JP2004198793A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画質低下の原因となる粗粉を効率よく除去することを可能とした電子写真用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】着色剤樹脂微粒子スラリー中の粗大粒子を篩にて除去する工程を含み、その篩が振動篩であり、篩の振動周波数を20(s-1)以上80(s-1)以下、振動振幅をsqrt(a2+b2)が2.5以上8.5以下、篩の網目開きを1.5D50v以上4D50v以下に制御することによって、篩網108により所望の粒径のトナーが篩い分けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】着色剤樹脂微粒子スラリー中の粗大粒子を篩にて除去する工程を含み、その篩が振動篩であり、篩の振動周波数を20(s-1)以上80(s-1)以下、振動振幅をsqrt(a2+b2)が2.5以上8.5以下、篩の網目開きを1.5D50v以上4D50v以下に制御することによって、篩網108により所望の粒径のトナーが篩い分けられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、篩とトナーの湿式製法における樹脂粒子溶液中の粒子分級に前記篩装置を組み込んだ静電荷現像用トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法では、帯電、露光工程を経て感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、トナー画像を転写し、定着する工程を経て可視化するものである。ここで用いる現像剤は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
【0003】
近年、電子写真法により得られた画像の高画質化を目的として粒子径8μm以下の電子写真用トナーが主流になりつつある。この小粒径トナーを効率良く製造する方法として、乳化重合凝集法(例えば、特許文献1から特許文献3参照)、懸濁重合法(例えば、特許文献4から特許文献6参照)、液中乾燥法(例えば、特許文献7から特許文献10参照)等の湿式製法が挙げられる。
【0004】
これら湿式製法に共通する問題点として、撹拌不良や、反応容器、攪拌翼に付着する固着分に起因する粗粉の発生が挙げられる。これらの粗粉は、転写工程における感光体と転写体との間隔即ちギャップを不均一にする原因となり、また非画像部への散らばりを発生しやすくなり、さらに粒径差による帯電差の発生により画像むらを発生しやすくなる等、画質を劣化する大きな要因となる。さらには現像時におけるトナー飛散の原因ともなるため、機内汚染による信頼性の低下をも引き起こす。これら粗粉の問題は特許文献11に記載されているように、体積平均粒子径Dvの3倍以上の粒子を取り除くことによって改善される。
【0005】
一方、粗粉の除去方法としては、乾燥後に風力分級する方法や篩い分ける方法、または粒子分散液の状態で篩い分ける方法(例えば、特許文献11及び特許文献12)等が挙げられる。
【0006】
乾燥後に風力分級する方法は、初期の設備導入費用、運転費用が高い上に、気流とトナーを分離するための集塵機を要する。サイクロンのような集塵機ではトナーが小粒径化するに従って製品収率が低下し、またバグフィルタ−等の集塵機では、他品種間のコンタミネ−ションが問題となる。また原料中に含まれる板状、針状の不定形粗粉や、微細な気泡を含む低密度の粗粉については、それ自身の慣性力が弱いため風力分級での除去は困難である。また、乾燥後に添加剤を外添し、篩い分ける方法では、粒子の付着力の影響により20μm以下の網を用いた篩い分けは難しく、工業的な大量処理は困難である。
【0007】
これに対して粒子分散液の状態で篩い分ける方法は設備の導入費用、運転費用も安価である上、製品収率も高く、更に形状分離することが可能なため、板状、針状、低密度の不定形粗粉も除去可能である。粒子分散液の状態で篩い分ける方法としては、粒子分散液をポンプ等で加圧(または吸引)することによって強制的に網を通過させる方法や、振動篩や面内篩を用いて粒子分散液を網に重力落下させて振動で網を通過させる方法等が挙げられる。強制的に網を通過させる方法では、トナースラリーの篩分のように網目開きと重量平均粒子径の差が小さい場合や粒子濃度が高い場合に網面にケ−ク層を形成し、ろ過状態となる場合が多く、粒子が通過しなくなるため工業的な利用は難しい。またケ−ク層の形成速度は非常に早く、このような篩装置に逆洗やスクレ−パ−等を応用した装置においても安定した篩い分けは困難となる。
【0008】
面内篩や振動篩による篩分においては、網目開き近傍の粒子径の粗大粒子が網に突き刺さる(または乗る)ことにより網面が塞がれるため、安定した篩い分けは困難となる。
【0009】
このように電子写真用トナーの湿式製法において、従来の篩では、工業的に安定して除去することが困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63-282752号公報
【特許文献2】
特開平6-250439号公報
【特許文献3】
特開平10-26842号公報
【特許文献4】
特公昭36-10231号公報
【特許文献5】
特公昭43-10799号公報
【特許文献6】
特公昭51-14895号公報
【特許文献7】
特開昭50-120632号公報
【特許文献8】
特開昭63-25664号公報
【特許文献9】
特開平5-127422号公報
【特許文献10】
特開平8-179556号公報
【特許文献11】
特開2000‐172007号公報
【特許文献12】
特開2002−196534号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を改良すべく、なされたものであり、従来の篩操作では工業的利用が困難であった製品画質低下の原因となる粗粉を効率よく除去することを可能とした電子写真用トナーの製造方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、網面全体を有効に活用し、材料の篩分網上での滞留時間を確保し、かつ網上に残留した粗粉の蓄積や目詰まりの発生を防ぐよう、鋭意研究を行った結果、前記問題の解決を可能とした。即ち、本発明の構成は下記のとおりである。
【0013】
(1)着色剤樹脂微粒子スラリー中の粗大粒子を篩にて除去する工程を含む電子写真用トナーの製造方法において、該篩が振動篩であり、該篩処理を以下の条件で実施することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
【数2】
ここで、Hは振動周波数(s-1)、aは篩枠の縦振幅(mm)、bは篩枠の横振幅、wは網目開き、D50vは樹脂微粒子の体積平均粒子径である。
【0014】
(2)該篩の網に下式の範囲の樹脂網を用いることを特徴とする(1)記載の電子写真用トナーの製造方法。
【数3】
ここでdは網の線径(μm)である。
【0015】
(3)該篩への供給するスラリー中の固形分濃度l(wt%)、スラリーの供給速度F(kg/sm2)が下式の関係にあることを特徴とする(1)または(2)記載の電子写真用トナーの製造方法。
【数4】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の態様を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明において製造される静電潜像現像用トナーの製造方法としては、トナースラリーの篩い分けを本発明の方法で実施する限り、他の点については特に制限はなく、それ自体公知のトナーの製造方法に準じて行うことができる。
【0017】
本発明に使用するトナーとしては、特開2000-131876公報等で提案されている方法でも良い。
【0018】
この方法は、イオン性界面活性剤による樹脂分散液と、反対極性のイオン性界面活性剤に分散した顔料を混合し、ヘテロ凝集を生じさせてトナー径の凝集粒子を形成し、その後、前記樹脂のガラス転移点以上に加熱して凝集体を融合させ一体化し、洗浄、乾燥、外添混合、乾式篩分してトナーを製造するものである。この方法では加熱温度条件を選択することにより、トナー形状を不定形から球状まで制御することも可能である。顔料と樹脂粒子の極性が同じでも、更に反対極性の界面活性剤を加えることにより、同様の凝集体を生成することもできる。
【0019】
さらに、上記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合させる前に、別の微粒子分散液を添加混合し、もとの凝集粒子表面に前記微粒子を付着させた後、樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱して融合する方法を採用することにより、トナーの表面から内部に至る層構造を制御することも可能である。この方法により、トナー表面を樹脂で被覆したり、帯電制御剤で被覆したり、ワックスや顔料をトナー表面近傍に配置したりすることも可能である。
【0020】
本発明において製造されるトナーの熱可塑性結着樹脂は、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などからなる重合体又はこれらを2種以上組み合せた共重合体、又はこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、又はこれらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0021】
ビニル系単量体を用いるときには、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂を用いるときには、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に樹脂を溶解し、水中にイオン性界面活性剤や高分子電解質を共存させてホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子を分散させ、その後加熱または減圧して溶剤を蒸散させることにより、所望の樹脂分散液を作成することができる。
