JP2004199879A - イオン伝導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、高分子鎖の結晶化によるイオン伝導性の低下が起こらず、機械的強度と可とう性を併せ持ち、緻密で厚膜化が可能な有機・無機複合重合物からなるイオン伝導体を提供し、電気化学デバイス用の固体電解質として応用していくことにある。
【解決手段】本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体は、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)、化合物(A)と熱重合可能な官能基を有する有機化合物(B)、アルカリ金属化合物(C)及び/又はアルカリ金属塩(D)を出発原料とし、それらが加水分解、重縮合反応やその他有機官能基を介した重合反応をすることで得られる重合体である。得られる重合体は有機骨格と無機骨格からなるものであり、有機骨格と無機骨格のうち少なくとも一つがイオン導電性を示し、本発明はこのイオン伝導体の合成における最適条件を見出すに至ったものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体は、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)、化合物(A)と熱重合可能な官能基を有する有機化合物(B)、アルカリ金属化合物(C)及び/又はアルカリ金属塩(D)を出発原料とし、それらが加水分解、重縮合反応やその他有機官能基を介した重合反応をすることで得られる重合体である。得られる重合体は有機骨格と無機骨格からなるものであり、有機骨格と無機骨格のうち少なくとも一つがイオン導電性を示し、本発明はこのイオン伝導体の合成における最適条件を見出すに至ったものである。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一次電池、二次電池や化学センサーなどの電気化学デバイスの固体電解質として利用できるイオン伝導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高いリチウムイオン伝導性を示す固体材料は、従来の液体電解質を用いたリチウム電池の問題点である電解液の液漏れによる発火の危険性、揮発による長期間の信頼性低下という欠点を克服する固体電解質としての応用が期待されている。固体電解質として有望な材料の候補としてはポリマー電解質、無機固体電解質などが知られている。
【0003】
ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)等のポリエーテル系高分子化合物にLiClO4、LiCF3SO3、リチウムスルホンイミド等のアルカリ金属塩を混合させたものが研究されてきた。このポリマー電解質のイオン伝導性はエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドからなる高分子鎖の熱運動によることが明らかにされている。しかしながら、PEOは低温では結晶化するため、高分子鎖の運動が起こらず伝導性が低くなるという欠点を有している。上記のような電解質の室温での伝導度は10-6Scm-1と非常に低い値であることが知られている。ポリマー電解質はこの他にも電池の正極−負極間のセパレータとしての役割を担っており、電池の内部抵抗を低減するため薄膜化を必要とする一方で、緻密化、機械的強度の向上などが要求されている。上記の課題についてはポリマー中への酸化物セラミックスの添加(例えば、非特許文献1参照)、PEO主鎖への側鎖の付与(例えば、非特許文献2参照)、ポリマーの架橋など様々な対策が講じられている。ポリマーの架橋には、紫外線、電子線を用いたラジカル重合反応(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、イオン重合反応(例えば、特許文献3参照)が利用されている。しかしながら現状ではこれらの材料は導電性の点などにおいて課題を有している。
【0004】
無機固体電解質は電解液やポリマー電解質と違い、不燃性であること、また非常に広い電位窓を有するため、5V級電池の電解質としての応用が期待できるということ、さらには従来の液体電解質や上記ポリマー電解質の場合と違い、リチウム源としてのリチウム塩を溶解させていないため、カウンターアニオンが存在せず、リチウムイオン輸率が1という特徴を持っている。しかしながら、これらの物質は可とう性に乏しく、薄膜化が困難であり、薄型電池、大型電池への応用が難しい。これまでに均質なLi2O−SiO2系のリチウムイオン伝導性無機固体薄膜をゾル・ゲル法により作製したという報告があるが(例えば、非特許文献3参照)、伝導性、セパレータとしての機能性の点においていくつかの課題を有していた。また、ゾルゲル法による形成される無機骨格中にリチウム塩を溶解させたPEO系ポリマーをブレンドすることによる有機−無機ハイブリッド型薄膜を作製した(たとえば、特許文献4参照)という報告があるが、この材料についても伝導性などの点について課題を有していた。
【0005】
以上のことより、機械的強度と可とう性を併せ持ち、緻密で厚膜化が可能で、かつ導電性の高い材料が望まれている。
【0006】
【非特許文献1】
Croceら、Nature、394巻、456頁、1998年
【非特許文献2】
西本ら、Electrochimica Acta、43巻、1177頁、1998年
【特許文献1】
特開平5−109311号公報
【特許文献2】
特開平10−204172号公報
【特許文献3】
特開平11−121036号公報
【非特許文献3】
辰巳砂ら、日本化学会誌、11巻、1958頁、1987年
【特許文献4】
特開2001−319691号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、高いイオン伝導性を示し、且つ高いアルカリ金属イオン輸率を有し、電気化学的にも安定で、機械的強度と可とう性を併せ持ち、均質な薄膜状とすることができる、取り扱いが容易で生産性に優れた有機・無機ハイブリッド型のイオン伝導体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、請求項1に係る第1の発明は、少なくとも下記一般式(1)
R1 x−Si(OR2)4-x… (1)
(R1:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R2:アルキル基 x:0≦x<4の整数)
で表される有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と、下記一般式(2)
CH3―(CHR4CHR5O)n―R3 … (2)
(R3:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R4、R5:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(B)、および下記一般式(3)
M1OR6 … (3)
(M1:アルカリ金属 R6:アルキル基または水素)
で表されるアルカリ金属化合物(C)を出発原料とし、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0009】(独立項なので改めて化合物は列挙しないとならないかも。)
請求項2に係る第2の発明は、請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、前記アルカリ金属化合物(C)に換えて下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を用い、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0010】
請求項3に係る第3の発明は、請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0011】
請求項4に係る第4の発明は、前記一般式(1)中の有機官能基R1に含まれる反応性官能基と、前記一般式(2)中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基が、以下の1から3の組み合わせ
1. R1:イソシアナート R3:水酸基
2. R1:アミノ基 R3:エポキシ基
3. R1:エポキシ基 R3:アミノ基
から選択される反応性官能基であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0012】
請求項5に係る第5の発明は、前記一般式(3)中のアルカリ金属M1がリチウムであることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0013】
請求項6に係る第6の発明は、前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がリチウムであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0014】
