JP2004203133A - ステアリングコラム装置およびステアリングコラムの製造方法 - Google Patents
ステアリングコラム装置およびステアリングコラムの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】軸受保持部の高い同軸精度を確保しながら製造工数の低減や量産性の向上等を実現したステアリングコラム装置とステアリングコラムの製造方法とを提供する。
【解決手段】内径拘束マンドレル41,43からハイドロフォーム液を注入すると同時に、軸押シリンダ45,47を所定の圧力をもってブランク31に押圧する。すると、ハイドロフォーム液の圧力により、ブランク31の中央部が金型33のキャビティ35に向けて膨出する一方、軸押シリンダ45,47の圧力により、ブランク31の両端では肉厚が増大してその内周面が内径拘束マンドレル41,43に強圧される。その結果、図中下方にディスタンス部21が塑性形成され、両端部に軸受保持部27,29が塑性形成されたワーク61が得られる。
【選択図】 図5
【解決手段】内径拘束マンドレル41,43からハイドロフォーム液を注入すると同時に、軸押シリンダ45,47を所定の圧力をもってブランク31に押圧する。すると、ハイドロフォーム液の圧力により、ブランク31の中央部が金型33のキャビティ35に向けて膨出する一方、軸押シリンダ45,47の圧力により、ブランク31の両端では肉厚が増大してその内周面が内径拘束マンドレル41,43に強圧される。その結果、図中下方にディスタンス部21が塑性形成され、両端部に軸受保持部27,29が塑性形成されたワーク61が得られる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用等の操舵装置を構成するステアリングコラム装置とステアリングコラムの製造方法とに係り、詳しくは、高い寸法精度を確保しながら製造工数の低減や量産性の向上等を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のステアリング装置は、不特定多数の運転者により使用(操舵)されるため、個人の体格や運転姿勢等に対応してステアリングホイールの位置を調整できることが望ましい。このような要望に答えるべく、乗用車に限らず貨物車等においても、ステアリングコラムにチルト機構やテレスコピック機構を備えたものが多くなっている。
【0003】
従来、チルト機構やテレスコピック機構が採用されたステアリングコラムでは、鋼管製のステアリングコラムに鋼板製のディスタンスブラケットを溶接接合し、このディスタンスブラケットを鋼板製の車体側ブラケットにより挟圧・固定するものが一般的であった。ところが、このような構成を採った場合、構成部材点数や溶接工数が多くなる他、溶接時の熱歪み等に起因する種々の不具合が避けられないため、塑性加工によりステアリングコラムにディスタンス部を膨出成形したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。鋼管等の膨出成形方法としては、成形型内にブランクをセットした後、水等の高圧流体をブランク内に注入して塑性加工するハイドロフォーム法が多く用いられている(例えば、特許文献2参照)。尚、特許文献2には、要部の膨出成形をハイドロフォームに行うと同時に、軸押パンチによりブランクの端部を所望の形状に塑性加工する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−7003号公報 (第4頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−286943号公報 (第3頁、図2,図3)
【0005】
一方、ステアリングコラムは、通常、その両端に内嵌・圧入された一対の転がり軸受を介して、ステアリングシャフトを回動自在に支持している。そのため、ステアリングコラムの両端には転がり軸受が圧入される軸受保持部が切削加工ににより形成されるが、ステアリングシャフトの円滑な操作や転がり軸受の耐久性を向上させるべく、両軸受保持部には高い同軸精度が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハイドロフォーム法によるステアリングコラムでは、両端に高い同軸精度の軸受保持部を形成するために、成形後に高い同軸精度をもってワークに切削加工を行う必要がある。そのため、高い精度を有する切削装置やワーク保持治具等が必要となると共に、加工工数やワークのハンドリングも比較的多くなり、製造コストの上昇や量産性の低下がもたらされていた。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、軸受保持部の高い同軸精度を確保しながら製造工数の低減や量産性の向上等を実現したステアリングコラム装置とステアリングコラムの製造方法とを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、請求項1の本発明では、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムを備えたステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムは、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するものを提案する。
【0009】
また、請求項2発明では、請求項1のステアリングコラム装置において、前記膨出部が車体側ブラケットに挟圧・保持されるディスタンス部であるものを提案する。
【0010】
また、請求項3の発明では、請求項2のステアリングコラム装置において、前記膨出部に貫通孔が穿設されているものを提案する。