【0022】
上記の熱可塑性結着樹脂は、解離性ビニル系単量体を配合することにより、乳化重合などで得た微粒子を安定に作製することができる。解離性ビニル系単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなど高分子酸、高分子塩基の原料となる単量体のいずれも使用可能であるが、重合体形成反応の容易性などから高分子酸が好適であり、さらには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を有する解離性ビニル系単量体が重合度制御、ガラス転移点の制御のために特に有効である。
【0023】
離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系ワックス、石油系ワックス、及びそれらの変性物を使用することができる。
【0024】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散させ、融点以上に加熱するとともに強い剪断を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機で微粒子化し、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
【0025】
着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソ−ルレッド、ロ−ダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブル−、メチレンブル−クロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料を1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0026】
内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、それらの合金、又はそれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や融合一体化時の安定性に影響するイオン強度の制御及び廃水汚染の減少のために、水に溶解しにくい帯電制御剤が好適である。
【0027】
湿式添加する無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して湿式添加することができる。なお、通常のトナーと同様に、乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を乾燥状態でせん断を付与してトナー表面に添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
【0028】
トナー製造工程における乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
【0029】
これらトナーの製造方法における分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノーミル、DCPミル、スパイクミルや強制衝突型のアルティマイザー(株式会社スギノマシン製)など、一般的な分散機を使用できる。凝集は、一般的なジャケット付き攪拌槽が用いられる。攪拌翼としては、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、フアウドラー翼、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド撹拌翼(住友重機械工業社製)、ベンドリーフ撹拌翼(八光産業社製)等が挙げられる。また、攪拌槽壁面の材質としては、ステンレス製(SUS304,SUS316等)やそれをバフ研磨および、または電解研磨したもの、グラスライニング処理またはテフロンライニング処理されたものが好適に用いられる。また槽内にバッフルを設置しても良い。融合についても同様のジャケット付き攪拌槽が好適に用いられる。
【0030】
トナースラリーの洗浄は、スラリーをろ過し、それを水に戻す操作を繰り返す方法や、フィルタープレスやベルトフィルター等でケーク層を作成しそのケーク層に水を強制通過させる方法、またはこれらを複合した方法が用いられ、場合によっては洗浄の途中において、酸または(および)アルカリ溶液にトナーを投入し、洗浄しても良い。
【0031】
乾燥工程には、フラッシュジェットドライヤ等の風力乾燥機や、真空乾燥機、凍結真空乾燥機、棚段乾燥機など一般的な乾燥機を使用できる。また、乾燥はフィルタープレスやベルトフィルター等でろ過した後、エアブローをする等して水分率を減らした後に実施することが望ましい。
【0032】
トナー流動性向上及び帯電性付与を目的にシリカおよび/またはチタニア等の無機微粒子を外添剤として添加混合してもよい。これら無機微粒子は粒子径5〜30nmのものが好ましく、シリコンオイル等で疎水化処理されていてもよい。
【0033】
外添混合は、例えばV型ブレンダ−やヘンシェルミキサ−、Q型ミキサ−、サイクロミックス等によって行うことができる。また、この際必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤としては、他の公知の流動化剤、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子、小径不定形樹脂微粒子、酸化セリウム、ステアリン酸亜鉛等のクリ−ニング助剤または転写助剤等があげられる。
【0034】
乾式篩分には、風力篩分機、円形振動篩、ジャイロシフター、超音波振動篩、ターボスクリーナー等が用いられ、25〜300μm目開きの網が好適に用いられる。
【0035】
次に、本発明における着色剤樹脂粒子スラリー(以下「トナースラリー」という)中の粗大粒子を篩にて除去する方法について、以下に詳細に説明する。
【0036】
本発明におけるトナースラリーの篩分には、電磁式振動篩や振動モータ式の振動篩、円形振動篩等を使用することができる。また本発明の篩処理は、例えば乳化重合凝集法トナーの製造方法または懸濁重合法トナーの製造方法において、トナーの融合中または融合後もしくは重合後に好適に用いられる。ここで、トナーの融合中の篩処理とは、トナースラリーを循環させ粗大粒子を取り除きながらトナーを融合させる処理も含む。また、融合後(重合後)の篩処理とは、乳化重合凝集法または懸濁重合法により得られた粒子を融合(重合)させた後であれば、トナー製品となる前のいかなるスラリーの状態も含み、例えば、融合後のトナースラリー洗浄の後の篩処理も含む。
【0037】
本発明において篩の振動周波数Hについては、20(s-1)以上80(s-1)以下、振動振幅については「sqrt(a2+b2)」が1.4以上8.5以下、好ましくは2.5以上8.5以下、また篩の網目開きについては1.5D50v以上4.0D50v以下とする必要がある。ここで『sqrt』は平方根の意であり、『a』は篩枠の縦振幅(mm)、『b』は篩枠の横振幅、『D50v』は樹脂微粒子の体積平均粒子径を指す。
【0038】
篩の振動周波数が20(s-1)未満の場合は、篩の網目からスラリーを通過させるための力が十分に得られず、網目が塞がり即座に篩処理ができなくなる。一方、振動周波数が80(s-1)を超える場合には、篩の網へ大きな加速度が加わり、網の変形や破損につながるため、長時間安定してトナースラリーを篩い分けすることができない。
【0039】
また、振動振幅「sqrt(a2+b2)」が1.4未満の場合は、振動が篩の網に吸収され十分に伝わらないため、網に乗った粗粉を網面から分離することができず、網目の目詰まりが生じ安定した篩分処理ができない。一方、振動振幅「sqrt(a2+b2)」が8.5を超える場合には、篩の網目開きの大きさと近似する粒子径を有する粗粉が、篩の網に突き刺さりやすくなり、これにより篩の網目の目詰まりが生じ安定した篩分処理が行えない。
【0040】
また、一般に、3D50v以上の粗大粒子のトナーが存在すると画質に悪影響を及ぼすことが知られているが、3D50vの粗大粒子は、篩の網目開き4D50v未満の網でなければ高効率で除去することができず、それより大きい目開きの網を用いると繰り返し篩分を行わなければならないため、篩分処理の効率が低下してしまう。より望ましくは、網目開きが2.8D50v以下である。また、目開きが1.5D50v未満の網を使用すると、目詰まりが急激に悪化し工業的な篩い分けが困難となる。
【0041】
尚、本発明の篩に用いる網は、ナイロンやポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂網や、ステンレス網などの金属製網等の網が使用できる。
【0042】
篩の網が、「w/d」が0.3以上1.5未満の樹脂網を用いることが望ましい。ここで、『w』は網目開き、『d』は網の線径(μm)を指す。
【0043】
上述の式1から式3の篩分処理条件において、特に樹脂網を用いることにより網の目詰まりは軽減されるが、更に「w/d」を上記の範囲とすることにより、篩の網の目詰まりをより軽減させることができる。ここで「w/d」が0.3未満の場合には、粗粉と網の線材との接触面が増大するためスラリー中の粒子の通過が妨げられてしまい、目詰まりを生じ長時間安定して篩分処理を行うことができない。一方、「w/d」が1.5を超えると、篩の網自身の強度が弱くなり、上述の式1から式3の篩分処理の運転条件で使用した際に、網の破損、変形等が発生し、安定した篩分処理を行うことができない。
【0044】
また、スラリーの供給量およびスラリー濃度については、「lF (w+d)2/ w2」を1以上200以下にすることが好ましい。ここで、『l』はスラリー濃度(wt%)をいい、『F』はスラリー供給量(kg/sm2)「lF(w+d)2/ w2」が200を超える場合は、トナースラリーの供給量が過剰となり、網目詰まりが発生する。一方、「lF (w+d)2/ w2」が1未満の場合には、トナースラリーを大量に処理する際に、篩の網の大きな設置面積が必要となるため好ましくない。
【0045】
