JP2004196816A - 細胞の分化を誘導する血清由来因子およびその医薬的使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】低分子量を有し、酸性のpHで電気的に荷電し、280nmに吸収をもつ生物学的に活性な血清由来の物質組成物(SDF)に関する。このSDFは電子スプレー質量スペクトルによって測定して分子量316Daを有する。
【解決手段】本SDFまたはそのセルロプラスミン(CP)との複合体は数種の治療的に有用な性質を有する。SDFまたはそのCPとの複合体は白血病細胞に最終的な細胞分化を誘導し、それらの増殖能およびそれらの自己細胞再生能を喪失させ、初期の正常前駆細胞の増殖の刺激および血管新生の亢進を阻害すると共に、正常幹細胞および前駆細胞をエキソビボ増殖させる。活性成分としてSDFまたはその複合体を含有する医薬組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、低分子量を有し、酸性のpHで電気的に荷電し、280nmに吸収をもつ生物学的に活性な血清由来の物質組成物(SDF)、その単離方法、およびそれからなる医薬組成物に関する。
正常な造血は糖蛋白質成長因子(サイトカイン)たとえばコロニー刺激因子、ならびに非蛋白質小分子物質たとえばレチノイドを包含する多様な調節物質により統合的に行われている。それらは、生存(アポトーシス)、前駆細胞の増殖および分化ならびに成熟細胞の活性化状態を調節する。増殖および分化の両過程は、正および負の刺激によって調節される。急性白血病においては細胞分化の遮断により大量の増殖性、未分化、非機能性細胞の蓄積を招く。最近はこれらの調節物質が広範な一連の臨床的および実験室的適用に使用されている。たとえば、サイトカインは、貧血状態たとえば骨髄(BM)移植後、放射線−化学療法等の患者の処置に、ならびに細胞療法(移植、免疫−または遺伝子−療法)に価値がある特定のサブセットの細胞のエキソビボ(ex vivo)増殖に用いられる。低分子量化合物たとえばレチノイドは、白血病細胞の分化の誘導に治療的モダリティー(modality)として使用されている。
白血病の処置に対する現在のアプローチは悪性細胞を化学または放射線療法で死滅させることを基盤とする。このような処置は悪性細胞に特異的ではなく分裂中の正常細胞にも傷害を与える。したがって、未分化白血病細胞が分化を受けるように誘導することに基づく別のアプローチが開発されている。造血細胞の最終的分化により白血病の誘発性が喪失することは明らかである。
ある種の未分化骨髄性白血病細胞が、サイトカイン(たとえばIL−6)に反応し、成熟した機能性の非分裂性顆粒球またはマクロファージへの分化を受け、それによって白血病誘発性は失われることが示されている(Fibach,E.ら, Nature,New Biology 237: 276, 1972; Shabo, Y.ら, Blood 78: 2070, 1988; Fibach,E.ら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 70: 343-346, 1973; Inbar, M.ら, Proc. Natl. Acad.Sci. USA 70: 2577-2581, 1973; Fibach,E. & Sachs,L.J., Cell Physiol.83: 177-185, 1974; Hayashi,M.ら, Int.J.Cancer 14: 40-48, 1974; Fibach,E.& Sachs,L.J., Cell Physiol. 86: 221-230, 1975; Fibach, E. & Sachs, L.J.,Cell Physiol. 89: 259-266, 1975)。
他の分化誘導物質には、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンビスアセトアミド、酪酸(Collins,S.J.ら,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 75: 2458,1978)、ビタミンAおよびD3の誘導体(Breitman,T.T.ら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 77: 2936, 1980)ならびに低用量の細胞毒性薬物、たとえばアクチノマイシンDおよびシトシンアラビノシド(Breitman,T.T.ら, 同誌)が包含される。レチノイン酸は急性前骨髄球性白血病の処置に使用されている(Chomienne, C., FASEB 10:1025, 1996)。
一部の細胞系を誘導できることはあっても、これらの誘導物質は、白血病患者から新たに単離された細胞に最終的な分化を誘導することは稀にしか認められない(Breitman,T.T.ら, 1980, 同誌)。
悪性および貧血状態における高分子量の銅結合蛋白質であるセルロプラスミン(CP)のある種の活性が数報、報告されている。
たとえば、JP 56120622およびJP 56090015には、CPが白血病に対する抗腫瘍製剤の活性成分として記載されている。JP 56120622にはCPが癌の増悪に対するその阻止作用により、数種の哺乳動物の腫瘍に対して治療活性を有する旨記載されている。さらに、CPは強力な酸化性スーパーオキサイドアニオンラジカルを不活性化して酸素分子に変換できることが記載されている。CPには肝臓カタラーゼの生合成の促進作用があるとも言われている。
JP 56090015には、主要な成分としてヒトCPを含有する、抗悪性腫瘍剤の副作用の予防および治療薬が記載されている。
JP 56002916にはまた、CPが抗腫瘍剤として記載されている。この公報は活性成分としてCPを含有する、放射線傷害の予防および処置のための組成物に関するものである。CPからなる組成物でプレインキュベーションしたのちγ線を照射された動物は高い生存率を示した。この公報に記載された予防活性は特異的にCPに帰因するものであった。
JP 60149529は哺乳動物にCPを投与した結果としての分化誘導因子の産生に関する。さらに、活性成分が動物をCPで処置したのちに産生された分化誘導因子である白血病の薬剤が記載されている。この公報に指摘されているように、分化誘導因子により得られる白血病細胞の分化はCP刺激を介して誘導される。繰り返しCPを投与したウサギから得られる血清はM1細胞のマクロファージへの分化を誘導することができた。しかしながら、CP単独では分化を誘導することはできなかった。分化の誘導を引き起こしたCP刺激によって得られる物質の同定または性質に関しては何ら指摘がない。
CPの使用については他の医薬組成物の調製に関しても報告されている。たとえばGB1,304,697にはとくに炎症に対して使用するための、CPからなる医薬組成物が記載されている。
さらに、臨床試験によりCPが再生不良性貧血の治療に有用であることも明らかにされている(Shimizu,M.,Transfusion 19(6):742-8,1979;Arimori,S.,Jap.J.Clin.Exper.Med.43: 1897,1966)。
初期の報告とは異なり、本発明においては、従来CPに帰せられていた活性が低分子量の物質組成物(SDF)に起因するものであることが明らかにされた。この物質は血清中ではCPと優先的に会合する(SDF−CP複合体)。SDFとCPの間の会合の性質とは無関係に、成人血清に由来するCPは、この因子に富んだ原料であることが明らかである。SDFの他の原料には尿および胎児血清がある。その高い分子量により無傷のCPは尿中には存在できない。したがって尿中に存在するこの因子はCP分子とは会合していないか、少なくともその無傷の分子とは会合していないものと推察される。
以下に示すように、本発明の主題であるSDFならびにそのCPとの複合体は多くの治療的用途を有する。
本発明は、低分子量を有し、酸性のpHで電気的に荷電し、280nmに吸収をもつ生物学的に活性な血清由来の物質組成物(SDF)に関する。SDFの分子量は電子スプレーで測定して316である。
