JP2004203971A - 放出遅延樹脂性保持材およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、揮発性物質を放出遅延させるための樹脂性保持材、この放出遅延樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた物品を提供する。
【解決手段】揮発性物質の放出遅延樹脂性保持材であって、熱可塑性樹脂、平均粒径約0.05μm〜約50μm、比表面積約1m2/g〜約500m2/gの多孔質無機充填剤を含むことを特徴とする樹脂性保持材、およびこの樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた放出遅延機能性物品。
【選択図】 なし
【解決手段】揮発性物質の放出遅延樹脂性保持材であって、熱可塑性樹脂、平均粒径約0.05μm〜約50μm、比表面積約1m2/g〜約500m2/gの多孔質無機充填剤を含むことを特徴とする樹脂性保持材、およびこの樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた放出遅延機能性物品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発性物質を放出遅延させるための樹脂性保持材であって、より具体的には、熱可塑性樹脂と多孔質無機充填剤を含む放出遅延樹脂性保持材に関する。また、この放出遅延樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた物品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般的に揮発性物質は、放出遅延または徐放出のために液体および含浸ゲル剤として下記の3種類に大別して製品化されてきた。その一つの液体の場合は、運搬時に液がこぼれる、液体の加工時の不便さ、直ぐに乾燥する、持続期間が短いなどの欠点がある。二つめの加温・冷却加工ゲル剤の場合は、加工時に添加されるテルペン類、エステル類等の芳香性物質などの揮発性物質に対して高温(80℃〜95℃)をかけねばならず、トップノート(60℃近辺)が飛散しバランスがくずれ均一な製品が得られないなどの欠点がある。三つめの反応型常温硬化ゲルは、硬化時間がかかりすぎるなどの欠点がある。
【0003】
従来の液体および含浸ゲル剤は基本的に容器に充填しなければならず、保持材そのものの加工は不可能である。また、使用に際しては、開封されたゲル剤等の容器を放置すると場所を取り、衛生害虫・昆虫類等の殺虫剤などの場合、設置する場所がら人の触れやすい場所での接触等の注意が必要である。本発明者らは上記のような欠点のない揮発性物質の保持材を求めて鋭意検討を行った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂として熱可塑性樹脂を選択し、揮発性物質を坦持し得るものとして微粒子の凝集体が優れているとの知見に基づいて完成された。本発明の第1の態様では、揮発性物質の保持材として、熱可塑性樹脂および平均粒径約0.05μm〜約50μm、比表面積約1m2/g〜約500m2/gの多孔質無機充填剤を含む放出遅延樹脂性保持材を提供する。
【0005】
本発明の樹脂性保持材に用いられ得る揮発性物質とは、沸点が常温〜約250℃、好ましくは、約30℃〜約150℃、より好ましくは、約50℃〜約150℃の有機化合物であり、具体的には、これらの揮発性物質は香料、芳香剤、消臭剤、忌避剤、誘因剤および吸収剤などの機能性物質に含まれている(以下では揮発性物質および機能性物質が同義に用られている場合がある)。
【0006】
上記熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネイト樹脂を挙げることができる。
【0007】
より好ましくは、揮発性物質を考慮して加工温度が比較的低いエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂、またはそれらの混合物であってもよい。最も好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。
【0008】
沸点の低い成分を主体とする揮発性物質を熱可塑性樹脂に混入する時の加工時の温度が高ければ、揮発性物質のうち低沸点成分が蒸発し結果的に量が減り、熱可塑性樹脂の混入後、低沸点揮発性物質が熱可塑性樹脂に包埋されてしまいより放出しない可能性があるが、EVAについては、特に、酢酸ビニル含有率で樹脂の溶融温度が変わる特徴がある。ウルトラセン(登録商標、東ソ−株式会社製)で一例を上げると、酢酸ビニル含有率が6%であれば、樹脂の溶融温度は、約100℃になり、酢酸ビニル含有率が20%であれば、約80℃になり、また、酢酸ビニル含有率が42%であれば樹脂の溶融温度は、50℃以下になる。
【0009】
例えば、揮発性機能性物質の1種である香料で、沸点が約60℃位の低いものの場合は、EVAの選定で熱可塑性樹脂に揮発性物質を混入する加工時の温度を下げて、加工時の低沸点揮発成分の蒸発を最小限に押さえることができる。
【0010】
ポリエチレンについては、低密度ポリエチレンであれば、樹脂の溶融温度は約110℃である。熱可塑性樹脂に軟化剤等を添加すれば、樹脂の持つ樹脂の溶融温度をさらに下げることも可能である。
【0011】
多孔質無機充填剤には、微粒子の凝集体である珪酸または珪酸化合物が挙げられる。
【0012】
珪酸の粒子は、製造時の沈降反応時に作られると言われており、一次粒子の大きさは約5〜50nmの球状である。しかし、現実には、珪酸は一次粒子として単独に存在することはなく、いくつかの一次粒子が結合した凝集体としてのみ存在する。一次粒子の凝集体の見かけ粒径は1〜50μm位である。一次粒子間で化学および物理化学的な分子相互間力が働き、一次粒子の結合体として一次凝集体が形成される。この一次凝集体がポリマー中存在できる珪酸としての最小単位であり、熱および機械力ではこれ以上の細分化はできない。一次凝集体がさらに合体化した場合、二次凝集体が形成されるが、非常に結合力が弱いために珪酸がポリマーに練り込まれる際崩壊し、一次凝集体となる。珪酸一次粒子が結合し、凝集体を形成することにより立体的な空隙が形成され、これが「シリカストラクチャー」といわれるものである。珪酸がポリマーに練り込まれる際、その熱および機械的な力によって珪酸中のストラクチャーにポリマーの一部が取り込まれる。
これはある意味でシリカストラクチャーとポリマー鎖による結合が形成されたことになる。このことにより、珪酸であるシリカは、充填剤の中でも補強剤的な役割を果たすので、ポリマーの補強剤としても用いられる。
【0013】
粉体に揮発性成分を含む機能性物質を多量に保持させるためには、単位重量当たりの表面積の大きい粉体に機能性物質を吸収・保持させることで、上記のような粉体の凝集体である珪酸および珪酸化合物はこの点で優れていることになる。
表面積の大きい珪酸または珪酸化合物には多量の揮発性物質が吸収され、従って、揮発性物質の香りを長期間放出でき、優れた熱可塑性樹脂の放出遅延樹脂性保持材となる。
【0014】
珪酸への機能性物質の坦持に関しての別の有利な点の一つは、珪酸の粉体の凝集体への機能性物質の吸着が、大気圧の常圧下でよく、減圧しなくても揮発性物質を十分に吸着させることができる。このことは、特に粉体に揮発性物質を吸収させるための減圧設備を必要としないので、粉体に揮発性物質を吸収させる安価な方法である。
【0015】
熱可塑性樹脂、多孔質無機充填剤および機能性物質の含有比率は、熱可塑性樹脂100重量部(以下部)に対して、予め多孔質無機充填剤100部に機能性物質を約35部〜約120部、好ましくは約60〜約110部、より好ましくは約80〜約100部添加したものを約0.2部〜約40部、好ましくは約6〜約30部、より好ましくは約10部〜約20部添加する。
【0016】
一般的には熱可塑性樹脂には、加工性を高める為に可塑剤、樹脂の劣化防止に老化防止剤等が添加され、また増量・充填剤として炭酸カルシウム等が用いられる。
【0017】
本発明の樹脂性保持材はさらに別の充填剤を含むことができる。別の充填剤として、炭酸カルシウム粉末、木粉、木片チップ、紙の造粒物を挙げることができる。好ましくは、炭酸カルシウム粉末である。
【0018】
熱可塑性樹脂100重量部(以下部)に、別の充填剤(例えば、炭酸カルシウム粉末)を約0.5部〜約80部、好ましくは約20〜約70部、より好ましくは約30〜約60部を添加・混和し、これに、予め多孔質無機充填剤100部に、揮発性成分を含む機能性物質を約35〜約130部、好ましくは約60〜約120部、より好ましくは約80〜約100部添加・混和したものを約0.2〜約40部、好ましくは約6〜約30部、より好ましくは約10〜約20部添加する。
【0019】
本発明の別の態様は、上記の放出遅延樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた放出遅延機能性物品を提供する。
【0020】
上記機能性物質は揮発性物質を含有しており、その例としては、香料、芳香剤、消臭剤、衛生害虫・鳥類・昆虫類・小動物等の忌避剤および衛生害虫・鳥類・昆虫類・小動物等の誘因剤を挙げることができる。特に、芳香剤および/または忌避剤は本発明の放出遅延樹脂性保持材に有利に適用される。
【0021】
放出遅延樹脂性保持材に対する揮発性機能性物質の添加量は、樹脂性保持材に対して、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは、約2重量%〜約10重量%、より好ましくは、約5重量%〜約10重量%である。
【0022】
