JP2004197577A - 筒内噴射式内燃機関におけるノッキング判定方法 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関におけるノッキング判定方法 Download PDF

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勝博 正田
Kenji Hayashi
賢治 林
Toshio Asano
俊雄 浅野
Kenta Ishihara
健太 石原
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Abstract

【課題】燃料噴射時期を変更し得る筒内噴射式内燃機関において、燃料噴射時期を変更した際に変更前のノッキング判定値によりノッキングの判定を行うと、ノッキングの発生を誤判定することがある。
【解決手段】複数気筒を有する筒内噴射式内燃機関がノッキングを検出するノック検出手段を有してなり、同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては設定されたノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定し、燃料噴射時期を変更した際には変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定する。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両に搭載される、シリンダ内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関(以下、直噴エンジンと称する)におけるノッキング判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンにノッキング検出手段である振動センサを取り付け、その振動センサからの出力信号と判定値とを比較して、ノッキングの有無を判定するノッキング判定方法が知られている(例えば特許文献1)。このノッキング判定方法では、エンジンの負荷が低い場合は判定値を低く設定し、逆にエンジンの負荷が高い場合は判定値を高く設定するようにするとともに、エンジン回転数が変化する運転状態にあってはエンジンの負荷及び回転数に基づいて設定し、振動センサからの振動信号のピークホールド値が判定値以上となった場合にノッキングが発生したと判定するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−68481号公報(段落0019、段落0021、図2及び図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、直噴エンジンでは、燃料を噴射するタイミングを、吸気行程の前半に設定するいわゆるトップ噴射時期と、吸気行程の後半から圧縮行程前半に設定するいわゆるボトム噴射時期とに設定している。このように燃料の噴射時期を設定すると、燃料噴射弁の開閉に伴って生じる振動が、ノッキングを判定するタイミングつまりノッキング判定期間に一致する場合に、実際にはノッキングが発生してないにもかかわらず前記振動によりノッキングが発生したと誤って判定することがある。すなわち直噴エンジンでは燃料圧力が、吸気ポートに燃料を噴射するエンジン(ポート噴射式エンジン)の場合より高いために、燃料噴射弁を開閉する動作に起因して発生する振動が、前述のポート噴射式エンジンより大きくなり、ノッキングの発生を誤認する要因となるものである。
【0005】
ここで、ボトム噴射時期がノッキングを判定するための期間として設定されるノッキング判定期間と一致している場合を例にとると、ボトム噴射時期による燃料噴射のために、燃料噴射弁の開閉時の振動が振動センサにより検出されることになる。これにより、実際にはノッキングが発生していないのにもかかわらず、振動センサから出力される出力信号はトップ噴射時期に振動センサから出力される出力信号より大きな値となる。
【0006】
したがって、例えばトップ噴射時期により燃料を噴射している運転状態からボトム噴射時期による運転状態に燃料噴射時期の変更がある場合に、トップ噴射時期に応じて設定されたノッキング判定値によりノッキングの判定を実施すると、燃料噴射弁の開閉に伴う不連続な振動の大きさ分、ノックセンサから出力される出力信号が大きくなっているため、ノッキングが発生していないのにもかかわらずノッキング判定値を上回る信号を検出したために、ノッキングが発生していると誤判定することになる。
【0007】
