JP2004196699A - インドール誘導体及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミニン5の産生を促進する機能、基底膜ケア機能及び抗老化機能を有し、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用な化合物、並びにラミニン5の産生を促進し、基底膜ケア機能、抗老化機能を有し、これらの機能を奏する皮膚外用剤として有用な抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤を提供すること。
【解決手段】新規インドール誘導体またはその塩、前記新規インドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記新規インドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤。さらに、前記新規インドール誘導体の構造と骨格を同じくする既知のインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記既知のインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤。。
【選択図】 なし
【解決手段】新規インドール誘導体またはその塩、前記新規インドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記新規インドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤。さらに、前記新規インドール誘導体の構造と骨格を同じくする既知のインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記既知のインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤。。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインドール誘導体に関する。さらに詳しくは、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用なインドール誘導体またはその塩、並びにラミニン5の産生を促進し、基底膜ケア機能、抗老化機能を有し、これらの機能を奏する皮膚外用剤として有用な抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラミニン5は、表皮と真皮の境界部位に位置する基底膜と呼ばれる各種糖蛋白、プロテオグリカンより構成される構造体の主な構成成分である。また、ラミニン5は、表皮細胞の接着を促進する活性を有し、表皮細胞を直接基底膜に結合させる働きもしている(例えば、非特許文献1参照)。遺伝的にラミニン5を欠損する重篤な疾患では、表皮と真皮の境界部位に水泡形成が観察され、ラミニン5が両者の接着に必須の成分であることが明らかとなった(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
ラミニン5は、基底膜形成を促進することが知られており(例えば、非特許文献3参照)、また、正常な基底膜構造またはその機能の維持または修復に寄与している。例えば、日常生活において、紫外線、乾燥等の外的ストレスや、精神的ストレス等の内的ストレスによって傷害を受けて引き起こされる基底膜の構造変化を修復し、皮膚の老化の進行を遅延させることができる。したがって、ラミニン5の産生を促進することにより、基底膜の正常な構造若しくはその機能の維持または修復(基底膜ケア)に役立ち、皮膚老化に対しての抗老化作用をもたらす。
【0004】
本発明に係る化合物に関連する技術としては、前記化合物の一つに関しての技術開示があるが、本発明に係る新規機能の発現、皮膚外用剤への応用については記載されておらず、また示唆する記載もない(例えば、非特許文献4参照)。
【0005】
【非特許文献1】
ラッセル(Rousselle)等、「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J. Cell Biol.)」、1991年、第114巻、p.567
【非特許文献2】
アバーダン(Aberdam)等、「ネイチャー・ジェネティックス(Nat. Genet.)」、1994年、第6巻、p.299
【非特許文献3】
ツネナガ(M.Tsunenaga)等、「マトリックス・バイオロジー(Matrix Biology)」、1998年、第17巻、p.603
【非特許文献4】
フォルカーズ(K.Folkers)等、「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)」、1932年、第61巻、p.1232
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラミニン5の産生を促進する機能、基底膜ケア機能及び抗老化機能を有し、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用な化合物、ラミニン5の産生を促進し、基底膜ケア機能、抗老化機能を有し、皮膚外用剤として有用な抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記機能を奏する皮膚外用剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定構造のインドール誘導体及びその塩がラミニン5の産生を促進する機能を有すると共に、抗老化機能及び基底膜ケア機能を有し、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用であり、また、前記機能を奏する皮膚外用剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0009】
【化8】
【0010】
[式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表し、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、B-は薬理的に許容しうる酸のアニオンを表す。]で示されるインドール誘導体またはその塩である。
【0011】
本発明においては、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩は、下記一般式(2)
【0012】
【化9】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、A及びB-はいずれも一般式(1)と同様である。)で示されるインドール誘導体またはその塩であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩は、下記一般式(3)
【0015】
【化10】
【0016】
(式中、B-は一般式(1)と同様である。)で示される1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩またはその塩であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤である。さらに、本発明は、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤である。
【0018】
また、本発明は、下記一般式(4)
【0019】
【化11】
【0020】
[式中、Yは、−NR6R7基(基中、R6及びR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)または−NH−R8基(基中、R8は炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、他のR1、A及びXはいずれも一般式(1)と同様である。]で示されるインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤またはラミニン5産生促進剤である。
【0021】
前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明は前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤である。
【0023】
皮膚外用剤に含有される前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明における基底膜ケアとは、ヒト皮膚基底膜をケア、すなわち正常な基底膜構造またはその機能を維持または修復することである。また、抗老化とは、特に皮膚老化に対しての抗老化であり、皮膚老化の進行を遅延させることを意味している。したがって、本発明によれば、加齢や光老化等による基底膜の構造変化に伴う皮膚のしわ、たるみ、硬化等の皮膚の機能低下に優れた効果を有するとともに、弾力のある若々しい健康な肌の状態を維持する抗老化機能を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0026】
本発明に係る下記一般式(1)
【0027】
【化12】
【0028】
において、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R1は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に水素原子が好ましい。
【0029】
また、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、特にいずれもメチル基であることが好ましい。
【0030】
Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表す。ここで、メチレン基が好ましい。また、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Xは−COOR5基が好ましく、R5は水素原子またはメチル基が好ましい。
【0031】
B-は薬理的に許容しうる酸のアニオンを表す。B-としては、例えばクロリド、アイオダイド、アセテート、シトレート、ニコチネート、ニトレート、スルホネート、サリチレート等が挙げられる。
