ましい。
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0015】
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉及び第1の反応炉にそれぞれ燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
これらの場合、可燃性ガス循環手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続して、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させて第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにしてもよい。
【0016】
また、これらの装置においては、例えば、第1の反応炉として流動層反応炉を用いることができ、炉内に堆積したアイアンカーバイド及び酸化鉄の粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させる。
また、これらの装置においては、例えば、第2の反応炉として流動層反応炉を用いることができ、炉内に堆積した鉄、酸化鉄及びアイアンカーバイドの粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
まず、原料であるアイアンカーバイド(炭化鉄)について説明する。一般的に、鉄鉱石(Fe3O4、Fe2O3等)を天然ガス(メタンガス)及び水素と550〜700℃の温度下で接触させると還元されて金属鉄になり、さらに反応を続けると炭化鉄(主に、Fe3C)が生成され、その割合は増えていく。例えば、流動層炉で鉄鉱石を天然ガス(水素は図示略)と接触させてアイアンカーバイド(炭化鉄)を生成させる。また、天然ガスを原料とし比較的高水素系の還元ガスを使用したシャフト炉式直接還元プロセスにより製造したペレット形状の直接還元鉄をアイアンカーバイド(炭化鉄)として使用することもできる。一例として、上記シャフト炉式直接還元プロセスで製造した直接還元鉄は、高炭化鉄成分で、Fe3C:70%、Fe:25%、Fe3O4:5%であり、ペレットサイズは6〜13mmである。
【0018】
図1は、本発明の実施の第1形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の概略構成を示している。本実施の形態は、一例として、第1の反応炉及び第2の反応炉が流動層反応炉の場合であるが、本発明に適用できる反応炉は流動層方式に限定されるものではなく、第1の反応炉、第2の反応炉それぞれに移動層方式など他の方式を採用することが可能である。図1に示すように、第1の流動層反応炉14においては、流動層温度を、低温度域、例えば、300〜500℃に確保し、粒子径3mm以下のアイアンカーバイド粒子、酸化鉄、水蒸気(流動化ガス)を供給して反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性ガス(還元ガス)を生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を純鉄に転換する。第1の流動層反応炉14で起こる主な反応は、下記の通りである。
2Fe3C+Fe2O3+H2O→6Fe+2FeO+H2+2CO
【0019】
第1の流動層反応炉14で生成した純鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄は、水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガス(還元ガス)とともに、流動層温度が、高温度域、例えば、550〜700℃である第2の流動層反応炉16に供給され、水蒸気が吹き込まれてアイアンカーバイドと酸化鉄の少なくとも一部が純鉄になるとともに、水素、一酸化炭素等からなる可燃性ガスが生成される。第1の流動層反応炉14で生成した還元ガスを第2の流動層反応炉16に供給することにより、生成した純鉄の酸化が抑制され、純度の高い鉄が製造できる。第2の流動層反応炉16で起こる主な反応は、下記の通りである。
2Fe3C+FeO+H2O→7Fe+2CO+H2
【0020】
また、第1の流動層反応炉14で生成した水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。なお、可燃性ガスを第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器18を設け、燃焼させるようにしてもよい。
また、流動層反応炉14、16で生成した可燃性ガスの燃焼による燃焼熱に加え、それぞれの流動層内に所定の伝熱管20、22を設けて、廃熱を供給できる構成としてもよい。また、流動層反応炉14、16は、複数の流動層を有する構成とすることも可能である。
なお、水素及びCOを含む可燃性ガスは回収してエネルギーとして利用することができ、生成した鉄及びアイアンカーバイドは製銑炉又は製鋼炉で溶融して銑又は鋼を製造するのに利用される。
【0021】
また、図示はしていないが、反応等に限らず本プロセスで必要な熱は、発生した可燃性ガスの一部を燃焼させて直接又は間接的に供給することが可能である。具体的には、可燃性ガスの一部の燃焼熱を、反応炉に供給して反応熱として利用する他に、上記燃焼熱をアイアンカーバイド等の予熱に使用したり、供給ガスの予熱に使用したり、蒸気製造に使用したりすることが可能である。
【0022】
図2は、本発明の実施の第2形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の概略構成を示している。図2に示すように、流動層温度が、低温度域、例えば、300〜500℃である第1の流動層反応炉14に、アイアンカーバイド、酸化鉄、水蒸気(流動化ガス)を供給して反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性ガス(還元ガス)を生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を純鉄に転換する。第1の流動層反応炉14で生成した純鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄は、水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガス(還元ガス)とともに、流動層温度が、高温度域、例えば、550〜700℃である第2の流動層反応炉16に供給され、水蒸気が吹き込まれてアイアンカーバイドと酸化鉄の少なくとも一部が純鉄になるとともに、水素、一酸化炭素等等からなる可燃性ガスが生成される。第1の流動層反応炉14で生成した還元ガスを第2の流動層反応炉16に供給することにより、生成した純鉄の酸化が抑制され、純度の高い鉄が製造できる。流動層反応炉14、16で起こる反応は、実施の第1形態と同様である。
【0023】
また、第1の流動層反応炉14で生成した水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。
さらに、第2の流動層反応炉16で生成した水素、一酸化炭素、二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を、第2の流動層反応炉16及び/又は第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。
