JP2004200404A - 薄膜除去装置および薄膜除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザアブレーション現象による薄膜除去の際に発生するパーティクルの基板表面への付着を防止する。
【解決手段】薄膜除去対象領域Aが分割領域A1,A2に2分割されて、まず、ウエハW上に形成されている水流の方向に関して上流側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされることにより、その分割領域A1からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。次に、ウエハWが180度回転されて、分割領域A2が分割領域A1よりも水流の方向に関して上流側に位置した状態にされ、この状態で、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされることにより、分割領域A2からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。分割領域A1からの薄膜除去時に分割領域A2にパーティクルが付着しても、その付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。
【選択図】 図2
【解決手段】薄膜除去対象領域Aが分割領域A1,A2に2分割されて、まず、ウエハW上に形成されている水流の方向に関して上流側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされることにより、その分割領域A1からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。次に、ウエハWが180度回転されて、分割領域A2が分割領域A1よりも水流の方向に関して上流側に位置した状態にされ、この状態で、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされることにより、分割領域A2からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。分割領域A1からの薄膜除去時に分割領域A2にパーティクルが付着しても、その付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面にレーザ光を照射して、その基板の表面に形成されている薄膜を除去する薄膜除去装置および薄膜除去方法に関する。薄膜除去の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、多層構造の半導体装置の製造プロセスでは、フォトリソグラフィ工程が繰り返されて、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)上に、パターニングされた配線層や絶縁層が積層形成されていく。各層間における位置関係を適切にするためには、パターニング対象層上に積層されたレジスト膜を選択的に露光する際のウエハのアライメント(位置決め)が重要になる。ウエハのアライメントは、たとえば、ウエハ上に形成されているアライメントマークをCCDカメラで検出し、その検出結果に基づいて、ウエハの位置を調整することにより達成される。
【0003】
一方、露光時におけるレジスト膜の下層での不要な光反射は、レジストパターンのライン・エッジ・ラフネス(LER)の悪化を招くので、パターニング対象層とレジスト膜との間には、通常、その不要な光反射を防止するための反射防止膜が設けられる。
ところが、反射防止膜が設けられていると、ウエハ表面への露光光の照射では、CCDカメラでアライメントマークを検出できず、ウエハをアライメントすることができない。反射防止膜に吸収されない波長の光をウエハ表面に照射すれば、CCDカメラでアライメントマークを検出できるが、そのような波長の光をウエハ表面に照射するための光学系は、露光精度を維持する必要性から露光光軸上に配置することはできないので、アライメントマークの検出誤差が大きく、結果として、アライメントの精度が低くなってしまう。また、いわゆるスピンコータによって形成されるレジスト膜は、ウエハの中央部で凹んだ表面形状を有しているため、ウエハの周縁部では、レジスト膜の表面が傾斜していることによって光が屈折し、アライメントマークを正確に検出することができず、アライメント誤差はさらに増大する。
【0004】
そこで、ウエハのアライメントに際しては、ウエハ上に形成されているアライメントマークを露出させるために、そのアライメントマーク上の一定領域からレジスト膜および反射防止膜などの薄膜が除去される。
ウエハ表面の薄膜を除去するための装置として、最近、レーザアブレーション現象を利用した薄膜除去装置が注目されている。この種の薄膜除去装置では、たとえば、ウエハを載置するためのウエハステージと、このウエハステージに載置されたウエハの表面にレーザ光を照射するためのレーザ照射系とが備えられており、レーザ照射系からウエハ表面の薄膜を除去すべき領域にレーザ光が一括照射される。レーザ光が照射された領域では、ウエハ表面の薄膜が爆発的に気化するアブレーション現象が生じ、その結果、レーザ光が照射された領域からウエハ表面の薄膜が除去される(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−113779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、レーザアブレーション現象を利用した薄膜除去装置では、レーザアブレーション現象によって生じた薄膜の気化物が、パーティクルとなって、ウエハの表面に付着するという問題があった。
この問題を解決するためには、たとえば、ウエハ上に水流を形成し、薄膜の気化物がパーティクルとなってウエハの表面に付着する前に、その水流で薄膜の気化物およびその気化物から生じたパーティクルをウエハ上から排出することが考えられる。
【0007】
そこで、本願発明者は、ウエハ上に水流を形成するための水流ノズルを設けて、ウエハ上に水流を形成しつつ、ウエハ表面へレーザ光を照射して薄膜を除去することを試みた。しかし、薄膜除去後のウエハの表面には、とくに、水流の方向に関して薄膜が除去された領域の下流側にパーティクルが付着していることが多く、ウエハ上に水流を形成しただけでは、ウエハの表面へのパーティクルの付着を防止できないことがわかった。
【0008】
この発明は、かかる背景の下でなされたものであり、その目的は、レーザアブレーション現象による薄膜除去の際に発生するパーティクルの基板表面(薄膜除去対象領域の周囲)への付着を防止できる薄膜除去装置および薄膜除去方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域(A)にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する薄膜除去装置であって、基板表面にスリット形状のレーザ光像を結像させるレーザ光像結像手段(2)と、基板表面に結像されるレーザ光像と基板とを相対的に移動させて、基板表面でレーザ光像をスキャンさせるスキャン手段(12)と、上記薄膜除去対象領域を第1分割領域(A1)および第2分割領域(A2)に2分割して、上記第1分割領域内をレーザ光像がスキャンした後に、上記第2分割領域内をレーザ光像がスキャンするように、上記スキャン手段によるレーザ光像のスキャンを制御するスキャン制御手段(5)と、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する流れ形成手段(4,13,14;41,42)とを含むことを特徴とする薄膜除去装置である。
【0010】
上記レーザ光像結像手段は、スリット形状のレーザ光像を上記第1分割領域および第2分割領域の隣接方向に交差(好ましくは、直交)する方向に沿った状態に結像させるものであり、上記スキャン手段は、基板表面でレーザ光像をその長手方向に交差する方向(好ましくは、上記第1分割領域および第2分割領域の隣接方向)にスキャンさせるものであることが好ましい。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0011】
上記の構成によれば、第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に第1分割領域から発生する薄膜気化物は、基板上を第1分割領域から第2分割領域に向けて流れる流体によって流されるので、第1分割領域よりも流体の流れ方向の上流側にはほとんど飛散せず、第1分割領域よりも下流側に位置する第2分割領域にパーティクルとなって付着する。第1分割領域からの薄膜除去後には、第2分割領域がレーザ光像でスキャンされるから、第2分割領域に付着したパーティクルは第2分割領域内の薄膜とともに除去される。また、第2分割領域からの薄膜除去時には、第2分割領域から第1分割領域に向かう流体の流れが基板上に形成されるので、第2分割領域から発生する薄膜気化物は、第1分割領域よりも流体の流れ方向の上流側にはほとんど飛散しない。よって、基板の表面(薄膜除去対象領域の周囲)へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域内の薄膜を良好に除去することができる。