第二の態様においては、本発明は低分子量物質組成物の血漿からの単離および精製方法であって、(a)血漿を親和性カラムに通して輸送し、SDF−CP複合体である電気泳動的に均一な(homogeneous)分画を得、所望により陰イオン交換カラムを通過させて濃縮し、(b)(i)工程(a)で得られた分画をRP−HPLC“Resource”(登録商標)カラムに通して、水(pH2.5)中0.05〜0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)からなる溶出緩衝液A、アセトニトリルからなる緩衝液Bを用いてアセトニトリル濃度0〜2%および13〜17%で溶出する分画を集めて合わせるか、または(ii)工程(a)で得られた分画を酸性溶媒で抽出し、有機相から活性分画を回収して、SDF−CP複合体からSDFを単離し、(c)工程(b)において得られた分画を、C−18カラムを用いるRP−HPLCクロマトグラフィーにより、最初の任意の分離工程では水(pH2.5)中0.1%TFAからなる溶出緩衝液Aおよびアセトニトリル中0.1%TFAからなる溶出緩衝液Bを用いてアセトニトリル濃度0〜2%で溶出する分画を集め、次の分離工程では水中0.1%のトリエチルアミンからなり、pHを7.0に調整した溶出緩衝液Aおよびアセトニトリルからなる溶出緩衝液Bを用いてアセトニトリル濃度9〜11%で溶出する分画を集める工程からなる方法に関する。
本発明の範囲内にはまた、セルロプラスミンおよび上述の生物学的に活性な物質組成物(SDF)からなる生物学的に活性な複合体も包含される。
第二の態様においては、本発明は、活性成分として本発明のSDFまたはそのCPとの複合体、および所望によりさらに医薬的に許容される添加物からなる医薬組成物に関する。
このような医薬組成物は、骨髄形成不全の患者の処置、腫瘍の寛解の誘導または維持、骨髄移植に際しての造血正常幹細胞および前駆細胞の増殖、または血管新生の阻害に使用することができる。
本発明は、低分子量を有し、酸性のpHで電気的に荷電し、280nmに吸収をもつ生物学的に活性な血清由来の物質組成物(SDF)に関する。SDFの分子量は電子スプレー質量スペクトルで測定して316である。
さらに詳しくは、SDFは、その断片化により電子スプレー質量スペクトル上に指示されるように、芳香族残基からなり、二重電荷を有する。
本発明はまた低分子量物質組成物の血漿からの単離および精製方法において、(a)血漿を親和性カラムに通して輸送し、SDF−CP複合体である電気泳動的に均一な分画を得て、所望により陰イオン交換カラムを通過させて濃縮して280nmに吸収を有する結合分画を収集し、(b)(i)工程(a)で得られた分画をRP−HPLC“Resource”(登録商標)カラムに通し、水(pH2.5)中0.05〜0.1%TFAからなる溶出緩衝液A、アセトニトリルからなる溶出緩衝液Bを用いてアセトニトリル濃度0〜2%および13〜17%で溶出する活性分画を集めて合わせ、この場合、上記CPの分画はアセトニトリル濃度約40%で溶出して活性を欠き、または(ii)工程(a)で得られた分画を酸性溶媒で抽出し、有機相から活性分画を回収し、一方、CPは水相から不活性型で回収される工程によって高MW CP蛋白質との複合体からSDFを単離することからなる方法に関する。以下に示すように、工程(b)において得られた2つの分画が活性であった。保持時間の差は分子のイオン化の状態および/またはある種の不純物、多分小さいペプチドとの会合によるものと考えられる(図2)。工程(a)に使用される親和性クロマトグラフィーカラムはSepharose CL−6BまたはSepharose 4Bとクロロエチルアミンの反応を用いて誘導されるテンタクル−アガロースゲルとすることが好ましい(Calabrese,L.,Biochem.Int.16:199-208,1988)。
SDFをその不純物から単離するためには他の精製工程が要求される。すなわち本発明の方法はさらに、(c)工程(b)において得られた活性分画を、C−18カラムを用いるRP−HPLCクロマトグラフィー分離により、最初の任意の分離工程では水(pH2.5)中0.1%TFAからなる溶出緩衝液Aおよびアセトニトリル中0.1%TFAからなる溶出緩衝液Bを用いてアセトニトリル濃度0〜2%で溶出する分画(空隙(void))を集めて精製することからなる。酸性pH(2.5)におけるこの精製工程では上記不純物からのSDFの部分的解離が起こる。活性分画は空隙容量に相当する位置に溶出され、一方、大部分の不純物は勾配で溶出される。半精製SDF(酸性pHにおける任意精製を行った場合)は、ついでそれを同じカラムに通し、水中0.1%のトリエチルアミンからなり、pHを7.0に調整した溶出緩衝液Aおよびアセトニトリルからなる溶出緩衝液Bを用いる次の分離工程に付す。単一の対称なピークとして出現する分画はアセトニトリル濃度9〜11%で溶出し、この分画を収集する。所望により、工程(b)で得られた分画を直接(c)の第二の分離工程で分離してもよい。
工程(a)の別法として5工程の精製操作を用いることもできる。この5工程操作は硫酸アンモニウム沈殿、陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAE)、陽イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose)、染料−リガンドクロマトグラフィー(Affigel blue)および疎水性クロマトグラフィー(TSK-Phenil)の工程からなる。最後の精製工程後に、精製分画はさらにSDS−ゲル上で分離することができる。
本発明によれば、SDFが得られる血漿はヒト血漿である。しかしながら、本発明者らは活性分画が非ヒト血漿、ヒト尿およびウシ胎児血清にも存在することを見出している。完全なCP蛋白質は尿中に存在するには大きすぎるので、尿中に存在する活性分画はSDF自体、またはCP蛋白質の部分もしくは他の小さいペプチドに会合しているものと推測される。以上から考えて、SDFはヒトまたは非ヒト成人または胎児の血清または尿から任意の適当な方法によって単離および精製できるものと思われる。
本発明はまたCPおよびSDFからなる生物学的に活性な複合体に関する。
本発明の方法によって得られる生化学的に純粋なSDFもまたすべて本発明の範囲に包含されることは自明の通りである。SDFとCPの複合体は、本発明のたとえば5工程精製の工程(v)の操作から(実施例1B)または本発明の1工程親和性精製操作ののちに得ることができる。
以下の説明に示すように、本発明者らは、培養液中における細胞の成長および生存能を維持する正常血清が、造血細胞に二重の活性を発揮する低分子量の天然物質を含有することを見出した。すなわち、一方ではそれは様々な正常血液細胞の発生をきわめて強力に刺激し、他方では最終的な分化を誘導することにより白血病細胞の増殖を阻害する。この天然物質は血清から精製されたことから「血清由来因子」(SDF)と命名された。
正常の造血に対するSDFの作用
移植における造血細胞成長因子の使用
元は自己由来または同種起源から得られた造血細胞の移植は遺伝性または悪性の多様な疾患に対する第一選択的な処置となっている。最近では、多能性の造血幹細胞(CD34細胞)に富むさらに特定された集団がこのような処置に使用されている(Van Epps,D.E.ら, Blood Cells 20: 411, 1994)。骨髄のほかに、幹細胞も他の原料たとえば末梢血および新生児臍帯血から誘導できた(Emerson,S.G., Blood 87: 3082, 1996)。自家骨髄移植に比べて、末梢血細胞の移植は、汎血球減少症の期間を短縮して、感染および出血の危険を低下させる(Brugger,W.ら, N.Eng.J.Med. 333: 283, 1995; Williams,S.F.ら, Blood 87: 1687, 1996; Zimmerman,R.M.ら, J.Haematotherapy 5: 247, 1996)。移植に末梢血を用いる他の利点はその入手の容易さである。しかしながら、末梢血移植の制限因子は、循環CD34細胞の数が少ないことである。したがって移植に十分な細胞を得るためにはコロニー刺激因子および化学療法による処置後、骨髄から循環への動員ののち、末梢血由来の幹細胞は反復白血球泳動により「収穫」される(Bruggerら、1995、同誌;Williamら, 1996、同誌)。
予備的試みでは成長因子混合物を含む組織培養液中でのエキソビボ増殖によりCD34集団を濃縮した(Koller,M.R.ら, Blood 82: 378, 1993; Lebkowski,J.S.ら, Blood Cells 20: 404, 1994)。少数のCD34細胞からの機能性幹細胞のこのような増殖には以下のような利点がある。
−それは成人造血系の再構築に要求される血液の容量を減少させ、動員および白血球泳動の必要性が除去される(Bruggerら, 1995, 同誌)。
−エキソビボ増殖集団の将来の使用の可能性のための末梢血、骨髄または臍帯血CD34細胞の少数の保存を可能にする。