例えば、香料の例では、熱可塑性樹脂の混合物に対して、促進高温試験条件の50℃、30日間の恒温槽で芳香の保持性について確認したところ、香料の重量%での添加率は、約5〜約20%、好ましくは、約8重量%〜約10重量%である。
【0023】
機能性物品の形態として、樹脂ペレット品、樹脂シート品、樹脂成型品、上記樹脂ペレット品の練り込み樹脂製品などを挙げることができ、これらの形態で芳香剤、消臭剤、忌避剤、誘因剤および吸収剤として用いることができる。樹脂シートの芳香剤の利便性はいうまでもなく、他に例を挙げると、薄いシート状の忌避剤物品であれば、ゴキブリの好む隙間に差し込み設置することができ、また、飛翔害虫類がセンサー等の誤作動を惹起しやすい場合に、センサー自体を忌避剤保持樹脂で成型加工し誤作動を防ぐことができる。さらに、アセトアルデヒドなどの揮発性物質については、アセトアルデヒド吸収剤を保持させた樹脂製フローリング材または壁材によってシックハウス症候群を予防し得る。また水分を含む樹脂は静電気発生が起こりにくくなるものと考えられる。
【0024】
放出遅延樹脂性保持材の製造
揮発性の機能性物質は、予め別に、微細な粉体の凝集体等の珪酸に混ぜて予備混合物を準備しておく。例えば、この混合の方法は、珪酸と揮発性物質とをタンブラー、ブレンダー、高速ミキサー等にて混合して、珪酸に揮発性物質を予め吸収・保持させておく。以下では、予め微細な粉体の凝集体に揮発性物質を混ぜたものを、揮発性機能性物質の予備混合物と称する。
【0025】
熱可塑性樹脂への配合・混合は、ミキサー等の混合機に熱可塑性樹脂、各種配合剤と揮発性物質の混合物を投入して、低速、または高速回転で攪拌して混合する。
【0026】
熱可塑性樹脂の混合・練り込み時、揮発性機能性物質は微細な粉体の珪酸に吸収・保持させて練り込む。この方法により、スクリューにて熱可塑性樹脂と配合剤を混合・練り込み時の揮発性物質の蒸発による損失を少なくすることができ、長期間熱可塑性樹脂よりの揮発性物質の放出が可能となる。
【0027】
続いて、溶融混練り、押出機によるペレット化を行う。すなわち、攪拌・混合された材料を溶融混練り機に投入して均一に混ぜて均質化する。混練りされた材料は、ペレタイザー等を備えた押出機に送り、ペレット状に加工する。ペレットの形状としては、円柱状、角粒状、無定形などがある。
【0028】
実験例1: 揮発性物質の珪酸と炭酸カルシウム粉末の坦持性の比較
一般的に使用されている充填剤のひとつとして、他に炭酸カルシウムがあるが、表面積として見てみると、約1〜約50m2/g位であるのに対して、微粒子の凝集体である珪酸では、約50〜約500m2/gと表面積比は炭酸カルシウムに対して珪酸は約10倍である。
【0029】
また、炭酸カルシウムの場合は、たとえ重量比で香料を20%吸収したとしても、潮解性があり、香料を保持しているとは言い難い。他方、珪酸の場合は、重量比で香料を150%吸収させても潮解性が見られなかった。潮解性が見られないのは、粉体に揮発性機能性物質がしっかりと保持させているからである。実際にビーカーワークでサンプル比較してみて、同じ充填剤の種類により揮発性物質の吸収の違いが確認された。揮発性物質を香料の一種で比較すると。炭酸カルシウムは、重量比で吸収できる香料は約20%以下であるが、珪酸の場合は、重量比で吸収できる香料は、約150%であった。この値は、炭酸カルシウムに対して珪酸は約7倍の香料を吸収・保持できることになる。また、香料が低沸点のものと高沸点のものでも傾向は変わらない。
【0030】
比較実験例1: 熱可塑性樹脂のみの揮発性物質の保持試験
熱可塑性樹脂のウルトラセン630(登録商標、東ソー株式会社製)90重量部(以下、部)に揮発性物質である香料10部を添加し練り込み、厚み約2mm、長さ約60mm、幅約50mmの樹脂シートに加工した。
【0031】
結果
シート加工直後は香りを保持しているが、50℃の高温槽に2週間放置すると香りは全くなくなっていた。熱可塑性樹脂に揮発性物質を直接練り込んだ場合は、揮発性物質は熱可塑性樹脂を膨潤させた状態で混入しているが、熱可塑性樹脂は短期間に揮発性物質を放出してしまうと推測される。
【0032】
実験例2: 香料入り樹脂シートの賦香率の実験
(1)香料A予備混合物の調製
予め、珪酸として、トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)100grを先にビーカーに入れて、次に、香料A(成分の大部分の沸点が約95〜220℃の調合香料)100grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0033】
【0034】
(2)ベースレジンAの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンAを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約90℃に上げて、熱可塑性樹脂(ウルトラセン515F、登録商標、東ソー株式会社製)1000grを、ロールに巻き付ける。充填剤として炭酸カルシウム粉末(ホワイトンS−3、登録商標、東洋ファインケミカル株式会社製)986grと、助剤としてステアリン酸(日本油脂株式会社製)1.2grを投入して混合する。
【0035】
【0036】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。このベースレジンAの配合品を2本準備する。この取り出したシート状のものをベースレジンAとして、香料の賦香率に合わせて重量を変えて、香料の賦香サンプルをつくる。
【0037】
(3)賦香サンプル
ベースレジンAと香料A予備混合物で、最終的に香料Aが0.1重量%から5重量%になるように、香料A予備混合物を加えてテストロールにて混合する。8インチロール機のロール温度を約90℃に上げて、ベースレジンAを巻き付け熱入れをして、次に、香料A予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして香料の芳香の評価をする。
【0038】
賦香サンプル(%:重量%)
【0039】
(4)香料の芳香の評価
a. 練り込み直後の評価
樹脂に練り込み直後のシートでの香料の芳香は、賦香率が0.1%でもサンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じるが、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるのは、賦香率が2%以上の方が強く感じた。
【0040】
b. 50℃の恒温槽での促進高温試験評価
賦香率が0.1%から5%の各サンプル片幅約30mm、長さ約50mmを50℃の恒温槽に入れて、連続運転での放置日数での促進高温試験の結果は、1日目で香料の香りは、賦香率が0.1%でもサンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じる(±)が、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるのは、賦香率が2%以上の方が強く感じた(++)。さらに連続運転での放置日数での促進試験の結果を、3日目、10日目、20日目、30日目に評価し、サンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じるを「±」、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるを、「+」、強く感じるを、「++」で示した。
【0041】
上記の試験結果を表にまとめると以下のようになる。
【0042】
促進高温試験(50℃)の1日は、通常の放置試験の4日に相当するとも言われるので、5.0%の賦香率では、少なくとも約4ヶ月は持続したことになる。
【0043】
比較実験例2: 多孔質無機充填剤のかわりに炭酸カルシウムを用いた
保持試験
熱可塑性樹脂のウルトラセン630 50部、ホワイトンS−3(登録商標、東洋ファインケミカル株式会社製)40部を予め混和し、ついで、揮発性物質である香料10部を添加し練り込み、厚み約2mm、長さ役60mm、幅約50mmの樹脂シートに加工した。
【0044】
結果
シート加工直後は香りを保持しているが、50℃の高温槽に2週間放置すると少し香りがあるが、約10cm離すと香りはほとんどなくなっていた。
【0045】
実験例3: 熱可塑性樹脂への低沸点揮発性物質の練り込み実験
(1)低沸点香料の予備混合物の調製
a. D−リモネン(沸点60℃)予備混合物の調製
予め、トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)50grを先にビーカーに入れて、次に、D−リモネン50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0046】
【0047】
b. 酢酸エチル(沸点77℃)の予備混合物の調製
予め、株式会社トクヤマ製のトクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、酢酸エチル50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0048】
【0049】
c. シトロネリル様香料(沸点97−98℃)の予備混合物の調製
予め、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、シトロネリル様香料l50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0050】
【0051】
d. 酢酸イソアミル(沸点142.5℃)の予備混合物の調製
(但し、酢酸イソアミルには酢酸イソブチルが混じっている)
