JP4104448B2 - 旋盤用工具ホルダ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、機械主軸に装着されるシャンク部に対し、刃物を取付けるカートリッジ部を着脱可能に取付ける構成を備えた工具ホルダ(切削工具)が提案されている。(実用新案登録文献1、実用新案登録文献2、特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0003】
これらの文献に記載されている工具ホルダ(切削工具)は、加工物との干渉をできる限り少なくする為に、刃物は、工具ホルダのシャンク部の最大径部よりも外側に突出するように設けられている。
【0004】
また、特に、旋盤用工具ホルダでは、切削方向により刃物を取付ける向きを変えなければならず、右勝手仕様のカートリッジ部及び左勝手仕様のカートリッジ部が使用されている。
【0005】
【実用新案登録文献1】
実開昭60−109703号公報
【実用新案登録文献2】
実開平2−53308号公報
【特許文献1】
特開2001−225211号公報
【特許文献2】
特開2002−18608号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記工具ホルダのシャンク部のサイズは、通常、工具ホルダが装着される工作機械によって決定される。このため、前記従来の工具ホルダは、様々なサイズの工作機械に適したサイズのシャンク部を複数用意し、さらにこのシャンク部のサイズ毎に専用のカートリッジ部を用意して、このカートリッジ部をシャンク部に取付けている。また、その一方で、シャンク部の最大径部のサイズに関わりなく、カートリッジ部をシャンク部に取付ける場合もある。
【0006】
したがって、前者の場合は、カートリッジ部の汎用性が悪く、多くの種類のカートリッジ部を用意する必要がある。また、後者の場合は、大きなサイズのシャンク部に、小さなサイズのシャンク部に適したカートリッジ部を取付けた場合、シャンク部の最大径部が、カートリッジ部に取付けた刃物の刃先より外側に延出(突出)し、加工物との間に干渉が生じるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、カートリッジ部が、最大径が互いに異なる少なくとも2種以上のシャンク部に着脱可能であり、シャンク部のサイズが変わっても、加工物との間に干渉が生じることがない旋盤用工具ホルダを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部と、を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダであって、前記カートリッジ部は、最大径が互いに異なる少なくとも2種以上のシャンク部に着脱可能であり、前記各々のシャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記刃物の刃先が、前記各々のシャンク部の最大径部より外側に延出してなる旋盤用工具ホルダを提供するものである。
【0009】
この構成を備えた旋盤用工具ホルダは、シャンク部のサイズが変わっても、カートリッジ部に取付けた刃物の刃先が、前記各々のシャンク部の最大径部より外側に延出するため、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削加工を行うことができる。
【0010】
また、前記シャンク部には、右勝手仕様のカートリッジ部及び左勝手仕様のカートリッジ部を、それぞれ着脱可能に取付けることもできる。すなわち、本発明にかかる旋盤用工具ホルダは、勝手の異なるカートリッジ部に対応することができる。
【0011】
前記旋盤用ホルダは、前記シャンク部のカートリッジ部が取付けられる取付端面に、係合部と、複数の固定用孔を備え、前記カートリッジ部のシャンク部に取付けられる取付端面に、前記係合部に係合する被係合部と、前記固定用孔の少なくとも一つと連通可能な貫通孔を備え、前記シャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記係合部と被係合部が係合すると共に、前記固定用孔の少なくとも一つに前記貫通孔が連通し、当該連通した固定用孔と連通孔に固定部材を挿入して両者を固定する構成を備えることができる。
【0012】
この構成により、カートリッジ部の交換精度及び取付剛性をさらに向上することができる。
【0013】
そしてまた、前記シャンク部は、前記固定用孔を3つ備え、前記右勝手仕様及び左勝手仕様の各カートリッジ部は、当該3つの固定用孔のうち2つの固定用孔に各々連通する2つの貫通孔を備えることもできる。
【0014】
前記3つの固定用孔は、互いに間隔をおいて一列に配設され、前記貫通孔は、前記シャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、中央に位置する固定用孔と、刃物から離れた側の固定用孔に、各々連通可能な位置に形成された構成を備えることもできる。
【0015】
また、前記シャンク部は、前記固定用孔を2つ備え、前記右勝手仕様及び左勝手仕様の各カートリッジ部は、当該2つの固定用孔に各々連通する2つの貫通孔を備えてもよい。
【0016】
そしてまた、前記シャンク部は、前記取付端面の径方向両端部にクーラントノズルが各々設けられてなり、前記シャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記いずれか1つのクーラントノズルから刃物にクーラントを供給するよう構成することもできる。
【0017】
