JP2004202631A - 旋盤用工具ホルダ - Google Patents

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Haruaki Kubo
治明 久保
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Abstract

【課題】シャンク部とカートリッジ部が交換可能かつ両者を取付けるための構造が簡単であり、回転方向の取付精度の許容範囲が広く、回転方向の切削抵抗が小さく良好な切削を行うことができる旋盤用工具ホルダを提供する。
【解決手段】機械に装着されるシャンク部10と、刃物100を取付けるカートリッジ部30を備え、シャンク部10に対しカートリッジ部30が着脱可能であり、刃物100が軸心O(O)上に配設され、シャンク部10の取付端面16に、カートリッジ部30の取付端面33を押圧させて、シャンク部10に対しカートリッジ部30を取付ける取付具を備えた旋盤用工具ホルダである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部と、を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、機械に装着されるシャンク部に対し、刃物を取付けるカートリッジ部を着脱可能に取付ける構成を備えた工具ホルダ(切削工具)が提案されている。特に、旋盤用工具ホルダでは、切削方向により刃物を取付ける向きを変えなければならず、加工物との干渉をできる限り少なくする為に、刃物は、工具ホルダのシャンク部の外径よりも外側に突出するように設けられている。
【0003】
この種の工具ホルダとしては、例えば、実開昭60−109703号公報、実開平2−53308号公報、特開2001−225211号公報、及び特開2002−18608号公報等に記載されたものがある。
【0004】
実開昭60−109703号公報に記載された切削工具は、工具本体(シャンク部)と、これに着脱可能に取り付けられる頭部(カートリッジ部)の、互いの突き合わせ面に、この突き合わせ面上の異なる2方向に沿って各々延在し、かつ先端側が基端側より幅狭とされた突条と、これらの突条に各々嵌合する凹溝とを形成し、前記2方向のうち、いずれか一方に延在する突条と凹溝との嵌合深さを、他方向に延在する突条と凹溝との嵌合深さより浅くした構成を備えている。(実用新案登録文献1参照)。
【0005】
また、実開平2−53308号公報に記載された工具ホルダは、ツールヘッド(カートリッジ部)とホルダ(シャンク部)が凸軸及び凹状の取付穴によって嵌合されている。そして、この嵌合部分には、直径方向にねじ穴及び受入穴が、各々穿設されると共に、前記ねじ穴内に保持ねじが配置され、また、前記受入穴内に中間取付部材が配置されるようにした工具取付け機構を有している。前記中間取付部材は、太軸部分及び細軸部分からなり、凸軸の受入穴内では、弾発材及びクリップが介在し、保持ねじによって緩められた時には、アンクランプ状態となるよう構成されている。(実用新案登録文献2参照)。
【0006】
また、特開2001−225211号公報に記載された切削ホルダは、刃物を着脱可能に取付けたホルダヘッド(カートリッジ部)と、ホルダヘッドの接続端に突設した円錐形取付部に密嵌する嵌合凹部を備えたシャンクとから構成され、シャンクの外端から嵌合凹部に給油穴を貫通し、前記円錐形取付部の側面に形成したねじ穴に合致するボルト穴をシャンクの周面に開設し、ボルト穴からねじ穴にクランプねじをねじ込んでシャンクとホルダヘッドとを一体的に固定した構成を備えている。(特許文献1参照)。
【0007】
そしてまた、特開2002−18608号公報に記載された切削工具は、先端に刃物が設けられたヘッドの後端にヘッド側取付部が形成されると共に、シャンクの両端には、前記ヘッド側取付部が取付可能なシャンク側取付部が形成され、当該ヘッド側取付部とシャンク側取付部とのうち、一方の取付部が孔底側に向かうにしたがい漸次縮径するテーパ面を備えた孔部であると共に、他方の取付部が前記テーパ面に密着可能なテーパ面状の側面を備えた凸部からなる構成を備えている。(特許文献2参照)。
【0008】
【実用新案登録文献1】
実開昭60−109703号公報
【実用新案登録文献2】
実開平2−53308号公報
【特許文献1】
特開2001−225211号公報
【特許文献2】
