JP2004201666A - 緑内障発症リスク判断のための遺伝子検査方法 - Google Patents

緑内障発症リスク判断のための遺伝子検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】緑内障関連遺伝子と緑内障発症の関係から、緑内障の発症リスクを事前に予知するための遺伝子の検査方法を提供する。
【解決手段】緑内障関連遺伝子であるGPRK7遺伝子のコード領域を含む遺伝子領域における塩基の変異を指標として将来の緑内障の発症を予測する。具体的には、特定の塩基配列における606位のTの欠失、1192位のGからT、1328位のAからG、1378位のCからA、1649位のGからAへの変異を検出することによる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床検査の分野における緑内障関連遺伝子の検査方法および該遺伝子の変異を指標として緑内障発症リスクを予測するための検査方法に関する。例えば緑内障遺伝子として知られているGタンパク結合受容体キナーゼ7(以下「GPRK7」という。)遺伝子の異常を検出し、該検出された異常、すなわち遺伝子の特定位置における塩基の変異を指標として緑内障を診断する遺伝子の検査方法、特に個体について将来発症する可能性を予知するための検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑内障は、目の中にある房水が排出されない状態となり、眼圧が上がって目の機能が落ちる疾患である。放置しておくと、見える範囲が狭まったり、視力が落ちたりして失明する。ただし、眼圧が正常にも関わらず、視神経に障害をきたす場合がある。
【0003】
緑内障は、原発性開放隅角緑内障(POAG)、正常眼圧緑内障(NTG)、原発性閉鎖隅角緑内障(PACG)、先天性緑内障および続発性緑内障の5つの病態に分類され、緑内障の20%が遺伝性のものと言われている。これらのうち、最も多いのがPOAGである。1988年から1989年にかけて社団法人日本眼科医会が実施した全国疫学調査によると、40歳以上の人口のうち3.56%が緑内障患者であると報告されている。
【0004】
緑内障の主な危険因子は家族歴であり、その発症には遺伝子が関与していることが強く示唆される。1996年5月17日に出願されたNguyenらの米国特許第5,789,169号(特許文献1)において、緑内障関連遺伝子としてTIGR(小柱網誘導グルココルチコイド応答)タンパク質をコードする遺伝子が開示された。TIGR遺伝子は、別名MYOC遺伝子としても知られている。特許文献1は、またそのタンパク質のcDNA配列、タンパク質自身、それに結合する分子、および結合分子をコードする核酸分子を開示しており、また緑内障および関連疾患の診断、ならびに心血管疾患、免疫疾患または該タンパク質の発現や活性に影響する他の疾患や状態といった他の疾患または状態の診断のための改善された方法および試薬を提供した。また、緑内障関連遺伝子のうちCYP1B1遺伝子における突然変異を検出し、該突然変異の存在を緑内障の指標として個体における緑内障の診断を行う方法も開示されている(特許文献2:特表2001−512969号公表公報)。さらに、GLC1Eとして知られる原因遺伝子に関して、Rezaie TらがOPTN(Optineurin)遺伝子を同定した(Science. 2002 Feb 8;295(5557):1077−9.(非特許文献1)) (Genbank受入番号NM_021980)。このOPTN遺伝子は過去FIP2遺伝子として知られていた。しかしながら、当該文献においても将来における緑内障の発症リスクを予知する手段は開示されていない。
【0005】
一方、WO 01/88120 A1 国際公開公報(特許文献3)では、該公報の配列表に示すMYOC遺伝子のプロモーター領域である−153位の遺伝子の変異を検出する方法が開示され、遺伝性が心配される家系や未発症キャリアーであることが心配される患者においては、緑内障のスクリーニングとして使用することができることが示されている。しかしながら、緑内障の原因遺伝子として考えられる遺伝子は複数存在するため、単一の遺伝子の変異を検出するだけでは十分ではないことは明らかである。緑内障は潜行性であるため、視神経に対し重大な損傷が起こる前に予防また軽減する方法をとることができるように、緑内障が発生する可能性を早期に診断または効果的に予測する一層優れた方法が要望されている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,789,169号公報
【特許文献2】
特表2001−512969号公表公報
【特許文献3】
国際公開WO01/88120号パンフレット
【非特許文献1】