【0024】
この場合、第1の流動層反応炉14からの可燃性ガスを第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器18を設けたり、第2の流動層反応炉16からの可燃性ガスを第2の流動層反応炉16及び/又は第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器24を設けたりして、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させるようにしてもよい。
このときに、流動層反応炉14、16に供給する可燃性ガス全量を燃焼させる必要はなく、反応炉の温度確保に必要な熱量を供給できればよい。燃焼せず残された可燃性ガスは還元ガスとして、流動層反応炉16で生成された鉄の酸化抑制に働く。
他の構成及び作用等は、実施の第1形態の場合と同様である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 反応炉を二炉から構成し、第1の反応炉でアイアンカーバイド、酸化鉄と水蒸気を比較的低温で反応させて、水素等を含む可燃性ガス(還元ガス)と純鉄を生成させ、第1の反応炉で生成した可燃性ガス(還元ガス)を純鉄、アイアンカーバイド、酸化鉄とともに第2の反応炉に供給することにより、第2の反応炉で生成した純鉄の酸化を抑制して、純度の高い鉄を製造することができる。
(2) 第1の反応炉、第2の反応炉でそれぞれ生成した可燃性ガス(水素及び/又はCOガス等を含む)の一部、又はどちらかの反応炉で生成した可燃性ガスを燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として各反応炉で利用することにより、純鉄を効率よく製造することができ、しかも、廃熱を反応に必要な熱源として利用する場合における廃ガス量、廃ガス温度等の制約がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【図2】本発明の実施の第2形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【図3】従来のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【符号の説明】
10、14、16 流動層反応炉
12 ガス加熱器
20、22 伝熱管
18、24 酸素導入器
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイアンカーバイド(炭化鉄、Fe3C)を利用した水素・鉄の併産技術に関し、高純度の鉄を効率よく生成させることができる方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アイアンカーバイドと水蒸気を反応させて、可燃性ガス(水素、COガス)と純鉄を生成させる方法及び装置は、これまでも知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この技術では、Fe3C+H2O→3Fe+H2+COの反応により、比較的低温・低圧で水素と鉄を製造している。
【0003】
例えば、図3に示すように、従来は、流動層反応炉10にアイアンカーバイド粒子と水蒸気を供給し、400〜800℃で上記の反応をさせて、水素ガス及びCOガスからなる可燃性ガスを生成させるとともに、純鉄を生成させている。反応に必要な熱は、反応炉10手前で供給ガスをガス加熱器12等にて燃料により間接的に加熱してガスの顕熱を高めることで得ている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2954585号公報
【特許文献2】
特開2002−194411号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、上記の反応で水素・鉄を生成させる反応炉として、流動層方式の反応炉を用いた場合、アイアンカーバイド粒子は滞留時間分布を示して炉内に滞留するため、特に滞留時間の長いアイアンカーバイド粒子については、過剰の水蒸気が供給されると、純鉄が生成された後に生成鉄が酸化されることになり、反応炉で得られる鉄の純度が低くなる。
【0006】
また、上記の反応が起こるのに適した温度範囲は400〜800℃と比較的高温であるために、反応に必要な熱源として廃熱を利用しようとすると、高温かつ大量の廃熱が必要であり、例えば、高温・多量の廃ガスが必要となってくる。このため、反応炉の熱源として廃熱を利用するのには制約がある。
【0007】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、反応炉を二炉から構成し、第1の反応炉でアイアンカーバイド、鉄鉱石で代表される酸化鉄と水蒸気を比較的低温で反応させて、水素等を含む可燃性ガス(還元ガス)と純鉄を生成させ、第1の反応炉で生成した可燃性ガス(還元ガス)を純鉄、アイアンカーバイド、酸化鉄とともに第2の反応炉に供給することにより、第2の反応炉で生成した純鉄の酸化を抑制して高純度で、かつ同時に鉄鉱石を還元してより多くの鉄を得ることができる方法及び装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、第1の反応炉、第2の反応炉でそれぞれ生成した可燃性ガス(水素及び/又はCOガス等を含む)の一部、又はどちらかの反応炉で生成した可燃性ガスを燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として各反応炉で利用することにより、廃熱を反応に必要な熱源として利用する場合の制約がなくなる方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法は、反応炉を二炉で構成し、第1の反応炉にアイアンカーバイド(炭化鉄、Fe3C)及び鉄鉱石などの酸化鉄(Fe2O3等)と水蒸気又は水蒸気を含むガスを供給して低温度域で反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、第1の反応炉で生成した鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を前記還元ガスとともに第2の反応炉に供給し、第2の反応炉に水蒸気又は水蒸気を含むガスを供給して高温度域で反応させ、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させるように構成されている。
【0010】
上記の方法において、第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの一部を第1の反応炉に供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の方法において、第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素の導入により燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の方法において、第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの少なくとも一部に燃焼空気又は酸素を供給し、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させ、生成した燃焼排ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼排ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0011】
