図1は、本発明が適用される電子写真方式のプリンタを示すものである。プリンタ10は、プリンタ本体11にカートリッジ12が交換可能にセットされている。このカートリッジ12には、トナー13が充填されたトナー室14の他に、感光ドラム15,帯電ローラ16,現像ローラ17が設けられており、いわゆるプロセスカートリッジの形態をしている。
感光ドラム15は、金属製の円筒体の外周面に、光導電性の皮膜が設けられている。帯電ローラ16は、金属製の軸と、その外周にはめ込んだ導電性を有する発泡ウレタンの筒体と、この発泡ウレタンの外側に嵌めた半導電性を有するプラスチック製のチューブとからなる。この帯電ローラ16は発泡ウレタンの弾力によって、感光ドラム15の外周面に接触している。また、感光ドラム15と帯電ローラ16との間に一定の電圧を印加するために、感光ドラム15の円筒体と、帯電ローラ16の軸は、プリンタ本体11内の電源回路に接続されている。この接続のために、カートリッジ12と、プリンタ本体11には電気接点(図示せず)が設けられている。
給紙トレイ20上には、複数枚の記録紙21がセットされている。給紙トレイ20の一番上にある記録紙21が給紙ローラ22で引き出され、一対の搬送ローラ23に向けて給紙される。搬送ローラ対23は、記録紙21をニップして転写位置に搬送する。この転写位置には、転写ローラ24が配置されており、カートリッジ12がセットされたときに、その感光ドラム15に接触する。
プリント時には、感光ドラム15が一定速度で時計方向に回転する。この感光ドラム15は、帯電ローラ16に接触しながら通過するときに外周面が一様に帯電される。また、半導体レーザ26は、画像データに応じて駆動され、強度変調されたレーザ光を発生する。このレーザ光は、ポリゴンミラー27を経て、回転中の感光ドラム15に入射する。ポリゴンミラー27は、レーザ光を感光ドラム15の軸方向(主走査方向)に振らすことで、ラスタスキャンをする。感光ドラム15は、レーザ光が照射された部分が除電されるから、その外周に静電潜像が形成される。
トナー室13内のトナー14は、回転中の現像ローラ17の外周に付着して搬送される。トナー14は、現像ローラ17に付着して搬送される間に、規制ブレード28(図4参照)を通過する。この通過時に、トナー14は、規制ブレード28との摩擦により、感光ドラム15と逆極性に帯電される。このトナー14が感光ドラム15まで運ばれると、静電力で感光ドラム15に吸着されるため、感光ドラム15の静電潜像がトナー像に可視化される。
感光ドラム15の回転によって、トナー像は転写位置まで移動する。この転写位置では、記録紙21が、転写ローラ24と感光ドラム15との間に挟まれて、感光ドラム15の周速度と同じ速度で移動している。転写ローラ24は、トナー像と逆の電位にバイアスされているから、感光ドラム15上のトナー像が記録紙21に転写される。
トナー像が転写された記録紙21は、定着器29に向かって搬送される。この定着器29は、一対の定着ローラ30と、ヒータ(図示せず)とから構成されており、トナーを加熱して溶融する。溶融したトナーは、記録紙21に吸着される。定着処理された記録紙21は、プリンタ本体11から排紙される。
図2〜図4は、カートリッジの一例を示すものである。図2は上部カートリッジを示し、図3は下部カートリッジを示す。また、図4は組立状態を示す。上部カートリッジ32及び下部カートリッジ33の本体34,35は、黒色をしたプラスチック成形品である。
図2及び図4において、上部カートリッジ32には、トナー室13が形成されており、製造時に所定量のトナーが充填されている。このトナー室13の下方には、細長なトナー供給口13aが形成されており、使用前にはシールテープ(図示せず)で封鎖されている。また、トナー室13の側面には、トナーを充填するための充填口(図示せず)が設けられており、トナーの充填後はキャップ37で封止されている。符号38は、トナー室13の天板であり、上部カートリッジ本体34に接着されている。
上部カートリッジ本体34には、帯電ローラ16が回転自在に取り付けられている。この帯電ローラ16に近接した位置に、露光開口39が形成されており、この露光開口39を通ってレーザ光が感光ドラム15に入射する。