トップ噴射時期とボトム噴射時期との切り替えは、一義的に負荷とエンジン回転数とで設定し得るものではないため、上記したノッキング判定方法を直噴エンジンに適用して負荷とエンジン回転数とに基づいてノッキング判定値を決定しても、上記の事情によりノッキングの発生を判定することは困難になる。
【0008】
そこで本発明は、以上のような不具合を解消することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の筒内噴射式内燃機関におけるノッキング判定方法は、複数気筒を有し運転状態に応じて燃料噴射時期を変更して燃料を各気筒内に直接供給する筒内噴射式内燃機関がノッキングを検出するノック検出手段を有してなり、同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては設定されたノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定し、燃料噴射時期を変更した際には変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては、設定されたノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定するので、ノッキング判定値を精度よく設定し得るとともに、ノッキングを誤って判定することを防止することが可能になる。
【0011】
一方、燃料噴射時期を変更した際には、設定されたノッキング判定値ではなく、変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定するので、ノッキング判定期間内に不連続な振動が発生していても、その不連続な振動による出力信号の急激な変化に的確に対応することが可能になる。したがって、そのような不連続な振動をノッキングと判定することなく正確にノッキングの発生を判定することが可能になる。
【0012】
なお、ノッキング判定値は、それぞれの燃料噴射時期における正常な運転状態の際にノック検出手段から出力される出力信号に基づいて設定するものであってよいし、また適合によりマップに設定するものであってもよい。
【0013】
ノッキング判定値を最適化するためには、燃料噴射時期が、吸気行程の前半に設定される第一の噴射時期と、吸気行程の後半から圧縮行程において設定される第二の噴射時期とからなり、第一の噴射時期と第二の噴射時期とのいずれか一方の噴射時期がノッキング判定時期と重なり合う場合に、一方の噴射時期に応じて設定されるノッキング判定値を他方の噴射時期に応じて設定されるノッキング判定値より高くすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すこの実施の形態のエンジン100は、ピストン30が往復動するシリンダ(気筒)31内に燃料であるガソリンを直接噴射する複数気筒例えば3気筒を有する筒内燃料噴射式のもので、その1気筒について示す構成説明図である。
【0016】
エンジン100は、自動車用のもので、シリンダ31の側壁にノック検出手段であるノックセンサ20が取り付けられているとともに、シリンダヘッド1の燃焼室1aの上壁1bに燃料噴射弁2及びスパークプラグ3を設けるとともに、排気系4に三元触媒5を設けている。また、排気系4には、三元触媒5の上流側にO2センサ6を設けている。燃料噴射弁2は、図示しない一対の吸気弁間において燃焼室1a内に燃料を直接噴射し得るように噴射口を向けて取り付けてあり、後述する電子制御装置ECUにより制御される。加えて、吸気系8には、スロットルバルブ9が図示しないアクセルペダルに応動して開閉するように取り付けてあり、スロットルバルブ9の下流には吸気脈動を抑制するためのサージタンク10が設けてある。このサージタンク10には吸気管圧力を検出するための吸気圧センサ11が取り付けてある。なお、燃料の燃料噴射弁2への供給機構については、この分野でよく知られたものを広く利用することができるので、説明を省略する。
【0017】
電子制御装置ECUは、アナログ−デジタル変換回路を内蔵する中央演算処理装置CPUと、記憶装置MEMと、入力インターフェースIIFと、出力インターフェースOIFとを備えたマイクロコンピュータシステム、及びピークホールド回路PHを備えている。中央演算処理装置CPUは、記憶装置MEMに格納された後述する制御プログラムとノッキングの判定のための各種データとにより、ノッキング判定値KNTHRLDを演算するとともに、得られたノッキング判定値KNTHRLDとノックセンサ20から出力される出力信号bのピーク値を保持するピークホールド回路PHから出力されるピークホールド値とを比較して、ノッキング発生を判定するものである。なお、各センサから電子制御装置ECUに入力されるアナログ信号は、アナログ−デジタル変換回路においてデジタルデータに変換された後一時的に記憶され、各種の処理に利用されるものである。