【0032】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体は、前記R1、R2、R3、R4、A、X及びB-が上記の範囲で適宜組合されて製造され、各種用途に供される。
【0033】
本発明において、前記一般式(1)のなかで好ましい化合物は、下記一般式(2)
【0034】
【化13】
【0035】
で示されるインドール誘導体である。なお、一般式(2)中、R1、R2、R3、R4、R5、A及びB-はいずれも一般式(1)と同様である。
【0036】
特に、前記一般式(2)においては、R1が水素原子、R2、R3及びR4がいずれもメチル基、R5が水素原子またはメチル基であるインドール誘導体が好ましい。
【0037】
本発明において、前記一般式(2)のうち、さらに好ましくは、下記一般式(3)
【0038】
【化14】
【0039】
(式中、B-は一般式(1)と同様である。)で示される、1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩である。
【0040】
また、本発明においては、前記一般式(1)において、Xが水素原子の場合には、R1は水素原子が好ましく、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、特にメチル基が好ましく、Aは−CH2−基が好ましい。特に、R1が水素原子、R2、R3及びR4がいずれもメチル基、Aが−CH2−基のインドール誘導体が好ましい。
【0041】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体の具体例としては、前記好ましいインドール誘導体も含めて、1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩、1−カルボキシ−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチルメタナミニウム塩、1−カルボキシ−N,N,N−トリメチル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1−エタナミニウム塩、3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩、1−(1H−インドール−3−イル)−2−メトキシ−N,N,N−トリメチル−2−オキソ−1−エタナミニウム塩、2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩等が挙げられる。
【0042】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体の塩は、前記インドール誘導体を公知の方法で相当する塩に変換されて製造される。塩としては、例えば、一般的な塩、水和物塩等が挙げられるが、水溶性のものが好ましい。前記一般的な塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
【0043】
前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩はいずれも新規化合物であり、本発明により新規に提供されるものである。
【0044】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体は、例えば、下記反応式によって製造することができる。
【0045】
【化15】
【0046】
式中、Zはハロゲン原子を表し、R1、R2、R3、R4、A、B-及びXはいずれも一般式(1)と同様である。またハロゲン原子は塩素、ヨウ素、臭素等である。
【0047】
より具体的には、化合物(a)を場合によっては塩酸塩等の塩の形にした上で溶媒に溶解し、その溶液に化合物(a)に対して等モル量のR2Zを加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより化合物(b)を得る。化合物(b)を溶媒に溶解し、その溶液に化合物(b)に対して等モル量のR3Zを加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより化合物(c)を得る。同様に化合物(c)とR4Zを反応させ、得られた反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより本発明に係るインドール誘導体が製造される。
【0048】
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ、炭酸カリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミンを用いることができる。また、溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド等が適している。反応温度は、−20℃から溶媒の加熱環流条件までの範囲で各反応での最適な温度で行う。
【0049】
ここで得られた粗生成物は、水若しくはエタノール、メタノール、クロロホルム等の有機溶媒、またはそれらの混合溶媒から再結晶することにより精製される。この他、さらにシリカゲルカラム等により精製してもよい。
【0050】
なお、一般式(1)中のR2、R3及びR4が同一の基であるときは、前記化15の3段階の反応式が1段階で製造されることになる。例えば、仮に同一の基をR2で表せば、下記反応式によって製造されることになる。
【0051】
【化16】
【0052】
式中、Z、R1、R2、A、B-及びXはいずれも前記化15におけるものと同様である。
【0053】
より具体的には、化合物(a)を場合によっては塩酸塩等の塩の形にした上で溶媒に溶解し、その溶液に化合物(b)を加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から好ましくは減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄し、製造することができる。なお、場合によっては、反応液から溶媒を留去後、水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得、ろ物にアルカリ水溶液を加えた後、好ましくは室温で充分撹拌した後、好ましくは塩酸等の無機酸等の酸水溶液で中和した後、洗浄し、製造される。
【0054】
前記アルカリ、反応温度については、前記化15の反応の場合と同様である。
【0055】
反応粗生成物を精製するに当たっては、前記化15の場合と同様、例えば、水若しくはエタノール、メタノール、クロロホルム等の有機溶媒、またはそれらの混合溶媒から再結晶を行うことが好ましい。さらにシリカゲルカラム等により精製してもよい。
【0056】
なお、製造法は上記方法に限定されるものでなく、化合物によっては、一般的な有機化合物を製造する際に用いられる操作が採用されることはいうまでもない。本発明の化合物は、通常1H−NMR、13C−NMR等のNMR等によって同定することができる。
【0057】
本発明に係る前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及び主要骨格を一般式(1)と同一とする下記一般式(4)
【0058】
【化17】
【0059】
で示されるインドール誘導体、並びにそれらの塩は、いずれも後に証明するように優れたラミニン5の産生を促進する機能を有し、基底膜ケア機能、抗老化機能をもたらす。すなわち、前記化合物は、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として有用である。したがって、本発明は前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤を含有する。さらに、前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤をも含有する。
【0060】
本発明における前記抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤としての機能を発揮する一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩の実施形態についてはすでに述べたとおりである。以下、前記一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩について詳述する。前記一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、既知の物質である。
【0061】
本発明において、一般式(4)中の、Yは、−NR6R7基(基中、R6及びR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)または−NH−R8基(基中、R8は炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Yは、R6、R7及びR8がそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基である−NR6R7基または−NH−R8基が好ましい。さらに好ましくは、R6、R7及びR8がそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基である−NR6R7基または−NH−R8基であり、特にR6、R7及びR8がいずれもメチル基である−NR6R7基または−NH−R8基が好ましい。
【0062】
なお、一般式(4)中の他のR1、A及びXはいずれも一般式(1)と同様である。すなわち、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R1は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に水素原子が好ましい。
【0063】
また、Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表す。ここで、メチレン基が好ましい。また、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Xは−COOR5基が好ましく、R5は水素原子またはメチル基が好ましい。
【0064】
本発明に係る一般式(4)で示されるインドール誘導体は、前記Y、R1、A及びXが上記の範囲で適宜組合されて製造され、各種用途に供される。