上部カートリッジ32を下部カートリッジ33に結合するために、上部カートリッジ本体34には、トナー室13側に2個の係止爪40が、そして帯電ローラ16側に2個の係止爪41が形成されている。なお、符号42〜44は、図4で明らかなように、露光室45内にトナー14が入り込まないように、隙間を塞ぐためのスポンジテープである。
図3及び図4において、下部カートリッジ本体35には、感光ドラム15,現像ローラ17が回転自在に取り付けられている。また、下部カートリッジ本体35には、プリンタ本体11内に設けた駆動ギヤ(図示せず)に噛合する従動ギヤ46が設けられている。この従動ギヤ46の回転は、ギヤ47を介して現像ローラ17に伝達され、更にギヤ48を介して感光ドラム15に伝達される。感光ドラム15の下方に位置する部分に開口49が形成されている。この開口49を介して転写ローラ24が入り込んで感光ドラム15に接触する。
支持プレート50の先端には、クリーニングブレード51が取り付けられており、感光ドラム15に付着している余分なトナーを掻き落とす。この掻き落とされたトナーを廃トナー室52内に集めるために、下部カートリッジ本体35にスクイシート53が取り付けられている。この廃トナー室52は、支持プレート50,クリーニングブレード51,スクイシート53で区画されている。
前記支持プレート50の上端がスポンジテープ44に接触しているから、廃トナー室52と露光室45とが仕切られ、それにより使用済みトナーが露光室45を経てカートリッジ12から漏れ出ないようにしている。また、スポンジテープ42が下部カートリッジ本体35の内側に接触し、そしてスポンジテープ43が規制ブレード28の上端に接触している。これらのスポンジテープ42,43によって、トナー室13側と露光室45とを仕切ることで、未使用のトナー14が露光室45を経てカートリッジ12から漏れ出るのが防止されている。
下部カートリッジ本体35には、係合穴56と、係止突起57が設けられている。上部カートリッジ32を下部カートリッジ33に嵌め込むと、係合穴56に上部カートリッジ本体34の係止爪40が嵌合し、係止突起57に上部カートリッジ本体34の係止爪41が係合する。これらの係止爪40,41,係合穴56,係止突起57によって、上部カートリッジ32と下部カートリッジ33とが一体的に組み立てられる。
プリンタの電気構成を示す図5において、プリンタ本体11には、CPU60,メモリ61,プリント部62,表示器63,プリント枚数カウンタ64が設けられている。カートリッジ12には、メモリ65が設けられている。このメモリ65とCPU60とを電気的に接続するために、カートリッジ12の外面には電気接点(図示せず)が設けられ、またプリンタ本体11にも電気接点(図示せず)が設けられている。メモリ61,65としては、バックアップが不要なEEPROMが用いられる。
プリント数カウンタ64は、プリントした記録紙の枚数をカウントするためのもので、1枚プリントする毎にカウントアップされる。1枚あたりに使用されるトナーの使用量の平均値は、経験的に算出されている。よって、新品のカートリッジに充填されるトナーの量は決まっているので、何枚プリントしたかがわかれば、トナーの残量がおおよそどの程度残っているかを予測することができる。プリンタ10には、新品のカートリッジに充填されるトナーの量に応じて、予めプリント可能枚数が所定値として設定される。
CPU60は、プリント数カウンタ64のカウント値をプリンタ稼動情報として、それをもとにトナーの残量が所定量以下に減少したことを予測し、カウント値が予め設定された所定値以上になると、トナー切れと判断する。トナー切れと判断された状態で、カートリッジの取り出し動作が行われると、空情報がフラグの形態でメモリ65又は61に書き込まれる。
また、CPU60は、プリンタ10の各部をシーケンス制御する他に、空情報の有無からトナーの詰め替えが行われた不適正なカートリッジかどうかを判定する。もし、トナー詰め替えが行われた不適正なカートリッジであると判定した場合は、表示器63に詰め替えであること,適正なカートリッジに交換すべきこと、プリントが禁止されること等を表示し、そしてプリント部62の作動を禁止する。表示器63は、操作パネル(図示せず)とともに、プリンタ本体11の外面に設けられている。