特開2002−18608号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の工具ホルダは、刃物が工具ホルダのシャンク部の外径よりも外側に突出するように設けられているため、切削加工位置が軸心より外周になる。このため、回転方向の荷重受け精度や、位置決め精度が必要になる。また、機械に装着されるシャンク部に対し、刃物を取付けるカートリッジ部を着脱可能に取付ける構成を備えた工具ホルダでは、両者の取付部分の回り止めの強度や、取付精度が必要になり、構造が複雑化し高価になる。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、シャンク部とカートリッジ部が交換可能かつ両者を取付けるための構造が簡単であり、回転方向の取付精度の許容範囲が広く、回転方向の切削抵抗が小さく良好な切削を行うことができる旋盤用工具ホルダを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部と、を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダであって、前記刃物が軸心上に配設され、前記シャンク部の取付端面に、当該カートリッジ部の取付端面を押圧させて、当該シャンク部に対し当該カートリッジ部を取付ける取付具を備えた旋盤用工具ホルダを提供するものである。
【0011】
この構成を備えた旋盤用工具ホルダは、刃物が軸心上に配設される。すなわち、刃物が工具ホルダのシャンク部の外径よりも外側に突出せず、切削加工位置が軸心近傍となるため、回転方向の切削トルクを小さくすることができる。また、シャンク部とカートリッジ部との回転方向の取付精度の許容範囲を広く取ることができるため、回転方向の取付精度がある程度正確でなくても、刃物の刃先と切削中心の位置関係(芯高)に狂いが生じることを防止することができる。また、切れ刃の逃げ角の変化を小さくすることができる。
【0012】
また、前記取付具は、軸心方向に対し略垂直方向に延設された固定部材と、当該固定部材に対し移動可能かつ係合可能な移動部材と、を備えることができる。前記固定部材は、前記カートリッジ部に設けることができる。また、前記固定部材は、前記シャンク部に設けることもできる。
【0013】
そしてまた、前記固定部材は、前記移動部材の少なくとも一部を挿入可能であり、当該固定部材に移動部材を挿入させた際に、当該移動部材の軸心が、前記固定部材の軸心に対して偏心するよう構成することができる。
【0014】
また、前記移動部材は、ねじ部と、当該ねじ部の先端に形成された略円錐状部と、を備え、前記固定部材は、前記略円錐状部を挿入可能な略円錐状孔を備え、前記シャンク部に前記ねじ部と螺合するねじ孔を形成し、前記ねじ部とねじ孔を螺合させて前記移動部材を締め付けた際に、前記略円錐状部が、前記略円錐状孔の前記シャンク部側に当接し、前記移動部材の軸心が、前記略円錐状孔の軸心に対し、当該シャンク部側に偏心するよう構成することもできる。
【0015】
さらにまた、前記移動部材は、ねじ部と、当該ねじ部の先端に形成された略円錐状部と、を備え、前記固定部材は、前記略円錐状部を挿入可能な略円錐状孔を備え、前記カートリッジ部に前記ねじ部と螺合するねじ孔を形成し、前記ねじ部とねじ孔を螺合させて前記移動部材を締め付けた際に、前記略円錐状部が、前記略円錐状孔の前記シャンク部側に当接し、前記移動部材の軸心が、前記略円錐状孔の軸心に対し、当該シャンク部側に偏心するよう構成することもできる。
【0016】
そしてまた、前記取付具は、略軸心方向に延設された固定部材と、当該固定部材に対し移動可能かつ係合可能な移動部材と、をさらに備えることもできる。例えば、略軸心方向に延設された固定部材は、ボルト孔であり、移動部材は、このボルト孔に螺合するボルトから構成することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる旋盤用工具ホルダについて、図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態1及び2は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの斜視図、図2は、図1に示す旋盤用工具ホルダの刃物を取付けていない状態の側面図の一部を破断して示した組み立て図、図3は、図2に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の側面図の一部を破断して示した図、図4は、図3に示すシャンク部の左側面図、図5は、図3に示すシャンク部の右側面図、図6は、図5に示すVI−VI線に沿った断面図、図7は、図2に示す旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の斜視図、図8は、図7に示すカートリッジ部の平面図、図9は、図8に示すIX−IX線に沿った一部断面図、図10は、図2に示すシャンク部とカートリッジ部をボルトによって固定した状態を示す一部拡大図断面図、図11は、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの使用例を示す平面図である。
