JP2004196673A - カロテノイド含有パウダーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和、乾燥してなることを特徴としたカロテノイド含有パウダーの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カロテノイド類を有効成分とするカロテノイド含有パウダーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、活性酸素は体内に侵入してきた病原菌やカビなどの異物から身を守る役割を持つ反面、強い毒性を有しており、この活性酸素が体内に過剰に発生したときの毒性を防ぐことは、様々な疾患、老化の防止に繋がることが知られている。この活性酸素に対して抗酸化作用を有する物質(以下、抗酸化物質という。)としては、カロテノイド(βカロテンやアスタキサンチンなど)やビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(カテキン、ケルセチンなど)、セレン等の物質が知られている。
しかし、これらの抗酸化物質、特にカロテノイド類においては、その形態を問わず、非常に不安定な物質であり、自体の酸化によって抗酸化作用が削減したり、さらには分解することもある。
このため、酸素非透過性の容器中に密封しガス置換したり、低温で保存するなどして、安定性の保持を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の技術にあっては、以下のような問題点があった。
<イ>カロテノイド類は高い酸素感受性を有するため、カロテノイド類の製造から包装までの過程において、わずかな酸素との接触でも酸化する可能性が高く、そのため常に取り扱いには注意を払う必要がある。
<ロ>カロテノイド類は、本来油状物質であるため加工上制約される面がある。そのためにサプリメントとして供給される場合、オイル状のまま軟カプセルに封入し、外気との接触を遮断するカプセル剤商品が多く扱われている。一方では粉末状から加工する錠剤製品あるいは粉末状で充填する硬カプセル製品も要求されるところである。
しかし、カロテノイド類の粉末タイプは、乳化剤と共にビタミンEオイルを加えデキストリンに添加練合し(ねり合せて)、安定性が決して良いとは言えない。
【0004】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、製造工程中、カロテノイド類の分解が抑制されつつ、酸化されにくい安定した形態のカロテノイド含有パウダーの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和、乾燥してなることを特徴とするものである。
ここで、コート剤とは核となるカロテノイドを直接包皮し、カロテノイドの酸化を防止する役割を果たすものである。
【0006】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを溶媒で溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤とを混和、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルをエタノール又はアセトンで溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤とを混和、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和し、この混和溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを溶媒で溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と油脂類及び/又はタンパクを有するコート剤とを混和し、この混和溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルをエタノール又はアセトンで溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と油脂類及び/又はタンパクを有するコート剤とを混和し、この混和溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和し、この混合溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなる第一のカロテノイド含有パウダーに、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有する充填コート剤を混合、乾燥してなることを特徴とするものである。
ここで、最終的に得られたカロテノイド含有パウダーは、第一のカロテノイド含有パウダーを凍結乾燥する際に生じた気孔を抗酸化物質等で充填すると同時に、さらにカロテノイドを二次コートするものである。
【0012】
さらに、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルを溶媒で溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤とを混和し、この混合溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなる第一のカロテノイド含有パウダーに、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有する充填コート剤を混合、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルをエタノール又はアセトンで溶解したカロテノイド含有オイル溶液と、抗酸化物質と油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤とを混和し、この混合溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなる第一のカロテノイド含有パウダーに、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有する充填コート剤を混合、乾燥してなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、前記した何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法を利用して、コート剤に含有する抗酸化物質としてビタミンE、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンCステアリン酸エステル、ローズマリーオイル、油脂類としてミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、タンパクとしてゼイン、ゼラチン、カゼインより成る群から選択したことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、前記した何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法を利用して、エマルジョン用水溶液に含有する抗酸化物質としてビタミンC類、エリソルビン酸、糖類としてデキストリン、プルラン、エリスリトール、タンパクとしてゼラチン、カゼインより成る群から選択したことを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、前記した何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法を利用して、充填コート剤に含有する抗酸化物質としてビタミンC類、ビタミンE、油脂類としてミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、タンパクとしてゼイン、ゼラチン、カゼインより成る群から選択したことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、前記した何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法を利用して、乾燥方法が減圧乾燥、凍結乾燥の中より選択されたことを特徴とするものである。なお、その他の乾燥方法として、スプレードライを利用してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態1】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<イ>全体構成
本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、カロテノイド含有オイルから幾つかの工程を経てカロテノイド含有パウダーを製造する方法に関するものである。例えば、図1に示すように、カロテノイド含有オイル溶液にコート材を混合し乾燥してカロテノイド含有パウダーを製造する。又は、図2に示すように、カロテノイド含有オイル溶液にコート材を混和し、この混合溶液をエマルジョン用水溶液に混和し乾燥してカロテノイド含有パウダーを製造する。又は、図3に示すように、カロテノイド含有オイル溶液にコート材を混和し、この混合溶液をエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなるカロテノイド含有パウダーに、充填コート剤を混和し乾燥してカロテノイド含有パウダーを製造する。いずれの製造においても、カロテノイド含有オイル溶液の代わりにカロテノイド含有オイルを直接コート材に混和してもよい。
【0020】
<ロ>カロテノイド含有オイル溶液
カロテノイド含有オイル溶液とは、抗酸化作用を有する物質であるカロテノイド含有オイルを、エタノール又はアセトンなどの溶媒で溶解した溶液である。
カロテノイド含有オイルには、アスタキサンチン、α、β−カロテン、ルテインなどの種類を含有するものがある。
【0021】
<ハ>コート剤
コート剤は、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するものであって、たとえばエタノール、アセトン、ヘキサン等の溶剤に溶解して用いる。
コート剤を、カロテノイド含有オイル溶液に混合すると、コート剤中の油脂類及び/又はタンパクが、カロテノイドの周囲に抗酸化物質とともに固着し、酸化防止の被膜を形成する。
【0022】
抗酸化物質は酸化防止の役割を有するものであって、エタノール及び/又はアセトン溶解性を示し、乾燥後固形化するものが好ましい。
この抗酸化物質は、たとえばビタミンE、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンCステアリン酸エステル、ローズマリーオイルなどの中から少なくとも一種類が使用できる。ビタミンE、ローズマリーオイル等は、常温で液状であるがアスタキサンチンの酸化防止に有用で、ビタミンCパルミチン酸エステルやミツロウ等の油脂類、ゼインなどと同時に用いれば粉末固形化には差し障りなく目的を得ることができる。
【0023】
油脂類は、ミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウなどの中からいずれか一種または数種を、またタンパクにはゼインを使用する。
【0024】
本例においては、抗酸化物質として、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンEオイルを使用し、油脂類の中からミツロウを選択して使用した。
【0025】
<ニ>エマルジョン用水溶液
エマルジョン用水溶液は、コートされたカロテノイドを溶液中に微細に、均一かつ安定に分散させる溶液であって、安定なエマルジョンを得るために乳化剤を含むほか、抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを任意に含む溶液である。
【0026】
乳化剤は、必要に応じて任意のものから一種または数種を選択して用いることができるが、乾燥後、粉末化するものが好ましい。乳化剤は、たとえばショ糖脂肪酸エステル、キラヤサポニンなどのような粉末化できるものが好ましい。
抗酸化物質にはビタミンC類、エリソルビン酸が使用でき、特に水中に含まれる酸素からの酸化防止用としてはビタミンCナトリウムが使用できる。
糖類は、デキストリン、プルラン、エリスリトールなどの中からいずれか一種または数種を、またタンパクはゼラチン、カゼインなどの中から一種または数種を選択して使用することができる。
【0027】