尚、本発明に用いる網のように目開きの小さい網は、線径が太く目開きの粗い網(保護網)と2枚重ねて張ることにより、網の強度を上げることができる。保護網の材質は網と同じ材質であっても別の材質であっても良いが、ナイロン網のように伸びやすい網についてはポリエステル網、ポリプロピレン網、金網やパンチングメタルと併用することが望ましい。
【0046】
次に本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下、各図面において同符号を付してあるものは、同じ機能を有するものであるため、その説明を省略することがある。
【0047】
図1は、本発明に用いる振動篩の一例を示す概略構成図である。図1において、ベースフレーム100上に複数のコイルスプリング102に支持された円筒状の篩枠104が設けられ、篩枠104の内部には破線で示す円錐状または斜面状の底部106が形成されている。また、この篩枠104には篩網108が張設された環状の支持枠110が固定されている。更に図1には図示していないが、ベースフレーム100には振動モータが内蔵されており、この振動モータの作動によりコイルスプリング102上の篩枠全体が振動可能となっている。底部106の下部には、ベースフレーム100に内蔵されている振動モータに連結された回転可能なシャフト(図示せず)が内蔵されており、図3に示すようなシャフトの上下端には重心をシャフト中央からずらした上下アンバランスウェイトが設置されている。なお、上記コイルスプリング102は、振動篩の振動のぶれを吸収するように機能する。
【0048】
図2及び図3には、ベースフレーム100内に内蔵された振動モータの一例の概略が示されている。この振動モータ130の出力軸204には、弓状の孔132を有する円形状の重り取り付け板134と、振動モータ130の出力軸に対して任意の角度(ウェイト位相角)に固定可能なように弓状の孔132に貫通された重り固定ボルト136によって固定される重り138と、この重り138に重り固定ボルト140によって着脱自在に固定された補充重り142とを備えている。尚、図示していない振動モータ上方の回転可能なシャフトにも、このシャフト(軸)に対して重心を偏心させた上部重りが固定されており、振動モータ130に連結されたシャフトの上下重りの位相角度を変更することにより振動挙動を変化させることができる。
【0049】
なお、装置内の接粉面はバフ研磨もしくは複合メッキ等によりコーティングされていることが望ましい。複合メッキ皮膜に含有させる微粒子としては、自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性等の諸特性に優れた含フッ素化合物の微粒子が特に好ましい。含フッ素化合物は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フッ化黒鉛、フッ素樹脂、フッ化ピッチ等が好適に使用される。
【0050】
図1に示す篩網108上でトナースラリーが中心に集まるような設定(逆に外周側に集まるような設定)で振動させるには、次のように振動モータ130を制御することが好ましい。この振動モータ130では、図3に示すように、ウェイト位相角θwが0度の場合は、篩網108上の材料は篩網108の中心から外側へ向かって一直線に移動するが、ウェイト位相角θwを広げるにつれて篩網108上の材料の運動に回転成分を与える。ウェイト位相角θwが40度付近を超えると、篩網108上の材料は、篩網108の中心へ向かって流れるようになる。したがって、図1に示す粗粉排出口120が上枠105の外周面に設けられた(自然排出)実施の形態においては、振動モータ130の位相角を0度〜40度程度とすることが望ましい。このように制御することで、 図1に、示すように篩網108上のトナースラリーは、篩網108の中心へ向かって流れるようになる。なお、被篩分材料を篩網108の中心部に移動させるには、少なくとも位相角40度以上が必要であるが、位相角が90度を越えると篩分されるトナースラリーが網面の外周寄り部分を通過しなくなり、網全体を活用した篩分が困難となるため、処理能力が低下する等の問題が生じることがある。
【0051】
図3に示す下部のアンバランスウェイトは、図3に示すように重り(ウェイト)138の重さ及び補充重り142とそのウェイト位相角θWとが変更可能となっており、この重さと角度を調整することにより振動挙動、特に振幅を調整することができる。一方、振動モータ130による回転により篩い分け時の振動周波数を調整することができる。なお、振動モータ130は、図2に示すように、シャフトに直接接続されたタイプと、ベルトで間接的に駆動力を与えるタイプがある。
【0052】
例えば、図1のような振動篩においては振動モータの電源周波数を変更したり、ベルト駆動の場合には、ベルトを駆動させるプーリーの比を変更したりすることにより振動の周波数を調整することが可能である。
【0053】
また、上述した回転可能なシャフトの上下のウェイト重量を変更することにより、それぞれ横、縦方向の振幅を調整することが可能である。また、網枠の振幅については、一般的な振幅測定用目盛りを網枠部pに貼り付け、振動時に目視確認することにより測定できるが、高精度に測定するためには適当な冶具を接続し、冶具に測定レンジが適合した一般的な振動計を接続することにより測定可能である。
【0054】
次に、上記振動篩により篩い分け処理動作について図1を用いて説明する。
【0055】
円形振動篩においては、上述したように、振動モータ130の回転数並びにアンバランスウェイトの重さと位相角とを調整し、所望の振幅及び周波数に調節した後、供給口118から装置内に供給された粒子分散液(例えば、トナースラリー)は、振動モータの作動による篩分機全体の3次元振動によって篩分され、粗粉は粗粉排出口120から排出され、微粉は篩枠108を通過して底部106を滑動して篩分品回収口116より排出される。これにより、篩枠104内に、所望の粒径を有するトナーのスラリーを得ることができる。
【0056】
篩内部の接液面の材質は、ステンレスやそれをバフ研磨、電解研磨したもの、または、テフロンコーティングやメッキ、グラスライニングされたものでも良い。
網の織り方は綾織、平織り、トンキャップ織りなどの一般的な織り方の網が使用できる。場合によっては、これらの網をカレンダ加工しても良く、またウェッジワイヤースクリーン等のスリット状の網であっても良い。
【0057】
篩へ粒子分散液(例えば、トナースラリー)の供給方法は、連続、間欠、脈動等が挙げられる。移送に用いるポンプには、遠心ポンプ、ダイヤフラムポンプ、プランジャポンプ、渦巻ポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、チューブポンプ、ホースポンプ等、一般的なポンプを使用することができる。
【0058】
【実施例】
〔実施例1〕
樹脂微粒子分散液1の作製:
スチレン 360部
n−ブチルアクリレート 40部
アクリル酸 8部
ドデカンチオ−ル 16部
四臭化炭素 4部
【0059】
予め、上記成分を混合溶解して樹脂溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール400)6部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)9部をイオン交換水500部に溶解し、次いで、上記の樹脂溶液を分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水100部を投入し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら内容物を70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、分散樹脂微粒子の平均粒径が155nm、ガラス転移点が57℃、Mwが16500のアニオン性の樹脂微粒子分散液1を得た。
【0060】
樹脂微粒子分散液2の作製:
スチレン 280部
n−ブチルアクリレート 120部
アクリル酸 8部
【0061】
予め、上記成分を混合溶解して樹脂溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール400)6部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)13部をイオン交換水500部に溶解し、次いで、上記樹脂溶液を分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら過硫酸アンモニウム2部を溶解したイオン交換水100部を投入し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら内容物が70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、分散樹脂微粒子の平均粒径が100nm、ガラス転移点が52℃、Mwが780000のアニオン性の樹脂微粒子分散液2を得た。
【0062】
顔料分散液1の作製:
カーボンブラック 50部
(キャボット社製、モーガルL:平均粒径24nm)
アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 6部
(第一工業製薬社製、ネオゲンR)
イオン交換水 200部
【0063】
上記成分を混合溶解し、ダイノーミルで分散させて、カーボンブラック分散液を得た。分散したカーボンブラックの平均粒径は155nmであった。
【0064】
離型剤分散液1の作製:
パラフィンワックス 50部
(日本精蝋社製、HNPO190:融点85℃)
カチオン性界面活性剤 7.5部
(花王社製、サニゾールB50)
イオン交換水 200部
【0065】
上記成分を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、ダイノーミルで分散処理してワックス分散液を得た。前記分散ワックスの平均粒径は250nmであった。
【0066】
凝集粒子の作製:
樹脂微粒子分散液1 120部
樹脂微粒子分散液2 80部
顔料分散液1 30部
離型剤分散液1 40部
カチオン性界面活性剤 1.5部
(花王社製、サニゾールB50)
イオン交換水 600部
【0067】
上記成分を、ホモジナイザーを用いて混合分散させた後、攪拌しながら48℃まで加熱した。50℃で90分間保持した。そのときの分散液を光学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50v)約6.2μmの凝集粒子が確認された。