請求項7に係る第7の発明は、前記一般式(3)中のアルカリ金属M1と前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がともにリチウムであることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0015】
請求項8に係る第8の発明は、請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(5)
M3(OR7)n … (5)
(M3:Al、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Snから選択される元素 R7:アルキル基 n:M3の酸化数)
で表されるアルコキシド(E)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から7のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0016】
請求項9に係る第9の発明は、請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(6)
R8―(CHR10CHR11O)n―R9 … (6)
(R8、R9:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R10、R11:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(F)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から8のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0017】
請求項10に係る第10の発明は、前記有機化合物(B)と前記有機化合物(F)のモル比が(F)/(B)=0〜5の範囲であることを特徴とする請求項9記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体は、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)、有機化合物(B)、アルカリ金属化合物(C)及び/又はアルカリ金属塩(D)を出発原料とし、それらが加水分解、重縮合反応やその他有機官能基を介した重合反応をすることで得られる重合体である。得られる重合体は有機骨格と無機骨格からなるものであり、有機骨格と無機骨格のうち少なくとも一つがイオン導電性を示すものである。本発明はこのイオン伝導体の合成における最適条件を見出すに至ったものである。以下に、出発原料として用いた化合物について詳述する。
【0019】
本発明の必須成分である有機官能基修飾アルコキシシラン(A)(以下、A成分とする)は下記一般式(1)
R1 x−Si(OR2)4-x… (1)
で表示でき、有機化合物(B)(以下、B成分とする)は下記一般式(2)
CH3―(CHR4CHR5O)n―R3 … (2)
で表示できる。
A成分およびB成分における反応性官能基を含む有機官能基R1、R2としては様々な官能基が考えられるが、特にそれらが重合反応性官能基を含む場合は有機−無機間の結合が形成され、有機骨格と無機骨格が分子レベルで結合したハイブリッド体が合成できるため好適である。また、R1、R3として加熱重合型の反応性官能基を用いた場合、出発原料の混合溶液の加熱によりアルコキシシランの加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した重合反応が同時に起こり、骨格中で有機成分と無機成分が分子レベルで均一に分散したハイブリッド材料が合成でき、また材料合成における製造プロセスの簡略化にもつながるため好適である。
【0020】
中でもR1としてはアルカリ触媒下で反応するイソシアナート基、アミノ基、エポキシ基などが好ましい。R1がイソシアナート基である場合は、具体的にA成分としては3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が用いられる。またR1がアミノ基である場合は、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。
【0021】
R1がエポキシ基である場合は、A成分としては、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
一般式(1)中のR2はアルキル基であることが好ましい。とくにメチル基の場合、加水分解、重縮合の反応性が高いため好適である。
【0023】
有機化合物(B)中のR3に含まれる官能基は、R1に含まれる反応性官能基と反応するものが好ましい。上記記載のR1に含まれる好適な反応性官能基と、R3に含まれる反応性官能基との組み合わせとしては、R1に含まれる反応性官能基がイソシアナート基の場合はR3に含まれる反応性官能基が水酸基である材料が好適である。R1に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合は、R3に含まれる反応性官能基がエポキシ基である材料が好適であり、R1がエポキシ基を含む場合にはR3はアミノ基を含む有機官能基であると良い。
【0024】
また有機化合物(B)はポリエーテル鎖を骨格とする有機化合物であると、ポリエーテル鎖に可溶なアルカリ金属塩等の電解質を添加した際に導電性が向上するため好ましい。このときのポリエーテル鎖(ポリエチレングリコール)は、分子量が小さすぎると導電性向上の効果があまり見られず、大きすぎる場合もまたPEOの結晶化により室温付近での導電性が低下するため、R4及び/又はR5が水素またはメチル基であり、n=5〜45の範囲にあることが好ましい。本発明においては有機化合物(B)は、片末端の有機官能基のみが重合に寄与する化合物を必須成分として用いているが、これは片末端のみが重合している場合においてはポリエーテル鎖がセグメント運動しやすく、イオン伝導の観点からは好適な骨格が形成されるためである。
【0025】
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基がエポキシ基の場合、B成分としてはエチレンオキシド変成のグリシジルエーテル等が好適であり、最も好ましくはモノグリシジルエーテルが挙げられる。
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基が水酸基の場合、B成分としてはエチレンオキシド変成のポリオールが好ましい。さらに好ましくはポリエチレングリコールメチルエーテルが挙げられる。
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合、エチレンオキシド変成のポリアミンが好ましい。さらに好ましい化合物としては、エチレンオキシド変成のモノアミンが挙げられる。
【0026】
A成分とB成分の混合比はPEOの結晶化が起こらない範囲であればいずれであってもよいが、好ましくは(A)/(B)がモル比で0.5〜2の範囲であるのがよい。さらに出発原料組成において、(A)/(B)=1とすると、未反応の反応性官能基がなくなるため好適である。またこのとき、R3として異なる数の反応性官能基を含む有機官能基を有する、複数種類のB成分を混合して用い、本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の重合度を制御することで膜の厚さや強度を調節することも可能である。
【0027】
本発明のイオン伝導体には、さらに、下記一般式(6)で表示できる有機化合物(F)(以下、F成分とする)を加えることもできる。
R8―(CHR10CHR11O)n―R9 … (6)
この物質はそれ自身が伝導性に寄与するだけでなく、化合物(A)と反応することで骨格の架橋密度を向上させることができる。この材料の添加量またnの値を変えることで材料の架橋状態を変化させ、機械的強度等の物性を制御することができる。また同時に複数種の(F)成分を用いて同様に物性を制御することも可能である。
【0028】
有機化合物(F)中のR8、R9に含まれる官能基は、B成分についてのR3と同様に、R1に含まれる反応性官能基と反応するものが好ましい。上記記載のR1に含まれる好適な反応性官能基と、R8及びR9に含まれる反応性官能基との組み合わせとしては、R1に含まれる反応性官能基がイソシアナート基の場合はR8及びR9に含まれる反応性官能基が水酸基である材料が好ましく、R1に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合は、R8及びR9に含まれる反応性官能基がエポキシ基である材料が好適であり、R1がエポキシ基を含む場合にはR8及びR9はアミノ基を含む有機官能基であると良い。
【0029】
またF成分はポリエーテル鎖を骨格とする有機化合物であるため、ポリエーテル鎖に可溶なアルカリ金属塩等の電解質を添加した際に導電性が向上するため好ましい。このときのポリエーテル鎖(ポリエチレングリコール)は、分子量が小さすぎると導電性向上の効果があまり見られず、大きすぎる場合もまたPEO鎖の結晶化により、室温付近での導電性が低下するため、R10及び/又はR11が水素またはメチル基であり、n=5〜45の範囲にあることが好ましい。
【0030】
