JP2004201394A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力変換装置内の温度を所定温度以下に制御する。
【解決手段】太陽電池から電力変換装置に入力される入力電力が予め設定されている入力電圧の制限値を上回っている時は、太陽電池からの入力電力が減少する方向に太陽電池の動作電圧を制御する。その結果、インバータ内での電力損失を低減し、インバータ筐体の温度上昇を抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する電力変換に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、地球環境の関心の高まりから太陽光発電システムについて盛んに研究開発が行われている。現在広く普及している太陽光発電システムの形態は、太陽電池モジュールを複数枚直並列接続して太陽電池アレイを構成し、これらの電力を集電した後に電力変換装置に入力して直流/交流変換された後に、商用系統に接続する形態である。この時に使用される太陽光発電用電力変換装置は、容量3〜5kw、大きさ10000〜30000ccであり、主に住宅の外壁や玄関等に取り付けられる。
【0003】
また近年、一枚の太陽電池モジュールに、同容量(おおよそ100W)のインバータをセットとし、一枚の太陽電池モジュールから交流電力が出力するインバータ一体型太陽電池モジュール(ACモジュール)の開発が進められている。ユーザーが太陽電池モジュール一枚単位で気軽に購入・設置することができるようにすることで、太陽電池を広く普及させることを目的としている。
【0004】
ここで使用されるACモジュール用のインバータは、設置場所を取らず、またユーザーが簡単に扱えるように小型(100〜300cc)であることが望まれている。そのため、電力変換装置内でのスイッチング動作を高速化してインバータの内部部品(高周波トランス・コイル・コンデンサ)の小型化を図ったり、搭載部品数を削減することでインバータの小型化を目指している(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−271179号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記説明したACモジュール用のインバータは、太陽電池モジュールと接続され、太陽光発電システムとして運転しているが、インバータに接続される太陽電池モジュールの性能、直並列数、設置条件、自然条件によっては、インバータ温度が上昇する場合、すなわちインバータの内部発熱量が大きい場合、がある。
【0007】
しかしながら、インバータ温度が上昇しすぎると、インバータの故障原因となる。またさらに、インバータを屋内に設置する場合には、ユーザーがインバータに接触する可能性もあり、その際にインバータ温度が上昇しすぎているとユーザーがやけどするおそれもある。
【0008】
本発明は上記説明した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電力変換装置内の温度を所定温度以下に制御することができる電力変換装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の電力変換装置は、以下の構成を有する。すなわち、入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する変換手段と、前記変換手段に入力される直流電圧および直流電流を検出する検出手段と、前記検出された直流電圧および直流電流から入力電力を算出する入力電力算出手段と、前記変換手段で変換する前記入力される直流電力の制限値を設定する制限値設定手段と、前記算出された入力電力と前記入力される直流電力の制限値とに基づいて、前記変換手段に入力される直流電力が前記制限値より小さくなるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する変換部と、変換部に入力される直流電圧および直流電流を検出する検出部と、検出された直流電圧および直流電流から入力電力を算出する入力電力算出部と、変換部で変換する入力される直流電力の制限値を設定する制限値設定部と、算出された入力電力と入力される直流電力の制限値とに基づいて、変換部に入力される直流電力が制限値より小さくなるように制御する制御部と、を有することを特徴とする電力変換装置として実施可能である。
【0011】
このような発明は、具体的に図1〜図11に示す構成において、以下の第1〜3の実施形態と対応して実現できる。
【0012】
以下に図面を参照して、本発明に係る電力変換装置の一実施形態について説明する。
【0013】