【0068】
この分散液に樹脂微粒子分散液1を緩やかに60部追加し、上記温度温度で1時間保持した。そのときの分散液を光学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50v)約6.5μmの凝集粒子が確認された。
【0069】
次いで、この分散液に、アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5部を追加して97℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合した。その後、30℃に冷却し、固形分濃度15wt%のトナースラリーAを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径(D50v)を測定したところ6.7μmであった。また、画像解析装置による形状係数SF1は127であった。また、体積平均粒子径Dvおよび粗大粒子の含有率は、コールターカウンター[TA-II]型(コ−ルタ−社製)を用いて、50μm径のアパ−チャ−で測定することにより測定した。この時、測定はトナーをアイソトンに分散させた後、超音波により30秒以上分散させ、凝集した粒子を解した後に行った。その結果、84%体積基準粒子径は7.5μmであり、20μm以上の粗粉量は、全体の樹脂微粒子量の0.9vol%、15μm以上の粗粉量は全体の樹脂微粒子量の1.2vol%であった。
【0070】
また、同様の原料を用い、ホモジナイザーによる混合分散後、48℃まで加熱し、60分保持した。そのときの分散液を工学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50)約4.6μmの凝集粒子が確認された。
【0071】
この分散液に樹脂微粒子分散液1を緩やかに45部追加し、上記温度で1時間保持した。その時の分散液を工学顕微鏡で観察すると、体積平均粒径(D50)約4.9μmの凝集粒子が確認された。
【0072】
次いで、この分散液に、アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5部を追加して97℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合した。その後、30℃に冷却し、固形分濃度15wt%のトナースラリーBを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径(D50v)を測定したところ5.0μmであった。また、画像解析装置による形状係数SF1は124であった。また、体積平均粒子径Dvおよび粗大粒子の含有率は、コールターカウンター[TA-II]型(コ−ルタ−社製)を用いて、50μm径のアパ−チャ−で測定することにより測定した。この時、測定はトナーをアイソトンに分散させた後、超音波により30秒以上分散させ、凝集した粒子を解した後に行った。その結果、84%体積基準粒子径は6.8μmであり、20μm以上の粗粉量は、全体の樹脂微粒子量の0.5vol%、15μm以上の粗粉量は全体の樹脂微粒子量の0.9vol%であった。
【0073】
このトナースラリーAを円形振動篩にて篩分した。網枠はφ300(有効網面積0.07m2)のものを使用した。
【0074】
また、網には15μm目開き、線径35μmのナイロン網を使用し、600μm目開きのナイロン網を下にして重ねて設置した。
【0075】
振動周波数を35s-1、篩枠(p)の網に対して垂直方向の振幅aを5mm、篩枠の網に対して水平方向の振幅bを3mmとなるよう調整し、トナースラリーAを供給量300kg/hの条件で連続供給した。なお、上記有効網面積0.07m2を考慮すると、単位面積あたりスラリー供給速度Fは1.19kg/sm2である。3時間トナースラリーを供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。なお、ここでのオーバーフローの定義とは、網上の粗粉排出口から流出したスラリーの積算量が5kgとなった時点とする。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.5wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。篩分後の網を水洗した後、画像解析により3箇所の網目詰まり率の平均を計算した結果、30%であった。
【0076】
〔実施例2〕
供給量150kg/hとした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。なお、上記有効網面積0.07m2を考慮すると、体積面積あたりスラリー供給速度Fは0.60kg/sm2である。15時間トナースラリーを供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.7wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。また網目詰まり率は39%であった。
【0077】
〔比較例1〕
振動周波数Hを16s-1とした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後1分後に網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。ほとんど処理できなかったため、回収率、目詰まり率等は導出できなかった。
【0078】
〔実施例3〕
振幅aを1mm、振幅bを1.5mmとした以外は実施例2の方法で篩分を実施した。篩分開始後1時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.2wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。また網目詰まり率は30%であった。
【0079】
〔比較例2〕
網を目開き44μm、線径25μmのSUS製の網に変更した以外は実施例1の方法で篩分を実施した。4時間供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.5wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.6vol%であった。また網目詰まり率は58%であった。
【0080】
〔比較例3〕
振幅aを8mm、振幅bを7mmとした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後30分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.0wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.1vol%であった。また網目詰まり率は70%であった。
【0081】
〔実施例4〕
周波数を70s-1とし、網に目開き25μm、線径17μmのステンレス製の網を使用した以外は実施例3の方法で篩分を実施した。篩分開始後10時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.6wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.1vol%であった。また網目詰まり率は40%であった。
【0082】
〔実施例5〕
振幅aを5.6mm、振幅bを5.6mmとし、篩に網目開き10μm、線径30μmのナイロン網を設置し、トナースラリーBを30kg/hの供給量設定で供給した。それ以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後7時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.2wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%、15μmを超える粒子量についても0.0vol%であった。また網目詰まり率は40%であった。
【0083】
〔比較例4〕
振動周波数を90s-1とした以外は実施例3の方法で篩分を実施した。篩分開始後5時間の時点で、篩分けられたスラリーの粗粉量が増加したため運転を停止した。篩網を確認したところ、網の網枠と網との接合部が破れていた。
【0084】
〔比較例5〕
振幅aを1mm、振幅bを0.5mmとし、篩に網目開き30μm、線径40μmのナイロン網を設置し、それ以外は実施例2の方法で篩分を実施した。篩分開始後15分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は97wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.5vol%であった。また網目詰まり率は54%あった。
【0085】
〔比較例6〕
トナースラリーBを用い、目開き6μm、線径37μmのナイロン網を使用した。トナースラリーBの供給量は75kg/hとした。それ以外は、実施例1の方法で確認を行った。篩分開始後1分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
以上の結果より振動篩の周波数、振幅、網目開きを制御することにより、比較的小さい粒径の粗大粒子を除去する際に目詰まりが少なく、長時間に渡って安定した篩い分けが可能となり、結果として画質に悪影響を及ぼす粗大粒子を大幅に削減したトナーを製造可能となることが明らかになった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーの製造方法を用いることにより、従来の篩操作では工業的利用が困難であった製品画質低下の原因となる粗粉を効率よく除去することが可能となり、画質に悪影響を及ぼす規定粒度以上の粒子がほとんど無い高品質のトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる振動篩の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に好適に用いられる振動モータの要部説明図である。