F成分として好ましく用いることのできる有機化合物の具体例としては、エチレンオキシド変成のポリオールが挙げられる。さらに好ましくはポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発原料としてB成分とF成分を同時に用いる場合、B成分の有機官能基R3と、F成分の有機官能基R8、R9は、同じ反応性官能基を含む必要がある。
【0031】
また、化合物(F)は骨格中では無機骨格と無機骨格を架橋している状態で存在しているため、片末端がフリーな状態の化合物(B)とは異なりセグメント運動が活発でない。ゆえに化合物(F)の添加量が多くなるとその伝導性は低下する。このため本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体においてB成分とF成分を混合して用いる場合、その割合はモル比で(F)/(B)=0〜5程度が好ましい。さらに、出発原料組成において(A)/{(B)+2(F)}とすると、未反応の反応性官能基がなくなるため好適である。
【0032】
アルカリ金属化合物(C)(以下、C成分とする)は下記一般式(3)
M1OR6 … (3)
(M1:アルカリ金属 R6:アルキル基または水素)
で表される化合物を用いることができる。C成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのアルコキシドまたは水酸化物がよく用いられている。このほかにもアミン系の触媒なども用いられている。これらの中でも電池の電解質として用いた場合にエネルギー密度が高いリチウムが好ましい。
【0033】
このC成分は出発原料中のアルコキシ基の加水分解、重縮合反応の触媒として働くほかに、それ自身の加水分解反応により、アルカリ金属M1が−Si−O−Si−からなる骨格中に−Si−O−M1の形で取り込まれ、アルカリ金属イオンが無機骨格中をいわゆるシングルイオン伝導により移動するようなハイブリッド体が形成されることで導電性の向上が期待できるため好適である。上記の場合においてアルカリ金属のアルコキシドまたは水酸化物の添加量が多すぎると、膜中にアルカリ金属水酸化物が析出し、イオン伝導を阻害する。また、添加量が少なすぎても触媒としての効果が低下し薄膜が得られなくなる場合や、無機骨格中のアルカリ金属イオンの濃度が低下し、導電性が低下する場合がある。そこで、アルカリ金属の水酸化物またはアルコキシドの添加量は好ましくは(アルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド)/(A成分)がモル比で0.5〜3の範囲であるとよい。
【0034】
本発明で用いるアルカリ金属塩(D)(以下、D成分とする)は下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表すことができる。
【0035】
これら電解質塩であるD成分は本発明におけるイオン伝導体の骨格を形成するポリエーテル鎖に可溶であり、ポリエーテル鎖に溶解させることでそのイオン伝導性を向上させることができる。骨格中のポリエーテル系共重合体に可溶な電解質塩としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属塩が挙げられる。また、本発明のイオン伝導体を電池の電解質として用いる場合は、エネルギー密度が高いリチウムが好適である。具体的には、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiBr、LiI、LiF等が挙げられる。この中でも対アニオンが大きく、解離度の高いLiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiClO4、LiN(CF3SO2)2は可動イオン濃度が高くなるため好ましい。このときのD成分の濃度はモル数で前記におけるアルキレンオキシドユニット1に対し、0.03〜0.1の範囲であることが好ましい。
【0036】
本発明におけるイオン伝導体には、下記の一般式(5)
M3(OR7)n … (5)
(M3:Al、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Snのうちの少なくとも一つ R7:アルキル基 n:M3の酸化数)
で表されるアルコキシド(E)を添加することができる。
【0037】
式中のM3としてはAl、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Sn等が例示できる。これらの中でもM3がTi、Ta、Zr、V、In、Zn、Snであるアルコキシドは反応性に富み、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)の加水分解、重縮合により形成されたシリカ骨格中の残存OH基と反応する。このことから、この材料の添加量や種類を選択することで材料の架橋密度を変化させ、強度を制御することができる。本発明のイオン伝導体をリチウム電池の電解質として使用する際は、骨格中のOH基は電池の充放電サイクルに対する安定性や耐久性を低下させる要因となりうるため、残存OH基の数を低減させるこれらのアルコキシドは好適な材料といえる。また、残存OH基と反応しなかった上記アルコキシドもそれ自身の加水分解、重縮合によって酸化物微粒子を形成し、材料骨格中に存在することができる。これらの酸化物微粒子は電池の充放電サイクルに対する安定性、電極−電解質界面の安定性、耐久性を向上させることができる。また、電解質中のポリエチレンオキシドの結晶化を抑制することで電池の使用温度範囲を拡大することもできるため、有用である。またM3がBであるアルコキシドを用いると、骨格中の酸化ホウ素骨格がリチウム塩由来のアニオンを捕捉し、得られる材料のリチウムイオン輸率が向上するため好ましい。
E成分は添加量が多くなるとイオン伝導体の可とう性がなくなりもろくなるため、添加量としてはモル比で(E)/(A)=0.5〜2の範囲であることが好ましい。このとき複数種類のE成分を同時に出発原料に加えて用いても何ら問題はない。
【0038】
本発明のイオン伝導体及びそれを固体電解質として用いた二次電池の作成方法は特に限定されるものではなく、上述した各成分をいくつか組み合わせて材料合成が可能であり、さらに、物性を損なわない範囲で、イオン伝導性微粒子や無機微粒子、分散剤、安定化剤、粘度調製剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0039】
本発明におけるイオン伝導体はその目的に応じて任意の形状に加工することができる。特に電池の電解質として用いる場合は薄膜に成形して使用される場合が多い。薄膜を作製する方法としては塗布が挙げられ、塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。固体電解質膜となるイオン伝導体の厚さは目的の設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
【0040】
本発明のイオン伝導体は、出発原料を任意の形状に成形後、出発原料中又は加工雰囲気中の水分により、出発原料中に含まれるアルコキシ基の加水分解重縮合による架橋反応が進行する。この反応は加熱により促進される。一方で、加熱により促進される反応性官能基を介した架橋硬化も進行する。1種類の化合物からこの2種類の架橋反応が協奏的に進行することで、高い分散状態の有機−無機ハイブリッドマトリックス架橋体が形成され、従来よりも架橋密度が高く十分な強度を有しかつイオン伝導性にも優れるイオン伝導体となる。
【0041】
本発明のイオン伝導体を電池の固体電解質として用いる場合、固体電解質として単層での使用に限定されるものではなく、正極、負極を構成する活物質や導電剤を集電体に塗布するためのバインダーとして使用することも可能である。このように、正極、電解質、負極を積層させて薄型の全固体二次電池を作製することも可能である。
【0042】
本発明のイオン伝導体は電池の固体電解質としての応用のみに限定されることは無く、骨格中にNaI、NaSCN、NaBr、KI、KBr、CsI、CsBr、CaI2、CsBr2、アルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、アルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の沃化物、臭化物塩を溶解させ、それぞれ沃素、臭素と組み合わせて用いることで、光電変換素子への応用も可能である。また電解質塩を添加しない場合において、得られる材料を加湿したり、またプロトン伝導性を示す酸や無機セラミックスを添加した場合、プロトン伝導体として燃料電池や電気二重層キャパシタの電解質としての応用も可能である。
【0043】
【実施例】
以下に、本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体について、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0044】
