JP2004198712A - 撮像装置及び撮像方法 - Google Patents
撮像装置及び撮像方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004198712A JP2004198712A JP2002366822A JP2002366822A JP2004198712A JP 2004198712 A JP2004198712 A JP 2004198712A JP 2002366822 A JP2002366822 A JP 2002366822A JP 2002366822 A JP2002366822 A JP 2002366822A JP 2004198712 A JP2004198712 A JP 2004198712A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sensitivity
- image signal
- data
- image
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Automatic Focus Adjustment (AREA)
- Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)
- Color Television Image Signal Generators (AREA)
- Studio Devices (AREA)
- Focusing (AREA)
Abstract
【課題】高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことのできる撮像装置及び撮像方法を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ10によれば、CCD18によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた高感度データを取得すると共に、被写体からの光を第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた低感度データを取得し、合成処理回路80によって高感度データと低感度データとを合成して合成データを生成するに際し、CPU62により低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】デジタルカメラ10によれば、CCD18によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた高感度データを取得すると共に、被写体からの光を第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた低感度データを取得し、合成処理回路80によって高感度データと低感度データとを合成して合成データを生成するに際し、CPU62により低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に係り、特に、感度の異なる画像信号を取得することができる撮像素子を備えるとともに、当該撮像素子によって得られた画像信号に基づいて合焦制御を行う撮像装置と、当該撮像装置による撮像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の撮像素子の高解像度化に伴い、デジタルカメラの需要が急増している。
【0003】
ところで、現在広く普及しているデジタルカメラ等の撮像装置における撮像素子のダイナミックレンジは、写真フィルムに比べると一般的に狭い。このため、高輝度の被写体を撮影する場合には、受光量がダイナミックレンジを超え、撮像素子の出力信号が飽和してしまい、被写体の情報が欠落してしまう場合があった。
【0004】
このような問題を解決するため、従来、マスクを用いて、1つの画像中で部分毎に高感度の画像を低感度の画像に置き換えて合成画像を生成することにより、ダイナミックレンジの拡大を図る技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、この技術では、画像の各画素について着目すると、高感度の画像信号と低感度の画像信号の何れか一方のみを用いているので、必ずしもダイナミックレンジを有効に拡大できるとは限らない、という問題点があった。
【0006】
そこで、この問題点を解決するために、画像の各画素毎に高感度の画像信号と低感度の画像信号とを合成して用いる技術が考えられる。
【0007】
撮像装置における合焦制御(所謂AF(Auto Focus)制御)は、撮像素子によって取得された画像信号の高周波成分に依存して行われるものが多く、上記画像の各画素毎に感度の異なる画像信号を合成する技術によるダイナミックレンジの拡大により、当該合焦制御がより高精度に行えることも考えられる。
【0008】
一方、色の偽信号を無くすために画像の必要以上の高周波成分をカットする光学的ローパスフィルタ(以下、「OLPF」という。)が備えられた撮像装置において、合焦制御を行う場合にOLPFを撮像素子への入射光の光路上から退避させる技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
この技術によれば、合焦制御時にはOLPFにより画像信号の高周波成分がカットされないので、合焦制御を高精度に行うことができる。
【0010】
そこで、この技術を上述した画像の各画素毎に高感度の画像信号と低感度の画像信号とを合成して用いる技術に適用することが考えられる。
【0011】
この技術によれば、合焦制御時にOLPFを退避させない場合に比較して、高精度な合焦制御が実現できると考えられる。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−307963公報
【特許文献2】
特開平5−257087号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術では、合焦制御時と撮影時との間でOLPFの光路上への挿抜を機械的に切換える必要があるため、高速な処理を行うことができない、高コストとなる、といった問題点が生じると考えられる。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことのできる撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行う合焦制御手段と、を含んで構成されている。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、撮像素子により、被写体からの光が複数の第1受光素子によって第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光され、受光された光量に応じた第1画像信号が取得されると共に、前記被写体からの光が複数の第2受光素子によって前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光され、受光された光量に応じた第2画像信号が取得される。これにより、感度の異なる画像信号を取得することができる。
【0017】
なお、上記撮像素子には、CCD、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子を含めることができる。
【0018】
また、本発明では、第1画像信号と第2画像信号とが合成手段により合成されて合成信号が生成される。このように、本発明では、感度の異なる画像信号を合成しているので、例えば、マスクを用いて、1つの画像中で部分毎に高感度の画像を低感度の画像に置き換える技術を適用して合成するよりも有効にダイナミックレンジを拡大できる。
【0019】
なお、上記合成手段により合成される第1画像信号及び第2画像信号は、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0020】
ここで、本発明では、合焦制御手段により、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御が行われる。
【0021】
ここで、本発明の原理について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
上記のように、本発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介することにより第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介することにより第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子により撮像を行うものとされている。
【0023】
ここで、本発明の発明者は、上記第1受光素子に対応する画素(以下、「主画素」という。)と上記第2受光素子に対応する画素(以下、「副画素」という。)の開口部の開口面積が異なることによる周波数特性の変化について解析を行った。なお、ここでは、受光素子による受光領域が矩形状であるものと仮定した。
【0024】
この場合、受光素子による受光領域の実空間での特性は図9(A)に示されるようになる。なお、同図においてaは開口部の幅に対応するものであり、tは時間を、p(t)は時間の関数を各々示す。
【0025】
ここで、当該実空間の特性を周波数空間での特性に変換した場合、当該周波数特性は、次の(1)式に示すようにSinc関数で表わされる。
【0026】
【数1】
【0027】
また、図9(B)は、上記(1)式で示される周波数特性をグラフ化したものである。
【0028】
一方、図10(A)及び図10(B)には、(1)式におけるaの値を‘1’及び‘0.5’としたときの周波数特性が各々示されている。
【0029】
同図から明らかなように、上記周波数特性は開口部の開口面積によって大きく変化し、開口面積が大きいほどDC成分(直流成分)は大きくなり、また、ローパス効果も大きくなることが分かる。すなわち、開口部の開口面積が大きい主画素ではローパス効果が大きく、開口部の開口面積が小さい副画素ではローパス効果が小さい、と言える。
【0030】
一方、合焦制御は、撮像素子によって取得された画像信号の高周波成分に依存して行われるものが多いことは前述した通りである。
【0031】
そこで、本発明では、合焦制御を行う場合には、第1受光素子に比較して開口面積が小さく、ローパス効果の小さい、換言すればハイカット効果が小さく、高周波成分が残りやすい第2受光素子によって取得された第2画像信号を用いるようにしており、これによって合焦制御を高精度に行えるようにしている。
【0032】
また、本発明では、OLPFを光路上に挿抜する技術のように機械的な動作を要しないので、高速かつ低コストに合焦制御を行える。
【0033】
このように、請求項1に記載の撮像装置によれば、撮像素子によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得すると共に、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成するに際し、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる。
【0034】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1画像信号に基づいて露出制御を行う露出制御手段をさらに含んでいる。
【0035】
本発明によれば、合焦制御手段と露出制御手段とで、制御に用いる画像信号を異なるものとしているので、合焦制御及び露出制御の処理を並行して同時に行うことができる。この結果、合焦制御及び露出制御にかかる総合的な時間が短縮され、撮影の処理が高速化できる。
【0036】
ところで、撮像装置には、撮像素子による撮像の感度(所謂、ISO感度)を設定することのできるものが多数あり、当該感度は、被写体からの光量が充分な状態(例えば、撮影場所が屋外の場合等。)での撮影時には低感度に設定され、被写体からの光量が少ない状態(例えば、撮影場所が暗い室内の場合や、被写体が夜景である場合等。)での撮影時には高感度に設定される。換言すれば、設定された感度の値が大きいほど被写体からの光量が少ないものと見なすことができる。
【0037】
この点に着目し、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記撮像素子による撮像の感度を示す感度情報を入力するための感度入力手段をさらに含み、前記合焦制御手段は、前記感度入力手段で入力された前記感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、前記第1画像信号に基づいて前記合焦制御を行うものである。