メモリ(以下、プリンタメモリという)61には、各カートリッジに識別情報(ID)が与えられている場合は、プリンタ本体11にセットしたことがあるカートリッジのIDと、その空情報とを記憶する。このID等の情報を暗号化するか、あるいは情報の読み出しに特殊の暗号を使用することで、詰め替え業者による情報の読み出しや、書換えができないように、適宜な情報の保護を図るのがよい。
プリント部62は、レーザ26やポリゴンミラー27等の記録系,定着器29,転写ローラ24とカートリッジ12と給紙ローラ22と搬送ローラ23とを駆動するモータ,帯電ローラ16に電圧を印加する電源回路等から構成されている。
メモリ(以下、カートリッジメモリという)65には、空情報が書き込まれる。この情報に対しても前述した保護を図るのがよい。なお、各カートリッジにIDが与えられている場合は、IDがカートリッジメモリ65に製造時に書き込まれている。
以下、上記構成による作用についてフローチャートを参照しながら説明する。図6は、カートリッジメモリ65に空情報を書き込むようにした例を示すものである。プリンタ本体11のカートリッジ室(図示せず)にカートリッジ12を装填するには、まずカートリッジ室の蓋を開く。次に、カートリッジ12をカートリッジ室に挿入する。カートリッジ12がカートリッジ室に完全に装填されると、カートリッジメモリ65がCPU60に接続され、また感光ドラム15と帯電ローラ16とがプリント部62の電源回路に接続される。
プリンタ電源をONすると、カートリッジ12のチェックが行われる。また、プリンタ電源がすでにONされているときには、カートリッジ室の蓋が閉じたことを検知するスイッチ(図示せず)からの信号を受けて、CPU60はカートリッジ12がセットされたと判断し、カートリッジ12のチェックを行う。まず、CPU60は、カートリッジメモリ65の有無をチェックする。カートリッジメモリ65には、空情報の他に、カートリッジメモリありを示すフラグが書き込まれている。CPU60は、このフラグが読み出せたときには、プリンタメーカから提供された正規のカートリッジであると判定する。
他方、正規のカートリッジでない場合には、カートリッジメモリ65は設けられていないことがある。このようなカートリッジでは、フラグを読み出すことができない。この正規のカートリッジでないものに対しては、トナーが詰め替えられた不適正なカートリッジと同等に扱い、CPU60は、警告表示するとともに、パソコン等からプリント要求があってもそれを受け付けず、結果的にプリント部62のプリント動作を禁止する。
正規のカートリッジの場合には、カートリッジメモリ65から空情報のデータを読み出す。新品のカートリッジや、使用中のものであってもトナー切れとなったことがないカートリッジでは、カートリッジメモリ65に空情報が書き込まれていない。他方、いったんトナー切れとなったものは、空情報がカートリッジメモリ65に書き込まれている。なお、この空情報のデータが改ざんされると、トナーの詰め替えの事実を検出することができなくなる。そこで、データの改ざんを防止するために、暗号化したデータを使用してCPU60でこれをデコードしたり、あるいはデータの読み出しに特殊なプロトコルを使うのがよい。
CPU60は、カートリッジメモリ65に空情報が書き込まれていない場合は、トナーの詰め替えが行われていない適正なカートリッジであると判断する。空情報が書き込まれている場合には、トナーの詰め替えが行われた不適正なカートリッジであると判断する。
CPU60は、トナーの詰め替えが行われた不適正なカートリッジであると判断した場合は、トナー詰め替えであること、プリント品質が劣化すること、適正なカートリッジを装填すべきこと等の警告をするとともに、プリント動作を禁止する。
他方、CPU60は、トナーの詰め替えが行われていない適正なカートリッジであると判断した場合は、プリント部62のプリント動作を許容する。CPU60は、パソコン等からプリント要求があると、プリント部62をシーケンス制御して記録紙21に画像や文字を記録する。
このプリンタ10の正常動作中は、1枚プリントする毎にプリント枚数カウンタ64をカウントアップする。カウント値が所定値に達すると、トナー切れと判断し、表示器63にカートリッジを交換すべきことを表示する。なお、交換表示がなされても、実際には、所定量のトナー14が残っているので、そのままプリンタを稼働して適当な枚数のプリントをすることができる。