Science. 2002 Feb 8;295(5557):1077−9.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
遺伝的に緑内障の危険因子を保有し、将来における発症リスクが高い個体を特定し、その個体に関して重点的に緑内障の検査を実施することができれば、効率的に緑内障の早期発見、早期治療をなしうると考えられる。係る状況に鑑みて、本発明は緑内障関連遺伝子と緑内障発症の関係から、緑内障の発症リスクを効果的に予知するための遺伝子の検査方法を提供する事を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、緑内障の発症が遺伝子の変異に関与することに着目し、緑内障患者および非患者の緑内障原因遺伝子のコード領域の遺伝子配列の分析を行い、鋭意研究を重ねた結果、該遺伝子で観察される変異の頻度が患者群と非患者群で有意に異なることを見出した。さらに、この変異の有無により緑内障の有病率が一般集団の有病率と比較した場合に統計的に有意に変化することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
1.緑内障関連遺伝子であるGPRK7遺伝子領域における少なくとも1箇所以上の塩基の変異を検出し、該変異を指標として将来の緑内障の発症を予測することを特徴とする遺伝子の検査方法、
2.遺伝子領域が配列番号1で示される塩基配列である前項1に記載の検査方法、
3.配列番号1で示される塩基配列における1328位のAからGへの置換を検出する前項2に記載の検査方法、
4.配列番号1で示される塩基配列における1378位のCからAへの置換を検出す前項2に記載の検査方法、
5.配列番号1で示される塩基配列における1649位のGからAへの置換を検出する前項2に記載の検査方法、
6.配列番号1で示される塩基配列における1192位のGからTへの置換を検出する前項2に記載の検査方法、
7.配列番号1で示される塩基配列における606位のTの欠失を検出する前項2に記載の検査方法、
8.配列番号1で示される塩基配列における塩基の1以上の置換、欠失および/または挿入を検出する前項2に記載の検査方法、
9.緑内障が開放隅角緑内障および/または正常眼圧緑内障である前項1〜8のいずれか1に記載の検査方法、
10.緑内障関連遺伝子の遺伝子領域の一部に特異的にハイブリッドを形成しうるオリゴヌクレオチドを用いて変異を検出することを特徴とする前項1〜9のいずれか1に記載の検査方法、
11.緑内障関連遺伝子の遺伝子領域の一部に特異的にハイブリッドを形成しうるオリゴヌクレオチドであって、以下に表される配列からなるオリゴヌクレオチドの群より少なくとも1以上選択され、プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド;
1)配列番号6から19のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
2)前記1)に記載のオリゴヌクレオチドの相補鎖。
3)前記1)または2)に記載のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド。
4)前記1)〜3)のいずれか1に記載のオリゴヌクレオチドと約60%の相同性を有するオリゴヌクレオチド。
5)前記1)〜4)に記載のオリゴヌクレオチドのうち、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加といった変異された塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
12.前項11に記載のオリゴヌクレオチドから選択される少なくとも1のオリゴヌクレオチドを用いて核酸増幅処理方法を行うことを含む前項10に記載の検査方法、
13.前項1〜10または12のいずれか1に記載の検査方法に使用する試薬を含んでなる検査用試薬または検査用試薬キット、からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明者らは、緑内障患者および非患者において、配列番号1に示される塩基配列からなる緑内障原因遺伝子を構成する各エキソンのコード領域の遺伝子配列の決定を行った。その過程において、該遺伝子のコード領域に患者群と非患者群で頻度に差が観察される遺伝的多型が存在することを確認した。さらに、この遺伝的多型の有無の検討によって、緑内障の有病率が一般集団の有病率と比較した場合に統計的に有意に変化する事実を見出した。本発明は、上記新知見に基づいて構成される。
【0011】
(緑内障関連遺伝子)
