JP2004202595A - 切粉破砕方法および切粉破砕装置 - Google Patents

切粉破砕方法および切粉破砕装置 Download PDF

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祐史 三谷
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Abstract

【課題】被加工物と切削工具との相対移動に伴う切削加工に伴って形成される切粉を、被加工物とつながった状態で、容易に破砕する。
【解決手段】第1シリンダ,第2シリンダにおいてピストンが後退端位置にある場合には払いロッド74は原位置P0 にある。第1シリンダの駆動により払いロッド74は第1位置P1 に移動させられ、第2シリンダの駆動により、長手方向に沿って位置P2 に移動させられる。払いロッド74は、切粉Wa の湾曲部Wc の内側に位置する。第2位置P2 から第1シリンダの駆動により、長手方向と直交する方向に第3位置P3 まで移動させられる。この移動によって、切粉Wa の湾曲部Wc が外側に向かって払われ、湾曲部Wc に外向きの曲げモーメントが付与される。それによって、切粉Wa を容易に破砕することができる。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は被加工物と切削工具との相対移動に伴って連続して形成され、未だ被加工物につながっている切粉を破砕する切粉破砕装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
切削加工において、被加工物と切削工具との相対移動に伴い、連続した流れ型の切粉が発生することが多い。この流れ型の切粉が長くなると、切粉の処理が大変になり、また、流れ型の切粉が被加工物,切削工具等に巻き付き、切削加工を継続して行うことを困難にする等の問題が生じる。そこで、切粉を、発生するや否や破砕することが従来から行われており、その代表的な方法は、切削工具のすくい面に溝や段等のチップブレーカを設けることである。チップブレーカを備えた切削工具の一例が特許文献1に記載されている。
ブレーカ溝は、流れ型の切粉を急激に湾曲させ、先端を被加工物,切粉の基端部,すくい面等に当接させて、切粉を折るものであり、段部は切粉の先端に当接させて先端の移動を阻止することにより切粉を折るものである。この方法は従来の切粉破砕方法の中で最も優れたものであり、広く採用されている。しかし、この方法によっても切粉を破砕することが困難な場合がある。例えば、流れ型の切粉が発生する材料から成る被加工物の仕上加工においては、すくい面に設けた溝や段によって切粉を破砕することが難しい場合がある。仕上加工時には、切り込みや送り速度が小さくされるため切粉が薄くなり、折れ難くなるのである。また、材料が延性に優れたものであるほど、切粉を折ることが難しい。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−155702号公報
【0004】
そこで、本発明の課題は、被加工物につながった切粉を、従来より確実に破砕し得るようにすることである。この課題は、切粉破砕方法や切粉破砕装置を下記各態様のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0005】
(1)被加工物と切削工具との相対移動に伴って連続して形成され、未だ被加工物につながっている切粉を破砕する切粉破砕方法であって、
切粉破砕部材を前記切削工具に対して移動させることによって、切粉の湾曲した部分に、その部分を湾曲の向きとは反対の向きに曲げる外向き曲げモーメントと湾曲の向きと同じ向きに曲げる内向き曲げモーメントとの少なくとも一方を付与することによって、切粉を破砕することを特徴とする切粉破砕方法(請求項1)。
本項に記載の切粉破砕方法においては、切粉破砕部材を切削工具に対して移動させることによって、切粉の湾曲した部分に、その湾曲の向きとは反対の向きに曲げる外向き曲げモーメントと湾曲の向きと同じ向きに曲げる内向き曲げモーメントとの少なくとも一方が付与され、それによって切粉が破砕される。従来のように、切粉の先端を被加工物,切粉の基端部,すくい面等に当接させることによって破砕するのではなく、切粉破砕部材を移動させることによって破砕する。そのため、従来より切粉の破砕が確実になり、例えば、流れ型の切粉が発生する仕上加工時においても、また、延性に優れた材料から成る被加工物の切削加工時においても、切粉を良好に粉砕することができる。
(2)前記切粉破砕工具を前記切削工具に沿って移動させて、前記切粉の湾曲した部分の中間部に内側から外側に向かう外向力を加えることによって、前記外向き曲げモーメントを発生させる外向きモーメント付与工程を含む(1) 項に記載の切粉破砕方法。
本項に記載の切粉破砕方法によれば、切粉の湾曲した部分の中間部に、湾曲の内側から外側に向かう外向き力が加えられる。それによって、切粉の湾曲部に外向き曲げモーメントが付与され、切粉が破砕される。
切粉の湾曲した部分においては、その湾曲の内側が脆い。湾曲した部分の外側は材料が連続しており、表面が滑らかであるのに対し、内側には多数の亀裂が存在し、表面が脆くなっているからである。また、切粉に限らず、一方向に曲げられた線材は、同じ向きにさらに曲げるより、反対向きに曲げる方が折れ易い。したがって、湾曲した部分を外向きに曲げる方が内向きに曲げるより、切粉を容易に破砕することができる。
(3)前記切粉破砕工具を前記切削工具に向かって接近させて、前記切粉の湾曲した部分の先端部に、その先端部をその先端部の移動方向とほぼ逆の向きに押し戻す押戻し力を加えることによって、前記外向き曲げモーメントを発生させる先端押戻し工程を含む(1) 項に記載の切粉破砕方法。
本項に記載の切粉破砕方法によれば、切粉の湾曲した部分の先端部に、その先端部を進行方向とは逆向きに押し戻す押戻し力が加えられる。それによって、湾曲部に外向き曲げモーメントが付与されることになり、切粉が破砕されることになる。