−悪性腫瘍患者の自己移植の場合に、使用される血液総容量を減少させ、最終的な移植体中における腫瘍細胞の負荷を、CD34細胞の選択により低下させることができる。自己輸血中のこのような夾雑腫瘍細胞は疾患の再発を引き起こす可能性がある(Bruggerら, 1995, 同誌)。
−培養はT−リンパ球の重要な欠失を与え、これは移植片対宿主病を減少させる同種移植のセッティングに有用である。
臨床試験により、少数の末梢血CD34細胞に由来するエキソビボ増殖細胞の移植は、高用量の化学療法剤で処置された患者の造血系を回復できることが指示されている。しかしながら、今日までの結果からは、このような培養細胞の長期にわたるインビボ造血能力について確立した結論が容認されるには至っていない(Bruggerら, 1995、同誌;Williamら, 1996、同誌)。
移植の成功には血球減少症の期間の短縮ならびに長期間の着床が重要である。移植体中に中期および後期前駆細胞を包含するとドナー由来の成熟細胞の産生が加速され、血球減少相を短縮できた。エキソビボ増殖細胞には幹細胞に加えて、さらに分化が進んだ前駆細胞を包含することが、造血系の短期間での回復および長期にわたる復元を至適化するために重要である。この目的では、幹細胞の増殖とともに、中期および後期前駆細胞、とくに好中球および巨核球系列を担当する細胞の増殖が要求される(Sandstrom,C.E.ら, Blood 6: 958, 1995)。
悪性腫瘍患者における自己移植に関しては様々な成長因子たとえばG−CSFおよびGM−CSFがBM移植に現在用いられていることに留意すべきである。それらは、移植(および化学療法)後の好中球の回復時間を骨髄性前駆細胞の刺激により短縮することが示されている。しかしながら骨髄性白血病細胞はこれらの因子の受容体を有するので、残った悪性細胞の増殖も刺激される。SDFそれ自体またはそのCPとの複合体は単独でまたはGM−CSFとの組合せで正常前駆細胞の増殖を増強するが、骨髄性白血病細胞の「自発性」およびGM−CSF刺激増殖を阻害し(実施例2〜6)、それは、二重作用すなわち白血病細胞撲滅作用と同時に正常細胞刺激作用を有する可能性がある。
以下に例示するように、SDFによって処置された白血病細胞はそれらの増殖能を失い、これは細胞がそれらの白血病誘発能を失ったことを指示する。したがって、SDFは大きな治療的価値を有すると考えられる。
さらに、SDFまたはそのCPとの複合体は、初期の正常前駆細胞の増殖を刺激することができる。したがって、SDFまたはそのCPとの複合体は正常造血細胞たとえば幹細胞(CD34)、および骨髄性および赤血球担当の前駆細胞、ならびにBM移植処置のための抗原提示樹状突起細胞のエキソビボ増殖、または細胞療法(移植、および免疫または遺伝子療法)に価値がある特異的サブ集団のエキソビボ増殖に使用できる可能性がある。加えて、SDFまたはそのCPとの複合体はインビボに適用することも可能で、この場合それらは形成不全状態たとえば再生不良性貧血または放射線/化学療法後の造血組織の回復を支持する。
さらに、白血病細胞の分化の誘導および増殖の阻害に有効ではあるが、SDFもまたそのCPとの複合体も正常な骨髄性および赤血球系細胞の発生を阻害しないことが本発明者らによって見出された。しかも、SDFまたはそのCPとの複合体は単独でまたは他の成長もしくは増殖因子と組合せると正常な初期前駆細胞の増殖を刺激することが発見された。たとえば:
(a)初期造血幹細胞および担当前駆細胞のインビトロ刺激。SDFはPBまたはBMに由来する初期幹細胞(CD34)の増幅を刺激することが見出され、したがって多能性幹細胞ならびに系統(顆粒球、赤血球および巨核球)担当前駆細胞のエキソビボ増殖に適用できる可能性がある。後期成長因子との組合せにおいては(相2で添加、実施例中で以下に説明)、SDFは骨髄系および赤血球系コロニー形成細胞の数を上昇させる。このような培養は(固定化)PBおよび新生児臍帯血に由来するCD34濃縮集団の移植および遺伝子療法に重要である。
(b)初期幹細胞および担当前駆細胞のインビボ刺激。SDFは、PBおよび赤芽球ろう患者に由来する前駆細胞のインビトロ増殖を刺激することが見出された。これらの結果は、SDFまたはそのCPとの複合体が形成不全状態、たとえば再生不良性貧血、ファンコニ貧血、脊髄異形成症候群または骨髄破壊放射線/化学療法およびBM移植後の正常な造血系の回復のために投与可能であることを示唆する。
(c)治療的可能性のあるリンパ造血細胞の特異的サブセット集団、たとえば抗原提示樹状突起のエキソビボ増殖。樹状突起は「専門的な」、免疫刺激、抗原提示細胞である。様々な研究から、免疫療法における樹状突起細胞の使用の可能性が示唆されてきた。このモダリティーには、インビトロでパルスされた樹状突起細胞の治療用ワクチンとしての腫瘍抗原との移入、ならびに養子(adoptive)T細胞療法に使用するため腫瘍抗原特異的T細胞のプライミングにおける樹状突起細胞の使用が包含される(Bernhard,H.ら, Cancer Res. 55: 1099, 1995; Protti,M.P.ら, Cancer Res. 56: 1210, 1996)。文献によれば、このような細胞の増殖に最良の「カクテル」は、サイトカインの混合物(GM−CSF、SCF、IL−4およびTNFα)である。BM細胞をこのようなカクテルの存在下にクローン化すると発生したコロニーの総数の40%が樹状突起細胞を含んでいた(Moore,M.A.ら, J.Exp.Med.182: 1111, 1995)。PB前駆細胞からこのようなコロニーを得るためには、培養集団がCD34細胞に富んでいなければならない。SDFまたはそのCPとの複合体はPB−CFU−樹状突起細胞の委任/増殖を誘導する。SDFまたはそのCPとの複合体を用いて(TNFまたはSCFなしで)非濃縮PB単核球から80%までの樹状突起コロニーが得られた。
実施例5に示すように、SDFはウシ大動脈からの内皮細胞の増殖に強力な阻害活性を有する。
上述のような、BM移植に加えて、SDFまたはそのCPとの複合体を用いる造血幹細胞のエキソビボ増殖は遺伝子療法に使用できる可能性がある。
白血病の造血機能に対するSDFの作用
さらに、SDFまたはそのCPとの複合体は本発明の方法もしくは任意の他の適当な方法で得られてもまた任意の適当な操作で合成されても、ヒトおよびマウス両者の確立された白血病細胞系ならびに急性および慢性のヒト骨髄性白血病から新たに体外培養された細胞の分化の誘導および増殖の阻害のような数種の治療的活性を有する。さらに、SDFそれ自体またはそのCPとの複合体は白血病細胞の最終的細胞分化を誘導することができる。幼若細胞はその白血病性の表現型を失い、機能性の非分裂マクロファージに変化する。さらに、上記最終的細胞分化の結果またはそれとは独立に、上記白血病細胞はSDFまたはそのCPとの複合体の存在下にそれらの増殖能力およびそれらの自己細胞再生能力を失う。白血病細胞に対するSDFまたはそのCPとの複合体の作用は、3つの臨床的セッティングにおいて、骨髄球性白血病の処置に有用である可能性がある。すなわち、(a)主要なモダリティーとして「分化誘導療法」を用いる、所望により他の造血因子または低用量化学療法と組合せた寛解の誘導;(b)腫瘍の寛解状態の維持、および(c)残留する白血病細胞のインビトロまたはインビボ排除のための自己移植である。
別の態様においては、SDFまたはそのCPとの複合体は核転写因子の修飾による造血細胞の増殖および分化の調節に利用できる。
特異的な遺伝子の発現レベルの修飾には、細胞の増殖および分化の制御が前提条件である。遺伝子の発現は、場合により細胞表面受容体からのシグナル伝達の標的である配列特異的DNA結合蛋白質(転写因子)によって制御される。増殖の制御におけるこの過程の重要性は数種の癌原遺伝子たとえばc−Myc、c−Myb、c−Fos、c−Jun等が、配列特異的な転写因子をコードすることの発見によって強調される(Xanthoudakis,S., EMBO J. 11:3323, 1992; Ammendola,R., Eur.J. Biochem. 225: 483, 1994)。これらの因子の活性はリン酸化によって修飾することができるが、還元−酸化(レドックス)状態の変化により仲介されるDNA結合活性の付加的な形態の調節の証拠が最近出現した。レドックス状態は、リン酸化と同様の様式での転写因子の翻訳後制御の一般的な機構を提供する可能性が示唆されている(Xanthoudakis,S., 1992, 同誌;Ammendola, 1994, 同誌)。たとえば、Fos−JunヘテロダイマーおよびJun−JunホモダイマーのDNAへの結合にはこれらの蛋白質が還元状態にあることが要求される。このレドックス調節型は、数種の他の転写因子たとえばMyb,Rel,およびNK−kBのDNA結合活性が同様な様式でそれらの酸化状態の変化に鋭敏であることから、広く使用されている可能性がある。
