JP2004202767A - 加硫ゴムチップ成形体およびその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れた加硫ゴムチップ成形体を提供する。
【解決手段】ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなる加硫ゴムチップ成形体である。
【選択図】なし
【解決手段】ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなる加硫ゴムチップ成形体である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫ゴムチップ成形体およびその製法に関するものであり、詳しくは、道路のような多孔質弾性舗装材等に用いられる加硫ゴムチップ成形体およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質弾性舗装材には、原料ゴムとして未加硫ゴムチップではなく、加硫ゴムチップが用いられてきた。この種の加硫ゴムチップを使用した加硫ゴムチップ成形体としては、自動車の廃タイヤ,ウェザーストリップ等の廃ゴム製品を用い、これをチップ状に成形して得た加硫ゴムチップを、ウレタン樹脂,エポキシ樹脂等の樹脂バインダーで結合したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このように、樹脂バインダーを用いて加硫ゴムチップを結合させる場合には、加硫ゴムチップ同士は、化学結合(一次結合)しておらず、樹脂バインダーの結着力のみで、加硫ゴムチップ成形体を形成する必要があるため、樹脂バインダーをある程度の量配合する必要がある。この樹脂バインダーの配合量は、加硫ゴムチップ100重量部に対して、通常、10〜50重量部程度配合する必要がある。このようにして得られる加硫ゴムチップ成形体は、歩道,公園,競技場等の舗装材に用いられてきた。また、近年では、車道用の舗装材として一部実用化されている。
【0003】
この加硫ゴムチップ成形体を用いた舗装材は、弾性骨材である加硫ゴムチップを用いているため、通常のアスファルト舗装や、インターロッキングブロックに比べて弾性があり、また、成型時に数10%の空隙率に調整することにより、透水性や歩行感も向上させることが可能である。また、車道の場合には、この空隙により、タイヤから発生するエアポンピング音の発生を抑制できるとともに、走行する車両から伝播する特定の周波数の音を吸収できる。さらに、この舗装材は、タイヤと路面の接触時の衝撃によって発生するタイヤ衝撃音や、パターン加振音を低減することができるため、交通騒音の大幅な低減が可能になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−21008号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、樹脂バインダーを用いて成形した加硫ゴムチップ成形体は、加硫ゴムチップと樹脂バインダーとの接着性が悪いため、加硫ゴムチップ成形体全体としての強度が低く、また、経年で樹脂バインダーの劣化が生じるため、加硫ゴムチップ成形体の耐候性が悪化する。その結果、加硫ゴムチップ成形体から加硫ゴムチップが飛散して、加硫ゴムチップ成形体自体の耐久性が悪くなる等の難点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐久性に優れた加硫ゴムチップ成形体およびその製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなる加硫ゴムチップ成形体を第1の要旨とし、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムをチップ状に成形して未加硫ゴムチップを作製した後、この未加硫ゴムチップの集合体を成形型内において加硫し未加硫ゴムチップ同士を結合させ成形体化する加硫ゴムチップ成形体の製法を第2の要旨とする。
【0008】
すなわち、本発明者らは、耐久性に優れた加硫ゴムチップ成形体を得るべく、鋭意研究を重ねた。この研究の過程で、加硫ゴムチップと樹脂バインダーに代わる材料を見いだすべく各種の実験を重ねた結果、加硫前の未加硫ゴムチップを用いると、好結果が得られるのではないかと想起した。しかし、この未加硫ゴムチップは、加硫の初期段階で溶融して粘度が低くなった後、加熱加硫して成形体化していくため、空隙のばらつきが大きくなり、均一な多孔質体を作製できず、部分的な強度の低下が生じることが明らかになった。そこで、これらの問題を解決すべく、研究を続けた結果、未加硫ゴムチップのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)に着目し、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムを用いて未加硫ゴムチップを作製し、この未加硫ゴムチップの集合体を加硫して成形体を構成すると、加硫時に未加硫ゴムチップの形状変化をある程度防ぐことができるため、比較的均一な多孔質体を作製でき、加硫ゴムチップ成形体の部分的な強度の低下が生じず、しかも、樹脂バインダーではなく、相互に隣接する未加硫ゴムチップの接触部の化学結合により、ゴムチップを一体化することから、耐久性にも優れるようになることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなるものである。ここで、未加硫ゴムチップの集合体とは、未加硫ゴムチップの複数個、通常は多数個、集めたもののことをいう。
【0011】
この未加硫ゴムチップを作製するために用いる未加硫ゴムとしては、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上のものであれば特に限定はない。この未加硫ゴムのポリマー成分としては、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0012】