【0011】
また、請求項4の発明では、請求項1〜3のステアリングコラム装置において、前記膨出部の塑性加工がハイドロフォーム成形法によるものを提案する。
【0012】
また、請求項5の発明では、請求項1〜4のステアリングコラム装置において、前記軸受保持部の塑性加工が内径拘束マンドレルにより行われるものを提案する。
【0013】
また、請求項6の発明では、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムであって、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するステアリングコラムを製造する方法において、筒状素材を成形型内にセットする工程と、当該筒状素材の両端に内径拘束マンドレルをそれぞれ嵌挿する工程と、当該筒状素材を膨出成形しながら、当該内径拘束マンドレルを筒状素材対して軸方向に押圧する工程とを含むものを提案する。
【0014】
また、請求項7の発明では、請求項6のステアリングコラムの製造方法において、前記膨出部に貫通孔をパンチにより穿設する工程を更に含むものを提案する。
【0015】
また、請求項8の発明では、請求項6または7のステアリングコラムの製造方法において、前記膨出成形がハイドロフォーム法によるものを提案する。
【0016】
また、請求項9の発明では、請求項8のステアリングコラムの製造方法において、前記ハイドロフォーム法に供される加工液が前記内径拘束マンドレルを介して供給されるものを提案する。
【0017】
これらの発明によれば、膨出部の成形と同時に高い同軸精度をもった軸受保持部が形成され、成形後の後加工が不要となって製造工数が低減すると同時に量産性が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るステアリングコラム装置の実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係るステアリングコラム装置の側面図であり、図2はステアリングコラムの縦断面図である。ステアリングコラム1は、ブラケット3を介して車体側メンバ5に装着されており、軸受7,9を介してアッパステアリングシャフト(以下、単にステアリングシャフトと記す)11を回動自在に支持している。ステアリングシャフト11には、その上端にステアリングホイール13が取り付けられる一方、下端にはユニバーサルジョイント15を介してロアステアリングシャフト17が連結されている。
【0019】
ステアリングコラム1は、鋼管を素材とするハイドロフォーム成形品であり、ブラケット3に挟圧・固定されるディスタンス部21が図2中下方に膨出されており、ディスタンス部21にはブラケット3との固着に供される固定ボルト23が挿通されるボルト孔25が穿設されている。また、ステアリングコラム1には、その両端に軸受7,9が内嵌・圧入される軸受保持部27,29が形成されている。
【0020】
以下、本実施形態に係るステアリングコラム1の製造方法について説明する。本実施形態の場合、製造作業者は先ず、図3に示したように、所定寸法に切断されたブランク(鋼管素材)31を金型33内にセットする。金型33には、ステアリングコラム1のディスタンス部21に対応するキャビティ35と、一対の軸押シリンダ挿通孔37,39とが形成されている。
【0021】
次に、製造作業者は、図4に示したように、金型33の軸押シリンダ挿通孔37,39から内径拘束マンドレル41,43が先端に装着された軸押シリンダ45,47を進入させ、ブランク31の両端面に当接させる。内径拘束マンドレル41,43は、ハイドロフォーム液注入用のノズルを兼ねると共に、その基端には軸受保持部27,29に対応する外径を有した保持部成形部51,53が形成されている。
【0022】
次に、製造作業者は、図5に示したように、内径拘束マンドレル41,43からハイドロフォーム液(圧力水や圧油等)を注入すると同時に、軸押シリンダ45,47を所定の圧力をもってブランク31に押圧する。すると、ハイドロフォーム液の圧力により、ブランク31の中央部が金型33のキャビティ35に向けて膨出する一方、軸押シリンダ45,47の圧力により、ブランク31の両端では肉厚が増大してその内周面が内径拘束マンドレル41,43に強圧される。その結果、図5中下方にディスタンス部21が塑性形成される一方、両端部には保持部成形部51,53の外径に応じた内径を有する軸受保持部27,29が塑性形成されたワーク61が得られる。
【0023】
次に、製造作業者は、図6に示したように、ハイドロフォーム液による圧力を加えた状態で、図示しないパンチによってワーク61にボルト孔(貫通孔)25を穿設してステアリングコラム1を得る。尚、この際、ステアリングコラム1がテレスコピック動するもの等にあっては、図6中に二点鎖線で示したように、軸方向に延びた長孔63を穿設してもよい。
【0024】
本実施形態によれば、このようにしてステアリングコラム1を製造するようにしたため、軸受保持部27,29の同軸精度を確保しながら、製造工数の大幅な低減と量産性の向上とを実現することができた。