【0012】
なお、第2分割領域からの薄膜除去時に第1分割領域にパーティクルが付着した場合には、第2分割領域からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域をスリット形状のレーザ光像で再びスキャンすることによって除去(クリーニング)することができる。こうすることにより、パーティクルの付着量がより少ない基板を得ることができる。
上記流れ形成手段は、請求項2記載のように、基板表面に流体を供給して、一定方向の流体の流れを基板上に形成するための流体供給手段(4)と、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと同順で上記一定方向に隣接し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと逆順で上記一定方向に隣接するように、基板表面に沿った平面内で基板を回転させる基板回転手段(13;14)とを含むものであってもよい。
【0013】
また、上記流れ形成手段は、請求項3記載のように、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第1流体供給手段(41)と、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第2流体供給手段(42)とを含むものであってもよい。
【0014】
請求項4記載の発明は、基板(W)表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域(A)にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する方法であって、上記薄膜除去対象領域を第1分割領域(A1)および第2分割領域(A2)に2分割して、基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第1分割領域内でスキャンさせる第1スキャン工程と、この第1スキャン工程に並行して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第1流体形成工程と、基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第2分割領域内でスキャンさせる第2スキャン工程と、この第2スキャン工程に並行して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第2流体形成工程とを含むことを特徴とする薄膜除去方法である。
【0015】
この方法によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この薄膜除去装置は、たとえば、半導体製造工程中の露光処理に先立ち、基板の一例であるウエハWの表面に形成されているレジスト膜や反射防止膜などの薄膜を局所的に除去して、その下層に設けられたアライメントマークを露出させるために用いられるものであり、ほぼ水平なウエハ載置面11を有するウエハステージ1と、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されたウエハWの上面(表面)にレーザ光を照射するためのレーザ照射系2とを備えている。
【0017】
ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で移動させるためのXY駆動機構12が結合されている。ウエハステージ1のウエハ載置面11にウエハWを載置した状態でXY駆動機構12を動作させることにより、ウエハ載置面11上に載置されたウエハWをウエハステージ1ごとX−Y軸方向に移動させることができ、このウエハWのX−Y軸方向の移動によって、ウエハWの上面に対するレーザ照射系2からのレーザ光の照射位置を変えることができる。また、ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で回転させるための回転駆動機構13が結合されている。
【0018】
レーザ照射系2には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ光を拡大する拡大光学系22と、拡大光学系22で拡大されたレーザ光の断面形状をスリット形状(幅狭な長方形状)に整形するマスク23と、このマスク23で整形されたスリット形状のレーザ光を集光して、ウエハステージ1上のウエハWの表面に導くための縮小光学系24とが含まれている。
レーザ発振器21は、波長が0.4μm以下のレーザ光(たとえば、エキシマレーザ光、YAGレーザ光など)を一定の周波数(たとえば、50Hz)でパルス発振する。レーザ発振器21からのレーザ光は、たとえば、ほぼ鉛直上方に向けて進み、反射ミラー25で光路がほぼ水平方向に曲げられた後、拡大光学系22に入射し、この拡大光学系22で予め定める拡大倍率で拡大される。拡大光学系22で拡大されたレーザ光は、ほぼ水平方向に進み、反射ミラー26で光路がほぼ鉛直下向きに曲げられて、ウエハステージ1上のウエハWとほぼ平行に配置されたマスク23の上面に照射される。マスク23には、レーザ光が照射される位置(レーザ光の光路上)にスリット231が形成されていて、上面に照射されたレーザ光の一部がスリット231を通過することにより、レーザ光は、その断面形状がスリット231に対応した形状(スリット形状)に整形される。マスク23でスリット形状に整形されたレーザ光は、縮小光学系24により予め定める縮小倍率で集光され、ウエハステージ1上に載置されたウエハWの上面に入射する。その結果、たとえば、ウエハWの上面のY軸方向に長いスリット形状の領域(たとえば、3μm×85μmの領域)にレーザ光が照射される。言い換えれば、ウエハWの上面に、Y軸方向に長いスリット形状のレーザ光像が結像する。
【0019】
また、ウエハステージ1の上方には、ウエハ載置面11から所定の間隔だけ上方に離れた位置に、たとえば、石英からなる透明板3がウエハ載置面11とほぼ平行に配置されている。さらに、透明板3を保持しているブロック31には、ウエハWの上面に水(純水)を供給するためのノズル4が取り付けられている。ノズル4からウエハWの上面に供給される水は、たとえば、図1における右向きを水平なX−Y平面におけるX軸の正方向とすると、ウエハW上をX軸の正方向に流れる水流を形成する。そして、このウエハW上に形成される水流は、透明板3の下面に接触して、その高さがウエハ載置面11と透明板3の下面との間隔(上記所定の間隔)に規制される。これにより、ウエハW上には、透明板3の下面に接触した一定の厚さの水流層が形成され、レーザ照射系2からのレーザ光は、透明板3および水流層を通して、ウエハWの上面に照射されることになる。ウエハW上に水流層が形成されることにより、レーザ光の照射によるウエハWの上面の温度上昇を抑えることができる。また、ウエハW上に水流層を形成せずに、ウエハWの上面にレーザを照射した場合と比較して、薄膜除去領域の加工形状品質(ウエハWを上方から見た時のエッジ形状品質)が向上する。
【0020】
この薄膜除去装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置5を備えている。制御装置5は、XY駆動機構12、回転駆動機構13およびレーザ発振器21を制御して、ウエハWの上面の薄膜を除去すべき矩形状の領域(薄膜除去対象領域)内でスリット形状のレーザ光像をX軸に沿って移動(スキャン)させる。これにより、ウエハWの上面の薄膜除去対象領域内でレーザアブレーション現象が生じ、その結果、薄膜除去対象領域からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が爆発的に気化して除去される。また、制御装置5は、ノズル4からウエハWの上面への水の供給を制御する。
【0021】
図2は、この薄膜除去装置の動作を説明するための図である。薄膜除去の対象となるウエハWは、図示しないロボットアームによって搬入されてきて、その表面を上に向けて、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置される。ウエハWが載置されると、まず、薄膜除去対象領域AのX軸方向のほぼ中央に設定された第1スキャン開始位置SP1にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
【0022】