上記未加硫ゴムのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、50以上でなければならず、好ましくは50〜100の範囲内である。すなわち、未加硫ゴムのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50未満であると、未加硫ゴムチップの加硫時に未加硫ゴムチップが溶融してチップ形状を保持できないため、得られる加硫ゴムチップ成形体が不均一な多孔質体となり、強度のばらつきが大きくなるからである。
【0013】
なお、このムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、JIS K 6300に準じて測定した値である。
【0014】
上記未加硫ゴムチップは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、天然ゴム等のポリマー成分を準備し、必要に応じて、カーボンブラック等のフィラーや、珪砂等の硬質骨材、および軟化剤、可塑剤、脂肪酸金属酸化物を配合し、これらをバンバリミキサー,ニーダー等の混練機で混練する。つぎに、加硫剤,加硫促進剤等を配合し、これらをロールで混合することにより、先に述べたような特定のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)の未加硫ゴムを得る。そして、リボン状に裁断し、二軸押出機によって、ストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断することによって、未加硫ゴムチップを得ることができる。なお、未加硫ゴムチップ同士が密着する場合は、タルク等の離型剤を塗布してもよい。
【0015】
この未加硫ゴムチップの形状は、特に限定はないが、ひじき状や粒状が好ましい。未加硫ゴムチップの大きさは、ひじき状の場合、直径が、通常、0.3〜5mmの範囲内であり、長さが、通常、5〜50mmの範囲内である。また、未加硫ゴムチップの大きさは、粒状の場合、平均粒径が、通常、0.2〜10mmの範囲内である。
【0016】
上記フィラーとしては、特に限定はないが、カーボンブラック、珪酸(天然珪酸)、合成珪酸、天然珪酸塩(クレー、セリサイト、タルク)、合成珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ水和物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。このようなフィラーを用いると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度や耐候性が向上するようになるため好ましい。また、補強効果を高めるために、シランカップリング剤等のカップリング剤を併用することが好ましい。
【0017】
また、フィラーの配合割合は、未加硫ゴムのポリマー成分100重量部(以下「部」と略す)に対して、10〜500部の範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜200部の範囲内である。すなわち、フィラーの配合割合が10部未満であると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度や耐候性が低下する傾向がみられ、逆に500部を超えると、混練性が悪くなり、作業性が低下する傾向がみられるからである。
【0018】
上記加硫剤としては、特に限定はないが、硫黄、硫黄化合物、金属酸化物、4,4′−ジチオジモルホリン、チウラムポリスルフィド、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、過酸化物、キノンジオキシム、アルキルフェノール樹脂、アミン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0019】
また、加硫剤の配合割合は、通常のゴム配合よりも多めに設定することが好ましく、未加硫ゴムのポリマー成分100部に対して、1〜70部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜50部の範囲内である。すなわち、加硫剤の配合割合が1部未満であると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度が低下する傾向がみられ、逆に70部を超えると、加硫ゴムチップ成形体が硬くなりすぎ、弾性舗装材に用いた場合の走行安定性、歩行感が悪化する傾向がみられるからである。
【0020】
上記加硫促進剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン、ジフェニルグアニジン、エチレンチオウレア、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0021】
また、加硫促進剤の配合割合は、未加硫ゴムチップ100部に対して、0.1〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部の範囲内である。
【0022】
上記硬質骨材としては、特に限定はないが、例えば、砕石,珪砂,砂,シリカ,ガラス等の無機材料や、ナイロン樹脂,ウレタン樹脂等の有機材料があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、入手のしやすさ、コストの点で、砕石または珪砂が好適に用いられる。
【0023】
この硬質骨材の平均粒径は、0.01〜2.5mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5mmの範囲内である。すなわち、硬質骨材の平均粒径が0.01mm未満であると、加硫ゴムチップの成形性が悪くなる傾向がみられ、逆に2.5mmを超えると、濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)が低いため、多量の添加が必要となるからである。
【0024】
また、硬質骨材の配合割合は、未加硫ゴムのポリマー成分100部に対して、20部以上が好ましく、特に好ましくは20〜500部の範囲内である。硬質骨材の配合割合を、このような範囲に設定することにより、濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)を上昇させることができるようになるため好ましい。