【図3】本発明に好適に用いられる振動モータにおける位相角を示す説明図である。
【図4】本発明に好適に用いられる網の説明図である。
【符号の説明】
100 ベースフレーム、102 コイルスプリング、104 篩枠、105上枠、106 底部、108 篩網、110 支持枠、116 篩分品回収口、118 供給口、120 粗粉排出口、122 上蓋、130 振動モータ、132 孔、134 板、136,140 固定ボルト、204 出力軸、d 網の線径(μm)、w 網の目開き(μm)、θw ウェイト位相角(°)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、篩とトナーの湿式製法における樹脂粒子溶液中の粒子分級に前記篩装置を組み込んだ静電荷現像用トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法では、帯電、露光工程を経て感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、トナー画像を転写し、定着する工程を経て可視化するものである。ここで用いる現像剤は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
【0003】
近年、電子写真法により得られた画像の高画質化を目的として粒子径8μm以下の電子写真用トナーが主流になりつつある。この小粒径トナーを効率良く製造する方法として、乳化重合凝集法(例えば、特許文献1から特許文献3参照)、懸濁重合法(例えば、特許文献4から特許文献6参照)、液中乾燥法(例えば、特許文献7から特許文献10参照)等の湿式製法が挙げられる。
【0004】
これら湿式製法に共通する問題点として、撹拌不良や、反応容器、攪拌翼に付着する固着分に起因する粗粉の発生が挙げられる。これらの粗粉は、転写工程における感光体と転写体との間隔即ちギャップを不均一にする原因となり、また非画像部への散らばりを発生しやすくなり、さらに粒径差による帯電差の発生により画像むらを発生しやすくなる等、画質を劣化する大きな要因となる。さらには現像時におけるトナー飛散の原因ともなるため、機内汚染による信頼性の低下をも引き起こす。これら粗粉の問題は特許文献11に記載されているように、体積平均粒子径Dvの3倍以上の粒子を取り除くことによって改善される。
【0005】
一方、粗粉の除去方法としては、乾燥後に風力分級する方法や篩い分ける方法、または粒子分散液の状態で篩い分ける方法(例えば、特許文献11及び特許文献12)等が挙げられる。
【0006】
乾燥後に風力分級する方法は、初期の設備導入費用、運転費用が高い上に、気流とトナーを分離するための集塵機を要する。サイクロンのような集塵機ではトナーが小粒径化するに従って製品収率が低下し、またバグフィルタ−等の集塵機では、他品種間のコンタミネ−ションが問題となる。また原料中に含まれる板状、針状の不定形粗粉や、微細な気泡を含む低密度の粗粉については、それ自身の慣性力が弱いため風力分級での除去は困難である。また、乾燥後に添加剤を外添し、篩い分ける方法では、粒子の付着力の影響により20μm以下の網を用いた篩い分けは難しく、工業的な大量処理は困難である。
【0007】
これに対して粒子分散液の状態で篩い分ける方法は設備の導入費用、運転費用も安価である上、製品収率も高く、更に形状分離することが可能なため、板状、針状、低密度の不定形粗粉も除去可能である。粒子分散液の状態で篩い分ける方法としては、粒子分散液をポンプ等で加圧(または吸引)することによって強制的に網を通過させる方法や、振動篩や面内篩を用いて粒子分散液を網に重力落下させて振動で網を通過させる方法等が挙げられる。強制的に網を通過させる方法では、トナースラリーの篩分のように網目開きと重量平均粒子径の差が小さい場合や粒子濃度が高い場合に網面にケ−ク層を形成し、ろ過状態となる場合が多く、粒子が通過しなくなるため工業的な利用は難しい。またケ−ク層の形成速度は非常に早く、このような篩装置に逆洗やスクレ−パ−等を応用した装置においても安定した篩い分けは困難となる。
【0008】
面内篩や振動篩による篩分においては、網目開き近傍の粒子径の粗大粒子が網に突き刺さる(または乗る)ことにより網面が塞がれるため、安定した篩い分けは困難となる。
【0009】
このように電子写真用トナーの湿式製法において、従来の篩では、工業的に安定して除去することが困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63-282752号公報
【特許文献2】
特開平6-250439号公報
【特許文献3】
特開平10-26842号公報
【特許文献4】
特公昭36-10231号公報
【特許文献5】
特公昭43-10799号公報
【特許文献6】
特公昭51-14895号公報
【特許文献7】
特開昭50-120632号公報
【特許文献8】
特開昭63-25664号公報
【特許文献9】
特開平5-127422号公報
【特許文献10】
特開平8-179556号公報
【特許文献11】
特開2000‐172007号公報
【特許文献12】
特開2002−196534号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を改良すべく、なされたものであり、従来の篩操作では工業的利用が困難であった製品画質低下の原因となる粗粉を効率よく除去することを可能とした電子写真用トナーの製造方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、網面全体を有効に活用し、材料の篩分網上での滞留時間を確保し、かつ網上に残留した粗粉の蓄積や目詰まりの発生を防ぐよう、鋭意研究を行った結果、前記問題の解決を可能とした。即ち、本発明の構成は下記のとおりである。
【0013】
(1)着色剤樹脂微粒子スラリー中の粗大粒子を篩にて除去する工程を含む電子写真用トナーの製造方法において、該篩が振動篩であり、該篩処理を以下の条件で実施することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
【数2】
ここで、Hは振動周波数(s-1)、aは篩枠の縦振幅(mm)、bは篩枠の横振幅、wは網目開き、D50vは樹脂微粒子の体積平均粒子径である。
【0014】
(2)該篩の網に下式の範囲の樹脂網を用いることを特徴とする(1)記載の電子写真用トナーの製造方法。
【数3】
ここでdは網の線径(μm)である。
【0015】
(3)該篩への供給するスラリー中の固形分濃度l(wt%)、スラリーの供給速度F(kg/sm2)が下式の関係にあることを特徴とする(1)または(2)記載の電子写真用トナーの製造方法。
【数4】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の態様を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明において製造される静電潜像現像用トナーの製造方法としては、トナースラリーの篩い分けを本発明の方法で実施する限り、他の点については特に制限はなく、それ自体公知のトナーの製造方法に準じて行うことができる。
【0017】
本発明に使用するトナーとしては、特開2000-131876公報等で提案されている方法でも良い。
【0018】
この方法は、イオン性界面活性剤による樹脂分散液と、反対極性のイオン性界面活性剤に分散した顔料を混合し、ヘテロ凝集を生じさせてトナー径の凝集粒子を形成し、その後、前記樹脂のガラス転移点以上に加熱して凝集体を融合させ一体化し、洗浄、乾燥、外添混合、乾式篩分してトナーを製造するものである。この方法では加熱温度条件を選択することにより、トナー形状を不定形から球状まで制御することも可能である。顔料と樹脂粒子の極性が同じでも、更に反対極性の界面活性剤を加えることにより、同様の凝集体を生成することもできる。
【0019】
さらに、上記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合させる前に、別の微粒子分散液を添加混合し、もとの凝集粒子表面に前記微粒子を付着させた後、樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱して融合する方法を採用することにより、トナーの表面から内部に至る層構造を制御することも可能である。この方法により、トナー表面を樹脂で被覆したり、帯電制御剤で被覆したり、ワックスや顔料をトナー表面近傍に配置したりすることも可能である。
【0020】
本発明において製造されるトナーの熱可塑性結着樹脂は、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などからなる重合体又はこれらを2種以上組み合せた共重合体、又はこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、又はこれらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0021】
ビニル系単量体を用いるときには、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂を用いるときには、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に樹脂を溶解し、水中にイオン性界面活性剤や高分子電解質を共存させてホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子を分散させ、その後加熱または減圧して溶剤を蒸散させることにより、所望の樹脂分散液を作成することができる。
【0022】
上記の熱可塑性結着樹脂は、解離性ビニル系単量体を配合することにより、乳化重合などで得た微粒子を安定に作製することができる。解離性ビニル系単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなど高分子酸、高分子塩基の原料となる単量体のいずれも使用可能であるが、重合体形成反応の容易性などから高分子酸が好適であり、さらには、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を有する解離性ビニル系単量体が重合度制御、ガラス転移点の制御のために特に有効である。