また、これらの方法において、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給し、鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させることが好ましい。
また、これらの方法において、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、これらの方法においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素を供給して燃焼させて、第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにしてもよい。
さらに、これらの方法において、低温度域を300〜500℃、高温度域を550〜700℃とすることが好ましい。
【0012】
本発明のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置は、アイアンカーバイド及び酸化鉄に水蒸気又は水蒸気を含むガスを接触させて、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換する第1の反応炉と、第1の反応炉で生成した鉄と未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を供給するとともに、第1の反応炉からの前記還元ガスを還元ガス供給手段により供給し、水蒸気又は水蒸気を含むガスと接触させて、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させる第2の反応炉とを備えたことを特徴としている。
【0013】
上記の装置においては、第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段を分岐して、可燃性ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を設け、第1の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の装置においては、第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼させて反応に必要な熱として利用することが好ましい。
また、上記の装置においては、第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、生成した燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を接続し、燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給して、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0014】
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、炉内での鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させることが好ましい。
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
【0015】
また、これらの装置においては、第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉及び第1の反応炉にそれぞれ燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用することが好ましい。
これらの場合、可燃性ガス循環手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続して、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させて第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにしてもよい。
【0016】
また、これらの装置においては、例えば、第1の反応炉として流動層反応炉を用いることができ、炉内に堆積したアイアンカーバイド及び酸化鉄の粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させる。
また、これらの装置においては、例えば、第2の反応炉として流動層反応炉を用いることができ、炉内に堆積した鉄、酸化鉄及びアイアンカーバイドの粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
まず、原料であるアイアンカーバイド(炭化鉄)について説明する。一般的に、鉄鉱石(Fe3O4、Fe2O3等)を天然ガス(メタンガス)及び水素と550〜700℃の温度下で接触させると還元されて金属鉄になり、さらに反応を続けると炭化鉄(主に、Fe3C)が生成され、その割合は増えていく。例えば、流動層炉で鉄鉱石を天然ガス(水素は図示略)と接触させてアイアンカーバイド(炭化鉄)を生成させる。また、天然ガスを原料とし比較的高水素系の還元ガスを使用したシャフト炉式直接還元プロセスにより製造したペレット形状の直接還元鉄をアイアンカーバイド(炭化鉄)として使用することもできる。一例として、上記シャフト炉式直接還元プロセスで製造した直接還元鉄は、高炭化鉄成分で、Fe3C:70%、Fe:25%、Fe3O4:5%であり、ペレットサイズは6〜13mmである。
【0018】
図1は、本発明の実施の第1形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の概略構成を示している。本実施の形態は、一例として、第1の反応炉及び第2の反応炉が流動層反応炉の場合であるが、本発明に適用できる反応炉は流動層方式に限定されるものではなく、第1の反応炉、第2の反応炉それぞれに移動層方式など他の方式を採用することが可能である。図1に示すように、第1の流動層反応炉14においては、流動層温度を、低温度域、例えば、300〜500℃に確保し、粒子径3mm以下のアイアンカーバイド粒子、酸化鉄、水蒸気(流動化ガス)を供給して反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性ガス(還元ガス)を生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を純鉄に転換する。第1の流動層反応炉14で起こる主な反応は、下記の通りである。
2Fe3C+Fe2O3+H2O→6Fe+2FeO+H2+2CO
【0019】
