JP2004197779A - 流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造的に複雑化することなく圧力流体の脈動を抑制して、配管スペースに余裕がなくても作動機器への圧力流体配管が行える流体の脈動低減機構を提供する。
【解決手段】脈動の発生源に繋がる圧力流体供給配管において、内部に管路が形成されるブロック体3の管路出口4aに接続される前記管路出口内径dと同じ内径dの金属管5との接合部分付近の内面に、その一部の内径を大きくした膨張室6が設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】脈動の発生源に繋がる圧力流体供給配管において、内部に管路が形成されるブロック体3の管路出口4aに接続される前記管路出口内径dと同じ内径dの金属管5との接合部分付近の内面に、その一部の内径を大きくした膨張室6が設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力流体を取扱う機械装置において圧力流体が通る管路で生じる流体の脈動を低減させることができる、簡単な構成の流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧力流体を動力源として使用される作業機械にあっては、その圧力流体の発生源であるポンプから送り出される圧力流体が、操作弁などを経てアクチュエータに供給されて作動するようにされている。例えば油圧ショベルなど作業機械では、油圧ポンプを駆動して吐出される圧油を、配管を通じて油圧シリンダや油圧モータなどのアクチュエータへ供給し、これらを駆動して所要の作業を行うようにされている。
【0003】
このような油圧駆動機器にあっては、油圧ポンプから吐出される圧油に脈動が生じ、この脈動が原因となって配管などの共振を誘発して騒音を発生させる。また、共振によって油圧機器の配管や各種構成要素を損傷させる恐れもある。そのために、前記脈動を極力低減する必要がある。このような圧力流体の脈動低減を図る手段としては、例えば液圧管路の間に、密閉されたケーシングを配して、その内部で前記管路と同一の内径の内管を設けて、その内管の両端で管路に固定させて内管の外側に筒状の弾性体を配設され、その内管と弾性体との間に内管に設けた通孔によって通じる液室が設けられ、前記弾性体の外側に形成される空洞部に気体を封入した構成の脈動低減マフラーが知られている(特許文献1)。また、圧送流体の流れの途中に介在させて、圧送流体の流れ方向に沿う軸上に、第1の膨張室と共鳴室を挟んで第2の膨張室が配され、その共鳴室は軸に直交する面に沿って流路に連通するように構成された脈動低減装置が知られている(特許文献2)。あるいは、スリーブの内部で薄肉金属によるベローズの外側を弾性体で被覆充填してなる振動吸収管が知られている(特許文献3)。
【0004】
一方、例えば油圧ショベルのように油圧機器を駆動して作業機のアクチュエータなどを作動させる作業機械にあっては、旋回体後部を短くして機能性の向上を図る構成、いわゆる後部小旋回型(後方超小旋回型)が市場のニーズに対応するために生産されている。そこで、この種の油圧ショベルにあっては、油圧ポンプ周りの配管スペースの狭小化にともない、図3に例示するように、油圧ポンプ10と操作弁11を接続する油圧配管として、油圧ホース12とそれを油圧ポンプ10に接続する金属配管13を含み、その金属配管13は、L字状の管路を持つ2つのブロック14,15と、それらブロック同士を接続する金属管16と、油圧ホース12を接続するための片方のブロック15に設けられた金属管15'を含む構成とされていた。このような構成では金属配管13で油圧脈動による騒音の発生が認められなかった。図中符号17は金属配管の支持ブラケット、18は油圧ホースの支持金物、20は上部旋回体である。
【0005】
しかしながら、前記油圧配管では、金属配管13に油圧ホース12を接続するため設けられるブロック15を必要としていたので、構造簡略化のために油圧ホース12との接続側のブロック15を廃止して金属管16の端部を曲げるように形成した。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−25096号公報
【特許文献2】
特開平9−184592号公報
【特許文献3】