なお以下の説明では、本発明に係る電力変換装置の一例として、太陽電池モジュールと接続でき、太陽電池モジュールから入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する電力変換装置(インバータ)を用いて説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0014】
[インバータ温度上昇の抑制原理:図4A,4B]
最初に、本実施形態におけるインバータの温度上昇の抑制原理について図4A,4Bを用いて説明する。
【0015】
インバータ入力側には、様々なタイプの太陽電池モジュールを接続することができるが、この太陽電池モジュールの動作電圧は、太陽電池モジュールの性能、太陽電池モジュールの直列接続数によって変化する。また、同じ太陽電池モジュールであっても、太陽電池モジュール温度、太陽電池モジュールに照射される日射エネルギーによっても変動する。
【0016】
本発明者が様々なタイプの太陽電池モジュールとインバータを組み合わせ、また様々な自然条件化で鋭意研究した結果、系統連系インバータにおいて、出力電力が一定条件の場合、インバータへの入力電圧Vと、インバータ主回路変換効率ηの関係グラフに表すと、図4Aのようになることがわかった。
【0017】
すなわち、一定出力条件下で、インバータ入力電圧Vが高くなる(V1→V2…→V7)と、インバータ主回路変換効率η(%)が低下(η1→η2…→η7)する。ここで、インバータ内部での電力損失ΔPは、100−ηに比例するため、図4Aに示すようにインバータ主回路変換効率η(%)が低下するとインバータ内部での電力損失ΔPは増加する。
【0018】
一方、インバータ内部での電力損失ΔPとインバータの温度上昇の関係は条件によって異なるが一例を示せば、図4Bのようになることがわかった。したがって、図4A、図4Bに示す知見から、インバータ主回路変換効率ηが低下しインバータ内部での電力損失ΔPが増加すると、インバータの温度が上昇する。
【0019】
このため、インバータ内部での電力損失ΔPが所定値以上となるとインバータの温度上昇に伴いインバータの運転停止の原因となる。
【0020】
しかしながら、インバータの入力電圧を制御し、インバータ内部での電力損失ΔPを所定値以下となるように制御すれば、インバータ内の温度上昇を所定値以下に制御することができる。このためインバータ内部に従来行われているような温度検出手段や温度制御手段などを設けることなしにインバータ内の温度を所定値以下に保つことができる。
【0021】
本発明では、上記説明した知見を利用し、インバータへ入力される入力電圧、入力電力に基づいて予めインバータ内部での電力損失を想定し、次に、この電力損失を一定値以下に抑えるようにインバータへ入力される入力電圧を制御することにより、インバータの温度上昇を抑制するものである。
【0022】
[第1の実施形態]
(電力変換装置の内部構造:図2)
図2に、本実施形態に用いる電力変換装置であるインバータの構造の一例を示す。211は太陽電池モジュール(図示せず)や太陽電池モジュールを複数枚直列接続した太陽電池アレイ(図示せず)などから直流電力を入力する入力端子であり、212は交流に変換された電力を系統や交流負荷に出力する出力端子である。24はインバータ回路であり、4つのスイッチング素子を制御することによって、直流を交流に変換する。
【0023】
25は交流出力の開閉を行う連系リレーであり、232は入力端子から入力された電圧を検出する入力電圧検出器であり、231は入力された電流を検出する入力電流検出器であり、234は直流/交流変換回路によって直交変換され出力される電圧を検出する出力電圧検出器であり、233は出力される電流を検出する出力電流検出器であり、235は出力端子側から入力される電圧を検出する系統電圧検出器である。
【0024】
26はマイクロプロセッサなどからなる制御回路である。この制御回路26では、直流の入力電圧検出器232や直流の入力電流検出器231により検出された値(直流電圧値、直流電流値)に応じて、太陽電池アレイから最大電力を取り出す制御(最大電力追従制御)や、インバータ回路24のスイッチング素子の制御や、連系保護などを行っており、これらの制御は、主にI/Oポート、A/D変換器、タイマ、メモリ等の機能をワンチップ化したワンチップマイコンにより行われている。また、制御回路26を動作させるための制御電源は、入力端子から入力される電力を制御電源生成回路28によって所定の電圧に変換して制御回路26に供給される。
【0025】
(制御回路の構成:図3)
制御回路26としては、ワンチップマイコンを用いている。このマイコンは、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、16ビットタイマ、I/Oポート等の機能をワンチップに収めたものであり、水晶発振器やコンデンサ等の外付け部品を接続することによって、電力変換装置の制御に必要な各種の制御を行うことができる。また、制御回路26としては、マイコンだけではなく、ディスクリート部品、IC、受動部品等を組み合わせた回路を用いることももちろん可能である。
