JP2004202523A - 連続鋳造方法及び該方法で製造された連続鋳造鋳片 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶鋼をモールドに注入し、前記溶鋼表面にモールドパウダーを投入しながら鋳片をモールド下方から連続的に引き抜く連続鋳造方法において、溶鋼湯面近傍のモールド内面形状を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がる逆テーパー形状としたモールドを用いると共に、結晶化温度が900℃以下、もしくは結晶化しない特性を有するモールドフラックスを用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造方法及び該方法によって製造される連続鋳造鋳片に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造鋳片の表面が酸化すると鋳片に害悪を発生させることについてはいくつか公表されている。例えば、CuやNi,Snを多量に含有する鋼を連続鋳造する際には以下のような問題がある。Cuや、Ni,SnはFeに比べて酸素(O)との親和力が弱いため、鋳造中に連続鋳造鋳片の表面が酸化すると、酸化鉄(FeO)が生成する一方、CuやNi,Snは酸化しないので酸化鉄層から排除され酸化鉄層と地鉄(鋳片)との界面に濃縮し、地鉄の結晶粒界を濡らし浸透する。このために結晶粒界の強度が地鉄のそれに比べて低下し、過大な外的(たとえば、矯正時の引張り応力)もしくは熱的な引張り応力が鋳片にかかると、割れが発生する。この割れは酷い場合には深さ10mmにも達し、この割れを除去するために過大な労力がかかると同時に歩留りが10%も低下する。
【0003】
このようにCuやNi,Sn含有の悪影響が指摘されている。そして、電気炉で溶製される鋼はスクラップを主原料として製造されるため、原料中に含まれるCuが溶鋼中に含有することから、この問題が顕著に現れている。
しかし、溶鋼中からCuやNi,Snを精錬工程で除去するためには多大なコストがかかり、安価に除去する方法はまだ開発されていない。そのために、原料を厳選してCuやNi,Snを含有しない原料とするか、CuやNi,Sn濃度の高いスクラップに高炉銑を混ぜることによってCuやNi,Sn濃度を下げて規定値に入るように製造しているのが現状である。
【0004】
このような背景のもと、CuやNi,Snが多量に含有する鋼の表面割れを防止する技術として、連続鋳造鋳片の表面にSiO2を含むフラックスを塗布もしくはスプレー散布するもの提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−297025号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の技術は熱間圧延の前処理としては有効であるが、連続鋳造機内でこの技術を実施するのは難しい。理由は以下の通りである。
上記特許文献1の技術は、鋳片表面に塗布もしくは散布したフラックスが鋳片表面で溶融することによって表面を被覆するものである。このため、フラックスの融点である1150℃以上に鋳片を保持、もしくは加熱する必要がある。ところが、連続鋳造機内ではモールドから出た鋳片を水スプレーもしくは気水スプレーで冷却しているため鋳片表面温度を1150℃以上に保持するのは困難である。水スプレーやミストスプレーをかけると表面温度が下がり塗布したり散布したフラックスを溶融できないために直ちに剥離してしまう。
【0007】
また、連続鋳造機外で上記特許文献1の技術を実施しようとすると、SiO2を含むフラックスを鋳片表面に塗布もしくはスプレー散布する装置を別途設け、さらに加熱装置も必要になる。このため、装置のためのコストがかかるという問題もある。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、別途大がかりな装置を設けることなく、CuやNi,Snを含有する鋳片表面の割れを防止しできる連続鋳造方法を提供することを目的としている。