さらにまた、前記一方のクーラントノズルは、右勝手仕様のカートリッジ部に取付けられた刃物にクーラントを供給し、前記他方のクーラントノズルは、左勝手仕様のカートリッジ部に取付けられた刃物にクーラントを供給するよう構成することもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる旋盤用工具ホルダについて、図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態1及び2は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、刃物が取付けられる側を「先端側」、機械主軸に取付けられる側を「基端側」として説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ(右勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図、図2は、図1に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の斜視図、図3は、図2に示すシャンク部の側面図であって、内部を透視した図、図4は、図3に示すシャンク部を軸心に対し90度回転させた図、図5は、図4に示すシャンク部の基端側端面を示す平面図、図6は、図4に示すシャンク部の先端側端面を示す平面図、図7は、図6に示すVII−VII線に沿った断面図、図8は、図1に示す旋盤用工具ホルダを構成する右勝手仕様のカートリッジ部の刃物が取付けられていない状態を示す斜視図、図9は、図8に示すカートリッジ部を基端側から見た斜視図、図10は、図8に示すカートリッジ部の側面図であって、内部を透視した図、図11は、図8に示すカートリッジ部の基端側端面を示す平面図、図12は、図8に示すカートリッジ部の側面図、図13は、図8に示すカートリッジ部の先端側端面を示す平面図、図14は、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの組み立て分解側面図である。
【0020】
図1〜図14に示すように、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1は、機械主軸に装着されるシャンク部10と、シャンク部10に対し着脱可能であり、刃物100を取付けるカートリッジ部30Rと、を備えて構成されている。
【0021】
シャンク部10は、略円柱状を備え、カートリッジ部30Rが取付けられるカートリッジ取付部12と、カートリッジ取付部12の基端側に連続して形成され、機械主軸に取り付けられる機械主軸側取付部13と、を備えている。
【0022】
カートリッジ取付部12は、外周面の互いに180度位相した位置に、固有情報を格納した情報担体としてのICチップ14を装着するための装着孔15が形成されている。したがって、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1は、このICチップ14に格納された情報を読取ることで、例えば、製品管理、製品在庫や発注管理、作業情報管理、工具管理等を自動化することができる。
【0023】
また、カートリッジ取付部12の先端側端面は、円形状を備えており、この先端側端面には、中心線D1(図6参照)を越えてカートリッジ部30Rが取付けられる取付端面11が形成されている。さらに前記先端側端面には、取付端面11に隣接してクーラントノズル17A及び17Bが形成されている。クーラントノズル17Aは、後に詳述するカートリッジ部30R(右勝手仕様)に取付けられた刃物100にクーラントを供給し、一方、クーラントノズル17Bは、後に詳述するカートリッジ部30L(左勝手仕様)に取付けられた刃物100にクーラントを供給するよう、前記先端側端面の中心線D1方向両側(径方向両側)に各々形成されている。これら各々のクーラントノズル17A及び17Bは、カートリッジ取付部12の内部に形成されたクーラント供給路16A及び16Bに各々連通されている。また、このクーラント供給路16A及び16Bの基端側は、後に詳述する機械主軸側取付部13の内側に形成された開口部24に連通されている。
【0024】
取付端面11上であって、前記先端側端面の中心部には、係合突起18が形成されている。また、取付端面11の中心線D1と直行する中心線D2上には、固定用孔としてのボルト孔19が開口されている。このボルト孔19を挟んだ中心線D1方向両側には、凸部21A及び21Bが形成されており、この凸部21A及び21Bには、ボルト孔19と同様のボルト孔22A及び22Bが開口されている。このボルト孔22A及び22Bは、ボルト孔19からの距離が、各々等しくなる位置に形成されている。これらのボルト孔19、22A及び22Bには、後に詳述するカートリッジ部30Rまたは30Lに形成された貫通孔31及び32を貫通したボルト101(図14参照)が挿入可能となっている。これらのボルト孔19、22A及び22Bの内壁には、ボルト101に形成された雄ねじ102に螺合する雌ねじ20が各々形成されている。
【0025】
機械主軸側取付部13は、カートリッジ取付部12の径より小さな径を備え、基端にいくにしたがって径が細くなる略円柱形状を備えている。この機械主軸側取付部13は、図1に示すように、機械主軸200の装着孔201に挿入されて固定される。
【0026】
カートリッジ部30Rは右勝手仕様であり、その右先端側(図10参照)には、刃物取付部33が形成されている。この刃物取付部33の先端には、刃物100を取付けるための取付座34が形成されている。カートリッジ部30Rは、図1に示すように、シャンク部10に取付けられた際に、刃物100の刃先が、シャンク部10の最大径部(φd1)より外側に隙間C1をもって延出するサイズを備えている。
【0027】
