JP2004197195A - 高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課 題】高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板を提案する。
【解決手段】C:0.01〜0.20%、Si:0.35%以下、Mn:0.4 〜2.0 %、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Al:0.080 %以下、Ti:0.01〜0.10%を含み、かつ(Si+Al)≦ 0.35 、(Si+Al)/10 ≦Ti≦ 0.1 (ここで、Si、Al、Ti:各元素の含有量(mass%))を満足するようにSi、Al、Tiを含有する組成とする。これにより、ミルスケール厚さ、切断面スケール厚さが顕著に低減でき、高エネルギービーム溶接を行っても、ブローホール等の溶接欠陥の発生を抑制でき、さらに溶接金属部の組織を、靭性に富むアシキュラーフェライト相を主体とする組織とすることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、造船、土木、建築、橋梁、建設機械、鋼管等の溶接構造物用として好適な厚鋼板に係り、特にレーザ溶接あるいはレーザハイブリッド溶接または電子ビーム溶接等の高エネルギービーム溶接を施される使途に好適な厚鋼板に関する。なお、本発明でいう「厚鋼板」とは板厚4mm以上の鋼板を指すものとする。
【0002】
【従来の技術】
近年、溶接構造物の施工においては、工期の短縮のため、溶接施工の高能率化が要求されている。レーザ溶接や電子ビーム溶接などの高エネルギービーム溶接は高いエネルギー密度を得ることができるため、深溶け込みの高速溶接が可能であり、高能率溶接法として期待されている。最近では、ビーム出力の増大とともに、レーザ溶接等の高エネルギービーム溶接の厚鋼板溶接への適用も本格的に考慮されるまでになり、溶接構造物の溶接施工において高エネルギービーム溶接の適用が盛んに行われるようになっている。しかしながら、高エネルギービーム溶接が極めて局所的な溶接であるため、高エネルギービーム溶接を利用した厚鋼板の溶接においては、板厚あたりに投入される熱量が従来アーク溶接に比べて著しく小さい、いわゆる小入熱溶接となる。このため、冷却速度が速くなり、例えば、溶接金属が著しく硬化し、割れが発生しやすいという問題や溶接金属部靱性が劣化しやすいという問題がある。
【0003】
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、鋼材に一定量のTiを含有させ、シールドガスから酸素を供給してレーザ溶接し、溶接金属組織をアシキュラーフェライト組織にして高靭性の溶接金属を得る鋼材のレーザ溶接方法が提案されている。しかし、特許文献1に記載された技術では、溶接時に、シールドガスから酸素を供給しているが、表面スケールを有する鋼板を溶接する場合には、供給酸素量のコントロールが難しく、過剰に酸素が供給される場合があり、ブローホールなどの溶接欠陥の発生を引き起こす危険性が高いという問題がある。
【0004】
このような問題に対し、特許文献2には、表面スケールを有する鋼板を高エネルギー溶接するに際し、鋼板に多量のSi、Alを含有させ、表面スケールから供給される酸素を固定して溶接金属中のブローホール等の溶接欠陥の発生を抑制する、レーザ溶接用鋼が提案されている。
また、特許文献3には、鋼板にTiを含有させるとともに、開先をガス切断あるいはレーザ切断により形成し、開先突合せ面のスケールを除去せずに、また、鋼板表面のミルスケールを除去せずに、高エネルギービームにより溶接接合するレーザビーム溶接方法および電子ビーム溶接方法が提案されている。特許文献3に記載された技術では、鋼板表面に残存するスケールから供給される酸素と、鋼板に含有されたTiとを利用して、溶接金属中にTiオキサイドを分散させ、溶接金属をアシキュラーフェライト組織とし、溶接金属の高靱性化が図れるとしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8-141763号公報
【特許文献2】
特開2000-169931 号公報
【特許文献3】