特開平7−332578号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように油圧ポンプ10から操作弁11への油圧配管における金属管16の構造を変更することによって、油圧脈動による騒音が発生するようになった。この構成の変更前においては騒音の発生(油圧脈動の発生)が認められなかった。その理由について考察してみるに、変更前では、油圧ポンプ10に接続される金属配管13に二つのブロック14,15を用いていることで、高剛性化されること、また二つのブロック内14,15で、発生する脈動が相互に干渉して打ち消し合うことなどが考えられる。これに対して変更後は、一つのブロック15を廃止したことで脈動を打ち消し合う機能が消去されたことに原因があると推考される。
【0008】
圧力流体の脈動は、その発生源に近い個所で抑制することが好ましい。そこで、圧送ポンプに近接した個所で圧力流体の脈動を解決する手段として、前記先行技術(特許文献1,2,3)に開示されている構成のものを採用しようとすれば、いずれも構造が複雑で、かつ構造的に嵩張るものであり、直線状に配管できるスペースに余裕のある場合には有効であると思われるが、前述のような後方超小旋回型の油圧ショベルのように、油圧ポンプの設置個所周囲における配管スペースが狭小であるために大きく制約を受ける場合には、嵩張る構造の機器を設ける余裕がない。したがって、前記先行技術による構成のものを、圧力流体の供給配管スペースが狭隘な作業装置に採用することは困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、構造的に複雑化することなく圧力流体の脈動を抑制して、配管スペースに余裕がなくても、作動機器への圧力流体配管が行える流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による流体の脈動低減機構は、
脈動の発生源に繋がる圧力流体供給配管において、内部に管路が形成される金属ブロック体の管路出口に接続される前記管路出口内径と同じ内径の金属管との接合部分付近の内面に、その一部の内径を大きくした膨張室が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、ブロック内を通じて金属管側に流れる脈動をもつ流体が、内径の大きい膨張室を通過する際に、流れに乱れが発生することにより、その流れの乱れで相互に干渉して脈動を打ち消し合うことになる。また、内径の大きな空間部で剛性が変化することにより、金属管の固有振動数が変化して共振周波数が脈動の周波数とずれて、共振による振動が抑制され、その結果、騒音の発生を抑制することができる。しかも、このような機能性を簡単な構成で得られるので、配管スペースが狭隘な場所において無理なく配管することができ、かつコストダウンを図ることができるという効果を奏するのである。
【0012】
前記発明において、前記内径を大きくした膨張室の近傍に管路の曲り部をもつ構成とされるのがよい。また、前記金属ブロック体に接続される金属管の他端部は屈曲形成されて圧力流体用ホースと接続できるように形成されているのがよい。このように構成することで、圧力流体供給ポンプの吐出部に連接する個所での脈動の発生を速やかに低減させることができ、かつポンプ近傍で狭い配管スペースを有効に利用して配管することが可能になり、例えば超小旋回型の油圧ショベルなどで無理のない配管を行うことができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明による圧力流体供給配管は、前述の流体の脈動低減機構を配設することにより、ポンプ側から伝播する脈動を低減させて下流側の機器への影響を低減し、アクチュエータなどへの圧力流体の供給の円滑化を図るのに有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本実施形態の流体の脈動低減機構を備えた油圧ショベルにおける油圧ポンプの出力部配管の一具体例を表わす斜視図が示されている。図2には、図1で表わされている流体の脈動低減機構を備えた金属配管の要部を断面で表わす正面図が示されている。
【0016】
この実施形態は、油圧ショベルにおける油圧ポンプ10から操作弁11(図3参照)への油圧配管の場合について説明する。本実施形態の脈動低減機構1は、図示されない下部走行体上に旋回機構を介して搭載される上部旋回体20上で、エンジンの出力部に接続されて設けられている油圧ポンプ10の吐出口に直結される金属配管2の内部に設けられている。
【0017】
前記脈動低減機構1を備える金属配管2は、前記油圧ポンプ10の吐出口に対して直結させるブロック体3(本発明の金属ブロック体に対応)と、このブロック体3に設けられるL字形の管路4の出口4aに一端を接合して所要長さで他端を所要角度に曲げられた金属管5とで構成されている。