【0065】
特に、本発明においては、一般式(4)において、Xが−COOH基または−COOCH3基、YがR6及びR7がそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基である−NR6R7基またはR8が炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基である−NH−R8基であるインドール誘導体が好ましい。なお、この場合、R1は特に水素原子、Aは特にメチレン基であることが好ましい。
【0066】
本発明に係る一般式(4)で示されるインドール誘導体の具体例としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸[市販品;L−アブリン(和光純薬社製)]、2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸、2−(ジメチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸、メチル 3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパノエート、メチル 2−(ジメチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸等が挙げられる。これらのうちでは、特に、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸が好ましい。
【0067】
一般式(4)で示されるインドール誘導体の塩を構成する塩としては、例えば、一般的な塩、酸付加物塩、水和物塩等が挙げられるが、水溶性のものが好ましい。
【0068】
前記一般的な塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、NーメチルーDーグルカミン等)の塩が挙げられる。
【0069】
また、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸化塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トリエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
【0070】
前記抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤は、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩の前記新規な機能の発見に基づく新規で有用な用途である。
【0071】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、前記機能をもって医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。また、本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩を有効成分として含有した抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として、医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。
【0072】
特に、本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、いずれも皮膚外用剤に配合され新規な皮膚外用剤の用途として、医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。
【0073】
本発明の一般式(1)で示されるインドール誘導体若しくはその塩または一般式(4)で示されるインドール誘導体若しくはその塩を含有した皮膚外用剤は、優れたラミニン5の産生を促進する機能、抗老化機能、基底膜ケア機能を奏し、抗老化用、基底膜ケア用、ラミニン5産生促進用の皮膚外用剤である。
【0074】
なお、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩、一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩のそれぞれの実施形態については、前記それぞれが有する新規化合物及び各機能について記載したとおりである。
【0075】
前記皮膚外用剤としては、特に限定されるものではなく、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等が挙げられ、また、剤型は特に問わない。
【0076】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体若しくはその塩または一般式(4)で示されるインドール誘導体若しくはその塩が、皮膚外用剤に配合される場合、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、1種または2種以上が任意に選択されて用いられる。また、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩の含有量は、剤型等によっても異なってくるが、通常、皮膚外用剤全量中0.001〜20質量%が好ましい。さらに好ましくは0.01〜10質量%である。
【0077】
本発明の皮膚外用剤は、常法により製造すればよく、通常は上記成分の他に、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、水溶性高分子、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤、香料等が必要に応じて適宜配合される。
【0078】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体またはその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリン、リゾフォスファチジン酸、大豆調製物等の前記本発明の化合物以外のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、
【0079】
硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類、
【0080】
ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、サイコ抽出物、イブキジャコウ抽出物、ヒオウギ抽出物、アセンヤク抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、カッコン抽出物、シカクマメ抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、オノニス抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、チンピ、トウキ等も必要に応じて適宜配合される。
【0081】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0082】
まず、本発明に係るインドール誘導体の具体的な製造例について説明する。
【0083】
(製造例1)
1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
トリプトファン(1.0g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(0.2g)を加えて、一晩加熱還流する。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得る。ろ物を沸騰水(25ml)から再結晶を行い、標題化合物(0.61g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図1及び図2に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0084】
(製造例2)
1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
シカクマメ(Psophocarpus tetragonolobus、マメ科、種子)(833g)をメタノール(4.2L)で室温抽出し、メタノールエキス(60.85g)を得た。得られたエキスを水−酢酸エチルで分配し、得られた水相にn−ブタノールを加え、再度溶媒分配した。得られた水相を減圧下溶媒留去し水エキス(38.5g)を得た。本エキスを逆相シリカゲルカラム(水−メタノール)により分離精製し、標題化合物(2.33g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRは、製造例1のものと合致した。
【0085】
(製造例3)
2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
トリプタミン(1.0g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(1.0g)を加え、一晩加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水、クロロホルムで順次洗浄し、標題化合物(1.0g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図3及び図4に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0086】
(製造例4)
3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の製造
トリプトファンメチルエステル塩酸塩(3.10g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(3.0g)を加えて、一晩加熱還流する。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得る。ろ物に10%水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、室温で1時間撹拌した後、10%塩酸水で中和し、反応液を減圧下、溶媒留去した。粗生成物を水で洗浄後、メタノールとクロロホルムの混合溶媒から再結晶を行い、標題化合物(3.10g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図5及び図6に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0087】