第1の流動層反応炉14で生成した純鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄は、水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガス(還元ガス)とともに、流動層温度が、高温度域、例えば、550〜700℃である第2の流動層反応炉16に供給され、水蒸気が吹き込まれてアイアンカーバイドと酸化鉄の少なくとも一部が純鉄になるとともに、水素、一酸化炭素等からなる可燃性ガスが生成される。第1の流動層反応炉14で生成した還元ガスを第2の流動層反応炉16に供給することにより、生成した純鉄の酸化が抑制され、純度の高い鉄が製造できる。第2の流動層反応炉16で起こる主な反応は、下記の通りである。
2Fe3C+FeO+H2O→7Fe+2CO+H2
【0020】
また、第1の流動層反応炉14で生成した水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。なお、可燃性ガスを第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器18を設け、燃焼させるようにしてもよい。
また、流動層反応炉14、16で生成した可燃性ガスの燃焼による燃焼熱に加え、それぞれの流動層内に所定の伝熱管20、22を設けて、廃熱を供給できる構成としてもよい。また、流動層反応炉14、16は、複数の流動層を有する構成とすることも可能である。
なお、水素及びCOを含む可燃性ガスは回収してエネルギーとして利用することができ、生成した鉄及びアイアンカーバイドは製銑炉又は製鋼炉で溶融して銑又は鋼を製造するのに利用される。
【0021】
また、図示はしていないが、反応等に限らず本プロセスで必要な熱は、発生した可燃性ガスの一部を燃焼させて直接又は間接的に供給することが可能である。具体的には、可燃性ガスの一部の燃焼熱を、反応炉に供給して反応熱として利用する他に、上記燃焼熱をアイアンカーバイド等の予熱に使用したり、供給ガスの予熱に使用したり、蒸気製造に使用したりすることが可能である。
【0022】
図2は、本発明の実施の第2形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の概略構成を示している。図2に示すように、流動層温度が、低温度域、例えば、300〜500℃である第1の流動層反応炉14に、アイアンカーバイド、酸化鉄、水蒸気(流動化ガス)を供給して反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性ガス(還元ガス)を生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を純鉄に転換する。第1の流動層反応炉14で生成した純鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄は、水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガス(還元ガス)とともに、流動層温度が、高温度域、例えば、550〜700℃である第2の流動層反応炉16に供給され、水蒸気が吹き込まれてアイアンカーバイドと酸化鉄の少なくとも一部が純鉄になるとともに、水素、一酸化炭素等等からなる可燃性ガスが生成される。第1の流動層反応炉14で生成した還元ガスを第2の流動層反応炉16に供給することにより、生成した純鉄の酸化が抑制され、純度の高い鉄が製造できる。流動層反応炉14、16で起こる反応は、実施の第1形態と同様である。
【0023】
また、第1の流動層反応炉14で生成した水素及び二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。
さらに、第2の流動層反応炉16で生成した水素、一酸化炭素、二酸化炭素等からなる可燃性ガスの少なくとも一部を、第2の流動層反応炉16及び/又は第1の流動層反応炉14に供給し、その少なくとも一部を燃焼するように燃焼用空気(酸素)を導入し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する。
【0024】
この場合、第1の流動層反応炉14からの可燃性ガスを第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器18を設けたり、第2の流動層反応炉16からの可燃性ガスを第2の流動層反応炉16及び/又は第1の流動層反応炉14に供給するラインに酸素導入器24を設けたりして、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させるようにしてもよい。
このときに、流動層反応炉14、16に供給する可燃性ガス全量を燃焼させる必要はなく、反応炉の温度確保に必要な熱量を供給できればよい。燃焼せず残された可燃性ガスは還元ガスとして、流動層反応炉16で生成された鉄の酸化抑制に働く。
他の構成及び作用等は、実施の第1形態の場合と同様である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 反応炉を二炉から構成し、第1の反応炉でアイアンカーバイド、酸化鉄と水蒸気を比較的低温で反応させて、水素等を含む可燃性ガス(還元ガス)と純鉄を生成させ、第1の反応炉で生成した可燃性ガス(還元ガス)を純鉄、アイアンカーバイド、酸化鉄とともに第2の反応炉に供給することにより、第2の反応炉で生成した純鉄の酸化を抑制して、純度の高い鉄を製造することができる。
(2) 第1の反応炉、第2の反応炉でそれぞれ生成した可燃性ガス(水素及び/又はCOガス等を含む)の一部、又はどちらかの反応炉で生成した可燃性ガスを燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として各反応炉で利用することにより、純鉄を効率よく製造することができ、しかも、廃熱を反応に必要な熱源として利用する場合における廃ガス量、廃ガス温度等の制約がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【図2】本発明の実施の第2形態によるアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【図3】従来のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法を実施する装置の一例を示す概略構成説明図である。
【符号の説明】
10、14、16 流動層反応炉
12 ガス加熱器
20、22 伝熱管
18、24 酸素導入器
Claims (18)
- 反応炉を二炉で構成し、第1の反応炉にアイアンカーバイド及び酸化鉄と水蒸気又は水蒸気を含むガスを供給して低温度域で反応させ、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、第1の反応炉で生成した鉄、未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を第2の反応炉に供給し、第2の反応炉に水蒸気又は水蒸気を含むガスを前記還元ガスとともに供給して高温度域で反応させ、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させることを特徴とするアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの一部を第1の反応炉に供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用する請求項1記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素の導入により燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