ウエハWの位置調整後、ノズル4からウエハWの表面への水の供給が開始されて、ウエハW上にX軸正方向に流れる水流が形成される。つづいて、レーザ照射系2からウエハWの表面にレーザ光が照射される。その一方で、ウエハWの位置がX軸の正方向に一定速度で移動される。このウエハWの移動により、ウエハWの表面に結像するスリット形状のレーザ光像(レーザ光の照射領域)がX軸負方向に移動していく。そして、レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、図2(a)に示すように、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第1スキャン開始位置SP1よりもX軸負方向側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A1から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0023】
レーザ光像が第1スキャン開始位置SP1に達すると、ノズル4からウエハW上への水の供給およびレーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が一時停止されて、図2(b)に示すように、ウエハステージ1がX−Y平面内で180度回転される。このウエハステージ1の回転によって、ウエハステージ1上のウエハWが180度回転し、その結果、分割領域A1が分割領域A2よりもX軸正方向側に位置した状態になる。つまり、分割領域A1,A2が、ウエハW上に形成される水流の方向(X軸正方向)に分割領域A2,A1の順で隣接した状態となる。
その後、分割領域A2のX軸正方向側の端部に設定された第2スキャン開始位置SP2にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。そして、ノズル4からウエハW上への水の供給およびレーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が再開され、ウエハWの表面にレーザ光が照射される一方で、ウエハWの位置がX軸正方向に一定速度で移動されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像によってX軸負方向にスキャンされていく。レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、図2(c)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第2スキャン開始位置SP2よりもX軸負方向側の分割領域A2がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A2から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0024】
レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達した後も、さらにウエハWのX軸負方向への移動は続けられ、レーザ光像が薄膜除去対象領域A(分割領域A1)のX軸正方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸正方向に再び反転されて、レーザ光像の移動方向がX軸正方向に変えられる。その後レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、図2(d)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でX軸正方向にスキャンされていく。そして、レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達すると、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域Aの全域から薄膜がきれいに除去された状態となり、この薄膜除去のための工程が終了する。薄膜除去対象領域Aから薄膜が除去されたウエハWは、ノズル4からウエハWへの水の供給が停止された後、ロボットアームによってウエハステージ1上から搬出されていく。
【0025】
以上のように、この薄膜除去装置では、薄膜除去対象領域Aが分割領域A1,A2に2分割されて、まず、ウエハW上に形成されている水流の方向に関して上流側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされることにより、その分割領域A1からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。
このとき分割領域A1から発生する薄膜気化物は、ウエハW上に形成されたX軸正方向の水流によって流されるので、分割領域A1よりもX軸負方向側にはほとんど飛散しない。また、スリット形状のレーザ光像はX軸方向の幅が狭いので、分割領域A1から発生する薄膜気化物のY軸方向への飛散もほとんどない。よって、分割領域A1から発生する薄膜気化物が、パーティクルとなって、分割領域A1のX軸負方向側方およびY軸方向側方の領域に付着するおそれはない。
【0026】
これに対し、分割領域A1のX軸正方向側に隣接する分割領域A2には、水流によってX軸正方向に流された薄膜気化物がパーティクルとなって付着することが判っている。この分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。すなわち、分割領域A1から薄膜が除去された後、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされることにより、分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに、レーザアブレーション現象によって除去される。
【0027】
この分割領域A2からの薄膜除去に先立って、ウエハWが180度回転されることにより、分割領域A2が分割領域A1よりも水流の方向に関して上流側に位置した状態にされ、この状態で、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされる。これにより、分割領域A2から発生する薄膜気化物は、パーティクルとなって分割領域A1に付着することがあっても、分割領域A1以外の領域に付着するおそれはない。
【0028】
さらに、分割領域A2からの薄膜除去時に分割領域A1に付着したパーティクルは、分割領域A2からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域Aがスリット形状のレーザ光像で再び往復スキャンされることによって除去される。したがって、薄膜除去対象領域A内にパーティクルが付着していることもない。よって、この実施形態によれば、ウエハWの表面へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域A内の薄膜を良好に除去することができる。
【0029】
なお、分割領域A2からの薄膜除去後に行われるレーザ光像のスキャンは、分割領域A1に付着したパーティクルの除去を主目的としたクリーニングであるから、このクリーニングのためのレーザ光像のスキャン時には、薄膜除去のためのレーザ光像のスキャン時よりも、レーザ光の出力(エネルギー密度)を下げてもよい。
また、この実施形態では、ウエハW上に形成される水流の方向に関して、分割領域A1,A2の位置を入れ替えるために、ウエハステージ1に結合された回転駆動機構13によって、ウエハステージ1ごとウエハWを回転させる構成を採用しているが、たとえば、図3に示すように、少なくとも3本のローラピン14をウエハステージ1上に立設し、ローラピン14でウエハWを保持した状態で、各ローラピン14を回転させることにより、ウエハWを水平な面内で回転させるようにしてもよい。この構成の場合、ウエハステージ1を回転させるための回転駆動機構13は不要である。
【0030】
さらにまた、ウエハステージ1からウエハWを取り出して、そのウエハWを180度回転させた後でウエハステージ1上に戻すことにより、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入替えが達成されてもよい。
図4は、この発明の他の実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この図4において、図1に示す各部に相当する部分には、図1の場合と同一の参照符号が付されている。また、その同一の参照符号を付した部分についての説明は省略する。
【0031】
上記実施形態の薄膜除去装置では、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入れ替えが、ウエハWの回転によって達成されるのに対し、この実施形態の薄膜除去装置では、ウエハW上に形成される水流の方向を反転させることにより、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入れ替えが達成される。ウエハW上に形成される水流の方向を反転させるために、透明板3を保持しているブロック31には、ウエハW上にX軸正方向の水流を形成するためのノズル41と、ウエハW上にX軸負方向の水流を形成するためのノズル42とが取り付けられている。なお、ウエハWを回転させる必要がないから、ウエハステージ1を回転させるための回転駆動機構やウエハWを水平に保持して回転させるローラピンなどは設けられていない。