【0038】
本発明によれば、感度入力手段により撮像素子による撮像の感度を示す感度情報が入力され、合焦制御手段により、感度入力手段で入力された感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、本発明の第1画像信号に基づいて合焦制御が行われる。
【0039】
すなわち、上述したように、感度情報により示される感度の値が大きいほど被写体からの光量が少ないものと見なすことができるので、当該感度の値が大きいほど第1画像信号及び第2画像信号の信号レベルが共に小さくなると考えられる。
【0040】
一方、上記感度の値が大きく、被写体からの光量が少ない場合には、高感度側である第1画像信号でも信号レベルが飽和する可能性は低いため、十分に被写体像を表現することができる。これに対し、第2画像信号の信号レベルは第1画像信号より低く、第2画像信号のS/N比(Signal to Noise Ratio)は第1画像信号より小さいため、この場合の第2画像信号は、殆どノイズに埋もれてしまう可能性が高い。
【0041】
よって、本発明の感度の値が所定値を超える場合には、ノイズに埋もれてしまう可能性の高い第2画像信号に基づいて合焦制御を行うよりも、本発明のように、S/N比の大きな第1画像信号に基づいて合焦制御を行う方が、より高精度な合焦制御を行うことができる。
【0042】
なお、本発明における上記所定値は、当該値を感度の値が超えたときに、第2画像信号がノイズに埋もれてしまう可能性の高い値や、第1画像信号を用いても高精度な合焦制御が行えると見なすことのできる値として、本発明の撮像装置を用いた実機による実験や、当該撮像装置の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用することができる。また、当該撮像装置のユーザの好みや合焦制御に要求される精度等に応じて、任意に設定する形態とすることもできる。
【0043】
一方、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、を含む撮像装置の撮像方法であって、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うものである。
【0044】
したがって、請求項4に記載の撮像方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0046】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成を説明する。同図に示されるように、このデジタルカメラ10には、光学レンズ12と、光学レンズ12を通過する光量を調整する絞り14と、光の通過時間を調整するシャッタ16と、光学レンズ12、絞り14及びシャッタ16を通過した被写体像を示す入射光に基づき、被写体を高感度及び低感度のそれぞれの受光素子により撮像して被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)3色のカラーアナログ画像信号を出力するCCD18と、が設けられている。
【0047】
CCD18には、CCD18により入力された高感度及び低感度の信号に対して所定のアナログ信号処理を施すアナログ信号処理部20と、アナログ信号処理部20から入力された高感度及び低感度のアナログ信号をそれぞれデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「A/D変換器」という。)22と、が順に接続されている。なお、A/D変換器22から出力された高感度のデジタルデータ(以下、「高感度データ」という。)が本発明の「第1画像信号」に相当するものであり、低感度のデジタルデータ(以下、「低感度データ」という。)が本発明の「第2画像信号」に相当するものである。
【0048】
また、デジタルカメラ10には、光学レンズ12を駆動するための駆動部24と、絞り14を駆動するための駆動部26と、シャッタ16を駆動するための駆動部28と、CCD18に対する撮影時のタイミング制御を行うCCD制御部30と、シャッタスイッチ等の各種操作スイッチにより構成されたカメラ操作部84と、が設けられている。
【0049】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、カメラ操作部84の操作により、CCD18による撮像の感度(以下、「ISO感度」という。)を設定することができる。
【0050】
A/D変換器22から出力された高感度データ及び低感度データ(R、G、B信号のデジタルデータ)は、制御回路60(詳細は後述)に入力されると共に、デジタル信号処理回路34に入力される。
【0051】
デジタル信号処理回路34は、高感度データ側のホワイトバランスを調整する高感度側WB(ホワイトバランス)調整処理回路72と、低感度データ側のホワイトバランスを調整する低感度側WB調整処理回路74と、高感度側WB調整処理回路72に接続されると共に高感度データ側のガンマ補正処理を行う高感度側γ処理回路76と、低感度側WB調整処理回路74に接続されると共に低感度データ側のガンマ補正処理を行う低感度側γ処理回路78と、合成処理回路80と、メモリ48と、記録制御部50と、表示制御部52と、を含んで構成されている。
【0052】
なお、CCD18が本発明の撮像素子に、合成処理回路80が本発明の合成手段に、カメラ操作部84が本発明の感度入力手段に、各々相当する。
【0053】
高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74は、各々、入力されたR、G、Bの各画像データ(高感度データ又は低感度データ)の各々にゲインを乗算して増減するための3つの乗算器(図示省略)を含んで構成されており、R、G、Bの各画像データは、各乗算器にそれぞれ入力される。更に、乗算器には、ホワイトバランスを制御するためのゲイン値Rg、Gg、Bgが制御回路60より入力され、乗算器の各々はこれら2入力を乗算する。この乗算によりホワイトバランスが調整されたR’、G’、B’の各画像データは、高感度側γ処理回路76又は低感度側γ処理回路78に出力される。
【0054】
高感度側γ処理回路76及び低感度側γ処理回路78は、入力されたホワイトバランスの調整されたR’、G’、B’の各画像データが所定のガンマ特性となるように入出力特性を変更し、また、10ビットの信号が8ビットの信号となるように変更して、合成処理回路80に出力する。
【0055】
合成処理回路80は、入力されたR’、G’、B’の高感度データ及び低感度データを色毎に次のように合成して合成データ(本発明の「合成信号」に相当。)として出力する。
【0056】
すなわち、合成処理回路80では、入力された高感度データ及び低感度データを、対数加算方式を用いて次の(2)式に示すように合成する。
【0057】
【数2】
【0058】
ここで、thは、高感度データと低感度データが1対1の割合で加算される閾値である。また、highは高感度データの値であり、lowは低感度データの値である。更に、pは、加算データ全体に対するゲイン(通常は0.8〜0.9程度の値。)であり、これによってダイナミックレンジの制御を行う。このゲインpが小さいほどダイナミックレンジは広く、大きいほどダイナミックレンジは狭くなる。具体的には、コントラストの高いシーン(真夏の晴天等)では0.8、曇りや日陰では0.86、室内蛍光灯下では0.9といったようにシーンに応じてこの値を変化させることにより、階調値を有効に使用することが可能となる。
【0059】
図2には、ゲインpによってダイナミックレンジが変化する様子が示されている。なお、ここで適用したゲインpの範囲における最小値に対応するものが破線で示されたものであり、最大値に対応するものが2点鎖線で示されたものである。同図に示すように、この場合、ゲインpの値を小さくするほどダイナミックレンジは広くなることになる。
【0060】
ここで、上記(2)式について、次の(3)式に示されるように一般化して更に説明する。
【0061】
【数3】
【0062】
上記(3)式におけるMIN(high/th,1)の部分における変化の様子を図3(A)に示す。同図に示されるように、高感度データが閾値thとなったときに高感度データと低感度データが1対1で加算されることになる。
【0063】
また、上記(3)式におけるMAX(−k×high/th+1,p)の部分において係数kを0.2とした場合の変化の様子を図3(B)に示す。
【0064】
なお、(3)式における係数kは、次の(4)式で示されるように、高感度信号の信号電荷飽和量Shと、低感度信号の信号電荷飽和量Slとによって定まる係数である。
【0065】
【数4】
【0066】
例えば、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比が4対1であった場合には、k=0.2(=1−4/(4+1))となる。
【0067】
また、(3)式におけるpは前述したように加算データ全体に対するゲインであり、可変の値であるが、この下限値pminも、次の(5)式で示されるように、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比によって定められる。
【0068】
【数5】
【0069】
予め高感度データの最大値が入力されたときに最終出力が最大値となるような系となっている場合に、高感度データと低感度データの合成データを出力する場合には、ゲイン操作が必要となる。
【0070】
つまり、高感度信号と低感度信号の飽和量分だけ信号が入力された場合に、出力値に対してpmin(<1)分だけゲインをかけて、最終出力が最大値となるように変換をする必要がある。
【0071】
例えば、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比が4対1であった場合には、pmin=0.8(=4/(4+1))となる。
【0072】
そして、コントラストが高いようなシーンではp=pminとすればよく、あまりコントラストの高くないようなシーンではpをpminよりも大きな値に設定することにより、有効に出力階調を使用することができるようになる。
【0073】
一方、デジタルカメラ10のメモリ48(図1参照)には、合成処理回路80からR’、G’、B’の各合成データが入力され、当該R’、G’、B’の各合成データを格納する。
【0074】
また、記録制御部50は、スマートメディアとして構成された記録メディア86をデジタルカメラ10に装着するための役割を有するものであり、合成処理回路80により合成されてメモリ48に格納された合成データを当該メモリ48から読み出して記録メディア86に記録する処理を行う。また、表示制御部52は、メモリ48に記憶された合成データを読み出し、当該合成データを用いた液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)82への画像表示のための処理を行う。
【0075】
上記構成に加え、デジタルカメラ10は、CPU(中央演算処理装置)62と、ROM64と、RAM66と、を備えたマイクロ・コンピュータで構成された制御回路60を備えている。
【0076】
制御回路60は、デジタルカメラ10全体の動作を制御する。また、ROM64には、CPU62で実行される後述する撮影処理プログラム等の各種処理プログラムが記憶されている。また、RAM66には、A/D変換器22から制御回路60に入力された高感度データ及び低感度データが各々互いに異なる領域に記憶される。
【0077】
なお、デジタルカメラ10では、CCD18により取得された画像データによって示される被写体像のコントラストが最大となるようにレンズの位置を設定する、所謂TTL(Through The Lens)方式により合焦制御(所謂AF制御)を行う。この場合、被写体像の高周波成分に依存してAF制御が行われる。
【0078】
また、デジタルカメラ10では、CCD18により取得された画像データによって示される被写体像の明るさに応じてシャッタースピード及び絞りの状態を設定するTTL方式により露出制御(所謂AE制御)を行う。
【0079】
ここで、本実施の形態に係るCCD18の構造について説明する。CCD18には、図4に示すようなハニカムCCDを採用することができる。
【0080】
このCCD18の撮像部は、図4に示すように、1画素の1色について1つずつ割り当てられると共に、所定の配列ピッチ(水平配列ピッチ=Ph(μm)、垂直配列ピッチ=Pv(μm))で、かつ隣接する受光素子PD1が垂直方向及び水平方向にずらされて2次元配置された複数の受光素子PD1と、この受光素子PD1の前面に形成された開口部APを迂回するように配置され、かつ受光素子PD1からの信号(電荷)を取り出して垂直方向に転送する垂直転送電極VELと、垂直方向最下に位置する垂直転送電極VELの垂直方向下側に配置され、垂直転送電極VELから転送されてきた信号を外部へ転送する水平転送電極HELと、を備えている。なお、同図に示す例では、開口部APを八角形のハニカム形状に形成している。