最近の開示では、小さなレドックス電位分子たとえばグルタチオン、または大きな蛋白質たとえばチオレドキシン(Walker,L.J., Mol.Cell.Biol. 13: 5370, 1993)のSp−1のような数種の核転写因子のDNA結合能の調節に寄与することが示唆されている。ヒト線維芽細胞の培養では、ピロキノリンキノン(PQQ)のようなレドックス電位を有する小分子が、増殖を刺激することが示されている(Naito,Y., Life Sciences 52: 1909, 1993)。PQQの強度は上皮成長因子の場合に匹敵し、線維芽細胞成長因子またはインスリン成長因子に比べてはるかに高い。ジチオカルバメートのピロリジン誘導体はAP−1調節を介して骨髄系細胞の分化を誘発する(Aragones,J., J.Biol.Chem. 271: 10924, 1996)。したがって、レドックス電位活性を有する小分子は転写因子の活性の調節を介して細胞の増殖および分化を修飾することができると結論される。
本発明者らによればPQQは高濃度で白血病細胞の分化を誘導し、正常細胞の増殖を刺激できる(実施例6)ことが見出された。しかしながら、高濃度を必要とすることから、SDFに比較してPQQの効果は低い。SDFは低分子量物質組成を有し、二重の陰性電荷をもつと考えられ、しかも分化の誘導におけるその強度からSDFはPQQと同様にレドックス電位活性を有し、したがって転写因子活性の調節を介して細胞の増殖および分化を修飾する可能性も予測される。
血管新生に対するSDFの作用
別の態様においては、SDFは内皮細胞の増殖に強力な阻害活性を有することが見出され、したがって、血管新生の阻害に適用できる可能性がある。ある種の病的状態においては、血管新生は劇的に増大し、もはや自己制御を受けない。病的な血管新生は多くの疾患、たとえば慢性関節リウマチ、乾癬、水晶体後線維増殖症、糖尿病性網膜症および血管腫の発症時、臓器移植の拒絶反応時、ならびにとくに重要なものは悪性の固形腫瘍において認められる。血管がよく発達した腫瘍は局部的および転移の両者によって増殖し、一方血管の少ない腫瘍は直径1〜2mmを越えて増殖することはない。これは血管新生の刺激物質と阻害物質の間のバランスの欠如の結果であると示唆されている(Folkman,J., New Engl.J. Med. 285: 1182-1186, 1971; Folkman,J., J.Natl.Cancer Inst. 82: 4-6, 1989)。
他の態様においては、活性成分としてSDFまたはそのCPとの複合体を含有し、所望によりさらに医薬的に許容される添加物からなる医薬組成物が本発明の範囲内に包含される。このような医薬組成物は、病的な表出として制御されない血管新生を伴う疾患における血管新生の増進を阻害するために使用できる。
本発明の他の医薬組成物は、活性成分として本発明のSDFからなり、所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含有する腫瘍の寛解を誘導する医薬組成物である。
別の態様では本発明の医薬組成物は活性成分として本発明のSDFからなり、所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含有する、腫瘍の寛解を維持する医薬組成物である。
さらに、活性成分として本発明のSDFからなり、所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含有する、造血正常幹細胞および前駆細胞の骨髄移植体を増殖させるための医薬組成物もまた、本発明の範囲に包含される。
本発明のSDFの治療用量はもちろん、患者群(年齢、性別等)、処置される状態の性質、投与経路によって変動し、担当医師によって決定される。
本発明の医薬組成物は投与量単位剤形に調製することができる。剤形にはまた持続放出性デバイスも包含される。これらの組成物は製薬技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
医薬組成物中の医薬的に許容される添加物は、医薬的に許容される担体、賦形剤または安定剤、および所望により他の治療成分とすることができる。医薬的に許容される担体、賦形剤または安定剤は、本質的に、使用される投与量および濃度においてレシピエントに非毒性である。
最後に、本発明の範囲内には、様々な医薬組成物の製造におけるSDFまたはそのCPとの複合体の使用が包含される。
実施例1−SDFの分離および精製
A:SDF−高MW複合体の1工程親和性(affinity)精製
血漿からCPを分離するためには、ヒト血漿を親和性カラムに通過させる。親和性クロマトグラフィー操作はCP蛋白質が優先的に結合するテンタクル−アガロースゲル操作を基盤とする(Robert,V.S., Biochemistry International 27:281-289, 1992)。このゲルはSepharose CL−6BまたはSepharose4Bをクロロエチルアミンと反応させることにより誘導された(Robert, 1992, 同誌)。
血漿を親和性カラムに通す前に所望により、血漿を10mM tris緩衝液、pH7.4、伝導度5msに平衡化した硫酸アンモニウムにより、カットオフ30〜60%で沈殿させ、ついで上述のようにテンタクル−アガロースゲル上で分離してもよい。溶出は段階的にtris緩衝液中0.1,0.2,0.3,0.5,1.0M NaClによって実施した(図1)。
親和性クロマトグラフィーによって得られた電気泳動的に均一な(homogeneous)CP分画を濃縮するためには、分画を陰イオン交換カラム(DEAE、QAE Sephadex カラム)に通した。カラムおよび分画はtris緩衝液中300mMのNaClで平衡化した。結合した分画はtris緩衝液中300mMのNaClで溶出した。
B:SDF−高MW複合体の5工程精製
(i)硫酸アンモニウム沈殿−ヒト血漿30literを遠心分離した。澄明な上清に固体の硫酸アンモニウムを終濃度60%になるように加え、ついで室温で4時間攪拌した。得られたスラリー混合物を遠心分離し、沈殿は捨てた。上清にさらに固体の硫酸アンモニウムを85%飽和まで添加した。24時間攪拌したのち、スラリー混合物を遠心分離し、沈殿を6Lのtris緩衝液10mM(pH7.5)、50mM NaClに溶解し、3Kカットオフ膜を用いて同じ緩衝液に対して透析ろ過した。伝導度が5msに達し、溶液の容量が4Lに減少した時点で透析ろ過は完了した。得られた溶液は澄明で、ペレットは認められなかった。14000×gで10分間遠心分離すると2.4×10mgの蛋白質が回収された。
(ii)陰イオン交換クロマトグラフィー:工程(i)で得られた分画をtris緩衝液20mM(pH7.4)、120mM NaCl(伝導度120ms)に平衡化し、同じ緩衝液で予め平衡化したDEAEカラム(Pharmacia LKB Biotechnology AB, Uppsala, Sweden, 床容量 1 liter (11.2×10h))に流速2.5L/時でポンプを用いて送った。カラムを負荷緩衝液で溶出液の280nmにおけるO.D.が基底値に戻るまで洗浄した。使用した溶出緩衝液はtris緩衝液中120mM NaCl〜500mM NaClの直線塩勾配とした。活性は300mM NaClで溶出した。
DEAEで得られた分画をtris緩衝液25mM(pH7.4)、100mM NaClでv/v希釈した。攪拌しながら、n−ブタノールをブタノール相が得られるまで滴下して加えた。遠心分離して、2相(水相およびブタノール相)を別個に集めた。ブタノール相を蒸発させ、エタノールまたはtris緩衝液に再溶解し、活性をアッセイした。水相はDEAEカラム上でさらに分離した。結合した蛋白質はtris緩衝液(pH7.4)、1M NaClで段階的に溶出した。活性は結合分画から回収された。
(iii)陽イオン交換クロマトグラフィー:ブタノール抽出およびDEAE段階溶出から得られた水性分画を、さらにS−Sepharoseカラム(Pharmacia, 床容量800 ml)上で分離した。溶出緩衝液Aは、20mM酢酸塩緩衝液(pH5.0)、40mM NaCl(伝導度4ms)、緩衝液Bは、20mM酢酸塩緩衝液(pH5.0)、0.6mM NaClから構成された。緩衝液Aで平衡化したカラムに分画を負荷し、緩衝液Aの条件に調整した。溶出勾配には100%緩衝液Aから出発し100%緩衝液Bまでの直線塩勾配を使用した。活性は300mM NaClで溶出した。