本例においては、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル、キラヤサポニンを使用し、抗酸化物質としてはビタミンCナトリウムを、また糖類の中から、エリスリトール、デキストリンを選択して使用した。
【0028】
<ホ>充填コート剤
充填コート剤は、既述した第一のカロテノイド含有パウダーを乾燥する際に、抗酸化物質で形成した被膜に生じた気孔を充填すると共に、第一のカロテノイド含有パウダーの周囲を二次コートするものである。
【0029】
充填コート剤は、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するものであって、たとえばエタノールまたはアセトン若しくは水に溶解して用いる。
抗酸化物質は、たとえばビタミンC類、ビタミンEなどの中からいずれか一種または数種を選択して使用する。
油脂類には、ミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウの中からいずれか一種または数種を、またタンパクにはゼイン、ゼラチン、カゼインなどの中からいずれか一種または数種を選択して使用する。
【0030】
本例においては、抗酸化物質として、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンEオイルを使用し、油脂類からミツロウ、タンパクからはゼインを其々選択して調整し、充填コート剤として使用した。
【0031】
<ヘ>その他
上記各材料を混和させた後、これを乾燥する方法として、減圧乾燥、凍結乾燥、またスプレードライの中から選択する。
減圧下で乾燥すれば、酸素濃度が希薄になり乾燥中、酸素による障害はほとんどない。また、スプレードライは短時間で乾燥が終了するため、同様に酸素による障害を受けにくい。
減圧下に置く場合、たとえば200パスカル以下、より好ましくは40パスカル以下が良い。
【0032】
つぎに図4〜図5を用いて、本発明に係るカロテノイド含有パウダーの製造方法を、アスタキサンチンを一例とし、アスタキサンチン含有オイルからアスタキサンチン含有パウダーを製造する方法について説明する。
【0033】
アスタキサンチン含有オイルは、アスタキサンチン及び/又はアスタキサンチンのエステル結合体を含有するもので、たとえば、天然物からアセトン、ヘキサン等の有機溶剤を用いて分離することができるが、溶媒残留という点では全く心配のない超臨界炭酸ガスによっても抽出される。天然物には、緑藻ヘマトコッカス、赤色酵母ファフィア、アメリカザリガニやナンキョクオキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
また、抽出物は必要に応じて適宜精製したものでよい。
【0034】
<イ>アスタキサンチン含有オイル溶液とコート剤の混合
95%のエタノール(8ml)に10%のアスタキサンチン含有オイル(9.6g)を加え、60℃で加温のもと、混合溶解してアスタキサンチン含有オイルエタノール溶液を得る。
【0035】
ビタミンCパルミチン酸エステル(0.68g)、ビタミンEオイル(0.16g)、ミツロウ(0.08g)を95%のエタノール(6ml)に加え70℃で加温のもと、混合溶解してコート剤を得る。
【0036】
次いで、アスタキサンチン含有オイル溶液およびコート剤を混合(以下、A液と称する)しつつ、70℃を保持する。
この結果アスタキサンチンの周囲は、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンEなどの抗酸化物質で覆われた形態を呈する。
なお、この段階で、A液を減圧下、たとえば30パスカル程で乾燥して、アスタキサンチン含有パウダーとしてもよい。
【0037】
<ロ>A液とエマルジョン用水溶液との混合
次に、エマルジョン用水溶液を製造する。
エマルジョン用水溶液は、水(150ml)を溶媒として、ショ糖脂肪酸エステルDKエステルF160(第一工業製薬社製:0.68g)、キラヤサポニン(0.68g)を用い、さらにエリスリトール(7g)、ビタミンCナトリウム(1.36g)およびデキストリン(1.36g)を70℃のもと、混合溶解して得る。
乳化には高速撹拌器、ホモジナイザー等を用いて充分に撹拌し、均一な状態とする。
【0038】
70℃のもと、撹拌するエマルジョン用水溶液にA液を徐々に注いでエマルジョンを形成し、さらに70℃のもとで撹拌し続けて均一に分散させる。
【0039】
<ハ>アスタキサンチン含有パウダーの形成
このようにして得られたエマルジョンを約マイナス30℃で凍結し、真空状態で水を昇華させて乾燥し、ドライパウダー状のアスタキサンチン含有パウダー(以下、第一のアスタキサンチン含有パウダーと称する)を形成する。
また、その他の乾燥方法としてスプレードライを利用することもできる。
【0040】
なお、上記の各工程に記載した加熱温度は限定されるものではなく、約60℃〜約70℃の範囲における温度であってもよい。
【0041】
【発明の実施の形態2】
以上、実施の形態1では第一のアスタキサンチン含有パウダーの形成について詳述した。しかし、第一のアスタキサンチン含有パウダーは形成過程において、凍結状態で真空乾燥するため、その表面および内部にエタノール、水等の溶媒が気化し脱気する際に気孔を生じる。この気孔が内部に配するアスタキサンチンに接している場合、気孔は酸素の通気路となりアスタキサンチンを酸化する危険性が伴う。
【0042】
そこで実施の形態2では、形成した気孔を抗酸化物質(充填コート剤に含有)で充填することにより、内部のアスタキサンチンをより確実に酸化から保護し、加えて、第一のアスタキサンチン含有パウダーの周面全体を二次コートして強力に酸化防止を図るものである。
以下、実施例を挙げて詳細する。
【0043】
<イ>充填コート剤の生成
ビタミンCパルミチン酸エステル(0.32g)、ビタミンEオイル(0.01g)、ミツロウ(0.01g)、ゼイン(0.66g)を95%のエタノール(6ml)に加え、70℃で加温のもと、混合、溶解して充填コート剤を得る。
【0044】
<ロ>第一のアスタキサンチン含有パウダーと充填コート剤の捏和
第一のアスタキサンチン含有パウダーと70℃に保つ充填コート剤を混ぜ、練り合わせ、均一となるように充分に捏和する。
これによって、充填コート剤含有の抗酸化物質が第一のアスタキサンチン含有パウダーの周囲に生じた気孔を充填しつつ、コート剤の周囲をさらに覆う。