【0026】
(制御回路による電流制御:図3)
制御回路26による正弦波電流制御方法について図3を参照して説明する。
交流の出力電流検出器233によって検出された電流値は、バンドパスフィルタ(不図示)を通して商用周波数成分(50 または 60Hz)のみ抽出され、誤差増幅回路35の一方に入力される。基準正弦波発生回路37からは、インバータ回路24から出力される出力電流の目標周波数となる50 または 60Hzの基準正弦波信号が出力される。出力電流指令回路38からは、インバータ回路24から出力される出力電流の目標値となる出力電流指令値が出力され、基準正弦波信号と出力電流指令値を掛け合わせて、インバータ電流指令値が生成される。
【0027】
生成されたインバータ電流指令値を誤差増幅回路35のもう一方に入力し、交流の出力電流検出器233によって検出されたインバータ出力電流値と、インバータ電流指令値との誤差が、誤差信号として出力される。また、キャリア発振回路36からは、三角波キャリア信号が出力され、比較回路34にて誤差信号と三角波キャリア信号を比較することにより、スイッチング素子のPWM制御信号が出力される。
【0028】
このPWM制御信号をゲート駆動回路33に入力し、PWM制御信号によってフルブリッジ回路を構成するインバータ回路24の4つのスイッチング素子をオン・オフ制御し、スイッチング素子後段のフィルタ(図示せず)を通じて、インバータから交流電流が出力される。
【0029】
(従来用いられている最大電力点制御:図5)
次に、上記電力変換装置に入力される太陽電池の最大電力点制御(Max Power Point Tracking(MPPT))について説明する。以下の説明では、まず、本実施形態の電力変換装置を用いて行う最大電力点制御方法について説明する前に、従来の電力変換装置で行われている、入力される太陽電池の最大電力点制御方法(山登り法)について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
図5の最大電力点制御方法では、初期条件として、初期設定電圧Vinit、電圧変化幅ΔV、初期電圧変化方向は電圧増加方向とする。
【0031】
最初にステップS01にて、初期動作電圧ViをVi=Vinitに設定し、太陽電池電圧をViに制御する。
【0032】
ステップS02にて、太陽電池の動作電圧Vi、動作電流Iiを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Piを算出し、ステップS03にて、太陽電池の電圧変化方向を確認する。
【0033】
電圧変化方向が増加の場合は、ステップS04にて動作電圧をVj=Vi+ΔVに設定し、電圧変化方向が減少の場合は、ステップS08にて動作電圧をVj=Vi−ΔVに設定し、太陽電池電圧をVjに制御する。
【0034】
ステップS05にて、太陽電池の動作電圧Vj、動作電流Ijを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Pjを算出する。
ステップS06にて、直流電力PiとPjを比較し、Pi<Pjであれば、ステップS07にてVj、Ij、PjをVi、Ii、Piに代入した後に、電圧変化方向を確認し、ステップS04またはステップS08にて動作電圧を設定し、太陽電池電圧を制御する。
【0035】
また、ステップS06での比較結果がPi>Pjであれば、ステップS09にて電圧変化方向を反転させ、ステップS10にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、今度は先ほどの電圧変化方向とは反対側に動作電圧を移動させ、太陽電池電圧を制御する。
【0036】
このステップS01〜ステップS10の制御ステップを所定周期(例えば1秒)ごとに行い、太陽電池動作電圧を制御することによって、太陽電池を最大電力点で発電するように制御を行うことができる。
【0037】
しかしながら、上記方法では、電力変換装置内の温度を所定温度以下に制御することができないため、別途電力変換装置内部に温度検出手段や温度制御手段などを用意する必要があり、電力変換装置を製造するための部品点数が増加し、小型化に適さなかった。
【0038】
(第1の実施形態の最大電力点制御方法:図1)
次に、本実施形態に係る太陽電池を最大電力点で発電するための最大電力点制御方法について図1のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
[制限入力電力:図6、マトリックス:図7]