【0023】
離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系ワックス、石油系ワックス、及びそれらの変性物を使用することができる。
【0024】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散させ、融点以上に加熱するとともに強い剪断を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機で微粒子化し、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
【0025】
着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソ−ルレッド、ロ−ダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブル−、メチレンブル−クロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料を1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0026】
内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、それらの合金、又はそれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や融合一体化時の安定性に影響するイオン強度の制御及び廃水汚染の減少のために、水に溶解しにくい帯電制御剤が好適である。
【0027】
湿式添加する無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して湿式添加することができる。なお、通常のトナーと同様に、乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を乾燥状態でせん断を付与してトナー表面に添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
【0028】
トナー製造工程における乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
【0029】
これらトナーの製造方法における分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノーミル、DCPミル、スパイクミルや強制衝突型のアルティマイザー(株式会社スギノマシン製)など、一般的な分散機を使用できる。凝集は、一般的なジャケット付き攪拌槽が用いられる。攪拌翼としては、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、フアウドラー翼、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド撹拌翼(住友重機械工業社製)、ベンドリーフ撹拌翼(八光産業社製)等が挙げられる。また、攪拌槽壁面の材質としては、ステンレス製(SUS304,SUS316等)やそれをバフ研磨および、または電解研磨したもの、グラスライニング処理またはテフロンライニング処理されたものが好適に用いられる。また槽内にバッフルを設置しても良い。融合についても同様のジャケット付き攪拌槽が好適に用いられる。
【0030】
トナースラリーの洗浄は、スラリーをろ過し、それを水に戻す操作を繰り返す方法や、フィルタープレスやベルトフィルター等でケーク層を作成しそのケーク層に水を強制通過させる方法、またはこれらを複合した方法が用いられ、場合によっては洗浄の途中において、酸または(および)アルカリ溶液にトナーを投入し、洗浄しても良い。
【0031】
乾燥工程には、フラッシュジェットドライヤ等の風力乾燥機や、真空乾燥機、凍結真空乾燥機、棚段乾燥機など一般的な乾燥機を使用できる。また、乾燥はフィルタープレスやベルトフィルター等でろ過した後、エアブローをする等して水分率を減らした後に実施することが望ましい。
【0032】
トナー流動性向上及び帯電性付与を目的にシリカおよび/またはチタニア等の無機微粒子を外添剤として添加混合してもよい。これら無機微粒子は粒子径5〜30nmのものが好ましく、シリコンオイル等で疎水化処理されていてもよい。
【0033】
外添混合は、例えばV型ブレンダ−やヘンシェルミキサ−、Q型ミキサ−、サイクロミックス等によって行うことができる。また、この際必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤としては、他の公知の流動化剤、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子、小径不定形樹脂微粒子、酸化セリウム、ステアリン酸亜鉛等のクリ−ニング助剤または転写助剤等があげられる。
【0034】
乾式篩分には、風力篩分機、円形振動篩、ジャイロシフター、超音波振動篩、ターボスクリーナー等が用いられ、25〜300μm目開きの網が好適に用いられる。
【0035】
次に、本発明における着色剤樹脂粒子スラリー(以下「トナースラリー」という)中の粗大粒子を篩にて除去する方法について、以下に詳細に説明する。
【0036】
本発明におけるトナースラリーの篩分には、電磁式振動篩や振動モータ式の振動篩、円形振動篩等を使用することができる。また本発明の篩処理は、例えば乳化重合凝集法トナーの製造方法または懸濁重合法トナーの製造方法において、トナーの融合中または融合後もしくは重合後に好適に用いられる。ここで、トナーの融合中の篩処理とは、トナースラリーを循環させ粗大粒子を取り除きながらトナーを融合させる処理も含む。また、融合後(重合後)の篩処理とは、乳化重合凝集法または懸濁重合法により得られた粒子を融合(重合)させた後であれば、トナー製品となる前のいかなるスラリーの状態も含み、例えば、融合後のトナースラリー洗浄の後の篩処理も含む。
【0037】
本発明において篩の振動周波数Hについては、20(s-1)以上80(s-1)以下、振動振幅については「sqrt(a2+b2)」が1.4以上8.5以下、好ましくは2.5以上8.5以下、また篩の網目開きについては1.5D50v以上4.0D50v以下とする必要がある。ここで『sqrt』は平方根の意であり、『a』は篩枠の縦振幅(mm)、『b』は篩枠の横振幅、『D50v』は樹脂微粒子の体積平均粒子径を指す。
【0038】
篩の振動周波数が20(s-1)未満の場合は、篩の網目からスラリーを通過させるための力が十分に得られず、網目が塞がり即座に篩処理ができなくなる。一方、振動周波数が80(s-1)を超える場合には、篩の網へ大きな加速度が加わり、網の変形や破損につながるため、長時間安定してトナースラリーを篩い分けすることができない。
【0039】
また、振動振幅「sqrt(a2+b2)」が1.4未満の場合は、振動が篩の網に吸収され十分に伝わらないため、網に乗った粗粉を網面から分離することができず、網目の目詰まりが生じ安定した篩分処理ができない。一方、振動振幅「sqrt(a2+b2)」が8.5を超える場合には、篩の網目開きの大きさと近似する粒子径を有する粗粉が、篩の網に突き刺さりやすくなり、これにより篩の網目の目詰まりが生じ安定した篩分処理が行えない。
【0040】
また、一般に、3D50v以上の粗大粒子のトナーが存在すると画質に悪影響を及ぼすことが知られているが、3D50vの粗大粒子は、篩の網目開き4D50v未満の網でなければ高効率で除去することができず、それより大きい目開きの網を用いると繰り返し篩分を行わなければならないため、篩分処理の効率が低下してしまう。より望ましくは、網目開きが2.8D50v以下である。また、目開きが1.5D50v未満の網を使用すると、目詰まりが急激に悪化し工業的な篩い分けが困難となる。
【0041】
尚、本発明の篩に用いる網は、ナイロンやポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂網や、ステンレス網などの金属製網等の網が使用できる。
【0042】
篩の網が、「w/d」が0.3以上1.5未満の樹脂網を用いることが望ましい。ここで、『w』は網目開き、『d』は網の線径(μm)を指す。
【0043】
上述の式1から式3の篩分処理条件において、特に樹脂網を用いることにより網の目詰まりは軽減されるが、更に「w/d」を上記の範囲とすることにより、篩の網の目詰まりをより軽減させることができる。ここで「w/d」が0.3未満の場合には、粗粉と網の線材との接触面が増大するためスラリー中の粒子の通過が妨げられてしまい、目詰まりを生じ長時間安定して篩分処理を行うことができない。一方、「w/d」が1.5を超えると、篩の網自身の強度が弱くなり、上述の式1から式3の篩分処理の運転条件で使用した際に、網の破損、変形等が発生し、安定した篩分処理を行うことができない。
【0044】
また、スラリーの供給量およびスラリー濃度については、「lF (w+d)2/ w2」を1以上200以下にすることが好ましい。ここで、『l』はスラリー濃度(wt%)をいい、『F』はスラリー供給量(kg/sm2)「lF(w+d)2/ w2」が200を超える場合は、トナースラリーの供給量が過剰となり、網目詰まりが発生する。一方、「lF (w+d)2/ w2」が1未満の場合には、トナースラリーを大量に処理する際に、篩の網の大きな設置面積が必要となるため好ましくない。
【0045】
尚、本発明に用いる網のように目開きの小さい網は、線径が太く目開きの粗い網(保護網)と2枚重ねて張ることにより、網の強度を上げることができる。保護網の材質は網と同じ材質であっても別の材質であっても良いが、ナイロン網のように伸びやすい網についてはポリエステル網、ポリプロピレン網、金網やパンチングメタルと併用することが望ましい。
【0046】
次に本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下、各図面において同符号を付してあるものは、同じ機能を有するものであるため、その説明を省略することがある。
【0047】