特開2000-288754 号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、脱酸力の強い多量のAl、Siの含有を必要とするため、アシキュラーフェライトの変態核となるTi酸化物を溶接金属中に均一に分散できず、溶接金属を高靱性のアシキュラーフェライト組織にすることができず、低温においても十分な高靱性が確保できないという問題があった。また、特許文献3に記載された技術では、過剰な酸素供給によるブローホール等の欠陥発生を抑えるために、溶接金属中に取り込まれるスケール厚みを微妙に制限する必要がある。しかし、スケール厚みは、切断方法、切断雰囲気(酸素ポテンシャル)、切断時の高温での酸素との反応時間などによって大きく変化し、コントロールすることは極めて困難である。また、特許文献3に記載された技術では、靭性に富む組織を得るための溶接金属中の酸素量の調整が難しいだけでなく、アシキュラーフェライトの核となるTi酸化物を十分得るためには、酸素量を、Tiよりも強脱酸であるAl、Si量とバランスさせることが必要である。Al、Siが多いと酸素がすべてAl2O3 やSiO2となりTi酸化物が得られない。
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題を解決し、レーザ溶接や電子ビーム溶接などの高エネルギービーム溶接を行っても、溶接欠陥の発生が認められず、かつ優れた靭性を有する溶接金属を形成できる、高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、高エネルギービーム溶接の溶接金属への酸素供給源として作用するスケールに着目し、厚鋼板表面、開先面に形成されるスケールの厚さに及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、ミルスケール、レーザ切断面やガス切断面、プラズマ切断面に生成するスケールの厚さが、鋼板成分により大きく変化することを見出した。とくに、強脱酸元素であるAl、Si含有量を低く制限し、弱脱酸元素であるTi含有量、さらにはMn含有量を適正量に調整することによって、鋼板表面に生成するスケール厚みを従来に比べて格段に減少させることができることを見出した。これにより、切断ままの開先を突合せ、レーザ溶接等の高エネルギービーム溶接により鋼板を接合しても、溶接金属中にブローホールなどの溶接欠陥の発生を抑制できるうえ、鋼板中のTiがスケールからの酸素と結びつき、Ti酸化物として溶接金属中に多数分散して、溶接金属をアシキュラーフェライト組織とし、高靱性の溶接金属とすることが可能となることを知見した。
【0009】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)mass%で、C:0.01〜0.20%、Si:0.35%以下、Mn:0.4 〜2.0 %、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Al:0.080 %以下、Ti:0.01〜0.10%を含み、かつSi、Al、Tiが次(1)式および次(2)式
(Si+Al)≦ 0.35 ………(1)
(Si+Al)/10 ≦Ti≦ 0.1 ………(2)
(ここで、Si、Al、Ti:各元素の含有量(mass%))
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.01〜2.0 %、Ni:0.01〜4.0 %、Cr:0.01〜2.0 %、Mo:0.01〜2.0 %、Nb:0. 003〜0.1 %、V:0.003 〜0.5 %、B:0.0005〜0.0040%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca:0.0001〜0.0060%、Mg:0.0001〜0.0060%、REM :0.0001〜0.0200%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚鋼板。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の厚鋼板の組成限定理由について説明する。なお、組成におけるmass%は、単に%と記す。
C:0.01〜0.20%
Cは、鋼板の強度を増加させる元素であり、所望の鋼板強度を確保するため、本発明では0.01%以上の含有を必要とするが、0.20%を超えて含有すると溶接性が著しく低下する。このため、Cは0.01〜0.20%の範囲に限定した。
【0011】
Si:0.35%以下