本発明における、緑内障関連遺伝子の例としてGPRK7(Gタンパク結合受容体キナーゼ7)遺伝子が挙げられる。GPRK7遺伝子の構造および配列は、図1および配列番号1に表されているとおりであって、例えば転写されタンパク質に翻訳されるコード領域および翻訳されない非翻訳領域ならびに他の要素がある。該GPRK7遺伝子の塩基の位置は、配列番号1において定めた塩基番号に従う(Genbank 受入番号 22045227)。このGPRK7タンパク質をコードする領域は、翻訳される4個のエキソンから構成される。それぞれのエキソンおよびその周辺の配列は、エキソン1の配列を配列番号2に、エキソン2の配列を配列番号3に、エキソン3の配列を配列番号4に、エキソン4の配列を配列番号5に表す。また、配列番号1に表されるGPRK7遺伝子の塩基配列と、配列番号2から4に表される各エキソンの塩基配列の対応は、配列番号2の301−912位が配列番号1の1−612位に、配列番号3の201−638位が配列番号1の613−1050位に、配列番号4の201−475位が配列番号1の1051−1325位に、配列番号5の201−537位が配列番号1の1326−1662位に対応する。
【0012】
(遺伝子の変異)
本発明の緑内障関連遺伝子の変異とは、GPRK7遺伝子の塩基配列中の特定位置の塩基が、異なる塩基に置換、欠失および/または挿入があることをいう。該特定位置は、配列番号1に示される塩基配列の606位、1192位、1328位、1378位、1649位をいう。
【0013】
(検査方法)
当該遺伝子の変異の検査方法は、本発明によって開示するGPRK7遺伝子の特定の変異を検出しうる限りにおいて、その手法は何ら限定されるものではなく、公知もしくは将来得られうる各種の方法を広く用いることができる。
被験者のGPRK7遺伝子について本発明で開示される変異を検査するために、当該変異位置を含む塩基配列を解析する各種の方法を用いることができる。これらの方法としては、例えばサザンハイブリダイゼーション法、ドットハイブリダイゼーション法(J. Mol. Biol., 98: 503−517 (1975)等参照)、ジデオキシ塩基配列決定法(サンガー法)、DNAの増幅手法を組合せた各種の検出法[例えばPCR−制限酵素断片長多型分析法(RFLP: Restriction fragment length polymorphism)、PCR−単鎖高次構造多型分析法(Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 86: 2766−2770 (1989)等参照)、PCR−特異的配列オリゴヌクレオチド法(SSO: Specific sequence oligonucleotide)、PCR−SSOとドットハイブリダイゼーション法を用いる対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド法(Nature, 324: 163−166 (1986)等参照)]等を例示することができる。本発明によって検出すべき遺伝子変異の位置が開示され特定されている以上、当業者にとっては公知の方法を用いてその変異を検出することができる。
【0014】
(検査用試料の調製)
被験者のGPRK7遺伝子を解析するために、本発明の検査方法に供される検査用試料は、被験者のGPRK7遺伝子を含む生物学的試料であれば良く、特に限定されない。このような生物学的試料としては、生体材料組織、手術切除組織、口腔粘膜組織等の生体から採取した組織の他、血液、血清、糞便、射出精液、喀痰、唾液、脳脊髄液、毛髪等が挙げられる。例えばブレンダーを用いて組織等の生物学的試料を破砕し、フェノール・クロロホルム法などの公知の遺伝子抽出方法で抽出したGPRK7遺伝子を被検用試料とすることができる。さらに抽出したGPRK7を増幅し、濃縮したものを被検用試料とすることができる。
【0015】
ここで、被検用試料は、GPRK7遺伝子の全長DNAでもよく、DNA断片(部分DNA)であってもよい。DNA断片が検査に供される場合には、GPRK7遺伝子のコード領域を含み、少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上のエキソンにかかる領域を含むことが必要である。当該DNA断片は、本発明の遺伝子変異の検出に利用できるもの、即ち、塩基置換の測定のために供される被験DNAとしての測定可能な塩基長を有するものであれば、特にその塩基長について制限はない。そのようなDNAの塩基長として、通常10塩基長程度以上、好ましくは20塩基長程度以上のものを選択することができ、一般的には100〜1000程度の、好ましくは200〜300程度の塩基長からなるものが選択される。
【0016】