(4)前記切粉の湾曲した部分の、その湾曲に沿った方向への成長を阻止することによって前記外向き曲げモーメントを発生させる成長阻止工程を含む(1) 項に記載の破砕方法。
本項に記載の切粉破砕方法によれば、切粉の湾曲した部分の、その湾曲に沿った方向への成長が阻止される。それによって、切粉の湾曲した部分に外向き曲げモーメントが発生させられることになり、切粉を破砕することができる。
(5)前記切削工具として、すくい面にチップブレーカを備えたものを使用する(1) 項ないし(4) 項のいずれか1つに記載の切粉破砕方法。
切粉の厚さが同じであれば、切粉の湾曲の曲率半径が小さいほど、外向きの曲げモーメントが加えられた場合に折れ易い。そして、すくい面に溝や段等のチップブレーカを備えた切削工具を使用すれば、切削に伴って形成される切粉の曲率半径が小さくなるため、本態様によれば、切粉を特に容易に破砕し得る。また、切粉がチップブレーカの縁により支持され、すくい面側へ逃げることを阻止された状態で、その支持された部分より先端側に湾曲の内側から外側に向かう力を加えれば、切粉のチップブレーカの縁により支持された部分に大きな曲げモーメントを生じさせることができ、そのことによっても切粉の破砕が容易となる。
このように、本発明の切粉破砕方法は、すくい面にチップブレーカが形成された切削工具によって切削が行われる場合に実施すると特に効果的であるが、チップブレーカが形成されていない切削工具によって切削が行われる場合においても、切粉を従来より容易に破砕することができる。
(6)被加工物と切削工具との相対移動に伴って連続して形成され、未だ被加工物につながっている切粉を破砕する装置であって、
切粉破砕部材を含み、その切粉破砕部材を前記切削工具に対して移動させることによって、切粉の湾曲した部分に、その部分を湾曲の向きとは反対の向きに曲げる外向き曲げモーメントと湾曲の向きと同じ向きに曲げる内向き曲げモーメントとの少なくとも一方を付与するモーメント付与装置を含むことを特徴とする切粉破砕装置(請求項2)。
切粉破砕部材が切削工具に対して移動させられることによって、その湾曲した部分にその部分を外向きに曲げるモーメントと内向きに曲げるモーメントとの少なくとも一方が付与され、それによって、切粉が折られる。
モーメント付与装置の具体的な態様については、以下の各項において説明する。
また、本項に記載の切粉破砕装置は切削加工を行う切削工具あるいは工作機械に設けられるのであるが、工作機械は、被加工物の回転と切削工具の移動とに伴って切削を行う旋盤等であっても、切削工具の回転と切削工具または被加工物の移動とに伴って切削を行う中ぐり盤,フライス盤等であっても、被加工物と切削工具との少なくとも一方の移動に伴って切削を行う平削り盤,形削り盤,立削り盤等であってもよい。また、上述のように、工作機械において使用される切削工具は、バイトに限らず、中ぐり工具,フライス等であってもよい。
(7)前記モーメント付与装置が、前記切粉破砕部材を、前記切削工具に対して相対移動させる破砕部材移動装置を含む(6) 項に記載の切粉破砕装置。
切粉破砕部材を破砕部材移動装置により、切削工具に対して相対的に移動させれば、切粉に確実にモーメントを付与することができる。切粉破砕装置は切削工具自体に設けたり、切削工具保持具等切削工具と一体的に移動する部材に設けたり、切削工具とは独立に移動する部材に設けたりすることができる。
破砕部材移動装置は、▲1▼切粉破砕部材を保持する可動部材と、▲2▼その可動部材を移動させる可動部材移動装置とを含むものとすることができる。可動部材移動装置は、可動部材を直線的に移動させる装置としても、曲線的に移動させる装置としてもよい。後者の一例は、可動部材を回動させる回動装置である。
可動部材移動装置は、(a) 電動モータと、(b) その電動モータの回転を可動部材の移動に変換する運動変換装置とを含む電動移動装置としたり、流体圧により作動させられる流体圧シリンダを含む流体圧移動装置としたりすることができる。また、弾性部材を含むものとすることもできる。例えば、可動部材と切粉破砕装置の装置本体との間に弾性部材を設ければ、弾性部材によって可動部材を振動させ、それによって切粉破砕部材を振動させることができる。この場合には、可動部材を移動させるための動力が不要となる。
(8)前記破砕部材移動装置が、前記可動部材の移動の状態を調節する移動調節装置を含む(7) 項に記載の切粉破砕装置。
破砕された切粉の長さは、切粉の成長速度(すなわち、切削速度)と、破砕部材が切粉に接触することによって切粉に付与される曲げモーメントが、切粉を破砕するに足る大きさになるのに必要な時間とによって決まる。すなわち、切削速度と、破砕部材の移動状態(例えば、移動速度,移動開始のタイミング等)とに基づいて決まるのである。したがって、これらのうちの少なくとも一つを調節すれば、破砕された切粉の長さを調節することができる。
この場合において、切削速度は、被加工物の材質,要求加工精度,切削工具の強度や形状等、切削速度以外の切削条件によって予め決まっていることが多く、その場合には、破砕部材の移動の状態が調節されることによって、破砕された切粉の長さ等が調節されることになる。
例えば、移動調節装置は、(7) 項に記載の電動モータを制御する駆動回路を含むものとしたり、流体圧シリンダにおける流体圧を制御する流体圧制御装置を含むものとしたりすることができる。移動調節装置は、さらに、上述の駆動回路や流体圧制御装置に制御信号を出力するコンピュータを含むものとすることができるが、不可欠ではない。電動モータの作動状態や流体圧は、作業者の操作によって調節可能としてもよいのである。
(9)前記切粉破砕部材が棒状部を有し、前記モーメント付与装置が、前記切粉破砕部材を前記棒状部の長手方向とほぼ直交する方向に移動させることにより、棒状部に切粉の湾曲部を湾曲の内側から外側へ払う払い動作を行わせる払い動作付与装置を含む(6) 項ないし(8) 項のいずれか1つに記載の切粉破砕装置(請求項3)。
(10)前記払い動作付与装置が、前記切粉破砕部材を、前記棒状部の長手方向とほぼ直交する方向に移動させる(9) 項に記載の切粉破砕装置。