Siは、鋼板表面のスケール形成に影響する元素であり、本発明では重要な元素である。一般に、鋼板の表面スケールはFeO 、Fe2O3 、Fe3O4 から構成されている。鋼板表面のスケール生成に際し、鋼板中にSiが含有されていると、FeとOの結びつきよりSiとOの結びつきのほうが強く、ファイアライトというFeとSiの複合酸化物が形成されやすい。このため、表面スケール中へのFeの供給が抑止される傾向があり、鋼板表面に形成される酸化層は酸素原子を多く取り込んだFe2O3 が主体となりやすい。このため、ミルスケールやガス切断面、レーザ切断面等に形成される酸化層は強固で厚い層ができやすく、溶接時に酸素の過剰供給が生じてブローホール等の溶接欠陥の発生を引き起こす原因となる。このようなことから、本発明では、Siはできるだけ低減することが好ましいが、0.35%までは許容できる。鋼板中にSiが0.35%を超えて含有されると、鋼板表面に形成されるスケールが上記したような特性のスケールとなりやすく、 溶接欠陥を発生させやすい傾向となる。このため、Siは0.35%以下に限定した。なお、好ましくは0.25%以下である。
【0012】
Mn:0.4 〜2.0 %
Mnは、Cと同様に、鋼板の強度を増加させる元素であり、また、Mnは弱脱酸元素であり、脱酸剤としての作用も有する。本発明では、Mnは、脱酸作用の確保および所望の鋼板強度を確保するため、0.4 %以上の含有を必要とする。一方、2.0 %を超えて含有すると溶接性が著しく低下するため、Mnは0.4 〜2.0 %の範囲に限定した。なお、好ましくは溶接性の観点から0.8 〜1.6 %である。
【0013】
P:0.03%以下
Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるが、少量でも鋼板母材や溶接熱影響部の靭性を劣化させるため、できるだけ低減することが好ましい。本発明では、0.03%までの含有は許容できる。なお、好ましくは溶接熱影響部の靱性確保の観点から、0.02%以下である。
【0014】
S:0.01%以下
Sは、Pと同様に、不純物として鋼中に不可避的に含有され、鋼板中には硫化物系介在物として存在し、鋼板の延性、靭性を低下させる。このため、Sはできるだけ低減することが好ましいが、0.01%までの含有は許容できる。なお、好ましくは鋼板靱性の観点から、0.004 %以下である。
【0015】
Al:0.080 %以下
Alは、Siと同様に、鋼板表面のスケール形成に影響する元素であり、本発明では重要な元素である。本発明では、AlはSiと同様に、できるだけ低減することが好ましいが、0.080 %までは許容できる。Alを0.080 %超えて含有すると、ミルスケールやガス切断面、レーザ切断面等に形成される酸化層が強固で厚い層となりやすく、溶接時に酸素の過剰供給によってブローホール等の溶接欠陥の発生を引き起こす危険性が大きくなるとともに、鋼板靭性が顕著に低下する。また、Alは、溶接金属中の酸素をAl2O3 の形でとり込むことでTi酸化物の生成をさまたげるので溶接金属のアシキュラーフェライト化を抑制するおそれがある。このため、本発明では、Alは0.080 %以下に限定した。なお、好ましくは0.050 %以下である。
【0016】
Ti:0.01〜0.10%
Tiは、Si、Alと同様に、鋼板表面のスケール形成に影響する元素であり、本発明では最も重要な元素である。鋼板中にTiを含有すると、スケール生成過程の初期段階で強固なTi含有の酸化層が生成され、酸化層はTiを含んだFeO 主体となりやすい。したがって、鋼板中にTiを適正量含有させることにより、高温で酸素雰囲気に晒される鋼板表面では、所望の、Tiを含んだFeO を主体とする組成のスケールが得られる。これにより、それ以上のスケールの成長が抑止され、ミルスケールやガス切断面等のスケール厚みを、従来に比べて減少させることができる。このような効果は、0.01%以上のTi含有により顕著となる。Ti含有量が0.01%未満では、含有量が不足し、所望組成のスケールが形成できないうえ、溶接金属中のTi酸化物の分散量が不足し、溶接金属組織を靭性に富むアシキュラーフェライト組織とすることができない。一方、0.10%を超えるTi含有は、鋼板母材および溶接熱影響部靭性が顕著に低下する。このため、Tiは0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは、母材、および溶接熱影響部の靱性確保の観点から0.010 〜0.050 %である。
【0017】
さらに、本発明では、ミルスケールや切断表面のスケール厚みを従来に比べて飛躍的に減少させるために、Si、Al、Tiを上記した含有範囲内に調整したうえ、さらに次(1)式、 次(2)式を満足するように、Si、Alの合計量を規制し、さらにTi含有量の下限を、Si、Al合計量に対し規制する。
(Si+Al)≦ 0.35 ………(1)
(Si+Al)/10 ≦Ti≦ 0.1 ………(2)
(ここで、Si、Al、Ti:各元素の含有量(mass%))
Si、Al、Tiの含有量が(1)および(2)式を満足しない場合には、ミルスケールや切断表面のスケール厚みを顕著に低減することができない。