【0025】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、先に述べたようにして、特定ムーニー粘度の未加硫ゴムチップを作製する。ついで、所定の数量の未加硫ゴムチップを成形型内に投入した後、所定の条件(例えば、150℃で30分間)で熱プレスすることにより、平板状(厚み20〜50mm)の、本発明に係る加硫ゴムチップ成形体を作製することができる。また、熱プレス以外の方法、例えば、熱風、マイクロ波、蒸気、電子線等の方法で、加硫ゴムチップ成形体を作製してもよい。
【0026】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、例えば、道路用もしくは、遊歩道や競技場のフィールド等に用いられる多孔質弾性舗装材として好適に用いられる。
【0027】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、つぎのようにして施工される。例えば、図1に示すように、地面41に設けたコンクリートあるいはアスファルトの路盤31に、エポキシ系,ウレタン系等の接着剤21を用いて、本発明の加硫ゴムチップ成形体11を敷設する。これにより、排水性弾性舗装構造を形成することができる。図において、1は未加硫ゴムチップを加硫してなる加硫ゴムチップを示す。
【0028】
このように、本発明の加硫ゴムチップ成形体を多孔質の弾性舗装材に用いる場合、弾性舗装材の空隙率は10〜60%の範囲内が好ましく、特に好ましくは25〜55%の範囲内である。
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0030】
【実施例1】
未加硫ゴムとして天然ゴム100部と、カーボンブラック50部と、オイル10部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを、所定の空隙率となるように、金型(内容物の体積:直径100mm×厚み30mm)内に投入し、150℃で30分間熱プレスすることにより、平板状の加硫ゴムチップ成形体(直径100mm、厚み30mm)を作製した。
【0031】
【実施例2】
カーボンブラックの配合割合を10部に変更し、かつ、珪砂40部を配合する以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0032】
【実施例3】
カーボンブラックを配合しない以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0033】
【実施例4】
カーボンブラックの配合割合を100部に変更し、かつ、珪砂40部を配合する以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0034】
【実施例5】
EPDM100部と、カーボンブラック50部と、オイル10部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄2部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)0.5部と、チウラム系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーTS)1.5部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0035】
【実施例6】
SBR100部と、カーボンブラック50部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、スルフェンアミド系加硫促進剤(三新化学社製、サンセラーCM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0036】
【実施例7】
BR100部と、カーボンブラック50部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄1.2部と、グアニジン系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーD)0.8部と、スルフェンアミド系加硫促進剤(三新化学社製、サンセラーCM)1.2部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.2)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0037】
【比較例1】
未加硫ゴムとして、天然ゴム100部と、カーボンブラック50部と、オイル100部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.2)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0038】
【比較例2】
廃タイヤ由来の加硫ゴムチップ(平均直径:3mm、平均長さ:15mmのひじき状)100部と、ウレタン系樹脂バインダー(三井武田ケミカル社製、F181P)10部とを配合して攪拌混合した後、混合物を所定の空隙率となるように成形型内に投入し、150℃で20分間熱プレスすることにより、平板状の加硫ゴムチップ成形体(直径100mm、厚み30mm)を作製した。
【0039】
【比較例3】
珪砂40部を配合する以外は、比較例2と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0040】
このようにして得られた実施例品および比較例品の加硫ゴムチップ成形体を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0041】
〔空隙率〕
ゴムチップの投入量(g)、ゴムチップの比重(g/cm3 )、および成形体の体積(cm3 )から、空隙率を算出した。すなわち、空隙率(%)=〔(ゴムチップの投入量/ゴムチップの比重)/成形体の体積〕×100である。
【0042】
〔混練作業性〕
混練作業時に、バンバリーミキサーやロールにゴムが巻き付き、シート状に成形できる場合を○、バンバリーミキサーやロールにゴムが巻き付かなく、シート状に成形できない場合を×とした。
【0043】
〔引張強度〕
各加硫ゴムチップ成形体を、9等分に分割して、各サンプルの引張強度を、JIS K 6251に準じて測定し、その最小値を表示した。
【0044】
〔濡れ時のすべり摩擦係数〕