切粉破砕部材を棒状部を有するものとすれば、切粉破砕部材を切粉の湾曲部の内側に進入させるのが容易となる。また、棒状部を、切粉の湾曲部を湾曲の内側から外側へ移動させれば、棒状部を切粉に接触させて外側に払うことが可能となる。この場合に、棒状部を、長手方向に沿って移動させるのではなく、長手方向とほぼ直交する方向に移動させれば切粉に確実に接触させることが可能となり、確実に外側に払うことが可能となる。払い動作において、前述のように、棒状部は直線的に移動させられても、曲線的に移動させられてもよく、先端部が円弧に沿って移動させられてもよいのである。
(11)前記払い動作付与装置が、前記棒状部に前記切削工具のすくい面にほぼ平行な方向の払い動作を行わせるものである(9) 項または(10)項に記載の切粉破砕装置。
切粉の湾曲部した部分の先端部はすくい面から離間した位置にあるのが普通であるため、すくい面にほぼ平行な方向に払い動作が行われれば、その払い動作において、棒状部が切粉の湾曲部と接触して外向きの曲げモーメントを加えることができる。
(12)前記払い動作付与装置が、前記棒状部に、ほぼ長手方向に前進して前記湾曲した切粉の内側へ進入し、前記払い動作を行った後、ほぼ長手方向に後退し、前記払い動作とは逆向きの動作を行って原位置へ復帰する運動を繰り返させるものである(9) 項ないし(11)項のいずれか1つに記載の切粉破砕装置。
棒状部を長手方向に移動させれば、切粉の湾曲部の内側に容易に進入させることができる。例えば、形成された切粉と被加工物との間の比較的狭い隙間からも、切粉の被加工物につながった部分近傍まで進入させることができる。この切粉の被加工物につながった部分は、必ず、湾曲部の内側に位置することになる。
本項に記載の切粉破砕装置に(9) 項に記載の技術的特徴が採用された場合には、棒状部の長手方向に沿った移動と長手方向とほぼ直交する方向の移動とによって、1回の払い動作が行われることになる。長手方向に沿った移動は湾曲部の内側への進入動作および退出動作に対応し、長手方向と直交する方向の内側から外側への移動が払い動作に対応する。
(13)前記切粉破砕部材が概して平板状の作用面を成し、前記モーメント付与装置が、その切粉破砕部材に、前記作用面にほぼ直角な方向に移動することにより、湾曲した切粉の先端に作用面において係合し、さらにその移動を継続する押圧動作を付与する押圧動作付与装置を含む(6) 項または(7) 項に記載の切粉破砕装置(請求項4)。
切粉破砕部材を平板状のものとし、その作用面にほぼ直角な方向に移動させれば、切粉の流れる方向が多少変わっても、切粉破砕部材を確実に切粉の先端に当接させることができる。そして、切粉破砕部材を、切粉の先端に当接した状態からさらに移動させれば、切粉の湾曲した部分に、外向きの曲げモーメントを付与することができる。
(14)前記押圧動作付与装置が、前記平板状の切粉破砕部材を前記切削工具のすくい面にほぼ直角な方向に往復移動させるものである(13)項に記載の切粉破砕装置。
平板状の切粉破砕部材を、すくい面にほぼ直角な方向に移動させれば、切粉の先端部をすくい面に向かって押し付けることができ、外向きの曲げモーメントを特に効果的に付与することができる。
また、切粉破砕部材が往復移動させられるため、その往復移動毎に切粉が破砕させることになる。この場合において、往復移動の周期が一定である場合には、切粉がほぼ一定の長さに破砕される。また、往復移動の周期を、切粉の成長速度に応じて制御すれば、破砕された切粉の長さをほぼ所望の長さとすることができる。
(15)前記押圧動作付与装置が、前記平板状の切粉破砕部材に前記すくい面にほぼ直角な方向の振動を付与する振動付与装置を含む(13)項または(14)項に記載の切粉破砕装置。
本項に記載の切粉破砕装置においては、切粉破砕部材が振動させられる。振動は、前述のように、弾性部材による弾性力によって生じさせられるようにしても、動力を利用して生じさせるようにしてもよい。弾性部材の弾性力によって生じさせられるようにすれば、動力が不要となる。
また、切粉破砕装置が切削工具自体または切削工具と一体的に移動可能な部材に設けられている場合には、切削工具による被加工物の切削作動に起因する振動と切粉破砕部材の振動とが共振する状態とすれば、安定して振動させることができる。
(16)前記モーメント付与装置が、前記切粉破砕部材の、切粉の先端部と接触する板面が前記すくい面の全体を覆う状態で支持する破砕部材保持装置を含む(13)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の切粉破砕装置。
すくい面の全体が切粉破砕部材によって覆われれば、切粉の先端部を確実に切粉破砕部材の板面に接触させることができる。
(17)前記モーメント付与装置が、前記切粉破砕部材を、前記切粉の湾曲した部分の、その湾曲に沿った方向への成長を制限する状態で保持する切粉破砕部材保持装置を含むものとする(16)項に記載の切粉破砕装置。
切粉の湾曲に沿った方向への成長を制限する状態で、切粉破砕部材を保持すれば、切粉の湾曲した部分に外向きの曲げモーメントが発生させられることになる。切粉破砕部材の切粉の湾曲した部分の成長を制限する部分、すなわち、切粉の先端部に接する接面の形状は、切粉の先端部が摩擦角以上で接触し、かつ、湾曲部の外向きの曲げモーメントを付与し得る形状とすることが望ましい。切粉の成長に伴って、切粉の先端部が切粉破砕部材の接面に沿って移動させられ、それによって、湾曲の外向きに曲げられるような形状となる。
(18)前記切粉破砕部材を、前記切粉の湾曲に沿った成長を阻止し得る形状を成したものとする(17)項に記載の切粉破砕装置。
例えば、接面を、切粉の先端部が接触した状態において、その先端部の湾曲に沿った方向と反対方向に傾斜した形状とすれば、湾曲に沿った切粉の成長を確実に阻止することができる。
(19)前記切粉破砕部材が概して平板状を成し、前記切粉破砕部材保持装置が、その平板状の切粉破砕部材の板面と、前記切削工具のすくい面との間隔を調節する保持位置調節装置を含む(17)項または(18)項に記載の切粉破砕装置。