刃物取付部33の取付座34より基端側には、刃物100を取付座34に押し当てて固定するクランプ駒103を押圧するボルト104が螺合するボルト孔35が形成されている。また、ボルト孔35の基端側には、クランプ駒103の基端側の下面を係合支持する係合凹部36が形成されている。そしてまた、刃物取付部33の基端側の取付端面37には、シャンク部10にカートリッジ部30Rが取付けられた際に、シャンク部10に形成された凸部21A及び21Bと対応する位置に、凸部21A及び21Bが収容される凹溝38が形成されている。この凹溝38には、シャンク部10にカートリッジ部30Rが取付けられた際に、シャンク部10に形成されたボルト孔19及び22Bと連通する貫通孔31及び32が形成されている。さらにまた、取付端面37には、シャンク部10にカートリッジ部30Rが取付けられた際に、シャンク部10の係合突起18と係合する被係合部としての係合溝39が形成されている。
【0028】
次に、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1の具体的動作について説明する。
【0029】
先ず、シャンク部10にカートリッジ部30Rを取付けるには、シャンク部10の取付端面11に、取付端面37を合わせ、係合突起18に係合溝39を係合させる。この係合により、カートリッジ部30Rは、シャンク部10に対し、図11に示す矢印X方向の移動が規制されることになる。また、カートリッジ部30Rの凹溝38内に、シャンク部10の凸部21A及び21Bが収容される。これによって、カートリッジ部30Rは、シャンク部10に対し、図11に示す矢印Y方向の移動が規制されることになる。
【0030】
次に、この状態で、カートリッジ部30Rに形成された貫通孔31及び32と、シャンク部10に形成されたボルト孔19及び22Bに、ボルト101を各々挿入し、ボルト101に形成された雄ねじ102を、ボルト孔19及び22Bに形成された雌ねじ20に螺合させる。このようにして、シャンク部10にカートリッジ部30Rを取付ける。
【0031】
なお、刃物100は、カートリッジ部30Rをシャンク部10に取付ける前に、カートリッジ部30Rの取付座34に取付けてもよく、また、カートリッジ部30Rをシャンク部10に取付けた後で取付けてもよい。
【0032】
このように組み立てられた旋盤用工具ホルダ1は、図1に示すように、シャンク部10の最大径部(φd1)より、刃物100の刃先が外側に延出しているため、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削加工を行うことができる。この時、刃物100にはクーラントノズル17Aからクーラントが供給される。
【0033】
また、このカートリッジ部30Rは、図15に示すように、最大径部(φd2)がシャンク部10の最大径部(φd1)より、大きなシャンク部110にも取付けることができる。この場合も、図15に示すように、シャンク部10の最大径部(φd2)より、刃物100の刃先が外側に、隙間C2をもって延出するため、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削を行うことができる。
【0034】
なお、図26は、図1及び図15に示す旋盤用工具ホルダ(右勝手仕様)を並べて記載した図である。図26に示すように、カートリッジ部30Rは、シャンク部10(110)に取付けられた際に、刃物100の刃先が、シャンク部10(110)の最大径部より外側に延出しており、この範囲内において、最大径が互いに異なる複数のシャンク部に着脱可能であることが判る。
【0035】
また、シャンク部10には、図16〜図18に示すような左勝手仕様のカートリッジ部30Lを取付けることもできる。この左勝手仕様のカートリッジ部30Lは、前述した右勝手仕様のカートリッジ部30Rと対称な形状を備えているため、その詳述な説明は同一の符号を付すことで省略する。
【0036】
このカートリッジ部30Lをシャンク部10に取付けるには、前記と同様に、係合突起18に係合溝39を係合させ、凹溝38内に、シャンク部10の凸部21A及び21Bを収容する。この状態で、カートリッジ部30Lに形成された貫通孔31及び32と、シャンク部10に形成されたボルト孔19及び22Aに、ボルト101を挿入し、ボルト101に形成された雄ねじ102を、ボルト孔19及び22Bに形成された雌ねじ20に螺合させる。このようにして、図19に示すように、シャンク部10にカートリッジ部30Lを取付ける。
【0037】
次に、右勝手仕様のカートリッジ部30Rに取付けられた刃物100にクーラントを供給するためのクーラントノズル17Aを封鎖して、ここからクーラントが噴出しないようにする。
【0038】
この左勝手仕様のカートリッジ部30Lがシャンク部10に取付けられた構成の旋盤用工具ホルダ1も、図19に示すように、シャンク部10の最大径部(φd1)より、刃物100の刃先が外側に延出しているため、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削加工を行うことができる。
【0039】
また、このカートリッジ部30Lもカートリッジ部30Rと同様に、シャンク部10に取付けられた際に、刃物100の刃先が、シャンク部10の最大径部より外側に延出する範囲内において、最大径が互いに異なる複数のシャンク部に着脱可能である。また、シャンク部10も、右勝手仕様のカートリッジ部30R、左勝手仕様のカートリッジ部30L、その他異なった形状のカートリッジ部等、異なった複数のカートリッジ部を交換して着脱可能に取付けることができる。
【0040】
なお、実施の形態1では、平面視で略菱形状の刃物100を用いた場合について説明したが、これに限らず、刃物100は、例えば、平面視で略三角形等、任意に選択することができる。