【0018】
前記ブロック体3の内部に形成されるL字形の管路4は、その口径が前記金属管5の口径と同一にされている。そして、その出口4a部分では、所要長さ寸法Lの区間を前記管路4(金属管5)の口径dよりも大きい寸法の直径Dに形成され、その端に前記金属管5を同軸心で接合して前記直径の大きい部分が膨張室6となるように一体に形成されている。なお、ブロック体3は、油圧ポンプ10のボデイに対してシール材を介在させてボルトにて固着される。
【0019】
また、前記金属管5は、前記ブロック体3の管路4の出口4a部分に接合された一端部に対して他端部をほぼ直角に曲げて、その曲り先端部分7に油圧ホースの継ぎ手部8が形成されている。この継ぎ手部8にはホースの抜け止め突条8aが周面に形成されて周知のホース接続手段が用いられるようにされている。
【0020】
このように構成される本実施形態の金属配管2は、図1に示されるように、油圧ポンプ10の上側に位置する吐出口にブロック体3を、その端面にOリング(図示せず)を介在させてボルト9にて締着され、金属管5の曲り先端部分7を油圧ポンプ10のボデイ側面部側に位置するように配置され、その金属管5の曲り先端部分7に連なる継ぎ手部8にて周知手段で油圧ホース12を接続して操作弁側へ配管する。なお、金属管5は、その中間部で油圧ポンプ10の端部に一端を取付けて他端を上部旋回体20の図示されないフレーム側に連結して跨設される支持ブラケット17に、図示されない留め金具により支持されている。
【0021】
本実施形態の脈動低減機構1によれば、油圧ポンプ10から吐出される圧油がブロック体3内の管路4を通って金属管5内に流動するとき、前記L字形に屈曲された管路4の出口4a部分に膨張室6が形成されているので、前記管路4内で発生した脈動をもつ圧油が、その管路4より内径が大きくされた膨張室6を通過する際に、流れに乱れが発生し、その乱れによって相互に干渉し脈動が打ち消されて金属管5側に移動してそのまま油圧ホース12内を通って操作弁側に送られる。また、膨張室6を形成することで当該部分の剛性が変化することにより、金属配管2の固有振動数が変化して共振周波数が脈動の周波数とずれて共振による振動が抑制されることになる。
【0022】
このようなことから、金属配管2部分での振動により騒音が発生するのを低減でき、運転時における周囲への騒音を防止することができ、環境改善を図ることができる。
【0023】
また、金属配管2部分での共振を防止できることにより、油圧配管を通じて周辺部に振動が伝播するのを抑制できるので、機器類や取付部の損傷を未然に防止できるという効果が得られる。
【0024】
さらに、本実施形態の脈動低減機構1は、金属配管2の一部に膨張室6を形成することにより所期の目的を達成することができるので、特別な配管スペースを設ける必要がなく、狭隘部分でも無理なく配管して振動を防止でき、構造的にも簡単であるからコストダウンを図ることができるという優れた効果が得られるのである。
【0025】
上述の実施形態では、脈動低減機構1の要部となる膨張室6をブロック体3に形成される管路4の出口4aと接合する金属管5の端との隣接位置に設ける構成のものについて記載したが、必要に応じて膨張室6をブロック体3の管路出口位置よりやや内側(ブロック体内)に配置するか、あるいは金属管5の端部に配置するようにしても同様効果が期待できる。また、前述の実施形態のみならず、脈動発生源に連なる圧力流体供給配管に、前記脈動低減機構に対応する構成を組み込むようにすれば、同様の効果が期待できる。
【0026】
また、上記の説明では油圧ショベルにおける油圧配管について述べたが、その他の作業機械においても同様にして採用することができる。したがって、それらは本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の流体の脈動低減機構を備えた油圧ショベルにおける油圧ポンプの出力部配管の一具体例を表わす斜視図である。
【図2】図2は、図1で表わされている流体の脈動低減機構を備えた金属配管の要部を断面で表わす正面図である。
【図3】図3は、従来の油圧ショベルにおけるポンプから操作弁への油圧配管の一態様を表わす図である。
【符号の説明】
1 脈動低減機構
2 金属配管
3 ブロック体
4 管路
4a 管路の出口
5 金属管
6 膨張室
10 油圧ポンプ
12 油圧ホース