大きさ50cm×50cm、厚み3cmの平板状試験片を作製し、常温で3日以上放置した後、試験片の表面に水を流しながら、DFテスター(有限会社サニー工研製)を用いて、80km/h以下の領域で濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)を、ASTM E1911−98に準じて測定した。
【0045】
〔ムーニー粘度〕
未加硫ゴムチップのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)を、JIS K 6300に準じて測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
上記結果から、実施例品はいずれも、特定ムーニー粘度の未加硫ゴムチップを用いて成形体を構成しているため、引張強度が高く、耐久性に優れていることがわかる。
【0049】
これに対して、比較例1品は、実施例品に比べて引張強度が低く、耐久性に劣ることがわかる。これは、比較例1品は、ムーニー粘度が低い未加硫ゴムチップを用いているため、加硫時に未加硫ゴムチップが溶融して、不均一な多孔質体となり、部分的な強度の低下が生じるためであると思われる。比較例2品,3品は、樹脂バインダーを用いているため、引張強度が低く、耐久性に劣ることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の加硫ゴムチップ成形体は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を加硫成形してなるものである。そのため、加硫時に未加硫ゴムチップの形状変化をある程度防ぐことができる。その結果、比較的均一な多孔質体を作製でき、加硫ゴムチップ成形体の部分的な強度の低下が生じず、しかも、樹脂バインダーではなく、相互に隣接する未加硫ゴムチップの接触部の化学結合により、ゴムチップを一体化することから、優れた耐久性を奏するようになる。また、樹脂バインダーを用いたときのような劣化が生じず、耐候性、耐久性の向上効果が得られるようになる。
【0051】
また、樹脂バインダーを使用せず、原料がゴム材だけであるため、使用後の加硫ゴムチップ成形体を再度粉砕することにより、原料の加硫ゴムチップとして再利用(回収)することができ、リサイクル性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加硫ゴムチップ成形体を用いた弾性舗装構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 加硫ゴムチップ
11 加硫ゴムチップ成形体
21 接着剤
31 路盤
41 地面
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫ゴムチップ成形体およびその製法に関するものであり、詳しくは、道路のような多孔質弾性舗装材等に用いられる加硫ゴムチップ成形体およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質弾性舗装材には、原料ゴムとして未加硫ゴムチップではなく、加硫ゴムチップが用いられてきた。この種の加硫ゴムチップを使用した加硫ゴムチップ成形体としては、自動車の廃タイヤ,ウェザーストリップ等の廃ゴム製品を用い、これをチップ状に成形して得た加硫ゴムチップを、ウレタン樹脂,エポキシ樹脂等の樹脂バインダーで結合したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このように、樹脂バインダーを用いて加硫ゴムチップを結合させる場合には、加硫ゴムチップ同士は、化学結合(一次結合)しておらず、樹脂バインダーの結着力のみで、加硫ゴムチップ成形体を形成する必要があるため、樹脂バインダーをある程度の量配合する必要がある。この樹脂バインダーの配合量は、加硫ゴムチップ100重量部に対して、通常、10〜50重量部程度配合する必要がある。このようにして得られる加硫ゴムチップ成形体は、歩道,公園,競技場等の舗装材に用いられてきた。また、近年では、車道用の舗装材として一部実用化されている。
【0003】
この加硫ゴムチップ成形体を用いた舗装材は、弾性骨材である加硫ゴムチップを用いているため、通常のアスファルト舗装や、インターロッキングブロックに比べて弾性があり、また、成型時に数10%の空隙率に調整することにより、透水性や歩行感も向上させることが可能である。また、車道の場合には、この空隙により、タイヤから発生するエアポンピング音の発生を抑制できるとともに、走行する車両から伝播する特定の周波数の音を吸収できる。さらに、この舗装材は、タイヤと路面の接触時の衝撃によって発生するタイヤ衝撃音や、パターン加振音を低減することができるため、交通騒音の大幅な低減が可能になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−21008号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、樹脂バインダーを用いて成形した加硫ゴムチップ成形体は、加硫ゴムチップと樹脂バインダーとの接着性が悪いため、加硫ゴムチップ成形体全体としての強度が低く、また、経年で樹脂バインダーの劣化が生じるため、加硫ゴムチップ成形体の耐候性が悪化する。その結果、加硫ゴムチップ成形体から加硫ゴムチップが飛散して、加硫ゴムチップ成形体自体の耐久性が悪くなる等の難点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐久性に優れた加硫ゴムチップ成形体およびその製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなる加硫ゴムチップ成形体を第1の要旨とし、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムをチップ状に成形して未加硫ゴムチップを作製した後、この未加硫ゴムチップの集合体を成形型内において加硫し未加硫ゴムチップ同士を結合させ成形体化する加硫ゴムチップ成形体の製法を第2の要旨とする。
【0008】