(製造例5)
2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸の製造
トリプトファンメチルエステル塩酸塩(3.0g)のエタノール溶液(30ml)にヨウ化エチル(25ml)、水酸化ナトリウム(3.0g)を加え、一晩加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物に1,4−ジオキサン(20ml)、20%水酸化ナトリウム水(20ml)を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、粗生成物(4.3g)を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水=10:3:1(下相)により精製し、標題化合物(552mg)を得た。得られた標題化合物の1H−NMRを図7に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0088】
以下、本発明に係るインドール誘導体について、ラミニン5産生促進機能、抗老化機能、基底膜ケア機能について実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0089】
(実施例1)ラミニン5産生促進効果
製造例1及び3〜5で製造したインドール誘導体並びに市販の3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸[L−アブリン(和光純薬社製)]について、ラミニン5産生促進効果を測定した。
【0090】
(試験法)
(1)表皮角質細胞の培養
表皮角質細胞はヒト包皮より単離し、カルシウム濃度の低い表皮細胞増殖培地(KGM)にて培養した。この培地には牛脳下垂体抽出液とEGFを添加した。細胞は第4代までKGMで培養後、トリプシン−EDTA処理によって接着細胞を浮遊させ、ろ過によって細胞のアグリゲートを除き、均一な細胞懸濁液を得た。遠心分離によって細胞を集め、DMEM−F12(2:1)−0.1%BSAに8×104/mlとなるように再懸濁させた。この細胞懸濁液を0.5ml、2倍濃度の薬剤を含む同培地0.5mlに加えた。培養は24穴プレートを用いて、37℃にて24時間行った。培養終了時に、培養上清をエッペンドルフチューブに移し、10000rpmで5分間遠心分離し、上清を新たなチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃に保存した。また、細胞内と培養プラスチック上に結合したラミニン5を可溶化するため、各種の界面活性剤を含むトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を各穴に添加し、一晩−20℃に保存した。翌日、超音波処理を行い、再度凍結した。翌日、再度溶解後、10000rpmで5分間遠心分離し、上清をチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃にて保存した。
【0091】
(2)サンドイッチELISA法によるラミニン5の測定
培養上清、細胞層に存在するラミニン5はサンドイッチELISA法にて測定した。96穴ELISAプレートの固層にラミニン5のラミニンα3鎖に対するモノクローナル抗体、BM165を結合させた。ラミニン5をサンドイッチして測定するため、もう一種の抗体としてラミニンβ3鎖に対するモノクローナル抗体である6F12を予めビオチン化(b−6F12)して用いた。本法では、機能を発揮しうるヘテロトリマー体(α3β3γ2)のみを測定し、ヘテロダイマー(β3γ2)を検出しない。b−6F12を含む3%ゼラチン・リン酸緩衝溶液を予め入れておいた各穴に試料を添加する。試料の穴内での最終希釈率は培養液が1/4、細胞層が1/10とした。抗原抗体反応は37℃2時間行い、プレートを洗浄した後、アビヂンHRP(ホースラディシュパーオキシダーゼ)溶液を添加し、更に30分から1時間反応させた。洗浄後、HRPの基質であるABTS溶液を加え、405nmの吸光度をELISAプレートリーダーを用いて測定した。検量線は0〜40ng/mlの範囲で作成した。
【0092】
ラミニン5の産生量は、培地中に遊離された量と細胞層に残った量との総和を算出し、インドール誘導体を添加していない試料(コントロール)に対する相対的な値をもって示した。
【0093】
結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
【0095】
表1から明らかなように、本発明に係るインドール誘導体は優れたラミニン5産生促進作用を有し、ラミニン5産生促進剤、さらに基底膜ケア剤、抗老化剤として有用な化合物であることが分かる。
【0096】
(実施例2〜15)
以下、本発明に係るインドール誘導体またはその塩を配合した皮膚外用剤の実施例を挙げて本発明をさらに説明する。配合量は質量%である。
【0097】
【0098】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。乳化物を熱交換器を用いて冷却してクリームを得た。
【0099】
【0100】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0101】
【0102】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0103】
【0104】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0105】
【0106】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0107】
【0108】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、C相を加えてさらに撹拌した。乳化機で乳化後、熱交換機を用いて冷却して乳液を得た。
【0109】
【0110】
(製法)
実施例2と同様にして、乳液を得た。
【0111】
【0112】
(製法)
A相、B相をそれぞれよく撹拌して混合溶解した。A相をB相に加えて乳化機で乳化後、熱交換機を用いて冷却して乳液を得た。
【0113】
【0114】
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルエーテルを溶解した95%エタノールと2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸を水相に添加した。次いで、その他の成分を加えた後、水酸化ナトリウム、L−アルギニンで中和させ増粘させて、ゼリーを得た。
【0115】
【0116】
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いで、B相を加えてよく撹拌した。
【0117】
【00118】
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化した。次いで、これをC相に加えてよく撹拌した。
【0119】
【0120】
(製法)
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。
【0121】
【0122】
(製法)
セリサイトから黒色酸化鉄までの粉末成分をブレンダーで充分混合し、これにスクワランからセスキイソステアリン酸ソルビタンまでの油性成分、1−(1H−インドール−3−イル)−2−メトキシ−N,N,N−トリメチル−2−オキソ−1−エタナミニウム塩、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、よく混練した後、容器に充填、成型した。
【0123】
【0124】
(製法)
水相を加熱撹拌後、充分に混合粉砕した粉末部を添加してホモミキサー処理した。さらに、加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却した。
【0125】
【0126】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し溶解(分散)した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。乳化物を熱交換器を用いて冷却してリップクリームを得た。
【0127】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のインドール誘導体またはその塩は、優れたラミニン5産生促進作用を有しており、ヒト皮膚基底膜をケアし、加齢や光老化等による基底膜の構造変化に伴う皮膚のしわ、たるみ、硬化等の皮膚の機能低下に優れた効果を有するとともに、弾力のある若々しい健康な肌の状態を維持する抗老化機能を有するものである。このことから、本発明のインドール誘導体またはその塩は、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として有用であり、例えば皮膚外用剤に配合して医薬品、医薬部外品、化粧品等に応用することができる。また、本発明のインドール誘導体またはその塩を配合した皮膚外用剤は、優れたラミニン5産生促進機能、抗老化機能、基底膜ケア機能を奏するので、医薬品、医薬部外品、化粧品等の皮膚外用剤に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図2】1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図3】2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図4】2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図5】3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図6】3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図7】2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸の1H−NMRスペクトル図である。
