JP2004197267A - 横編機における給糸装置及び筒状編地の編成方法 - Google Patents

横編機における給糸装置及び筒状編地の編成方法 Download PDF

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浩 節川
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Abstract

【課題】編地を保形したり、弾性糸を挿入したりする場合でも簡単な構造で制御も容易にできるようにする。
【解決手段】編針を進退可能に収納したニードルベッドを少なくとも前後一対に設けた横編機に付設される給糸装置であって、キャリッジに連動してニードルベッド上を往復動するベースと、該ベースに回転可能に枢支されたヤーンフィーダとを備え、ヤーンフィーダにはその下端部分の中央部分が切り込まれ、この切り込み部分に補強若しくは収縮弾性糸用給糸口を形成するとともに、該給糸口を挟んだ状態で裏糸用給糸口と表糸用給糸口とをそれぞれ貫設し、当該ヤーンフィーダを表糸用給糸口が先行するように回転制御手段で回転制御可能に構成した。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、靴下や手袋、セータや腹巻等の等の筒状編地を横編機で編成するための給糸装置及びこの給糸装置を使用した筒状編地の編成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
横編機を使用して例えば靴下や手袋、セータや腹巻等の等の筒状編地を編成する場合、こしのある確りとした編地を編成したり、伸縮性を持たせたりするために、従来では編糸を複数本にしたり、複数本の編糸の一部をFTY等の弾性糸にすることが行なわれている。
ところで、従来の一般的なヤーンフィーダでは1本のヤーンフィーダに1つの給糸口が形成されていることから、編糸を複数本にしたり、複数本の編糸の一部をFTY等の弾性糸にする場合その編糸や弾性糸等の本数分のヤーンフィーダを必要とする上、その多数のヤーンフィーダをキャリッジの往復動に合わせて切替制御しなくてはならず、制御機構が複雑になるという問題があった。
【0003】
そこで、こうした問題にも鑑み、本出願人は柄編みに関してではあるが、1本のヤーンフィーダに複数の給糸口を形成することを先に提案している。
この先の提案にかかるヤーンフィーダは、前後のニードルベッドに編糸を周回状に給糸して所定コース編成し、所定幅の縞を形成した後、例えば色の異なる編糸を選択して切換えることにより表裏の編糸を切り替えて所定コース編成するようになっている。
従って、1本のヤーンフィーダの左右両側に形成された給糸口には色彩の異なる編糸を挿通するようにしてある(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特願2001−200829
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記先の提案にかかるものでは柄を形成するために、ヤーンフィーダの先行側、即ち、編針に近くなる側の編糸を切り替えることにより、編地の表にあらわれる編糸を変更するものであることから、編地を保形したり、弾性糸を挿入したりする場合、別のヤーンフィーダを用意しなくてはならず、キャリッジの往復動に合わせて複数のヤーンフィーダを切替制御しなくてはならず、制御機構が複雑になるという従来の問題点を充分に解消することができないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、編地を保形したり、弾性糸を挿入したりする場合でも簡単な構造で制御も容易にできる横編機における給糸装置及び筒状編地の編成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にかかる横編機における給糸装置は、編針を進退可能に収納したニードルベッドを少なくとも前後一対に設けた横編機に付設される給糸装置であって、キャリッジに連動してニードルベッド上を往復動するベースと、該ベースに回転可能に枢支されたヤーンフィーダとを備え、ヤーンフィーダにはその下端部分の中央部分が切り込まれ、この切り込み部分に補強若しくは収縮弾性糸用給糸口を形成するとともに、該給糸口を挟んだ状態で裏糸用給糸口と表糸用給糸口とをそれぞれ貫設し、当該ヤーンフィーダを表糸用給糸口が先行するように回転制御手段で回転制御可能に構成したことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の横編機における給糸装置においては、ヤーンフィーダの一部に形成された回転歯と、該回転歯に調時連動手段で係脱操作される回転駆動歯と、キャリッジに連動してニードルベッド上を往復動するときに、回転操作されたヤーンフィーダの姿勢を保持する姿勢保持手段とで回動制御手段を構成したことも特徴とするものである。