切粉破砕部材の接面とすくい面との間隔を調節可能とすれば、これらの間隔を、切粉の破砕に適した間隔にすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である切粉破砕装置について図面に基づいて詳細に説明する。本切粉破砕装置によれば、本発明の一実施形態である切粉破砕方法を実施し得る。
本実施形態においては、切粉破砕装置が旋盤に設けられた場合であって、被加工物Wに旋削加工が施される場合に切粉が破砕される場合について説明する。図1に示すように、被加工物Wは、図示しない主軸およびセンタによって中心軸線周りに回転可能に保持される。また、切削工具10は、保持具12を介して刃物台14に保持される。刃物台14は、図示しない移動装置によりX,Y,Z方向に移動させられ、それに伴って、切削工具10が移動させられる。旋削加工においては、切削工具10は、被加工物Wに接近・離間する方向(X方向),送り方向(Y方向)に移動させられるのであり、この切削工具10の移動と被加工物Wの回転とにより、これら被加工物Wと切削工具10とが相対移動させられ、被加工物Wに旋削加工が施される。切粉Wa は、旋削加工に伴って形成されるが、図においては、旋削加工によって切粉Wa が形成される状態を明確に示すために、切粉Wa が実際に形成される切粉より大きめに記載されている。
【0007】
切削工具10としてのバイトは、図2〜4に示すように、シャンク16において保持具12に2本の固定部材18によって着脱可能に取り付けられ、保持具12が刃物台14に着脱可能に取り付けられる。その結果、バイト10は、刃物台14の移動に伴って一体的に移動させられることになる。
バイト10には、チップ20が図示しない取り付け部材によって取り付け部22において取り付けられる。チップ20の中央に設けられた穴を利用して、レバーロック式チップクランパによって取り付けられるのである。チップ20の周縁にはチップブレーカ24としての溝が形成されおり、30が切刃であり、32がすくい面であり、34が逃げ面である。チップブレーカ24が設けられているため、被加工物Wと切削工具10との相対移動によって形成される切粉Wa が湾曲し易くされている。切粉破砕装置36は、切粉Wa の湾曲部Wc に外向きの曲げモーメントM(図1参照)を加えることによって、被加工物Wにつながった切粉Wa をチップブレーカ24の側縁付近において、破砕する装置である。切粉破砕装置36は、本実施形態においては、保持具12に取り付けられる。
【0008】
保持具12の保持面38には、切粉破砕装置36の装置本体40が取り付けられる。装置本体40は、ベース42と、フレーム44とを含む。フレーム44は概してL字形を成したものであり、一方の辺によって形成された部分において、ベース42の保持面43に2つの固定部材45によって取り付けられる。ベース42のフレーム44の保持面43は保持具12のベース42の保持面38に対して、図7に示すように、X方向において切削工具10の先端部に近づくにつれて保持具12の保持面38に接近する向きに角度θ1 だけ傾斜している。本実施形態においては、このベース40の保持面43の傾斜角θ1 とすくい面32のX軸方向の傾斜角θ1 とがほぼ同じ角度とされている。このように、フレーム44は傾斜した姿勢でベース42に取り付けられることになり、後述する切粉破砕部材がX方向においてすくい面34とほぼ平行な方向に移動させられることになる。ベース42は、Y方向に隔たった両側において、それぞれ2つずつの固定部材46,47によって保持具12に取り付けられるのであるが、ベース42の両側には、それぞれX方向に伸びた長穴48が形成されている。そのため、切粉破砕装置36は、その長穴48の範囲内において、X方向における取り付け位置が調節可能とされている。
【0009】
図7に示すように、フレーム44には第1シリンダ50が概してX方向に延びた姿勢で取り付けられている。前述のL字形の他方の辺によって形成される部分を貫通する状態で固定部材51によって取り付けられているのである。第1シリンダ50は、シリンダ本体とそのシリンダ本体に摺動可能に設けられたピストンとを含むものであり、ピストンのピストンロッド52の先端部に破砕部材保持部53が取り付けられる。
第1シリンダ50はエアによって作動させられるものである。シリンダ本体には、引き方向エア供給口54,押し方向エア供給口56とが設けられ、それぞれ図9に示すように、エア供給源58に方向制御弁59を介して接続されている。方向制御弁59の制御により、引き方向エア供給口54,押し方向エア供給口56がエア供給弁58と大気とに選択的に連通させられる。また、引き方向エア供給口54,押し方向エア供給口56に対応してそれぞれ流量制御弁60,61が設けられている。流量制御弁60,61の制御により、エア供給口54,56から供給されるエアの流量,流出させられる流量が制御される。これら方向切換弁59および流量制御弁61,62の制御により、ピストンロッド52の移動の状態、すなわち、移動開始時期,移動速度,移動量(ストローク)を制御することができる。
【0010】
押し方向エア供給口56からエアが供給され、引き方向エア供給口54からエアが流出させられることによってピストンロッド52が前進させられ、破砕部材保持部53がX方向に移動させられる。引き方向エア供給部54からエアが供給され、押し方向エア供給口56からエアが流出させられれることによってピストンロッド52が後退させられる。図6に示すように、ピストンロッド52のストロークは、XY平面視において、ストロークS1 である。
また、64はガイドロッドであり、一端部において破砕部材保持部53に固定され、他端部においてフレーム44にほぼX軸方向(厳密にいえば、X軸に対して角度θ1 だけ傾斜した方向)に摺動可能に保持される。本実施形態においては、ガイドロッド64が2本設けられ、これら2本のガイドロッド64によってピストンロッド52および破砕部材保持部53の移動がガイドされる。
【0011】
破砕部材保持部53は、図5に示すように、ピストンロッド52の先端部に、保持面38に対してY軸方向において角度θ2 傾斜した姿勢で取り付けられている。また、その傾斜角度θ2 はすくい面32のY軸方向の傾斜角度θ3 より大きい。その結果、後述するように、切粉破砕部材を切粉Wa の湾曲部Wc の内側に、すくい面32に接触しないで、侵入可能となる。