【発明の属する技術分野】
本発明はインドール誘導体に関する。さらに詳しくは、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用なインドール誘導体またはその塩、並びにラミニン5の産生を促進し、基底膜ケア機能、抗老化機能を有し、これらの機能を奏する皮膚外用剤として有用な抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラミニン5は、表皮と真皮の境界部位に位置する基底膜と呼ばれる各種糖蛋白、プロテオグリカンより構成される構造体の主な構成成分である。また、ラミニン5は、表皮細胞の接着を促進する活性を有し、表皮細胞を直接基底膜に結合させる働きもしている(例えば、非特許文献1参照)。遺伝的にラミニン5を欠損する重篤な疾患では、表皮と真皮の境界部位に水泡形成が観察され、ラミニン5が両者の接着に必須の成分であることが明らかとなった(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
ラミニン5は、基底膜形成を促進することが知られており(例えば、非特許文献3参照)、また、正常な基底膜構造またはその機能の維持または修復に寄与している。例えば、日常生活において、紫外線、乾燥等の外的ストレスや、精神的ストレス等の内的ストレスによって傷害を受けて引き起こされる基底膜の構造変化を修復し、皮膚の老化の進行を遅延させることができる。したがって、ラミニン5の産生を促進することにより、基底膜の正常な構造若しくはその機能の維持または修復(基底膜ケア)に役立ち、皮膚老化に対しての抗老化作用をもたらす。
【0004】
本発明に係る化合物に関連する技術としては、前記化合物の一つに関しての技術開示があるが、本発明に係る新規機能の発現、皮膚外用剤への応用については記載されておらず、また示唆する記載もない(例えば、非特許文献4参照)。
【0005】
【非特許文献1】
ラッセル(Rousselle)等、「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J. Cell Biol.)」、1991年、第114巻、p.567
【非特許文献2】
アバーダン(Aberdam)等、「ネイチャー・ジェネティックス(Nat. Genet.)」、1994年、第6巻、p.299
【非特許文献3】
ツネナガ(M.Tsunenaga)等、「マトリックス・バイオロジー(Matrix Biology)」、1998年、第17巻、p.603
【非特許文献4】
フォルカーズ(K.Folkers)等、「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)」、1932年、第61巻、p.1232
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラミニン5の産生を促進する機能、基底膜ケア機能及び抗老化機能を有し、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用な化合物、ラミニン5の産生を促進し、基底膜ケア機能、抗老化機能を有し、皮膚外用剤として有用な抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤、並びに前記機能を奏する皮膚外用剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定構造のインドール誘導体及びその塩がラミニン5の産生を促進する機能を有すると共に、抗老化機能及び基底膜ケア機能を有し、抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤として有用であり、また、前記機能を奏する皮膚外用剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0009】
【化8】
【0010】
[式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表し、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、B-は薬理的に許容しうる酸のアニオンを表す。]で示されるインドール誘導体またはその塩である。
【0011】
本発明においては、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩は、下記一般式(2)
【0012】
【化9】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、A及びB-はいずれも一般式(1)と同様である。)で示されるインドール誘導体またはその塩であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩は、下記一般式(3)
【0015】
【化10】
【0016】
(式中、B-は一般式(1)と同様である。)で示される1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩またはその塩であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤及びラミニン5産生促進剤である。さらに、本発明は、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤である。
【0018】
また、本発明は、下記一般式(4)
【0019】
【化11】
【0020】
[式中、Yは、−NR6R7基(基中、R6及びR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)または−NH−R8基(基中、R8は炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、他のR1、A及びXはいずれも一般式(1)と同様である。]で示されるインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤、基底膜ケア剤またはラミニン5産生促進剤である。
【0021】
前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明は前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤である。
【0023】
皮膚外用剤に含有される前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明における基底膜ケアとは、ヒト皮膚基底膜をケア、すなわち正常な基底膜構造またはその機能を維持または修復することである。また、抗老化とは、特に皮膚老化に対しての抗老化であり、皮膚老化の進行を遅延させることを意味している。したがって、本発明によれば、加齢や光老化等による基底膜の構造変化に伴う皮膚のしわ、たるみ、硬化等の皮膚の機能低下に優れた効果を有するとともに、弾力のある若々しい健康な肌の状態を維持する抗老化機能を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0026】
本発明に係る下記一般式(1)
【0027】
【化12】
【0028】
において、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R1は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に水素原子が好ましい。
【0029】
また、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、特にいずれもメチル基であることが好ましい。
【0030】
Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表す。ここで、メチレン基が好ましい。また、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Xは−COOR5基が好ましく、R5は水素原子またはメチル基が好ましい。
【0031】
B-は薬理的に許容しうる酸のアニオンを表す。B-としては、例えばクロリド、アイオダイド、アセテート、シトレート、ニコチネート、ニトレート、スルホネート、サリチレート等が挙げられる。
【0032】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体は、前記R1、R2、R3、R4、A、X及びB-が上記の範囲で適宜組合されて製造され、各種用途に供される。
【0033】
本発明において、前記一般式(1)のなかで好ましい化合物は、下記一般式(2)
【0034】
【化13】
【0035】
で示されるインドール誘導体である。なお、一般式(2)中、R1、R2、R3、R4、R5、A及びB-はいずれも一般式(1)と同様である。
【0036】
特に、前記一般式(2)においては、R1が水素原子、R2、R3及びR4がいずれもメチル基、R5が水素原子またはメチル基であるインドール誘導体が好ましい。
【0037】
本発明において、前記一般式(2)のうち、さらに好ましくは、下記一般式(3)
【0038】
【化14】
【0039】
(式中、B-は一般式(1)と同様である。)で示される、1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩である。
【0040】
また、本発明においては、前記一般式(1)において、Xが水素原子の場合には、R1は水素原子が好ましく、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、特にメチル基が好ましく、Aは−CH2−基が好ましい。特に、R1が水素原子、R2、R3及びR4がいずれもメチル基、Aが−CH2−基のインドール誘導体が好ましい。