【0018】
入力インターフェースIIFには、O2センサ6から出力される酸素濃度信号a、ノックセンサ20の出力信号bをサンプリングするピークホールド回路PHから出力されるピーク信号、吸気圧センサ11から出力される吸気圧信号c、エンジン回転数を検出するためのカムポジションセンサ12から出力される回転数信号dと気筒判別信号eとクランク角基準位置信号f、スロットルバルブ9の開閉状態を検出するためのスロットル開度センサ13から出力されるスロットル開度信号g、エンジン100の冷却水温を検出するための水温センサ14から出力される水温信号hなどが入力される。これらの各センサが電子制御装置ECUと協働して、運転状態を検出するものである。一方、出力インターフェースOIFからは、燃料噴射弁2に対して燃料噴射信号kが、スパークプラグ3に対してイグニッションパルスmが出力されるようになっている。
【0019】
電子制御装置ECUの記憶装置MEMには、吸気圧センサ11から出力される吸気圧信号cとカムポジションセンサ12から出力される回転数信号dと水温センサ14から出力される水温信号hを主な情報とし、各種の補正係数で基本燃料噴射時間(基本燃料噴射量)を補正して有効通電時間(燃料噴射量)を決定し、その決定された有効通電時間に基づいて決定した最終通電時間により燃料噴射弁2を制御するプログラムが内蔵してある。また、記憶装置MEMには、ノッキングの発生を判定するために、同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては設定されたノッキング判定値KNTHRLDとノックセンサ20から出力される出力信号bに基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定し、燃料噴射時期を変更した際には変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値KNTHRLDとノックセンサ20から出力される出力信号bに基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定するようにプログラミングしてある。なお、この実施の形態にあっては、第一の噴射時期であるトップ噴射時期と第二の噴射時期であるボトム噴射時期との少なくとも一方における正常な運転状態の際にノックセンサ20から出力される出力信号bに基づいてノッキング判定値KNTHRLDを設定している。
【0020】
この実施の形態にあって、燃料噴射を開始する時期である燃料噴射時期は、図2に示すように、吸気行程において、燃焼(膨張)行程から遠い側となるピストン30が上死点近傍にある場合と、燃焼行程に近い側となるピストン30が下死点近傍にある場合とで設定される。すなわち、ピストン30が上死点近傍にある場合の燃料噴射時期であるトップ噴射時期は、吸気行程が開始されて、ピストン30が上死点から降下し、上死点から例えばクランク角度で約40°CAとなる位置から燃料噴射が開始されるように設定される。これに対し、ピストン30が下死点近傍にある場合のボトム噴射時期は、吸気行程において、ピストン30が下死点に達する前の例えばクランク角度で30°CA程度の位置から燃料噴射が開始されるように設定される。また、ノッキング判定期間が、例えば圧縮行程の上死点後のクランク角度に換算して15°CA〜70°CAの期間に設定されるものである。
【0021】
このノッキング判定プログラムによるノッキング判定の手順の概要を、図3及び図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0022】
このノッキング判定プログラムにおいて、ノッキング判定値KNTHRLDは、ノッキングの発生していない正常な運転状態においてノックセンサ20から出力される出力信号bに基づいて設定される。具体的には、ノックセンサ20からの出力信号bのピークホールド値を所定数サンプリングして、サンプリングしたピークホールド値を統計処理して平均値VMEDと標準偏差SGMとを演算する。そして、得られた平均値VMEDと標準偏差SGMとを下式に代入して、ノッキング判定値KNTHRLDを演算する。
KNTHRLD = VMED + 3*SGM ・・・式1
【0023】
このようにノッキング判定値KNTHRLDを設定することにより、ノッキング判定値KNTHRLDを上回るピークホールド値を検出した場合には、ノッキングが発生したと判定するものである。
【0024】
平均値VMEDと標準偏差SGMとについては、以下に説明する。
【0025】