予め、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、酢酸イソアミル・酢酸イソブチル50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0052】
【0053】
(2)ベースレジンBの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンBを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約40℃に上げて、熱可塑性樹脂(エバフレックスEV150、登録商標、三井デュポンポリケミカル(株)社製)495grを、ロールに巻き付ける。ホワイトンS−3 500grと、ステアリン酸5grを投入して混合する。
【0054】
【0055】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。この取り出したシート状のものをベースレジンとして香料の賦香率に合わせて重量を採取して、香料の賦香試料をつくる。
【0056】
(3)低沸点揮発性物質の予備混合物の練り込みサンプル
ベースレジンBと低沸点香料予備混合物(4種類)を、テストロールにて、混合する。ベースレジンB160grと各低沸点予備混合物40grを混合する。8インチロール機のロール温度を約40℃にして、ベースレジンBを巻き付け熱入れをして、次に、香料予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして香料の芳香の評価をする。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
(4)低沸点揮発性物質の保持性評価
熱可塑性樹脂への低沸点揮発性物質の練り込み加工で、低温度での練り込み加工であれば低沸点成分の揮発が最小限に押さえられ、どの程度揮発性物質が残存し得るかをヘッドスペースで確認した。比較するチャートとして、ベースレジンB、各揮発性物質および熱可塑性樹脂への揮発性物質練り込みサンプルで採取したデータと比較したが、関連付けられるピーク等では大差はなかった。このことは、熱可塑性樹脂への低沸点成分を含んだ揮発性物質を練り込みするには、練り込む揮発性物質の成分の沸点を知り、その沸点以下の温度で練り込み加工できる熱可塑性樹脂を選択して練り込み加工すれば、揮発性物質の成分の揮発を最小限に押さえて、熱可塑性樹脂へ揮発性物質を練り込むことができることが判明した。
【0062】
実験例4: 熱可塑性樹脂への水性溶液の練り込み実験
本発明の樹脂性保持材には油性揮発性物質だけでなく水溶性の揮発性物質も保持させ得る。下記の試験では水性溶液の揮発物質として水そのものを使用して練り込み試験を行った。水溶性の揮発性物質は水に溶解させて本発明の樹脂性保持材に保持させることができる。
【0063】
(1)水性溶液の予備混合物の調製
水道水を、水溶性溶解剤であるソルフィット(登録商標、株式会社クラレ製、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、油性および水溶性の揮発性物質と良く混和し得る)に50:50の割合で添加・混合する。
【0064】
つぎに、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、水/ソルフィット50/50混合物50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0065】
【0066】
(2)ベースレジンCの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンCを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約40℃に上げて、エバフレックスEV150 91grを、ロールに巻き付ける。ホワイトンS−3 108grと、ステアリン酸1grを投入して混合する。
【0067】
【0068】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。
【0069】
(3)水性溶液の予備混合物の練り込みサンプル
ベースレジンCと水性溶液(水/ソルフィット50/50)の予備混合物をテストロールにて混合する。ベースレジンC160grと水性溶液予備混合物40grを混合する。8インチロール機のロール温度を約40℃にして、ベースレジンCを巻き付け熱入れをして、次に、水性溶液の予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして混合の評価をする。
【0070】
【0071】
(4)水性溶液の練り込みサンプルの評価
熱可塑性樹脂への水性成分の揮発性物質の練り込み加工で、低温度での練り込み加工であれば水性成分の揮発が最小限に押えられ、どの程度水性成分が残存するかにつきヘッドスペース等で確認をした。比較するチャートとして、ベースレジンC、水性成分の予備混合物の練り込みサンプルで採取したデータと比較したが、水性成分のピークに大差はなかった。本発明の樹脂性保持材が水溶性の揮発性物質も保持し得ることを示している。
【0072】
試験例1: 賦香樹脂シートの香料放出遅延保持試験
下記の実施例3で調製した賦香樹脂シートにつき、恒温槽にて50℃での香り放出促進試験を行った。シート成型加工した賦香樹脂シートの厚さ約1mm、2mm、3mmの3種類につき、幅40mm×長さ60mmの試験片を準備した。各1枚は練り込み直後のシートとして、密閉・チャック式のアルミ薄袋に保存し、対照サンプルとする。各試験前賦香樹脂シート1枚は対照とし、残りの各3枚の試験片を恒温槽の中の上段の金網台に重ねずに平置きで乗せた。恒温槽の温度を50℃にセットして、昼夜連続の加温放置による促進高温試験を実施した。10日、20日、30日に各賦香樹脂シート1枚を取り出し、ヘッドスペースにて揮発成分のチャート分析を行った。
【0073】
ヘッドスペースによる揮発性成分の分析
ヘッドスペースオートサンプラー(Tekmer 7000/7050とガスクロマトグラフィーのGC-353Bを組合せた機器、ジーエルサイエンス株式会社製)を用いて、約1grの試料が賦課された約2〜3mm角のサンプル片を評価ガラス管である22mLバイアルに入れ、セプタム付きアルミクリンプキャップを開口部に乗せて、クリッパーにてキャップをかしめる。このバイアルをオートサンプラーのターンテーブルにセットしてサンプル中の揮発成分を分析する。
【0074】
まず、恒温槽にて50℃で連続加温された試験片の10日目で各1枚を取り出して香りを練り込み直後のシートのものと比較した。取り出した10日目の試験片の外観表面は、特に変色、べたつき、ざらざら感が認められなかった。香りについても、感覚的には大きな差は感じられず、香りは強く残っていた。これを外観変化なし「−」、保持性ありを「+」および「++」で記録した。以下、20日、30日も同様に評価した。
【0075】
【0076】
30日目に取り出したシートの香りは賦香樹脂シートの厚みが1mmについては香りがまだ残っていたが弱かった。この30日目の残りの各1枚をヘッドスペースにて揮発成分のチャート分析を行った。このチャートと練り込み直後のシートで採取したデータと比較したが、ピーク等での大差はなかった。まだ、香りが感じられる程、残っていたので、香りの放出が遅延されて樹脂中に香りが保持されていたことが証明できた。
【0077】
【実施例】
【0078】
トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入した。次に、香料B10kgを少量づつ投入しながら攪拌棒にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入した。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。
混合が完了すれば、混合機の内面に香料が付着していないことを確認し,配合容器に取り出した。このように、予め、トクシールGUと香料Bを混合して排出して別の袋等に一時保管するが、長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋を、PP袋またはアルミ袋などの機密性の高い樹脂の袋にして揮発防止する。
【0079】
次に、本作業として混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセン515F(東ソー株式会社製)15.9kg、ホワイトンS−3(東洋ファインケミカル株式会社製)63.6kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の予備混合品を投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。
【0080】
次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が90〜105℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0081】
溶融混練した樹脂材料は、ダイスを通しペレタイザーを通し丸ペレット状に切断加工する。ペレットの直径は約3〜3.5mm、長さは約2.5〜3.0mmに粒状加工する。
【0082】
ペレット加工されたペレット品は、乾燥・金属検出をして袋詰め秤量機にて、20kg入りの袋詰めをする。袋詰めに際しては、ペレット品での袋詰め品の保管で香料が放出しないように、紙袋の中袋のPE袋は、ペレット収納後、PE袋の上部開口部の端末をしわ寄せて折り返し、この上より太めのゴムバンドできつく巻き付けて縛る。袋のPEの底部は、ヒートシールされているので、ほぼ、密閉された状態となる。
【0083】