【0018】
なお、実施の形態1では、刃物が取付けられる側を「先端側」、機械主軸に取付けられる側を「基端側」として説明する。
【0019】
図1〜図11に示すように、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1は、機械主軸に装着されるシャンク部10と、シャンク部10に対し着脱可能であり、刃物100を取付けるカートリッジ部30と、を備えて構成されている。
【0020】
シャンク部10は、軸心O方向の略中央部に形成されたフランジ部11と、フランジ部11の先端側に連続して形成され、カートリッジ部30が取付けられるカートリッジ取付部12と、フランジ部11の基端側に連続して形成され、機械主軸に取り付けられる機械主軸側取付部13と、を備えている。
【0021】
フランジ部11は、外周面の互いに180度位相した位置に、固有情報を格納した情報担体としてのICチップ14を装着するための装着孔15が形成されている。したがって、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1は、このICチップ14に格納された情報を読取ることで、例えば、製品管理、製品在庫や発注管理、作業情報管理、工具管理等を自動化することができる。
【0022】
また、フランジ部11の先端側の内部には、後に詳述するカートリッジ部30の取付部32が挿入される装着孔17の一部が、軸心O方向に形成されている。この装着孔17の基端には、後に詳述する機械主軸側取付部13に形成されたボルト孔22の一部が、軸心O方向に連続して形成されている。
【0023】
カートリッジ取付部12には、先端側の端面16から基端側に向けて、カートリッジ部30の取付部32が装着される装着孔17が軸心O方向に形成されている。また、カートリッジ取付部12の外周面には、互いに180度位相した位置から、軸心Oに対し略垂直方向に向けてボルト孔18が形成されている。このボルト孔18には、後に詳述する移動部材としてのボルト70が挿入される。また、このボルト孔18には、ボルト70に形成された雄ねじ71に螺合する雌ねじ19が形成されている。なお、カートリッジ取付部12の先端側の端面16は、後に詳述するカートリッジ部30が装着された(取付けられた)際に、カートリッジ部30の刃物取付部31の基端側の取付端面33が当接するよう構成されている。
【0024】
機械主軸側取付部13は、基端側の端面20から先端側に向けて開口部21が形成されており、この開口部21の先端には、内部に雄ねじ81が通るボルト孔22が軸心O方向に連続して形成されている。このボルト孔22には、シャンク部10にカートリッジ部30を取付けるためのボルト80(図2参照)が挿入される。
【0025】
カートリッジ部30は、先端側に形成された刃物取付部31と、刃物取付部31の基端に設けられてカートリッジ部30をシャンク部10に取付ける取付部32と、を備えている。
【0026】
刃物取付部31には、側面から見て略L字状(図9参照)を有し、その先端には、刃物100を取付けるための取付座34が形成されている。この取付座34は、平面視でカートリッジ部30の軸心O上に位置するように形成されている。刃物100が取付けられた際は、刃物100の先端が軸心O−O上に位置する。刃物取付部31の取付座34より基端側には、刃物100を取付座34に押し当てて固定するクランプ駒101を押圧するボルト102が螺合するボルト孔35が形成されている。また、ボルト孔35の基端側には、クランプ駒101の基端側の下面を係合支持する係合凹部36が形成されている。そしてまた、刃物取付部31の基端側の取付端面33は、シャンク部10にカートリッジ部30が取付けられた際に、シャンク部10の取付端面16に当接するよう構成されている。なお、符号29は、クーラントノズルである。
【0027】
取付部32は、シャンク部10に形成された挿入孔17に挿入可能な形状を備えている。取付部32の内部には、基端側に形成された端面37から先端側に向けて軸心O方向にボルト孔38が形成されている。このボルト孔38は、シャンク部10を貫通したボルト80に螺合するように、ボルト80に形成された雄ねじ81と同じピッチの雌ねじ39が形成されている。そして、このボルト孔38は、カートリッジ部30をシャンク部10に取付けた際に、シャンク部10のボルト孔22と連通してボルト80を挿入し、ボルト80に形成された雄ねじ81と、ボルト孔38に形成された雌ねじ39が螺合するよう構成されている。なお、カートリッジ部30の軸心Oは、シャンク部10にカートリッジ部30を取付けた際は、図2に示すように、シャンク部10の軸心Oと一致するよう構成されている。