まず、インバータ入力電圧Vinに対する制限入力電力P_limitを図6のグラフのように設定し、これに対して図7のようなマトリックスを作成し、メモリ上にあらかじめ用意する。このマトリックスは、制御回路内のマイコンのROM領域に保存されているが、マイコンとは独立したROM-IC内に保存されていても構わない。 実際の制御動作は、初期設定電圧Vinit、電圧変化幅ΔV、初期電圧変化方向は電圧増加方向とすると、まず最初にステップS101にて、初期動作電圧Vi=Vinitを設定し、太陽電池電圧をViに制御する。
【0040】
ステップS102にて、太陽電池の動作電圧Vi、動作電流Iiを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Piを算出する。
【0041】
ステップS103にて、太陽電池の電圧変化方向を確認する。電圧変化方向が増加の場合は、ステップS104にて動作電圧をVj=Vi+ΔVに設定し、電圧変化方向が減少の場合は、ステップS111にて動作電圧をVj=Vi−ΔVに設定し、太陽電池電圧をVjに制御する。
【0042】
ステップS105にてVjの値に応じた入力制限電力値P_limitをメモリ上のマトリックスから読み出して設定する。
その後、ステップS106にて太陽電池の動作電圧Vj、動作電流Ijを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Pjを算出する。
【0043】
ステップS107にて、直流電力PiとPjを比較し、 Pi>Pjであれば、電圧変化により太陽電池出力電力が減少方向に移動している状態であるため、ステップS109にて電圧変化方向を反転させ、ステップS110にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、その後ステップS102に戻り、通常のMPPT動作を継続する。
【0044】
PiとPj の比較結果がPi<Pjであれば、 さらにステップS108にてPjとPlimitの比較を行い、Pj< Plimitの場合は、ステップS112にてVj、Ij、PjをVi、Ii、Piに代入し、ステップS103に移行して通常のMPPT動作を継続する。
【0045】
PjとPlimitの比較結果がPj>Plimitであれば、 現状の太陽電池出力電力は、インバータ入力電圧に対する制限入力電力値を上回っている状態であるため、ステップS109にて電圧変化方向を反転させ、ステップS110にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、太陽電池電力が小さくなる方向に太陽電池電圧を制御する。
【0046】
このように本発明の第1の実施形態の電力変換装置では、直流電力の制限値は入力される電圧に応じて変化するように設定されていることが好ましい。
【0047】
また例えば、電力の制限値は入力される電圧が増加すると減少するように設定されていることが好ましい。
【0048】
また例えば、入力される電圧に対する直流電力の制限値を記載したテーブルを記憶した記憶部を有し、制御部は、テーブルを参照しながら制御することが好ましい。
【0049】
また例えば、制御部は、算出された入力電力が入力される直流電力の制限値を超える場合に、変換部に入力される直流電圧が低下するように制御することが好ましい。
【0050】
また例えば、制御部は、入力電力算出部によって得られる入力電力の算出値が最大となるように入力される直流電圧および直流電流を制御することが好ましい。
【0051】
このように、本発明の第1の実施形態の電力変換装置では、太陽電池出力電力がインバータ入力電圧に対する制限入力電力値を上回っている時は、太陽電池出力電力が減少する方向に太陽電池の動作電圧を制御することにより、インバータ内での電力損失を小さくする。
【0052】
これにより、インバータ筐体の温度上昇を抑制し、ユーザーに対して安全を確保することができる。なお、本実施形態のインバータでは、従来使用していたようなインバータ内の温度を一定温度以下に制御するための温度検出手段を用いていないため、その分、インバータ作製費用の削減やインバータの小型化が可能となる。
【0053】
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0054】
本実施形態では、インバータ入力電圧に対して、警告報知電力値P_alarm、出力制限電力値P_limitを設定し、インバータ入力電力値が警告報知電力値を超えた時は、警告報知手段によりユーザーに警告を報知し、出力制限電力値を超えた場合は、入力電力を抑制する制御を行う。なお、警告報知手段としてはLEDを用い、インバータ入力電力値が警告報知電力値を超えた場合はLEDを点滅表示、インバータ入力電力値が出力制限電力値を超えた場合はLEDを点灯表示するように制御する。
【0055】
[第2の実施形態の制御方法:図10]