<実施例1>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、A成分として3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(IPTMS)、B成分として分子量350のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME350)、C成分としてリチウムメトキシド(LiOMe)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はモル比でIPTMS:PEGME350:LiOMe=1:1:1とした。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0045】
<実施例2>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME350、LiOMe、D成分としてリチウムビストリフルオロスルホイミド(LiTFSI)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はモル比でIPTMS:PEGME350:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME350に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0046】
<実施例3>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、B成分として分子量750のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME750)、LiOMe、LiTFSIを混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0047】
<実施例4>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、B成分として分子量2000のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME2000)、LiOMe、LiTFSIを混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME2000:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0048】
<実施例5>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME750、LiOMe、LiTFSI、E成分としてテトラブトキシチタネート(Ti(OC4H9)4)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe:Ti(OC4H9)4=1:1:2:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0049】
<実施例6>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME750、LiOMe、LiTFSI、F成分として分子量200のポリエチレングリコール(PEG200)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe:PEG200=3:1:6:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750とPEG200とを合わせたエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0050】
<実施例7>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME2000、LiTFSIをアセトニトリル中で混合し、約1時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME2000=1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明の均質なものであった。
【0051】
<比較例>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、PEGME2000、LiTFSIをアセトニトリル中で混合し、約1時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、やや白濁した均質なものであった。
【0052】
本発明における実施例としては、有機骨格−無機骨格間の重合・架橋反応がイソシアナート基と水酸基間で反応としたものを示した。イソシアナート基を有するA成分、エチレンオキシドユニットを有し、末端が水酸基であるB成分、C成分としてのリチウムアルコキシドを出発原料とする試料およびそれらに無機金属アルコキシド、ポリエチレングリコールを添加したものを計7種作製し、伝導度測定、鉛筆硬度測定などの評価を行った。また同様の評価を2種類の比較例についても行った。
【0053】
伝導度測定における測定セルは、予め白金電極をスパッタしたガラス基盤に薄膜をコーティングしたものを用いた。測定は、薄膜を十分に乾燥させた後、不活性ガス雰囲気のグローブボックス中で測定した。そして、インピーダンスアナライザーおよびヒーターを利用して、周波数範囲1Hz〜2MHz、印加電圧0.5V、測定温度範囲25℃〜150℃でセルのインピーダンスを測定した。鉛筆硬度測定は、塗料一般試験法JIS−K5400鉛筆引っかき値試験方法に準じて擦り傷にて評価した。表1に、実施例1〜7、および比較例における300Kでの伝導度σ300K、鉛筆硬度測定および試料の外観についての評価結果を示す。伝導度のほか、D成分であるリチウム塩の有無についても記載した。
【0054】
【表1】
【0055】
表1のとおり、実施例におけるイオン伝導体膜はいずれも良好な伝導度を示した。またLiOMeおよびLiTFSIの添加が伝導度向上に寄与することがわかった。これらのイオン伝導体膜はいずれもゾル−ゲル法により得られる無機系の薄膜よりも厚く、数μm〜数十μmの範囲での膜厚制御が可能であり、また可とう性も有するものであった。また、テトラブトキシチタネート(Ti(OC4H9)4)適量添加することで膜硬度およびイオン伝導度が向上することがわかった。また、ポリエチレングリコールを添加することで得られる材料の架橋密度が高くなり、高いイオン伝導性でかつ強度の高い膜を得ることができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明におけるイオン伝導体は、加熱硬化型の有機・無機ハイブリッド体であり、その伝導度は従来の無機系の材料よりも高い値を示す。また、合成プロセスにおいて、アルコキシドの加水分解、重縮合反応とアルコキシド以外の反応性官能基の重合反応が協奏的に起こるため、骨格中で有機成分と無機成分が分子レベルで均一に分散したハイブリッド材料が合成できる。その結果、緻密で柔らかく、かつ数μm〜数十μmの厚膜のイオン伝導体が可能になる。これは電池として用いる上で十分な膜厚である。本発明において、A、B、Cの各成分およびD成分からなるイオン伝導体にE成分であるアルコキシドを添加することで、電池の固体電解質として用いた場合に、その耐久性、サイクルの安定性を向上させることができる。さらにF成分であるポリエチレングリコールを出発原料に添加することにより薄膜の重合度を変化させ、膜の強度や密度を高めることができる。以上のことより、本発明における無機・有機ハイブリッド型のアルカリ金属イオン伝導体は、リチウム二次電池をはじめとする様々な電気化学的デバイス用の固体電解質として好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は一次電池、二次電池や化学センサーなどの電気化学デバイスの固体電解質として利用できるイオン伝導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高いリチウムイオン伝導性を示す固体材料は、従来の液体電解質を用いたリチウム電池の問題点である電解液の液漏れによる発火の危険性、揮発による長期間の信頼性低下という欠点を克服する固体電解質としての応用が期待されている。固体電解質として有望な材料の候補としてはポリマー電解質、無機固体電解質などが知られている。
【0003】
ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)等のポリエーテル系高分子化合物にLiClO4、LiCF3SO3、リチウムスルホンイミド等のアルカリ金属塩を混合させたものが研究されてきた。このポリマー電解質のイオン伝導性はエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドからなる高分子鎖の熱運動によることが明らかにされている。しかしながら、PEOは低温では結晶化するため、高分子鎖の運動が起こらず伝導性が低くなるという欠点を有している。上記のような電解質の室温での伝導度は10-6Scm-1と非常に低い値であることが知られている。ポリマー電解質はこの他にも電池の正極−負極間のセパレータとしての役割を担っており、電池の内部抵抗を低減するため薄膜化を必要とする一方で、緻密化、機械的強度の向上などが要求されている。上記の課題についてはポリマー中への酸化物セラミックスの添加(例えば、非特許文献1参照)、PEO主鎖への側鎖の付与(例えば、非特許文献2参照)、ポリマーの架橋など様々な対策が講じられている。ポリマーの架橋には、紫外線、電子線を用いたラジカル重合反応(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、イオン重合反応(例えば、特許文献3参照)が利用されている。しかしながら現状ではこれらの材料は導電性の点などにおいて課題を有している。