図1は、本発明に用いる振動篩の一例を示す概略構成図である。図1において、ベースフレーム100上に複数のコイルスプリング102に支持された円筒状の篩枠104が設けられ、篩枠104の内部には破線で示す円錐状または斜面状の底部106が形成されている。また、この篩枠104には篩網108が張設された環状の支持枠110が固定されている。更に図1には図示していないが、ベースフレーム100には振動モータが内蔵されており、この振動モータの作動によりコイルスプリング102上の篩枠全体が振動可能となっている。底部106の下部には、ベースフレーム100に内蔵されている振動モータに連結された回転可能なシャフト(図示せず)が内蔵されており、図3に示すようなシャフトの上下端には重心をシャフト中央からずらした上下アンバランスウェイトが設置されている。なお、上記コイルスプリング102は、振動篩の振動のぶれを吸収するように機能する。
【0048】
図2及び図3には、ベースフレーム100内に内蔵された振動モータの一例の概略が示されている。この振動モータ130の出力軸204には、弓状の孔132を有する円形状の重り取り付け板134と、振動モータ130の出力軸に対して任意の角度(ウェイト位相角)に固定可能なように弓状の孔132に貫通された重り固定ボルト136によって固定される重り138と、この重り138に重り固定ボルト140によって着脱自在に固定された補充重り142とを備えている。尚、図示していない振動モータ上方の回転可能なシャフトにも、このシャフト(軸)に対して重心を偏心させた上部重りが固定されており、振動モータ130に連結されたシャフトの上下重りの位相角度を変更することにより振動挙動を変化させることができる。
【0049】
なお、装置内の接粉面はバフ研磨もしくは複合メッキ等によりコーティングされていることが望ましい。複合メッキ皮膜に含有させる微粒子としては、自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性等の諸特性に優れた含フッ素化合物の微粒子が特に好ましい。含フッ素化合物は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フッ化黒鉛、フッ素樹脂、フッ化ピッチ等が好適に使用される。
【0050】
図1に示す篩網108上でトナースラリーが中心に集まるような設定(逆に外周側に集まるような設定)で振動させるには、次のように振動モータ130を制御することが好ましい。この振動モータ130では、図3に示すように、ウェイト位相角θwが0度の場合は、篩網108上の材料は篩網108の中心から外側へ向かって一直線に移動するが、ウェイト位相角θwを広げるにつれて篩網108上の材料の運動に回転成分を与える。ウェイト位相角θwが40度付近を超えると、篩網108上の材料は、篩網108の中心へ向かって流れるようになる。したがって、図1に示す粗粉排出口120が上枠105の外周面に設けられた(自然排出)実施の形態においては、振動モータ130の位相角を0度〜40度程度とすることが望ましい。このように制御することで、 図1に、示すように篩網108上のトナースラリーは、篩網108の中心へ向かって流れるようになる。なお、被篩分材料を篩網108の中心部に移動させるには、少なくとも位相角40度以上が必要であるが、位相角が90度を越えると篩分されるトナースラリーが網面の外周寄り部分を通過しなくなり、網全体を活用した篩分が困難となるため、処理能力が低下する等の問題が生じることがある。
【0051】
図3に示す下部のアンバランスウェイトは、図3に示すように重り(ウェイト)138の重さ及び補充重り142とそのウェイト位相角θWとが変更可能となっており、この重さと角度を調整することにより振動挙動、特に振幅を調整することができる。一方、振動モータ130による回転により篩い分け時の振動周波数を調整することができる。なお、振動モータ130は、図2に示すように、シャフトに直接接続されたタイプと、ベルトで間接的に駆動力を与えるタイプがある。
【0052】
例えば、図1のような振動篩においては振動モータの電源周波数を変更したり、ベルト駆動の場合には、ベルトを駆動させるプーリーの比を変更したりすることにより振動の周波数を調整することが可能である。
【0053】
また、上述した回転可能なシャフトの上下のウェイト重量を変更することにより、それぞれ横、縦方向の振幅を調整することが可能である。また、網枠の振幅については、一般的な振幅測定用目盛りを網枠部pに貼り付け、振動時に目視確認することにより測定できるが、高精度に測定するためには適当な冶具を接続し、冶具に測定レンジが適合した一般的な振動計を接続することにより測定可能である。
【0054】
次に、上記振動篩により篩い分け処理動作について図1を用いて説明する。
【0055】
円形振動篩においては、上述したように、振動モータ130の回転数並びにアンバランスウェイトの重さと位相角とを調整し、所望の振幅及び周波数に調節した後、供給口118から装置内に供給された粒子分散液(例えば、トナースラリー)は、振動モータの作動による篩分機全体の3次元振動によって篩分され、粗粉は粗粉排出口120から排出され、微粉は篩枠108を通過して底部106を滑動して篩分品回収口116より排出される。これにより、篩枠104内に、所望の粒径を有するトナーのスラリーを得ることができる。
【0056】
篩内部の接液面の材質は、ステンレスやそれをバフ研磨、電解研磨したもの、または、テフロンコーティングやメッキ、グラスライニングされたものでも良い。
網の織り方は綾織、平織り、トンキャップ織りなどの一般的な織り方の網が使用できる。場合によっては、これらの網をカレンダ加工しても良く、またウェッジワイヤースクリーン等のスリット状の網であっても良い。
【0057】
篩へ粒子分散液(例えば、トナースラリー)の供給方法は、連続、間欠、脈動等が挙げられる。移送に用いるポンプには、遠心ポンプ、ダイヤフラムポンプ、プランジャポンプ、渦巻ポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、チューブポンプ、ホースポンプ等、一般的なポンプを使用することができる。
【0058】
【実施例】
〔実施例1〕
樹脂微粒子分散液1の作製:
スチレン 360部
n−ブチルアクリレート 40部
アクリル酸 8部
ドデカンチオ−ル 16部
四臭化炭素 4部
【0059】
予め、上記成分を混合溶解して樹脂溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール400)6部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)9部をイオン交換水500部に溶解し、次いで、上記の樹脂溶液を分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水100部を投入し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら内容物を70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、分散樹脂微粒子の平均粒径が155nm、ガラス転移点が57℃、Mwが16500のアニオン性の樹脂微粒子分散液1を得た。
【0060】
樹脂微粒子分散液2の作製:
スチレン 280部
n−ブチルアクリレート 120部
アクリル酸 8部
【0061】
予め、上記成分を混合溶解して樹脂溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製、ノニポール400)6部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)13部をイオン交換水500部に溶解し、次いで、上記樹脂溶液を分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら過硫酸アンモニウム2部を溶解したイオン交換水100部を投入し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら内容物が70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、分散樹脂微粒子の平均粒径が100nm、ガラス転移点が52℃、Mwが780000のアニオン性の樹脂微粒子分散液2を得た。
【0062】
顔料分散液1の作製:
カーボンブラック 50部
(キャボット社製、モーガルL:平均粒径24nm)
アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 6部
(第一工業製薬社製、ネオゲンR)
イオン交換水 200部
【0063】
上記成分を混合溶解し、ダイノーミルで分散させて、カーボンブラック分散液を得た。分散したカーボンブラックの平均粒径は155nmであった。
【0064】
離型剤分散液1の作製:
パラフィンワックス 50部
(日本精蝋社製、HNPO190:融点85℃)
カチオン性界面活性剤 7.5部
(花王社製、サニゾールB50)
イオン交換水 200部
【0065】
上記成分を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、ダイノーミルで分散処理してワックス分散液を得た。前記分散ワックスの平均粒径は250nmであった。
【0066】
凝集粒子の作製:
樹脂微粒子分散液1 120部
樹脂微粒子分散液2 80部
顔料分散液1 30部
離型剤分散液1 40部
カチオン性界面活性剤 1.5部
(花王社製、サニゾールB50)
イオン交換水 600部
【0067】
上記成分を、ホモジナイザーを用いて混合分散させた後、攪拌しながら48℃まで加熱した。50℃で90分間保持した。そのときの分散液を光学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50v)約6.2μmの凝集粒子が確認された。
【0068】
この分散液に樹脂微粒子分散液1を緩やかに60部追加し、上記温度温度で1時間保持した。そのときの分散液を光学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50v)約6.5μmの凝集粒子が確認された。
【0069】