【0041】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体の具体例としては、前記好ましいインドール誘導体も含めて、1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩、1−カルボキシ−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチルメタナミニウム塩、1−カルボキシ−N,N,N−トリメチル−2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1−エタナミニウム塩、3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩、1−(1H−インドール−3−イル)−2−メトキシ−N,N,N−トリメチル−2−オキソ−1−エタナミニウム塩、2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩等が挙げられる。
【0042】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体の塩は、前記インドール誘導体を公知の方法で相当する塩に変換されて製造される。塩としては、例えば、一般的な塩、水和物塩等が挙げられるが、水溶性のものが好ましい。前記一般的な塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
【0043】
前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩はいずれも新規化合物であり、本発明により新規に提供されるものである。
【0044】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体は、例えば、下記反応式によって製造することができる。
【0045】
【化15】
【0046】
式中、Zはハロゲン原子を表し、R1、R2、R3、R4、A、B-及びXはいずれも一般式(1)と同様である。またハロゲン原子は塩素、ヨウ素、臭素等である。
【0047】
より具体的には、化合物(a)を場合によっては塩酸塩等の塩の形にした上で溶媒に溶解し、その溶液に化合物(a)に対して等モル量のR2Zを加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより化合物(b)を得る。化合物(b)を溶媒に溶解し、その溶液に化合物(b)に対して等モル量のR3Zを加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより化合物(c)を得る。同様に化合物(c)とR4Zを反応させ、得られた反応液から減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄することにより本発明に係るインドール誘導体が製造される。
【0048】
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ、炭酸カリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミンを用いることができる。また、溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド等が適している。反応温度は、−20℃から溶媒の加熱環流条件までの範囲で各反応での最適な温度で行う。
【0049】
ここで得られた粗生成物は、水若しくはエタノール、メタノール、クロロホルム等の有機溶媒、またはそれらの混合溶媒から再結晶することにより精製される。この他、さらにシリカゲルカラム等により精製してもよい。
【0050】
なお、一般式(1)中のR2、R3及びR4が同一の基であるときは、前記化15の3段階の反応式が1段階で製造されることになる。例えば、仮に同一の基をR2で表せば、下記反応式によって製造されることになる。
【0051】
【化16】
【0052】
式中、Z、R1、R2、A、B-及びXはいずれも前記化15におけるものと同様である。
【0053】
より具体的には、化合物(a)を場合によっては塩酸塩等の塩の形にした上で溶媒に溶解し、その溶液に化合物(b)を加え、アルカリ雰囲気下で反応する。反応液から好ましくは減圧下で溶媒を留去し、得られた粗生成物を水、溶媒等で洗浄し、製造することができる。なお、場合によっては、反応液から溶媒を留去後、水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得、ろ物にアルカリ水溶液を加えた後、好ましくは室温で充分撹拌した後、好ましくは塩酸等の無機酸等の酸水溶液で中和した後、洗浄し、製造される。
【0054】
前記アルカリ、反応温度については、前記化15の反応の場合と同様である。
【0055】
反応粗生成物を精製するに当たっては、前記化15の場合と同様、例えば、水若しくはエタノール、メタノール、クロロホルム等の有機溶媒、またはそれらの混合溶媒から再結晶を行うことが好ましい。さらにシリカゲルカラム等により精製してもよい。
【0056】
なお、製造法は上記方法に限定されるものでなく、化合物によっては、一般的な有機化合物を製造する際に用いられる操作が採用されることはいうまでもない。本発明の化合物は、通常1H−NMR、13C−NMR等のNMR等によって同定することができる。
【0057】
本発明に係る前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及び主要骨格を一般式(1)と同一とする下記一般式(4)
【0058】
【化17】
【0059】
で示されるインドール誘導体、並びにそれらの塩は、いずれも後に証明するように優れたラミニン5の産生を促進する機能を有し、基底膜ケア機能、抗老化機能をもたらす。すなわち、前記化合物は、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として有用である。したがって、本発明は前記一般式(1)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤を含有する。さらに、前記一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩からなる、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤をも含有する。
【0060】
本発明における前記抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤としての機能を発揮する一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩の実施形態についてはすでに述べたとおりである。以下、前記一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩について詳述する。前記一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、既知の物質である。
【0061】
本発明において、一般式(4)中の、Yは、−NR6R7基(基中、R6及びR7はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)または−NH−R8基(基中、R8は炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Yは、R6、R7及びR8がそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基である−NR6R7基または−NH−R8基が好ましい。さらに好ましくは、R6、R7及びR8がそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基である−NR6R7基または−NH−R8基であり、特にR6、R7及びR8がいずれもメチル基である−NR6R7基または−NH−R8基が好ましい。
【0062】
なお、一般式(4)中の他のR1、A及びXはいずれも一般式(1)と同様である。すなわち、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基またはフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は分枝、直鎖いずれでも構わず、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、R1は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に水素原子が好ましい。
【0063】
また、Aは−(CH2)n−基(nは0、1または2を表す。)を表す。ここで、メチレン基が好ましい。また、Xは水素原子または−COOR5基(基中、R5は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。これらのうち、Xは−COOR5基が好ましく、R5は水素原子またはメチル基が好ましい。
【0064】
本発明に係る一般式(4)で示されるインドール誘導体は、前記Y、R1、A及びXが上記の範囲で適宜組合されて製造され、各種用途に供される。
【0065】
特に、本発明においては、一般式(4)において、Xが−COOH基または−COOCH3基、YがR6及びR7がそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基である−NR6R7基またはR8が炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基である−NH−R8基であるインドール誘導体が好ましい。なお、この場合、R1は特に水素原子、Aは特にメチレン基であることが好ましい。
【0066】
本発明に係る一般式(4)で示されるインドール誘導体の具体例としては、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸[市販品;L−アブリン(和光純薬社製)]、2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸、2−(ジメチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸、メチル 3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパノエート、メチル 2−(ジメチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸等が挙げられる。これらのうちでは、特に、3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸が好ましい。