(iv)染料−リガンド(Affigel blue)クロマトグラフィー:S−Sepharoseクロマトグラフィーから得られた活性分画をプールして、親和性Gel Blue カラム(50〜100 メッシュ、Bio−Rad,Cat.No.153−7301,カラム床容量40ml)上で分離した。溶出緩衝液Aは、50mM tris緩衝液(pH7.4)、24mM KClおよび2mM ZnCl(伝導度5.5ms)、溶出緩衝液Bは、50mM tris緩衝液(pH7.4)、24mM KCl、緩衝液Cは50mM tris緩衝液(pH7.4)、1M KClを使用した。予め溶出緩衝液Aで平衡化したカラムに活性分画を負荷し、緩衝液Aの条件に調整し、ポンプにより流速3ml/分で流した。蛋白質は100%緩衝液を用いる段階的溶出により溶出した。
(v)疎水性クロマトグラフィー:Affigel blueから得られたプールした活性分画を、さらにTSK−フェニルカラム(Pharmacia,床容量15ml)上で分離した。溶出緩衝液Aは50mM tris緩衝液(pH7.4)、20%硫酸アンモニウムから構成され、緩衝液Bは50mM tris緩衝液(pH7.4)から構成され、緩衝液Cは50mM tris緩衝液(pH7.4)中20%エタノールとした。予め緩衝液Aで平衡化したカラムに活性分画を負荷し、緩衝液Aの条件に調整した。100%緩衝液Aから100%緩衝液Bの負の塩勾配(硫酸アンモニウム)を使用し、ついで緩衝液Cにより連続的に段階溶出を行った。活性は5〜10%硫酸アンモニウムで溶出した。
5工程操作を表1にまとめる。
いずれの操作(AまたはB)においても電気泳動的に均一なSDFの分画がそのCPとの複合体(97KD MW)として得られた(データは示していない)。SDF活性の70%が97KDバンドから回収されたが、ゲルの前方に相当する位置における分画からは30%の活性が回収された。
Figure 2004196816
最後の精製工程ののち、精製分画をSDS−ゲル上で分離することができる:
活性の70%が97KDのMWに相当する蛋白質バンドから回収され、一方、活性の30%はゲルの前方における低MW分画から回収された。97KDバンドを配列決定して、銅結合蛋白質−セルロプラスミンに相当することが見出された。低MW分画も配列を決定し、質量スペクトルによって分析し、1〜2KD MWの数種のペプチドを含有することが認められた。工程(v)で得られた高MW複合体からSDF分子を分離するためには、複合体を上述の工程(b)および(c)による精製に付した。
CPとの高MW複合体からのSDFの単離
SDF分画は複合体から2つの異なる操作で単離することができる。
A:RP−HPLC“Resource”(登録商標)クロマトグラフィー:活性分画は9mgの精製複合体より、ポリスチレン/ジビニルベンゼンビーズからなるRP−HPLCカラム(3ml,Pharmacia)上で分離した(図2)。緩衝液AはHO中0.1〜0.05%TFA、緩衝液Bはアセトニトリルから構成され、流速は3mlとし、A220の吸収を測定した。0〜2%および13〜17%アセトニトリルにおける2つのSDFピークが検出され、収集された。
B:溶媒抽出:活性分画はそのCPとの複合体から酸性溶媒による溶媒抽出によって分離した。SDF−CP、1M HClおよびブタノール(1:4:10)の混合物を振盪し、ついで5分間遠心分離した(約2000×rpm)。水相および有機相を別個に収集した。SDF活性は有機相から回収され、一方、CP分画は水相中に存在した。メタノール、アセトニトリルまたはクロロホルムも溶媒として使用できる。
SDFの精製
RP−HPLCクロマトグラフィー:C−18カラム(Vydac 2.1×280mm)を用いるRP−HPLC分離操作によるSDFの精製
最初の精製工程においては、pH2.5の溶出緩衝液を採用した。緩衝液A−HO中 0.1%TFA、緩衝液B−アセトニトリル中0.1%TFA。SDF分画は約0〜2%アセトニトリルにより5〜6分後に溶出し(図3)、これは空隙容量に相当した。
第二の精製工程では、pH7.0に調整した水中1%トリエチルアミンから構成される緩衝液Aおよびアセトニトリルからなる緩衝液Bを使用した。SDF分画は11〜12分後に約9〜11%アセトニトリルで溶出した(図4)。
第二のRP−HPLC分離工程から11.26分に溶出した分画(図4)をプールし、最初のRP−HPLC分離工程と同じ条件で再クロマトグラフィーに付すと単一の対称的なピークのみが5〜6分後に得られた。この再クロマトグラフィー工程の目的は第二の分離後に得られた分画が単一の均一なピークであることを示すことである(図5)。
実施例2−SDFの特性
UVスペクトル
C−18カラムから溶出した活性ピークの紫外線吸収スペクトル(図4〜5)は280nmにおける吸収によって指示されるように(図6)、芳香族化合物の存在が有力であることを示唆している。この分画をさらにアミノ酸分析および配列決定に付したが、その結果はいずれも否定的であった。したがってSDFは、この工程までペプチドとの関連で精製されたが、活性な化合物はペプチドではないと考えられる。
質量スペクトル
活性分画の質量スペクトル(電子スプレー)分析(図7)からは、分子量316(317−1)を有する単一化合物の存在が指示される。コーン電圧30V、45Vおよび60Vにおける分子の断片化を図8(a〜c)に示す。159分子量の質量フラグメントはその化合物の半分の質量を表すものと思われる。このような半質量フラグメントは二重荷電分子(M/2e)の特徴である。さらに、二重荷電イオンは高度に不飽和な化合物(たとえば芳香族またはN−含有芳香族化合物)のスペクトルに主として認められる。
質量およびUVスペクトル、ならびに様々なpHでのRP−HPLCにおけるSDFの挙動は、活性物質が、芳香族の荷電した物質組成物であることを示唆するものである。
実施例3−生物学的実験操作
連続細胞系
細胞系にはヒト骨髄単球細胞HL−60、GM−CSF−依存性ヒト骨髄単球細胞LK(本発明者らの実験室で樹立)、ならびにマウス単球細胞系WEHIが包含された。細胞系は、10〜20%のウシ胎児血清(FCS)(Bio Labs Jerusalem, Israel)補充α最小必須培地またはRPMI−1640培地(GIBCO,Grand Island, NY)中3〜4日毎に2.5×10細胞/mlで継代培養することによって維持された。培養液は空気中5%COの加湿雰囲気下37℃でインキュベートした。生存細胞の濃度はトリパンブルー排除法によって決定した。総細胞数はCoulterカウンターを用いて計数した。
細胞増殖アッセイ
HL−60または他の細胞は、培地中に0.5%熱不活性化FCSならびに様々な希釈度の試験分画を含有する24−ウエルディッシュにおいて、1.3×10/mlで培養した。DNA合成は日4の収穫の12時間前に添加した[H]−チミジン(1mci/150μl)(5mCi/mmol,ICN Radiochemicals,Irvine,CA)の取り込みによって測定した。1単位のSDFは[H]−チミジンの取り込みの50%低下に要求される1mlあたりの量と定義した。
細胞分化アッセイ
形態学:Cytospin(Shandon,Cheshire,UK)調製スライドを、May−Grunwald Giemsaで染色した。少なくとも100個の細胞について計数してマクロファージ様細胞の百分率を決定した。
貪食能試験
ポリスチレンラテックス粒子(直径3.2μ)(Sigma,St.Louis,MO)をアッセイの日3に次のように添加された。ヒト血清を食塩水で1:1に希釈し、0.45μのフィルターを通してろ過した(不溶性の粒子の除去のため)。ついで希釈血清1mlあたり5×10個のビーズを加え、37℃で30分間インキュベートした。この懸濁液を0.1ml/ml培養液で添加した。24時間インキュベートしたのち、細胞を収集し、培地で2回洗浄し(遊離ラテックス粒子を除去するため)、倒立顕微鏡下に少なくとも200個の細胞を評価することによって、貪食細胞の百分率を決定した。自動的貪食能試験は記述したような培養液に蛍光2μラテックス粒子(Polyscience,Warrington, PA)を添加して実施した。24時間インキュベートしたのちに、サンプルを直接、Fluorescence Activated Cell Sorter(FACSTARPlus, Becton-Dickinson)中で分析した。
一次白血病細胞