【0025】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、ステアリングコラムの素材としては、炭素鋼以外に種々の合金鋼やアルミニウム合金等が採用可能である。また、膨出部の塑性加工にあたっては、ラバーバルジ成形法や爆発バルジ成形法、プレス成形法等、ハイドロフォーム法以外の方法を採用してもよい。その他、ステアリングコラム装置の具体的構造やステアリングコラムの形状等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のステアリングコラム装置によれば、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムを備えたステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムは、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するものとし、本発明のステアリングコラムの製造方法によれば、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムであって、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するステアリングコラムを製造する方法において、筒状素材を成形型内にセットする工程と、当該筒状素材の両端に内径拘束マンドレルをそれぞれ嵌挿する工程と、当該筒状素材を膨出成形しながら、当該内径拘束マンドレルを筒状素材対して軸方向に押圧する工程とを含むものとしたため、膨出部の成形と同時に高い同軸精度をもった軸受保持部が形成され、成形後の後加工が不要となって製造工数が低減すると同時に量産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るステアリングコラム装置の側面図である。
【図2】ステアリングコラムの従断面図である。
【図3】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図4】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図5】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図6】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1‥‥ステアリングコラム
3‥‥ブラケット
7,9‥‥軸受
11‥‥アッパステアリングシャフト
13‥‥ステアリングホイール
21‥‥ディスタンス部
25‥‥ボルト孔
27,29‥‥軸受保持部
31‥‥ブランク
33‥‥金型
35‥‥キャビティ
37,39‥‥軸押シリンダ挿通孔
41,43‥‥内径拘束マンドレル
45,47‥‥軸押シリンダ
51,53‥‥保持部成形部
61‥‥ワーク
63‥‥長孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用等の操舵装置を構成するステアリングコラム装置とステアリングコラムの製造方法とに係り、詳しくは、高い寸法精度を確保しながら製造工数の低減や量産性の向上等を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のステアリング装置は、不特定多数の運転者により使用(操舵)されるため、個人の体格や運転姿勢等に対応してステアリングホイールの位置を調整できることが望ましい。このような要望に答えるべく、乗用車に限らず貨物車等においても、ステアリングコラムにチルト機構やテレスコピック機構を備えたものが多くなっている。
【0003】
従来、チルト機構やテレスコピック機構が採用されたステアリングコラムでは、鋼管製のステアリングコラムに鋼板製のディスタンスブラケットを溶接接合し、このディスタンスブラケットを鋼板製の車体側ブラケットにより挟圧・固定するものが一般的であった。ところが、このような構成を採った場合、構成部材点数や溶接工数が多くなる他、溶接時の熱歪み等に起因する種々の不具合が避けられないため、塑性加工によりステアリングコラムにディスタンス部を膨出成形したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。鋼管等の膨出成形方法としては、成形型内にブランクをセットした後、水等の高圧流体をブランク内に注入して塑性加工するハイドロフォーム法が多く用いられている(例えば、特許文献2参照)。尚、特許文献2には、要部の膨出成形をハイドロフォームに行うと同時に、軸押パンチによりブランクの端部を所望の形状に塑性加工する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−7003号公報 (第4頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−286943号公報 (第3頁、図2,図3)
【0005】
一方、ステアリングコラムは、通常、その両端に内嵌・圧入された一対の転がり軸受を介して、ステアリングシャフトを回動自在に支持している。そのため、ステアリングコラムの両端には転がり軸受が圧入される軸受保持部が切削加工ににより形成されるが、ステアリングシャフトの円滑な操作や転がり軸受の耐久性を向上させるべく、両軸受保持部には高い同軸精度が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハイドロフォーム法によるステアリングコラムでは、両端に高い同軸精度の軸受保持部を形成するために、成形後に高い同軸精度をもってワークに切削加工を行う必要がある。そのため、高い精度を有する切削装置やワーク保持治具等が必要となると共に、加工工数やワークのハンドリングも比較的多くなり、製造コストの上昇や量産性の低下がもたらされていた。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、軸受保持部の高い同軸精度を確保しながら製造工数の低減や量産性の向上等を実現したステアリングコラム装置とステアリングコラムの製造方法とを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、請求項1の本発明では、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムを備えたステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムは、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するものを提案する。