この破砕部材保持部53は、ピストンロッド52に固定部材65によって固定されることと、装置本体40に保持された2本のガイドロッド64に支持されることとによって、装置本体40に保持されることになる。ガイドロッド64は、破砕部材保持部53を装置本体40に移動可能に支持する支持部材としての機能も果たす。
【0012】
破砕部材保持部53には、第2シリンダ70が取り付けられている。第2シリンダ70は、シリンダ本体と、シリンダ本体に伸縮可能に設けられたピストンとを含むものであり、ピストンのピストンロッド72の先端には、払いロッド74を保持するロッド保持体76が設けられている。
破砕部材保持部53には大径部86と小径部88とを含む段付き状の穴90が形成され、大径部86に第2シリンダ70のシリンダ本体が位置し、小径部88にピストンロッド72が位置する状態で第2シリンダ70が取り付けられる。大径部86の内周面に形成されたねじ部と、シリンダ本体の外周面に形成されたねじ部との螺合によって、第2シリンダ70が破砕部材保持部53に取り付けられるのである。
【0013】
ピストンロッド72には軸方向に延びるキー溝92が設けられ、キー溝92に破砕部材保持部53に固定されたピン93が係合させられることによって回転が阻止される。
ロッド保持体76には、払いロッド74が第2シリンダ70の中心よりX方向に隔たった位置に設けられている。その結果、ピストンロッド72の前進によって、払いロッド76をチップ20の刃先位置(切粉Wa の被加工物Wにつながった位置)近傍まで近づけることが可能となる。
また、払いロッド74は、先端部94が基端部95より細くされている。その結果、先端部94の狭い隙間における移動を許容し、かつ、払いロッド74の強度が小さくなることが回避される。払いロッド全体を細くすると、切粉Wa を払う場合に折れてしまうおそれがあり、全体を太くすると狭い隙間における移動が困難になるからである。
なお、強度の大きい材料で成形されれば、全体を細くすることも可能となる。また、破砕部材保持部53の本体の払いロッド74側には切欠96が設けられ、破砕部材保持部53と保持面38との接触が回避される。
【0014】
第2シリンダ70も第1シリンダ50と同様にエアによって作動させられるものであり、2つのエア供給口97,98が設けられている。2つのエア供給口97,98の一方が引き方向エア供給口であり、他方が押し方向エア供給口である。エア供給口97,98には、それぞれ、エア供給源58が、第1シリンダ50における場合と同様に、方向切換弁100,流量制御弁102,103を介して接続されており、これら方向切換弁100,流量制御弁102,103の制御により、ピストンロッド72の移動開始時期,ストロークおよび移動速度等の移動の状態が制御される。ピストンロッド72のストロークは、図5に示すように、ストロークS2 である。
【0015】
上記方向切換弁59,100および流量制御弁60,61,102,103は、コンピュータを含む破砕部材移動制御装置110の制御指令に基づいて制御される。破砕部材移動制御装置110には、切粉Wa の状態を監視するカメラを含む監視装置112が接続されている。
本実施形態においては、通常は、切粉Wa が予め定められた長さ(予め定められたタイミング)で破砕されるように、方向切換弁59,100および流量制御弁60,61,102,103等が予め定められたパターンに従って制御される。それに対して、監視装置112からの情報に基づいて、切粉Wa の破砕が正常に行われないことが検出された場合には、その結果に応じて、制御パターンが変更される。方向切換弁59,100および流量制御弁60,61,102,103等が通常とは異なった制御パターンに従って制御されるのである。
【0016】
以上のように構成された切粉破砕装置によって、切削工具10と被加工物Wとの相対移動に伴って形成された切粉Wa が破砕される場合について説明する。
図8に示すように、第1シリンダ50,第2シリンダ70において、各ピストンが後退端位置にある場合には、払いロッド74は原位置P0 にある。第1シリンダ50の駆動によりピストンが前進させられると、払いロッド74は第1位置P1 に移動させられる。払いロッド74は、X方向とZ方向においてすくい面32に近づけられる。原位置P0 から原位置P1 まで移動させられる場合には、図8(a) , (b) に示すように、X方向において前進させられるのに伴ってZ軸方向にすくい面32に接近する方向に移動させられる。
【0017】
次に、払いロッド74が長手方向に沿って、第2シリンダ70の駆動により第1位置P1 から第2位置P2 まで移動させられる。Y方向に前進させられるのに伴ってZ軸方向にすくい面32にさらに接近する方向に移動させられる。この移動によって、払いロッド74は、切粉Wa の湾曲部Wc の内側に位置することになる。第1位置P1 から第2位置P2 に向かってすくい面32の傾斜角度より大きな角度で侵入することになるため、払いロッド74がすくい面32に接触することなく、湾曲部Wc の内側に確実に侵入させることができる。第2位置P2 は最もすくい面32に接近し、かつ、刃先に接近する位置である。
払いロッド74が湾曲部Wc の内側から長手方向と直交する方向に位置P3 まで移動させられる。X方向に後退させられ、Z方向にすくい面32から離間する方向に移動させられる。この移動によって、切粉Wa の湾曲部Wc が湾曲の外側に払われる。切粉Waの湾曲部Wc に、チップブレーカ24の側縁を支点として外向きの曲げモーメントが加えられることにより、チップブレーカ24の周縁付近において破砕される。外向きのモーメントがチップブレーカ24の側縁を支点として切粉Wa の湾曲部Wc に加えられるが、湾曲部Wc はチップブレーカ24の側縁によって支持されてすくい面側に逃げることが阻止された状態にあるため、その側縁によって支持された部分近傍に大きな曲げモーメントが加えられ、その支持された部分近傍において破砕されるのである。