細胞は、 The Hadassah Medical Center,Ein Karem,IsraeruのHematology Department に入院中の患者から得られた。末梢血(PB)および骨髄(BM)細胞を、防腐剤を含まないヘパリン中に収集した。単核球に富む分画をFicoll Hypaque(Pharmacia, Milan, Italy)密度勾配遠心分離により調製し、洗浄し、液体窒素中で凍結させた。各実験の前に細胞を解凍し、20%FCSおよび膀胱癌細胞培養液からの10%条件培地を補充したα培地(5637−CM)中1×10細胞/mlで培養した。
白血病細胞のクローニング
10%FCS補充α培地中に、0.83%のメチルセルロース(Fisher Scientific Company, Fair Lawn, NJ)または0.3%Bactoアガール(Difco Laboratories, Detroit, MI)を添加した半固体培地に300〜1000細胞/mlを接種した。日8に倒立顕微鏡でコロニー数を評価した。細胞の成熟を決定するためには、単一のコロニーを微細毛細管で採取し、ガラススライドに塗沫標本として染色した。
正常前駆細胞のクローニング
直接クローニング:正常ボランティアから得られた末梢骨単核球細胞もしくはBM細胞をFicoll−Hypaqueの勾配上における遠心分離によって単離し、メチルセルロース含有α培地中でクローン化した。骨髄系コロニーについては、5637−CMの形態での30%FCSおよびCSFもしくは100U/ml GM−CSFまたはIL−3(Genetic Institute,Cambridge,MA)、1%脱イオンBSA、1×10−5M 2−メルカプトエタノールおよび1.5mMグルタミンを添加した。赤血球系コロニーについては、培養液に30%FCS、1%脱イオンBSA、1.5mMグルタミン、2−メルカプトエタノール、および0.5〜2U/mlのエリスロポエチン(r-HuEPO、Cilag AG International,Zug Switzerland)を加えた。2×10BMまたは5×10PB細胞を含む混合物1mlを35mmの非組織培養皿(Falcon,Oxnared,CA)中に分散した。すべての半固体培養液を密閉インキュベーター中6%O、7%COおよび87%Nの加湿雰囲気において、37℃で30分間インキュベートした。コロニーを倒立顕微鏡を用いて評価した。コロニーの細胞組成は、個々のコロニーを採取し、ガラススライド上塗沫標本に調製し、最初にベンチジン、ついでGiemsaで染色した。
間接クローニング:細胞を、直接クローニングについて上述したように調製して、最初は指示した成長因子または試験分画を補充したまたは補充していない液体培養液中で数日間インキュベートし、ついで洗浄し、上述のように半固体培養液中でクローン化した。
実施例4−様々な細胞培養液に対するSDFまたはそのCPとの複合体の作用
正常造血細胞に対する作用
正常造血前駆細胞の増殖−初期および後期正常造血前駆細胞に対するSDFの作用を試験するために、2相培養操作を採用した。
相1(増殖相)−低密度BMまたはPB細胞を、SDFを補充した液体培地中で数日間インキュベートした。
相2(クローニング相)−相1の終了の時点で細胞を収穫し、洗浄し、GM−CSF、Epo、またはGM、G−CSF、IL−6、IL−1および他のサイトカインを含むがEpoを含まない5637−CMのような組換えヒト後期増殖/分化因子を補充した半固体培地もしくは液体培地中で再培養した。BMまたはPB細胞を相1で数日間、単独の因子としてのSDFとともにインキュベートし、ついで、SDFを含まない半固体培地中でクローン化した場合(相2)には、CFU−C数の有意な増大が得られた(図9AおよびB)。相2におけるコロニーの系統特異的分化は存在する後期因子、たとえばCFU−EについてはEpo、CFU−GMについてはGM−CSFに依存した。相1(増殖相)を省略し、細胞を半固体培地中で直接クローン化した場合には、SDFのみではコロニーの発生を支持しなかった。相2に後期因子を添加した場合には、SDFはわずかな刺激作用しか、または全く刺激作用は示さなかった(データは示していない)。
他の初期因子たとえばSCF、IL−1およびIL−6と同様に、SDFは主としてプレCFU−Cの増殖相に活性であり、それ単独ではCFU−Cの増殖および分化を支持することはできない。それは多分、CD34細胞の増殖の直接刺激または補細胞の活性化によってプレCFU−Cの増殖を刺激するものと思われる。さらにCFU−Cの増殖および分化は後期増殖/分化因子の存在に依存する。
正常CD34細胞の増殖−末梢血単核球細胞を、SDFの存在下サイトカインは添加しないで、血清含有液体培地中で培養した。培養の開始時およびその後の様々な日にCD34細胞をフローサイトメトリーによって計数した。結果は、培養1週後にCD34の平均10倍の増加を示している(図10)。
正常樹状突起細胞の増殖−図11から明らかなように、SDFはPB CFU−樹状突起細胞の委任/増殖を誘導する。相1にSDFを用いると、相2で80%までの樹状突起細胞のコロニーが非濃縮PB単核球細胞から得られた(図11)。
赤血球形成不全患者からの造血前駆細胞の刺激−赤血球形成不全患者からの赤血球系前駆細胞はインビボおよびインビトロのいずれでも発生しない。しかしながら相1においてSDFで処置した場合には、冒された小児からのPBサンプルは相2において多数の赤い(ヘモグロビン含有)コロニーを発生した(図12)。
白血病細胞に対する作用
急性骨髄系白血病−SDFはきわめて低濃度で、様々な骨髄系白血病の樹立された細胞系、たとえばHL−60プロ骨髄系白血病細胞(表2)、WEHI単芽球様細胞(表3)、LK、本発明者らの実験室で樹立されたGM−CSF依存性骨髄系白血病細胞系(表4)、ならびに様々な形態の骨髄系白血病を有する患者から新たに外植された細胞(表5および6)に活性を示すことが見出された。これらのSDF補充培養においては、白血病細胞集団は完全に成熟したマクロファージへの分化を受けた。細胞はそれらの形状を典型的なマクロファージの形態に変え(表2)、たとえば半固体アガール培地中における移動性(「堅固」から「分散」へのコロニーの形態の変化によりアッセイ;表3)、異種粒子の貪食能(表2および6)および「非特異的」エラスターゼ(NSE)活性の産生能(表6)のようなマクロファージの機能を獲得した。
Figure 2004196816

HL−60は0.5%熱不活性化FCSを補充した培地中1.3×10細胞/mlで培養した。貪食、細胞の形態およびDNA合成を日4に決定した。結果の形態の評点は、以下のように指示する:(++++)はマクロファージ様細胞80〜100%、(+++)は60〜80%、(++)は40〜60%、(+)は15〜40%、(±)は5〜15%マクロファージ様細胞を表す。コロニーについてはα−MEM、10%FCSおよび 0.3%Bactoアガールならびに数種の希釈度のSDF中1mlあたり600個のコロニーをクローン化した。
比較のために、同じ細胞系に対する他の成長および増殖因子の作用を調べた。以下の表に示すように、SDFはコロニーの形成を顕著に阻害した。

Figure 2004196816

HL−60(600細胞/ml)およびWEHI(600細胞/ml)は表2に記載したのと同様にしてクローン化した。10%FCSおよび0.3% Difco Bactoアガールを様々な希釈度のSDF、IL−4、G−CSFおよびレチノイン酸とともにプレーティングした。コロニーはそれらの形態により、堅固(未分化)、部分分散(部分的に分化)および分散(完全に分化)に分類した。コロニー数は8日後に測定し、2回の独立した実験における結果の平均として示す。

Figure 2004196816

LK細胞(GM−CSF依存性骨髄系白血病細胞系は、α−MEMおよび10%FCS中5×10細胞/mlにて培養した。培養液には、GM−CSF(100U/ml)を補充しまたは補充せず、様々な濃度のSDFを加えた。DNA合成は日4に、H−チミジンの取り込みによって測定した。結果はCPM/ml培養液および増殖阻害%で表す。
以上から、SDFはGM−CSFの不存在下にも骨髄系白血病細胞の増殖を阻害できることが明らかである。

Figure 2004196816
一次混合AML−ALL細胞は、指示したように1×10細胞/mlにおいて培養した。細胞は培養6日に分析した。
4種の実験(A)〜(D)において、非特異的エステラーゼおよび貪食細胞は6日目に測定した。
SDFに暴露されると、最終的な細胞分化の結果として、白血病細胞は、チミジンの取り込みおよび半固体培地中でのクローニングによって測定し、それらの増殖および自己再生能力を失った(表2および図13)。
3〜4日後に完全な成熟が起こったが、SDFへの暴露は自己再生能の喪失を含め最終的な細胞分化の不可逆的委任の誘導に1日で十分であった(表6)。
Figure 2004196816