【0018】
上記した成分以外に、選択元素として、Cu:0.01〜2.0 %、Ni:0.01〜4.0 %、Cr:0.01〜2.0 %、Mo:0.01〜2.0 %、Nb:0. 003〜0.1 %、V:0.003 〜0.5 %、B:0.0005〜0.0040%のうちから選ばれた1種または2種以上、および/またはCa:0.0001〜0.0060%、Mg:0.0001〜0.0060%、REM :0.0001〜0.0200%のうちから選ばれた1種または2種以上、を含有できる。
【0019】
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Bはいずれも鋼板強度を増加させる元素であり、必要に応じ選択して含有できる。
Cuは、鋼板母材の強度を増加させる元素であり、0.01%以上の含有でその効果が認められる。一方、2.0 %を超えて含有すると、熱間脆性が顕著となり鋼板表面の性状が劣化する。このため、Cuは0.01〜2.0 %の範囲に限定することが好ましい。
【0020】
Niは、鋼板母材の強度を増加させるとともに、鋼板母材靱性を向上させる元素であり、0.01%以上の含有でその効果が認められる。一方、4.0 %を超えて含有すると、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Niは0.01〜4.0 %の範囲に限定することが好ましい。
Crは、鋼板母材の強度を有効に増加させる元素であり、0.01%以上の含有でその効果が認められる。一方、2.0 %を超えて含有すると、母材靭性が著しく劣化する。このため、Crは0.01〜2.0 %の範囲に限定することが好ましい。
【0021】
Moは、Crと同様に、鋼板母材の強度を有効に増加させる元素であり、0.01%以上の含有でその効果が認められる。一方、2.0 %を超えて含有すると、母材靭性が著しく劣化する。このため、Moは0.01〜2.0 %の範囲に限定することが好ましい。
Nbは、鋼板母材の強度を増加させるとともに、靱性を向上させる元素であり、0.003 %以上の含有でその効果が認められる。一方、0.1 %を超えて含有すると、著しい母材靭性の劣化を招く。このためNbは0.003 〜0.1 %の範囲に限定することが好ましい。
【0022】
Vは、鋼板母材の強度を増加させるとともに、靱性を向上させる元素であり、0.003 %以上の含有でその効果が認められる。一方、0.5 %を超えて含有すると、著しい母材靭性の劣化を招く。このため、Vは0.003 〜0.5 %の範囲に限定することが好ましい。
Bは、焼入れ性の向上を介して鋼板母材強度を増加させることができる元素であり、このような効果は0.0005%以上の含有で顕著となる。一方、0.0040%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Bは0.0005〜0.0040%の範囲に限定することが好ましい。
【0023】
Ca、Mg、REM は、いずれも鋼中のSを固定して鋼板母材靱性を向上させる働きを有する元素であり、Ca、Mg、REM とも、0.0001%以上の含有で効果が認められる。一方、Caを0.0060%、Mgを0.0060%、REM を0.0200%を、それぞれ超えて含有すると、鋼中の介在物量が増加し鋼板母材靱性をかえって劣化させる。このため、Ca:0.0001〜0.0060%、Mg:0.0001〜0.0060%、REM :0.0001〜0.0200%の範囲にそれぞれ限定することが好ましい。
【0024】
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、O:0.01%以下、N:0.01%以下が許容できる。
つぎに、本発明の厚鋼板の製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、 転炉、電気炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊法の通常公知の方法で鋼素材(スラブ)とすることが好ましい。得られた鋼素材を再加熱し、あるいは熱間圧延が可能な温度を保有する場合には再加熱することなく、熱間圧延(厚板圧延)を施し、厚鋼板とすることが好ましい。本発明では、熱間圧延の条件はとくに限定する必要はない。高靭性を要求される場合には、公知のTMCP法がいずれも適用することができることはいうまでもない。
【0025】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
【実施例】
