JP2004203814A - 切り花の保存方法、並びに保存液及び保存花の製作装置 - Google Patents

切り花の保存方法、並びに保存液及び保存花の製作装置 Download PDF

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好央 坂本
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Abstract

【課題】切り花を生きたままの形で長期的に保存する方法や溶液は、今までも色々と考えられてきたが、切り花の元の色が残せず、色素による着色をせざるを得なかった。この方法により元の花の色が残せるようになり、より自然な形で切り花を長期的に保存出来るようになった。
【解決手段】花の根本に穴を開け、減圧状態での強制吸い上げと毛細管現象を利用し、その穴から保存液を吸わせることにより、元の花の色を残せるようになった。その時アセトンやアルコール等の有機溶剤を全く使わないか、出来るだけ使わないようにすることが、色を残す最大のポイントである。そのためには、花による吸い上げ力、特に初期の吸い上げ力の向上が重要であり、減圧状態が必要となった。その後は毛細管現象だけでも、充分吸い上げ、3日から1週間で出来上がる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切り花の保存処理液及び保存処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バラ等の切り花を生花と同様な外観を保持したまま、長期間に渡る保存を可能にする処理方法は、例えば特許出願公表平4−505766号公法において提案されている。この処理方法は切り花の組織内の水、即ち組織水を脱水した後、ポリエチレングリコールを浸透させて、組織水をポリエチレングリコールによって置換し必要に応じて染色を行うものであり、概ね図1に示すように、脱水工程、浸透工程、乾燥工程を順次経て処理を行い、生花と同様な外観を保持した製品としての切り花を得るものである。
【0003】
脱水工程は底部にゼオライトを敷き、水より軽い溶媒、例えばアセトン等の無水有機溶媒を充填した容器内に切り花を固定して行う。この工程では切り花の組織水は次第に溶媒に溶出すると同時に、溶媒が組織内に移行するので、切り花の組織は見た目の形状を保ったまま、脱水される。
【0004】
浸透工程は、浸透させるべきポリエチレングリコールを、アセトン及びセロソルブに溶解した浸透溶液を充填した容器内に固定して行い、この際ポリエチレングリコールは、分子量の異なるものを適宜に配合して使用する。この時、例えばアクリル繊維用の染料のような色素を配合することによって、色素がポリエチレングリコールと共に切り花の組織内に浸透して染色が行われる。
【0005】
浸透工程が終わった後、次の乾燥工程に移り、乾燥を行って、製品としての切り花となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような切り花の保存処理方法では、組織水をアセトン等で脱水する際、同時に花の色素も抜けてしまい、元の色を残すことなど到底出来なかった。又、アセトンの代わりにアルコールを使う置換法も同様であった。
【0007】
【発明が解決するための手段】
アセトンによる脱水工程やアルコールによる置換工程を止め、減圧状態の中でいきなり保存液を吸わせ、組織水と共に花の色素が抜けるのを防ぐ方法、並びにその保存液及び製作装置の開発である。
【0008】
【発明の実施の形態】
花首の根本に千枚通し等で穴を開け、花首すれすれの所まで保存液が来るように器具で固定し、減圧状態にした器具の中で、花首に開けた穴から保存液を吸わせる方法である。その時の保存液は多価アルコールで、例えばグリセリン100に水50とアルコール50を混ぜたものである。最初に図2、図3に示すような、真空ポンプや掃除機に繋いだ減圧装置の中で1,2時間減圧すると、後は毛細管現象で吸い上がり、3日から7日ほど保存液に浸けて出来上がる。その時、他の多価アルコールでも良いが、グリセリンでの出来が良いのは、グリセリンが水に混ぜないと、単体ではアルコールに溶解しないためである。
【0009】
【実施例1】
赤いバラを花首から穴を開け、ペットボトルの上部を切り取った中空の器具の上に乗せ、グリセリン100,水50,メタノール50の割で混ぜた保存液を花首すれすれまで入れた容器の中に固定し、減圧装置に入れた。その後真空ポンプで500へクトパスカルに1時間減圧した後、3日間放置した。その後保存液から取り出した上記のバラは、元の赤い色を残したまま、1年以上新鮮さを維持した。
【0010】
【実施例2】
黄色のバラを花首から穴を開け、針金で作った中空の台座の上に乗せ、ポリエチレングリコール1000と水を1対1に混ぜた保存液を花首すれすれまで入れた容器内に固定し、減圧装置の中に入れた。その後600ヘクトパスカルに2時間減圧した後、7日間放置した。その後保存液から取り出した上記のバラは、元の黄色い色を残したまま、1年ほどみずみずしいまま新鮮さを保持した。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、減圧装置を使うことによって、保存液の初期の吸い上げ力が増すと、その後は毛細管現象により吸い上げ持続することが分かる。この時、アルコールに溶けないグリセリンには水と混ぜてアルコールを少量使い、その他の多価アルコールには、アルコールやアセトン等の有機溶剤を使わずに保存液を吸わせると、花の元の色を残したまま、花の中の組織水を保存液に置き換えることが出来る。それによって、今まで出来なかった着色用の色素を使わない、自然のままの切り花の保存が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】特許出願公表平四ー505766号公報等に有るような、今までの工程。
【図2】真空ポンプ、掃除機等を使った減圧装置1。
【図3】真空ポンプ、掃除機等を使った減圧装置2

Claims (1)

  1. 切り花の組織水をエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類の保存溶液に減圧工程の中で置き換える、切り花の保存方法、並びに保存液及び保存花の製作装置
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100851211B1 (ko) * 2007-03-16 2008-08-07 김태엽 절화를 원형 그대로 장기간 시들지 않게 보존처리하는방법과 과정
WO2009060896A1 (ja) 2007-11-07 2009-05-14 Yoshihisa Sakamoto プリザーブドフラワーの製造方法及びそのための加工液
WO2013147418A1 (ko) * 2012-03-30 2013-10-03 Kim Kwang-Yeorl 생화의 그레데이션 착색 보존처리 방법 및 그에 사용되는 액상조성물
JP2016522206A (ja) * 2013-05-23 2016-07-28 ロングブルーム アイピー ビー.ブイ. 新鮮な観賞植物の部位を保存する方法

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