HL−60胞をSDF(1:200希釈)とインキュベートした。1,2または3日後、細胞を洗浄し、1×10の生存細胞を半固体培養液にプレーティングした。残った細胞は懸濁液中に再外植した。コロニー数は日7に測定した。貪食能は6日目に測定した。
HL−60のような白血病細胞は正常なBM細胞の発生を阻害する。しかしながら、HL−60細胞をSDFで24時間処置すると、それらが正常な造血系の発生を阻害する能力は失なわれた。
Figure 2004196816

生存HL−60細胞(1×10)をSDF(1:200希釈)とともにまたはSDFをくわえないで24時間インキュベートし、ついで基底の正常BM細胞としてアガール中でプレーティングした。BMコロニーの数は日12に測定した。
慢性骨髄性白血病(CML)
慢性骨髄性白血病患者(CML)に由来する細胞の増殖能力に対するSDFの作用も本発明者らによって検討された(表7)。SDFは、本明細書に前述したように、半固体培養液を用いた直接クローニング操作および間接クローニング操作においてCMLコロニー形成細胞(CFU−C)とともに培養した。これらの細胞はそれらの分化能を維持していたが、異常な増殖パターンを示した。したがって、SDFはこれらの前駆細胞が増殖しコロニーを発生する潜在能力を阻害できると結論された。CML細胞を液体培養液中で生育させた場合には、SDFは明らかな毒性を示さなかった。これらの培養液は主として成熟の様々な段階における骨髄系前駆細胞を含有した。
これらの結果は、SDFが、初期(プレCFU−C)CML前駆細胞を阻害する(それらの増殖の直接阻害によりまたは迅速な分化の誘導により間接的に)がさらに成熟した細胞には有害な作用は示さないことが示唆される。
Figure 2004196816

対照に比べて小さいコロニー。コロニー数は日14に測定し、結果は対照と比較した阻害の%によって表す。
上述のように、CMLコロニー形成細胞に対するSDFの作用は直接および間接コロニーアッセイにより測定した。直接クローニングでは、0.5×10細胞/mlを、GM−CSFおよびEpoを補充した半固体培地中、指示した希釈度のSDFの存在下または不存在下に培養した。間接クローニングでは、0.5×10細胞/mlを最初に指示した希釈度のSDFを含有する半固体培地中で培養した。3日後、非接着細胞を回収し、洗浄し、GM−CSFおよびEpoのみを補充した半固体培地中でCFU−Cについてアッセイした。
正常造血前駆細胞に対するSDFの作用
様々な成長因子、たとえばG−CSF、GM−CSFは最近、骨髄移植に使用されている。それらは、骨髄系前駆細胞の刺激により移植(および化学療法)後の好中球の回復を短縮することが示されている。しかしながら、骨髄系白血病細胞はこれらの因子に対する受容体をもっているので、残りの悪性細胞の増殖も刺激される。以下の事実、すなわち、SDFはそれ自体でまたはGM−CSFとの組合せで正常前駆細胞の増殖を強化するが、骨髄系白血病細胞の「自発性」およびGM−CSF刺激増殖を阻害すること、したがって二重の作用:白血病細胞の撲滅作用と同時に正常細胞の刺激作用をもつことが明らかにされている。
実施例5
血管新生に対するSDFの作用
本発明者らはまた、高度に純粋な血漿由来のSDFがインビトロにおいて内皮細胞の増殖に対して強力な阻害活性を含むことも見出した(表8)。

Figure 2004196816

ウシ大動脈由来の内皮細胞を24−ウエルクラスター皿中、ウエルあたり1mlのアリコート(5000細胞/ml)で接種した。培養培地には10%熱不活性化ウマ血清を補充した。5時間後、40μlの緩衝液または様々な濃度のSDF含有分画を補充した緩衝液を各ウエルに添加した。4日間インキュベートしたのち、培養液を20時間H−チミジンでパルス標識したのち収穫した。結果は1分間のカウント数(CPM)で表す。
実施例6
造血前駆細胞に対するPQQの作用
本発明者らは、PQQおよび関連化合物が骨髄性白血病細胞において分化を誘導し、初期造血前駆細胞の成長を刺激することを見出した。上述の結果は表10に例示する。
Figure 2004196816
さらに正常造血前駆細胞に対するPQQの作用を間接クローニング系で調べた(表11)。

Figure 2004196816
血漿からのSDF−CP複合体の親和性精製 血漿を30〜60%の硫酸アンモニウムで沈殿させたのちに得られた分画を10mMtris緩衝液、pH7.4、伝導率−5ms中に平衡化し、テンタクル−アガロースゲル(同一の緩衝液で平衡化した床容量200ml)上で分離した。tris緩衝液中0.1,0.2,0.3,0.5,1.0M NaClによって段階的な溶出を行い、溶出液をその活性について分析した。SDF活性は0.5M NaClにより溶出することが見出された(ピーク6)。 SDFのそのCPとの高MW複合体からの、RP−HPLC“Resource”カラム上における分離 分画をその複合体から分離し時間(T(分))の関数としての220nmにおける吸収(A220)により記述する。緩衝液A−HO(pH2.5)中0.1%TFA、緩衝液B−アセトニトリル中0.1%TFA。勾配は溶出緩衝液中のアセトニトリル百分率(ACN(%))として指示する。流速−140ml/分。SDF分画は空隙に相当する位置に5〜6分後に溶出する(a)。 pH2.5における共溶出夾雑物からのSDFのRP−HPLC分離 図1のresource分離に由来する活性分画を、さらにC18(Vydac 2.1×280)RP−HPLCカラムで分離し時間(T(分))の関数としての220nmにおける吸収(A220)により記述する。緩衝液A−HO(pH2.5)中0.1%TFA、緩衝液B−アセトニトリル中0.1%TFA。勾配は溶出緩衝液中のアセトニトリルの百分率(ACN(%))の関数として表す。流速−140ml/分。SDF活性は5〜6分後に溶出した。 pH7における共溶出夾雑物からのSDFのRP−HPLC分離 5〜6分時の‘Resource’由来分画を、さらに、C18(Vydac 2.1×280)RP−HPLCによりpH7で分離し時間(T(分))の関数としての吸収(A220)により記述する。緩衝液A−HO中0.1%トリエチルアミンをTFAでpH7.0に調整、緩衝液B−アセトニトリル。流速−140ml/分。勾配は溶出緩衝液中におけるアセトニトリルの百分率(ACN(%))として例示する。活性は11.26分に単一の対称ピークに相当する位置に回収された。 RP−HPLC上でのSDFの精製 RP−HPLC上pH7での分離からプールした活性分画を、C18上pH2.5で再クロマトグラフィーに付し、時間(T(分))の関数としての吸収(A220)によって図中に記述する。勾配は溶出緩衝液中におけるアセトニトリルの百分率(ACN(%))として指示する。活性は6.73分に溶出した単一のピークから回収された。 精製されたSDFのUVスペクトル 以下の実施例に記載するようにして得られた精製SDFをUVスペクトルによって分析した。図には波長(W)nmの関数として吸収(A)を例示する。 SDFの質量スペクトル 以下の実施例に記載するようにして得られた精製SDFを質量スペクトル(電子スプレー)によって分析した。 316MW分画の質量スペクトルによる断片化および分析 コーン(cone)電圧−30Vにおける断片化 316MW分画の質量スペクトルによる断片化および分析 コーン電圧−45Vにおける断片化 316MW分画の質量スペクトルによる断片化および分析 コーン電圧−60Vにおける断片化 骨髄系および赤血球系コロニーの成長に対するSDFの作用 低密度末梢血(PB)細胞を、補填物なし(C、対照)、5637CM(10%v/v,(CM))、SDFおよびSDF−CP複合体(SDF−CP)を様々な希釈度で補充した液体培養液中で培養した(実施例に記載の相I)。5日後に細胞を収穫し、洗浄し、Epoを補充した半固体培地中でクローン化した。コロニーをプレートあたりの赤血球系コロニーの数(e.c/p数)により図中に例示されたように日14に評価した。 骨髄系および赤血球系コロニーの成長に対するSDFの作用 低密度PB細胞を、5637CM(10%v/v,(CM))、またはSDF(1:200、(SDF))を補充した液体培養液中で培養した(相I)。5日後に、細胞を収穫し、洗浄し、骨髄系コロニーについては5637CM、赤血球系コロニーについてはEpoを補充した半固体培地中でクローン化した。コロニーを赤血球系(e)および骨髄系(m)細胞の両者について、日14に評価し、プレートあたりのコロニーの数(C/P数)により図中に例示する。 CD34細胞に対するSDFの作用 低密度PB細胞を、5637CM(10%v/v,(CM))、幹細胞因子(SCF)またはSDF(SDF)を補充した液体培養液中で培養した(相I)。