また、被検用試料は、DNA、DNA転写産物のいずれであってもよい。具体的には、DNAより転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)でもよいし、さらにそのmRNAから逆転写されたcDNA、あるいは相補DNAであってもよい。本発明の遺伝子変異の検出法において採用され得る各種の操作、例えば、DNAまたはDNA断片の合成、DNAの切断、削除、付加または結合を目的とする酵素処理、DNAの単離、精製、複製、選択、DNA断片の増幅などはいずれも常法に従うことができる(分子遺伝学実験法、共立出版(株)1983年発行等参照)。またこれらは必要に応じて、適宜常法に従い修飾して用いることもできる。
【0017】
被検用試料を調製するための核酸の増幅は、例えばPCR法またはその変法に従って実施することができる(PCRテクノロジー、宝酒造(株)1990年発行等参照)。この場合、緑内障関連遺伝子の一部に特異的にハイブリッドを形成しうるオリゴヌクレオチド、具体的には変異にかかる上記特定位置を少なくとも1以上有する所望のDNA断片を特異的に増幅するように適宜選択したプライマー機能を有するオリゴヌクレオチドを利用することができる。
【0018】
(プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド)
プライマー機能を有するオリゴヌクレオチドとして、例えば1)配列番号6〜19のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、2)前記1)に記載のオリゴヌクレオチドの相補鎖、3)前記1)または2)に記載のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド、4)前記1)〜3)のいずれか1に記載のオリゴヌクレオチドと約60%の相同性を有するオリゴヌクレオチド、5)前記1)〜4)に記載のオリゴヌクレオチドのうち、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加といった変異された塩基配列を含むオリゴヌクレオチド等が挙げられる。PCRによりDNAを増幅するのに好ましい組合せとしては、例えばプライマーF1A(配列番号6)とプライマーR1A(配列番号7)、プライマーF1B(配列番号8)とプライマーR1B(配列番号9)、プライマーF1C(配列番号10)とプライマーR1C(配列番号11)、プライマーF2A(配列番号12)とプライマーR2A(配列番号13)、プライマーF2B(配列番号14)とプライマーR2C(配列番号15)、プライマーF3(配列番号16)とプライマーR3(配列番号17)およびプライマーF4(配列番号18)とプライマーR4(配列番号19)が挙げられる。
【0019】
オリゴヌクレオチドは、自体公知の方法により設計することができ、例えば化学的に合成することができる。あるいは、天然の核酸を制限酵素などによって切断し、上記のような塩基配列で構成されるように改変し、あるいは連結することも可能である。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置(アプライドバイオシステムズ社製 Expedite Model 8909 DNA合成機)等を用いて合成することができる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加といった変異させたオリゴヌクレオチドの合成法も、自体公知の製法を使用することができる。例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖増幅法(PCR)を単独または適宜組み合わせて、例えば、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、2版、Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年;[ラボマニュアル遺伝子工学]、村松正實編、丸善株式会社、1988年;[PCRテクノロジー、DNA増幅の原理と応用]、Ehrlich,HE.編、ストックトンプレス、1989年等に記載の方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することができ、例えばUlmerの技術(Science(1983)219:666)を利用することができる。
【0020】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は一般に知られたものを選択することができ、その一例としては、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム,pH7.6、5×デンハーツ溶液、10%デキストラン硫酸、および20μg/mlのDNAを含む溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーションした後、室温で2×SSC・0.1%SDS中で一次洗浄し、次いで、約65℃において0.1×SSC・0.1%SDSで二次洗浄といった条件があげられる。