【0004】
無機固体電解質は電解液やポリマー電解質と違い、不燃性であること、また非常に広い電位窓を有するため、5V級電池の電解質としての応用が期待できるということ、さらには従来の液体電解質や上記ポリマー電解質の場合と違い、リチウム源としてのリチウム塩を溶解させていないため、カウンターアニオンが存在せず、リチウムイオン輸率が1という特徴を持っている。しかしながら、これらの物質は可とう性に乏しく、薄膜化が困難であり、薄型電池、大型電池への応用が難しい。これまでに均質なLi2O−SiO2系のリチウムイオン伝導性無機固体薄膜をゾル・ゲル法により作製したという報告があるが(例えば、非特許文献3参照)、伝導性、セパレータとしての機能性の点においていくつかの課題を有していた。また、ゾルゲル法による形成される無機骨格中にリチウム塩を溶解させたPEO系ポリマーをブレンドすることによる有機−無機ハイブリッド型薄膜を作製した(たとえば、特許文献4参照)という報告があるが、この材料についても伝導性などの点について課題を有していた。
【0005】
以上のことより、機械的強度と可とう性を併せ持ち、緻密で厚膜化が可能で、かつ導電性の高い材料が望まれている。
【0006】
【非特許文献1】
Croceら、Nature、394巻、456頁、1998年
【非特許文献2】
西本ら、Electrochimica Acta、43巻、1177頁、1998年
【特許文献1】
特開平5−109311号公報
【特許文献2】
特開平10−204172号公報
【特許文献3】
特開平11−121036号公報
【非特許文献3】
辰巳砂ら、日本化学会誌、11巻、1958頁、1987年
【特許文献4】
特開2001−319691号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、高いイオン伝導性を示し、且つ高いアルカリ金属イオン輸率を有し、電気化学的にも安定で、機械的強度と可とう性を併せ持ち、均質な薄膜状とすることができる、取り扱いが容易で生産性に優れた有機・無機ハイブリッド型のイオン伝導体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、請求項1に係る第1の発明は、少なくとも下記一般式(1)
R1 x−Si(OR2)4-x… (1)
(R1:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R2:アルキル基 x:0≦x<4の整数)
で表される有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と、下記一般式(2)
CH3―(CHR4CHR5O)n―R3 … (2)
(R3:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R4、R5:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(B)、および下記一般式(3)
M1OR6 … (3)
(M1:アルカリ金属 R6:アルキル基または水素)
で表されるアルカリ金属化合物(C)を出発原料とし、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0009】(独立項なので改めて化合物は列挙しないとならないかも。)
請求項2に係る第2の発明は、請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、前記アルカリ金属化合物(C)に換えて下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を用い、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0010】
請求項3に係る第3の発明は、請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0011】
請求項4に係る第4の発明は、前記一般式(1)中の有機官能基R1に含まれる反応性官能基と、前記一般式(2)中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基が、以下の1から3の組み合わせ
1. R1:イソシアナート R3:水酸基
2. R1:アミノ基 R3:エポキシ基
3. R1:エポキシ基 R3:アミノ基
から選択される反応性官能基であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0012】
請求項5に係る第5の発明は、前記一般式(3)中のアルカリ金属M1がリチウムであることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0013】
請求項6に係る第6の発明は、前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がリチウムであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0014】
請求項7に係る第7の発明は、前記一般式(3)中のアルカリ金属M1と前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がともにリチウムであることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0015】
請求項8に係る第8の発明は、請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(5)
M3(OR7)n … (5)
(M3:Al、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Snから選択される元素 R7:アルキル基 n:M3の酸化数)
で表されるアルコキシド(E)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から7のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0016】
請求項9に係る第9の発明は、請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(6)
R8―(CHR10CHR11O)n―R9 … (6)
(R8、R9:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R10、R11:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(F)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から8のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0017】
請求項10に係る第10の発明は、前記有機化合物(B)と前記有機化合物(F)のモル比が(F)/(B)=0〜5の範囲であることを特徴とする請求項9記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体は、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)、有機化合物(B)、アルカリ金属化合物(C)及び/又はアルカリ金属塩(D)を出発原料とし、それらが加水分解、重縮合反応やその他有機官能基を介した重合反応をすることで得られる重合体である。得られる重合体は有機骨格と無機骨格からなるものであり、有機骨格と無機骨格のうち少なくとも一つがイオン導電性を示すものである。本発明はこのイオン伝導体の合成における最適条件を見出すに至ったものである。以下に、出発原料として用いた化合物について詳述する。
【0019】
本発明の必須成分である有機官能基修飾アルコキシシラン(A)(以下、A成分とする)は下記一般式(1)
R1 x−Si(OR2)4-x… (1)
で表示でき、有機化合物(B)(以下、B成分とする)は下記一般式(2)
CH3―(CHR4CHR5O)n―R3 … (2)
で表示できる。
A成分およびB成分における反応性官能基を含む有機官能基R1、R2としては様々な官能基が考えられるが、特にそれらが重合反応性官能基を含む場合は有機−無機間の結合が形成され、有機骨格と無機骨格が分子レベルで結合したハイブリッド体が合成できるため好適である。また、R1、R3として加熱重合型の反応性官能基を用いた場合、出発原料の混合溶液の加熱によりアルコキシシランの加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した重合反応が同時に起こり、骨格中で有機成分と無機成分が分子レベルで均一に分散したハイブリッド材料が合成でき、また材料合成における製造プロセスの簡略化にもつながるため好適である。