【0028】
また、取付部32には、外周面の互いに180度位相した位置から、軸心Oに向けて略垂直方向に、略円錐状のテーパ孔40が形成されている。このテーパ孔40は、カートリッジ部30をシャンク部10に取付けた際に、シャンク部10に形成したボルト孔18と連通する位置に形成されており、後に詳述するボルト70の先端に形成されたテーパ部73が挿入されるよう構成されている。このテーパ孔40は、取付部32の円周方向に相当する径L(図8参照)が、ボルト孔18の径より若干大きく形成されている。
【0029】
ボルト70は、シャンク部10に形成されたボルト孔18の雌ねじ19と螺合する雄ねじ71が形成された略円筒形のねじ部72と、ねじ部72の先端に形成された略円錐状のテーパ部73と、を備えて構成されている。このテーパ部73は、カートリッジ部30に形成されたテーパ孔40に挿入可能となっている。
【0030】
次に、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1の具体的動作について説明する。
【0031】
先ず、シャンク部10にカートリッジ部30を取付けるには、シャンク部10に形成された挿入孔17に、カートリッジ部30の取付部32を挿入する。この時、シャンク部10に形成されたボルト孔22と、カートリッジ部30に形成されたボルト孔38が連通した状態となる。また、シャンク部10に形成されたボルト孔18と、カートリッジ部30に形成されたテーパ孔40が連通するよう挿入する。
【0032】
次に、ボルト孔18にボルト70を挿入し、ボルト孔18の雌ねじ19に、ボルト70の雄ねじ71を螺合させて、ボルト70を締め付けると、ボルト70の先端に形成されたテーパ部73がテーパ孔40に到達する。ここで、前述したように、ボルト70の軸心(軸心Oと一致)は、テーパ孔40の軸心Oに対して基端側に偏心している(図2及び図10参照)ため、この状態からボルト70をさらに締め付けると、テーパ部73は、テーパ孔40の基端側を押圧しながらテーパ孔40にさらに深く挿入されていく。この動作により、カートリッジ部30の取付端面33が、シャンク部10の取付端面16に、相対的に徐々に押しつけられていく。
【0033】
次に、シャンク部10に形成された開口部21からボルト80を挿入し、ボルト孔22を貫通し、ボルト孔38の雌ねじ39に、ボルト80の雄ねじ81を螺合させて、シャンク部10にカートリッジ部30を固定する。このようにすることで、カートリッジ部30は、シャンク部10に確実に取付けられる。
【0034】
なお、刃物100は、カートリッジ部30をシャンク部10に取付ける前に、カートリッジ部30の取付座34に取付けてもよく、また、カートリッジ部30をシャンク部10に取付けた後で取付けてもよい。
【0035】
また、シャンク部10にカートリッジ部30を取付ける手順は、前述の手順に限らず、例えば、予め、ボルト80により、シャンク部10に対しカートリッジ部30を仮止めした後、ボルト孔18にボルト70を螺合させ、取付端面16と取付端面33とを互いに押圧させ、その後、ボルト80を確実に締め付ける等、任意に決定することができる。
【0036】
このようにして組み立てられた旋盤用工具ホルダ1は、取付具としてのボルト70のテーパ部73とテーパ孔40により、シャンク部10にカートリッジ部30を取付ける際に必要な力の主成分を、取付端面16と取付端面33とで受けることができるため、カートリッジ部30は、シャンク部10に確実に取付けられる。また、シャンク部10とカートリッジ部30の回転方向に対する相対的な移動は、ボルト70と、ボルト孔18及びテーパ孔40とによって、確実に抑制される。
【0037】
また、この構成を備えた旋盤用工具ホルダ1は、前述したように、刃物100が、軸心O(O)上に配設されている。このため、図11に示すように、加工物150に対し、主軸を約45度傾けることができる結果、切削によるトルクが機械主軸にかかることを防止することができる。さらに、シャンク部10とカートリッジ部30との回転方向の取付精度の許容範囲を広く取ることができ、回転方向の取付精度がある程度正確でなくても、刃物の刃先と切削中心の位置関係(芯高)に狂いが生じることを防止することができる。また、切れ刃の逃げ角の変化を小さくすることができる。
【0038】