【0009】
また、請求項2発明では、請求項1のステアリングコラム装置において、前記膨出部が車体側ブラケットに挟圧・保持されるディスタンス部であるものを提案する。
【0010】
また、請求項3の発明では、請求項2のステアリングコラム装置において、前記膨出部に貫通孔が穿設されているものを提案する。
【0011】
また、請求項4の発明では、請求項1〜3のステアリングコラム装置において、前記膨出部の塑性加工がハイドロフォーム成形法によるものを提案する。
【0012】
また、請求項5の発明では、請求項1〜4のステアリングコラム装置において、前記軸受保持部の塑性加工が内径拘束マンドレルにより行われるものを提案する。
【0013】
また、請求項6の発明では、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムであって、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するステアリングコラムを製造する方法において、筒状素材を成形型内にセットする工程と、当該筒状素材の両端に内径拘束マンドレルをそれぞれ嵌挿する工程と、当該筒状素材を膨出成形しながら、当該内径拘束マンドレルを筒状素材対して軸方向に押圧する工程とを含むものを提案する。
【0014】
また、請求項7の発明では、請求項6のステアリングコラムの製造方法において、前記膨出部に貫通孔をパンチにより穿設する工程を更に含むものを提案する。
【0015】
また、請求項8の発明では、請求項6または7のステアリングコラムの製造方法において、前記膨出成形がハイドロフォーム法によるものを提案する。
【0016】
また、請求項9の発明では、請求項8のステアリングコラムの製造方法において、前記ハイドロフォーム法に供される加工液が前記内径拘束マンドレルを介して供給されるものを提案する。
【0017】
これらの発明によれば、膨出部の成形と同時に高い同軸精度をもった軸受保持部が形成され、成形後の後加工が不要となって製造工数が低減すると同時に量産性が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るステアリングコラム装置の実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係るステアリングコラム装置の側面図であり、図2はステアリングコラムの縦断面図である。ステアリングコラム1は、ブラケット3を介して車体側メンバ5に装着されており、軸受7,9を介してアッパステアリングシャフト(以下、単にステアリングシャフトと記す)11を回動自在に支持している。ステアリングシャフト11には、その上端にステアリングホイール13が取り付けられる一方、下端にはユニバーサルジョイント15を介してロアステアリングシャフト17が連結されている。
【0019】
ステアリングコラム1は、鋼管を素材とするハイドロフォーム成形品であり、ブラケット3に挟圧・固定されるディスタンス部21が図2中下方に膨出されており、ディスタンス部21にはブラケット3との固着に供される固定ボルト23が挿通されるボルト孔25が穿設されている。また、ステアリングコラム1には、その両端に軸受7,9が内嵌・圧入される軸受保持部27,29が形成されている。
【0020】
以下、本実施形態に係るステアリングコラム1の製造方法について説明する。本実施形態の場合、製造作業者は先ず、図3に示したように、所定寸法に切断されたブランク(鋼管素材)31を金型33内にセットする。金型33には、ステアリングコラム1のディスタンス部21に対応するキャビティ35と、一対の軸押シリンダ挿通孔37,39とが形成されている。
【0021】
次に、製造作業者は、図4に示したように、金型33の軸押シリンダ挿通孔37,39から内径拘束マンドレル41,43が先端に装着された軸押シリンダ45,47を進入させ、ブランク31の両端面に当接させる。内径拘束マンドレル41,43は、ハイドロフォーム液注入用のノズルを兼ねると共に、その基端には軸受保持部27,29に対応する外径を有した保持部成形部51,53が形成されている。
【0022】
次に、製造作業者は、図5に示したように、内径拘束マンドレル41,43からハイドロフォーム液(圧力水や圧油等)を注入すると同時に、軸押シリンダ45,47を所定の圧力をもってブランク31に押圧する。すると、ハイドロフォーム液の圧力により、ブランク31の中央部が金型33のキャビティ35に向けて膨出する一方、軸押シリンダ45,47の圧力により、ブランク31の両端では肉厚が増大してその内周面が内径拘束マンドレル41,43に強圧される。その結果、図5中下方にディスタンス部21が塑性形成される一方、両端部には保持部成形部51,53の外径に応じた内径を有する軸受保持部27,29が塑性形成されたワーク61が得られる。
【0023】
次に、製造作業者は、図6に示したように、ハイドロフォーム液による圧力を加えた状態で、図示しないパンチによってワーク61にボルト孔(貫通孔)25を穿設してステアリングコラム1を得る。尚、この際、ステアリングコラム1がテレスコピック動するもの等にあっては、図6中に二点鎖線で示したように、軸方向に延びた長孔63を穿設してもよい。
【0024】
本実施形態によれば、このようにしてステアリングコラム1を製造するようにしたため、軸受保持部27,29の同軸精度を確保しながら、製造工数の大幅な低減と量産性の向上とを実現することができた。