【0020】
中でもR1としてはアルカリ触媒下で反応するイソシアナート基、アミノ基、エポキシ基などが好ましい。R1がイソシアナート基である場合は、具体的にA成分としては3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が用いられる。またR1がアミノ基である場合は、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。
【0021】
R1がエポキシ基である場合は、A成分としては、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ペンタメチルジシロキサン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
一般式(1)中のR2はアルキル基であることが好ましい。とくにメチル基の場合、加水分解、重縮合の反応性が高いため好適である。
【0023】
有機化合物(B)中のR3に含まれる官能基は、R1に含まれる反応性官能基と反応するものが好ましい。上記記載のR1に含まれる好適な反応性官能基と、R3に含まれる反応性官能基との組み合わせとしては、R1に含まれる反応性官能基がイソシアナート基の場合はR3に含まれる反応性官能基が水酸基である材料が好適である。R1に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合は、R3に含まれる反応性官能基がエポキシ基である材料が好適であり、R1がエポキシ基を含む場合にはR3はアミノ基を含む有機官能基であると良い。
【0024】
また有機化合物(B)はポリエーテル鎖を骨格とする有機化合物であると、ポリエーテル鎖に可溶なアルカリ金属塩等の電解質を添加した際に導電性が向上するため好ましい。このときのポリエーテル鎖(ポリエチレングリコール)は、分子量が小さすぎると導電性向上の効果があまり見られず、大きすぎる場合もまたPEOの結晶化により室温付近での導電性が低下するため、R4及び/又はR5が水素またはメチル基であり、n=5〜45の範囲にあることが好ましい。本発明においては有機化合物(B)は、片末端の有機官能基のみが重合に寄与する化合物を必須成分として用いているが、これは片末端のみが重合している場合においてはポリエーテル鎖がセグメント運動しやすく、イオン伝導の観点からは好適な骨格が形成されるためである。
【0025】
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基がエポキシ基の場合、B成分としてはエチレンオキシド変成のグリシジルエーテル等が好適であり、最も好ましくはモノグリシジルエーテルが挙げられる。
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基が水酸基の場合、B成分としてはエチレンオキシド変成のポリオールが好ましい。さらに好ましくはポリエチレングリコールメチルエーテルが挙げられる。
B成分中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合、エチレンオキシド変成のポリアミンが好ましい。さらに好ましい化合物としては、エチレンオキシド変成のモノアミンが挙げられる。
【0026】
A成分とB成分の混合比はPEOの結晶化が起こらない範囲であればいずれであってもよいが、好ましくは(A)/(B)がモル比で0.5〜2の範囲であるのがよい。さらに出発原料組成において、(A)/(B)=1とすると、未反応の反応性官能基がなくなるため好適である。またこのとき、R3として異なる数の反応性官能基を含む有機官能基を有する、複数種類のB成分を混合して用い、本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の重合度を制御することで膜の厚さや強度を調節することも可能である。
【0027】
本発明のイオン伝導体には、さらに、下記一般式(6)で表示できる有機化合物(F)(以下、F成分とする)を加えることもできる。
R8―(CHR10CHR11O)n―R9 … (6)
この物質はそれ自身が伝導性に寄与するだけでなく、化合物(A)と反応することで骨格の架橋密度を向上させることができる。この材料の添加量またnの値を変えることで材料の架橋状態を変化させ、機械的強度等の物性を制御することができる。また同時に複数種の(F)成分を用いて同様に物性を制御することも可能である。
【0028】
有機化合物(F)中のR8、R9に含まれる官能基は、B成分についてのR3と同様に、R1に含まれる反応性官能基と反応するものが好ましい。上記記載のR1に含まれる好適な反応性官能基と、R8及びR9に含まれる反応性官能基との組み合わせとしては、R1に含まれる反応性官能基がイソシアナート基の場合はR8及びR9に含まれる反応性官能基が水酸基である材料が好ましく、R1に含まれる反応性官能基がアミノ基の場合は、R8及びR9に含まれる反応性官能基がエポキシ基である材料が好適であり、R1がエポキシ基を含む場合にはR8及びR9はアミノ基を含む有機官能基であると良い。
【0029】
またF成分はポリエーテル鎖を骨格とする有機化合物であるため、ポリエーテル鎖に可溶なアルカリ金属塩等の電解質を添加した際に導電性が向上するため好ましい。このときのポリエーテル鎖(ポリエチレングリコール)は、分子量が小さすぎると導電性向上の効果があまり見られず、大きすぎる場合もまたPEO鎖の結晶化により、室温付近での導電性が低下するため、R10及び/又はR11が水素またはメチル基であり、n=5〜45の範囲にあることが好ましい。
【0030】
F成分として好ましく用いることのできる有機化合物の具体例としては、エチレンオキシド変成のポリオールが挙げられる。さらに好ましくはポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発原料としてB成分とF成分を同時に用いる場合、B成分の有機官能基R3と、F成分の有機官能基R8、R9は、同じ反応性官能基を含む必要がある。
【0031】
また、化合物(F)は骨格中では無機骨格と無機骨格を架橋している状態で存在しているため、片末端がフリーな状態の化合物(B)とは異なりセグメント運動が活発でない。ゆえに化合物(F)の添加量が多くなるとその伝導性は低下する。このため本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体においてB成分とF成分を混合して用いる場合、その割合はモル比で(F)/(B)=0〜5程度が好ましい。さらに、出発原料組成において(A)/{(B)+2(F)}とすると、未反応の反応性官能基がなくなるため好適である。
【0032】
アルカリ金属化合物(C)(以下、C成分とする)は下記一般式(3)
M1OR6 … (3)
(M1:アルカリ金属 R6:アルキル基または水素)
で表される化合物を用いることができる。C成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのアルコキシドまたは水酸化物がよく用いられている。このほかにもアミン系の触媒なども用いられている。これらの中でも電池の電解質として用いた場合にエネルギー密度が高いリチウムが好ましい。
【0033】
このC成分は出発原料中のアルコキシ基の加水分解、重縮合反応の触媒として働くほかに、それ自身の加水分解反応により、アルカリ金属M1が−Si−O−Si−からなる骨格中に−Si−O−M1の形で取り込まれ、アルカリ金属イオンが無機骨格中をいわゆるシングルイオン伝導により移動するようなハイブリッド体が形成されることで導電性の向上が期待できるため好適である。上記の場合においてアルカリ金属のアルコキシドまたは水酸化物の添加量が多すぎると、膜中にアルカリ金属水酸化物が析出し、イオン伝導を阻害する。また、添加量が少なすぎても触媒としての効果が低下し薄膜が得られなくなる場合や、無機骨格中のアルカリ金属イオンの濃度が低下し、導電性が低下する場合がある。そこで、アルカリ金属の水酸化物またはアルコキシドの添加量は好ましくは(アルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド)/(A成分)がモル比で0.5〜3の範囲であるとよい。
【0034】
本発明で用いるアルカリ金属塩(D)(以下、D成分とする)は下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表すことができる。
【0035】
これら電解質塩であるD成分は本発明におけるイオン伝導体の骨格を形成するポリエーテル鎖に可溶であり、ポリエーテル鎖に溶解させることでそのイオン伝導性を向上させることができる。骨格中のポリエーテル系共重合体に可溶な電解質塩としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属塩が挙げられる。また、本発明のイオン伝導体を電池の電解質として用いる場合は、エネルギー密度が高いリチウムが好適である。具体的には、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiBr、LiI、LiF等が挙げられる。この中でも対アニオンが大きく、解離度の高いLiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiClO4、LiN(CF3SO2)2は可動イオン濃度が高くなるため好ましい。このときのD成分の濃度はモル数で前記におけるアルキレンオキシドユニット1に対し、0.03〜0.1の範囲であることが好ましい。