【0081】
ここで、水平方向に直線状に並んで配置された複数の垂直転送電極VELにより構成される垂直転送電極群には、各々垂直転送駆動信号V1、V2、・・・、V8の何れか1つを同時に印加することができるように構成されている。なお、同図に示す例では、1段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V3が、2段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V4が、3段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V5が、4段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V6が、5段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V7が、6段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V8が、7段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V1が、8段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V2が、各々印加できるように構成されている。
【0082】
一方、各受光素子PD1は隣接する1つの垂直転送電極VELに対し転送ゲートTGを介して電気的に接続されるように構成されている。同図に示す例では、各受光素子PD1が右下に隣接する垂直転送電極VELに転送ゲートTGを介して接続されるように構成されている。
【0083】
なお、同図において‘R’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは赤色の光を透過する色分離フィルタ(カラーフィルタ)で覆われており、‘G’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは緑色の光を透過する色分離フィルタで覆われており、‘B’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは青色の光を透過する色分離フィルタで覆われている。すなわち、‘R’が記入された受光素子PD1は赤色光を、‘G’が記入された受光素子PD1は緑色光を、‘B’が記入された受光素子PD1は青色光を、各々受光し、受光した光量に応じたアナログ信号を各々出力する。
【0084】
CCD18は、更に、上述の受光素子PD1に比較して低感度な受光素子PD2を備えている。受光素子PD2は図4に示される如く、複数の受光素子PD1間に設けられている。この受光素子PD2も受光素子PD1と同様に、その前面に受光素子PD1の開口部より面積が小さい開口部APが形成され、隣接する1つの垂直転送電極VELに対して転送ゲートTGにより電気的に接続されている。また、この受光素子PD2には、その前面に形成された開口部APに、受光素子PD1と同様にR、G、B何れかのカラーフィルタが装着されている。このように、受光素子PD2の受光面積(開口部APの開口面積)を受光素子PD1の受光面積より小さくしているので、受光素子PD1に比較して低感度なR、G、B信号が得られる。
【0085】
なお、受光素子PD2の転送ゲートTGが接続される電極は、隣接する受光素子PD1の転送ゲートTGが接続される電極とは異なるように設けられている。また、本実施の形態においては、先に受光素子PD1の電荷を読み出してから受光素子PD2の電荷を読み出すようにしている。
【0086】
以下、このような構成のデジタルカメラ10の撮影時における作用を説明する。
【0087】
まず、光学レンズ12、絞り14、及びシャッタ16を通過した被写体像を示す入射光は、CCD18の感度の異なる受光素子PD1及びPD2の双方により受光され、被写体像を示すアナログ画像信号としてアナログ信号処理部20に出力される。
【0088】
アナログ信号処理部20は、CCD18から入力された高感度及び低感度の双方のアナログ画像信号に対して所定のアナログ信号処理を施す。これらのアナログ画像信号は、A/D変換器22により各々高感度データ及び低感度データに変換される。A/D変換器22から出力された高感度データ及び低感度データは、デジタル信号処理回路34及び制御回路60に入力される。
【0089】
制御回路60では、A/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データがRAM66に記憶されると共に、当該高感度データ及び低感度データに基づいて高感度データ及び低感度データの各々のホワイトバランスを制御するためのゲイン値Rg、Gg、Bgが導出され、対応する高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74に出力される。
【0090】
一方、デジタル信号処理回路34に入力された高感度データ及び低感度データは、高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74により、制御回路60から入力されたゲイン値を用いてホワイトバランス調整が行われ、更に高感度側γ処理回路76及び低感度側γ処理回路78によりそれぞれガンマ補正処理が行われて合成処理回路80に出力される。そして、合成処理回路80では、入力された高感度データ及び低感度データが対数加算方式を用いて前述のように合成され、これによって得られた合成データがメモリ48に格納される。
【0091】
また、表示制御部52は、メモリ48に記憶された各種処理後の合成データを用いたLCD82への画像表示のための処理を実行する。
【0092】
ここで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、ユーザが被写体を撮影するためにカメラ操作部84のシャッタスイッチを半押しすると、CPU62において撮影処理プログラムが実行される。
【0093】
図5は、当該撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、同図を参照して本実施の形態に係る撮影処理について説明する。なお、本実施の形態では、ユーザによるカメラ操作部84の操作により、予めISO感度が設定されているものとして説明する。
【0094】
まず、ステップ102では、光学レンズ12に含まれるフォーカスレンズを一端部へ移動させ、次のステップ104では、ユーザにより予め設定されているISO感度情報を取込み、その後にステップ106に移行して、ISO感度が所定値(本実施の形態では、400)以下であるか否かを判定する。
【0095】
そして、ステップ106で肯定判定の場合は、被写体の明るさが低感度データを用いて合焦制御を行うのに充分であり、低感度データに基づいて合焦制御を行うものと判断して、ステップ108に移行する。
【0096】
ステップ108では、フォーカスレンズの他端部への所定速度での移動を開始させ、次のステップ109では、高感度データ及び低感度データをRAM66のそれぞれ異なる領域から読出す。
【0097】
次のステップ110では、読出した低感度データに基づいて被写体像の所定領域におけるAF評価値(本実施の形態では、コントラスト値)を導出すると共に、読出した高感度データに基づいて被写体像の所定領域における分割測光データを取得する。
【0098】
次のステップ112では、取得した分割測光データに基づいて被写体の明るさに応じた露出情報(シャッタ16によるシャッタースピード及び絞り14の状態)を導出し、次のステップ114では、導出したAF評価値及び露出情報を、この時点でCPU62により把握されているフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けてRAM66の所定領域に記憶する。
【0099】
次のステップ116では、フォーカスレンズが他端部まで移動したか否かを判定し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ109に戻って再びステップ109〜ステップ114の処理を実行し、当該判定が肯定判定となった時点でステップ118に移行する。
【0100】
以上のステップ109〜ステップ116の繰り返し処理により、フォーカスレンズによるフォーカシング範囲内の一端部から他端部にかけての所定区間毎のAF評価値及び露出情報が、対応するフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶されることになる。
【0101】
そこで、ステップ118では、フォーカスレンズの移動を停止し、次のステップ120で、RAM66に記憶された最大値を示すAF評価値と関連付けられた位置情報によって示されるフォーカスレンズの位置を合焦位置として決定する。
【0102】
次のステップ122では、フォーカスレンズを上記合焦位置に移動し、その後にステップ124に移行して、当該合焦位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶された露出情報によって示されるシャッタースピード及び絞りの状態を合焦位置に対応する露出状態として設定し、その後にステップ146に移行する。
【0103】
このように、低感度データに基づいて合焦制御を行う場合、合焦制御と露出制御とで異なる領域に記憶された画像データに基づいて処理を行うため、高感度データ及び低感度データを同時に読み出すことができ、合焦制御と露出制御の2つの処理を並行して、見かけ上、同時に行うことができる。よって、撮影処理にかかる時間を短縮することができる。
【0104】
一方、ステップ106で否定判定された場合は、低感度データの信号レベルがノイズに埋もれてしまっている可能性が高く、高感度データに基づいて合焦制御を行う方が高精度な制御が行えるものと判断して、ステップ126に移行する。
【0105】
ステップ126では、フォーカスレンズの他端部への所定速度での移動を開始し、その後にステップ127に移行して、高感度データをRAM66から読み出す。そして、次のステップ128では、読出した高感度データに基づいて被写体像の所定領域におけるAF評価値(ここでは、コントラスト値)を導出する。
【0106】
次のステップ130では、導出したAF評価値を、この時点でCPU62により把握されているフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けてRAM66の所定領域に記憶し、その後にステップ132に移行してフォーカスレンズが他端部まで移動したか否かを判定し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ127に戻って上記ステップ127〜ステップ130を再び実行し、当該判定が肯定判定となった時点でステップ134に移行する。
【0107】
以上のステップ127〜ステップ132の繰り返し処理により、フォーカスレンズによるフォーカシング範囲内の一端部から他端部にかけての所定区間毎のAF評価値が、対応するフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶されることになる。
【0108】
そこで、ステップ134では、フォーカスレンズの移動を停止し、その後にステップ136で、RAM66に記憶された最大値を示すAF評価値と関連付けられた位置情報によって示されるフォーカスレンズの位置を合焦位置として決定する。
【0109】
次のステップ138では、フォーカスレンズを合焦位置に移動し、その後にステップ139に移行して、RAM66から高感度データを再び読出す。
【0110】
次のステップ140では、読み出した高感度データに基づいて所定領域の分割測光データを取得し、その後にステップ142に移行して、取得した分割測光データに基づいて上記ステップ112と同様に露出情報を導出し、次のステップ144では、導出した露出情報によって示されるシャッタースピード及び絞りの状態を露出状態として設定し、その後ステップ146に移行する。
【0111】
ステップ146では、シャッタスイッチが半押し状態から全押し状態に移行されたか否かを判定し、当該判定が否定判定である場合はステップ148に移行して、シャッタスイッチがオフ状態とされたか否かを判定する。当該判定が肯定判定の場合は、撮影処理が中止されたと判断して本撮影処理を終了し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ146に戻る。