【0041】
また、カートリッジ部30R及び30Lの形状は、取付けられるシャンク部10の最大径部より、刃物100の刃先が外側に延出する範囲内において、任意に決定することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダについて図面を参照して説明する。
【0042】
図20は、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の斜視図、図21は、図20に示すシャンク部の先端側端面を示す平面図、図22は、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の斜視図、図23は、図22に示すカートリッジ部を基端側から見た斜視図、図24は、図22に示すカートリッジ部の側面図、図25は、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ(左勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図である。
【0043】
なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図20〜図25に示すように、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ2の、実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ1との異なる主な点は、シャンク部10の取付端面11に形成した凸部43に、2つのボルト孔41及び42を形成した点、シャンク部10にカートリッジ部30Lを取付けた際に、ボルト孔41及び42に連通する貫通孔51及び52を、カートリッジ部30Lに形成した点、及びシャンク部10及びカートリッジ部30Lのサイズを大きくした点である。
【0045】
すなわち、実施の形態2にかかるシャンク部10の取付端面11には、実施の形態1と同様に係合突起18が形成されている。また、取付端面11上であって、シャンク部10の先端側端面の中心線D2(図21参照)に対し線対称となる位置には、ボルト孔41及び42が形成されている。このボルト孔41及び42の内壁には、ボルト101に形成された雄ねじ102に螺合する雌ねじ20が各々形成されている。また、取付端面11のボルト孔41及び42が形成されている部分には、中心線D1に沿って平行に凸部43が形成されている。
【0046】
カートリッジ部30Lは左勝手仕様であり、その左先端側には、刃物取付部33が形成されている。この刃物取付部33の先端には、刃物100を取付けるための取付座34が形成されている。カートリッジ部30Lは、シャンク部10に取付けられた際に、刃物100の刃先が、シャンク部10の最大径部(φd3)より外側に、図25に示す隙間C3をもって延出するサイズを備えている。
【0047】
刃物取付部33の取付端面37には、シャンク部10にカートリッジ部30Lが取付けられた際に、シャンク部10の凸部43と対応する位置に、凸部43が収容される凹溝38が形成されている。この凹溝38には、シャンク部10にカートリッジ部30Lが取付けられた際に、シャンク部10に形成されたボルト孔41及び42と連通する貫通孔51及び52が形成されている。
【0048】
次に、実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ2の具体的動作について説明する。
【0049】
先ず、シャンク部10にカートリッジ部30Lを取付けるには、実施の形態1と同様に、シャンク部10の取付端面11に、取付端面37を合わせ、係合突起18に係合溝39を係合させる。また、カートリッジ部30Lの凹溝38内に、シャンク部10の凸部43が収容される。次に、この状態で、カートリッジ部30Lに形成された貫通孔51及び52と、シャンク部10に形成されたボルト孔41及び42に、ボルト101を挿入し、ボルト101に形成された雄ねじ102を、ボルト孔41及び42に形成された雌ねじ20に螺合させる。このようにして、シャンク部10にカートリッジ部30Lを取付ける。
【0050】
このように組み立てられた旋盤用工具ホルダ2、図25に示すように、シャンク部10の最大径部(φd3)より、刃物100の刃先が外側に隙間C3をもって延出しているため、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削加工を行うことができる。
【0051】
また、シャンク部10には、右勝手仕様のカートリッジ部を取付けることもできる。この右勝手仕様のカートリッジ部は、前述した左勝手仕様のカートリッジ部30Lと対称な形状を備えているため、その詳述な説明は省略するが、実施の形態2にかかる構造のシャンク部10の場合、これに取付けられるカートリッジ部の仕様が、右勝手、左勝手にかかわらず、共通のボルト孔41及び42を使用することになる。
【0052】
なお、実施の形態1でも説明したが、このカートリッジ部30Lも、シャンク部10に取付けられた際に、刃物100の刃先が、シャンク部10の最大径部より外側に延出する範囲内において、最大径が互いに異なる複数のシャンク部に着脱可能である。
【0053】