【0021】
(DNAの変異の検出)
DNAの変異は、例えば、被検用試料に含まれるGPRK7遺伝子の塩基配列をサンガー法により決定し、検出することができる。
1本鎖の目的GPRK7遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、これをプライマーとして5´から3´方向に相補鎖をDNAポリメラーゼによって合成させる。このときに使用するオリゴヌクレオチドは、例えば上記(プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド)で説明したオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用することができる。
【0022】
反応の基質として4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)のほかに少量のジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)を塩基ごとに別々に加え、相補鎖を合成させる。ddNTPはデオキシリボースの3´位の−OH基が−H基になっているdNTPのアナログ(類似物質)で、dNTPの代わりにddNTPが取り込まれると、それ以上相補鎖が合成されなくなり、様々な長さのDNAが合成される。反応系に、例えば化学発光物質や放射性同位元素(RI)で標識したプライマーやdNTPを加えることにより、合成されるDNAを標識し、反応物を変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動することにより塩基配列を決定することができる。
【0023】
サンガー法に用いるDNAポリメラーゼとして、例えばクレノー(Klenow)酵素、T7ファージや好熱性細菌由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられる。これらは共通してエキソヌクレアーゼ活性を遺伝子工学的に除いてある。当初、サンガー法では目的の遺伝子を1本鎖DNAにして用いていたが、現在では2本鎖プラスミドをそのままアルカリ変性させて用いる方法も多用されている。
【0024】
シークエンス反応はサンガー法またはサイクルシークエンス法により行うことができる。サイクルシークエンス法はサンガー法とPCRを組み合わせた方法で、鋳型DNAを1本鎖にする必要はなく、反応系にDNAとプライマー1種類、dNTPs、ddNTPs、そして耐熱性のDNAポリメラーゼを加えて行う。PCR反応中にddNTPsが取り込まれ、伸長が止まり、結果として3´末端が同一の塩基のDNAが合成される点はサンガー法と同じである。自動シークエンサーのシークエンス反応には、プライマーを蛍光標識したDye primer法と、ddNTPを蛍光標識したDye terminator法、さらに基質のdNTPに標識したInternal−label法等がある。
【0025】
(検査用試薬および検査用試薬キット)
本発明はまた、緑内障の遺伝子検査方法に使用する検査試薬および検査試薬キットも含むものである。検査試薬としては、例えば被検試料増幅用プライマー、被検用試料の塩基配列決定用プライマー、各種ポリメラーゼ、塩基基質、標識物質など本発明の方法に使用されるあらゆる試薬のいずれであっても良い。また、検査用試薬キットは本発明の方法に使用されるあらゆる試薬のうち少なくとも2以上をキットとして使用するものであれば良い。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を用いて具体的に説明する。但し、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0027】
【実施例1】
GPRK7遺伝子のDNA解析
(1)DNAの抽出
被験者から提供を受けた血液を常法に従って処理し、有核細胞よりDNAを抽出した。DNA抽出キットとして製品名「GenとるくんTM(血液用)」(タカラバイオ社製)を用い、同製品規定のプロトコールに従ってDNAを抽出した。
【0028】
(2)鋳型DNAの増幅
得られたDNA抽出液を鋳型とし、PCR増幅用キット、製品名「LATaq(アプライドバイオシステムズ社製)」を用いてPCRにより、GPRK7遺伝子の増幅を行った。
エキソン1から4までの各エキソンの配列は,Genbank受入番号22045227によって開示されており、各配列のうちアミノ酸に翻訳される領域の配列はそれぞれ配列番号2から4のうち、次に表される領域の塩基配列で表される。
エキソン1 配列番号2、 301−912位
エキソン2 配列番号3、 201−638位
エキソン3 配列番号4、 201−475位