長期間のペレット品での保管の場合は、PE袋に代わりPP袋またはアルミ袋にするのが望ましい。これは、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で香料Bが10%添加されたペレット品となる。
【0084】
【0085】
トクシールGU10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入する。次に、香料成分B10kgを少量づつ投入しながら攪拌棒にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入する。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。混合が完了すれば、配合容器に取り出すが、混合機の内面に香料が付着していないかを確認することである。
もし、混合機の内面に香料が付着していれば、ヘラ等で混合時のトクシールGUをからましてこすり取る。このように、予め、トクシールGUと香料を混合して排出して別の袋等に一時保管する。長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋は、PP袋またはアルミ袋などの機密性の高い樹脂の袋にするのが揮発防止で望ましい。次に、本作業として、混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセン631(東ソー株式会社製)15.9kg、炭カルVigot-10 (白石工業株式会社製)63.6kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の混合品をも投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が85〜95℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0086】
溶融混練した樹脂材料は、実施例1と同様にしてペレットとし、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で香料Bが10%添加されたペレット品とする。
【0087】
実施例3: 香料入り樹脂シートの製造
次に、厚さ約1mm、2mm、3mmのシート加工をする。1台のロール機のロール温度を90℃まで加温して、ロール間隔を約2mm程にして、実施例1または2で製造したペレット品を少量づつロールの間に投入する。ペレット品がロールより落下したものを再度集めて、少量づつロールの間に投入を繰り返す。しばらくするとペレット品が溶けだしてロールに巻き付けてくる状態となる。さらに続けて繰り返すと完全にペレット品はロールに巻き付いてくるので、ナイフで切り返しをしながら全量をロールに巻き付けていく。樹脂がロールに粘着しだした場合は、ロールを水冷に切り替えて発熱によるロールの温度上昇を押さえる。温度上昇は、香料の発散となり温度管理には気を付ける。ロールよりシート出しする適量の樹脂を丸めて巻き付け切り取り冷めないように分割しておく。再度、ロール間隔を適当な間隔に調整して、分割しておいた樹脂をロールに巻き付け、ロールの両サイドより巻き付けシートを少量切り取り、厚みを測定して適当にロール間隔を調整する。ロール間隔の調整が終われば、ロールに巻き付いている樹脂シートを一気にナイフでロール長さ方向に切り、シート端末を手にて引き出して台上に置いて空冷する。台上でのシート品の不良のものは、はさみ等で切り取り、次のシート出しのものに加えて加工を繰り返す。台上で空冷して冷めた樹脂シート品を適当な大きさに切り、香料入り樹脂シート品とする。
【0088】
【0089】
トクシールGU10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入する。次に、忌避剤であるバードオフ(BIRD OFF)No.1 10kgを少量づつ投入しながら攪拌にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入する。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。混合が完了すれば、配合容器に取り出すが、混合機の内面に香料が付着していないかを確認することである。もし、混合機の内面に香料が付着していれば、ヘラ等で混合時のトクシールGUをからましてこすり取る。このように、予め、トクシールGUと忌避剤を混合して排出して別の袋等に一時保管する。長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋は、PP袋の機密性の高い樹脂の袋にするのが揮発防止で望ましい。
【0090】
次に、本作業として混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセンYX11(東ソー株式会社製)23.5kg、炭カル白艶華CCR(白石工業株式会社製)56.0kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の混合品をも投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。
【0091】
次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が65〜75℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0092】
溶融混練した樹脂材料は、ダイスを通しペレタイザーを通し丸ペレット状に切断加工する。ペレットの直径は約3〜3.5mm、長さは約2.5〜3.0mmに粒状加工する。ペレット加工されたペレット品は、乾燥・金属検出をして袋詰め秤量機にて、20kg入りの袋詰めをする。袋詰めに際しては、ペレット品での袋詰め品の保管で忌避剤が放出しないように、紙袋の中袋のPE袋は、ペレット収納後、PE袋の上部開口部の端末をしわ寄せて折り返し、この上より太めのゴムバンドできつく巻き付けて縛る。袋のPEの底部は、ヒートシールされているのてで、ほぼ、密閉された状態となる。長期間のペレット品での保管の場合は、PE袋に代わりPP袋またはアルミ袋にするのが望ましい。これは、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で忌避剤が10%添加されたペレット品となる。
【0093】
次に、厚さ約1mm、2mm、3mmのシート加工をする。1台のロール機のロール温度を65℃まで加温して、ロール間隔を約2mm程にして、ペレット品を少量づつロールの間に投入する。ペレット品がロールより落下したものを再度集めて、少量づつロールの間に投入を繰り返す。しばらくするとペレット品が溶けだしてロールに巻き付けてくる状態となる。さらに続けて繰り返すと完全にペレット品はロールに巻き付いてくるので、ナイフで切り返しをしながら全量をロールに巻き付けていく。樹脂がロールに粘着しだした場合は、ロールを水冷に切り替えて発熱によるロールの温度上昇を押さえる。温度上昇は、忌避剤の発散となり温度管理には気を付ける。ロールよりシート出しする適量の樹脂を丸めて巻き付け切り取り冷めないように分割しておく。再度、ロール間隔を適当な間隔に調整して、分割しておいた樹脂をロールに巻き付け、ロールの両サイドより巻き付けシートを少量切り取り、厚みを測定して適当にロール間隔を調整する。ロール間隔の調整が終われば、ロールに巻き付いている樹脂シートを一気にナイフでロール長さ方向に切り、シート端末を手にて引き出して台上に置いて空冷する。台上でのシート品の不良のものは、はさみ等で切り取り、次のシート出しのものに加えて加工を繰り返す。台上で空冷して冷めた樹脂シート品を適当な大きさに切り、忌避剤入り樹脂シート品とする。
【0094】
【発明の効果】
(1)微粒子粉体の凝集体と揮発性物質を、予め、混合して微粒子粉体の凝集体に揮発性物質を吸収・格納させることで、熱可塑性樹脂への練り込み加工時の揮発性物質の蒸発を防ぐことができる。熱可塑性樹脂に揮発性物質が直接練り込まれると、揮発性物質は熱可塑性樹脂を膨潤させた状態で混入しているが、熱可塑性樹脂が短期間に揮発性物質を放出してしまうが、多孔質無機充填剤に揮発性物質を予め坦持させて熱可塑性樹脂に練り込むと揮発性物質は熱可塑性樹脂変化させることなく樹脂中に存在し得、従って長期に保持されると考えられる。
(2)熱可塑性樹脂に練り込む揮発性物質についても、揮発性物質が油性、水性問わずに熱可塑性樹脂に揮発性物質を練り込むことができて、揮発性物質の種類を問わずに加工できる。
(3)揮発性物質の沸点温度と熱可塑性樹脂の加工時の溶融温度等を考慮することにより、揮発性物質の蒸発を押さえる温度の約60℃で熱可塑性樹脂に揮発性機能性物質を練り込むことができる。
(4)本発明での熱可塑性樹脂への揮発性物質の添加により、揮発性物質入り熱可塑性樹脂のシート加工品ができ、薄いシート加工品から樹脂成型品加工までのゲル剤にない分野への展開ができる。例えば、薄いシート状の忌避剤商品であれば、ゴキブリの好む隙間に差し込み設置することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発性物質を放出遅延させるための樹脂性保持材であって、より具体的には、熱可塑性樹脂と多孔質無機充填剤を含む放出遅延樹脂性保持材に関する。また、この放出遅延樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた物品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般的に揮発性物質は、放出遅延または徐放出のために液体および含浸ゲル剤として下記の3種類に大別して製品化されてきた。その一つの液体の場合は、運搬時に液がこぼれる、液体の加工時の不便さ、直ぐに乾燥する、持続期間が短いなどの欠点がある。二つめの加温・冷却加工ゲル剤の場合は、加工時に添加されるテルペン類、エステル類等の芳香性物質などの揮発性物質に対して高温(80℃〜95℃)をかけねばならず、トップノート(60℃近辺)が飛散しバランスがくずれ均一な製品が得られないなどの欠点がある。三つめの反応型常温硬化ゲルは、硬化時間がかかりすぎるなどの欠点がある。