また、上記方法によって製造される連続鋳造鋳片を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る連続鋳造方法は、溶鋼をモールドに注入し、前記溶鋼表面にモールドパウダーを投入しながら鋳片をモールド下方から連続的に引き抜く連続鋳造方法において、溶鋼湯面近傍のモールド内面形状を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がる逆テーパー形状としたモールドを用いると共に、結晶化温度が900℃以下、もしくは結晶化しない特性を有するモールドフラックスを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また、モールドフラックスと鋼の接触角が70度以下であることを特徴とするものである。
【0011】
また、モールドは、その逆テーパー値が2%〜10%であり、かつ、逆テーパー部より下方のモールド内面形状が鋳片引抜方向に向かって狭まる順テーパー形状であって、該順テーパー値が0〜1%の範囲であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係る連続鋳造鋳片は、上記の連続鋳造方法によって製造され、表面がモールドフラックスで被覆されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
具体的な実施形態を説明する前に、本発明の基本的な考え方及び連続鋳造方法の概要を説明する。
本発明の基本的な考えかたは、鋳片表面の酸化防止をすることによってCuやNi,Snの酸化スケールと地鉄との界面への濃縮を防ぎ、CuやNi,Snの粒界侵入を防止しようとするものである。
そして、鋳片表面の酸化を防止する具体的な方法として、連続鋳造中に鋳片表面をモールドフラックスで鋳包むことにより、表面の酸化を完全に防止するというものである。これによれば、CuやNi,Snの濃縮、粒界浸透を防止することができ、表面割れを防止することができる。
【0014】
ここで、鋼の通常の連続鋳造方法の概要を説明する。
連続鋳造において、水冷モールドに注入された溶鋼は、モールドとの接触面で凝固が始まり進行する。このとき、溶鋼表面にCaO,SiO2,Na2O,F,Al2O3で構成された混合物(モールドフラックス)を添加して溶融させ、溶鋼表面を覆うと共にモールドと凝固した鋳片との間のギャップに流入させて鋳片を覆っている。
【0015】
モールドフラックスの主な役割は、溶鋼を空気と遮断して酸化を防止すること、溶鋼プールから浮上してくる介在物(連続鋳造で鋳造される鋼はAlキルド鋼であるので、介在物はアルミナである)を吸収すること、溶鋼表面を断熱して、表面からの凝固を防止すること、モールドと鋳片間に流れ込んで潤滑剤としての作用を果たすこと、さらに鋳片からモールドヘの伝熱を制御すること等である。
このように、モールドフラックスの役割を種々あるが、その中で酸化防止に関しては、溶鋼表面の酸化防止のみが期待されていた。
【0016】
本発明者は、モールドフラックスの役割に着目し、従来は溶鋼表面の酸化防止のみの作用であったものを、鋳片表面全体を被覆することで鋳片表面の酸化防止することを考えた。
そして、モールドフラックスで鋳片表面全体を被覆するための技術的な課題としては以下のものがある。
▲1▼モールド内において所定厚さ以上の厚さのモールドフラックスで鋳片表面を完全に被覆するにはどうするか。
▲2▼連続鋳造機内の二次冷却帯において、被覆したモールドフラックスが連続鋳造機を出るまで剥離せず被覆状態を保持するにはどうするか。
▲3▼モールドフラックスが被覆している鋳片の冷却方法をどうするか。
【0017】
発明者は鋭意検討した結果、上記課題を解決する方法として以下のものを見いだした。
以下、この方法を説明する。
課題▲1▼について:
モールド内におけるモールドフラックスの厚みをコントロールするためには、モールドフラックスの流入量をコントロールすればよい。従来の研究からこの流入量は、鋳片の引抜速度、使用するモールドフラックスの粘度、モールド振動条件の中で振動数と振動ストロークに依存していることが知られている。