【0067】
一般式(4)で示されるインドール誘導体の塩を構成する塩としては、例えば、一般的な塩、酸付加物塩、水和物塩等が挙げられるが、水溶性のものが好ましい。
【0068】
前記一般的な塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、NーメチルーDーグルカミン等)の塩が挙げられる。
【0069】
また、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸化塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トリエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
【0070】
前記抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤は、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩の前記新規な機能の発見に基づく新規で有用な用途である。
【0071】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、前記機能をもって医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。また、本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩を有効成分として含有した抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として、医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。
【0072】
特に、本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、いずれも皮膚外用剤に配合され新規な皮膚外用剤の用途として、医薬品、医薬部外品を含む化粧品等に応用することができる。
【0073】
本発明の一般式(1)で示されるインドール誘導体若しくはその塩または一般式(4)で示されるインドール誘導体若しくはその塩を含有した皮膚外用剤は、優れたラミニン5の産生を促進する機能、抗老化機能、基底膜ケア機能を奏し、抗老化用、基底膜ケア用、ラミニン5産生促進用の皮膚外用剤である。
【0074】
なお、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩、一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩のそれぞれの実施形態については、前記それぞれが有する新規化合物及び各機能について記載したとおりである。
【0075】
前記皮膚外用剤としては、特に限定されるものではなく、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等が挙げられ、また、剤型は特に問わない。
【0076】
本発明に係る一般式(1)で示されるインドール誘導体若しくはその塩または一般式(4)で示されるインドール誘導体若しくはその塩が、皮膚外用剤に配合される場合、前記一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩は、1種または2種以上が任意に選択されて用いられる。また、一般式(1)で示されるインドール誘導体及びその塩並びに一般式(4)で示されるインドール誘導体及びその塩の含有量は、剤型等によっても異なってくるが、通常、皮膚外用剤全量中0.001〜20質量%が好ましい。さらに好ましくは0.01〜10質量%である。
【0077】
本発明の皮膚外用剤は、常法により製造すればよく、通常は上記成分の他に、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、水溶性高分子、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤、香料等が必要に応じて適宜配合される。
【0078】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体またはその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリン、リゾフォスファチジン酸、大豆調製物等の前記本発明の化合物以外のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、
【0079】
硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類、
【0080】
ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、サイコ抽出物、イブキジャコウ抽出物、ヒオウギ抽出物、アセンヤク抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、カッコン抽出物、シカクマメ抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、オノニス抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、チンピ、トウキ等も必要に応じて適宜配合される。
【0081】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0082】
まず、本発明に係るインドール誘導体の具体的な製造例について説明する。
【0083】
(製造例1)
1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
トリプトファン(1.0g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(0.2g)を加えて、一晩加熱還流する。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得る。ろ物を沸騰水(25ml)から再結晶を行い、標題化合物(0.61g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図1及び図2に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0084】
(製造例2)
1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
シカクマメ(Psophocarpus tetragonolobus、マメ科、種子)(833g)をメタノール(4.2L)で室温抽出し、メタノールエキス(60.85g)を得た。得られたエキスを水−酢酸エチルで分配し、得られた水相にn−ブタノールを加え、再度溶媒分配した。得られた水相を減圧下溶媒留去し水エキス(38.5g)を得た。本エキスを逆相シリカゲルカラム(水−メタノール)により分離精製し、標題化合物(2.33g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRは、製造例1のものと合致した。
【0085】
(製造例3)
2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の製造
トリプタミン(1.0g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(1.0g)を加え、一晩加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水、クロロホルムで順次洗浄し、標題化合物(1.0g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図3及び図4に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0086】
(製造例4)
3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の製造
トリプトファンメチルエステル塩酸塩(3.10g)のメタノール溶液(25ml)にヨウ化メチル(25ml)、水酸化ナトリウム(3.0g)を加えて、一晩加熱還流する。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物を水に懸濁後、ろ過し、ろ物を得る。ろ物に10%水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、室温で1時間撹拌した後、10%塩酸水で中和し、反応液を減圧下、溶媒留去した。粗生成物を水で洗浄後、メタノールとクロロホルムの混合溶媒から再結晶を行い、標題化合物(3.10g)を得た。得られた標題化合物の1H−NMR及び13C−NMRをそれぞれ図5及び図6に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0087】
(製造例5)
2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸の製造
トリプトファンメチルエステル塩酸塩(3.0g)のエタノール溶液(30ml)にヨウ化エチル(25ml)、水酸化ナトリウム(3.0g)を加え、一晩加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、得られた粗生成物に1,4−ジオキサン(20ml)、20%水酸化ナトリウム水(20ml)を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧下、溶媒留去し、粗生成物(4.3g)を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水=10:3:1(下相)により精製し、標題化合物(552mg)を得た。得られた標題化合物の1H−NMRを図7に示した。また、帰属を図中に記載した。
【0088】
以下、本発明に係るインドール誘導体について、ラミニン5産生促進機能、抗老化機能、基底膜ケア機能について実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0089】