【0025】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、ステアリングコラムの素材としては、炭素鋼以外に種々の合金鋼やアルミニウム合金等が採用可能である。また、膨出部の塑性加工にあたっては、ラバーバルジ成形法や爆発バルジ成形法、プレス成形法等、ハイドロフォーム法以外の方法を採用してもよい。その他、ステアリングコラム装置の具体的構造やステアリングコラムの形状等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のステアリングコラム装置によれば、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムを備えたステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムは、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するものとし、本発明のステアリングコラムの製造方法によれば、転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムであって、塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部とを有するステアリングコラムを製造する方法において、筒状素材を成形型内にセットする工程と、当該筒状素材の両端に内径拘束マンドレルをそれぞれ嵌挿する工程と、当該筒状素材を膨出成形しながら、当該内径拘束マンドレルを筒状素材対して軸方向に押圧する工程とを含むものとしたため、膨出部の成形と同時に高い同軸精度をもった軸受保持部が形成され、成形後の後加工が不要となって製造工数が低減すると同時に量産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るステアリングコラム装置の側面図である。
【図2】ステアリングコラムの従断面図である。
【図3】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図4】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図5】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【図6】ステアリングコラムの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1‥‥ステアリングコラム
3‥‥ブラケット
7,9‥‥軸受
11‥‥アッパステアリングシャフト
13‥‥ステアリングホイール
21‥‥ディスタンス部
25‥‥ボルト孔
27,29‥‥軸受保持部
31‥‥ブランク
33‥‥金型
35‥‥キャビティ
37,39‥‥軸押シリンダ挿通孔
41,43‥‥内径拘束マンドレル
45,47‥‥軸押シリンダ
51,53‥‥保持部成形部
61‥‥ワーク
63‥‥長孔
Claims (9)
- 転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムを備えたステアリングコラム装置であって、
前記ステアリングコラムは、
塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、
塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部と
を有することを特徴とするステアリングコラム装置。 - 前記膨出部が車体側ブラケットに挟圧・保持されるディスタンス部であることを特徴とする、請求項1記載のステアリングコラム装置。
- 前記膨出部に貫通孔が穿設されていることを特徴とする、請求項2記載のステアリングコラム装置。
- 前記膨出部の塑性加工がハイドロフォーム成形法によることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリングコラム装置。
- 前記軸受保持部の塑性加工が内径拘束マンドレルにより行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のステアリングコラム装置。
- 転がり軸受を介してステアリングシャフトをその内部に回動自在に支持する筒状のステアリングコラムであって、
塑性加工により形成された少なくとも一カ所の膨出部と、
塑性加工により形成され、前記転がり軸受が内嵌・圧入される軸受保持部と
を有するステアリングコラムを製造する方法において、
筒状素材を成形型内にセットする工程と、
当該筒状素材の両端に内径拘束マンドレルをそれぞれ嵌挿する工程と、
当該筒状素材を膨出成形しながら、当該内径拘束マンドレルを筒状素材対して軸方向に押圧する工程と
を含むことを特徴とするステアリングコラムの製造方法。 - 前記膨出部に貫通孔をパンチにより穿設する工程を更に含むことを特徴とする、請求項6記載のステアリングコラムの製造方法。
- 前記膨出成形がハイドロフォーム法によることを特徴とする、請求項6または7記載のステアリングコラムの製造方法。
- 前記ハイドロフォーム法に供される加工液が前記内径拘束マンドレルを介して供給されることを特徴とする、請求項8記載のステアリングコラムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002372607A JP2004203133A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ステアリングコラム装置およびステアリングコラムの製造方法 |
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