そして、実際に大幅な流入量増大を図るためには低粘度モールドフラックスを使用する必要がある。しかし、低粘度モールドフラックスを用いると、流入し易い経路からの流入量が増大し、流入量に偏りが生じて、均一な厚さのモールドフラックスフィルムが形成できない。そのため、鋳片表面を完全に被覆できず、さらに、凝固シェルの厚みの不均一や表面割れの発生が起こり、鋳造が安定しないという問題が発生する。
【0018】
この問題を克服するためには、ある程度粘度の高いモールドフラックスを用いて、流入量を大幅に増大させる鋳造方法が必要である。そこで、発明者が考えたのが、逆テーパーモールドを用いた鋳造方法である。
逆テーパ型のモールドとは、図1に示すように、メニスカス部分が逆テーパー、すなわち、鋳造方向にモールドギャップが広くなっているものである。なお、図1に示すものは、逆テーパーの下端部以下の部分の幅が狭くなるようなテーパ(順テーパー)を設けたものをを示したが、この部分はストレートであってもよい。
【0019】
この逆テーパー型モールドを使用して、逆テーパー部に湯面が位置するように湯面制御しながら鋳造を行うと、通常の平板モールドに比べてパウダーの流入量を増大させることができる。なぜなら、逆テーパー部で凝固した凝固殻の寸法はそれよりも下方の鋳型幅よりも小さいので、凝固殻がモールド下方に引抜かれると、逆テーパー部では凝固殻と鋳型壁との間の隙間が拡大し、この拡大した隙間にパウダーが流入することになるからである。
【0020】
なお、逆テーパー値(テーパ角度)を変更することによりパウダーの流入量を自在に制御できる。
逆テーパー値とは、鋳片引き抜き方向の長さ(L)に対する逆テーパー部3aの深さ(d)の百分率(100d/L)であり、相対する長辺鋳型銅板の双方に逆テーパー部が設けられている場合には、双方の逆テーパー値の和が鋳型の逆テーパー値となる。
【0021】
課題▲2▼について:
モールド内では鋳片表面はモールドフラックスによって被覆されている。モールドフラックスで被覆された鋳片は、モールドから出てくるとロールによって支持されると同時に水スプレーやエアーミストで冷却される。このときモールドフラックスは急激に冷却され、結晶の晶出、熱膨張差によって鋳片表面から離脱、剥離する。さらにロールによる機械的な圧延によって剥離してしまう。
このような剥離が起こらないためのモールドフラックスの特性がどのようなものかを実験により検討した。
【0022】
実験方法は、まず、Cu含有鋼(Cu濃度:0.5mass%)で板状試験片(厚さ10mm、幅50mm、長さ200mm)を作製した。そして、種々の特性を有するモールドフラックス(表1参照)を試作して、黒鉛るつぼ中で溶融し、1300℃に保持した。溶融フラックス中に板状試験片の長さの半分(100mm)を溶融フラックス中に20分間浸漬した。
引き上げた後、1200℃に加熱した加熱炉の中に装入、大気雰囲気の中で60分間保持し、その後、炉から取り出し放冷した。表面に付着したモールドフラックスの被覆性を評価するため、表面写真を撮影し、剥離面積を画像処理で測定し、剥離面積率(%)〔=(剥離面積/浸漬面積)×100〕を求めた。
また、試験片を切断、研磨して、顕微鏡で酸化鉄層の厚さおよび酸化鉄と地鉄境界付近でCuの濃縮層の有無を調べた。
【0023】
モールドフラックスの特性値として結晶化温度、1300℃の粘度、鋼とモールドフラックスの接触角を用いてデータの整理を行った。結晶化温度の測定は、示差熱分析装置を用いて行った。モールドフラックスを1300℃まで加熱して完全に溶融させ、その後10℃/minの速度で冷却し、結晶生成に対応するピーク温度を“結晶化温度”とした。
【0024】
また、モールドフラックスの接触角は、低炭素アルミキルド鋼の板を1300℃までアルゴンガス雰囲気の中で加熱し、その上に溶融したモールドフラックスの液滴を垂らし、その形状から鋼とモールドフラックスの接触角を測定した。測定温度として1300℃を選んだ理由は、実機モールドの中に滞在している時の鋳片表面温度は平均で約1300℃と見積もられるからである。
【0025】
実験結果を表1に示す。
【表1】
【0026】
表1に示す結果から、鋼板の表面酸化の抑制には、モールドフラックスの結晶化温度、粘度、接触角が影響しており、結晶化温度は低い方がよく、好ましくはモールドフラックス中に結晶の析出がない方がよい、粘度は高い方がよい、接触角は小さい方がよい、ということが見いだされた。