本実施形態での制御方法について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
[警告報知電力値、制限入力電力:図8、マトリックス:図9]
まず、インバータ入力電圧Vinに対する警告報知電力値P_alarm、制限入力電力P_limitを図8のグラフのように設定し、これに対して図9のようなマトリックスを作成し、メモリ上にあらかじめ用意する。このマトリックスは、制御回路内のマイコンのROM領域に保存されているが、マイコンとは独立したROM-IC内に保存されていても構わない。
実際の制御動作は、初期設定電圧Vinit、電圧変化幅ΔV、初期電圧変化方向は電圧増加方向とすると、まず最初にステップS201にて、初期動作電圧Vi=Vinitを設定し、太陽電池電圧をViに制御する。
【0057】
ステップS202にて、太陽電池の動作電圧Vi、動作電流Iiを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Piを算出する。
【0058】
ステップS203にて、太陽電池の電圧変化方向を確認する。
電圧変化方向が増加の場合は、ステップS204にて動作電圧をVj=Vi+ΔVに設定し、電圧変化方向が減少の場合は、ステップS205にて動作電圧をVj=Vi−ΔVに設定し、太陽電池電圧をVjに制御する。
【0059】
ステップS206にて、Vjの値に応じた警告報知電力値P_alarm、入力制限電力値P_limitをメモリ上のマトリックスから読み出して設定する。
【0060】
その後、ステップS207にて太陽電池の動作電圧Vj、動作電流Ijを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Pjを算出する。
【0061】
ステップS208にて、PjをP_alarm、P_limitと比較する。
Pj<P_alarmの時は、ステップS209にて状態表示用LEDを消灯した後に、ステップS213に移行する。
【0062】
P_alarm<Pj<P_limitの時は、ステップS210にて状態表示用LEDを点滅させた後に、ステップS213に移行する。
P_limit<Pjの時は、ステップS211にて状態表示用LEDを点灯させた後に、ステップS215に移行する。
【0063】
ステップS213では、直流電力PiとPjを比較し、 Pi>Pjであれば、電圧変化により太陽電池出力電力が減少方向に移動している状態であるため、ステップS216にて電圧変化方向を反転させ、ステップS217にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、ステップS202に戻り、通常のMPPT動作を継続する。
【0064】
PiとPj の比較結果がPi<Pjであれば、ステップS212にてVj、Ij、PjをVi、Ii、Piに代入し、ステップS203に移行して通常のMPPT動作を継続する。
【0065】
ステップS214においても同様に直流電力PiとPjを比較し、 Pi<Pjであれば、現状の太陽電池出力電力は、その時のインバータ入力電圧に対する制限入力電力値を上回っている状態であるため、ステップS216にて電圧変化方向を反転させ、ステップS216にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、太陽電池電力が小さくなる方向に太陽電池電圧を制御する。
【0066】
PiとPj の比較結果がPi>Pjであれば、ステップS215にてVj、Ij、PjをVi、Ii、Piに代入し、この場合もこのまま太陽電池出力電力が小さくなる方向に太陽電池電圧を制御する。
【0067】
このように本発明の第2の実施形態の電力変換装置では、制御部は、算出された入力電力が入力される直流電力の制限値への接近を知らせる警報値を超えた場合に該警報値を超えたことを知らせ、算出された入力電力が入力される直流電力の制限値を超えた場合に該警報値を超えたことを知らせることが好ましい。
【0068】
このように、本発明の第2の実施形態の電力変換装置では、太陽電池出力電力がその時のインバータ入力電圧に対する警告報知電力値を上回っている時は、LEDを点滅させることにより、インバータ筐体温度上昇への注意を喚起し、制限入力電力値を上回っている時は、太陽電池入力電力が減少する方向に太陽電池の動作電圧を制御することにより、インバータ内での電力損失を小さくすることで、インバータ筐体の温度上昇を抑制し、ユーザーに対して安全を確保することができる。
【0069】
[第3の実施形態]
次に本発明の第3の実施形態を示す。
【0070】
本実施形態では、インバータに入力される電流、電圧から入力電力値を演算し、また同様にインバータから出力される電流、電圧から出力電力値を演算し、(入力電力値)−(出力電力値)からインバータにおける損失値を算出し、この値をインバータ許容損失P_llimit以内に制御することで、インバータ筐体温度の上昇を防止している。