【0112】
一方、ステップ146で肯定判定された場合にはステップ150に移行し、記録制御部50に対して、この時点でメモリ48に記憶されている合成データを記録メディア86へ記憶させることにより撮影を行い、本撮影処理を終了する。
【0113】
このように、本実施の形態に係る撮影処理では、被写体像を示す入射光の光量が充分である場合には、低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行い、被写体像を示す入射光の光量が少ない場合には、高感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御が行われる。よって、高周波成分をより多く含む画像データを用いて合焦制御が行われるので、合焦制御を高精度に行うことができる。
【0114】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10によれば、CCD18によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部APを介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた高感度データを取得すると共に、被写体からの光を第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部APを介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた低感度データを取得し、高感度データと低感度データとを合成して合成信号を生成するに際し、低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる。
【0115】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、高感度データに基づいて露出制御を行うようにしており、合焦制御と露出制御とで、制御に用いる画像データを異なるものとしているので、合焦制御及び露出制御の処理を並行して同時に行うことができる。この結果、合焦制御及び露出制御にかかる総合的な時間が短縮され、撮影の処理が高速化できる。
【0116】
さらに、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、ISO感度を示す感度情報をカメラ操作部84により入力し、入力した感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、高感度データに基づいて合焦制御を行うようにしているので、低感度データがノイズに埋もれてしまうような低輝度での撮影時においても高精度に合焦制御を行うことができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、撮影処理において、ユーザにより予め設定されたISO感度が400を超えているか否かを判断することによって、高感度データに基づいて合焦制御を行うか低感度データに基づいて合焦制御を行うかを判断する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、デジタルカメラ10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーションや実機による実験等により予め得られた、低感度データがノイズに埋もれてしまう可能性の高いISO感度や、高感度データを用いても高精度な合焦制御が行えると見なすことのできるISO感度を用いて判断する形態とすることもできる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、合成前にホワイトバランス調整及びガンマ補正を高感度データ及び低感度データのそれぞれに対して行い、その後に対数加算方式により合成処理する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、合成処理回路によってA/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データを、ホワイトバランス調整やガンマ補正を行う前に合成する形態とすることもできる。
【0119】
図6は、この形態に係るデジタル信号処理部34Bの構成を示している。デジタル信号処理回路34Bは、合成手段としての合成処理回路40と、Knee処理回路42と、ホワイトバランス(WB)調整回路44と、ガンマ処理回路46と、メモリ48と、記録制御部50と、表示制御部52と、を含んで構成されている。
【0120】
図6の構成によれば、合成処理回路40では、A/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データを、真数加算方式を用いて次の(6)式に示すように合成する。
【0121】
【数6】
【0122】
ここで、Sは、高感度信号と低感度信号の比(感度比)を示すものであり、その値は1以上となる。thは、画像形成において合成データdataの合成開始レベルを示す閾値である。また、highは、高感度データの値であり、whは、高感度データの重みを示す値である。lowは、低感度データの値であり、wlは、低感度データの重みを示す値である。なお、上記(6)式を簡略化するために、本実施の形態では、重みwhと重みwlの合計値を1とするものとされている。
【0123】
なお、上記閾値thは、高感度データにより示される階調値が当該値未満であれば当該高感度データにより示される被写体像に白とびが発生しないと見なすことのできる値として、実際のCCD18を用いた実験や、CCD18の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値等を適用する。
【0124】
図7は、このとき、合成処理回路40によって、被写体からの光を受光して得られた高感度データと、その高感度データに低感度データを上述のように合成して得られた合成データとの関係を示した図である。図中の細線が合成前の高感度データであり、太線が合成処理により得られた合成データである。また、被写体輝度において、X1は合成処理を行わない場合に表現可能な被写体輝度の最大値を示しており、X2は合成後に表現可能となった被写体輝度の最大値を示している。この場合の撮影対象である被写体の輝度X2はX1のレベルより高い。なお、本図は、R、G、B何れか1色についてのデータを示している。
【0125】
図から明らかなように、上述した合成処理により表現可能な被写体輝度のレベルはX1からX2まで拡大されている。このため、被写体がX1のレベルより高い輝度を有する場合には、合成処理を施すことにより好適にダイナミックレンジが拡大され、表現可能な領域を拡大することができる。
【0126】
合成処理回路40により得られた合成データはKnee処理回路42に出力され、Knee処理回路42での予め設定されたKnee特性に応じた処理後、WB調整処理回路44及びガンマ処理回路46で所定の処理が行われた後、メモリ48の所定領域に記憶される。
【0127】
そして、表示制御部52は、メモリ48に記憶された各種処理後の合成データを用いたLCD82への画像表示のための処理を実行する。また、記録制御部50は、カメラ操作部84のシャッタスイッチが全押しされたときに制御回路60から入力された指示信号に応じて、メモリ48に記憶された合成データの記録メディア86への記録を行う。これによって撮影がなされる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0128】
また、本実施の形態では、高感度の受光素子PD1と低感度の受光素子PD2の各々を設け、高感度信号及び低感度信号を得る例について説明したが、図8に示されるように、1つの受光素子PDの受光領域をチャネルストッパ94により高感度の受光を行う受光面積が広い高感度受光領域92と低感度の受光を行う受光面積が狭い低感度受光領域90とに分割し、それぞれの領域により高感度信号及び低感度信号が得られるような構成としてもよい。なお、受光素子PDにはチャネルストッパ94が設けられているため、高感度で受光された信号と低感度で受光された信号とが混合されずに、双方の信号を別々に受光することができる。
【0129】
また、本実施の形態で説明した撮影処理プログラム(図5参照)の処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0130】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成(図1参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0131】
更に、本発明は上記デジタルカメラに限られるものではなく、様々な撮像装置に適用可能である。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撮像装置及び撮像方法によれば、撮像素子によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得すると共に、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成するに際し、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る(2)式において、ゲインpによりダイナミックレンジが変化する様子を示す光量対合成データ(最終画像8bitQL)のグラフである。
【図3】実施の形態に係る(2)式の説明に供するグラフである。
【図4】実施の形態に係るデジタルカメラで適用されているCCDの構成を示す概略図である。
【図5】実施の形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】デジタル信号処理回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】合成前の高感度データと、合成処理されて得られた合成データとの関係を示すグラフである。
【図8】高感度と低感度の信号の双方を受光することができる受光素子が設けられたCCDの構成を示す概略図である。
【図9】(A)は受光素子による受光領域の実空間での特性を示すグラフであり、(B)は(1)式で示される周波数特性を示すグラフである。
【図10】(1)式による周波数特性を示すグラフであり、(A)はaの値を‘1’としたときのグラフで、(B)はaの値を‘0.5’としたときのグラフである。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
18 CCD(撮像素子)
62 CPU(合焦制御手段、露出制御手段)
80 合成処理回路(合成手段)
84 カメラ操作部(感度入力手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に係り、特に、感度の異なる画像信号を取得することができる撮像素子を備えるとともに、当該撮像素子によって得られた画像信号に基づいて合焦制御を行う撮像装置と、当該撮像装置による撮像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の撮像素子の高解像度化に伴い、デジタルカメラの需要が急増している。
【0003】
ところで、現在広く普及しているデジタルカメラ等の撮像装置における撮像素子のダイナミックレンジは、写真フィルムに比べると一般的に狭い。このため、高輝度の被写体を撮影する場合には、受光量がダイナミックレンジを超え、撮像素子の出力信号が飽和してしまい、被写体の情報が欠落してしまう場合があった。
【0004】
このような問題を解決するため、従来、マスクを用いて、1つの画像中で部分毎に高感度の画像を低感度の画像に置き換えて合成画像を生成することにより、ダイナミックレンジの拡大を図る技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、この技術では、画像の各画素について着目すると、高感度の画像信号と低感度の画像信号の何れか一方のみを用いているので、必ずしもダイナミックレンジを有効に拡大できるとは限らない、という問題点があった。
【0006】
そこで、この問題点を解決するために、画像の各画素毎に高感度の画像信号と低感度の画像信号とを合成して用いる技術が考えられる。
【0007】
撮像装置における合焦制御(所謂AF(Auto Focus)制御)は、撮像素子によって取得された画像信号の高周波成分に依存して行われるものが多く、上記画像の各画素毎に感度の異なる画像信号を合成する技術によるダイナミックレンジの拡大により、当該合焦制御がより高精度に行えることも考えられる。
【0008】
