JP2004200097A - 加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】攪拌および加熱効率を向上させて、被加熱物全体を均一に加熱できるようにする。
【解決手段】加熱装置は、被加熱物Aが供給・排出されかつ非導電材製筒状胴体21を有する容器11と、胴体21を取囲むように配置されている誘導加熱用コイル12と、容器11内に配置されている導電材製攪拌羽根34とを備えている。攪拌羽根34は、容器11内の被加熱物Aに上向きの流れを生じさせうるように形成されている。攪拌羽根34に複数の加熱領域41、42が隣り合うもの同士接するように区画されている。隣り合う加熱領域41、42の境界に、誘導電流遮断用スリット43、44が形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、粉体、粒体等の加熱装置、例えば、ごみ焼却設備で発生する飛灰に含まれるダイオキシンを熱分解するために飛灰を加熱する加熱装置に関する。
【従来の技術】
この種の加熱装置としては、被加熱物が供給・排出されかつ非導電材製胴体を有する容器と、胴体を取囲むように配置されている誘導加熱用コイルと、容器内をのびた垂直回転軸の周囲に回転軸とともに回転するように吊下られている複数の導電材製攪拌チェーンとを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0002】
【特許文献1】
特開2002−45826号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置により、飛灰を加熱する場合、チェーンによって飛灰を攪拌しかつ加熱するだけであるため、攪拌および加熱効率が十分ではなく、その結果、飛灰全体を均一に加熱する効果が十分ではなくて、ダイオキシンの熱分解効率の向上にも限度があった。
【0004】
この発明の目的は、上記問題を解決し、攪拌および加熱効率を向上させて、被加熱物全体を均一に加熱することのできる加熱装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による加熱装置は、被加熱物が供給・排出されかつ非導電材製筒状胴体を有する容器と、胴体を取囲むように配置されている誘導加熱用コイルと、容器内に配置されている導電材製攪拌羽根とを備えており、攪拌羽根が、容器内の被加熱物に上向きの流れを生じさせうるように形成されており、攪拌羽根に複数の加熱領域が隣り合うもの同士接するように区画されており、隣り合う加熱領域の境界に、誘導電流遮断用スリットが形成されているものである。
【0006】
この発明による加熱装置では、攪拌羽根によって容器内に被加熱物の上向きの流れが生じるから、被加熱物を効率良く攪拌することができる。
【0007】
さらに、攪拌羽根に複数の加熱領域が隣り合うもの同士接するように区画されており、隣り合う加熱領域の境界に、誘導電流遮断用スリットが形成されているから、各加熱領域の個々に渦電流を発生させられ、攪拌羽根の全体を均一に加熱することができる。
【0008】
また、各加熱領域の最狭幅部の大きさが、誘導電流の浸透深さの2〜5倍であると、各加熱領域のほぼ全体を効率よく加熱することができる。
【0009】
また、隣り合う加熱領域が、少なくとも1か所のスリット無部によって連絡されており、スリット無部の最大長さが、誘導電流の浸透深さの2倍未満であると、隣り合う加熱領域にまたがって渦電流が流れることを防止できる。
【0010】
また、胴体が垂直円筒状をなしており、胴体中心線上を垂直回転軸がのびており、回転軸外周面上に螺旋を描く線上に複数のアームが設けられており、各アームの先端に攪拌羽根が取付られていると、容器内の外側の部分において複数の攪拌羽根によって被加熱物は上向きに移動させられ、最上位の攪拌羽根のところまで移動させられた被加熱物は、自重によって、攪拌羽根の内側を通って下向きに移動させられる。
【0011】
また、回転軸に対して各アームが直交させられており、アームの描く螺旋のリード角が、5〜30度であると、攪拌羽根が最高の攪拌効率を発揮する。
【0012】
また、攪拌羽根が、平板状をなしており、攪拌羽根の取付角度が、リード角と一致させられている、攪拌羽根が被加熱物を最小の抵抗でもって攪拌することができる。
【0013】
また、螺旋を描くアームの列が、複数の並列状をなしていると、攪拌羽根による一層の攪拌効率の向上を期待できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照してつぎに説明する。
【0015】