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、RH脱ガス処理を施したのち、連続鋳造法で鋼素材(260 mm厚スラブ)とした。これら鋼素材(スラブ)を、1150℃に再加熱し、950 ℃以上の再結晶域温度で累積圧下率:60%の圧下と、ついで900 ℃以下の未再結晶域温度で累積圧下率:40%の圧下を施し、圧延終了温度:850 ℃とする、厚板圧延を施したのち、空冷し、板厚6mmと10mmの2種類の厚鋼板とした。
【0027】
これら厚鋼板の一部について、5kWのCO2 レーザ切断機を用いたレーザ切断によりI開先を加工した。ついで、これら開先を突き合わせて、レーザ溶接にて突合せ溶接継手を作製した。なお、レーザ溶接に際し、板厚6mmの厚鋼板では5kWのYAGレーザ溶接機を使用し、また板厚10mmの厚鋼板では10kWのCO2 レーザ溶接機を使用し、1パスの貫通溶接とした。また、鋼板表面のミルスケールおよびレーザ切断後の開先面のスケールは除去せずそのままとした。
【0028】
なお、レーザ溶接前に、試験片を採取して鋼板断面について、厚鋼板表面のミルスケール厚さ、レーザ切断面である開先面のスケール厚さを、走査型電子顕微鏡観察により測定した。
また、一部の厚鋼板について、(プロパン+酸素)ガス切断、または酸素プラズマ切断し、得られた切断面についてレーザ切断と同様にスケール厚さを測定し、各厚鋼板のスケール形成傾向を評価した。
【0029】
また、突合せ溶接継手から、JIS Z 2202の規定に準拠してVノッチ試験片(5mmサブサイズ試験片)を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して,試験温度:−20℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギー vE-20 (J)を求め、溶接金属部靭性を評価した。なお、Vノッチ試験片のノッチ位置は溶接金属中央とした。
【0030】
【表1】
Figure 2004197195
【0031】
【表2】
Figure 2004197195
【0032】
本発明例はいずれも、ミルスケール厚さおよび切断により生じたスケール厚さのいずれも薄く、溶接金属においてブローホールの発生は全く認められなかった。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、ミルスケールおよび切断により生じたスケールとも厚く形成され、溶接金属中にブローホールの発生が認められた。また、本発明例はいずれも、溶接金属の組織がアシキュラーフェライト(AF)組織となり、 vE-20 で90J以上の高い吸収エネルギーが得られ、高い溶接金属部靭性を有する継手となっている。
【0033】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板を安価にしかも安定して提供でき、高品質・高靭性の溶接金属部を有する、レーザ溶接や電子ビーム溶接などの高エネルギービーム溶接継手の作製が容易にしかも安定してでき、溶接施工能率が向上し、産業上格段の効果を奏する。

Claims (3)

  1. mass%で、
    C:0.01〜0.20%、 Si:0.35%以下、
    Mn:0.4 〜2.0 %、 P:0.03%以下、
    S:0.01%以下、 Al:0.080 %以下、
    Ti:0.01〜0.10%
    を含み、かつSi、Al、Tiが下記(1)式および(2)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高エネルギービーム溶接性に優れた厚鋼板。

    (Si+Al)≦ 0.35 ………(1)
    (Si+Al)/10 ≦Ti≦ 0.1 ………(2)
    ここで、Si、Al、Ti:各元素の含有量(mass%)
  2. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.01〜2.0 %、Ni:0.01〜4.0 %、Cr:0.01〜2.0 %、Mo:0.01〜2.0 %、Nb:0. 003〜0.1 %、V:0.003 〜0.5 %、B:0.0005〜0.0040%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca:0.0001〜0.0060%、Mg:0.0001〜0.0060%、REM :0.0001〜0.0200%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板。
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