用する請求項1又は2記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第1の反応炉で生成した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素を供給して燃焼させ、生成した燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用する請求項1、2又は3記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給し、鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させる請求項1〜4のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼空気又は酸素の導入によりその少なくとも一部を燃焼させ、その燃焼熱を反応に必要な熱として利用する請求項1〜5のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼空気又は酸素を供給して燃焼させて、第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用する請求項1〜6のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- 低温度域が300〜500℃、高温度域が550〜700℃である請求項1〜7のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法。
- アイアンカーバイド及び酸化鉄に水蒸気又は水蒸気を含むガスを接触させて、水素及び二酸化炭素を含む可燃性の還元ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換する第1の反応炉と、
第1の反応炉で生成した鉄と未反応のアイアンカーバイド及び酸化鉄を供給するとともに、第1の反応炉からの前記還元ガスを還元ガス供給手段により供給し、水蒸気又は水蒸気を含むガスと接触させて、水素及び一酸化炭素を含む可燃性ガスを生成させるとともに、アイアンカーバイド及び酸化鉄の少なくとも一部を鉄に転換し、還元ガスで鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させる第2の反応炉とを備えたことを特徴とするアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。 - 第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段を分岐して、可燃性ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を設け、第1の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにした請求項9記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、第2の反応炉に供給した可燃性の還元ガスの少なくとも一部を燃焼させて反応に必要な熱として利用するようにした請求項9又は10記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第1の反応炉から第2の反応炉に可燃性の還元ガスを供給する還元ガス供給手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、生成した燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するガス循環手段を接続し、燃焼ガスの一部を第1の反応炉に供給するとともに、残りの燃焼ガスを含む還元ガスを第2の反応炉に供給して、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにした請求項9、10又は11記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を還元ガスとして第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、炉内での鉄の酸化を抑制して純度の向上した鉄を生成させるようにした請求項9〜12のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにした請求項9〜13のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第2の反応炉で生成した可燃性ガスの回収手段を分岐して、可燃性ガスの少なくとも一部を第2の反応炉及び第1の反応炉に供給する可燃性ガス循環手段を設け、第2の反応炉及び第1の反応炉にそれぞれ燃焼空気又は酸素の導入手段を接続し、可燃性ガスの燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにした請求項9〜13のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 可燃性ガス循環手段に燃焼空気又は酸素の導入手段を接続して、可燃性ガスの少なくとも一部を燃焼させて第2の反応炉及び第1の反応炉の少なくともいずれかに供給し、燃焼熱を反応に必要な熱として利用するようにした請求項13、14又は15記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第1の反応炉が流動層反応炉であり、炉内に堆積したアイアンカーバイド及び酸化鉄の粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させるようにした請求項9〜16のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
- 第2の反応炉が流動層反応炉であり、炉内に堆積した鉄、酸化鉄及びアイアンカーバイドの粒子を水蒸気又は水蒸気を含むガスを下部から導入し流動化させて反応させるようにした請求項9〜17のいずれかに記載のアイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造装置。
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JP2002374562A JP2004204297A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | アイアンカーバイドを用いた水素及び鉄の製造方法並びに装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014197263A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-16 | シャープ株式会社 | 見守りサービスシステム、見守りサービス方法、通信端末装置、見守り通知方法、及びコンピュータプログラム |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002374562A patent/JP2004204297A/ja active Pending
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