すなわち、本発明者らは、耐久性に優れた加硫ゴムチップ成形体を得るべく、鋭意研究を重ねた。この研究の過程で、加硫ゴムチップと樹脂バインダーに代わる材料を見いだすべく各種の実験を重ねた結果、加硫前の未加硫ゴムチップを用いると、好結果が得られるのではないかと想起した。しかし、この未加硫ゴムチップは、加硫の初期段階で溶融して粘度が低くなった後、加熱加硫して成形体化していくため、空隙のばらつきが大きくなり、均一な多孔質体を作製できず、部分的な強度の低下が生じることが明らかになった。そこで、これらの問題を解決すべく、研究を続けた結果、未加硫ゴムチップのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)に着目し、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムを用いて未加硫ゴムチップを作製し、この未加硫ゴムチップの集合体を加硫して成形体を構成すると、加硫時に未加硫ゴムチップの形状変化をある程度防ぐことができるため、比較的均一な多孔質体を作製でき、加硫ゴムチップ成形体の部分的な強度の低下が生じず、しかも、樹脂バインダーではなく、相互に隣接する未加硫ゴムチップの接触部の化学結合により、ゴムチップを一体化することから、耐久性にも優れるようになることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなるものである。ここで、未加硫ゴムチップの集合体とは、未加硫ゴムチップの複数個、通常は多数個、集めたもののことをいう。
【0011】
この未加硫ゴムチップを作製するために用いる未加硫ゴムとしては、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上のものであれば特に限定はない。この未加硫ゴムのポリマー成分としては、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0012】
上記未加硫ゴムのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、50以上でなければならず、好ましくは50〜100の範囲内である。すなわち、未加硫ゴムのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50未満であると、未加硫ゴムチップの加硫時に未加硫ゴムチップが溶融してチップ形状を保持できないため、得られる加硫ゴムチップ成形体が不均一な多孔質体となり、強度のばらつきが大きくなるからである。
【0013】
なお、このムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、JIS K 6300に準じて測定した値である。
【0014】
上記未加硫ゴムチップは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、天然ゴム等のポリマー成分を準備し、必要に応じて、カーボンブラック等のフィラーや、珪砂等の硬質骨材、および軟化剤、可塑剤、脂肪酸金属酸化物を配合し、これらをバンバリミキサー,ニーダー等の混練機で混練する。つぎに、加硫剤,加硫促進剤等を配合し、これらをロールで混合することにより、先に述べたような特定のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)の未加硫ゴムを得る。そして、リボン状に裁断し、二軸押出機によって、ストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断することによって、未加硫ゴムチップを得ることができる。なお、未加硫ゴムチップ同士が密着する場合は、タルク等の離型剤を塗布してもよい。
【0015】
この未加硫ゴムチップの形状は、特に限定はないが、ひじき状や粒状が好ましい。未加硫ゴムチップの大きさは、ひじき状の場合、直径が、通常、0.3〜5mmの範囲内であり、長さが、通常、5〜50mmの範囲内である。また、未加硫ゴムチップの大きさは、粒状の場合、平均粒径が、通常、0.2〜10mmの範囲内である。
【0016】
上記フィラーとしては、特に限定はないが、カーボンブラック、珪酸(天然珪酸)、合成珪酸、天然珪酸塩(クレー、セリサイト、タルク)、合成珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ水和物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。このようなフィラーを用いると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度や耐候性が向上するようになるため好ましい。また、補強効果を高めるために、シランカップリング剤等のカップリング剤を併用することが好ましい。
【0017】
また、フィラーの配合割合は、未加硫ゴムのポリマー成分100重量部(以下「部」と略す)に対して、10〜500部の範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜200部の範囲内である。すなわち、フィラーの配合割合が10部未満であると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度や耐候性が低下する傾向がみられ、逆に500部を超えると、混練性が悪くなり、作業性が低下する傾向がみられるからである。
【0018】
上記加硫剤としては、特に限定はないが、硫黄、硫黄化合物、金属酸化物、4,4′−ジチオジモルホリン、チウラムポリスルフィド、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、過酸化物、キノンジオキシム、アルキルフェノール樹脂、アミン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0019】
また、加硫剤の配合割合は、通常のゴム配合よりも多めに設定することが好ましく、未加硫ゴムのポリマー成分100部に対して、1〜70部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜50部の範囲内である。すなわち、加硫剤の配合割合が1部未満であると、得られる加硫ゴムチップ成形体の強度が低下する傾向がみられ、逆に70部を超えると、加硫ゴムチップ成形体が硬くなりすぎ、弾性舗装材に用いた場合の走行安定性、歩行感が悪化する傾向がみられるからである。