【0003】
従来の液体および含浸ゲル剤は基本的に容器に充填しなければならず、保持材そのものの加工は不可能である。また、使用に際しては、開封されたゲル剤等の容器を放置すると場所を取り、衛生害虫・昆虫類等の殺虫剤などの場合、設置する場所がら人の触れやすい場所での接触等の注意が必要である。本発明者らは上記のような欠点のない揮発性物質の保持材を求めて鋭意検討を行った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂として熱可塑性樹脂を選択し、揮発性物質を坦持し得るものとして微粒子の凝集体が優れているとの知見に基づいて完成された。本発明の第1の態様では、揮発性物質の保持材として、熱可塑性樹脂および平均粒径約0.05μm〜約50μm、比表面積約1m2/g〜約500m2/gの多孔質無機充填剤を含む放出遅延樹脂性保持材を提供する。
【0005】
本発明の樹脂性保持材に用いられ得る揮発性物質とは、沸点が常温〜約250℃、好ましくは、約30℃〜約150℃、より好ましくは、約50℃〜約150℃の有機化合物であり、具体的には、これらの揮発性物質は香料、芳香剤、消臭剤、忌避剤、誘因剤および吸収剤などの機能性物質に含まれている(以下では揮発性物質および機能性物質が同義に用られている場合がある)。
【0006】
上記熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネイト樹脂を挙げることができる。
【0007】
より好ましくは、揮発性物質を考慮して加工温度が比較的低いエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂、またはそれらの混合物であってもよい。最も好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。
【0008】
沸点の低い成分を主体とする揮発性物質を熱可塑性樹脂に混入する時の加工時の温度が高ければ、揮発性物質のうち低沸点成分が蒸発し結果的に量が減り、熱可塑性樹脂の混入後、低沸点揮発性物質が熱可塑性樹脂に包埋されてしまいより放出しない可能性があるが、EVAについては、特に、酢酸ビニル含有率で樹脂の溶融温度が変わる特徴がある。ウルトラセン(登録商標、東ソ−株式会社製)で一例を上げると、酢酸ビニル含有率が6%であれば、樹脂の溶融温度は、約100℃になり、酢酸ビニル含有率が20%であれば、約80℃になり、また、酢酸ビニル含有率が42%であれば樹脂の溶融温度は、50℃以下になる。
【0009】
例えば、揮発性機能性物質の1種である香料で、沸点が約60℃位の低いものの場合は、EVAの選定で熱可塑性樹脂に揮発性物質を混入する加工時の温度を下げて、加工時の低沸点揮発成分の蒸発を最小限に押さえることができる。
【0010】
ポリエチレンについては、低密度ポリエチレンであれば、樹脂の溶融温度は約110℃である。熱可塑性樹脂に軟化剤等を添加すれば、樹脂の持つ樹脂の溶融温度をさらに下げることも可能である。
【0011】
多孔質無機充填剤には、微粒子の凝集体である珪酸または珪酸化合物が挙げられる。
【0012】
珪酸の粒子は、製造時の沈降反応時に作られると言われており、一次粒子の大きさは約5〜50nmの球状である。しかし、現実には、珪酸は一次粒子として単独に存在することはなく、いくつかの一次粒子が結合した凝集体としてのみ存在する。一次粒子の凝集体の見かけ粒径は1〜50μm位である。一次粒子間で化学および物理化学的な分子相互間力が働き、一次粒子の結合体として一次凝集体が形成される。この一次凝集体がポリマー中存在できる珪酸としての最小単位であり、熱および機械力ではこれ以上の細分化はできない。一次凝集体がさらに合体化した場合、二次凝集体が形成されるが、非常に結合力が弱いために珪酸がポリマーに練り込まれる際崩壊し、一次凝集体となる。珪酸一次粒子が結合し、凝集体を形成することにより立体的な空隙が形成され、これが「シリカストラクチャー」といわれるものである。珪酸がポリマーに練り込まれる際、その熱および機械的な力によって珪酸中のストラクチャーにポリマーの一部が取り込まれる。
これはある意味でシリカストラクチャーとポリマー鎖による結合が形成されたことになる。このことにより、珪酸であるシリカは、充填剤の中でも補強剤的な役割を果たすので、ポリマーの補強剤としても用いられる。
【0013】
粉体に揮発性成分を含む機能性物質を多量に保持させるためには、単位重量当たりの表面積の大きい粉体に機能性物質を吸収・保持させることで、上記のような粉体の凝集体である珪酸および珪酸化合物はこの点で優れていることになる。
表面積の大きい珪酸または珪酸化合物には多量の揮発性物質が吸収され、従って、揮発性物質の香りを長期間放出でき、優れた熱可塑性樹脂の放出遅延樹脂性保持材となる。
【0014】
珪酸への機能性物質の坦持に関しての別の有利な点の一つは、珪酸の粉体の凝集体への機能性物質の吸着が、大気圧の常圧下でよく、減圧しなくても揮発性物質を十分に吸着させることができる。このことは、特に粉体に揮発性物質を吸収させるための減圧設備を必要としないので、粉体に揮発性物質を吸収させる安価な方法である。
【0015】
熱可塑性樹脂、多孔質無機充填剤および機能性物質の含有比率は、熱可塑性樹脂100重量部(以下部)に対して、予め多孔質無機充填剤100部に機能性物質を約35部〜約120部、好ましくは約60〜約110部、より好ましくは約80〜約100部添加したものを約0.2部〜約40部、好ましくは約6〜約30部、より好ましくは約10部〜約20部添加する。
【0016】
一般的には熱可塑性樹脂には、加工性を高める為に可塑剤、樹脂の劣化防止に老化防止剤等が添加され、また増量・充填剤として炭酸カルシウム等が用いられる。
【0017】
本発明の樹脂性保持材はさらに別の充填剤を含むことができる。別の充填剤として、炭酸カルシウム粉末、木粉、木片チップ、紙の造粒物を挙げることができる。好ましくは、炭酸カルシウム粉末である。
【0018】
熱可塑性樹脂100重量部(以下部)に、別の充填剤(例えば、炭酸カルシウム粉末)を約0.5部〜約80部、好ましくは約20〜約70部、より好ましくは約30〜約60部を添加・混和し、これに、予め多孔質無機充填剤100部に、揮発性成分を含む機能性物質を約35〜約130部、好ましくは約60〜約120部、より好ましくは約80〜約100部添加・混和したものを約0.2〜約40部、好ましくは約6〜約30部、より好ましくは約10〜約20部添加する。
【0019】
本発明の別の態様は、上記の放出遅延樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた放出遅延機能性物品を提供する。
【0020】
上記機能性物質は揮発性物質を含有しており、その例としては、香料、芳香剤、消臭剤、衛生害虫・鳥類・昆虫類・小動物等の忌避剤および衛生害虫・鳥類・昆虫類・小動物等の誘因剤を挙げることができる。特に、芳香剤および/または忌避剤は本発明の放出遅延樹脂性保持材に有利に適用される。
【0021】
放出遅延樹脂性保持材に対する揮発性機能性物質の添加量は、樹脂性保持材に対して、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは、約2重量%〜約10重量%、より好ましくは、約5重量%〜約10重量%である。
【0022】
例えば、香料の例では、熱可塑性樹脂の混合物に対して、促進高温試験条件の50℃、30日間の恒温槽で芳香の保持性について確認したところ、香料の重量%での添加率は、約5〜約20%、好ましくは、約8重量%〜約10重量%である。
【0023】
機能性物品の形態として、樹脂ペレット品、樹脂シート品、樹脂成型品、上記樹脂ペレット品の練り込み樹脂製品などを挙げることができ、これらの形態で芳香剤、消臭剤、忌避剤、誘因剤および吸収剤として用いることができる。樹脂シートの芳香剤の利便性はいうまでもなく、他に例を挙げると、薄いシート状の忌避剤物品であれば、ゴキブリの好む隙間に差し込み設置することができ、また、飛翔害虫類がセンサー等の誤作動を惹起しやすい場合に、センサー自体を忌避剤保持樹脂で成型加工し誤作動を防ぐことができる。さらに、アセトアルデヒドなどの揮発性物質については、アセトアルデヒド吸収剤を保持させた樹脂製フローリング材または壁材によってシックハウス症候群を予防し得る。また水分を含む樹脂は静電気発生が起こりにくくなるものと考えられる。
【0024】
放出遅延樹脂性保持材の製造
揮発性の機能性物質は、予め別に、微細な粉体の凝集体等の珪酸に混ぜて予備混合物を準備しておく。例えば、この混合の方法は、珪酸と揮発性物質とをタンブラー、ブレンダー、高速ミキサー等にて混合して、珪酸に揮発性物質を予め吸収・保持させておく。以下では、予め微細な粉体の凝集体に揮発性物質を混ぜたものを、揮発性機能性物質の予備混合物と称する。
【0025】
熱可塑性樹脂への配合・混合は、ミキサー等の混合機に熱可塑性樹脂、各種配合剤と揮発性物質の混合物を投入して、低速、または高速回転で攪拌して混合する。
【0026】
熱可塑性樹脂の混合・練り込み時、揮発性機能性物質は微細な粉体の珪酸に吸収・保持させて練り込む。この方法により、スクリューにて熱可塑性樹脂と配合剤を混合・練り込み時の揮発性物質の蒸発による損失を少なくすることができ、長期間熱可塑性樹脂よりの揮発性物質の放出が可能となる。