【0032】
図5は、図4に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。薄膜除去の対象となるウエハWが、その表面を上に向けて、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されると、まず、薄膜除去対象領域AのX軸方向のほぼ中央に設定された第1スキャン開始位置SP1にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
ウエハWの位置調整後、ノズル41からウエハWの表面への水の供給が開始されて、ウエハW上にX軸正方向に流れる水流が形成される。つづいて、レーザ照射系2からウエハWの表面にレーザ光が照射される。その一方で、ウエハWの位置がX軸正方向に一定速度で移動される。このウエハWの移動により、ウエハWの表面に結像するスリット形状のレーザ光像がX軸負方向に移動していく。そして、レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、図5(a)に示すように、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第1スキャン開始位置SP1よりもX軸負方向側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A1から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0033】
レーザ光像が第1スキャン開始位置SP1に達すると、ノズル41からウエハW上への水の供給が停止される。また、レーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が一時停止される。そして、分割領域A2のX軸負方向側の端部に設定された第2スキャン開始位置SP2にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
その後、図5(b)に示すように、ノズル42からウエハWの表面への水の供給が開始されて、分割領域A1からの薄膜除去時とは逆方向のX軸負方向に流れる水流がウエハW上に形成される。これにより、分割領域A2は、ウエハW上に形成される水流の方向に関して分割領域A1よりも上流側に位置することになり、分割領域A1,A2は、ウエハW上に形成される水流の方向(X軸負方向)に分割領域A2,A1の順で隣接した状態となる。
【0034】
この状態で、レーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が再開され、ウエハWの表面にレーザ光が照射される一方で、ウエハWの位置がX軸負方向に一定速度で移動されて、スリット形状のレーザ光像が分割領域A2をX軸正方向に移動していく。レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸正方向に反転されて、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸負方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第2スキャン開始位置SP2よりもX軸正方向側の分割領域A2がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A2から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0035】
レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達した後も、さらにウエハWのX軸正方向への移動は続けられ、レーザ光像が薄膜除去対象領域A(分割領域A1)のX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に再び反転されて、レーザ光像の移動方向がX軸正方向に変えられる。その後レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸正方向側の端部に達すると、図5(c)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸正方向に反転されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でX軸負方向にスキャンされていく。そして、レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達すると、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域Aの全域から薄膜がきれいに除去された状態となり、この薄膜除去のための工程が終了する。薄膜除去対象領域Aから薄膜が除去されたウエハWは、ノズル42からウエハWへの水の供給が停止された後、ロボットアームによってウエハステージ1上から搬出されていく。
【0036】
以上のように、この薄膜除去装置によれば、分割領域A1から発生する薄膜気化物は、ウエハW上に形成されたX軸正方向の水流によって流されるので、分割領域A1よりもX軸負方向側にはほとんど飛散しない。また、スリット形状のレーザ光像はX軸方向の幅が狭いので、分割領域A1から発生する薄膜気化物のY軸方向への飛散もほとんどない。よって、分割領域A1から発生する薄膜気化物が、パーティクルとなって、分割領域A1のX軸負方向側方およびY軸方向側方の領域に付着するおそれはない。
【0037】
また、分割領域A1から発生する薄膜気化物が分割領域A2に付着しても、その分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。分割領域A2からの薄膜除去時には、ウエハW上にX軸負方向の水流が形成されるので、分割領域A2から発生する薄膜気化物は、分割領域A1以外の領域に付着するおそれはない。
さらに、分割領域A2からの薄膜除去時に分割領域A1に付着したパーティクルは、分割領域A2からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域Aがスリット形状のレーザ光像で再び往復スキャンされることによって除去される。したがって、薄膜除去対象領域A内にパーティクルが付着していることもない。よって、この実施形態によっても、ウエハWの表面へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域A内の薄膜を良好に除去することができる。
【0038】
なお、この実施形態においても、上記したように、分割領域A2からの薄膜除去後に行われるレーザ光像のスキャンは、分割領域A1に付着したパーティクルの除去を主目的としたクリーニングであるから、このクリーニングのためのレーザ光像のスキャン時には、薄膜除去のためのレーザ光像のスキャン時よりもレーザ光の出力を下げてもよい。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、ウエハWへのレーザ光照射時には、ウエハW上に水流が形成されるとしたが、ウエハWの表面の薄膜に悪影響を与えなければ、たとえば、イオン水、オゾン水または炭酸水などの液体の流れをウエハW上に形成するようにしてもよいし、また、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスなどの不活性ガス等の気体の流れをウエハW上に形成するようにしてもよい。
【0039】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。
【図3】ウエハを回転させるための他の構成について説明するための図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】図4に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ウエハステージ
2 レーザ照射系
3 透明板
4 ノズル
5 制御装置
11 ウエハ載置面
12 XY駆動機構
13 回転駆動機構
14 ローラピン
41 ノズル
42 ノズル
A 薄膜除去対象領域
A1 分割領域
A2 分割領域
W ウエハ
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面にレーザ光を照射して、その基板の表面に形成されている薄膜を除去する薄膜除去装置および薄膜除去方法に関する。薄膜除去の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、多層構造の半導体装置の製造プロセスでは、フォトリソグラフィ工程が繰り返されて、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)上に、パターニングされた配線層や絶縁層が積層形成されていく。各層間における位置関係を適切にするためには、パターニング対象層上に積層されたレジスト膜を選択的に露光する際のウエハのアライメント(位置決め)が重要になる。ウエハのアライメントは、たとえば、ウエハ上に形成されているアライメントマークをCCDカメラで検出し、その検出結果に基づいて、ウエハの位置を調整することにより達成される。