結晶の析出がない方がよいというのは、結晶が析出するとモールドフラックス内で体積の収縮、膨張が起こり、地鉄との密着性が悪くなりモールドフラックスフィルムが鋼板表面から剥離してしまうからである。
【0027】
また、鋳片を矯正する場合や強制的に鋳片を圧下する場合を除いて、連続鋳造機内のロールの支持圧は静鉄圧とバランスする圧力に設定してある。この静鉄圧でモールドフラックスが崩壊しないモールドフラックスを選択する必要がある。
この点、結晶の晶出していないガラス状態では圧力を加えても粘性流動するだけで破砕はしない。従って、この意味からも結晶化しないモールドフラックスを選択する必要がある。
【0028】
また、粘度は高い方がよいというのは、粘度が低い場合には加熱炉で加熱中にモールドフラックスが流動、落下してモールドフラックスフィルムの厚さの薄い部位ができて酸化してしまうからである。
【0029】
さらに、接触角は小さい方がよいというのは、接触角が大きいとモールドフラックスと地鉄の濡れ性が悪いのでモールドフラックスフィルムが剥離しやすくなるためである。
なお、モールドフラックス中に窒素、硫黄、燐を添加すると濡れ性が良好になり接触角は低下する。これらの元素は鉄とモールドフラックスの両方に溶解度を持つために界面の濡れ性が良くなり界面エネルギーを低下させることができる。
【0030】
次いで、9%Ni含有鋼で、 前記と同様の条件で板状試験片を溶融フラックス中に浸漬し、大気中での加熱保持、空冷の実験を行って、表面酸化の有無を調査し、前述のCu含有鋼に関して得られた結論をNi含有鋼についても成立するかどうかを確認した。
9%Ni含有鋼で得られた結果を表2に示す。
【表2】
【0031】
表2から、Ni含有鋼においても、Cu含有鋼と同様に、モールドフラックス中に結晶の析出がないこと、接触角は小さいこと、が好ましいことが見いだされた。
【0032】
課題▲3▼について:
一般的に連続鋳造機では水スプレーやエアーミストを直接鋳片表面にかけて冷却している。本発明においては、鋳片表面にモールドフラックスが被覆されているので、鋳片表面に被覆したモールドフラックスフィルムに直接、水スプレーやエアーミストをかけて冷却することになる。水スプレーやエアーミストの衝突圧が高すぎるとモールドフラックスの密着性が弱い場合にはモールドフラックスが吹き飛ぶ。これを防止するために、水滴衝突圧を下げたエアーミスト冷却やフォグ冷却が望ましい。この冷却方法では冷却速度が上がらないけれども均一でかつモールドフラックスの吹き飛びは起こらない。その上、鋳片温度を高温にできる。引抜速度を上げずに高温鋳片の製造が可能となる。
【0033】
以上の結果をまとめると、モールドフラックスで鋳片表面全体を被覆するためには以下の要件が必要である。
▲1▼ 逆テーパーモールドを使用すること
▲2▼ モールドフラックスが、結晶化しないこと、もしくは結晶化しにくいこと。
鋳片との密着性を高めるために濡れ性が良好なこと。そのためにモールドフラックスと鋳片ともに溶解度をもつ窒素や硫黄をモールドフラックスに添加することが好ましい。
▲3▼ 連続鋳造機内の冷却方法は衝突圧が低くて冷却能力に優れた冷却方法を用いること。そのためにはエアーミストやフォグ冷却を用いることが好ましい。
【0034】
次に、実際の連続鋳造において、種々の特性を有するモールドフラックスを用いて鋳片の表面割れの有無を調べた。
図2は本実施の形態で用いたスラブ連続鋳造機の側面概略図である。この連続鋳造機1には、図1に示すように、その上部に溶鋼を注入して凝固させるためのモールド5が設置されている、このモールド5は図1に示した逆テーパー型のモールドである。このモールド5の下方には、対向する一対のロールを1組として、それぞれ複数組のサポートロール13、ガイドロール14、及びピンチロール15が設けられている。
【0035】
モールド5の直下から下流側に向かって、第1冷却ゾーン7a、7b、第2冷却ゾーン8a、8b、第3冷却ゾーン9a、9b、第4冷却ゾーン10a、10b、第5冷却ゾーン11a、11b、及び、第6冷却ゾーン12a、12bの合計12に分割された冷却ゾーンからなる二次冷却帯6が設置されている。
【0036】