図1を参照すると、加熱装置は、容器11と、容器11の周囲で垂直方向に螺旋を描いてのびている誘導加熱用コイル12とを備えている。
【0016】
容器11は、垂直円筒状胴体21と、胴体21の上端開口に被覆されかつ同開口縁部に固定されている水平頂板22と、胴体21の下端開口に出入自在に配されている水平底板23とよりなる。
【0017】
胴体21および底板23は、通磁性および非電導性のある絶縁物、例えば、セメント、耐火物、セラミックス、耐熱性樹脂等によって構成されている。頂板22は、金属製である。頂板22には供給口24が形成されている。
【0018】
胴体21中心線上を垂直回転軸31がのびている。回転軸31の上端部は、頂板22を貫通してその上方に突出させられている。回転軸31の上方突出部にはモータ32が連結されている。
【0019】
回転軸31の外周面には多数の水平丸棒状アーム33が上下および周方向に所定間隔をおいて設けられている。これらのアーム33は、回転軸31の半径方向、すなわち、回転軸31軸線と直交する方向にのびている。各アーム33の先端には平板状攪拌羽根34が取付られている。
【0020】
これらのアーム33および攪拌羽根34は、3つのグループに分けられる。各グループに属するアーム33は、回転軸31の外周面上において上に向かって右ねじ方向に進むように同外周面上をほぼ2周する螺旋を描く線上に一定間隔をおいて並んだ列を形成している。また、3つのグループの最下位のアーム33は、回転軸31の外周面を3等分する位置に位置させられている。したがって、3つのグループのアーム33のなす列は、並列状となされている。各グループに属する攪拌羽根34は、アーム33と対応するように列をなしている。各列の攪拌羽根34は、隣り合う者同士ほぼ接するように並んでいて、全体として、リボンスクリュー状をなしている。
【0021】
アーム33および攪拌羽根34の螺旋のリード角θは、互いに一致させられており、24度である。この角度は、攪拌羽根34による掻上げ効率を考慮すると、5〜30度程度を採用することが好ましい。
【0022】
図3に、攪拌羽根34が詳細に示されている。攪拌羽根34には複数の加熱領域41、42が隣り合うもの同士接するように区画されている。すなわち、複数の加熱領域41、42とは、攪拌羽根34の内縁部そってのびている円環の一部をなす形状の第1加熱領域41および第1加熱領域41の外縁を内端として、これより外向きにのびかつ攪拌羽根34の回転方向に並列に並んでいる外広りの方形状5つの第2加熱領域42である。第1加熱領域41および第2加熱領域42のそれぞれの境界には、5つの周方向スリット43が5つのスリット無部44を介して一連に連なるように形成されている。各スリット無部44は、各周方向スリット43の長さの中程に位置させられている。第2加熱領域42の隣り合うもの同士の境界には4つの半径方向スリット45が並列状に形成されている。
【0023】
コイル12に通電すると、攪拌羽根34には誘導電流が発生させられるが、誘導電流は、第1および第2加熱領域41、42のそれぞれに個別に発生させられる。そのための条件を以下に説明する。また、発生させられる誘導電流の浸透深さは、金属固有の物性値および使用する誘導加熱の周波数によって決まっており、例えば、SUS304の金属を20kHzで加熱する場合、3mm程度となる。
【0024】
第1加熱領域41の幅W1は、全長にわたって一定である。各第2加熱領域42は、内端の部分で最小幅W2となっている。これらの幅W1、W2は、誘導電流の浸透深さの2〜5倍となるように設定されている。同幅が2倍未満になると、各加熱領域41、42において発生させられる誘導電流が打消されて発熱しなくなる。また、同幅が5倍を超えると、各加熱領域41、42の中央部分の発熱しない面積が大きくなり、各加熱領域41、42の全体を均一に加熱できなくなる。
【0025】
一方、スリット無部44の長さLは、誘導電流の浸透深さの2倍未満となっている。同長さLが誘導電流の浸透深さの2倍以上になると、各加熱領域41、42に発生させようとする誘導電流が隣の加熱領域41、42で発生させられる誘導電流と通じ合ってしまうことになる。
【0026】
被加熱物Aは供給口24から容器11内に投入される。モータ32によって回転軸31を回転させながら、コイル12に通電すると、回転軸31とともに回転させられる攪拌羽根34は加熱される。上記した通り、誘導電流が加熱領域41、42のそれぞれに個別に発生させられるため、攪拌羽根34の全体が均一に加熱される。被加熱物Aが飛灰の場合、飛灰を、例えば、200〜500℃、好ましくは、300〜400℃、最適には350℃程度に加熱すると、ダイオキシンは熱分解される。