つまり、アスタキサンチンは二重に被覆された形態を呈し、ほぼ完全に酸化から防止することができる。
このとき、充填コート剤に含有させる抗酸化物質は必ずしも、同種とする必要はない。
その後、これを約5mm〜約10mmの厚みになるように略均一に延ばし、平形状を形成する。
成形後、真空乾燥を行い内部に残留するエタノールを除去する。
このような非凍結状態のもとでの真空乾燥においては、アスタキサンチン含有パウダーの周囲に形成する被膜に、前述したような気孔を生じることはない。
【0045】
乾燥物をスピードミル(スクリーン6mm)、大型粉砕機(スクリーンなし)で粉砕する。
次いで、小型振るい機(40M)に通してアスタキサンチン含有パウダーを形成する。
なお、真空乾燥を施す前工程のアスタキサンチンの厚みは、エタノールを除去できる厚みであればよく、機械の能力や条件等に応じて任意とすることができる。
【0046】
以下、上記工程を経て最終的に得られたアスタキサンチン含有パウダーのアスタキサンチンの安定性に関する試験について説明する。
【0047】
<ハ>試験の方法
図5の工程で得られたアスタキサンチン含有パウダー(AX−P)と、コントロールとして、アスタキサンチン含有オイルにデキストリン、ビタミンE、乳化剤を混和し、粉末形成したアスタキサンチンコントロール粉末(AX−C)とを、遮光、大気下で、40℃保存した時のアスタキサンチン含有率の経時変化を測定した(加速安定性試験)。
【0048】
<ニ>試験結果
試験結果を図6および表1に示す。
図6は、各試験品(AX−P、AX−C)の、アスタキサンチン含有保持率(%)と経過日数(日)との関係について示した図で、表1は試験データを表で纏めたものである。
【0049】
【表1】
【0050】
経過日数0日目における、アスタキサンチン含有パウダー(AX−P)、アスタキサンチンコントロール粉末(AX−C)のアスタキサンチン含有率(%)を100として示した。
アスタキサンチンコントロール粉末(AX−C)は、日数が経つにつれてアスタキサンチン保持率(%)が低下し、7日目では68.2%、62日目にあっては17%まで低下した。
一方、本発明のアスタキサンチン含有パウダー(AX−P)は、7日目では100%、62日経過後でも95%と高いアスタキサンチン保持率を示した。
両試験品のアスタキサンチン含有保持率(%)には、経過日数と共に明らかな違いが認められた。
【0051】
【発明の効果】
本発明のカロテノイド含有パウダーの製造方法は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明のカロテノイド含有パウダーは、抗酸化物質や他のコート剤によって表面をコートされているため、核となるカロテノイド類は酸化されにくい。
<ロ>さらに、カロテノイド類をコートする表面の抗酸化物質を別成分とすることによって、かつ本発明の利用時においてその性能を保つならば、それぞれ異なる抗酸化作用により、より強力な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカロテノイド含有パウダーの形成工程図。
【図2】カロテノイド含有オイル溶液にコート剤およびエマルジョン用水溶液を添加して得るカロテノイド含有パウダーの形成工程図。
【図3】図2で形成されたカロテノイド含有パウダーに充填コート剤を添加して得るカロテノイド含有パウダーの形成工程図。
【図4】アスタキサンチン含有パウダーを形成する実施の形態1を示す図。
【図5】アスタキサンチン含有パウダーを形成する実施の形態2を示す図。
【図6】アスタキサンチン保持率(%)と経過日数(日)との関係を示す図である。
Claims (7)
- カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和、乾燥してなる、
カロテノイド含有パウダーの製造方法。 - カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和し、
この混合溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなる、
カロテノイド含有パウダーの製造方法。 - カロテノイド含有オイルを、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有するコート剤に混和し、
この混合溶液を、乳化剤に抗酸化物質と、糖類及び/又はタンパクとを混和したエマルジョン用水溶液に混和した後、乾燥してなる第一のカロテノイド含有パウダーに、抗酸化物質と、油脂類及び/又はタンパクとを有する充填コート剤を混和、乾燥してなる、
カロテノイド含有パウダーの製造方法。 - コート剤に含有する抗酸化物質としてビタミンE、ビタミンCパルミチン酸エステル、ビタミンCステアリン酸エステル、ローズマリーオイル、油脂類としてミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、タンパクとしてゼイン、ゼラチン、カゼインより成る群から選択された、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法。
- エマルジョン用水溶液に含有する抗酸化物質としてビタミンC類、エリソルビン酸、糖類としてデキストリン、プルラン、エリスリトール、タンパクとしてゼラチン、カゼインより成る群から選択された、請求項2乃至請求項4の何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法。
- 充填コート剤に含有する抗酸化物質としてビタミンC類、ビタミンE、油脂類としてミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、タンパクとしてゼイン、ゼラチン、カゼインより成る群から選択された、請求項3乃至請求項5の何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法。
- 乾燥方法が減圧乾燥、凍結乾燥の中より選択されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載のカロテノイド含有パウダーの製造方法。
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