カートリッジを交換する場合には、まず、プリンタ本体11から使用済みのカートリッジ12を取り出す。カートリッジ室の蓋を開き、カートリッジロックレバーを操作してカートリッジのロックを解除する。この蓋の開き動作又はカートリッジロックレバーが操作されたことを検出するスイッチを設けて、カートリッジの取り出し準備操作がされたことを検知する。このスイッチからの信号を受け取ると、CPU60は、プリント枚数カウンタ64をチェックして、カウント値が所定値以上の場合には、カートリッジメモリ65に空情報を書き込む。他方、カウント値が所定値に達していない場合には、空情報の書き込みは行われない。
このように、カートリッジメモリ65への空情報の書き込みは、カートリッジ12の取り出し操作に連動して行われる。その際に、プリント枚数カウンタ64のカウント値をチェックするようにしている。これは、トナーが充分に残っている使用途中のカートリッジ12が取り出された場合に、空情報が書き込まれないようにするためである。これにより、使用途中のカートリッジ12をプリンタに再びセットしても、カートリッジメモリ65には空情報が書き込まれていないので、不適正なカートリッジと判断されることはない。
次に、新しいカートリッジからシールテープを剥がしてトナー供給口13aを開口させる。トナー排出口13aが開くと、トナー室13内のトナー14が現像ローラ17へ供給可能となる。この新しいカートリッジをカートリッジ室に装填してから、カートリッジ室の蓋を閉じると、前述したように空情報の有無がチェックされる。新品のカートリッジには、空情報が書き込まれていないので、前述したようにプリンタを正常動作させることができる。
ユーザーによっては、空となったカートリッジに対して、トナーの補充を詰め替え業者に依頼することがある。詰め替え業者は、係止爪40を係合穴56から外し、また係止爪41を係止突起57から外して、カートリッジ12を上部カートリッジ32と下部カートリッジ33とに分解する。
カートリッジ12の分解後、各部を清掃してから、上部カートリッジ32のトナー排出口13aに、シールテープを張りつけてこれを閉鎖する。次に、上部カートリッジ32のキャップ37を外して、トナーをトナー室13内に補充する。トナーの補充後に、キャップ37を再びはめ込み、トナー室13を密閉する。詰め替え業者は、トナーの補充後に、上部カートリッジ32と下部カートリッジ33とを組み立て、この組み立てられたカートリッジ12を包装してユーザーへ発送する。
詰め替え業者から戻されてきた不適正なカートリッジをプリンタ本体11にセットすると、前述したように空情報のチェックが行われる。この詰め替え品では、一度トナー切れとなっているから、カートリッジメモリ65に空情報が書き込まれている。このため、CPU60はトナーの詰め替えが行われた不適正なカートリッジであると判断し、警告表示するとともに、プリントを禁止する。
プリント禁止の状態では、パソコン等からプリント要求があっても、プリンタ10はプリント動作を実行しないため、トナー詰め替えをした不適正なカートリッジは使用することができない。結果的に、ユーザーは、これ以降トナーの詰め替え依頼を断念し、プリンタメーカーから提供されている適正なカートリッジを使用することになる。これは、不適正なトナーの使用による印字品質の低下を防止し、またプリンタの故障防止に寄与する。更に、プロセスカートリッジでは、感光ドラム15等の部品が品質保証期間を経過した状態で使用されるのを防止し、それによる印字品質の低下を防ぐことができる。
図7は、カートリッジを識別するためのIDを各カートリッジに割り当てるとともに、プリンタメモリ61にIDとともに空情報を記憶させる例を示す。また、この例では、一度使用され、トナー切れと判断されたカートリッジには、そのカートリッジメモリ65に、空情報の代わりに、取り出し情報を書き込むようにしている。
カートリッジ12のセットが検出されると、CPU60は、前述したような手順でカートリッジメモリ65の有無をチェックする。カートリッジメモリ65が設けられていないものは、正規のカートリッジでないと判断される。また、カートリッジメモリ65が設けられていても、IDを読み出すことができないときは、正規のカートリッジでないと判断される。