その後、第2シリンダ70の駆動により、払いロッド74は原位置P0 に戻される。Y方向に移動させるのに伴ってZ方向にさらにすくい面32から離間する方向に移動させられる。
【0018】
払いロッド74の移動の状態が、切粉Wa が適当な長さで破砕されるように制御される。被加工物Wの回転速度(切削速度)と払いロッド74の移動の状態との制御により、破砕される場合の切粉Wa の長さが決まるのであるが、切削速度は被加工物Wの材質等の切削条件に応じて決められるため、本実施形態においては、払いロッド74の移動の状態の制御により、破砕時の切粉Wa の長さが調節されるようにされているのである。
【0019】
以上のように、本実施形態においては、払いロッド74によって切粉Wa の湾曲部Wc に外向きの曲げモーメントが加えられることにより、切粉Wa が破砕される。被加工物Wにつながった切粉Wa を容易に破砕することができるのであり、被加工物Wが延性のある材料で成形されたものである場合や、仕上加工時等送り速度や切り込み量が小さい場合等において流れ型の切粉Wa が形成される場合においても、切粉Wa を従来より容易に破砕することができる。
その結果、被加工物Wにつながった切粉Wa が長くなって、旋削加工において邪魔になることが回避される。また、旋削加工終了後に切粉の処理を行う場合においても、被加工物Wから離間させられた切粉を細かく破砕させる必要がなくなり、処理が容易になる。
以上のように、本実施形態においては、切粉破砕装置36等によって外向きモーメント付与装置が構成される。外向きモーメント付与装置は払い動作付与装置でもある。また、払いロッド74の位置P2 から位置P3 への移動が外向き力付与工程に対応する。
【0020】
なお、上記実施形態においては、2つのピストンロッド52,72が、第1シリンダ50、第2シリンダ70におけるエアによって移動させられるようにされていたが、少なくとも一方が、電動モータの駆動により移動させられるようにすることもできる。この場合には、X方向,Y方向の可動部材が運転変換装置を介して電動モータの出力軸に係合させられ、これら可動部材の移動の状態が電動モータの制御により制御されることになる。
また、第1シリンダ50と第2シリンダ70との両方を傾斜した状態で設ける必要は必ずしもなく、少なくとも一方を保持部12の保持面38に平行な姿勢で設けることもできる。さらに、被加工物Wが固定され、切削工具10が移動されることによって被加工物Wの切削が行われる切削加工においても本発明の切粉破砕方法を実施することができる。
【0021】
また、流量制御弁60,61,102,103は不可欠ではなく、方向切換弁59,100のみでもよい。流量制御弁60,61,102,103がなくても、方向切換弁59,100の制御により、ピストンロッド52,72のX方向,Y方向の移動開始時期,ストロークを制御することができ、破砕される場合の切粉Wa の長さを制御することができる。さらに、流量制御弁60,61,102,103における流量は作業者によって調節可能なものとすることもできる。監視装置112によって破砕される切粉Wa が長い場合等に、流量を大きくする等の調節が行われるようにするのである。この場合には、警報装置を設け、監視装置112によって異常が検出された場合に警報装置が作動させられるようにすることができる。
さらに、制御装置110自体や監視装置112も不可欠ではない。
【0022】
次に、本発明の別の一実施形態である切粉破砕装置について説明する。
本実施形態においては、切粉破砕装置190が、切削工具200自体に取り付けられる。図10に示すように、切削工具としてのバイト200は、上記実施形態における場合と同様に保持具12に取り付けられ、その保持具12において刃物台14に取り付けられているが、切粉破砕装置190が、保持具12ではなく、バイト200のシャンク202に直接取り付けられる。また、バイト200に取り付けられたチップ20は、上記実施形態における場合と同様のものであり、同様の符号を付して説明を省略する。
【0023】
切粉破砕装置190は、図11,12に示すように、装置本体210と、装置本体210に対して回動可能に設けられた破砕部材保持部212とを含む。装置本体210はベース214と、ベース214の両側に設けられた一対のフレーム216と、一対のフレーム216に跨がった状態で設けられたアーム218とを含む。ベース214は、固定部材220によってシャンク202の保持面222に取り付けられる。ベース214は、図10に示すように、X方向に対して角度θ10だけ回転させられた向きで取り付けられる。この角度は、切粉破砕部材の形状,チップの20形状等によって決まるが、チップ20のすくい面32のほぼ全体を切粉破砕部材によって覆い得る角度とすることが望ましい。また、アーム218は、傾斜した姿勢で固定部材224によって一対の本体216にそれぞれ固定される。アーム218の傾斜方向は、上記実施形態における場合と同様に、X方向に対して、切削工具200の先端に向かうにつれてすくい面32に接近する向きであり、図12に示す角度θ11だけ傾斜して取り付けられる。
【0024】
一対のフレーム216の間には、破砕部材保持部212が、それの基端部において、回動軸232の周りに回動可能に取り付けられる。また、破砕部材保持部212の先端部には、切粉破砕部材としての平板状のブレード234が取り付けられる。また、中間部には、アーム218との間にスプリング236が配設されており、スプリング236の弾性力により、破砕部材保持部212がすくい面32に押し付けられる向きに付勢される。なお、238は原位置において破砕部材保持部212を支持する支持部材であるが、破砕部材保持部212の移動限度を規定するストッパでもある。
また、240はセットスクリュウであり、切粉破砕装置190を非作動状態に保つ場合に、破砕部材保持部232を装置本体240に対して相対回動不能に固定するために設けられる。
破砕部材保持部212は、回動軸232の回りに、スプリング236による付勢力と切粉Wa によってブレード234に作用される力とによって、回動させられる。
【0025】
以上のように構成された切粉破砕装置における作動について説明する。