【0003】
一方、露光時におけるレジスト膜の下層での不要な光反射は、レジストパターンのライン・エッジ・ラフネス(LER)の悪化を招くので、パターニング対象層とレジスト膜との間には、通常、その不要な光反射を防止するための反射防止膜が設けられる。
ところが、反射防止膜が設けられていると、ウエハ表面への露光光の照射では、CCDカメラでアライメントマークを検出できず、ウエハをアライメントすることができない。反射防止膜に吸収されない波長の光をウエハ表面に照射すれば、CCDカメラでアライメントマークを検出できるが、そのような波長の光をウエハ表面に照射するための光学系は、露光精度を維持する必要性から露光光軸上に配置することはできないので、アライメントマークの検出誤差が大きく、結果として、アライメントの精度が低くなってしまう。また、いわゆるスピンコータによって形成されるレジスト膜は、ウエハの中央部で凹んだ表面形状を有しているため、ウエハの周縁部では、レジスト膜の表面が傾斜していることによって光が屈折し、アライメントマークを正確に検出することができず、アライメント誤差はさらに増大する。
【0004】
そこで、ウエハのアライメントに際しては、ウエハ上に形成されているアライメントマークを露出させるために、そのアライメントマーク上の一定領域からレジスト膜および反射防止膜などの薄膜が除去される。
ウエハ表面の薄膜を除去するための装置として、最近、レーザアブレーション現象を利用した薄膜除去装置が注目されている。この種の薄膜除去装置では、たとえば、ウエハを載置するためのウエハステージと、このウエハステージに載置されたウエハの表面にレーザ光を照射するためのレーザ照射系とが備えられており、レーザ照射系からウエハ表面の薄膜を除去すべき領域にレーザ光が一括照射される。レーザ光が照射された領域では、ウエハ表面の薄膜が爆発的に気化するアブレーション現象が生じ、その結果、レーザ光が照射された領域からウエハ表面の薄膜が除去される(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−113779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、レーザアブレーション現象を利用した薄膜除去装置では、レーザアブレーション現象によって生じた薄膜の気化物が、パーティクルとなって、ウエハの表面に付着するという問題があった。
この問題を解決するためには、たとえば、ウエハ上に水流を形成し、薄膜の気化物がパーティクルとなってウエハの表面に付着する前に、その水流で薄膜の気化物およびその気化物から生じたパーティクルをウエハ上から排出することが考えられる。
【0007】
そこで、本願発明者は、ウエハ上に水流を形成するための水流ノズルを設けて、ウエハ上に水流を形成しつつ、ウエハ表面へレーザ光を照射して薄膜を除去することを試みた。しかし、薄膜除去後のウエハの表面には、とくに、水流の方向に関して薄膜が除去された領域の下流側にパーティクルが付着していることが多く、ウエハ上に水流を形成しただけでは、ウエハの表面へのパーティクルの付着を防止できないことがわかった。
【0008】
この発明は、かかる背景の下でなされたものであり、その目的は、レーザアブレーション現象による薄膜除去の際に発生するパーティクルの基板表面(薄膜除去対象領域の周囲)への付着を防止できる薄膜除去装置および薄膜除去方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域(A)にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する薄膜除去装置であって、基板表面にスリット形状のレーザ光像を結像させるレーザ光像結像手段(2)と、基板表面に結像されるレーザ光像と基板とを相対的に移動させて、基板表面でレーザ光像をスキャンさせるスキャン手段(12)と、上記薄膜除去対象領域を第1分割領域(A1)および第2分割領域(A2)に2分割して、上記第1分割領域内をレーザ光像がスキャンした後に、上記第2分割領域内をレーザ光像がスキャンするように、上記スキャン手段によるレーザ光像のスキャンを制御するスキャン制御手段(5)と、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する流れ形成手段(4,13,14;41,42)とを含むことを特徴とする薄膜除去装置である。
【0010】
上記レーザ光像結像手段は、スリット形状のレーザ光像を上記第1分割領域および第2分割領域の隣接方向に交差(好ましくは、直交)する方向に沿った状態に結像させるものであり、上記スキャン手段は、基板表面でレーザ光像をその長手方向に交差する方向(好ましくは、上記第1分割領域および第2分割領域の隣接方向)にスキャンさせるものであることが好ましい。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0011】
上記の構成によれば、第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に第1分割領域から発生する薄膜気化物は、基板上を第1分割領域から第2分割領域に向けて流れる流体によって流されるので、第1分割領域よりも流体の流れ方向の上流側にはほとんど飛散せず、第1分割領域よりも下流側に位置する第2分割領域にパーティクルとなって付着する。第1分割領域からの薄膜除去後には、第2分割領域がレーザ光像でスキャンされるから、第2分割領域に付着したパーティクルは第2分割領域内の薄膜とともに除去される。また、第2分割領域からの薄膜除去時には、第2分割領域から第1分割領域に向かう流体の流れが基板上に形成されるので、第2分割領域から発生する薄膜気化物は、第1分割領域よりも流体の流れ方向の上流側にはほとんど飛散しない。よって、基板の表面(薄膜除去対象領域の周囲)へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域内の薄膜を良好に除去することができる。
【0012】
なお、第2分割領域からの薄膜除去時に第1分割領域にパーティクルが付着した場合には、第2分割領域からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域をスリット形状のレーザ光像で再びスキャンすることによって除去(クリーニング)することができる。こうすることにより、パーティクルの付着量がより少ない基板を得ることができる。
上記流れ形成手段は、請求項2記載のように、基板表面に流体を供給して、一定方向の流体の流れを基板上に形成するための流体供給手段(4)と、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと同順で上記一定方向に隣接し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと逆順で上記一定方向に隣接するように、基板表面に沿った平面内で基板を回転させる基板回転手段(13;14)とを含むものであってもよい。
【0013】
また、上記流れ形成手段は、請求項3記載のように、上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第1流体供給手段(41)と、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第2流体供給手段(42)とを含むものであってもよい。
【0014】
請求項4記載の発明は、基板(W)表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域(A)にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する方法であって、上記薄膜除去対象領域を第1分割領域(A1)および第2分割領域(A2)に2分割して、基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第1分割領域内でスキャンさせる第1スキャン工程と、この第1スキャン工程に並行して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第1流体形成工程と、基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第2分割領域内でスキャンさせる第2スキャン工程と、この第2スキャン工程に並行して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第2流体形成工程とを含むことを特徴とする薄膜除去方法である。