更に、本発明にかかる筒状編地の編成方法は、編針を進退可能に収納したニードルベッドを少なくとも前後一対に設けた横編機のニードルベッドに給糸装置から編糸を周回状に給糸して編成される筒状編地の編成方法であって、キャリッジの往復摺動に連動してニードルベッド上を往復動する少なくとも1本のヤーンフィーダの補強若しくは収縮弾性糸用給糸口と、その両側に形成された裏糸用給糸口及び表糸用給糸口から補強若しくは収縮弾性糸と裏糸及び表糸をそれぞれ導出し、回動制御手段によりヤーンフィーダの往復動の切り替わり部分で表糸が常時用先行側に位置するように切り替えて編成することにより、表糸が筒状編地の表面にあらわれるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を実施する靴下及び手袋編成用の横編機の正面図、図2はその側面図であって、図中符号1は横編機を全体的に示す。
この横編機1は、カバー2の内方には編針を進退可能に収納したニードルベッド3を少なくとも前後一対に設け、複数のカム群を収納したキャリッジ4が後述する給糸装置5のヤーンフィーダ6を連行して上記ニードルベッド3上を摺動するときに、給糸装置5からの給糸により靴下や手袋等の筒状編地を編成できるようになっている。
【0009】
上記給糸装置5は図3に示す様に構成されている。
即ち、図3は給糸装置5の概略図であって、一般に「ウス」と言われるヤーンフィーダ6と、これに適正張力を付与する張力調整機構7と、この張力調整機構7で張力調整される複数の編糸(本例では二本の編糸)8・9及び弾性の付与又は補強(保形)用の編糸10とを備えてなる。
上記張力調整機構7は横編機のフレーム11(図2参照)から支持台12を立設しこの支持台12から延出されたピアノ線13の先端に挟持式のテンショナ14を設けて形成されている。
【0010】
張力調整機構7から編糸8・9が供給される上記ヤーンフィーダ6は図3乃至図6に示すように構成されている。
即ち、ヤーンフィーダ6は両端部が横編機1の本機側のフレーム15(図1及び図2参照)に支持されたガイド軸16にベース17を摺動可能に配設し、ベース17の板状先端部分に回動可能に枢支されており、上端に後述する回転制御手段18の回転駆動歯19に噛み合う回転歯20と、その下方に姿勢保持手段21の小判形の被挟持部22が順に形成され、回転歯20と被挟持部22が形成された部分には上端部から下端部にかけて二つの給糸口23・24が貫通する状態で穿設してある。
【0011】
上記の二つの給糸口23・24が形成されたヤーンフィーダ6の下方部分には、正面視において「V」又は「U」形の下細りテーパー状の給糸口形成用ブロック25が形成されている。
この給糸口形成用ブロック25部分は、その中央部分が切り込まれ、この切り込み部分27に補強若しくは収縮弾性糸用給糸口28を形成するとともに、該給糸口28を挟んだ状態で給糸口形成用ブロック25の左右両端寄り部分に裏糸用給糸口29と表糸用給糸口30とが貫設されている。
裏糸用給糸口29と表糸用給糸口30の下端開口部29a・30aは、給糸口形成用ブロック25の「V」又は「U」形の傾斜面部分25aに開口されている。
【0012】
そして、このヤーンフィーダ6は表糸用給糸口30が先行するように回転制御手段18で回転制御可能に構成されている。
上記回動制御手段18は、上記のヤーンフィーダ6の上端部に形成された回転歯20と、この回転歯20に調時連動手段(図示せず)で係脱操作される回転駆動用の回転駆動歯19(図3参照)と、ヤーンフィーダ6がキャリッジ4の往復摺動に連動してニードルベッド3上を往復摺動するときに、回転操作されたヤーンフィーダ6の姿勢を保持する姿勢保持手段21とで構成されている。
上記調時連動手段は、その図示は省略したが、キャリッジ4の位置を把握して横編機の駆動を制御すると同時に、ヤーンフィーダ6の位置を正確に検出するコンピュータ制御装置と、このコンピュータ制御装置からの信号で図に示すように回転駆動歯19をヤーンフィーダ3の上端部に形成された回転歯20に噛合う実線図の位置と、噛合いがとかれた想像線図の位置とに切換えるソレノイド31とで形成されている。
【0013】
因みに、回転駆動歯19は、ソレノイド31で揺動操作されるロッド32の先端部分に設けられ、その歯数は回転歯20を凡そ180度回転させる充分な歯数にしてある。