なお、実施の形態1では、平面視で略菱形状の刃物100を用いた場合について説明したが、これに限らず、刃物100は、例えば、平面視で略三角形等、任意に選択することができる。
【0039】
また、実施の形態1では、2本のボルト70を締め付ける場合について説明したが、これに限らず、1本のボルト70を締め付けてもよく、また、3本以上締め付ける構成としてもよい。
【0040】
そしてまた、実施の形態1では、シャンク部10にカートリッジ部30を取付けるための取付具として、ボルト70及び80、ボルト孔18及び22、テーパ孔40を使用した場合について説明したが、これに限らず、シャンク部10の取付端面16に、カートリッジ部30の取付端面33を押圧させて、シャンク部10に対しカートリッジ部30を取付けることができる機能を持ったものであれば、その形態は限定されるものではない。
【0041】
そしてまた、本発明では、刃物100を旋盤用工具ホルダ1の軸心O(O)上に配設するようにしたが、これは、刃物100がシャンク部10の外径よりも外側に突出しないように、刃物100の少なくとも一部が、軸心O(O)上に位置していればよいことを意味している。
【0042】
また、本発明にかかる旋盤用工具ホルダは、シャンク部10とカートリッジ部30との間に、継手(エクステンション部材等)を介して、シャンク部10の取付端面16に、カートリッジ部30の取付端面33を押圧させる構成としてもよい。この場合、シャンク部10と継手との取付け、当該継手とカートリッジ部30の取付けは、前述したシャンク部10とカートリッジ部30の取付けに準じて行えばよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダについて図面を参照して説明する。
【0043】
図12は、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダの側面図の一部を破断して示した図、図13は、図12に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の側面図の一部を破断して示した図、図14は、図12に示す旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の側面図の一部を破断して示した図、図15は、図12に示すシャンク部とカートリッジ部をボルトによって固定した状態を示す一部拡大図断面図である。
【0044】
なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図12〜図15に示すように、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ2の、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1との異なる主な点は、シャンク部10に、ボルト孔18の代わりにテーパ孔40を形成し、カートリッジ部30に、テーパ孔40の代わりにボルト孔18を形成した点である。
【0046】
すなわち、シャンク部10のカートリッジ取付部12には、挿入孔17の内壁の互いに90度位相した位置から外周面に向けて、軸心Oに対し略垂直方向に、当該外周面に近づくにしたがって収束する略円錐状のテーパ孔40が形成されている。また、カートリッジ部30の取付部32には、カートリッジ部30をシャンク部10に取付けた際に、シャンク部10に形成されたテーパ孔40と連通する位置に、軸心Oに対し略垂直方向に貫通したテーパ孔18が形成されている。
【0047】
この構成の場合は、カートリッジ部30をシャンク部10に取付けた際に、ボルト孔18の軸心Oは、テーパ孔40の軸心Oに対し、先端側に偏心する。(図12参照)。すなわち、ボルト70をボルト孔18及びテーパ孔40に挿入し、ボルト70の雄ねじ71をボルト孔18の雌ねじ19に螺合させて締め付けた際に、ボルト70の軸心(Oと一致)が、テーパ孔40の軸心Oに対し、先端側に偏心することになる。(図12及び図15参照)。
【0048】
この旋盤用工具ホルダ2も、実施の形態1と同様に、シャンク部10にカートリッジ部30を取付ける際に必要な力の主成分が、取付端面16及び33にかかるため、カートリッジ部30は、シャンク部10に確実に取付けられる。また、シャンク部10とカートリッジ部30との相対的な回転方向の移動は、ボルト70と、ボルト孔18及びテーパ孔40とによって抑制される。また、刃物100が、軸心O−O上に配設されているため、切削によるトルクが機械主軸にかかることを防止することができる。さらにまた、シャンク部10とカートリッジ部30との回転方向の取付精度の許容範囲を広く取ることができ、回転方向の取付精度がある程度正確でなくても、芯高に狂いが生じることを防止することができる。また、切れ刃の逃げ角の変化を小さくすることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダについて図面を参照して説明する。