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力流体を取扱う機械装置において圧力流体が通る管路で生じる流体の脈動を低減させることができる、簡単な構成の流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧力流体を動力源として使用される作業機械にあっては、その圧力流体の発生源であるポンプから送り出される圧力流体が、操作弁などを経てアクチュエータに供給されて作動するようにされている。例えば油圧ショベルなど作業機械では、油圧ポンプを駆動して吐出される圧油を、配管を通じて油圧シリンダや油圧モータなどのアクチュエータへ供給し、これらを駆動して所要の作業を行うようにされている。
【0003】
このような油圧駆動機器にあっては、油圧ポンプから吐出される圧油に脈動が生じ、この脈動が原因となって配管などの共振を誘発して騒音を発生させる。また、共振によって油圧機器の配管や各種構成要素を損傷させる恐れもある。そのために、前記脈動を極力低減する必要がある。このような圧力流体の脈動低減を図る手段としては、例えば液圧管路の間に、密閉されたケーシングを配して、その内部で前記管路と同一の内径の内管を設けて、その内管の両端で管路に固定させて内管の外側に筒状の弾性体を配設され、その内管と弾性体との間に内管に設けた通孔によって通じる液室が設けられ、前記弾性体の外側に形成される空洞部に気体を封入した構成の脈動低減マフラーが知られている(特許文献1)。また、圧送流体の流れの途中に介在させて、圧送流体の流れ方向に沿う軸上に、第1の膨張室と共鳴室を挟んで第2の膨張室が配され、その共鳴室は軸に直交する面に沿って流路に連通するように構成された脈動低減装置が知られている(特許文献2)。あるいは、スリーブの内部で薄肉金属によるベローズの外側を弾性体で被覆充填してなる振動吸収管が知られている(特許文献3)。
【0004】
一方、例えば油圧ショベルのように油圧機器を駆動して作業機のアクチュエータなどを作動させる作業機械にあっては、旋回体後部を短くして機能性の向上を図る構成、いわゆる後部小旋回型(後方超小旋回型)が市場のニーズに対応するために生産されている。そこで、この種の油圧ショベルにあっては、油圧ポンプ周りの配管スペースの狭小化にともない、図3に例示するように、油圧ポンプ10と操作弁11を接続する油圧配管として、油圧ホース12とそれを油圧ポンプ10に接続する金属配管13を含み、その金属配管13は、L字状の管路を持つ2つのブロック14,15と、それらブロック同士を接続する金属管16と、油圧ホース12を接続するための片方のブロック15に設けられた金属管15'を含む構成とされていた。このような構成では金属配管13で油圧脈動による騒音の発生が認められなかった。図中符号17は金属配管の支持ブラケット、18は油圧ホースの支持金物、20は上部旋回体である。
【0005】
しかしながら、前記油圧配管では、金属配管13に油圧ホース12を接続するため設けられるブロック15を必要としていたので、構造簡略化のために油圧ホース12との接続側のブロック15を廃止して金属管16の端部を曲げるように形成した。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−25096号公報
【特許文献2】
特開平9−184592号公報
【特許文献3】
特開平7−332578号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように油圧ポンプ10から操作弁11への油圧配管における金属管16の構造を変更することによって、油圧脈動による騒音が発生するようになった。この構成の変更前においては騒音の発生(油圧脈動の発生)が認められなかった。その理由について考察してみるに、変更前では、油圧ポンプ10に接続される金属配管13に二つのブロック14,15を用いていることで、高剛性化されること、また二つのブロック内14,15で、発生する脈動が相互に干渉して打ち消し合うことなどが考えられる。これに対して変更後は、一つのブロック15を廃止したことで脈動を打ち消し合う機能が消去されたことに原因があると推考される。
【0008】