【0015】
この方法によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この薄膜除去装置は、たとえば、半導体製造工程中の露光処理に先立ち、基板の一例であるウエハWの表面に形成されているレジスト膜や反射防止膜などの薄膜を局所的に除去して、その下層に設けられたアライメントマークを露出させるために用いられるものであり、ほぼ水平なウエハ載置面11を有するウエハステージ1と、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されたウエハWの上面(表面)にレーザ光を照射するためのレーザ照射系2とを備えている。
【0017】
ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で移動させるためのXY駆動機構12が結合されている。ウエハステージ1のウエハ載置面11にウエハWを載置した状態でXY駆動機構12を動作させることにより、ウエハ載置面11上に載置されたウエハWをウエハステージ1ごとX−Y軸方向に移動させることができ、このウエハWのX−Y軸方向の移動によって、ウエハWの上面に対するレーザ照射系2からのレーザ光の照射位置を変えることができる。また、ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で回転させるための回転駆動機構13が結合されている。
【0018】
レーザ照射系2には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ光を拡大する拡大光学系22と、拡大光学系22で拡大されたレーザ光の断面形状をスリット形状(幅狭な長方形状)に整形するマスク23と、このマスク23で整形されたスリット形状のレーザ光を集光して、ウエハステージ1上のウエハWの表面に導くための縮小光学系24とが含まれている。
レーザ発振器21は、波長が0.4μm以下のレーザ光(たとえば、エキシマレーザ光、YAGレーザ光など)を一定の周波数(たとえば、50Hz)でパルス発振する。レーザ発振器21からのレーザ光は、たとえば、ほぼ鉛直上方に向けて進み、反射ミラー25で光路がほぼ水平方向に曲げられた後、拡大光学系22に入射し、この拡大光学系22で予め定める拡大倍率で拡大される。拡大光学系22で拡大されたレーザ光は、ほぼ水平方向に進み、反射ミラー26で光路がほぼ鉛直下向きに曲げられて、ウエハステージ1上のウエハWとほぼ平行に配置されたマスク23の上面に照射される。マスク23には、レーザ光が照射される位置(レーザ光の光路上)にスリット231が形成されていて、上面に照射されたレーザ光の一部がスリット231を通過することにより、レーザ光は、その断面形状がスリット231に対応した形状(スリット形状)に整形される。マスク23でスリット形状に整形されたレーザ光は、縮小光学系24により予め定める縮小倍率で集光され、ウエハステージ1上に載置されたウエハWの上面に入射する。その結果、たとえば、ウエハWの上面のY軸方向に長いスリット形状の領域(たとえば、3μm×85μmの領域)にレーザ光が照射される。言い換えれば、ウエハWの上面に、Y軸方向に長いスリット形状のレーザ光像が結像する。
【0019】
また、ウエハステージ1の上方には、ウエハ載置面11から所定の間隔だけ上方に離れた位置に、たとえば、石英からなる透明板3がウエハ載置面11とほぼ平行に配置されている。さらに、透明板3を保持しているブロック31には、ウエハWの上面に水(純水)を供給するためのノズル4が取り付けられている。ノズル4からウエハWの上面に供給される水は、たとえば、図1における右向きを水平なX−Y平面におけるX軸の正方向とすると、ウエハW上をX軸の正方向に流れる水流を形成する。そして、このウエハW上に形成される水流は、透明板3の下面に接触して、その高さがウエハ載置面11と透明板3の下面との間隔(上記所定の間隔)に規制される。これにより、ウエハW上には、透明板3の下面に接触した一定の厚さの水流層が形成され、レーザ照射系2からのレーザ光は、透明板3および水流層を通して、ウエハWの上面に照射されることになる。ウエハW上に水流層が形成されることにより、レーザ光の照射によるウエハWの上面の温度上昇を抑えることができる。また、ウエハW上に水流層を形成せずに、ウエハWの上面にレーザを照射した場合と比較して、薄膜除去領域の加工形状品質(ウエハWを上方から見た時のエッジ形状品質)が向上する。
【0020】
この薄膜除去装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置5を備えている。制御装置5は、XY駆動機構12、回転駆動機構13およびレーザ発振器21を制御して、ウエハWの上面の薄膜を除去すべき矩形状の領域(薄膜除去対象領域)内でスリット形状のレーザ光像をX軸に沿って移動(スキャン)させる。これにより、ウエハWの上面の薄膜除去対象領域内でレーザアブレーション現象が生じ、その結果、薄膜除去対象領域からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が爆発的に気化して除去される。また、制御装置5は、ノズル4からウエハWの上面への水の供給を制御する。
【0021】
図2は、この薄膜除去装置の動作を説明するための図である。薄膜除去の対象となるウエハWは、図示しないロボットアームによって搬入されてきて、その表面を上に向けて、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置される。ウエハWが載置されると、まず、薄膜除去対象領域AのX軸方向のほぼ中央に設定された第1スキャン開始位置SP1にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
【0022】
ウエハWの位置調整後、ノズル4からウエハWの表面への水の供給が開始されて、ウエハW上にX軸正方向に流れる水流が形成される。つづいて、レーザ照射系2からウエハWの表面にレーザ光が照射される。その一方で、ウエハWの位置がX軸の正方向に一定速度で移動される。このウエハWの移動により、ウエハWの表面に結像するスリット形状のレーザ光像(レーザ光の照射領域)がX軸負方向に移動していく。そして、レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、図2(a)に示すように、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第1スキャン開始位置SP1よりもX軸負方向側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A1から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0023】
レーザ光像が第1スキャン開始位置SP1に達すると、ノズル4からウエハW上への水の供給およびレーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が一時停止されて、図2(b)に示すように、ウエハステージ1がX−Y平面内で180度回転される。このウエハステージ1の回転によって、ウエハステージ1上のウエハWが180度回転し、その結果、分割領域A1が分割領域A2よりもX軸正方向側に位置した状態になる。つまり、分割領域A1,A2が、ウエハW上に形成される水流の方向(X軸正方向)に分割領域A2,A1の順で隣接した状態となる。
その後、分割領域A2のX軸正方向側の端部に設定された第2スキャン開始位置SP2にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。そして、ノズル4からウエハW上への水の供給およびレーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が再開され、ウエハWの表面にレーザ光が照射される一方で、ウエハWの位置がX軸正方向に一定速度で移動されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像によってX軸負方向にスキャンされていく。レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、図2(c)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第2スキャン開始位置SP2よりもX軸負方向側の分割領域A2がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A2から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0024】
レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達した後も、さらにウエハWのX軸負方向への移動は続けられ、レーザ光像が薄膜除去対象領域A(分割領域A1)のX軸正方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸正方向に再び反転されて、レーザ光像の移動方向がX軸正方向に変えられる。その後レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、図2(d)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でX軸正方向にスキャンされていく。そして、レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達すると、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域Aの全域から薄膜がきれいに除去された状態となり、この薄膜除去のための工程が終了する。薄膜除去対象領域Aから薄膜が除去されたウエハWは、ノズル4からウエハWへの水の供給が停止された後、ロボットアームによってウエハステージ1上から搬出されていく。
【0025】
以上のように、この薄膜除去装置では、薄膜除去対象領域Aが分割領域A1,A2に2分割されて、まず、ウエハW上に形成されている水流の方向に関して上流側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされることにより、その分割領域A1からレジスト膜や反射防止膜などの薄膜が除去される。
このとき分割領域A1から発生する薄膜気化物は、ウエハW上に形成されたX軸正方向の水流によって流されるので、分割領域A1よりもX軸負方向側にはほとんど飛散しない。また、スリット形状のレーザ光像はX軸方向の幅が狭いので、分割領域A1から発生する薄膜気化物のY軸方向への飛散もほとんどない。よって、分割領域A1から発生する薄膜気化物が、パーティクルとなって、分割領域A1のX軸負方向側方およびY軸方向側方の領域に付着するおそれはない。
【0026】
これに対し、分割領域A1のX軸正方向側に隣接する分割領域A2には、水流によってX軸正方向に流された薄膜気化物がパーティクルとなって付着することが判っている。この分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。すなわち、分割領域A1から薄膜が除去された後、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされることにより、分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに、レーザアブレーション現象によって除去される。
【0027】
この分割領域A2からの薄膜除去に先立って、ウエハWが180度回転されることにより、分割領域A2が分割領域A1よりも水流の方向に関して上流側に位置した状態にされ、この状態で、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でスキャンされる。これにより、分割領域A2から発生する薄膜気化物は、パーティクルとなって分割領域A1に付着することがあっても、分割領域A1以外の領域に付着するおそれはない。
【0028】
さらに、分割領域A2からの薄膜除去時に分割領域A1に付着したパーティクルは、分割領域A2からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域Aがスリット形状のレーザ光像で再び往復スキャンされることによって除去される。したがって、薄膜除去対象領域A内にパーティクルが付着していることもない。よって、この実施形態によれば、ウエハWの表面へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域A内の薄膜を良好に除去することができる。
【0029】
なお、分割領域A2からの薄膜除去後に行われるレーザ光像のスキャンは、分割領域A1に付着したパーティクルの除去を主目的としたクリーニングであるから、このクリーニングのためのレーザ光像のスキャン時には、薄膜除去のためのレーザ光像のスキャン時よりも、レーザ光の出力(エネルギー密度)を下げてもよい。
また、この実施形態では、ウエハW上に形成される水流の方向に関して、分割領域A1,A2の位置を入れ替えるために、ウエハステージ1に結合された回転駆動機構13によって、ウエハステージ1ごとウエハWを回転させる構成を採用しているが、たとえば、図3に示すように、少なくとも3本のローラピン14をウエハステージ1上に立設し、ローラピン14でウエハWを保持した状態で、各ローラピン14を回転させることにより、ウエハWを水平な面内で回転させるようにしてもよい。この構成の場合、ウエハステージ1を回転させるための回転駆動機構13は不要である。
【0030】
さらにまた、ウエハステージ1からウエハWを取り出して、そのウエハWを180度回転させた後でウエハステージ1上に戻すことにより、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入替えが達成されてもよい。
図4は、この発明の他の実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この図4において、図1に示す各部に相当する部分には、図1の場合と同一の参照符号が付されている。また、その同一の参照符号を付した部分についての説明は省略する。
【0031】
上記実施形態の薄膜除去装置では、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入れ替えが、ウエハWの回転によって達成されるのに対し、この実施形態の薄膜除去装置では、ウエハW上に形成される水流の方向を反転させることにより、ウエハW上に形成される水流の方向に関する分割領域A1,A2の位置の入れ替えが達成される。ウエハW上に形成される水流の方向を反転させるために、透明板3を保持しているブロック31には、ウエハW上にX軸正方向の水流を形成するためのノズル41と、ウエハW上にX軸負方向の水流を形成するためのノズル42とが取り付けられている。なお、ウエハWを回転させる必要がないから、ウエハステージ1を回転させるための回転駆動機構やウエハWを水平に保持して回転させるローラピンなどは設けられていない。
【0032】
図5は、図4に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。薄膜除去の対象となるウエハWが、その表面を上に向けて、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されると、まず、薄膜除去対象領域AのX軸方向のほぼ中央に設定された第1スキャン開始位置SP1にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
ウエハWの位置調整後、ノズル41からウエハWの表面への水の供給が開始されて、ウエハW上にX軸正方向に流れる水流が形成される。つづいて、レーザ照射系2からウエハWの表面にレーザ光が照射される。その一方で、ウエハWの位置がX軸正方向に一定速度で移動される。このウエハWの移動により、ウエハWの表面に結像するスリット形状のレーザ光像がX軸負方向に移動していく。そして、レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に反転されて、図5(a)に示すように、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸正方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第1スキャン開始位置SP1よりもX軸負方向側の分割領域A1がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A1から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0033】
レーザ光像が第1スキャン開始位置SP1に達すると、ノズル41からウエハW上への水の供給が停止される。また、レーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が一時停止される。そして、分割領域A2のX軸負方向側の端部に設定された第2スキャン開始位置SP2にレーザ照射系2からのレーザ光が照射されるように、ウエハWのX軸方向およびY軸方向の位置が調整される。
その後、図5(b)に示すように、ノズル42からウエハWの表面への水の供給が開始されて、分割領域A1からの薄膜除去時とは逆方向のX軸負方向に流れる水流がウエハW上に形成される。これにより、分割領域A2は、ウエハW上に形成される水流の方向に関して分割領域A1よりも上流側に位置することになり、分割領域A1,A2は、ウエハW上に形成される水流の方向(X軸負方向)に分割領域A2,A1の順で隣接した状態となる。
【0034】