【0036】
本発明におけるイオン伝導体には、下記の一般式(5)
M3(OR7)n … (5)
(M3:Al、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Snのうちの少なくとも一つ R7:アルキル基 n:M3の酸化数)
で表されるアルコキシド(E)を添加することができる。
【0037】
式中のM3としてはAl、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Sn等が例示できる。これらの中でもM3がTi、Ta、Zr、V、In、Zn、Snであるアルコキシドは反応性に富み、有機官能基修飾アルコキシシラン(A)の加水分解、重縮合により形成されたシリカ骨格中の残存OH基と反応する。このことから、この材料の添加量や種類を選択することで材料の架橋密度を変化させ、強度を制御することができる。本発明のイオン伝導体をリチウム電池の電解質として使用する際は、骨格中のOH基は電池の充放電サイクルに対する安定性や耐久性を低下させる要因となりうるため、残存OH基の数を低減させるこれらのアルコキシドは好適な材料といえる。また、残存OH基と反応しなかった上記アルコキシドもそれ自身の加水分解、重縮合によって酸化物微粒子を形成し、材料骨格中に存在することができる。これらの酸化物微粒子は電池の充放電サイクルに対する安定性、電極−電解質界面の安定性、耐久性を向上させることができる。また、電解質中のポリエチレンオキシドの結晶化を抑制することで電池の使用温度範囲を拡大することもできるため、有用である。またM3がBであるアルコキシドを用いると、骨格中の酸化ホウ素骨格がリチウム塩由来のアニオンを捕捉し、得られる材料のリチウムイオン輸率が向上するため好ましい。
E成分は添加量が多くなるとイオン伝導体の可とう性がなくなりもろくなるため、添加量としてはモル比で(E)/(A)=0.5〜2の範囲であることが好ましい。このとき複数種類のE成分を同時に出発原料に加えて用いても何ら問題はない。
【0038】
本発明のイオン伝導体及びそれを固体電解質として用いた二次電池の作成方法は特に限定されるものではなく、上述した各成分をいくつか組み合わせて材料合成が可能であり、さらに、物性を損なわない範囲で、イオン伝導性微粒子や無機微粒子、分散剤、安定化剤、粘度調製剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0039】
本発明におけるイオン伝導体はその目的に応じて任意の形状に加工することができる。特に電池の電解質として用いる場合は薄膜に成形して使用される場合が多い。薄膜を作製する方法としては塗布が挙げられ、塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。固体電解質膜となるイオン伝導体の厚さは目的の設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
【0040】
本発明のイオン伝導体は、出発原料を任意の形状に成形後、出発原料中又は加工雰囲気中の水分により、出発原料中に含まれるアルコキシ基の加水分解重縮合による架橋反応が進行する。この反応は加熱により促進される。一方で、加熱により促進される反応性官能基を介した架橋硬化も進行する。1種類の化合物からこの2種類の架橋反応が協奏的に進行することで、高い分散状態の有機−無機ハイブリッドマトリックス架橋体が形成され、従来よりも架橋密度が高く十分な強度を有しかつイオン伝導性にも優れるイオン伝導体となる。
【0041】
本発明のイオン伝導体を電池の固体電解質として用いる場合、固体電解質として単層での使用に限定されるものではなく、正極、負極を構成する活物質や導電剤を集電体に塗布するためのバインダーとして使用することも可能である。このように、正極、電解質、負極を積層させて薄型の全固体二次電池を作製することも可能である。
【0042】
本発明のイオン伝導体は電池の固体電解質としての応用のみに限定されることは無く、骨格中にNaI、NaSCN、NaBr、KI、KBr、CsI、CsBr、CaI2、CsBr2、アルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、アルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の沃化物、臭化物塩を溶解させ、それぞれ沃素、臭素と組み合わせて用いることで、光電変換素子への応用も可能である。また電解質塩を添加しない場合において、得られる材料を加湿したり、またプロトン伝導性を示す酸や無機セラミックスを添加した場合、プロトン伝導体として燃料電池や電気二重層キャパシタの電解質としての応用も可能である。
【0043】
【実施例】
以下に、本発明の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体について、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0044】
<実施例1>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、A成分として3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン(IPTMS)、B成分として分子量350のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME350)、C成分としてリチウムメトキシド(LiOMe)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はモル比でIPTMS:PEGME350:LiOMe=1:1:1とした。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0045】
<実施例2>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME350、LiOMe、D成分としてリチウムビストリフルオロスルホイミド(LiTFSI)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はモル比でIPTMS:PEGME350:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME350に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0046】
<実施例3>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、B成分として分子量750のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME750)、LiOMe、LiTFSIを混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0047】
<実施例4>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、B成分として分子量2000のポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGME2000)、LiOMe、LiTFSIを混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME2000:LiOMe=1:1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0048】
<実施例5>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME750、LiOMe、LiTFSI、E成分としてテトラブトキシチタネート(Ti(OC4H9)4)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe:Ti(OC4H9)4=1:1:2:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0049】
<実施例6>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME750、LiOMe、LiTFSI、F成分として分子量200のポリエチレングリコール(PEG200)を混合し、約2時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME750:LiOMe:PEG200=3:1:6:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME750とPEG200とを合わせたエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