圧力流体の脈動は、その発生源に近い個所で抑制することが好ましい。そこで、圧送ポンプに近接した個所で圧力流体の脈動を解決する手段として、前記先行技術(特許文献1,2,3)に開示されている構成のものを採用しようとすれば、いずれも構造が複雑で、かつ構造的に嵩張るものであり、直線状に配管できるスペースに余裕のある場合には有効であると思われるが、前述のような後方超小旋回型の油圧ショベルのように、油圧ポンプの設置個所周囲における配管スペースが狭小であるために大きく制約を受ける場合には、嵩張る構造の機器を設ける余裕がない。したがって、前記先行技術による構成のものを、圧力流体の供給配管スペースが狭隘な作業装置に採用することは困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、構造的に複雑化することなく圧力流体の脈動を抑制して、配管スペースに余裕がなくても、作動機器への圧力流体配管が行える流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による流体の脈動低減機構は、
脈動の発生源に繋がる圧力流体供給配管において、内部に管路が形成される金属ブロック体の管路出口に接続される前記管路出口内径と同じ内径の金属管との接合部分付近の内面に、その一部の内径を大きくした膨張室が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、ブロック内を通じて金属管側に流れる脈動をもつ流体が、内径の大きい膨張室を通過する際に、流れに乱れが発生することにより、その流れの乱れで相互に干渉して脈動を打ち消し合うことになる。また、内径の大きな空間部で剛性が変化することにより、金属管の固有振動数が変化して共振周波数が脈動の周波数とずれて、共振による振動が抑制され、その結果、騒音の発生を抑制することができる。しかも、このような機能性を簡単な構成で得られるので、配管スペースが狭隘な場所において無理なく配管することができ、かつコストダウンを図ることができるという効果を奏するのである。
【0012】
前記発明において、前記内径を大きくした膨張室の近傍に管路の曲り部をもつ構成とされるのがよい。また、前記金属ブロック体に接続される金属管の他端部は屈曲形成されて圧力流体用ホースと接続できるように形成されているのがよい。このように構成することで、圧力流体供給ポンプの吐出部に連接する個所での脈動の発生を速やかに低減させることができ、かつポンプ近傍で狭い配管スペースを有効に利用して配管することが可能になり、例えば超小旋回型の油圧ショベルなどで無理のない配管を行うことができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明による圧力流体供給配管は、前述の流体の脈動低減機構を配設することにより、ポンプ側から伝播する脈動を低減させて下流側の機器への影響を低減し、アクチュエータなどへの圧力流体の供給の円滑化を図るのに有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による流体の脈動低減機構および圧力流体供給配管の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本実施形態の流体の脈動低減機構を備えた油圧ショベルにおける油圧ポンプの出力部配管の一具体例を表わす斜視図が示されている。図2には、図1で表わされている流体の脈動低減機構を備えた金属配管の要部を断面で表わす正面図が示されている。
【0016】
この実施形態は、油圧ショベルにおける油圧ポンプ10から操作弁11(図3参照)への油圧配管の場合について説明する。本実施形態の脈動低減機構1は、図示されない下部走行体上に旋回機構を介して搭載される上部旋回体20上で、エンジンの出力部に接続されて設けられている油圧ポンプ10の吐出口に直結される金属配管2の内部に設けられている。
【0017】
前記脈動低減機構1を備える金属配管2は、前記油圧ポンプ10の吐出口に対して直結させるブロック体3(本発明の金属ブロック体に対応)と、このブロック体3に設けられるL字形の管路4の出口4aに一端を接合して所要長さで他端を所要角度に曲げられた金属管5とで構成されている。
【0018】
前記ブロック体3の内部に形成されるL字形の管路4は、その口径が前記金属管5の口径と同一にされている。そして、その出口4a部分では、所要長さ寸法Lの区間を前記管路4(金属管5)の口径dよりも大きい寸法の直径Dに形成され、その端に前記金属管5を同軸心で接合して前記直径の大きい部分が膨張室6となるように一体に形成されている。なお、ブロック体3は、油圧ポンプ10のボデイに対してシール材を介在させてボルトにて固着される。
【0019】