【0027】
続いて、溶融混練り、押出機によるペレット化を行う。すなわち、攪拌・混合された材料を溶融混練り機に投入して均一に混ぜて均質化する。混練りされた材料は、ペレタイザー等を備えた押出機に送り、ペレット状に加工する。ペレットの形状としては、円柱状、角粒状、無定形などがある。
【0028】
実験例1: 揮発性物質の珪酸と炭酸カルシウム粉末の坦持性の比較
一般的に使用されている充填剤のひとつとして、他に炭酸カルシウムがあるが、表面積として見てみると、約1〜約50m2/g位であるのに対して、微粒子の凝集体である珪酸では、約50〜約500m2/gと表面積比は炭酸カルシウムに対して珪酸は約10倍である。
【0029】
また、炭酸カルシウムの場合は、たとえ重量比で香料を20%吸収したとしても、潮解性があり、香料を保持しているとは言い難い。他方、珪酸の場合は、重量比で香料を150%吸収させても潮解性が見られなかった。潮解性が見られないのは、粉体に揮発性機能性物質がしっかりと保持させているからである。実際にビーカーワークでサンプル比較してみて、同じ充填剤の種類により揮発性物質の吸収の違いが確認された。揮発性物質を香料の一種で比較すると。炭酸カルシウムは、重量比で吸収できる香料は約20%以下であるが、珪酸の場合は、重量比で吸収できる香料は、約150%であった。この値は、炭酸カルシウムに対して珪酸は約7倍の香料を吸収・保持できることになる。また、香料が低沸点のものと高沸点のものでも傾向は変わらない。
【0030】
比較実験例1: 熱可塑性樹脂のみの揮発性物質の保持試験
熱可塑性樹脂のウルトラセン630(登録商標、東ソー株式会社製)90重量部(以下、部)に揮発性物質である香料10部を添加し練り込み、厚み約2mm、長さ約60mm、幅約50mmの樹脂シートに加工した。
【0031】
結果
シート加工直後は香りを保持しているが、50℃の高温槽に2週間放置すると香りは全くなくなっていた。熱可塑性樹脂に揮発性物質を直接練り込んだ場合は、揮発性物質は熱可塑性樹脂を膨潤させた状態で混入しているが、熱可塑性樹脂は短期間に揮発性物質を放出してしまうと推測される。
【0032】
実験例2: 香料入り樹脂シートの賦香率の実験
(1)香料A予備混合物の調製
予め、珪酸として、トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)100grを先にビーカーに入れて、次に、香料A(成分の大部分の沸点が約95〜220℃の調合香料)100grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0033】
【0034】
(2)ベースレジンAの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンAを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約90℃に上げて、熱可塑性樹脂(ウルトラセン515F、登録商標、東ソー株式会社製)1000grを、ロールに巻き付ける。充填剤として炭酸カルシウム粉末(ホワイトンS−3、登録商標、東洋ファインケミカル株式会社製)986grと、助剤としてステアリン酸(日本油脂株式会社製)1.2grを投入して混合する。
【0035】
【0036】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。このベースレジンAの配合品を2本準備する。この取り出したシート状のものをベースレジンAとして、香料の賦香率に合わせて重量を変えて、香料の賦香サンプルをつくる。
【0037】
(3)賦香サンプル
ベースレジンAと香料A予備混合物で、最終的に香料Aが0.1重量%から5重量%になるように、香料A予備混合物を加えてテストロールにて混合する。8インチロール機のロール温度を約90℃に上げて、ベースレジンAを巻き付け熱入れをして、次に、香料A予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして香料の芳香の評価をする。
【0038】
賦香サンプル(%:重量%)
【0039】
(4)香料の芳香の評価
a. 練り込み直後の評価
樹脂に練り込み直後のシートでの香料の芳香は、賦香率が0.1%でもサンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じるが、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるのは、賦香率が2%以上の方が強く感じた。
【0040】
b. 50℃の恒温槽での促進高温試験評価
賦香率が0.1%から5%の各サンプル片幅約30mm、長さ約50mmを50℃の恒温槽に入れて、連続運転での放置日数での促進高温試験の結果は、1日目で香料の香りは、賦香率が0.1%でもサンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じる(±)が、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるのは、賦香率が2%以上の方が強く感じた(++)。さらに連続運転での放置日数での促進試験の結果を、3日目、10日目、20日目、30日目に評価し、サンプルに鼻を近づけて香りを嗅げば香りを感じるを「±」、約100mm程鼻を外して香りを嗅いで、匂いを感じるを、「+」、強く感じるを、「++」で示した。
【0041】
上記の試験結果を表にまとめると以下のようになる。
【0042】
促進高温試験(50℃)の1日は、通常の放置試験の4日に相当するとも言われるので、5.0%の賦香率では、少なくとも約4ヶ月は持続したことになる。
【0043】
比較実験例2: 多孔質無機充填剤のかわりに炭酸カルシウムを用いた
保持試験
熱可塑性樹脂のウルトラセン630 50部、ホワイトンS−3(登録商標、東洋ファインケミカル株式会社製)40部を予め混和し、ついで、揮発性物質である香料10部を添加し練り込み、厚み約2mm、長さ役60mm、幅約50mmの樹脂シートに加工した。
【0044】
結果
シート加工直後は香りを保持しているが、50℃の高温槽に2週間放置すると少し香りがあるが、約10cm離すと香りはほとんどなくなっていた。
【0045】
実験例3: 熱可塑性樹脂への低沸点揮発性物質の練り込み実験
(1)低沸点香料の予備混合物の調製
a. D−リモネン(沸点60℃)予備混合物の調製
予め、トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)50grを先にビーカーに入れて、次に、D−リモネン50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0046】
【0047】
b. 酢酸エチル(沸点77℃)の予備混合物の調製
予め、株式会社トクヤマ製のトクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、酢酸エチル50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0048】
【0049】
c. シトロネリル様香料(沸点97−98℃)の予備混合物の調製
予め、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、シトロネリル様香料l50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0050】
【0051】
d. 酢酸イソアミル(沸点142.5℃)の予備混合物の調製
(但し、酢酸イソアミルには酢酸イソブチルが混じっている)
予め、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、次に、酢酸イソアミル・酢酸イソブチル50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0052】
【0053】
(2)ベースレジンBの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンBを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約40℃に上げて、熱可塑性樹脂(エバフレックスEV150、登録商標、三井デュポンポリケミカル(株)社製)495grを、ロールに巻き付ける。ホワイトンS−3 500grと、ステアリン酸5grを投入して混合する。
【0054】
【0055】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。この取り出したシート状のものをベースレジンとして香料の賦香率に合わせて重量を採取して、香料の賦香試料をつくる。
【0056】
(3)低沸点揮発性物質の予備混合物の練り込みサンプル
ベースレジンBと低沸点香料予備混合物(4種類)を、テストロールにて、混合する。ベースレジンB160grと各低沸点予備混合物40grを混合する。8インチロール機のロール温度を約40℃にして、ベースレジンBを巻き付け熱入れをして、次に、香料予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして香料の芳香の評価をする。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
(4)低沸点揮発性物質の保持性評価