一方、色の偽信号を無くすために画像の必要以上の高周波成分をカットする光学的ローパスフィルタ(以下、「OLPF」という。)が備えられた撮像装置において、合焦制御を行う場合にOLPFを撮像素子への入射光の光路上から退避させる技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
この技術によれば、合焦制御時にはOLPFにより画像信号の高周波成分がカットされないので、合焦制御を高精度に行うことができる。
【0010】
そこで、この技術を上述した画像の各画素毎に高感度の画像信号と低感度の画像信号とを合成して用いる技術に適用することが考えられる。
【0011】
この技術によれば、合焦制御時にOLPFを退避させない場合に比較して、高精度な合焦制御が実現できると考えられる。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−307963公報
【特許文献2】
特開平5−257087号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術では、合焦制御時と撮影時との間でOLPFの光路上への挿抜を機械的に切換える必要があるため、高速な処理を行うことができない、高コストとなる、といった問題点が生じると考えられる。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことのできる撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行う合焦制御手段と、を含んで構成されている。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、撮像素子により、被写体からの光が複数の第1受光素子によって第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光され、受光された光量に応じた第1画像信号が取得されると共に、前記被写体からの光が複数の第2受光素子によって前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光され、受光された光量に応じた第2画像信号が取得される。これにより、感度の異なる画像信号を取得することができる。
【0017】
なお、上記撮像素子には、CCD、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子を含めることができる。
【0018】
また、本発明では、第1画像信号と第2画像信号とが合成手段により合成されて合成信号が生成される。このように、本発明では、感度の異なる画像信号を合成しているので、例えば、マスクを用いて、1つの画像中で部分毎に高感度の画像を低感度の画像に置き換える技術を適用して合成するよりも有効にダイナミックレンジを拡大できる。
【0019】
なお、上記合成手段により合成される第1画像信号及び第2画像信号は、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0020】
ここで、本発明では、合焦制御手段により、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御が行われる。
【0021】
ここで、本発明の原理について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
上記のように、本発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介することにより第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介することにより第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子により撮像を行うものとされている。
【0023】
ここで、本発明の発明者は、上記第1受光素子に対応する画素(以下、「主画素」という。)と上記第2受光素子に対応する画素(以下、「副画素」という。)の開口部の開口面積が異なることによる周波数特性の変化について解析を行った。なお、ここでは、受光素子による受光領域が矩形状であるものと仮定した。
【0024】
この場合、受光素子による受光領域の実空間での特性は図9(A)に示されるようになる。なお、同図においてaは開口部の幅に対応するものであり、tは時間を、p(t)は時間の関数を各々示す。
【0025】
ここで、当該実空間の特性を周波数空間での特性に変換した場合、当該周波数特性は、次の(1)式に示すようにSinc関数で表わされる。
【0026】
【数1】
【0027】
また、図9(B)は、上記(1)式で示される周波数特性をグラフ化したものである。
【0028】
一方、図10(A)及び図10(B)には、(1)式におけるaの値を‘1’及び‘0.5’としたときの周波数特性が各々示されている。
【0029】
同図から明らかなように、上記周波数特性は開口部の開口面積によって大きく変化し、開口面積が大きいほどDC成分(直流成分)は大きくなり、また、ローパス効果も大きくなることが分かる。すなわち、開口部の開口面積が大きい主画素ではローパス効果が大きく、開口部の開口面積が小さい副画素ではローパス効果が小さい、と言える。
【0030】
一方、合焦制御は、撮像素子によって取得された画像信号の高周波成分に依存して行われるものが多いことは前述した通りである。
【0031】
そこで、本発明では、合焦制御を行う場合には、第1受光素子に比較して開口面積が小さく、ローパス効果の小さい、換言すればハイカット効果が小さく、高周波成分が残りやすい第2受光素子によって取得された第2画像信号を用いるようにしており、これによって合焦制御を高精度に行えるようにしている。
【0032】
また、本発明では、OLPFを光路上に挿抜する技術のように機械的な動作を要しないので、高速かつ低コストに合焦制御を行える。
【0033】
このように、請求項1に記載の撮像装置によれば、撮像素子によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得すると共に、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成するに際し、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる。
【0034】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1画像信号に基づいて露出制御を行う露出制御手段をさらに含んでいる。
【0035】
本発明によれば、合焦制御手段と露出制御手段とで、制御に用いる画像信号を異なるものとしているので、合焦制御及び露出制御の処理を並行して同時に行うことができる。この結果、合焦制御及び露出制御にかかる総合的な時間が短縮され、撮影の処理が高速化できる。
【0036】
ところで、撮像装置には、撮像素子による撮像の感度(所謂、ISO感度)を設定することのできるものが多数あり、当該感度は、被写体からの光量が充分な状態(例えば、撮影場所が屋外の場合等。)での撮影時には低感度に設定され、被写体からの光量が少ない状態(例えば、撮影場所が暗い室内の場合や、被写体が夜景である場合等。)での撮影時には高感度に設定される。換言すれば、設定された感度の値が大きいほど被写体からの光量が少ないものと見なすことができる。
【0037】
この点に着目し、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記撮像素子による撮像の感度を示す感度情報を入力するための感度入力手段をさらに含み、前記合焦制御手段は、前記感度入力手段で入力された前記感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、前記第1画像信号に基づいて前記合焦制御を行うものである。
【0038】
本発明によれば、感度入力手段により撮像素子による撮像の感度を示す感度情報が入力され、合焦制御手段により、感度入力手段で入力された感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、本発明の第1画像信号に基づいて合焦制御が行われる。
【0039】
すなわち、上述したように、感度情報により示される感度の値が大きいほど被写体からの光量が少ないものと見なすことができるので、当該感度の値が大きいほど第1画像信号及び第2画像信号の信号レベルが共に小さくなると考えられる。
【0040】
一方、上記感度の値が大きく、被写体からの光量が少ない場合には、高感度側である第1画像信号でも信号レベルが飽和する可能性は低いため、十分に被写体像を表現することができる。これに対し、第2画像信号の信号レベルは第1画像信号より低く、第2画像信号のS/N比(Signal to Noise Ratio)は第1画像信号より小さいため、この場合の第2画像信号は、殆どノイズに埋もれてしまう可能性が高い。
【0041】
よって、本発明の感度の値が所定値を超える場合には、ノイズに埋もれてしまう可能性の高い第2画像信号に基づいて合焦制御を行うよりも、本発明のように、S/N比の大きな第1画像信号に基づいて合焦制御を行う方が、より高精度な合焦制御を行うことができる。
【0042】
なお、本発明における上記所定値は、当該値を感度の値が超えたときに、第2画像信号がノイズに埋もれてしまう可能性の高い値や、第1画像信号を用いても高精度な合焦制御が行えると見なすことのできる値として、本発明の撮像装置を用いた実機による実験や、当該撮像装置の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用することができる。また、当該撮像装置のユーザの好みや合焦制御に要求される精度等に応じて、任意に設定する形態とすることもできる。
【0043】
一方、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、を含む撮像装置の撮像方法であって、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うものである。
【0044】
したがって、請求項4に記載の撮像方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0046】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成を説明する。同図に示されるように、このデジタルカメラ10には、光学レンズ12と、光学レンズ12を通過する光量を調整する絞り14と、光の通過時間を調整するシャッタ16と、光学レンズ12、絞り14及びシャッタ16を通過した被写体像を示す入射光に基づき、被写体を高感度及び低感度のそれぞれの受光素子により撮像して被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)3色のカラーアナログ画像信号を出力するCCD18と、が設けられている。
【0047】
CCD18には、CCD18により入力された高感度及び低感度の信号に対して所定のアナログ信号処理を施すアナログ信号処理部20と、アナログ信号処理部20から入力された高感度及び低感度のアナログ信号をそれぞれデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「A/D変換器」という。)22と、が順に接続されている。なお、A/D変換器22から出力された高感度のデジタルデータ(以下、「高感度データ」という。)が本発明の「第1画像信号」に相当するものであり、低感度のデジタルデータ(以下、「低感度データ」という。)が本発明の「第2画像信号」に相当するものである。
【0048】
また、デジタルカメラ10には、光学レンズ12を駆動するための駆動部24と、絞り14を駆動するための駆動部26と、シャッタ16を駆動するための駆動部28と、CCD18に対する撮影時のタイミング制御を行うCCD制御部30と、シャッタスイッチ等の各種操作スイッチにより構成されたカメラ操作部84と、が設けられている。
【0049】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、カメラ操作部84の操作により、CCD18による撮像の感度(以下、「ISO感度」という。)を設定することができる。
【0050】
A/D変換器22から出力された高感度データ及び低感度データ(R、G、B信号のデジタルデータ)は、制御回路60(詳細は後述)に入力されると共に、デジタル信号処理回路34に入力される。
【0051】