二次冷却帯6の各冷却ゾーンには、エアーミストスプレー用又はフォグ冷却用の複数個の冷却ノズル(図示せず)が設置されており、冷却ノズルから鋳片2の表面に二次冷却水が噴霧される。
エアーミストやフォグ冷却を用いる理由は、モールドフラックスを弾き飛ばさないように適度な圧力を与えながら冷却できるからである。水スプレーを用いた場合には、十分な冷却を得るために水圧を上げる必要があり、その結果モールドフラックスフィルムが剥離してしまったという経験に基づいての選択である。
【0037】
なお、各冷却ゾーンにおいて、連続鋳造機1の反基準面側(上面側)の冷却ゾーンをaで表示し、基準面倒(下面倒)の冷却ゾーンをbで表示している。また、冷却ゾーンの設置数は図1では合計12であるが、連続鋳造機1の長さ等に応じて幾つに分割しても良い。
【0038】
上記のような連続鋳造機1によってCu,NiもしくはSn等を含有する溶鋼を連続鋳造で鋳片に製造して、鋳片の表面をモールドフラックスで被覆する必要から表面被覆率の指標としてモールドフラックスの流入量と、鋳造後の鋳片表層の酸化鉄層厚さと表面割れの個数を調査した。
そして、モールドフラックスで表面を完全に被覆し、表面酸化が抑制され、表面割れの発生しないためのモールドフラックス特性と鋳造条件を求めた。
以下、具体的に説明する。
【0039】
鋳造に関する具体的な条件は以下の通りである。
1.鋳造鋼種の成分
Cu含有鋼(0.5%Cu)[C:0.10−0.13%,Si:0.15−0.25%,Mn:0.20−0.40%,P:0.01−0.015%,S:0.008−0.015%,Al:0.02−0.04%]
【0040】
2.モールド
モールドは、逆テーパー値を+1.0、0、−2.0、−5.0、−10.0、−12.0%のものを用いた。(ここで、+は順テーパーを意味し、−は逆テーパーを意味する。)そして、メニスカス部の逆テーパー範囲以降のテーパーは0%か順テーパーを付与してある。逆テーパー範囲は、モールド上端から40mmから140mmの範囲にし、モールド幅方向の全範囲を逆テーパーにした。
【0041】
3.連続鋳造機の仕様
モールドを含めた垂直部長さが2.8m、湾曲半径が10m、下部矯正帯位置がモールド内湯面から18〜22m、鋳片幅が1600mmである。
モールド直下から連続鋳造機内の二次冷却はすべてエアーミスト冷却を採用した。
【0042】
4.その他の鋳造条件
鋳片引抜き速度:1.4m/min
上部の曲げ矯正帯での鋳片表面温度を900〜950℃の範囲で通過させ、下部矯正帯では鋳片表面温度を950〜1000℃で通過するように二次冷却強度を調整した。
鋳片表面温度を1000℃近く保持する理由は、連続鋳造機の曲げ及び曲げ戻し矯正時に鋳片表面に発生する割れを防止するためである。
【0043】
上記の鋳造条件、パウダー流入量及び鋳造後の鋳片表面割れ個数を表3に示す。
【表3】
【0044】
全面順テーパーモールドを用いた試験(試験No:Plt-1-8 とPlt-1-9 )では、モールドフラックス流入量が減少して、鋳片表面を被覆できないために表面酸化が激しく表面割れが多発した。
逆テーパー部より下部のテーパーを順テーパーにして、その値を0かもしくは1%に加工した逆テーパーモールドを使用すると(試験No:Plt-1-2、Plt-1-3、Plt-1-4、Plt-1-6)、逆テーパー値が2〜10%の範囲では表面被覆率も良好で表面酸化も起こらず表面割れは発生しなかった。
【0045】
逆テーパー値が小さい場合(試験No:Plt-1-1)では、モールドフラックス流入量が少なくなるため表面被覆が完全でなく表面酸化が起こり、表面割れが発生した。一方、逆テーパー値が大き過ぎると、表面のオッシレーションマークが深くなりこのマークのために割れが発生することがあった。したがって、逆テーパーの適正範囲は、2〜10%の範囲が好ましい。
メニスカス部分の逆テーパー以降の順テーパーの値を1.5%にした試験(試験No:Plt-1-5)では、モールドフラックス流入量が少なくなり表面被覆が悪くなるため表面割れが発生した。
以上の結果から、メニスカス逆テーパーモールドの逆テーパー値は2〜10%の範囲が好ましく、それ以降の順テーパーの値は0〜1%の範囲が好ましいことも分かった。
【0046】