また、前記金属管5は、前記ブロック体3の管路4の出口4a部分に接合された一端部に対して他端部をほぼ直角に曲げて、その曲り先端部分7に油圧ホースの継ぎ手部8が形成されている。この継ぎ手部8にはホースの抜け止め突条8aが周面に形成されて周知のホース接続手段が用いられるようにされている。
【0020】
このように構成される本実施形態の金属配管2は、図1に示されるように、油圧ポンプ10の上側に位置する吐出口にブロック体3を、その端面にOリング(図示せず)を介在させてボルト9にて締着され、金属管5の曲り先端部分7を油圧ポンプ10のボデイ側面部側に位置するように配置され、その金属管5の曲り先端部分7に連なる継ぎ手部8にて周知手段で油圧ホース12を接続して操作弁側へ配管する。なお、金属管5は、その中間部で油圧ポンプ10の端部に一端を取付けて他端を上部旋回体20の図示されないフレーム側に連結して跨設される支持ブラケット17に、図示されない留め金具により支持されている。
【0021】
本実施形態の脈動低減機構1によれば、油圧ポンプ10から吐出される圧油がブロック体3内の管路4を通って金属管5内に流動するとき、前記L字形に屈曲された管路4の出口4a部分に膨張室6が形成されているので、前記管路4内で発生した脈動をもつ圧油が、その管路4より内径が大きくされた膨張室6を通過する際に、流れに乱れが発生し、その乱れによって相互に干渉し脈動が打ち消されて金属管5側に移動してそのまま油圧ホース12内を通って操作弁側に送られる。また、膨張室6を形成することで当該部分の剛性が変化することにより、金属配管2の固有振動数が変化して共振周波数が脈動の周波数とずれて共振による振動が抑制されることになる。
【0022】
このようなことから、金属配管2部分での振動により騒音が発生するのを低減でき、運転時における周囲への騒音を防止することができ、環境改善を図ることができる。
【0023】
また、金属配管2部分での共振を防止できることにより、油圧配管を通じて周辺部に振動が伝播するのを抑制できるので、機器類や取付部の損傷を未然に防止できるという効果が得られる。
【0024】
さらに、本実施形態の脈動低減機構1は、金属配管2の一部に膨張室6を形成することにより所期の目的を達成することができるので、特別な配管スペースを設ける必要がなく、狭隘部分でも無理なく配管して振動を防止でき、構造的にも簡単であるからコストダウンを図ることができるという優れた効果が得られるのである。
【0025】
上述の実施形態では、脈動低減機構1の要部となる膨張室6をブロック体3に形成される管路4の出口4aと接合する金属管5の端との隣接位置に設ける構成のものについて記載したが、必要に応じて膨張室6をブロック体3の管路出口位置よりやや内側(ブロック体内)に配置するか、あるいは金属管5の端部に配置するようにしても同様効果が期待できる。また、前述の実施形態のみならず、脈動発生源に連なる圧力流体供給配管に、前記脈動低減機構に対応する構成を組み込むようにすれば、同様の効果が期待できる。
【0026】
また、上記の説明では油圧ショベルにおける油圧配管について述べたが、その他の作業機械においても同様にして採用することができる。したがって、それらは本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の流体の脈動低減機構を備えた油圧ショベルにおける油圧ポンプの出力部配管の一具体例を表わす斜視図である。
【図2】図2は、図1で表わされている流体の脈動低減機構を備えた金属配管の要部を断面で表わす正面図である。
【図3】図3は、従来の油圧ショベルにおけるポンプから操作弁への油圧配管の一態様を表わす図である。
【符号の説明】
1 脈動低減機構
2 金属配管
3 ブロック体
4 管路
4a 管路の出口
5 金属管
6 膨張室
10 油圧ポンプ
12 油圧ホース
Claims (4)
- 脈動の発生源に繋がる圧力流体供給配管において、内部に管路が形成される金属ブロック体の管路出口に接続される前記管路出口内径と同じ内径の金属管との接合部分付近の内面に、その一部の内径を大きくした膨張室が設けられていることを特徴とする流体の脈動低減機構。
- 前記内径を大きくした膨張室の近傍に、管路の曲り部をもつ構成とされる請求項1に記載の流体の脈動低減機構。
- 前記金属ブロック体に接続される金属管の他端部は、屈曲形成されて圧力流体用ホースと接続できるように形成されている請求項1に記載の流体の脈動低減機構。
- 上記請求項1〜請求項3のいずれかの流体の脈動低減機構を設けたことを特徴とする圧力流体供給配管。
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