まずステップS1において、ノックセンサ20から出力される出力信号bを、ピークホールド回路PHを介してそのピークホールド値を中央演算処理装置CPUに取り込む。中央演算処理装置CPUは、取り込んだピークホールド値をデジタルデータに変換して、デジタルデータを一時保存する。ステップS2では、取り込んだピークホールド値のサンプリング数が所定個数に達した段階でピークホールド値に基づいて、その平均値VMEDと標準偏差SGMとを計算する。平均値VMEDと標準偏差SGMとの計算は、統計の分野でよく知られたものを用いるものであってよい。ステップS3では、計算にて得られた平均値VMEDと標準偏差SGMとを記憶装置MEMに一時保存する。平均値VMEDと標準偏差SGMとは、ノッキング判定値KNTHRLDが確定された時点で、今回の値としてそれまでに保存されていたものに代わって更新保存されるので、ノッキング判定値KNTHRLDが確定されるごとに学習されるものである。
【0026】
次に、ステップS11では、燃料噴射時期がトップ噴射時期からボトム噴射時期に変更されたか否かを判定する。この判定は、噴射時期判定フラグによりおこなうもので、例えば噴射時期判定フラグがリセット(=0)されている場合にトップ噴射時期を、セット(=1)されている場合にボトム噴射時期を判定するものである。噴射時期判定フラグは、例えば吸気管圧力、エンジン回転数、冷却水温、始動時や完全暖気後などの別などに基づいてセットされ、またリセットされる。なお、燃料噴射時期の変更は、基本的にはエンジン回転数と吸気管圧力とに基づいて実行されるもので、吸気管圧力が例えば500mmHgより低く、かつエンジン回転数NEが例えば3000r.p.m.より低い低負荷低回転時では吸気トップ噴射時期に設定し、吸気管圧力が500mmHgより高く、かつエンジン回転数NEが3000r.p.m.より低い高負荷低回転時では吸気ボトム噴射時期を設定するものである。
【0027】
ステップS12では、燃料噴射時期がボトム噴射時期からトップ噴射時期に変更されたか否かを、ステップS11と同様に噴射時期判定フラグにより判定する。ステップS13では、記憶装置MEMに保存された平均値VMEDと標準偏差SGMとを読み込む。
【0028】
ステップS14では、前回保存した平均値VMEDi 1から燃料噴射時期に応じて設定された値すなわち第一平均値用補正値VMEDOFMを減算して今回の平均値VMEDiを決定するとともに、前回保存した標準偏差SGMi 1と燃料噴射時期に応じて設定された値すなわち第一偏差用補正値SGMOFMを減算して今回の標準偏差SGMiを決定する。ステップS15では、前回保存した平均値VMEDi 1に燃料噴射時期に応じて設定された値すなわち第二平均値用補正値VMEDOFPを加算して今回の平均値VMEDiを決定するとともに、前回保存した標準偏差SGMi 1に燃料噴射時期に応じて設定された値すなわち第一偏差用補正値SGMOFPを加算して今回の標準偏差SGMiを決定する。このように、この実施の形態においては、変更された燃料噴射時期に応じて、前回の平均値VMEDi 1と標準偏差SGMi 1と各補正値VMEDOFM,SGMOFM,VMEDOFP,SGMOFPとにより平均値VMEDと標準偏差SGMとを設定し、ノッキング判定値KNTHRLDを決定するものである。
【0029】
第一平均値用補正値VMEDOFM及び第二平均値用補正値VMEDOFPは、トップ噴射時期にて燃料噴射を継続した場合に得られる平均値VMEDとボトム噴射時期にて燃料噴射を継続した場合に得られる平均値VMEDとの差に基づいて、また第一偏差用補正値SGMOFM及び第一偏差用補正値SGMOFPは、トップ噴射時期にて燃料噴射を継続した場合に得られる標準偏差SGMとボトム噴射時期にて燃料噴射を継続した場合に得られる標準偏差SGMとの差に基づいてそれぞれ、設定するものである。なお、この実施の形態にあっては、第二平均値用補正値VMEDOFPを第一平均値用補正値VMEDOFMより大きく設定して、ボトム噴射時期におけるノッキング判定値KNTHRLDを高くしてノッキングの判定を容易にしているが、同一値であってもよく、また第一偏差用補正値SGMOFM及び第一偏差用補正値SGMOFPについても異なる値ではなく同一値であってもよい。
【0030】
このような構成において、この実施の形態は3気筒エンジンであるので、図2に示すように、燃料を噴射する気筒が第一気筒#1とすると、第一気筒#1のボトム噴射時期と第三気筒#3のノッキング判定期間とがほぼ同じタイミングとなる。つまり第一気筒#1でボトム噴射時期により燃料噴射を行う際に第三気筒#3ではノッキングの判定を行うノッキング判定期間となる。このため、ボトム噴射時期による燃料噴射を実行する時は、燃料噴射弁2の開閉による振動が、ノッキングの発生していない正常な運転状態においてもノックセンサ20により検出されることになり、ボトム噴射時期による燃料噴射の場合にサンプリングされたピークホールド値は、トップ噴射時期による燃料噴射の場合にサンプリングされたピークホールド値よりも大きな値をとる。