鋳造の条件を変えた他の例を示す。なお、以下の条件では、特に明記していない条件は上記の条件と基本的に同一条件である。
1.鋳造鋼種の成分
上記と同じである。
2.モールド
逆テーパー型モールドである点は上記と同様であるが、逆テーパー値を−5.0%のものを用いた。
そして、メニスカス部の逆テーパー範囲以降のテーパーは順テーパーで1%とした。逆テーパー範囲は、モールド上端から40mmから140mmの範囲にし、モールド幅方向の全範囲を逆テーパーにした。
【0047】
3.連続鋳造機の仕様
モールド直下から鋳造方向に6mまでの範囲の二次冷却はミスト冷却とし、それ以降下部矯正帯までの二次冷却をフォグ冷却を採用した。
【0048】
4.その他の鋳造条件
鋳片引抜き速度:1.0m/min、1.4m/min、1.8m/minの3水準に変更し、モールドフラックス流入量を変化させた。
鋳片表面温度は引抜速度に応じて変化した。
【0049】
上記の鋳造条件、パウダー流入量及び鋳造後の鋳片表面割れ個数を表4に示す。
【表4】
【0050】
引抜速度が1m/minと遅い場合には、連鋳機内の滞在時間が長くなり、表面温度を上げることが困難で、900℃以上に保持できない。この場合には、モールドフラックスが剥離する場合があり表面酸化が起こった。この結果、表面割れが発生した。引抜速度を上げると鋳片表面温度も上がり、900℃以上に保持できた。この場合にはモールドフラックスで表面を完全に被覆できて割れが発生しなかった。
したがって、引抜速度を上げて、鋳片表面温度を900℃以上に保持することがモールドフラックスで鋳片の表面を完全に被覆するのに有効であることがわかった。
【0051】
モールドフラックスの結晶化温度の影響を調査したのが、試験No Plt-2-4、Plt-2-5、Plt-2-6の3種類である。このときの鋳片表面温度は900℃以上になるように鋳造条件を選択した。この3種類の試験ではモールドフラックス流入量は約0.5 kg/m2であるが、モールドフラックスが結晶化する場合には(試験No:Plt-2-4)、結晶が発生する表面温度まで下げると割れが発生した。この理由はモールドフラックス内に結晶が発生すると表面被覆が不良になるためと考えられる。
【0052】
モールドフラックスが結晶化する場合(試験No:Plt-2-5)でも、表面温度を高く保持して結晶がでないような鋳造条件を選択すれば割れが発生しない。また、結晶化しないモールドフラックスを用いると表面割れは発生しない(試験No:Plt-2-6)。
このことから、結晶化しないモールドフラックスを使用し、あるいはモールドフラックスが結晶化する場合でも、表面温度を高く保持して結晶がでないような鋳造条件を選択することで、鋳片の表面をモールドフラックスで全面被覆できることが分かった。
【0053】
次に9%Ni鋼を鋳造した例を示す。
1.鋳造鋼種の成分
2.モールド
逆テーパー型モールドである点は上記と同様であるが、逆テーパーは、モールド上端から50mmから150mmの範囲で、その逆テーパー値は片側で5%とした。
【0054】
3.連続鋳造機の仕様
モールドを含めた垂直部長さが2.8m、湾曲半径が10m、下部矯正帯位置がモールド内湯面から18〜22mで、鋳片厚みが250m、鋳片幅が2100mmである。
【0055】
4.その他の鋳造条件
鋳片引抜き速度を1.0m/minで鋳造を行った。モールドフラックスは、結晶が晶出するフラックスと非晶質フラックスで、かつ粘度と接触角の異なるモールドフラックスを用いた。
【0056】
上記の鋳造条件、パウダー流入量及び鋳造後の鋳片表面割れ個数を表5に示す。
【表5】
【0057】
結晶化するモールドフラックスを用いた場合には、鋳片表面温度が結晶化温度よりも低下して結晶が晶出するような鋳造条件を選択すると表面割れが発生した(試験No:Plt-3-1とPlt-3-3)。
しかし、結晶化するモールドフラックスを使用しても鋳片表面温度を上げるように制御した鋳造条件では表面割れは発生しなかった(試験No:Plt-3-2)。
【0058】