【0049】
図16は、実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部(右勝手)の平面図、図17は、図16に示すカートリッジ部を装着した旋盤用工具ホルダの使用例を示す平面図である。
【0050】
なお、実施の形態3では、前述した実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図16及図17に示すように、実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダ3の、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1との異なる主な点は、カートリッジ部50の刃物取付部51の構造である。
【0052】
すなわち、刃物取付部51は、実施の形態1で説明した刃物取付部31と同様に側面から見て略L字状であることに加え、正面(平面)から見て略L字状を有し、その先端には、刃物100を取付けるための取付座34が形成されている。この取付座34は、ここに刃物100が取付けられた際に、刃物100の先端が軸心O−O上に位置することができるよう構成されている。刃物取付部51の取付座34より基端側には、実施の形態1と同様に、刃物100を取付座34に押し当てて固定するクランプ駒101を押圧するボルト102が螺合するボルト孔35が、また、ボルト孔35の基端側には、係合凹部36が形成されている。刃物取付部51の基端側の取付端面33は、シャンク部10にカートリッジ部50が取付けられた際に、シャンク部10の取付端面16に当接するよう構成されている。
【0053】
この構成を備えた旋盤用工具ホルダ3も、実施の形態1と同様に、シャンク部10にカートリッジ部50を取付ける際に必要な力の主成分が、取付端面16及び33にかかるため、カートリッジ部50は、シャンク部10に確実に取付けられる。また、シャンク部10とカートリッジ部50との相対的な回転方向の移動は、ボルト70と、ボルト孔18及びテーパ孔40とによって抑制される。また、刃物100の刃先が、軸心O−O上に配設されているため、切削によるトルクが機械主軸にかかることを防止することができる。さらにまた、シャンク部10とカートリッジ部50との回転方向の取付精度の許容範囲を広く取ることができ、回転方向の取付精度がある程度正確でなくても、芯高に狂いが生じることを防止することができる。また、切れ刃の逃げ角の変化を小さくすることができる。
【0054】
なお、実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダ3も、実施の形態2に示す旋盤用工具ホルダ2のように、シャンク部10に、ボルト孔18の代わりにテーパ孔40を形成し、カートリッジ部50に、テーパ孔40の代わりにボルト孔18を形成した構成としてもよい。
【0055】
また、実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダ3の場合、図18に示すように、左勝手のカートリッジ部60を使用することもできる。このカートリッジ部60の刃物取付部61は、この刃物取付部60を軸線Oに対して線対称にした構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる旋盤用工具ホルダは、刃物が軸心上に配設され、シャンク部の取付端面に、カートリッジ部の取付端面を押圧させて、当該シャンク部に対し当該カートリッジ部を取付ける取付具を有した構成を備えているため、回転方向の切削抵抗を小さくすることができる。また、シャンク部とカートリッジ部との回転方向の取付精度の許容範囲を広く取ることができ、回転方向の取付精度がある程度正確でなくても、芯高に狂いが生じることを防止することができる。また、切れ刃の逃げ角の変化を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの斜視図である。
【図2】図1に示す旋盤用工具ホルダの刃物を取付けていない状態の側面図の一部を破断して示した組み立て図である。
【図3】図2に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の側面図の一部を破断して示した図である。
【図4】図3に示すシャンク部の左側面図である。
【図5】図3に示すシャンク部の右側面図である。