【0031】
いま、トップ噴射時期のタイミングで燃料を噴射しているものとすると、ステップS1〜ステップS3を実行し、トップ噴射時期における平均値VMEDと標準偏差SGMとが記憶装置MEMに保存される。このトップ噴射時期による燃料噴射での運転状態が継続する場合は、ステップS11〜ステップS13を実行し、ステップS3において保存された平均値VMEDと標準偏差SGMとを記憶装置MEMから読み出し、上記式1によりノッキング判定値KNTHRLDを計算する。この場合、平均値VMEDと標準偏差SGMとはトップ噴射時期におけるものであるので、燃料噴射弁2の開閉時の振動はどの気筒のノッキング判定期間とも重なり合わない。それ故、トップ噴射時期における平均値VMEDと標準偏差SGMとは、図5に示すように、ボトム噴射時期による運転の場合の平均値VEMDと標準偏差SGMとより低い値を示す。
【0032】
次に、トップ噴射時期からボトム噴射時期に燃料噴射時期が変更されると、ステップS11、ステップS15を実行し、燃料噴射時期が切り替わる前のトップ噴射時期における、平均値VMEDi 1に第二平均値用補正値VMEDOFPを加算し、かつ標準偏差SGMi 1に第二偏差用補正値SGMOFPを加算して、今回の平均値VMEDiと標準偏差SGMiとを得る。このようにして得られた平均値VMEDiと標準偏差SGMiとについても、記憶装置MEMに一時的に記憶される。そして、今回の平均値VMEDiと標準偏差SGMiとを上記式1に代入することにより、燃料噴射時期が変更されたボトム噴射時期に対応したノッキング判定値KNTHRLDとなる。つまり、ノッキング判定値KNTHRLDは、トップ噴射時期の平均値VMEDi 1と標準偏差SGMi 1とのそれぞれに、補正値VMEDOFP,SGMOFPを加算することにより、トップ噴射時期のノッキング判定値KNTHRLDより高い値になっている。したがって、ボトム噴射時期がノッキング判定期間に重なり合っている気筒にあっても、燃料噴射弁2の開閉に伴う振動を考慮した値となるので、燃料噴射弁2の開閉に伴う振動をノッキングと誤って判定することが防止できる。
【0033】
この後、燃料噴射時期が、ボトム噴射時期からトップ噴射時期に変更された場合は、ステップS11、ステップS12及びステップS14を実行し、燃料噴射時期が切り替わる前のボトム噴射時期における平均値VMEDi 1から第一平均値用補正値VMEDOFMを減算し、かつ標準偏差SGMi 1から第一偏差用補正値SGMOFMを減算して、今回の平均値VMEDiと標準偏差SGMiとを得る。このようにして得られた平均値VMEDiと標準偏差SGMiとについても、記憶装置MEMに一時的に記憶される。そして、今回の平均値VMEDiと標準偏差SGMiとを上記式1に代入することにより、燃料噴射時期が変更されたトップ噴射時期に対応したノッキング判定値KNTHRLDとなる。つまり、得られたノッキング判定値KNTHRLDは、ボトム噴射時期の平均値VMEDi 1と標準偏差SGMi 1とのそれぞれから、各補正値VMEDOFM,SGMOFMを減算することにより、ボトム噴射時期のノッキング判定値KNTHRLDより低い値になっている。したがって、ノッキングが発生していても、ノッキング判定値KNTHRLDを下回ってノッキングの発生を判定できないと言う不具合を解消することができ、確実にノッキングの発生を判定することができる。
【0034】
また、ノッキングの発生を確実に判定することができるので、ノッキングが発生していると誤判定して点火時期を遅角し、トルクが低下すると言った不具合や、あるいは実際にはノッキングが発生しているのに誤判定をすることにより、点火時期を遅角しないためにノッキングが継続し燃費が低下してしまうと言った不具合を確実に防止することができる。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、3気筒エンジンに適用した場合を説明したが、4気筒エンジンの場合についても適用することができる。すなわち、4気筒エンジンの場合、図6に示すように、3気筒エンジンの場合とは異なり、ある気筒におけるノッキング判定期間に他の気筒でトップ噴射時期での燃料噴射が実行されるものである。つまり、トップ噴射時期がノッキング判定期間と重なり合うものである。したがって、トップ噴射時期にて燃料噴射を実行している運転状態においてノックセンサ20から出力される出力信号bは、ボトム噴射時期による運転状態においてノックセンサ20から出力される出力信号bより大きくなるので、得られる平均値VMEDと標準偏差SGMとが、ボトム噴射時期にて燃料噴射を実行している運転状態で得られる平均値VMEDと標準偏差SGMとに比較して大きな値となる。