【0050】
<実施例7>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、IPTMS、PEGME2000、LiTFSIをアセトニトリル中で混合し、約1時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。このとき原料の組成比はIPTMS:PEGME2000=1:1とした。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、無色透明の均質なものであった。
【0051】
<比較例>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、PEGME2000、LiTFSIをアセトニトリル中で混合し、約1時間撹拌することで無色透明の混合物を調整した。LiTFSIの濃度についてはPEGME2000に含まれるエチレンオキシドユニット(EO)に対し、モル比でEO:LiTFSI=20:1に相当する濃度で添加した。
上記のゾル溶液をガラス基盤上にスピンコーターを用いてコーティングを行った。得られた薄膜を乾燥、熱処理することでゲル薄膜を得た。得られた薄膜は、やや白濁した均質なものであった。
【0052】
本発明における実施例としては、有機骨格−無機骨格間の重合・架橋反応がイソシアナート基と水酸基間で反応としたものを示した。イソシアナート基を有するA成分、エチレンオキシドユニットを有し、末端が水酸基であるB成分、C成分としてのリチウムアルコキシドを出発原料とする試料およびそれらに無機金属アルコキシド、ポリエチレングリコールを添加したものを計7種作製し、伝導度測定、鉛筆硬度測定などの評価を行った。また同様の評価を2種類の比較例についても行った。
【0053】
伝導度測定における測定セルは、予め白金電極をスパッタしたガラス基盤に薄膜をコーティングしたものを用いた。測定は、薄膜を十分に乾燥させた後、不活性ガス雰囲気のグローブボックス中で測定した。そして、インピーダンスアナライザーおよびヒーターを利用して、周波数範囲1Hz〜2MHz、印加電圧0.5V、測定温度範囲25℃〜150℃でセルのインピーダンスを測定した。鉛筆硬度測定は、塗料一般試験法JIS−K5400鉛筆引っかき値試験方法に準じて擦り傷にて評価した。表1に、実施例1〜7、および比較例における300Kでの伝導度σ300K、鉛筆硬度測定および試料の外観についての評価結果を示す。伝導度のほか、D成分であるリチウム塩の有無についても記載した。
【0054】
【表1】
【0055】
表1のとおり、実施例におけるイオン伝導体膜はいずれも良好な伝導度を示した。またLiOMeおよびLiTFSIの添加が伝導度向上に寄与することがわかった。これらのイオン伝導体膜はいずれもゾル−ゲル法により得られる無機系の薄膜よりも厚く、数μm〜数十μmの範囲での膜厚制御が可能であり、また可とう性も有するものであった。また、テトラブトキシチタネート(Ti(OC4H9)4)適量添加することで膜硬度およびイオン伝導度が向上することがわかった。また、ポリエチレングリコールを添加することで得られる材料の架橋密度が高くなり、高いイオン伝導性でかつ強度の高い膜を得ることができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明におけるイオン伝導体は、加熱硬化型の有機・無機ハイブリッド体であり、その伝導度は従来の無機系の材料よりも高い値を示す。また、合成プロセスにおいて、アルコキシドの加水分解、重縮合反応とアルコキシド以外の反応性官能基の重合反応が協奏的に起こるため、骨格中で有機成分と無機成分が分子レベルで均一に分散したハイブリッド材料が合成できる。その結果、緻密で柔らかく、かつ数μm〜数十μmの厚膜のイオン伝導体が可能になる。これは電池として用いる上で十分な膜厚である。本発明において、A、B、Cの各成分およびD成分からなるイオン伝導体にE成分であるアルコキシドを添加することで、電池の固体電解質として用いた場合に、その耐久性、サイクルの安定性を向上させることができる。さらにF成分であるポリエチレングリコールを出発原料に添加することにより薄膜の重合度を変化させ、膜の強度や密度を高めることができる。以上のことより、本発明における無機・有機ハイブリッド型のアルカリ金属イオン伝導体は、リチウム二次電池をはじめとする様々な電気化学的デバイス用の固体電解質として好適である。
Claims (10)
- 少なくとも下記一般式(1)
R1 x−Si(OR2)4-x… (1)
(R1:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R2:アルキル基 x:0≦x<4の整数)
で表される有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と、下記一般式(2)
CH3―(CHR4CHR5O)n―R3 … (2)
(R3:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R4、R5:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(B)、および下記一般式(3)
M1OR6 … (3)
(M1:アルカリ金属 R6:アルキル基または水素)
で表されるアルカリ金属化合物(C)を出発原料とし、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - (独立項なので改めて化合物は列挙しないとならないかも。)
請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、前記アルカリ金属化合物(C)に換えて下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を用い、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - 請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(4)
M2X … (4)
(M2:アルカリ金属 X:対アニオン)
で表されるアルカリ金属塩(D)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - 前記一般式(1)中の有機官能基R1に含まれる反応性官能基と、前記一般式(2)中の有機官能基R3に含まれる反応性官能基が、以下の1から3の組み合わせ
1. R1:イソシアナート R3:水酸基
2. R1:アミノ基 R3:エポキシ基
3. R1:エポキシ基 R3:アミノ基
から選択される反応性官能基であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - 前記一般式(3)中のアルカリ金属M1がリチウムであることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。
- 前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がリチウムであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。
- 前記一般式(3)中のアルカリ金属M1と前記一般式(4)中のアルカリ金属M2がともにリチウムであることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。
- 請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(5)
M3(OR7)n … (5)
(M3:Al、B、P、Si、Ti、Ta、Zr、V、In、Zn、Snから選択される元素 R7:アルキル基 n:M3の酸化数)
で表されるアルコキシド(E)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から7のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - 請求項1または2記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体の出発物質において、更に、下記一般式(6)
R8―(CHR10CHR11O)n―R9 … (6)
(R8、R9:反応性官能基を少なくとも1つ含む有機官能基 R10、R11:水素又はメチル基 n:5≦n≦45である整数)
で表される、前記有機官能基修飾アルコキシシラン(A)と熱重合可能な有機化合物(F)を加え、加水分解、重縮合反応と反応性官能基を介した熱重合反応により得られる請求項1から8のいずれかに記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。 - 前記有機化合物(B)と前記有機化合物(F)のモル比が(F)/(B)=0〜5の範囲であることを特徴とする請求項9記載の有機・無機ハイブリッド型イオン伝導体。
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