【図6】図5に示すVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図2に示す旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の斜視図である。
【図8】図7に示すカートリッジ部の平面図である。
【図9】図8に示すIX−IX線に沿った一部断面図である。
【図10】図2に示すシャンク部とカートリッジ部をボルトによって固定した状態を示す一部拡大図断面図である。
【図11】実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの使用例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダの側面図の一部を破断して示した図である。
【図13】図12に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の側面図の一部を破断して示した図である。
【図14】図12に示す旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の側面図の一部を破断して示した図である。
【図15】図12に示すシャンク部とカートリッジ部をボルトによって固定した状態を示す一部拡大図断面図である。
【図16】本発明の実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部(右勝手)の平面図である。
【図17】図16に示すカートリッジ部を装着した旋盤用工具ホルダの使用例を示す平面図である。
【図18】本発明の実施の形態3にかかる旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部(左勝手)に刃物を取り付けた状態の平面図である。
【符号の説明】
1、2 旋盤用工具ホルダ
10 シャンク部
12 カートリッジ取付部
16、33 端面
17 挿入孔
18、22、38 ボルト孔
30 カートリッジ部
31 刃物取付部
32 取付部
40 テーパ孔
70、80 ボルト
100 刃物

Claims (7)

  1. 機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部と、を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダであって、
    前記刃物が軸心上に配設され、
    前記シャンク部の取付端面に、当該カートリッジ部の取付端面を押圧させて、当該シャンク部に対し当該カートリッジ部を取付ける取付具を備えた旋盤用工具ホルダ。
  2. 前記取付具は、軸心方向に対し略垂直方向に延設された固定部材と、当該固定部材に対し移動可能かつ係合可能な移動部材と、を備えてなる請求項1記載の旋盤用工具ホルダ。
  3. 前記固定部材は、前記カートリッジ部に設けられてなる請求項2記載の旋盤用工具ホルダ。
  4. 前記固定部材は、前記シャンク部に設けられてなる請求項2記載の旋盤用工具ホルダ。
  5. 前記固定部材は、前記移動部材の少なくとも一部を挿入可能であり、当該固定部材に移動部材を挿入させた際に、当該移動部材の軸心が、前記固定部材の軸心に対して偏心するよう構成した請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の旋盤用工具ホルダ。
  6. 前記移動部材は、ねじ部と、当該ねじ部の先端に形成された略円錐状部と、を備え、
    前記固定部材は、前記略円錐状部を挿入可能な略円錐状孔を備え、
    前記シャンク部に前記ねじ部と螺合するねじ孔を形成し、
    前記ねじ部とねじ孔を螺合させて前記移動部材を締め付けた際に、前記略円錐状部が、前記略円錐状孔の前記シャンク部側に当接し、前記移動部材の軸心が、前記略円錐状孔の軸心に対し、当該シャンク部側に偏心するよう構成した請求項3記載の旋盤用工具ホルダ。
  7. 前記移動部材は、ねじ部と、当該ねじ部の先端に形成された略円錐状部と、を備え、
    前記固定部材は、前記略円錐状部を挿入可能な略円錐状孔を備え、
    前記カートリッジ部に前記ねじ部と螺合するねじ孔を形成し、
    前記ねじ部とねじ孔を螺合させて前記移動部材を締め付けた際に、前記略円錐状部が、前記略円錐状孔の前記シャンク部側に当接し、前記移動部材の軸心が、前記略円錐状孔の軸心に対し、当該シャンク部側に偏心するよう構成した請求項4記載の旋盤用工具ホルダ。
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