被加工物Wの旋削加工に伴って切粉Wa が形成されるが、図12に示すように、切粉Wa の先端部Ws がブレード234に当接しない状態においては、ブレード234は図示する原位置にある。切粉Wa の成長に伴って切粉Wa の先端部Ws がブレード234に当接すると、ブレード234および破砕部材保持部212がすくい面32から離間する方向に回動させられる。それによって、スプリング236が圧縮され、ブレード234にすくい面32に接近させる向きの力が付与され、切粉Wa の先端部Ws には、すくい面32に近づく向きの押付け力が加えられる。一方、湾曲部Wc は、チップブレーカ24の側縁により支持され、すくい面側に逃げることを阻止されている。そのため、湾曲部Wc のチップブレーカ24の側縁に支持された部分には、ブレード234による先端部Ws の押付け力に基づいて大きな曲げモーメントが、湾曲部Wc を外向きに曲げる向きに作用し、切粉Waが破砕される。その結果、ブレード234は、スプリング236の弾性力によってすくい面32に近づく方向に回動させられる。
この繰り返しによって、ブレード234が往復移動させられることになり、旋削加工に伴って形成され、被加工物Wにつながっている切粉Wa が適宜破砕されることになる。本実施形態においては、ブレード234と切粉Wa の先端部Ws とが当接し、ブレード234によって先端部Ws をすくい面23に近づける向きに押し付け力が加えられる工程が押し戻し工程なのである。
【0026】
また、破砕部材が平板状のブレード234とされ、すくい面32を覆う状態で配設されているため、切粉Wa の先端部Ws の位置が一定でなくても、先端部Ws をブレード234に当接させることが可能となる。さらに、ブレード234は図13に示す形状を成したものであり、図10の2点鎖線で表される状態で取り付けられる。そのため、切削工具200のY方向の送りによって被加工物Wが切削され、切粉Wa が実線で表される方向に成長する場合に適している。
【0027】
このように、破砕部材保持部212の振動の状態は、スプリング236の弾性係数と切削速度とに基づいて決まることになり、これらを調節することによって、破砕される切粉Wa の長さを調節することができる。換言すれば、スプリング232の弾性係数と切削速度とによって、破砕部材保持部212の回動周期(ブレード234の振動周期と称することも可能である)が決まるのであり、それによって、切粉Wa が破砕される周期が決まるのである。ブレード234の振幅は角度θ12程度である。
【0028】
また、上記実施形態においては、被加工物Wの外周面を切削する場合に、切粉破砕方法が実施される場合について説明したが、端面を切削する場合にも適用することもできる。この場合には、ブレードを、図14に示す形状のブレード250とすることが望ましい。ブレード250は先端部に切欠(逃げ部)252が設けられたものである。切欠252は、ブレード250の幅方向の傾斜角度θ13が長手方向の傾斜角度θ14より大きくなる状態で形成されるため、ブレード250の逃げ部252が形成された部分の角度θ15が鋭角となり、ブレード250が被加工物と接触することを回避することができる。
このブレード250は、ブレード234より逃げ部252側に偏って取り付けられる。その結果、図10に示すように、端面の切削加工時において、切粉Wa が破線で表される方向に成長する場合にも、ブレード250に切粉Wa の先端部Ws を確実に当接させることが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、切粉破砕装置190等によって外向きモーメント付与装置が構成される。外向きモーメント付与装置は、押圧動作付与装置,振動付与装置でもある。
【0029】
なお、上記実施形態においては、上述のように、スプリング236の弾性係数と切削速度とに基づいて破砕部材保持部212の振動の周期が決まるようにされていたが、スプリング236の弾性係数や破砕部材保持部212の重量を、破砕部材保持部212の振動と、切削に伴う切削工具200の振動とが共振するように設計すれば、安定して切粉Wa を破砕することができる。
この場合において、スプリング236の付勢力と破砕部材保持部212の重量との少なくとも一方を調節可能とすれば、切削に伴う振動の状態が変わっても、それに共振させることができる。その一例を図15,16に示す。本実施形態の切粉破砕装置278においては、スプリングの弾性係数が調節可能とされている。
【0030】
図において、破砕部材保持部280は、上記実施形態における場合と同様に、回動軸232の周りに回動可能に一対の装置本体216に取り付けられるのであるが、破砕部材保持部280は、一対の装置本体216に設けられた板ばね284に係合させられる。板ばね284の弾性力は切粉Wa の先端部Ws をすくい面32に押し付ける方向にも、すくい面32から離間させる方向にも作用するため、破砕部材保持部280が上記実施形態における場合より振動し易くなる。
破砕部材保持部280には、図16に示す板ばね284との係合部300が取り付けられる。係合部300は、環状のリング302と、ローラ保持部304とを含むものであり、ローラ保持部304には、一対のローラ306が板ばね284の厚み分の隙間を隔てて回転可能に保持されている。環状リング302は、破砕部材保持部280に形成された長穴310において固定部材312によって着脱可能に取り付けられる。係合部300の取り付け位置が変われば、板ばね284の弾性部材として作用する部分の長さLが変わることになり、それによって、弾性係数を調節することができる。長さLが短くなると、弾性係数が大きくなり、周波数が小さくなる。また、係合部300の取り付け位置が変われば、破砕部材保持部280の傾斜角度が変わる。すなわち、ローラ306の取り付け位置と破砕部材保持部280の中心軸線との間の長さが決まっているため、係合部300の位置が、基端部(装置本体210)に近づくにつれて(長さLが短くなるにつれて)、傾斜角度が急になり、振動限度がすくい面32に近くなる。すなわち、周波数が小さくなるにつれて振動中心がすくい面32に近づくことになり、破砕される切粉Wa が短くなる。さらに、本実施形態においては、係合部300によって破砕部材保持部280が板ばね284に係合させられることによって、装置本体210に支持されるため、ストッパ238が不要となる。