【0020】
上記加硫促進剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン、ジフェニルグアニジン、エチレンチオウレア、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0021】
また、加硫促進剤の配合割合は、未加硫ゴムチップ100部に対して、0.1〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部の範囲内である。
【0022】
上記硬質骨材としては、特に限定はないが、例えば、砕石,珪砂,砂,シリカ,ガラス等の無機材料や、ナイロン樹脂,ウレタン樹脂等の有機材料があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、入手のしやすさ、コストの点で、砕石または珪砂が好適に用いられる。
【0023】
この硬質骨材の平均粒径は、0.01〜2.5mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5mmの範囲内である。すなわち、硬質骨材の平均粒径が0.01mm未満であると、加硫ゴムチップの成形性が悪くなる傾向がみられ、逆に2.5mmを超えると、濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)が低いため、多量の添加が必要となるからである。
【0024】
また、硬質骨材の配合割合は、未加硫ゴムのポリマー成分100部に対して、20部以上が好ましく、特に好ましくは20〜500部の範囲内である。硬質骨材の配合割合を、このような範囲に設定することにより、濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)を上昇させることができるようになるため好ましい。
【0025】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、先に述べたようにして、特定ムーニー粘度の未加硫ゴムチップを作製する。ついで、所定の数量の未加硫ゴムチップを成形型内に投入した後、所定の条件(例えば、150℃で30分間)で熱プレスすることにより、平板状(厚み20〜50mm)の、本発明に係る加硫ゴムチップ成形体を作製することができる。また、熱プレス以外の方法、例えば、熱風、マイクロ波、蒸気、電子線等の方法で、加硫ゴムチップ成形体を作製してもよい。
【0026】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、例えば、道路用もしくは、遊歩道や競技場のフィールド等に用いられる多孔質弾性舗装材として好適に用いられる。
【0027】
本発明の加硫ゴムチップ成形体は、つぎのようにして施工される。例えば、図1に示すように、地面41に設けたコンクリートあるいはアスファルトの路盤31に、エポキシ系,ウレタン系等の接着剤21を用いて、本発明の加硫ゴムチップ成形体11を敷設する。これにより、排水性弾性舗装構造を形成することができる。図において、1は未加硫ゴムチップを加硫してなる加硫ゴムチップを示す。
【0028】
このように、本発明の加硫ゴムチップ成形体を多孔質の弾性舗装材に用いる場合、弾性舗装材の空隙率は10〜60%の範囲内が好ましく、特に好ましくは25〜55%の範囲内である。
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0030】
【実施例1】
未加硫ゴムとして天然ゴム100部と、カーボンブラック50部と、オイル10部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを、所定の空隙率となるように、金型(内容物の体積:直径100mm×厚み30mm)内に投入し、150℃で30分間熱プレスすることにより、平板状の加硫ゴムチップ成形体(直径100mm、厚み30mm)を作製した。
【0031】
【実施例2】
カーボンブラックの配合割合を10部に変更し、かつ、珪砂40部を配合する以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0032】
【実施例3】
カーボンブラックを配合しない以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0033】
【実施例4】
カーボンブラックの配合割合を100部に変更し、かつ、珪砂40部を配合する以外は、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0034】
【実施例5】
EPDM100部と、カーボンブラック50部と、オイル10部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄2部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)0.5部と、チウラム系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーTS)1.5部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0035】
【実施例6】
SBR100部と、カーボンブラック50部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、スルフェンアミド系加硫促進剤(三新化学社製、サンセラーCM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.1)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0036】
【実施例7】
BR100部と、カーボンブラック50部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄1.2部と、グアニジン系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーD)0.8部と、スルフェンアミド系加硫促進剤(三新化学社製、サンセラーCM)1.2部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.2)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0037】