熱可塑性樹脂への低沸点揮発性物質の練り込み加工で、低温度での練り込み加工であれば低沸点成分の揮発が最小限に押さえられ、どの程度揮発性物質が残存し得るかをヘッドスペースで確認した。比較するチャートとして、ベースレジンB、各揮発性物質および熱可塑性樹脂への揮発性物質練り込みサンプルで採取したデータと比較したが、関連付けられるピーク等では大差はなかった。このことは、熱可塑性樹脂への低沸点成分を含んだ揮発性物質を練り込みするには、練り込む揮発性物質の成分の沸点を知り、その沸点以下の温度で練り込み加工できる熱可塑性樹脂を選択して練り込み加工すれば、揮発性物質の成分の揮発を最小限に押さえて、熱可塑性樹脂へ揮発性物質を練り込むことができることが判明した。
【0062】
実験例4: 熱可塑性樹脂への水性溶液の練り込み実験
本発明の樹脂性保持材には油性揮発性物質だけでなく水溶性の揮発性物質も保持させ得る。下記の試験では水性溶液の揮発物質として水そのものを使用して練り込み試験を行った。水溶性の揮発性物質は水に溶解させて本発明の樹脂性保持材に保持させることができる。
【0063】
(1)水性溶液の予備混合物の調製
水道水を、水溶性溶解剤であるソルフィット(登録商標、株式会社クラレ製、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、油性および水溶性の揮発性物質と良く混和し得る)に50:50の割合で添加・混合する。
【0064】
つぎに、トクシールGU50grを先にビーカーに入れて、水/ソルフィット50/50混合物50grを少量づつ投入しながらガラス製棒にてトクシールGUを十分にかき混ぜて混合しておく。
【0065】
【0066】
(2)ベースレジンCの調製
次に、8インチのテストロール機((株)大阪ロール機製作所製)にて、ベースレジンCを作る。使用する8インチのテストロール機のロール径は、8インチでロール長さは500mm、フロントロールの回転数は、18RPM、バックロールの回転数は、20RPMである。8インチロール機のロール温度を約40℃に上げて、エバフレックスEV150 91grを、ロールに巻き付ける。ホワイトンS−3 108grと、ステアリン酸1grを投入して混合する。
【0067】
【0068】
混合物が練り込まれれば、十分に混合のために切り返しを左右各3回行い、約1mm厚みでシート状に取り出してロールより取り出す。
【0069】
(3)水性溶液の予備混合物の練り込みサンプル
ベースレジンCと水性溶液(水/ソルフィット50/50)の予備混合物をテストロールにて混合する。ベースレジンC160grと水性溶液予備混合物40grを混合する。8インチロール機のロール温度を約40℃にして、ベースレジンCを巻き付け熱入れをして、次に、水性溶液の予備混合物を添加して練り込む。練り込みが終われば、幅約300mm、厚み約2mmのシート出しにして混合の評価をする。
【0070】
【0071】
(4)水性溶液の練り込みサンプルの評価
熱可塑性樹脂への水性成分の揮発性物質の練り込み加工で、低温度での練り込み加工であれば水性成分の揮発が最小限に押えられ、どの程度水性成分が残存するかにつきヘッドスペース等で確認をした。比較するチャートとして、ベースレジンC、水性成分の予備混合物の練り込みサンプルで採取したデータと比較したが、水性成分のピークに大差はなかった。本発明の樹脂性保持材が水溶性の揮発性物質も保持し得ることを示している。
【0072】
試験例1: 賦香樹脂シートの香料放出遅延保持試験
下記の実施例3で調製した賦香樹脂シートにつき、恒温槽にて50℃での香り放出促進試験を行った。シート成型加工した賦香樹脂シートの厚さ約1mm、2mm、3mmの3種類につき、幅40mm×長さ60mmの試験片を準備した。各1枚は練り込み直後のシートとして、密閉・チャック式のアルミ薄袋に保存し、対照サンプルとする。各試験前賦香樹脂シート1枚は対照とし、残りの各3枚の試験片を恒温槽の中の上段の金網台に重ねずに平置きで乗せた。恒温槽の温度を50℃にセットして、昼夜連続の加温放置による促進高温試験を実施した。10日、20日、30日に各賦香樹脂シート1枚を取り出し、ヘッドスペースにて揮発成分のチャート分析を行った。
【0073】
ヘッドスペースによる揮発性成分の分析
ヘッドスペースオートサンプラー(Tekmer 7000/7050とガスクロマトグラフィーのGC-353Bを組合せた機器、ジーエルサイエンス株式会社製)を用いて、約1grの試料が賦課された約2〜3mm角のサンプル片を評価ガラス管である22mLバイアルに入れ、セプタム付きアルミクリンプキャップを開口部に乗せて、クリッパーにてキャップをかしめる。このバイアルをオートサンプラーのターンテーブルにセットしてサンプル中の揮発成分を分析する。
【0074】
まず、恒温槽にて50℃で連続加温された試験片の10日目で各1枚を取り出して香りを練り込み直後のシートのものと比較した。取り出した10日目の試験片の外観表面は、特に変色、べたつき、ざらざら感が認められなかった。香りについても、感覚的には大きな差は感じられず、香りは強く残っていた。これを外観変化なし「−」、保持性ありを「+」および「++」で記録した。以下、20日、30日も同様に評価した。
【0075】
【0076】
30日目に取り出したシートの香りは賦香樹脂シートの厚みが1mmについては香りがまだ残っていたが弱かった。この30日目の残りの各1枚をヘッドスペースにて揮発成分のチャート分析を行った。このチャートと練り込み直後のシートで採取したデータと比較したが、ピーク等での大差はなかった。まだ、香りが感じられる程、残っていたので、香りの放出が遅延されて樹脂中に香りが保持されていたことが証明できた。
【0077】
【実施例】
【0078】
トクシールGU(登録商標、株式会社トクヤマ製)10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入した。次に、香料B10kgを少量づつ投入しながら攪拌棒にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入した。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。
混合が完了すれば、混合機の内面に香料が付着していないことを確認し,配合容器に取り出した。このように、予め、トクシールGUと香料Bを混合して排出して別の袋等に一時保管するが、長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋を、PP袋またはアルミ袋などの機密性の高い樹脂の袋にして揮発防止する。
【0079】
次に、本作業として混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセン515F(東ソー株式会社製)15.9kg、ホワイトンS−3(東洋ファインケミカル株式会社製)63.6kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の予備混合品を投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。
【0080】
次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が90〜105℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0081】
溶融混練した樹脂材料は、ダイスを通しペレタイザーを通し丸ペレット状に切断加工する。ペレットの直径は約3〜3.5mm、長さは約2.5〜3.0mmに粒状加工する。
【0082】
ペレット加工されたペレット品は、乾燥・金属検出をして袋詰め秤量機にて、20kg入りの袋詰めをする。袋詰めに際しては、ペレット品での袋詰め品の保管で香料が放出しないように、紙袋の中袋のPE袋は、ペレット収納後、PE袋の上部開口部の端末をしわ寄せて折り返し、この上より太めのゴムバンドできつく巻き付けて縛る。袋のPEの底部は、ヒートシールされているので、ほぼ、密閉された状態となる。
【0083】
長期間のペレット品での保管の場合は、PE袋に代わりPP袋またはアルミ袋にするのが望ましい。これは、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で香料Bが10%添加されたペレット品となる。
【0084】
【0085】
トクシールGU10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入する。次に、香料成分B10kgを少量づつ投入しながら攪拌棒にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入する。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。混合が完了すれば、配合容器に取り出すが、混合機の内面に香料が付着していないかを確認することである。
もし、混合機の内面に香料が付着していれば、ヘラ等で混合時のトクシールGUをからましてこすり取る。このように、予め、トクシールGUと香料を混合して排出して別の袋等に一時保管する。長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋は、PP袋またはアルミ袋などの機密性の高い樹脂の袋にするのが揮発防止で望ましい。次に、本作業として、混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセン631(東ソー株式会社製)15.9kg、炭カルVigot-10 (白石工業株式会社製)63.6kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の混合品をも投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が85〜95℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0086】