デジタル信号処理回路34は、高感度データ側のホワイトバランスを調整する高感度側WB(ホワイトバランス)調整処理回路72と、低感度データ側のホワイトバランスを調整する低感度側WB調整処理回路74と、高感度側WB調整処理回路72に接続されると共に高感度データ側のガンマ補正処理を行う高感度側γ処理回路76と、低感度側WB調整処理回路74に接続されると共に低感度データ側のガンマ補正処理を行う低感度側γ処理回路78と、合成処理回路80と、メモリ48と、記録制御部50と、表示制御部52と、を含んで構成されている。
【0052】
なお、CCD18が本発明の撮像素子に、合成処理回路80が本発明の合成手段に、カメラ操作部84が本発明の感度入力手段に、各々相当する。
【0053】
高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74は、各々、入力されたR、G、Bの各画像データ(高感度データ又は低感度データ)の各々にゲインを乗算して増減するための3つの乗算器(図示省略)を含んで構成されており、R、G、Bの各画像データは、各乗算器にそれぞれ入力される。更に、乗算器には、ホワイトバランスを制御するためのゲイン値Rg、Gg、Bgが制御回路60より入力され、乗算器の各々はこれら2入力を乗算する。この乗算によりホワイトバランスが調整されたR’、G’、B’の各画像データは、高感度側γ処理回路76又は低感度側γ処理回路78に出力される。
【0054】
高感度側γ処理回路76及び低感度側γ処理回路78は、入力されたホワイトバランスの調整されたR’、G’、B’の各画像データが所定のガンマ特性となるように入出力特性を変更し、また、10ビットの信号が8ビットの信号となるように変更して、合成処理回路80に出力する。
【0055】
合成処理回路80は、入力されたR’、G’、B’の高感度データ及び低感度データを色毎に次のように合成して合成データ(本発明の「合成信号」に相当。)として出力する。
【0056】
すなわち、合成処理回路80では、入力された高感度データ及び低感度データを、対数加算方式を用いて次の(2)式に示すように合成する。
【0057】
【数2】
【0058】
ここで、thは、高感度データと低感度データが1対1の割合で加算される閾値である。また、highは高感度データの値であり、lowは低感度データの値である。更に、pは、加算データ全体に対するゲイン(通常は0.8〜0.9程度の値。)であり、これによってダイナミックレンジの制御を行う。このゲインpが小さいほどダイナミックレンジは広く、大きいほどダイナミックレンジは狭くなる。具体的には、コントラストの高いシーン(真夏の晴天等)では0.8、曇りや日陰では0.86、室内蛍光灯下では0.9といったようにシーンに応じてこの値を変化させることにより、階調値を有効に使用することが可能となる。
【0059】
図2には、ゲインpによってダイナミックレンジが変化する様子が示されている。なお、ここで適用したゲインpの範囲における最小値に対応するものが破線で示されたものであり、最大値に対応するものが2点鎖線で示されたものである。同図に示すように、この場合、ゲインpの値を小さくするほどダイナミックレンジは広くなることになる。
【0060】
ここで、上記(2)式について、次の(3)式に示されるように一般化して更に説明する。
【0061】
【数3】
【0062】
上記(3)式におけるMIN(high/th,1)の部分における変化の様子を図3(A)に示す。同図に示されるように、高感度データが閾値thとなったときに高感度データと低感度データが1対1で加算されることになる。
【0063】
また、上記(3)式におけるMAX(−k×high/th+1,p)の部分において係数kを0.2とした場合の変化の様子を図3(B)に示す。
【0064】
なお、(3)式における係数kは、次の(4)式で示されるように、高感度信号の信号電荷飽和量Shと、低感度信号の信号電荷飽和量Slとによって定まる係数である。
【0065】
【数4】
【0066】
例えば、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比が4対1であった場合には、k=0.2(=1−4/(4+1))となる。
【0067】
また、(3)式におけるpは前述したように加算データ全体に対するゲインであり、可変の値であるが、この下限値pminも、次の(5)式で示されるように、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比によって定められる。
【0068】
【数5】
【0069】
予め高感度データの最大値が入力されたときに最終出力が最大値となるような系となっている場合に、高感度データと低感度データの合成データを出力する場合には、ゲイン操作が必要となる。
【0070】
つまり、高感度信号と低感度信号の飽和量分だけ信号が入力された場合に、出力値に対してpmin(<1)分だけゲインをかけて、最終出力が最大値となるように変換をする必要がある。
【0071】
例えば、高感度信号と低感度信号の信号電荷飽和量の比が4対1であった場合には、pmin=0.8(=4/(4+1))となる。
【0072】
そして、コントラストが高いようなシーンではp=pminとすればよく、あまりコントラストの高くないようなシーンではpをpminよりも大きな値に設定することにより、有効に出力階調を使用することができるようになる。
【0073】
一方、デジタルカメラ10のメモリ48(図1参照)には、合成処理回路80からR’、G’、B’の各合成データが入力され、当該R’、G’、B’の各合成データを格納する。
【0074】
また、記録制御部50は、スマートメディアとして構成された記録メディア86をデジタルカメラ10に装着するための役割を有するものであり、合成処理回路80により合成されてメモリ48に格納された合成データを当該メモリ48から読み出して記録メディア86に記録する処理を行う。また、表示制御部52は、メモリ48に記憶された合成データを読み出し、当該合成データを用いた液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)82への画像表示のための処理を行う。
【0075】
上記構成に加え、デジタルカメラ10は、CPU(中央演算処理装置)62と、ROM64と、RAM66と、を備えたマイクロ・コンピュータで構成された制御回路60を備えている。
【0076】
制御回路60は、デジタルカメラ10全体の動作を制御する。また、ROM64には、CPU62で実行される後述する撮影処理プログラム等の各種処理プログラムが記憶されている。また、RAM66には、A/D変換器22から制御回路60に入力された高感度データ及び低感度データが各々互いに異なる領域に記憶される。
【0077】
なお、デジタルカメラ10では、CCD18により取得された画像データによって示される被写体像のコントラストが最大となるようにレンズの位置を設定する、所謂TTL(Through The Lens)方式により合焦制御(所謂AF制御)を行う。この場合、被写体像の高周波成分に依存してAF制御が行われる。
【0078】
また、デジタルカメラ10では、CCD18により取得された画像データによって示される被写体像の明るさに応じてシャッタースピード及び絞りの状態を設定するTTL方式により露出制御(所謂AE制御)を行う。
【0079】
ここで、本実施の形態に係るCCD18の構造について説明する。CCD18には、図4に示すようなハニカムCCDを採用することができる。
【0080】
このCCD18の撮像部は、図4に示すように、1画素の1色について1つずつ割り当てられると共に、所定の配列ピッチ(水平配列ピッチ=Ph(μm)、垂直配列ピッチ=Pv(μm))で、かつ隣接する受光素子PD1が垂直方向及び水平方向にずらされて2次元配置された複数の受光素子PD1と、この受光素子PD1の前面に形成された開口部APを迂回するように配置され、かつ受光素子PD1からの信号(電荷)を取り出して垂直方向に転送する垂直転送電極VELと、垂直方向最下に位置する垂直転送電極VELの垂直方向下側に配置され、垂直転送電極VELから転送されてきた信号を外部へ転送する水平転送電極HELと、を備えている。なお、同図に示す例では、開口部APを八角形のハニカム形状に形成している。
【0081】
ここで、水平方向に直線状に並んで配置された複数の垂直転送電極VELにより構成される垂直転送電極群には、各々垂直転送駆動信号V1、V2、・・・、V8の何れか1つを同時に印加することができるように構成されている。なお、同図に示す例では、1段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V3が、2段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V4が、3段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V5が、4段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V6が、5段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V7が、6段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V8が、7段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V1が、8段目の垂直転送電極群に対して垂直転送駆動信号V2が、各々印加できるように構成されている。
【0082】
一方、各受光素子PD1は隣接する1つの垂直転送電極VELに対し転送ゲートTGを介して電気的に接続されるように構成されている。同図に示す例では、各受光素子PD1が右下に隣接する垂直転送電極VELに転送ゲートTGを介して接続されるように構成されている。
【0083】
なお、同図において‘R’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは赤色の光を透過する色分離フィルタ(カラーフィルタ)で覆われており、‘G’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは緑色の光を透過する色分離フィルタで覆われており、‘B’が記入された受光素子PD1の前面に形成された開口部APは青色の光を透過する色分離フィルタで覆われている。すなわち、‘R’が記入された受光素子PD1は赤色光を、‘G’が記入された受光素子PD1は緑色光を、‘B’が記入された受光素子PD1は青色光を、各々受光し、受光した光量に応じたアナログ信号を各々出力する。
【0084】
CCD18は、更に、上述の受光素子PD1に比較して低感度な受光素子PD2を備えている。受光素子PD2は図4に示される如く、複数の受光素子PD1間に設けられている。この受光素子PD2も受光素子PD1と同様に、その前面に受光素子PD1の開口部より面積が小さい開口部APが形成され、隣接する1つの垂直転送電極VELに対して転送ゲートTGにより電気的に接続されている。また、この受光素子PD2には、その前面に形成された開口部APに、受光素子PD1と同様にR、G、B何れかのカラーフィルタが装着されている。このように、受光素子PD2の受光面積(開口部APの開口面積)を受光素子PD1の受光面積より小さくしているので、受光素子PD1に比較して低感度なR、G、B信号が得られる。
【0085】
なお、受光素子PD2の転送ゲートTGが接続される電極は、隣接する受光素子PD1の転送ゲートTGが接続される電極とは異なるように設けられている。また、本実施の形態においては、先に受光素子PD1の電荷を読み出してから受光素子PD2の電荷を読み出すようにしている。
【0086】
以下、このような構成のデジタルカメラ10の撮影時における作用を説明する。
【0087】
まず、光学レンズ12、絞り14、及びシャッタ16を通過した被写体像を示す入射光は、CCD18の感度の異なる受光素子PD1及びPD2の双方により受光され、被写体像を示すアナログ画像信号としてアナログ信号処理部20に出力される。
【0088】
アナログ信号処理部20は、CCD18から入力された高感度及び低感度の双方のアナログ画像信号に対して所定のアナログ信号処理を施す。これらのアナログ画像信号は、A/D変換器22により各々高感度データ及び低感度データに変換される。A/D変換器22から出力された高感度データ及び低感度データは、デジタル信号処理回路34及び制御回路60に入力される。
【0089】
制御回路60では、A/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データがRAM66に記憶されると共に、当該高感度データ及び低感度データに基づいて高感度データ及び低感度データの各々のホワイトバランスを制御するためのゲイン値Rg、Gg、Bgが導出され、対応する高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74に出力される。