他方、結晶化しないモールドフラックスを使用した場合には(試験No:Plt-3-4、Plt-3-5、Plt-3-6)、モールドフラックス流入量が0.5kg/m2以下になると表面割れが多発した。このことはモールドフラックスによる鋳片表面の被覆が完全でなく、モールドフラックスフィルムが剥がれ落ちた部位で鋳片表面が酸化してその部位が脆化したためである。
このように、9%Ni鋼でも、Cu含有鋼と同様の結果が得られることが分かった。
【0059】
次に極低炭素鋼を鋳造した例を示す。
1.鋳造鋼種の成分
2.モールド
逆テーパー型モールドで、逆テーパー値は5%で、逆テーパー長さ100mmである。
3.連続鋳造機の仕様
鋳片厚みは250m、鋳片幅は1200mmである。
【0060】
4.その他の鋳造条件
鋳片引抜き速度を2.5m/minであった。モールドフラックスの粘度は0.4Pa・sである。
上部の曲げ矯正帯での鋳片表面温度を870 〜910 ℃の範囲で通過させ、下部矯正帯では鋳片表面温度を880 〜920 ℃で通過するように二次冷却強度を調整した。鋳片表面温度を900℃近く保持する理由は、連続鋳造機の曲げ及び曲げ戻し矯正時に鋳片表面に発生する割れを防止すると同時に内部割れを防止するためでもある。
【0061】
上記の結果は、モールドフラックス流入量が0.5kg/m2以上であり、鋳片表面にはモールドフラックスが完全に被覆していた。
その結果、酸化ロスが0.2%まで減少し、鉄歩留まりが0.6%アップした。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、連続鋳造鋳片の表面をモールドフラックスで被覆でき、かつ剥離も起こらないようにできるので、鋳片表面の酸化を防止できかつ表面割れを防止できる。
その結果、鋳片の手入れが不要かもしくは軽手入れで次工程に搬送することが可能となり、手入れ作業の軽減はもとより大きな歩留り向上を実現できた。
【0063】
なお、本発明は、Cu、Ni、Sn含有鋼のみならず、通常の薄板、厚板鋼材に用いられる鋳片の連続鋳造に適用すると、スケール性の欠陥が減少して製品歩留りが向上する効果もある。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、溶鋼湯面近傍のモールド内面形状を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がる逆テーパー形状としたモールドを用い、結晶化温度が900℃以下、もしくは結晶化しない特性を有するモールドフラックスを用いることで、連続鋳造鋳片の表面をモールドフラックスで被覆でき、かつ剥離も起こらないようにできるので、鋳片表面の酸化を防止できかつ表面割れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る逆テーパー型のモールドを示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造機の側面概略図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造機
2 鋳片
5 モールド
Claims (4)
- 溶鋼をモールドに注入し、前記溶鋼表面にモールドパウダーを投入しながら鋳片をモールド下方から連続的に引き抜く連続鋳造方法において、
溶鋼湯面近傍のモールド内面形状を鋳片引き抜き方向下方に向かって広がる逆テーパー形状としたモールドを用いると共に、
結晶化温度が900℃以下、もしくは結晶化しない特性を有するモールドフラックスを用いることを特徴とする連続鋳造方法。 - モールドフラックスと鋼の接触角が70度以下であることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造方法。
- モールドは、その逆テーパー値が2%〜10%であり、かつ、逆テーパー部より下方のモールド内面形状が鋳片引抜方向に向かって狭まる順テーパー形状であって、該順テーパー値が0〜1%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の連続鋳造方法。
- 請求項1〜3の連続鋳造方法によって製造され、表面がモールドフラックスで被覆されていることを特徴とする連続鋳造鋳片。
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