次いで、この分散液に、アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5部を追加して97℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合した。その後、30℃に冷却し、固形分濃度15wt%のトナースラリーAを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径(D50v)を測定したところ6.7μmであった。また、画像解析装置による形状係数SF1は127であった。また、体積平均粒子径Dvおよび粗大粒子の含有率は、コールターカウンター[TA-II]型(コ−ルタ−社製)を用いて、50μm径のアパ−チャ−で測定することにより測定した。この時、測定はトナーをアイソトンに分散させた後、超音波により30秒以上分散させ、凝集した粒子を解した後に行った。その結果、84%体積基準粒子径は7.5μmであり、20μm以上の粗粉量は、全体の樹脂微粒子量の0.9vol%、15μm以上の粗粉量は全体の樹脂微粒子量の1.2vol%であった。
【0070】
また、同様の原料を用い、ホモジナイザーによる混合分散後、48℃まで加熱し、60分保持した。そのときの分散液を工学顕微鏡で観察すると体積平均粒径(D50)約4.6μmの凝集粒子が確認された。
【0071】
この分散液に樹脂微粒子分散液1を緩やかに45部追加し、上記温度で1時間保持した。その時の分散液を工学顕微鏡で観察すると、体積平均粒径(D50)約4.9μmの凝集粒子が確認された。
【0072】
次いで、この分散液に、アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬社製、ネオゲンR)5部を追加して97℃まで加熱し、7時間そのまま保持して凝集粒子を融合した。その後、30℃に冷却し、固形分濃度15wt%のトナースラリーBを得た。コールターカウンターで融合粒子の体積平均粒径(D50v)を測定したところ5.0μmであった。また、画像解析装置による形状係数SF1は124であった。また、体積平均粒子径Dvおよび粗大粒子の含有率は、コールターカウンター[TA-II]型(コ−ルタ−社製)を用いて、50μm径のアパ−チャ−で測定することにより測定した。この時、測定はトナーをアイソトンに分散させた後、超音波により30秒以上分散させ、凝集した粒子を解した後に行った。その結果、84%体積基準粒子径は6.8μmであり、20μm以上の粗粉量は、全体の樹脂微粒子量の0.5vol%、15μm以上の粗粉量は全体の樹脂微粒子量の0.9vol%であった。
【0073】
このトナースラリーAを円形振動篩にて篩分した。網枠はφ300(有効網面積0.07m2)のものを使用した。
【0074】
また、網には15μm目開き、線径35μmのナイロン網を使用し、600μm目開きのナイロン網を下にして重ねて設置した。
【0075】
振動周波数を35s-1、篩枠(p)の網に対して垂直方向の振幅aを5mm、篩枠の網に対して水平方向の振幅bを3mmとなるよう調整し、トナースラリーAを供給量300kg/hの条件で連続供給した。なお、上記有効網面積0.07m2を考慮すると、単位面積あたりスラリー供給速度Fは1.19kg/sm2である。3時間トナースラリーを供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。なお、ここでのオーバーフローの定義とは、網上の粗粉排出口から流出したスラリーの積算量が5kgとなった時点とする。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.5wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。篩分後の網を水洗した後、画像解析により3箇所の網目詰まり率の平均を計算した結果、30%であった。
【0076】
〔実施例2〕
供給量150kg/hとした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。なお、上記有効網面積0.07m2を考慮すると、体積面積あたりスラリー供給速度Fは0.60kg/sm2である。15時間トナースラリーを供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.7wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。また網目詰まり率は39%であった。
【0077】
〔比較例1〕
振動周波数Hを16s-1とした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後1分後に網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。ほとんど処理できなかったため、回収率、目詰まり率等は導出できなかった。
【0078】
〔実施例3〕
振幅aを1mm、振幅bを1.5mmとした以外は実施例2の方法で篩分を実施した。篩分開始後1時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.2wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%であった。また網目詰まり率は30%であった。
【0079】
〔比較例2〕
網を目開き44μm、線径25μmのSUS製の網に変更した以外は実施例1の方法で篩分を実施した。4時間供給した時点で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.5wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.6vol%であった。また網目詰まり率は58%であった。
【0080】
〔比較例3〕
振幅aを8mm、振幅bを7mmとした以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後30分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.0wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.1vol%であった。また網目詰まり率は70%であった。
【0081】
〔実施例4〕
周波数を70s-1とし、網に目開き25μm、線径17μmのステンレス製の網を使用した以外は実施例3の方法で篩分を実施した。篩分開始後10時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.6wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.1vol%であった。また網目詰まり率は40%であった。
【0082】
〔実施例5〕
振幅aを5.6mm、振幅bを5.6mmとし、篩に網目開き10μm、線径30μmのナイロン網を設置し、トナースラリーBを30kg/hの供給量設定で供給した。それ以外は実施例1の方法で篩分を実施した。篩分開始後7時間で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は99.2wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.0vol%、15μmを超える粒子量についても0.0vol%であった。また網目詰まり率は40%であった。
【0083】
〔比較例4〕
振動周波数を90s-1とした以外は実施例3の方法で篩分を実施した。篩分開始後5時間の時点で、篩分けられたスラリーの粗粉量が増加したため運転を停止した。篩網を確認したところ、網の網枠と網との接合部が破れていた。
【0084】
〔比較例5〕
振幅aを1mm、振幅bを0.5mmとし、篩に網目開き30μm、線径40μmのナイロン網を設置し、それ以外は実施例2の方法で篩分を実施した。篩分開始後15分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。オーバーフローするまでのスラリーの回収率は97wt%であった。篩い分けられたスラリーをコールターカウンターにより測定した結果、20μmを超える粒子量は0.5vol%であった。また網目詰まり率は54%あった。
【0085】
〔比較例6〕
トナースラリーBを用い、目開き6μm、線径37μmのナイロン網を使用した。トナースラリーBの供給量は75kg/hとした。それ以外は、実施例1の方法で確認を行った。篩分開始後1分で網上からスラリーがオーバーフローしたため供給を停止した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
以上の結果より振動篩の周波数、振幅、網目開きを制御することにより、比較的小さい粒径の粗大粒子を除去する際に目詰まりが少なく、長時間に渡って安定した篩い分けが可能となり、結果として画質に悪影響を及ぼす粗大粒子を大幅に削減したトナーを製造可能となることが明らかになった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーの製造方法を用いることにより、従来の篩操作では工業的利用が困難であった製品画質低下の原因となる粗粉を効率よく除去することが可能となり、画質に悪影響を及ぼす規定粒度以上の粒子がほとんど無い高品質のトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる振動篩の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に好適に用いられる振動モータの要部説明図である。
【図3】本発明に好適に用いられる振動モータにおける位相角を示す説明図である。
【図4】本発明に好適に用いられる網の説明図である。
【符号の説明】
100 ベースフレーム、102 コイルスプリング、104 篩枠、105上枠、106 底部、108 篩網、110 支持枠、116 篩分品回収口、118 供給口、120 粗粉排出口、122 上蓋、130 振動モータ、132 孔、134 板、136,140 固定ボルト、204 出力軸、d 網の線径(μm)、w 網の目開き(μm)、θw ウェイト位相角(°)。
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