【0090】
一方、デジタル信号処理回路34に入力された高感度データ及び低感度データは、高感度側WB調整処理回路72及び低感度側WB調整処理回路74により、制御回路60から入力されたゲイン値を用いてホワイトバランス調整が行われ、更に高感度側γ処理回路76及び低感度側γ処理回路78によりそれぞれガンマ補正処理が行われて合成処理回路80に出力される。そして、合成処理回路80では、入力された高感度データ及び低感度データが対数加算方式を用いて前述のように合成され、これによって得られた合成データがメモリ48に格納される。
【0091】
また、表示制御部52は、メモリ48に記憶された各種処理後の合成データを用いたLCD82への画像表示のための処理を実行する。
【0092】
ここで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、ユーザが被写体を撮影するためにカメラ操作部84のシャッタスイッチを半押しすると、CPU62において撮影処理プログラムが実行される。
【0093】
図5は、当該撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、同図を参照して本実施の形態に係る撮影処理について説明する。なお、本実施の形態では、ユーザによるカメラ操作部84の操作により、予めISO感度が設定されているものとして説明する。
【0094】
まず、ステップ102では、光学レンズ12に含まれるフォーカスレンズを一端部へ移動させ、次のステップ104では、ユーザにより予め設定されているISO感度情報を取込み、その後にステップ106に移行して、ISO感度が所定値(本実施の形態では、400)以下であるか否かを判定する。
【0095】
そして、ステップ106で肯定判定の場合は、被写体の明るさが低感度データを用いて合焦制御を行うのに充分であり、低感度データに基づいて合焦制御を行うものと判断して、ステップ108に移行する。
【0096】
ステップ108では、フォーカスレンズの他端部への所定速度での移動を開始させ、次のステップ109では、高感度データ及び低感度データをRAM66のそれぞれ異なる領域から読出す。
【0097】
次のステップ110では、読出した低感度データに基づいて被写体像の所定領域におけるAF評価値(本実施の形態では、コントラスト値)を導出すると共に、読出した高感度データに基づいて被写体像の所定領域における分割測光データを取得する。
【0098】
次のステップ112では、取得した分割測光データに基づいて被写体の明るさに応じた露出情報(シャッタ16によるシャッタースピード及び絞り14の状態)を導出し、次のステップ114では、導出したAF評価値及び露出情報を、この時点でCPU62により把握されているフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けてRAM66の所定領域に記憶する。
【0099】
次のステップ116では、フォーカスレンズが他端部まで移動したか否かを判定し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ109に戻って再びステップ109〜ステップ114の処理を実行し、当該判定が肯定判定となった時点でステップ118に移行する。
【0100】
以上のステップ109〜ステップ116の繰り返し処理により、フォーカスレンズによるフォーカシング範囲内の一端部から他端部にかけての所定区間毎のAF評価値及び露出情報が、対応するフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶されることになる。
【0101】
そこで、ステップ118では、フォーカスレンズの移動を停止し、次のステップ120で、RAM66に記憶された最大値を示すAF評価値と関連付けられた位置情報によって示されるフォーカスレンズの位置を合焦位置として決定する。
【0102】
次のステップ122では、フォーカスレンズを上記合焦位置に移動し、その後にステップ124に移行して、当該合焦位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶された露出情報によって示されるシャッタースピード及び絞りの状態を合焦位置に対応する露出状態として設定し、その後にステップ146に移行する。
【0103】
このように、低感度データに基づいて合焦制御を行う場合、合焦制御と露出制御とで異なる領域に記憶された画像データに基づいて処理を行うため、高感度データ及び低感度データを同時に読み出すことができ、合焦制御と露出制御の2つの処理を並行して、見かけ上、同時に行うことができる。よって、撮影処理にかかる時間を短縮することができる。
【0104】
一方、ステップ106で否定判定された場合は、低感度データの信号レベルがノイズに埋もれてしまっている可能性が高く、高感度データに基づいて合焦制御を行う方が高精度な制御が行えるものと判断して、ステップ126に移行する。
【0105】
ステップ126では、フォーカスレンズの他端部への所定速度での移動を開始し、その後にステップ127に移行して、高感度データをRAM66から読み出す。そして、次のステップ128では、読出した高感度データに基づいて被写体像の所定領域におけるAF評価値(ここでは、コントラスト値)を導出する。
【0106】
次のステップ130では、導出したAF評価値を、この時点でCPU62により把握されているフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けてRAM66の所定領域に記憶し、その後にステップ132に移行してフォーカスレンズが他端部まで移動したか否かを判定し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ127に戻って上記ステップ127〜ステップ130を再び実行し、当該判定が肯定判定となった時点でステップ134に移行する。
【0107】
以上のステップ127〜ステップ132の繰り返し処理により、フォーカスレンズによるフォーカシング範囲内の一端部から他端部にかけての所定区間毎のAF評価値が、対応するフォーカスレンズの位置を示す位置情報と関連付けられてRAM66に記憶されることになる。
【0108】
そこで、ステップ134では、フォーカスレンズの移動を停止し、その後にステップ136で、RAM66に記憶された最大値を示すAF評価値と関連付けられた位置情報によって示されるフォーカスレンズの位置を合焦位置として決定する。
【0109】
次のステップ138では、フォーカスレンズを合焦位置に移動し、その後にステップ139に移行して、RAM66から高感度データを再び読出す。
【0110】
次のステップ140では、読み出した高感度データに基づいて所定領域の分割測光データを取得し、その後にステップ142に移行して、取得した分割測光データに基づいて上記ステップ112と同様に露出情報を導出し、次のステップ144では、導出した露出情報によって示されるシャッタースピード及び絞りの状態を露出状態として設定し、その後ステップ146に移行する。
【0111】
ステップ146では、シャッタスイッチが半押し状態から全押し状態に移行されたか否かを判定し、当該判定が否定判定である場合はステップ148に移行して、シャッタスイッチがオフ状態とされたか否かを判定する。当該判定が肯定判定の場合は、撮影処理が中止されたと判断して本撮影処理を終了し、当該判定が否定判定の場合は上記ステップ146に戻る。
【0112】
一方、ステップ146で肯定判定された場合にはステップ150に移行し、記録制御部50に対して、この時点でメモリ48に記憶されている合成データを記録メディア86へ記憶させることにより撮影を行い、本撮影処理を終了する。
【0113】
このように、本実施の形態に係る撮影処理では、被写体像を示す入射光の光量が充分である場合には、低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行い、被写体像を示す入射光の光量が少ない場合には、高感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御が行われる。よって、高周波成分をより多く含む画像データを用いて合焦制御が行われるので、合焦制御を高精度に行うことができる。
【0114】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10によれば、CCD18によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部APを介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた高感度データを取得すると共に、被写体からの光を第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部APを介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた低感度データを取得し、高感度データと低感度データとを合成して合成信号を生成するに際し、低感度データに基づいてCCD18に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる。
【0115】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、高感度データに基づいて露出制御を行うようにしており、合焦制御と露出制御とで、制御に用いる画像データを異なるものとしているので、合焦制御及び露出制御の処理を並行して同時に行うことができる。この結果、合焦制御及び露出制御にかかる総合的な時間が短縮され、撮影の処理が高速化できる。
【0116】
さらに、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、ISO感度を示す感度情報をカメラ操作部84により入力し、入力した感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、高感度データに基づいて合焦制御を行うようにしているので、低感度データがノイズに埋もれてしまうような低輝度での撮影時においても高精度に合焦制御を行うことができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、撮影処理において、ユーザにより予め設定されたISO感度が400を超えているか否かを判断することによって、高感度データに基づいて合焦制御を行うか低感度データに基づいて合焦制御を行うかを判断する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、デジタルカメラ10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーションや実機による実験等により予め得られた、低感度データがノイズに埋もれてしまう可能性の高いISO感度や、高感度データを用いても高精度な合焦制御が行えると見なすことのできるISO感度を用いて判断する形態とすることもできる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、合成前にホワイトバランス調整及びガンマ補正を高感度データ及び低感度データのそれぞれに対して行い、その後に対数加算方式により合成処理する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、合成処理回路によってA/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データを、ホワイトバランス調整やガンマ補正を行う前に合成する形態とすることもできる。
【0119】
図6は、この形態に係るデジタル信号処理部34Bの構成を示している。デジタル信号処理回路34Bは、合成手段としての合成処理回路40と、Knee処理回路42と、ホワイトバランス(WB)調整回路44と、ガンマ処理回路46と、メモリ48と、記録制御部50と、表示制御部52と、を含んで構成されている。
【0120】
図6の構成によれば、合成処理回路40では、A/D変換器22から入力された高感度データ及び低感度データを、真数加算方式を用いて次の(6)式に示すように合成する。
【0121】
【数6】
【0122】
ここで、Sは、高感度信号と低感度信号の比(感度比)を示すものであり、その値は1以上となる。thは、画像形成において合成データdataの合成開始レベルを示す閾値である。また、highは、高感度データの値であり、whは、高感度データの重みを示す値である。lowは、低感度データの値であり、wlは、低感度データの重みを示す値である。なお、上記(6)式を簡略化するために、本実施の形態では、重みwhと重みwlの合計値を1とするものとされている。