エキソン4 配列番号5、 201−537位
【0029】
配列番号6から19の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドを各エキソンを増幅するためのプライマーとして使用した。各プライマーとエキソンとの位置関係は、図2から図5に表される。ただし、各アンチセンスプライマーは配列番号2から5に表される配列の相補鎖に基づく配列からなる。
【0030】
エキソン1用プライマー
順鎖 プライマーF1A 配列番号 6;領域=配列番号2、51−69位
逆鎖 プライマーR1A 配列番号 7;領域=配列番号2、478−495位の相補配列
順鎖 プライマーF1B 配列番号 8;領域=配列番号2、205−224位
逆鎖 プライマーR1B 配列番号 9;領域=配列番号2、815−834位の相補配列
順鎖 プライマーF1C 配列番号 10;領域=配列番号2、503−522位
逆鎖 プライマーR1C 配列番号 11;領域=配列番号2、1029−1048位の相補配列
エキソン2用プライマー
順鎖 プライマーF2A 配列番号 12;領域=配列番号3、40−59位
逆鎖 プライマーR2A 配列番号 13;領域=配列番号3、521−540位の相補配列
順鎖 プライマーF2B 配列番号 14;領域=配列番号3、262−281位
逆鎖 プライマーR2B 配列番号 15;領域=配列番号3、762−782位の相補配列
エキソン3用プライマー
順鎖 プライマーF3 配列番号 16;領域=配列番号4、26−43位
逆鎖 プライマーR3 配列番号 17;領域=配列番号4、639−664位の相補配列
エキソン4用プライマー
順鎖 プライマーF4 配列番号 18;領域=配列番号5、20−39位
逆鎖 プライマーR4 配列番号 19;領域=配列番号5、663−684位の相補配列
PCR反応は、94℃1分の加熱の後、94℃30秒、60℃30秒、72℃
30秒のサイクルを30回実施した。
【0031】
(3)各エキソンのDNA断片の塩基配列決定
上記PCRにより得られたDNA断片について、自動DNAシーケンサーABI Prism3100(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、同製品規定のプロトコールに従って各エキソン毎にDNAの塩基配列を決定した。このとき、各エキソンのPCR反応に用いたプライマーのうち、順鎖プライマーと逆鎖プライマーのいずれかを用いてサイクルシーケンス反応を行った。
【0032】
(4)対照群の各エキソンのDNA断片の塩基配列決定
さらに、対照となる非患者ボランティア群から得られた血液を上記手法に従って処理し、各エキソンのDNA断片において非患者群で多数を占める塩基配列を決定した。
【0033】
【実施例2】
(1)GPRK7遺伝子の塩基配列の多型の解析1
医療機関によって開放隅角緑内障と診断された患者から得られた血液を上記実施例の手法に従って処理し、GPRK7遺伝子の塩基配列を調べ、非患者群の塩基配列と比較した。
その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004201666
【0035】
(2)リスク判定
ベイズの定理にしたがって、GPRK7遺伝子の配列に変異を有する場合の緑内障発症のリスクを予測する。
ある被験者が緑内障を将来発症する確率は、事前に何の情報も無い場合には、疫学的に得られた一般集団における有病率で判断される。この有病率をP(G)とし、緑内障を発症しない確率をP(N)とすると、P(N)=1−P(G)とと表される。
【0036】
一方、GPRK7遺伝子の配列に単一もしくは複数の変異を有する場合をMとして、Mを保有している被験者が緑内障を将来発症する確率を条件付確率P(G|M)とする。ここで、もしP(G|M)>P(G)であるならば、その変異Mを保有している被験者は将来緑内障を発症する確率が一般集団よりも高いことになり、高リスク者と判定される。
【0037】
条件付確率P(G|M)は、以下のように算出される。
緑内障患者群においてMを保有する確率をP(M|G)、非患者においてMを保有する確率をP(M|N)とする。ベイズの定理(図7)よりP(M|N)は式1で示される。P(G)値には、1988年から1989年にかけて社団法人日本眼科医会が実施した全国疫学調査によると、40歳以上の人口のうち3.56%が緑内障患者であると報告されている数値を引用することができる。さらに、緑内障患者および非患者の各位置におけるGPRK7遺伝子の塩基の変異の確率を、各々式1、P(M|G)値、P(M|N)値にあてはめることができる。
【0038】
【式1】
Figure 2004201666
【0039】
以上の数式を用いて変異についてP(G|M)を算出したところ、配列番号1における各位置での変異はそれぞれ、