また、IDを暗号化して使用したり、あるいはその読み出し手順に特殊なプロトコルを使用することにより、正規のカートリッジ以外では、たとえカートリッジメモリ65が設けられていても、IDを読みだすことができない。これらの場合、警告表示するとともに、プリント動作を禁止する。
次に、正規のカートリッジの場合、ID及び取り出し情報が読み出される。読みだされた情報の内、はじめにIDの照合が行われる。この照合では,まず、IDのデータフォーマットから正規のIDかどうかをチェックする。ID自体のチェック後に、このIDがプリンタメモリ61に記憶されているかどうかを検査する。これは、一度使用されたカートリッジでは、そのIDがプリンタメモリ61に記憶されているから、ID照合によって、新品のカートリッジであるか、あるいは前にプリンタ本体11にセットしたことがあるカートリッジかどうかが判断される。
ID照合によって、一度使用したことがあるカートリッジであると判定されると、1Dに基づいて空情報のデータをプリンタメモリ61から読みだす。もし、空情報がある場合は、トナーが詰め替えられた不適正なカートリッジであると判断し、警告表示とプリントの禁止をする。他方、空情報がないときはトナー詰め替えがされていない適正なカートリッジであると判断し、プリンタ10を正常動作させる。
また、ID照合によってIDが一致しない場合には、次に、取り出し情報の有無をチェックする。取り出し情報が有る場合には、不適正なカートリッジであると判断し、警告表示とプリントの禁止をする。他方、取り出し情報が無い場合には、新品の適正なカートリッジであると判断し、IDをプリンタメモリ61に書き込む。この場合には、プリンタが正常動作してプリントをすることができる。
このように、ID照合とともに、取り出し情報のチェックを行うことにより、新品のカートリッジか、他のプリンタで一度使用されたカートリッジかの区別を行うことができるようになる。これにより、トナーの詰め替えを行ったカートリッジを他のプリンタで使用するというカートリッジの転用を防止することができる。
プリンタの正常動作中に、プリンタ枚数カウンタ64が所定値に達すると、IDに関係づけて空情報がプリンタメモリ61に書き込まれるとともに、カートリッジを交換すべきことが表示される。
カートリッジメモリ65への取り出し情報の書き込みは、カートリッジの取り出し準備動作に連動して行われる。したがって、プリンタメモリ61に空情報が書き込まれても、カートリッジを取り出さない限り、そのままプリンタを稼働して適当な枚数のプリントをすることができる。
カートリッジ12をプリンタ本体11から取り出す際に、空情報のチェックが行われる。プリンタメモリ61に空情報が書き込まれている場合には、カートリッジメモリ65に取り出し情報が書き込まれる。空情報がプリンタメモリ61に書き込まれていない場合には、取り出し情報の書き込みは行われない。したがって、取り出した使用途中のカートリッジ12を再度プリンタ本体11にセットすれば、プリンタを正常に動作させることができる。
使用済みの空のカートリッジは、カートリッジの販売業者を介して、プリンタメーカーに回収されてリサイクルが行われる。プリンタメーカーは、カートリッジを分解し、清掃してから各部品を検査する。正常な部品は再使用し、故障や使用期間が経過した部品は素材に戻して再利用する。また、各部品が正常で、カートリッジ全体がそのまま使用できるものは、純正のトナーを充填することができる。この場合には、カートリッジメモリ65に書き込まれていた空情報や取り出し情報を消去する。また、カートリッジメモリにIDを記憶するものでは、新しいIDを書き込む。この純正なトナーを充填したものは、適正なカートリッジとして取り扱われる。
カートリッジメモリ65の情報自体を暗号化したり、暗号で書き込みや消去が保護されている場合、プリンタメーカーがトナーの充填を行うときには、プリンタメーカーは、情報自体が暗号で書き込まれているときは、暗号を入力して情報をクリアし、また、暗号で書き込みや消去が保護されているときは、暗号入力で保護を解除してから情報の書き込みや消去を行う。
また、カートリッジメモリだけが故障していることがある。このような場合には、カートリッジメモリだけを簡単に交換できる方が、リサイクルする上で望ましい。そこで、カートリッジメモリは、カートリッジから取外しができるようにするのがよい。