また、シャンク部10も、右勝手仕様のカートリッジ部30R、左勝手仕様のカートリッジ部30L、その他異なった形状のカートリッジ部等、異なった複数のカートリッジ部を交換して着脱可能に取付けることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる旋盤用工具ホルダは、最大径が互いに異なる少なくとも2種以上のシャンク部に、カートリッジ部が着脱可能であり、前記各々のシャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記刃物の刃先が、前記各々のシャンク部の最大径部より外側に延出するため、サイズが異なったシャンク部にカートリッジ部を取付けても、加工物との間に干渉が生じることがなく、良好な旋削を行うことができる。また、シャンク部のサイズ毎にカートリッジ部を用意する必要がなく、汎用性も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ(右勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】図1に示す旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の斜視図である。
【図3】図2に示すシャンク部の側面図であって、内部を透視した図である。
【図4】図3に示すシャンク部を軸心に対し90度回転させた図である。
【図5】図4に示すシャンク部の基端側端面を示す平面図である。
【図6】図4に示すシャンク部の先端側端面を示す平面図である。
【図7】図6に示すVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図1に示す旋盤用工具ホルダを構成する右勝手仕様のカートリッジ部の刃物が取付けられていない状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示すカートリッジ部を基端側から見た斜視図である。
【図10】図8に示すカートリッジ部の側面図であって、内部を透視した図である。
【図11】図8に示すカートリッジ部の基端側端面を示す平面図である。
【図12】図8に示すカートリッジ部の側面図である。
【図13】図8に示すカートリッジ部の先端側端面を示す平面図である。
【図14】実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダの組み立て分解側面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態にかかる旋盤用工具ホルダ(右勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態1にかかる左勝手使用のカートリッジ部を示す斜視図である。
【図17】図16に示すカートリッジ部を基端側から見た斜視図である。
【図18】図16に示すカートリッジ部の側面図である。
【図19】本発明の実施の形態1にかかる旋盤用工具ホルダ(左勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図である。
【図20】本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダを構成するシャンク部の斜視図である。
【図21】図20に示すシャンク部の先端側端面を示す平面図である。
【図22】本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダを構成するカートリッジ部の斜視図である。
【図23】図22に示すカートリッジ部を基端側から見た斜視図である。
【図24】図22に示すカートリッジ部の側面図である。
【図25】本発明の実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ(左勝手仕様)に刃物を取付け、この旋盤用工具ホルダを工作機械に取り付けた状態を示す側面図である。
【図26】本発明の実施の形態1及び実施の形態2にかかる旋盤用工具ホルダ(右勝手仕様)を並べて記載した図である。
【符号の説明】
1、2 旋盤用工具ホルダ
10 シャンク部
11 取付端面
17A、17B クーラントノズル
18 係合突起
19、22A、22B、41、42 ボルト孔
30R、30L カートリッジ部
31、32、51、52 貫通孔
33 刃物取付部
39 係合溝
100 刃物
101 ボルト
Claims (3)
- 機械に装着されるシャンク部と、刃物を取付けるカートリッジ部と、を備え、前記シャンク部に対し前記カートリッジ部を着脱可能に構成した旋盤用工具ホルダであって、
前記カートリッジ部は、最大径が互いに異なる少なくとも2種以上のシャンク部に着脱可能であり、
前記各々のシャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記刃物の刃先が、前記各々のシャンク部の最大径部より外側に延出してなり、
前記シャンク部は、前記カートリッジ部が取付けられる取付端面に、係合部と、3つの固定用孔と、を備え、
前記カートリッジ部は、前記シャンク部に取付けられる取付端面に、前記係合部に係合する被係合部と、前記3つの固定用孔のうち2つの固定用孔に各々連通する2つの貫通孔と、を備え、
前記シャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、前記係合部と被係合部とが係合すると共に、前記固定用孔及び当該固定用孔に連通した連通孔に固定部材を挿入して両者を固定する旋盤用工具ホルダ。 - 前記シャンク部には、右勝手仕様のカートリッジ部及び左勝手仕様のカートリッジ部がそれぞれ着脱可能に取付けられる請求項1記載の旋盤用工具ホルダ。
- 前記3つの固定用孔は、互いに間隔をおいて一列に配設され、前記貫通孔は、前記シャンク部にカートリッジ部を取付けた際に、中央に位置する固定用孔と、刃物から離れた側の固定用孔に、連通可能な位置に各々形成されてなる請求項1または請求項2記載の旋盤用工具ホルダ。
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