606位の変異では 7.2倍の割合で、
1192位の変異では 3.0倍の割合で、
1328位の変異では 3.0倍の割合で、
1378位の変異では 3.0倍の割合で、
1649位の変異では 28.1位の割合で、
P(G)よりもP(G|M)の数値が高く算出され、これらの位置で変異を有することが緑内障の高リスク群であることを示すことが判明した。このことより、上記遺伝子の位置における変異を検出することが、開放隅角緑内障の発症リスクの予知に有効であることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる遺伝子の変異に関する情報は、緑内障の将来における発症予測に有効である。本発明の遺伝子検査方法によりGPRK7遺伝子の変異を検出することで、特に開放隅角緑内障の発症を予測することができれば、発症前の段階で発症予防または早期に治療することが可能となる。
【0041】
【配列表】
Figure 2004201666
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【図面の簡単な説明】
【図1】GPRK7遺伝子の構造を示す図である。(実施例1)
【図2】GPRK7遺伝子のエキソン1の構造と対応するプライマーの位置関係を示す図である。(実施例1)
【図3】GPRK7遺伝子のエキソン2の構造と対応するプライマーの位置関係を示す図である。(実施例1)
【図4】GPRK7遺伝子のエキソン3の構造と対応するプライマーの位置関係を示す図である。(実施例1)
【図5】GPRK7遺伝子のエキソン4の構造と対応するプライマーの位置関係を示す図である。(実施例1)
【図6】ベイズの定理を示す図である。(実施例2)

Claims (13)

  1. 緑内障関連遺伝子であるGPRK7遺伝子領域における少なくとも1箇所以上の塩基の変異を検出し、該変異を指標として将来の緑内障の発症を予測することを特徴とする遺伝子の検査方法。
  2. 遺伝子領域が配列番号1で示される塩基配列である請求項1に記載の検査方法。
  3. 配列番号1で示される塩基配列における1328位のAからGへの置換を検出する請求項2に記載の検査方法。
  4. 配列番号1で示される塩基配列における1378位のCからAへの置換を検出する請求項2に記載の検査方法。
  5. 配列番号1で示される塩基配列における1649位のGからAへの置換を検出する請求項2に記載の検査方法。
  6. 配列番号1で示される塩基配列における1192位のGからTへの置換を検出する請求項2に記載の検査方法。
  7. 配列番号1で示される塩基配列における606位のTの欠失を検出する請求項2に記載の検査方法。
  8. 配列番号1で示される塩基配列における塩基の1以上の置換、欠失および/または挿入を検出する請求項2に記載の検査方法。
  9. 緑内障が開放隅角緑内障および/または正常眼圧緑内障である請求項1〜8のいずれか1に記載の検査方法。
  10. 緑内障関連遺伝子の遺伝子領域の一部に特異的にハイブリッドを形成しうるオリゴヌクレオチドを用いて変異を検出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の検査方法。
  11. 緑内障関連遺伝子の遺伝子領域の一部に特異的にハイブリッドを形成しうるオリゴヌクレオチドであって、以下に表される配列からなるオリゴヌクレオチドの群より少なくとも1以上選択され、プライマー機能を有するオリゴヌクレオチド;
    1)配列番号6から19のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
    2)前記1)に記載のオリゴヌクレオチドの相補鎖。
    3)前記1)または2)に記載のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド。
    4)前記1)〜3)のいずれか1に記載のオリゴヌクレオチドと約60%の相同性を有するオリゴヌクレオチド。
    5)前記1)〜4)に記載のオリゴヌクレオチドのうち、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加といった変異された塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
  12. 請求項11に記載のオリゴヌクレオチドから選択される少なくとも1のオリゴヌクレオチドを用いて核酸増幅処理方法を行うことを含む請求項10に記載の検査方法。
  13. 請求項1〜10または12のいずれか1に記載の検査方法に使用する試薬を含んでなる検査用試薬または検査用試薬キット。
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