この状態で、レーザ照射系2からウエハWへのレーザ光の照射が再開され、ウエハWの表面にレーザ光が照射される一方で、ウエハWの位置がX軸負方向に一定速度で移動されて、スリット形状のレーザ光像が分割領域A2をX軸正方向に移動していく。レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸正方向に反転されて、レーザ光像の移動方向がそれまでとは逆方向のX軸負方向に変えられる。これにより、薄膜除去対象領域Aの第2スキャン開始位置SP2よりもX軸正方向側の分割領域A2がスリット形状のレーザ光像で往復スキャンされ、その分割領域A2から薄膜が爆発的に気化して除去される。
【0035】
レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達した後も、さらにウエハWのX軸正方向への移動は続けられ、レーザ光像が薄膜除去対象領域A(分割領域A1)のX軸負方向側の端部に達すると、ウエハWの移動方向がX軸負方向に再び反転されて、レーザ光像の移動方向がX軸正方向に変えられる。その後レーザ光像が薄膜除去対象領域AのX軸正方向側の端部に達すると、図5(c)に示すように、ウエハWの移動方向がX軸正方向に反転されて、分割領域A2がスリット形状のレーザ光像でX軸負方向にスキャンされていく。そして、レーザ光像が第2スキャン開始位置SP2に達すると、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域Aの全域から薄膜がきれいに除去された状態となり、この薄膜除去のための工程が終了する。薄膜除去対象領域Aから薄膜が除去されたウエハWは、ノズル42からウエハWへの水の供給が停止された後、ロボットアームによってウエハステージ1上から搬出されていく。
【0036】
以上のように、この薄膜除去装置によれば、分割領域A1から発生する薄膜気化物は、ウエハW上に形成されたX軸正方向の水流によって流されるので、分割領域A1よりもX軸負方向側にはほとんど飛散しない。また、スリット形状のレーザ光像はX軸方向の幅が狭いので、分割領域A1から発生する薄膜気化物のY軸方向への飛散もほとんどない。よって、分割領域A1から発生する薄膜気化物が、パーティクルとなって、分割領域A1のX軸負方向側方およびY軸方向側方の領域に付着するおそれはない。
【0037】
また、分割領域A1から発生する薄膜気化物が分割領域A2に付着しても、その分割領域A2に付着したパーティクルは、分割領域A2内の薄膜とともに除去される。分割領域A2からの薄膜除去時には、ウエハW上にX軸負方向の水流が形成されるので、分割領域A2から発生する薄膜気化物は、分割領域A1以外の領域に付着するおそれはない。
さらに、分割領域A2からの薄膜除去時に分割領域A1に付着したパーティクルは、分割領域A2からの薄膜除去後に、薄膜除去対象領域Aがスリット形状のレーザ光像で再び往復スキャンされることによって除去される。したがって、薄膜除去対象領域A内にパーティクルが付着していることもない。よって、この実施形態によっても、ウエハWの表面へのパーティクルの付着を防止しつつ、薄膜除去対象領域A内の薄膜を良好に除去することができる。
【0038】
なお、この実施形態においても、上記したように、分割領域A2からの薄膜除去後に行われるレーザ光像のスキャンは、分割領域A1に付着したパーティクルの除去を主目的としたクリーニングであるから、このクリーニングのためのレーザ光像のスキャン時には、薄膜除去のためのレーザ光像のスキャン時よりもレーザ光の出力を下げてもよい。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、ウエハWへのレーザ光照射時には、ウエハW上に水流が形成されるとしたが、ウエハWの表面の薄膜に悪影響を与えなければ、たとえば、イオン水、オゾン水または炭酸水などの液体の流れをウエハW上に形成するようにしてもよいし、また、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスなどの不活性ガス等の気体の流れをウエハW上に形成するようにしてもよい。
【0039】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。
【図3】ウエハを回転させるための他の構成について説明するための図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】図4に示す薄膜除去装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ウエハステージ
2 レーザ照射系
3 透明板
4 ノズル
5 制御装置
11 ウエハ載置面
12 XY駆動機構
13 回転駆動機構
14 ローラピン
41 ノズル
42 ノズル
A 薄膜除去対象領域
A1 分割領域
A2 分割領域
W ウエハ
Claims (4)
- 基板表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する薄膜除去装置であって、
基板表面にスリット形状のレーザ光像を結像させるレーザ光像結像手段と、
基板表面に結像されるレーザ光像と基板とを相対的に移動させて、基板表面でレーザ光像をスキャンさせるスキャン手段と、
上記薄膜除去対象領域を第1分割領域および第2分割領域に2分割して、上記第1分割領域内をレーザ光像がスキャンした後に、上記第2分割領域内をレーザ光像がスキャンするように、上記スキャン手段によるレーザ光像のスキャンを制御するスキャン制御手段と、
上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する流れ形成手段と
を含むことを特徴とする薄膜除去装置。 - 上記流れ形成手段は、
基板表面に流体を供給して、一定方向の流体の流れを基板上に形成するための流体供給手段と、
上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと同順で上記一定方向に隣接し、上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時には、上記第1分割領域および上記第2分割領域がこれと逆順で上記一定方向に隣接するように、基板表面に沿った平面内で基板を回転させる基板回転手段と
を含むものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜除去装置。 - 上記流れ形成手段は、
上記第1分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第1流体供給手段と、
上記第2分割領域内でのレーザ光像のスキャン時に、基板表面に流体を供給して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成するための第2流体供給手段と
を含むものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜除去装置。 - 基板表面の薄膜を除去すべき薄膜除去対象領域にレーザ光を照射して、その薄膜除去対象領域の薄膜をレーザアブレーション現象で除去する方法であって、
上記薄膜除去対象領域を第1分割領域および第2分割領域に2分割して、基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第1分割領域内でスキャンさせる第1スキャン工程と、
この第1スキャン工程に並行して、上記第1分割領域から上記第2分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第1流体形成工程と、
基板表面に結像されるスリット形状のレーザ光像を上記第2分割領域内でスキャンさせる第2スキャン工程と、
この第2スキャン工程に並行して、上記第2分割領域から上記第1分割領域に向かう流体の流れを基板上に形成する第2流体形成工程と
を含むことを特徴とする薄膜除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002367159A JP2004200404A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 薄膜除去装置および薄膜除去方法 |
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JP (1) | JP2004200404A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015041646A (ja) * | 2013-08-20 | 2015-03-02 | 東京エレクトロン株式会社 | 基板洗浄装置 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002367159A patent/JP2004200404A/ja active Pending
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