溶融混練した樹脂材料は、実施例1と同様にしてペレットとし、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で香料Bが10%添加されたペレット品とする。
【0087】
実施例3: 香料入り樹脂シートの製造
次に、厚さ約1mm、2mm、3mmのシート加工をする。1台のロール機のロール温度を90℃まで加温して、ロール間隔を約2mm程にして、実施例1または2で製造したペレット品を少量づつロールの間に投入する。ペレット品がロールより落下したものを再度集めて、少量づつロールの間に投入を繰り返す。しばらくするとペレット品が溶けだしてロールに巻き付けてくる状態となる。さらに続けて繰り返すと完全にペレット品はロールに巻き付いてくるので、ナイフで切り返しをしながら全量をロールに巻き付けていく。樹脂がロールに粘着しだした場合は、ロールを水冷に切り替えて発熱によるロールの温度上昇を押さえる。温度上昇は、香料の発散となり温度管理には気を付ける。ロールよりシート出しする適量の樹脂を丸めて巻き付け切り取り冷めないように分割しておく。再度、ロール間隔を適当な間隔に調整して、分割しておいた樹脂をロールに巻き付け、ロールの両サイドより巻き付けシートを少量切り取り、厚みを測定して適当にロール間隔を調整する。ロール間隔の調整が終われば、ロールに巻き付いている樹脂シートを一気にナイフでロール長さ方向に切り、シート端末を手にて引き出して台上に置いて空冷する。台上でのシート品の不良のものは、はさみ等で切り取り、次のシート出しのものに加えて加工を繰り返す。台上で空冷して冷めた樹脂シート品を適当な大きさに切り、香料入り樹脂シート品とする。
【0088】
【0089】
トクシールGU10kgを先に混合機であるスーパーミキサーへ投入する。次に、忌避剤であるバードオフ(BIRD OFF)No.1 10kgを少量づつ投入しながら攪拌にてトクシールをかき混ぜて粉体が混合機の周辺・底部に付着しないように注意して投入する。香料が全量投入して更に混合機のスーパーミキサーで混合する。混合が完了すれば、配合容器に取り出すが、混合機の内面に香料が付着していないかを確認することである。もし、混合機の内面に香料が付着していれば、ヘラ等で混合時のトクシールGUをからましてこすり取る。このように、予め、トクシールGUと忌避剤を混合して排出して別の袋等に一時保管する。長時間の保管の場合は、袋の中のPE袋は、PP袋の機密性の高い樹脂の袋にするのが揮発防止で望ましい。
【0090】
次に、本作業として混合機のスーパーミキサーへ、ウルトラセンYX11(東ソー株式会社製)23.5kg、炭カル白艶華CCR(白石工業株式会社製)56.0kgとステアリン酸0.5kg、予め混合しておいたトクシールGUと香料の混合品をも投入して低速の360RPMで2分間、攪拌・混合する。
【0091】
次に、攪拌・混合された材料を2軸式の押出機のホッパータンクに排出し溶融混練造粒をする。造粒温度は、なるべく低温が望ましい。溶融混練りの温度は、押出機の各温度計が65〜75℃と発熱での温度上昇に気を付けながら温度管理をする。特に、途中でのガス抜きは、必要としない。
【0092】
溶融混練した樹脂材料は、ダイスを通しペレタイザーを通し丸ペレット状に切断加工する。ペレットの直径は約3〜3.5mm、長さは約2.5〜3.0mmに粒状加工する。ペレット加工されたペレット品は、乾燥・金属検出をして袋詰め秤量機にて、20kg入りの袋詰めをする。袋詰めに際しては、ペレット品での袋詰め品の保管で忌避剤が放出しないように、紙袋の中袋のPE袋は、ペレット収納後、PE袋の上部開口部の端末をしわ寄せて折り返し、この上より太めのゴムバンドできつく巻き付けて縛る。袋のPEの底部は、ヒートシールされているのてで、ほぼ、密閉された状態となる。長期間のペレット品での保管の場合は、PE袋に代わりPP袋またはアルミ袋にするのが望ましい。これは、EVA熱可塑性樹脂混合品の重量比で忌避剤が10%添加されたペレット品となる。
【0093】
次に、厚さ約1mm、2mm、3mmのシート加工をする。1台のロール機のロール温度を65℃まで加温して、ロール間隔を約2mm程にして、ペレット品を少量づつロールの間に投入する。ペレット品がロールより落下したものを再度集めて、少量づつロールの間に投入を繰り返す。しばらくするとペレット品が溶けだしてロールに巻き付けてくる状態となる。さらに続けて繰り返すと完全にペレット品はロールに巻き付いてくるので、ナイフで切り返しをしながら全量をロールに巻き付けていく。樹脂がロールに粘着しだした場合は、ロールを水冷に切り替えて発熱によるロールの温度上昇を押さえる。温度上昇は、忌避剤の発散となり温度管理には気を付ける。ロールよりシート出しする適量の樹脂を丸めて巻き付け切り取り冷めないように分割しておく。再度、ロール間隔を適当な間隔に調整して、分割しておいた樹脂をロールに巻き付け、ロールの両サイドより巻き付けシートを少量切り取り、厚みを測定して適当にロール間隔を調整する。ロール間隔の調整が終われば、ロールに巻き付いている樹脂シートを一気にナイフでロール長さ方向に切り、シート端末を手にて引き出して台上に置いて空冷する。台上でのシート品の不良のものは、はさみ等で切り取り、次のシート出しのものに加えて加工を繰り返す。台上で空冷して冷めた樹脂シート品を適当な大きさに切り、忌避剤入り樹脂シート品とする。
【0094】
【発明の効果】
(1)微粒子粉体の凝集体と揮発性物質を、予め、混合して微粒子粉体の凝集体に揮発性物質を吸収・格納させることで、熱可塑性樹脂への練り込み加工時の揮発性物質の蒸発を防ぐことができる。熱可塑性樹脂に揮発性物質が直接練り込まれると、揮発性物質は熱可塑性樹脂を膨潤させた状態で混入しているが、熱可塑性樹脂が短期間に揮発性物質を放出してしまうが、多孔質無機充填剤に揮発性物質を予め坦持させて熱可塑性樹脂に練り込むと揮発性物質は熱可塑性樹脂変化させることなく樹脂中に存在し得、従って長期に保持されると考えられる。
(2)熱可塑性樹脂に練り込む揮発性物質についても、揮発性物質が油性、水性問わずに熱可塑性樹脂に揮発性物質を練り込むことができて、揮発性物質の種類を問わずに加工できる。
(3)揮発性物質の沸点温度と熱可塑性樹脂の加工時の溶融温度等を考慮することにより、揮発性物質の蒸発を押さえる温度の約60℃で熱可塑性樹脂に揮発性機能性物質を練り込むことができる。
(4)本発明での熱可塑性樹脂への揮発性物質の添加により、揮発性物質入り熱可塑性樹脂のシート加工品ができ、薄いシート加工品から樹脂成型品加工までのゲル剤にない分野への展開ができる。例えば、薄いシート状の忌避剤商品であれば、ゴキブリの好む隙間に差し込み設置することができる。
Claims (10)
- 揮発性物質の放出遅延樹脂性保持材であって、熱可塑性樹脂、平均粒径約0.05μm〜約50μm、比表面積約1m2/g〜約500m2/gの多孔質無機充填剤を含むことを特徴とする樹脂性保持材。
- さらに別の充填剤を含む、請求項1記載の樹脂性保持材。
- 上記多孔質無機充填剤が、珪酸または珪酸化合物である、請求項1または2記載の樹脂性保持材。
- 上記別の充填剤が、炭酸カルシウム粉末である、請求項2または3記載の樹脂性保持材。
- 上記熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂およびポリエチレン樹脂からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂性保持材。
- 上記熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項5記載の樹脂性保持材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂性保持材に機能性物質を坦持させた放出遅延機能性物品。
- 上記機能性物質が、香料、芳香剤、消臭剤、忌避剤、誘因剤および吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7記載の機能性物品。
- 上記機能性物質が、香料および/または忌避剤である、請求項8記載の機能性物品。
- 機能性物品の形態が、樹脂ペレット品、樹脂シート品、樹脂成型品、上記樹脂ペレット品の練り込み樹脂製品である、請求項7〜9のいずれか1項記載の機能性物品。
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Cited By (3)
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JP2010159403A (ja) * | 2008-12-12 | 2010-07-22 | Sumitomo Chemical Co Ltd | フィラメント用樹脂組成物およびフィラメント |
JP2015020968A (ja) * | 2013-07-18 | 2015-02-02 | 大日本除蟲菊株式会社 | 香り付き薬剤揮散体 |
CN114561065A (zh) * | 2021-12-15 | 2022-05-31 | 金发科技股份有限公司 | 一种具有生物诱导性的聚丙烯复合材料及其制备方法和应用 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372669A patent/JP2004203971A/ja active Pending
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JP2015020968A (ja) * | 2013-07-18 | 2015-02-02 | 大日本除蟲菊株式会社 | 香り付き薬剤揮散体 |
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