【0036】
このような上記の実施の形態との相違点に対応して、平均値VMEDと標準偏差SGMと決定するプログラムにおいて、条件が以下のように変更されるものである。
【0037】
すなわち、図4のステップS11におけるトップ噴射時期からボトム噴射時期に変更されたか否かの判定を、この4気筒エンジンの実施の形態では、ボトム噴射時期からトップ噴射時期に変更されたか否かの判定に変更する。同様にして、図4のステップS12におけるボトム噴射時期からトップ噴射時期に変更されたか否かの判定を、トップ噴射時期からボトム噴射時期に変更されたか否かの判定に変更する。
【0038】
このように、条件を変更することにより、4気筒エンジンの場合であっても、上気した3気筒エンジンの場合と同様にノッキングを精度よく判定することができる。
【0039】
なお、燃料噴射時期に応じてノッキング判定値をそれぞれに例えばマップにより設定するものであってもよい。この場合にあって、上述の例と同様に、ノッキング判定期間が重なり合う燃料噴射時期に対応するノッキング判定値を、重なり合わない燃料噴射時期のものよりも高く設定するものである。
【0040】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような構成であるので、同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては、設定されたノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定するので、ノッキング判定値を精度よく設定し得るとともに、ノッキングを誤って判定することを防止することができる。
【0042】
一方、燃料噴射時期を変更した際には、設定されたノッキング判定値ではなく、変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定するので、ノッキング判定期間内に不連続な振動が発生していても、その不連続な振動による出力信号の急激な変化に的確に対応することができる。したがって、そのような不連続な振動をノッキングと判定することなく正確にノッキングの発生を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用される直噴エンジンの概略構成説明図。
【図2】本発明の実施の形態におけるトップ噴射時期とボトム噴射時期とノッキング判定期間との関係を示すタイムチャート。
【図3】同実施の形態の制御手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態の制御手順を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態におけるトップ噴射時期とボトム噴射時期との平均値と標準偏差との関係を示すグラフ。
【図6】本発明の他の実施の形態におけるトップ噴射時期とボトム噴射時期とノッキング判定期間との関係を示すタイムチャート。
【符号の説明】
20…ノックセンサ
ECU…電子制御装置
CPU…中央演算処理装置
MEM…記憶装置
IIF…入力インターフェース
OIF…出力インターフェース

Claims (2)

  1. 複数気筒を有し運転状態に応じて燃料噴射時期を変更して燃料を各気筒内に直接供給する筒内噴射式内燃機関がノッキングを検出するノック検出手段を有してなり、
    同一の燃料噴射時期による運転状態にあっては設定されたノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定し、
    燃料噴射時期を変更した際には変更された燃料噴射時期に応じて設定される値に基づいて決定するノッキング判定値とノック検出手段から出力される出力信号に基づく値とを設定されたノッキング判定期間において比較してノッキングの発生を判定することを特徴とする筒内噴射式内燃機関におけるノッキング判定方法。
  2. 燃料噴射時期が、吸気行程の前半に設定される第一の噴射時期と、吸気行程の後半から圧縮行程において設定される第二の噴射時期とからなり、第一の噴射時期と第二の噴射時期とのいずれか一方の噴射時期がノッキング判定時期と重なり合う場合に、一方の噴射時期に応じて設定されるノッキング判定値を他方の噴射時期に応じて設定されるノッキング判定値より高くすることを特徴とする請求項1記載の筒内噴射式内燃機関におけるノッキング判定方法。
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