CD34細胞はフローサイトメトリーにより計数した(CD34(%))。培養の開始時におけるCD34細胞の百分率(CD34(%))は0.1〜0.5%の範囲であった。3回の独立した実験を示す(実験1〜実験3)。CD34細胞の百分率は実験(1)では日6に、実験(2)では日3に、実験(3)では日7に測定した。 樹状突起コロニーの成長に対するSDFの作用 低密度PB細胞を、5637CM(10%v/v,(CM))、SDFまたはSDF+5637CM(SDF+CM)を補充した液体培養液中で培養した(相I)。3〜4日後に細胞を収穫して、洗浄し、半固体培地中でクローン化した。樹状突起コロニー(D.C%)を日14に評価した。 赤芽球形成不全に由来する赤血球系前駆細胞に対するSDFの作用 赤芽球形成不全患者に由来する低密度PB細胞を、5637CM(10%v/v,(CM))または表中に指示した様々なSDFの希釈度のSDF+5637CM(SDF+CM)を補充した液体培養液中で培養した(相I)。4日後に細胞を収穫し、洗浄し、Epoを補充した半固体培地中でクローン化した。コロニーを日14に評価し、プレートあたりの赤血球系コロニーの数(e.c/p数)を表中に記述する。 白血病および正常前駆細胞によるコロニー形成に対するSDFの作用 白血病HL−60細胞(HL−60)および正常BM(NBM)前駆細胞を、GM−CSF(100U/ml)および数種の希釈度のSDF(SDF(Dil.))によって刺激したアガロース培養液中でクローン化した。コロニーは日10に評価した。結果はHL−60細胞について実施した2セットの実験(実験1および実験2)についてSDF希釈度の関数としてのコロニー数により例示する。

Claims (22)

  1. 電子スプレー質量スペクトルによって測定して分子量316を有する生物学的に活性な血清由来因子を血漿から分離および精製する方法であって、
    (a) 血漿から血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンを含む分画を分離し、
    (b) 当該血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンから血清由来因子を分離し、および
    (c) 工程(b)で得られた血清由来因子を精製し、それによって、電子スプレー質量スペクトルによって測定して分子量316を有する精製された生物学的に活性な血清由来因子を取得する、
    ことを含む上記方法。
  2. 血漿はヒト血漿である請求項1記載の方法。
  3. 工程(b)の血清由来の分画の分離が、
    i) 血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンを酸性溶媒で処理して有機相を回収し、または
    ii) 血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンをRP−HPLCリソース(resource)カラムに通して、アセトニトリルで分画を溶出し、
    それによって血清由来因子を有機相中に分離する、
    ことによって達成される請求項1記載の方法。
  4. 工程(b)ii)の分画の溶出が、水中0.05〜0.01%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む溶出緩衝液Aおよびアセトニトリルを含む溶出緩衝液Bにより、アセトニトリル濃度0〜2%で溶出される第一の分画およびアセトニトリル濃度13〜17%で溶出される第二の分画である2つの分画を収集して1つに合せることによって達成される請求項1記載の方法。
  5. 工程(a)の血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンを分離する工程が、
    i) 血漿を親和性(affinity)カラムに通して、血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンを含む電気泳動的に均一な(homogeneous)分画を回収する、または
    ii) 血漿蛋白質を硫酸アンモニウムで沈殿させ、当該血漿蛋白質を溶解し、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムに通して生物学的に活性な分画を回収し、当該生物学的に活性な分画を有機溶媒で処理して第二の生物学的に活性な分画を回収し、当該第二の生物学的に活性な分画を染料(dye)−リガンドカラムに通して第三の生物学的に活性な分画を回収し、当該第三の生物学的に活性な分画を疎水性カラムに通して、硫酸アンモニウムで第四の生物学的に活性な分画を溶出して血清由来因子と複合体を形成したセルロプラスミンを与える、
    ことによって達成される請求項1記載の方法。
  6. 親和性カラムは、アガロースゲルとクロロエチルアミンとの反応を用いて誘導したテンタクル−アガロースゲルである請求項5記載の方法。
  7. 陰イオン交換クロマトグラフィーによって工程i)の生物学的に活性な分画を濃縮する工程をさらに含む請求項5記載の方法。
  8. 陰イオン交換クロマトグラフィーが、電気泳動的に均一な分画をジエチルアミノエチル(DEAE)−デキストランゲルカラムまたは四級アミノエチル(QAE)−デキストランゲルカラムに通して、セルロプラスミンと複合体を形成した血清由来因子の生物学的に活性な分画を有する分画を選択することによって達成される請求項7記載の方法。
  9. 酸性化した溶媒が、酸性化ブタノール、酸性化メタノール、酸性化アセトニトリルおよび酸性化クロロホルムからなる群から選択され、溶媒相中の複合体非形成の生物学的に活性な血清由来の分画を確認する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
  10. 工程(c)のクロマトグラフィーが、C−18カラムを用いて、この場合、
    第一の分離工程では、水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)(pH2.5)を含む溶出緩衝液Aおよびアセトニトリル中0.1%TFAを含む溶出緩衝液Bを用いて、アセトニトリル濃度0〜2%で溶出される分画を収集し、および
    第二の分離工程では、pH7に調整した水中0.1%トリエチルアミンを含む溶出緩衝液Aおよびアセトニトリルを含む溶出緩衝液Bを用いて、アセトニトリル濃度9〜11%で溶出される分画を収集する、
    ことによって達成される請求項1記載の方法。
  11. 請求項1記載の方法によって取得される生物学的に活性な血清由来因子であって、電子スプレー質量スペクトルによって測定して分子量316を有し、酸性のpHで電気的に荷電し、280nmに吸収をもつ上記血清由来因子。
  12. 白血病細胞の最終的な細胞分化を誘導できる請求項11記載の血清由来因子。
  13. 白血病細胞はそれらの増殖能およびそれらの自己再生能を失う請求項12記載の血清由来因子。
  14. 白血病細胞の増殖能および自己再生能の喪失を誘導できる請求項11記載の血清由来因子。
  15. 初期正常前駆細胞の増殖を刺激できる請求項11記載の血清由来因子。
  16. 亢進した血管新生を阻害できる請求項11記載の血清由来因子。
  17. 正常幹細胞および前駆細胞をエキソビボ(ex vivo)増殖させることができる請求項11記載の血清由来因子。
  18. 活性成分として請求項11記載の血清由来因子および所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含む、亢進した血管新生を阻害するための医薬組成物。
  19. 活性成分として請求項11記載の血清由来因子および所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含む、腫瘍の寛解を誘導するための医薬組成物。
  20. 活性成分として請求項11記載の血清由来因子および所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含む、腫瘍の寛解状態を維持するための医薬組成物。
  21. 活性成分として請求項11記載の血清由来因子および所望によりさらに医薬的に許容される添加物を含む、造血正常幹細胞および前駆細胞骨髄移植体を増殖するための医薬組成物。
  22. 造血正常幹細胞および前駆細胞骨髄移植体を増殖するための医薬組成物の製造における請求項12記載の血清由来因子の使用。
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