(実施例1)ラミニン5産生促進効果
製造例1及び3〜5で製造したインドール誘導体並びに市販の3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸[L−アブリン(和光純薬社製)]について、ラミニン5産生促進効果を測定した。
【0090】
(試験法)
(1)表皮角質細胞の培養
表皮角質細胞はヒト包皮より単離し、カルシウム濃度の低い表皮細胞増殖培地(KGM)にて培養した。この培地には牛脳下垂体抽出液とEGFを添加した。細胞は第4代までKGMで培養後、トリプシン−EDTA処理によって接着細胞を浮遊させ、ろ過によって細胞のアグリゲートを除き、均一な細胞懸濁液を得た。遠心分離によって細胞を集め、DMEM−F12(2:1)−0.1%BSAに8×104/mlとなるように再懸濁させた。この細胞懸濁液を0.5ml、2倍濃度の薬剤を含む同培地0.5mlに加えた。培養は24穴プレートを用いて、37℃にて24時間行った。培養終了時に、培養上清をエッペンドルフチューブに移し、10000rpmで5分間遠心分離し、上清を新たなチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃に保存した。また、細胞内と培養プラスチック上に結合したラミニン5を可溶化するため、各種の界面活性剤を含むトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を各穴に添加し、一晩−20℃に保存した。翌日、超音波処理を行い、再度凍結した。翌日、再度溶解後、10000rpmで5分間遠心分離し、上清をチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃にて保存した。
【0091】
(2)サンドイッチELISA法によるラミニン5の測定
培養上清、細胞層に存在するラミニン5はサンドイッチELISA法にて測定した。96穴ELISAプレートの固層にラミニン5のラミニンα3鎖に対するモノクローナル抗体、BM165を結合させた。ラミニン5をサンドイッチして測定するため、もう一種の抗体としてラミニンβ3鎖に対するモノクローナル抗体である6F12を予めビオチン化(b−6F12)して用いた。本法では、機能を発揮しうるヘテロトリマー体(α3β3γ2)のみを測定し、ヘテロダイマー(β3γ2)を検出しない。b−6F12を含む3%ゼラチン・リン酸緩衝溶液を予め入れておいた各穴に試料を添加する。試料の穴内での最終希釈率は培養液が1/4、細胞層が1/10とした。抗原抗体反応は37℃2時間行い、プレートを洗浄した後、アビヂンHRP(ホースラディシュパーオキシダーゼ)溶液を添加し、更に30分から1時間反応させた。洗浄後、HRPの基質であるABTS溶液を加え、405nmの吸光度をELISAプレートリーダーを用いて測定した。検量線は0〜40ng/mlの範囲で作成した。
【0092】
ラミニン5の産生量は、培地中に遊離された量と細胞層に残った量との総和を算出し、インドール誘導体を添加していない試料(コントロール)に対する相対的な値をもって示した。
【0093】
結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
【0095】
表1から明らかなように、本発明に係るインドール誘導体は優れたラミニン5産生促進作用を有し、ラミニン5産生促進剤、さらに基底膜ケア剤、抗老化剤として有用な化合物であることが分かる。
【0096】
(実施例2〜15)
以下、本発明に係るインドール誘導体またはその塩を配合した皮膚外用剤の実施例を挙げて本発明をさらに説明する。配合量は質量%である。
【0097】
【0098】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。乳化物を熱交換器を用いて冷却してクリームを得た。
【0099】
【0100】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0101】
【0102】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0103】
【0104】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0105】
【0106】
(製法)
実施例2と同様にして、クリームを得た。
【0107】
【0108】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、C相を加えてさらに撹拌した。乳化機で乳化後、熱交換機を用いて冷却して乳液を得た。
【0109】
【0110】
(製法)
実施例2と同様にして、乳液を得た。
【0111】
【0112】
(製法)
A相、B相をそれぞれよく撹拌して混合溶解した。A相をB相に加えて乳化機で乳化後、熱交換機を用いて冷却して乳液を得た。
【0113】
【0114】
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルエーテルを溶解した95%エタノールと2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸を水相に添加した。次いで、その他の成分を加えた後、水酸化ナトリウム、L−アルギニンで中和させ増粘させて、ゼリーを得た。
【0115】
【0116】
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いで、B相を加えてよく撹拌した。
【0117】
【00118】
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化した。次いで、これをC相に加えてよく撹拌した。
【0119】
【0120】
(製法)
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。
【0121】
【0122】
(製法)
セリサイトから黒色酸化鉄までの粉末成分をブレンダーで充分混合し、これにスクワランからセスキイソステアリン酸ソルビタンまでの油性成分、1−(1H−インドール−3−イル)−2−メトキシ−N,N,N−トリメチル−2−オキソ−1−エタナミニウム塩、防腐剤、酸化防止剤、香料を加え、よく混練した後、容器に充填、成型した。
【0123】
【0124】
(製法)
水相を加熱撹拌後、充分に混合粉砕した粉末部を添加してホモミキサー処理した。さらに、加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却した。
【0125】
【0126】
(製法)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し溶解(分散)した。A相をB相に加えてよく撹拌した後、乳化機で乳化した。乳化物を熱交換器を用いて冷却してリップクリームを得た。
【0127】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のインドール誘導体またはその塩は、優れたラミニン5産生促進作用を有しており、ヒト皮膚基底膜をケアし、加齢や光老化等による基底膜の構造変化に伴う皮膚のしわ、たるみ、硬化等の皮膚の機能低下に優れた効果を有するとともに、弾力のある若々しい健康な肌の状態を維持する抗老化機能を有するものである。このことから、本発明のインドール誘導体またはその塩は、抗老化剤、基底膜ケア剤、ラミニン5産生促進剤として有用であり、例えば皮膚外用剤に配合して医薬品、医薬部外品、化粧品等に応用することができる。また、本発明のインドール誘導体またはその塩を配合した皮膚外用剤は、優れたラミニン5産生促進機能、抗老化機能、基底膜ケア機能を奏するので、医薬品、医薬部外品、化粧品等の皮膚外用剤に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図2】1−カルボキシ−2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図3】2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図4】2−(1H−インドール−3−イル)−N,N,N−トリメチル−1−エタナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図5】3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の1H−NMRスペクトル図である。
【図6】3−(1H−インドール−3−イル)−1−メトキシ−N,N,N−トリメチル−1−オキソ−2−プロパナミニウム塩の13C−NMRスペクトル図である。
【図7】2−(ジエチルアミノ)−3−(1H−インドール−3−イル)プロパン酸の1H−NMRスペクトル図である。
Claims (13)
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインドール誘導体またはその塩からなる抗老化剤。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインドール誘導体またはその塩からなる基底膜ケア剤。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインドール誘導体またはその塩からなるラミニン5産生促進剤。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインドール誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤。
- 請求項8乃至10のいずれか一項に記載の一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩が3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩である請求項8乃至10のいずれか一項に記載の抗老化剤、基底膜ケア剤またはラミニン5産生促進剤。
- 請求項12に記載の一般式(4)で示されるインドール誘導体またはその塩が3−(1H−インドール−3−イル)−2−(メチルアミノ)プロパン酸またはその塩である請求項12記載の皮膚外用剤。
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