【0071】
[第3の実施の形態の制御方法:図11]
本実施形態での制御方法について図11のフローチャートを参照して説明する。
【0072】
初期設定電圧Vinit、電圧変化幅ΔV、初期電圧変化方向は電圧増加方向、インバータ許容損失P_llimitとすると、まず最初にステップS301にて、初期動作電圧Vi=Vinitを設定し、太陽電池電圧をViに制御する。
【0073】
ステップS302にて、太陽電池の動作電圧Vi、動作電流Iiを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Piを算出する。
【0074】
ステップS303にて、インバータの出力電圧Vi、出力電流Iiを出力電圧検出手段、出力電流検出手段にて検出し、交流電力Piを算出する。
【0075】
ステップS304にて、太陽電池の電圧変化方向を確認する。
電圧変化方向が増加の場合は、ステップS305にて動作電圧をVj=Vi+ΔVに設定し、電圧変化方向が減少の場合は、ステップS313にて動作電圧をVj=Vi−ΔVに設定し、太陽電池電圧をVjに制御する。
【0076】
ステップS306にて太陽電池の動作電圧Vj、動作電流Ijを電圧検出手段、電流検出手段にて検出し、直流電力Pjを算出する。
【0077】
ステップS307にて、インバータの出力電圧Vl、出力電流Ilを出力電圧検出手段、出力電流検出手段にて検出し、交流電力Plを算出する。
【0078】
ステップS308にて、直流電力(インバータ入力電力)Pjとインバータ出力電力Plの差、すなわち、インバータ損失P_lossを算出する。
【0079】
ステップS309にて、インバータ損失P_lossとインバータ許容損失P_llimitとを比較する。
【0080】
P_lossとP_llimitの比較結果がP_loss< P_llimit であれば、ステップS310にてPiとPjを比較し、 Pi>Pjであれば、ステップS311にて電圧変化方向を反転させ、ステップS312にて太陽電池電圧をViに戻すよう制御し、通常のMPPT動作を継続する。PiとPj の比較結果がPi<Pjであれば、ステップS316にてVj、Ij、PjをVi、Ii、Piに代入し、通常のMPPT動作を継続する。
【0081】
P_lossとP_llimitの比較結果がP_loss>P_llimitであれば、ステップS314にて電圧変化方向を減少に設定し、ステップS315にてVi=Vj−ΔVに設定し、太陽電池電圧をViに制御する。
【0082】
このように、本発明の第3の実施形態の電力変換装置は、入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する変換部と、変換部に入力される直流電圧と直流電流とを検出する第1検出部と、入力される直流電圧および直流電流から変換部に入力される直流電力を算出する入力電力算出部と、変換部から出力される電圧および電流を検出する第2検出部と、出力される電圧および電流から出力電力を算出する出力電力算出部と、変換部に入力される直流電力と、変換部からの出力電力とから得られる電力損失が制限値以内となるように入力される直流電圧を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0083】
また例えば、電力損失は出力電圧と入力電力との電力差により得られることが好ましい。
【0084】
このように、本発明の第3の実施形態の電力変換装置では、インバータ入力電力値、出力電力値よりインバータにおける損失値を算出し、この値を許容値以内に制御することで、インバータ筐体の温度上昇を抑制し、ユーザーに対して安全を確保することができる。
【0085】
また、第2の実施形態と同様に入力電力を制限するための損失電力値と、ユーザーに報知するだけで、入力電力の制限を行わない損失電力値の2つのしきい値を設けて制御してもよい。
【0086】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0087】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体およびプログラム自体が本発明を構成することになる。
【0088】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0089】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0090】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0091】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図1,10,11に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0092】