【0123】
なお、上記閾値thは、高感度データにより示される階調値が当該値未満であれば当該高感度データにより示される被写体像に白とびが発生しないと見なすことのできる値として、実際のCCD18を用いた実験や、CCD18の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値等を適用する。
【0124】
図7は、このとき、合成処理回路40によって、被写体からの光を受光して得られた高感度データと、その高感度データに低感度データを上述のように合成して得られた合成データとの関係を示した図である。図中の細線が合成前の高感度データであり、太線が合成処理により得られた合成データである。また、被写体輝度において、X1は合成処理を行わない場合に表現可能な被写体輝度の最大値を示しており、X2は合成後に表現可能となった被写体輝度の最大値を示している。この場合の撮影対象である被写体の輝度X2はX1のレベルより高い。なお、本図は、R、G、B何れか1色についてのデータを示している。
【0125】
図から明らかなように、上述した合成処理により表現可能な被写体輝度のレベルはX1からX2まで拡大されている。このため、被写体がX1のレベルより高い輝度を有する場合には、合成処理を施すことにより好適にダイナミックレンジが拡大され、表現可能な領域を拡大することができる。
【0126】
合成処理回路40により得られた合成データはKnee処理回路42に出力され、Knee処理回路42での予め設定されたKnee特性に応じた処理後、WB調整処理回路44及びガンマ処理回路46で所定の処理が行われた後、メモリ48の所定領域に記憶される。
【0127】
そして、表示制御部52は、メモリ48に記憶された各種処理後の合成データを用いたLCD82への画像表示のための処理を実行する。また、記録制御部50は、カメラ操作部84のシャッタスイッチが全押しされたときに制御回路60から入力された指示信号に応じて、メモリ48に記憶された合成データの記録メディア86への記録を行う。これによって撮影がなされる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0128】
また、本実施の形態では、高感度の受光素子PD1と低感度の受光素子PD2の各々を設け、高感度信号及び低感度信号を得る例について説明したが、図8に示されるように、1つの受光素子PDの受光領域をチャネルストッパ94により高感度の受光を行う受光面積が広い高感度受光領域92と低感度の受光を行う受光面積が狭い低感度受光領域90とに分割し、それぞれの領域により高感度信号及び低感度信号が得られるような構成としてもよい。なお、受光素子PDにはチャネルストッパ94が設けられているため、高感度で受光された信号と低感度で受光された信号とが混合されずに、双方の信号を別々に受光することができる。
【0129】
また、本実施の形態で説明した撮影処理プログラム(図5参照)の処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0130】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成(図1参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0131】
更に、本発明は上記デジタルカメラに限られるものではなく、様々な撮像装置に適用可能である。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撮像装置及び撮像方法によれば、撮像素子によって被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得すると共に、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成するに際し、前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行うようにしているので、高精度な合焦制御を高速かつ低コストに行うことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る(2)式において、ゲインpによりダイナミックレンジが変化する様子を示す光量対合成データ(最終画像8bitQL)のグラフである。
【図3】実施の形態に係る(2)式の説明に供するグラフである。
【図4】実施の形態に係るデジタルカメラで適用されているCCDの構成を示す概略図である。
【図5】実施の形態に係る撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】デジタル信号処理回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】合成前の高感度データと、合成処理されて得られた合成データとの関係を示すグラフである。
【図8】高感度と低感度の信号の双方を受光することができる受光素子が設けられたCCDの構成を示す概略図である。
【図9】(A)は受光素子による受光領域の実空間での特性を示すグラフであり、(B)は(1)式で示される周波数特性を示すグラフである。
【図10】(1)式による周波数特性を示すグラフであり、(A)はaの値を‘1’としたときのグラフで、(B)はaの値を‘0.5’としたときのグラフである。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
18 CCD(撮像素子)
62 CPU(合焦制御手段、露出制御手段)
80 合成処理回路(合成手段)
84 カメラ操作部(感度入力手段)
Claims (4)
- 被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、
前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、
前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行う合焦制御手段と、
を含む撮像装置。 - 前記第1画像信号に基づいて露出制御を行う露出制御手段
をさらに含む請求項1に記載の撮像装置。 - 前記撮像素子による撮像の感度を示す感度情報を入力するための感度入力手段をさらに含み、
前記合焦制御手段は、前記感度入力手段で入力された前記感度情報により示される感度の値が所定値を超える場合には、前記第1画像信号に基づいて前記合焦制御を行う
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。 - 被写体からの光を第1の開口面積とされた開口部を介して第1の感度で受光し、受光した光量に応じた第1画像信号を取得する複数の第1受光素子と、前記被写体からの光を前記第1の開口面積より小さな第2の開口面積とされた開口部を介して第2の感度で受光し、受光した光量に応じた第2画像信号を取得する複数の第2受光素子とを備えた撮像素子と、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを合成して合成信号を生成する合成手段と、を含む撮像装置の撮像方法であって、
前記第2画像信号に基づいて前記撮像素子に対する合焦制御を行う
撮像方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002366822A JP2004198712A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 撮像装置及び撮像方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002366822A JP2004198712A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 撮像装置及び撮像方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004198712A true JP2004198712A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32763908
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002366822A Pending JP2004198712A (ja) | 2002-12-18 | 2002-12-18 | 撮像装置及び撮像方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004198712A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009164913A (ja) * | 2008-01-07 | 2009-07-23 | Canon Inc | 撮像システム、及び撮像システムの制御方法 |
JP2009218895A (ja) * | 2008-03-11 | 2009-09-24 | Ricoh Co Ltd | 撮像装置及び撮像方法 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002366822A patent/JP2004198712A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009164913A (ja) * | 2008-01-07 | 2009-07-23 | Canon Inc | 撮像システム、及び撮像システムの制御方法 |
JP2009218895A (ja) * | 2008-03-11 | 2009-09-24 | Ricoh Co Ltd | 撮像装置及び撮像方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI524709B (zh) | 影像擷取設備、影像擷取設備之控制方法及電子裝置 | |
TWI390971B (zh) | 成像裝置,成像處理方法及成像控制程式 | |
US8130280B2 (en) | Electronic camera | |
JP5086357B2 (ja) | 信号センサからの多重ビデオ信号の供給 | |
US7916181B2 (en) | Method and device for creating high dynamic range pictures from multiple exposures | |
US20070291161A1 (en) | Camera, aperture controlling method and apparatus, lens controlling method and apparatus, and edging amount controlling method and apparatus | |
JP4843009B2 (ja) | カメラのレンズ制御方法及び装置、並びにカメラ | |
JP2015136087A (ja) | 撮像装置および撮像方法 | |
JP4136464B2 (ja) | 撮像装置及び撮像方法 | |
EP2161938B1 (en) | Imaging apparatus, imaging method and computer readable recording medium storing programs for executing the imaging method | |
JP2010068046A (ja) | 撮像装置 | |
JP4272566B2 (ja) | 広ダイナミックレンジ固体撮像素子の色シェーディング補正方法および固体撮像装置 | |
JP4335648B2 (ja) | デジタルカメラ及びデジタルカメラの撮像方法 | |
JP2004198712A (ja) | 撮像装置及び撮像方法 | |
JP4054263B2 (ja) | 撮像装置及び撮像装置の撮影条件設定方法 | |
JP6990988B2 (ja) | 撮像装置及び撮像素子の制御方法 | |
JP2004215063A (ja) | 撮像装置及び輪郭補正方法 | |
JP4307862B2 (ja) | 信号処理方法、信号処理回路、及び撮像装置 | |
JP2007306064A (ja) | 撮像装置 | |
JP3958219B2 (ja) | 撮像装置及び輪郭補正方法 | |
JP3990230B2 (ja) | 撮像装置 | |
JP2006303755A (ja) | 撮像装置及び撮像方法 | |
JP4102201B2 (ja) | 測光装置、電子カメラ | |
JP2006279714A (ja) | 撮像装置及び撮像方法 | |
JP4027643B2 (ja) | 撮像処理装置 |