【0031】
以上のように、本実施形態においては、板ばね284を利用して振動させられるようにされているため、破砕部材保持部280を振動し易くすることができる。また、板ばね284の弾性係数が調節可能とされているため、破砕部材保持部280の振動の状態を調節することができるのであり、切削工具200の振動と共振させることができる。さらに、切削速度や切り込み速度等が変更されることによって切削工具200の振動の状態が変わっても、それに伴って破砕部材保持部280の振動の状態を変更することができ、これらを共振させることができる。
【0032】
なお、破砕部材保持部280が回動軸においてねじりコイルバネを介して取り付けられるようにすることもできる。このようにしても、破砕部材保持部280を振動し易くすることができる。また、ストッパ238を設けてもよい。この場合には、ストッパ238を装置本体210に対して移動可能としたり、高さを調節可能としたりすることが望ましい。
また、切粉破砕装置は、図17に示す装置330とすることもできる。この切粉破砕装置330は、装置本体332と、装置本体332に対してすくい面32に対して接近・離間可能に移動可能なブレード保持部334とを含む。装置本体332は、上記実施形態における場合と同様に、ベース336と一対のフレーム338とを含むものであり、一対のフレーム338には、長穴340,342が形成されており、その長穴340,342において固定部材350,352によって固定される。長穴340,342と固定部材350,352とによって、ブレード保持部334をフレーム338に相対移動可能に保持する移動装置354が構成される。
ブレード保持部334には、図に示すような形状のブレード360が取り付けられている。ブレード360は、切粉Wa の湾曲部Wc が成長する方向とは反対の方向に傾斜した傾斜部362を含む。傾斜部362は、切粉Wa が摩擦角以上で接する接面を含むものであり、切粉Wa の先端部Ws が、傾斜部362に当接した後、傾斜部362に沿ってすべりつつ、成長する。すなわち、切粉Wa が湾曲部Wc に沿って成長することが阻止されるのであり、それによって、外向きの曲げモーメントが加えられ、切粉Wa が破砕される。
本実施形態においては、切粉破砕装置330が、切粉破砕部材保持装置を含む。なお、ブレード360の形状は、上記実施形態におけるそれに限らない。
その他、本発明は、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である切粉破砕方法が実施される場合において被加工物に切削工具によって切削加工が行われる状態を示す図である。
【図2】上記切削工具の平面図であり、切粉破砕装置の装置本体を示す図である。
【図3】上記切削工具の側面図である。
【図4】上記切削工具の正面図である。
【図5】上記切粉破砕装置の正面図である。
【図6】上記切粉破砕装置の平面図である。
【図7】上記切粉破砕装置の側面図である。
【図8】上記切粉破砕装置における破砕部材の軌跡を示す図である。
【図9】上記切粉破砕装置を制御する制御装置の周辺を示す図である。
【図10】本発明の別の一実施例である切粉破砕装置が取り付けられた切削工具の平面図である。
【図11】上記切粉破砕装置の背面図である。
【図12】上記切粉破砕装置の側面図である。
【図13】上記切粉破砕装置の平面図である。
【図14】上記切粉破砕装置に異なる形状の破砕部材が取り付けられた場合の平面図である。
【図15】本発明のさらに別の一実施形態である切粉破砕装置の側面図である。
【図16】上記切粉破砕装置の係合部の正面図である。
【図17】本発明のさらに別の一実施形態である切粉破砕装置の側面図である。
【符号の説明】
20 チップ
32 すくい面
36 切粉破砕装置
50 第1シリンダ
70 第2シリンダ
74 払いロッド
190 切粉破砕装置
212 破砕部材保持部
232 回動軸
234 ブレード
236 スプリング
280 破砕部材保持部
284 板ばね
330 切粉破砕装置
334 ブレード保持部
354 移動装置
360 ブレード

Claims (4)

  1. 被加工物と切削工具との相対移動に伴って連続して形成され、未だ被加工物につながっている切粉を破砕する切粉破砕方法であって、
    切粉破砕部材を前記切削工具に対して移動させることによって、切粉の湾曲した部分に、その部分を湾曲の向きとは反対の向きに曲げる外向き曲げモーメントと湾曲の向きと同じ向きに曲げる内向き曲げモーメントとの少なくとも一方を付与することによって、切粉を破砕することを特徴とする切粉破砕方法。
  2. 被加工物と切削工具との相対移動に伴って連続して形成され、未だ被加工物につながっている切粉を破砕する装置であって、
    切粉破砕部材を含み、その切粉破砕部材を前記切削工具に対して移動させることによって、切粉の湾曲した部分に、その部分を湾曲の向きとは反対の向きに曲げる外向き曲げモーメントと湾曲の向きと同じ向きに曲げる内向き曲げモーメントとの少なくとも一方を付与するモーメント付与装置を含むことを特徴とする切粉破砕装置。
  3. 前記切粉破砕部材が棒状部を有し、前記モーメント付与装置が、前記切粉破砕部材を前記棒状部の長手方向とほぼ直交する方向に移動させることにより、棒状部に切粉の湾曲部を湾曲の内側から外側へ払う払い動作を行わせる払い動作付与装置を含む請求項2に記載の切粉破砕装置。
  4. 前記切粉破砕部材が概して平板状の作用面を成し、前記モーメント付与装置が、その切粉破砕部材に、前記作用面にほぼ直角な方向に移動することにより、湾曲した切粉の先端に作用面において係合し、さらにその移動を継続する押圧動作を付与する押圧動作付与装置を含む請求項2に記載の切粉破砕装置。
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