【比較例1】
未加硫ゴムとして、天然ゴム100部と、カーボンブラック50部と、オイル100部とを配合し、これらをバンバリーミキサーにより120℃で混練した。つぎに、加硫剤である硫黄3部と、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーM)1部とを配合し、8インチロールで混合した後、リボン状に裁断した。ついで、二軸押出機によって、直径3mmのストランド状に押し出した後、水冷し、ペレタイザーによってチップ状に切断して、未加硫ゴムチップ(比重1.2)を作製した。続いて、この未加硫ゴムチップを用いて、実施例1と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0038】
【比較例2】
廃タイヤ由来の加硫ゴムチップ(平均直径:3mm、平均長さ:15mmのひじき状)100部と、ウレタン系樹脂バインダー(三井武田ケミカル社製、F181P)10部とを配合して攪拌混合した後、混合物を所定の空隙率となるように成形型内に投入し、150℃で20分間熱プレスすることにより、平板状の加硫ゴムチップ成形体(直径100mm、厚み30mm)を作製した。
【0039】
【比較例3】
珪砂40部を配合する以外は、比較例2と同様にして、加硫ゴムチップ成形体を作製した。
【0040】
このようにして得られた実施例品および比較例品の加硫ゴムチップ成形体を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0041】
〔空隙率〕
ゴムチップの投入量(g)、ゴムチップの比重(g/cm3 )、および成形体の体積(cm3 )から、空隙率を算出した。すなわち、空隙率(%)=〔(ゴムチップの投入量/ゴムチップの比重)/成形体の体積〕×100である。
【0042】
〔混練作業性〕
混練作業時に、バンバリーミキサーやロールにゴムが巻き付き、シート状に成形できる場合を○、バンバリーミキサーやロールにゴムが巻き付かなく、シート状に成形できない場合を×とした。
【0043】
〔引張強度〕
各加硫ゴムチップ成形体を、9等分に分割して、各サンプルの引張強度を、JIS K 6251に準じて測定し、その最小値を表示した。
【0044】
〔濡れ時のすべり摩擦係数〕
大きさ50cm×50cm、厚み3cmの平板状試験片を作製し、常温で3日以上放置した後、試験片の表面に水を流しながら、DFテスター(有限会社サニー工研製)を用いて、80km/h以下の領域で濡れ時のすべり摩擦係数(μwet)を、ASTM E1911−98に準じて測定した。
【0045】
〔ムーニー粘度〕
未加硫ゴムチップのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)を、JIS K 6300に準じて測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
上記結果から、実施例品はいずれも、特定ムーニー粘度の未加硫ゴムチップを用いて成形体を構成しているため、引張強度が高く、耐久性に優れていることがわかる。
【0049】
これに対して、比較例1品は、実施例品に比べて引張強度が低く、耐久性に劣ることがわかる。これは、比較例1品は、ムーニー粘度が低い未加硫ゴムチップを用いているため、加硫時に未加硫ゴムチップが溶融して、不均一な多孔質体となり、部分的な強度の低下が生じるためであると思われる。比較例2品,3品は、樹脂バインダーを用いているため、引張強度が低く、耐久性に劣ることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の加硫ゴムチップ成形体は、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を加硫成形してなるものである。そのため、加硫時に未加硫ゴムチップの形状変化をある程度防ぐことができる。その結果、比較的均一な多孔質体を作製でき、加硫ゴムチップ成形体の部分的な強度の低下が生じず、しかも、樹脂バインダーではなく、相互に隣接する未加硫ゴムチップの接触部の化学結合により、ゴムチップを一体化することから、優れた耐久性を奏するようになる。また、樹脂バインダーを用いたときのような劣化が生じず、耐候性、耐久性の向上効果が得られるようになる。
【0051】
また、樹脂バインダーを使用せず、原料がゴム材だけであるため、使用後の加硫ゴムチップ成形体を再度粉砕することにより、原料の加硫ゴムチップとして再利用(回収)することができ、リサイクル性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加硫ゴムチップ成形体を用いた弾性舗装構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 加硫ゴムチップ
11 加硫ゴムチップ成形体
21 接着剤
31 路盤
41 地面
Claims (2)
- ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムチップの集合体を、加硫し成形体に構成してなることを特徴とする加硫ゴムチップ成形体。
- ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が50以上の未加硫ゴムをチップ状に成形して未加硫ゴムチップを作製した後、この未加硫ゴムチップの集合体を成形型内において加硫し未加硫ゴムチップ同士を結合させ成形体化することを特徴とする加硫ゴムチップ成形体の製法。
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JP2008045275A (ja) * | 2006-08-10 | 2008-02-28 | Bridgestone Corp | 弾性舗装体 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372741A patent/JP2004202767A/ja active Pending
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