【0027】
加熱中の被加熱物Aは、攪拌羽根34によって上向きに移動させられ、最上位の攪拌羽根34のところまで移動させられると、今度は、自重によって攪拌羽根34の内側を通って下向きに移動させられる。移動中の被加熱物Aは攪拌羽根34と接触させられて加熱される。加熱が終了すると、底板23が下降させられて、胴体21の下端開口が開放され、そこから加熱済み被加熱物Aが排出される。
【0028】
図4には、攪拌羽根34の変形例が示されている。この変形例による攪拌羽根34には、これの回転方向に並んだ6つずつの第1〜第6加熱領域51〜56が内から外にかけて順次並ぶように形成されている。第1〜第6加熱領域51〜56の隣り合うもの同士の境界には、6つずつの第1〜第5周方向スリット61〜65が同心円弧状に並ぶように形成されるとともに、第1〜第5周方向スリット61〜65の長さの中程には第1〜第5周方向スリット無部71〜75が形成されている。第1〜第6加熱領域51〜56のそれぞれの隣り合う者同士の境界には5つの半径方向スリット81が形成されるとともに、5つ半径方向スリット81のうち、第1加熱領域41の境界にある部分にだけ半径方向スリット無部82が形成されている。
【0029】
第1〜第6加熱領域51〜56のうち、第1加熱領域41がその内端の部分に最小幅W3を有している。第1〜第5周方向スリット無部71〜75の長さL1および半径方向スリット無部の長さL2は、同一である。これらの最小幅W3および長さL1、L2に必要な条件は、図3に示す攪拌羽根34を参照しながら説明した条件と同じである。
【0030】
図5は、攪拌羽根の別の形態の変形例を示すものである。この変形例による攪拌羽根101では、図1に示す攪拌羽根34が一連に連結されたようなものである。換言すると、3つのリボン片101が螺旋を描きながらアーム33の先端を順次連絡しながらのびている。
【0031】
図6に、さらなる変形による攪拌羽根102が示されている。この変形例では、螺旋状の攪拌羽根102が回転軸31外面に直接設けられている。
【0032】
図5および図6にそれぞれ示す攪拌羽根101、102においても、図示しないスリットが形成されているが、スリットの形態は、図3または図4に示すものに準じる。
【0033】
【発明の効果】
この発明によれば、攪拌および加熱効率を向上させて、被加熱物全体を均一に加熱することのできる加熱装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による加熱装置の垂直縦断面図である。
【図2】図1のII−II線にそう水平横断面図である。
【図3】同加熱装置の攪拌羽根の平面図である。
【図4】変形例を示す攪拌羽根の図3相当の平面図である。
【図5】変形例による攪拌羽根の斜視図である。
【図6】さらなる変形例による攪拌羽根の斜視図である。
【符号の説明】
11 容器
12 コイル
21 胴体
34 攪拌羽根
41、42 加熱領域
43、45 スリット

Claims (7)

  1. 被加熱物が供給・排出されかつ非導電材製筒状胴体を有する容器と、胴体を取囲むように配置されている誘導加熱用コイルと、容器内に配置されている導電材製攪拌羽根とを備えており、攪拌羽根が、容器内の被加熱物に上向きの流れを生じさせうるように形成されており、攪拌羽根に複数の加熱領域が隣り合うもの同士接するように区画されており、隣り合う加熱領域の境界に、誘導電流遮断用スリットが形成されている加熱装置。
  2. 各加熱領域の最狭幅部の大きさが、誘導電流の浸透深さの2〜5倍である請求項1に記載の加熱装置。
  3. 隣り合う加熱領域が、少なくとも1か所のスリット無部によって連絡されており、スリット無部の最大長さが、誘導電流の浸透深さの2倍未満である請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 胴体が垂直円筒状をなしており、胴体中心線上を垂直回転軸がのびており、回転軸外周面上に螺旋を描く線上に複数のアームが設けられており、各アームの先端に攪拌羽根が取付られている請求項1〜3のいずれか1つに記載の加熱装置。
  5. 回転軸に対して各アームが直交させられており、アームの描く螺旋のリード角が、5〜30度である請求項4に記載の加熱装置。
  6. 攪拌羽根が、平板状をなしており、攪拌羽根の取付角度が、リード角と一致させられている請求項5に記載の加熱装置。
  7. 螺旋を描くアームの列が、複数の並列状をなしている請求項4〜6のいずれか1つに記載の加熱装置。
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