また、上記姿勢保持手段21は、ヤーンフィーダ6の回転歯20の下方に断面を小判形にした被挟持部22と、この被挟持部22の外方から挟持する弾性材料からなる挟持固定具33とからなる(図4参照)。
【0014】
上記のように構成されたヤーンフィーダ6を備えた給糸装置5の作用を次に説明する。
先ず、収縮弾性糸用給糸口28にFTY若しくは補強糸等の弾性糸を挿通し、ヤーンフィーダ6の先行側となる表糸用給糸口30には例えば着色されたアクリル糸からなる編糸8を、後行側となる裏糸用給糸口29には例えば吸湿性に優れた綿糸からなる編糸9をそれぞれ挿通してニードルベッド3に給糸可能にする。
此処で図8乃至図10上アクリル糸からなる編糸8を挿通した給糸口23及び表糸用給糸口30は黒丸で示し、綿糸9を挿通した給糸口24及び裏糸用給糸口29は白丸で示す。
【0015】
今、キャリッジ4の左から右への往行摺動連動して、ヤーンフィーダ6が左から右(図8の矢印X方向)へ連行され、前方のニードルベッド3で編地が編成されると、先行側となる表糸用給糸口30からのアクリル糸からなる編糸8は、これよりも後行側となる収縮弾性糸用給糸口28の弾性糸10及び裏糸用給糸口29の綿糸からなる編糸9よりもニードルベッド3の編針に近くで低い位置で給糸される。
従って、表糸用給糸口30からのアクリル糸からなる編糸8は編地の表面(前面)にあらわれ、収縮弾性糸用給糸口28の弾性糸及び裏糸用給糸口29の綿糸からなる編糸9は後方のニードルベッド側(裏面側)に出る。
【0016】
次に、キャリッジ4が編地部分を通過し反転する時、キャリッジ4に連行されるヤーンフィーダ6がニードルベッド3の編地の編成領域外から反転位置に至る間では図9に示すように、回転駆動歯19と回転歯20とが噛合った状態でヤーンフィーダ6が更に右方に移動するので、ヤーンフィーダ6は時計周り方向に180度回転し、図10に示すように給糸口23及び表糸用給糸口30と給糸口24及び裏糸用給糸口29の位置が切換わる。
こうして給糸口23及び表糸用給糸口30、給糸口24及び裏糸用給糸口29の切換わった位置は、姿勢保持手段21の挟持固定具33がヤーンフィーダ6の断面小判形の被挟持部22を挟持するのでその姿勢が保持される。
続いてキャリッジ4が反転位置に到達したのをコンピュータ制御装置が検出すると、この検出に基づいてコンピュータ制御装置からの出力でソレノイド31がロッド32を回転歯20と回転駆動歯19との噛合いが解除される方向に揺動駆動する。
【0017】
しかる後、キャリッジ4が反転して右から左に移動すると、回転歯20と回転駆動歯19とが噛合うことなく、上記姿勢保持手段21で給糸口23及び表糸用給糸口30と、給糸口24及び裏糸用給糸口29の切換わった位置が保持された状態のままで後方のニードルベッド3に給糸される。
これにより、表糸用給糸口30からのアクリル糸からなる編糸8は、収縮弾性糸用給糸口28の弾性糸10及び裏糸用給糸口29の綿糸からなる編糸9よりも先行側で、且つニードルベッド3の編針に近くの低い位置で給糸されるので、表糸用給糸口30からのアクリル糸からなる編糸8は編地の表面側にあらわれ、収縮弾性糸用給糸口28の弾性糸10及び裏糸用給糸口29の綿糸は裏面側に出ることになる(図11参照)。
【0018】
尚、上記の説明はキャリッジ4の走行方向が左から右に切り替わる横編機1の右端部分出の作用を例に説明してあるが、左端部分での走行方向が切り替わる場合にも同様のヤーンフィーダ6の回転制御が行なわれる。
このとき、ヤーンフィーダ6の回転方向は、上記とは逆の反時計回り方向にして編糸が捩れるのを防止する必要があるのはいうまでもないことである。
また、上記実施の形態ではキャリッジ4が反転する前にヤーンフィーダ6を回転させるようにしてあるが、こうしたものに限られず、キャリッジ4が反転した後、ヤーンフィーダ6を回転させるようにすることができるのは勿論である。
更に、上記実施の形態では、回動制御手段18をヤーンフィーダ6の上端部に形成された回転歯20と、この回転歯20に調時連動手段で係脱操作される回転駆動歯19とで形成した機械式にしてあるが、こうしたものに限られず、ヤーンフィーダ6をロータリソレノイドで180度づつ時計回り方向と反時計回り方向とを交互に回転させるようにすることもできる。
こうした場合にはそのロータリソレノイドを横編機1の制御装置で直接回転できるので、構造の簡素化も図れる。