以上説明したように、本発明者は、様々なタイプの太陽電池モジュールとインバータを組み合わせ、また様々な自然条件化で鋭意研究した結果、系統連系インバータにおいて、出力電力が一定条件の場合、インバータへの入力電圧とインバータ主回路変換効率の関係(図4A、図4B)すなわち、一定出力条件下で、インバータ入力電圧が高くなると、インバータ主回路変換効率が低下し、インバータの電力損失が上昇するためインバータ内部が温度上昇する関係を見いだした。
【0093】
本発明では、これらの知見を利用し、インバータの入力電圧、入力電力によって予めインバータ内部での電力損失を想定し、これを一定値以下に抑えることにより、インバータの温度上昇を抑制することが可能となった。
【0094】
このように、本実施形態の電力変換装置では、太陽電池からインバータへ入力される入力電力がインバータ入力電圧に対する制限値を上回っている時は、太陽電池からの入力電力が減少する方向に太陽電池の動作電圧を制御することによりインバータ内での電力損失を小さくする。これにより、インバータ筐体の温度上昇を抑制し、ユーザに対する安全を確保することができる。
【0095】
また、本実施形態の電力変換装置では、インバータ入力電力値、出力電力値よりインバータにおける損失値を算出し、この値を許容値以内に制御することで、インバータ内での電力損失を小さくすることで、インバータ筐体の温度上昇を抑制し、ユーザに対する安全を確保することもできる。
【0096】
したがって、本実施形態の電力変換装置では、従来必要であった温度検出手段は不要であるためその分小型で低コストでかつユーザーに安全な電力変換装置を提供することが可能となる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したとおり本発明の電力変換装置では、電力変換装置の部品点数を増加させる温度検出手段などを用いずに、電力変換装置内の温度を所定温度以下に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図2】インバータの内部を説明する図である。
【図3】インバータの電流制御に関する説明図である。
【図4A】インバータ入力電圧に対するインバータ変換効率を表す図である。
【図4B】インバータ入力電圧に対するインバータ変換効率を表す図である。
【図5】インバータの最大電力点制御を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるインバータ入力電圧とインバータ制限入力電力を表す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるインバータ入力電圧とインバータ制限入力電力を表すマトリックスである。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるインバータ入力電圧とインバータ制限入力電力、警報表示電力を表す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるインバータ入力電圧とインバータ制限入力電力、警報表示電力を表すマトリックスである。
【図10】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
211:入力端子、
212:出力端子、
231:入力電流検出器、
232:入力電圧検出器、
233:出力電流検出器、
234:出力電圧検出器、
235:系統電圧検出器、
24:インバータ回路、
25:連系リレー、
26:制御回路、
28:制御電源生成回路、
31:インバータ回路、
32:電流検出器、
33:ゲート駆動回路、
34:比較回路、
35:誤差増幅回路、
36:キャリア発振回路、
37:基準正弦波発生回路、
38:出力電流指令回路

Claims (1)

  1. 入力される直流電力を直流電力又は交流電力に変換する変換手段と、
    前記変換手段に入力される直流電圧および直流電流を検出する検出手段と、
    前記検出された直流電圧および直流電流から入力電力を算出する入力電力算出手段と、
    前記変換手段で変換する前記入力される直流電力の制限値を設定する制限値設定手段と、
    前記算出された入力電力と前記入力される直流電力の制限値とに基づいて、前記変換手段に入力される直流電力が前記制限値より小さくなるように制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする電力変換装置。
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