上記例では、カートリッジの転用を防止するために、カートリッジメモリにカートリッジIDとともに取り出し情報を使用している。これ以外にも、カートリッジメモリにプリンタIDと空情報を記憶させる方法を用いても、同様の効果が得られる。この場合、まず、プリンタにカートリッジがセットされると、プリンタのIDがカートリッジメモリに書き込まれる。そして、トナー切れと判断された時に、カートリッジメモリに空情報が書き込まれる。
プリンタは、カートリッジがセットされると、カートリッジメモリからプリンタIDを読み出す。プリンタIDがセットされていなければ、新品のカートリッジと判断してプリンタを正常動作させる。他方、プリンタIDがセットされている場合、プリンタIDの照合を行う。IDが不一致の場合、カートリッジの転用と判断する。一致した場合、空情報の有無をチェックする。空情報があれば、トナーの詰め替えが行われたものと判断し、無ければプリンタを正常に動作させる。
また、上記例では、プリンタの稼動情報として、プリントした記録紙の枚数を使用し、これをプリント枚数カウンタでカウントすることにより、トナーの残量が所定量以下に減少したことを予測するようにしている。プリンタの稼動情報としては、これ以外にも、例えば、図8に示すように、プリンタが印字するデータ数の累積値を使用して、トナーの残量が所定量以下に減少したことを予測するようにしてもよい。
また、上記例では、プリンタ稼動情報をプリンタ側のCPUでカウントし、そのカウント値に基づいて、カートリッジメモリに空情報の書き込みを行っている。これ以外にも、例えば、カートリッジ側にカートリッジメモリとともにCPUを設け、空情報の書き込みをカートリッジ側で行うようにしてもよい。この場合、プリンタは、1枚プリントする毎にカートリッジに対してデータを送る。カートリッジCPUは、このデータを受け取ると、カートリッジメモリのプリント枚数を更新する。このカートリッジCPUは、プリント枚数が所定値に達すると、空情報をカートリッジメモリに書き込む。
また、上記例は、プロセスカートリッジであるが、本発明は、トナーだけを収納したトナーカートリッジに対しても利用することができる。本発明は、更にインクジェットプリンタ用のインクを収納したインクカートリッジ,ドットプリンタ用のインクリボンを収納したリボンカートリッジ,サーマルプリンタ用のインクリボンを収納したリボンカートリッジ等にも適用することができる。また、本発明は、プリンタの他に、ファクシミリ,複写機等の画像形成装置にも適用される。
図9は、記憶媒体(CD,フロッピー(登録商標),ICメモリ,MO等)に格納された詰め替えカートリッジの検出・使用禁止のプログラムをプリンタにインストールする例を示す。プリンタ80は、パソコン81に接続されており、パソコン81の文字データや画像データがプリンタ本体80に送られて記録紙にプリントされる。
図6〜図8に示すような詰め替えカートリッジの検出・使用禁止機能がプリンタ本体80に与えられていない場合には、トナーを詰め替えたカートリッジの使用を阻止することができない。このようなプリンタ本体80に対しては、詰め替えカートリッジの検出・使用禁止のプログラムをインストールすることが必要である。
記憶媒体であるCD82には、例えば、図7に示すフローチャートを実行するプログラムが記憶されている。このCD82は、パソコン81のCDドライブ(図示せず)にセットされる。パソコン81は、CD82に記憶されたプログラムを読み出し、プリンタ本体80のハードディスク83に書き込む。
プリンタ本体80のCPU84は、ハードディスク83に書き込まれたプログラムを実行することで、前述したようにトナーを詰め替えたカートリッジを検出し、そして警告及び使用禁止をする。
入力装置85は、スキャナー,デジタルカメラ等からの画像データや文字データを入力するためのものである。ROM86は、プリント部87のプリント動作を制御するためのプログラムや、画像処理するためのプログラム等が格納されている。また、RAM88には、データを一時的に記憶するために使われる。
なお、CD82をプリンタ本体80に直接セットして、必要なプログラムをプリンタ本体80に書き込んでもよい。更には、CDをプリンタ本体80にセットしたまま使用し、このCDから読み出したプログラムを実行して、トナー詰め替えカートリッジの判定等をしてもよい。