また、上記実施の形態では回転歯20と被挟持部22が形成された部分に二つの給糸口23・24を貫通する状態で穿設してあるが、此処にも給糸口形成用ブロック25部分と同様に補強若しくは収縮弾性糸用給糸孔を設けることができるのはいうまでもないことである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上に説明したように、キャリッジの往復摺動に連動してニードルベッド上を往復動する少なくとも1本のヤーンフィーダの補強若しくは収縮弾性糸用給糸口と、その両側に形成された裏糸用給糸口及び表糸用給糸口から補強若しくは収縮弾性糸と裏糸及び表糸をそれぞれ導出し、回動制御手段によりヤーンフィーダの往復動の切り替わり部分で表糸が常時用先行側に位置するように切り替えて編成するようにしてあるので、補強若しくは収縮弾性糸と裏糸及び表糸をそれぞれ一本のヤーンフィーダから導出することができるので、編地を保形したり、弾性糸を挿入したりする場合でも、ヤーンフィーダの本数を最小限1本で済ませられる。
これにより、給糸装置の構造を簡素化して横編機の製造コストを低減できるとともに、ヤーンフィーダの制御も簡単にして生産性を向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明にかかる給糸装置を備えた横編機の正面図である。
【図2】は本発明にかかる給糸装置を備えた横編機の側面図である。
【図3】は本発明にかかる横編機の給糸部分の概略斜視図である。
【図4】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダ部分の斜視図である。
【図5】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダの給糸口部分の拡大正面図である。
【図6】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダの給糸口部分の斜視図である。
【図7】は本発明にかかる給糸装置の回転駆動歯部分の平面図である。
【図8】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダ部分の平面図である。
【図9】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダの回転途中を示す平面図である。
【図10】は本発明にかかる横編機のヤーンフィーダの回転が完了した状態の平面図である。
【図11】は本発明にかかる横編機における給糸装置の編糸の渡りを示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・横編機
3・・・ニードルベッド
4・・・キャリッジ
5・・・給糸装置
6・・・ヤーンフィーダ
17・・・ベース
18・・・回転制御手段
21・・・姿勢保持手段
27・・・切り込み部分
28・・・補強若しくは収縮弾性糸用給糸口
29・・・裏糸用給糸口
30・・・表糸用給糸口

Claims (3)

  1. 編針を進退可能に収納したニードルベッドを少なくとも前後一対に設けた横編機に付設される給糸装置であって、キャリッジに連動してニードルベッド上を往復動するベースと、該ベースに回転可能に枢支されたヤーンフィーダとを備え、ヤーンフィーダにはその下端部分の中央部分が切り込まれ、この切り込み部分に補強若しくは収縮弾性糸用給糸口を形成するとともに、該給糸口を挟んだ状態で裏糸用給糸口と表糸用給糸口とをそれぞれ貫設し、当該ヤーンフィーダを表糸用給糸口が先行するように回転制御手段で回転制御可能に構成したことを特徴とする横編機における給糸装置。
  2. ヤーンフィーダの一部に形成された回転歯と、該回転歯に調時連動手段で係脱操作される回転駆動歯と、キャリッジに連動してニードルベッド上を往復動するときに、回転操作されたヤーンフィーダの姿勢を保持する姿勢保持手段とで回動制御手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載の横編機における給糸装置。
  3. 編針を進退可能に収納したニードルベッドを少なくとも前後一対に設けた横編機のニードルベッドに給糸装置から編糸を周回状に給糸して編成される筒状編地の編成方法であって、キャリッジの往復摺動に連動してニードルベッド上を往復動する少なくとも1本のヤーンフィーダの補強若しくは収縮弾性糸用給糸口と、その両側に形成された裏糸用給糸口及び表糸用給糸口から補強若しくは収縮弾性糸と裏糸及び表糸をそれぞれ導出し、回動制御手段によりヤーンフィーダの往復動の切り替わり部分で表糸が常時用先行側に位置するように切り替えて編成することにより、表糸が筒状編地の表面にあらわれるようにしたことを特徴とする筒状編地の編成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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