JP2004196586A - 燃料改質システム - Google Patents
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Abstract
【課題】起動運転から通常改質運転に移行する際に、改質装置内部温度の過度の上昇を抑制する。
【解決手段】少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置30と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する起動燃焼器9と、改質装置30内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段(コンプレッサ5)を備える。また、暖機時には、起動燃焼器9におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置30に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置30と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する起動燃焼器9と、改質装置30内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段(コンプレッサ5)を備える。また、暖機時には、起動燃焼器9におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置30に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料改質システムに関する。特に炭化水素系燃料と水を加熱蒸発させて生成した改質燃料蒸気の改質反応によって、水素などの可燃性のガスを主成分とする改質ガスを生成する改質システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料電池システムとして、炭化水素系燃料等の水素含有燃料を改質することにより生成した水素を燃料電池スタックに用いる改質型燃料電池システムが知られている。このような改質反応を行うために、触媒が充填された改質装置が用いられている。例えばメタノールのATR(オートサーマルリフォーミング)反応では、改質触媒において吸熱反応である水蒸気反応(CH3OH+H2O→CO2+3H2 )と、発熱反応である部分酸化反応(CH3OH+1/2O2→CO2+2H2 )が行われる。改質触媒にはこのような反応を生じるための最適温度範囲(活性温度)が存在し、メタノールを用いる場合には400℃付近、ガソリンを用いる場合には700℃付近である。
【0003】
また、200℃以下で作動する燃料電池においては、電極の白金などの触媒がCOにより被毒されるため、供給される水素含有ガス中のCO濃度を1%以下にする必要がある。また、特に100℃以下で作動する固体高分子型燃料電池に供給する水素含有ガス中のCOは少なくとも数十ppm以下、好ましくは数ppm以下にする必要がある。そこで、改質ガス中のCO濃度を低減するために、シフト反応(CO+H2O→CO2+H2)とPROX反応(2CO+O2→2CO2)が行われる。これらの反応にも触媒が用いられ、シフト反応触媒の活性温度は約250℃〜400℃、PROX反応触媒の活性温度適温は200℃付近である。
【0004】
このような改質型燃料電池システムには、起動時に触媒を活性温度まで短時間で加熱するための起動用燃料器を備えたものがある。起動用燃焼器は、燃焼室に加熱用燃料を供給する燃料噴射手段と、この燃焼室に供給された加熱用燃料を点火させる点火用プラグとが備えられている。燃料改質システム起動時に前記燃焼室で燃焼が行われて、前記燃焼室に連通する改質装置に直接燃焼ガスが供給される(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−63104号公報
【0006】
【発明が解決しようとしている問題点】
ここで、図1に、空燃比λと断熱火炎温度の関係を示す。
【0007】
起動時にはNOXや未燃焼燃料の発生を防ぐと同時に、暖機用燃焼ガスの温度を暖機用ガス温度Tw程度に調整するため、λ>1、ここではλ=3程度のリーン燃焼にすることが望ましい。また、通常の改質運転時には、ATR反応を用いる場合には、水蒸気、空気、燃料蒸気の混合ガスを改質部に供給するが、そのときの空燃比はλ≦1となる。このことから、起動運転から通常改質運転に移行する際に、上記リーン燃焼ガスと改質用リッチ燃料ガスの境界にλ=1の領域が生じ、そこで改質装置内部温度が一時的に上昇するので、改質触媒やCO除去触媒が破損するという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、起動運転から通常改質運転に移行する際に、改質装置内部温度の過度の上昇を抑制することのできる燃料改質システムを提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記改質装置内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段と、暖機時には、前記燃焼器におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを前記改質装置に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に前記改質装置内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う制御手段と、を備えた。
【0010】
【作用及び効果】
暖機時には、燃焼器におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。これにより、起動運転から定常改質運転への切り替え時、触媒内部で理想空燃比となって触媒が過度に昇温することを抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムを備えたパワープラントシステムを、図2の概略構成図を用いて説明する。ここでは燃料電池システムを車輌の動力源として車載した場合について説明する。
【0012】
パワープラントシステムは、燃料から水素を生成する燃料改質システム101、水素を含有する改質ガスと空気との電気化学反応から電力を生じる燃料電池102、電気エネルギを運動エネルギに変換するモータ103を備える。また、燃料電池102で応答しきれない負荷変動に応えるバッテリ104、これらの装置を制御するコントロールユニット105を備える。
【0013】
コントローラユニット105において、図示しないアクセルペダルの開度等から燃料電池102に要求される発電量を求める。その発電量を賄うための水素を生じるために必要な燃料、水、空気の流量を用いて燃料改質システム101で水素リッチな改質ガスを生成する。これを燃料電池102に供給して、電気化学反応を生じることにより、車輌の走行等に必要な電力を生じる。この電力をモータ103において運動エネルギに変換し、図示しないファイナルギアを介して車輪に伝達する。このとき、燃料電池102で過剰に電力が発生した場合には、その過剰分をバッテリ104に蓄電し、モータ103において電力が不足する場合には、バッテリ104に蓄えられた電力をモータ103に給電する。
【0014】
次に、パワープラントシステム中の燃料改質システム101の概略構成を図3を用いて説明する。燃料改質システム101の改質燃料としては水素含有燃料、例えば炭化水素系燃料であるガソリンを用いる。
【0015】
ガソリンを貯蔵する燃料タンク1、改質用の水を貯蔵する水タンク2、燃料タンク1から供給されたガソリンを蒸発させて燃料蒸気を生じるガソリン蒸発器3、水タンク2から供給された水を水蒸させる水蒸発器4を備える。また、後述する改質装置30や起動燃焼器9への空気の供給や、改質装置30内圧力の低減を行うコンプレッサ5を備える。
【0016】
改質装置30として、燃料蒸気・水蒸気・空気を用いたATR反応により水素リッチな改質ガスを生成する改質反応器6、改質反応器6で生成された水素リッチな改質ガス中のCO濃度を低減するシフト反応器7、PROX反応器8を備える。ここでは、コンプレッサ5から供給される空気に、ガソリン蒸発器3からの燃料蒸気や水蒸発器4からの水蒸気を混入し、これを改質反応器6に供給することにいよりATR反応を生じる。ATR反応により生じた改質ガスをシフト反応器7に導入し、水タンク2から供給される水を用いたシフト反応によりCO濃度を低減する。さらに、PROX反応器8で、コンプレッサ5により圧送された空気の一部を用いてPROX反応を生じ、シフト反応により低減された改質ガス中のCO濃度をさらに数十ppmまで低減する。
【0017】
また、起動暖機時に、燃料タンク1から供給されたガソリンと、コンプレッサ5により導入された空気を用いて燃焼室内でガソリン燃焼を行う起動燃焼器9を備える。起動燃焼器9は、燃焼室に加熱用燃料を供給するインジェクタと、この燃焼室に供給された加熱用燃料を点火させる点火用プラグとが備えられている。暖機運転時には、インジェクタによりリーン燃焼を行うように燃料が噴射される。起動燃焼器9におけるガソリン燃焼により生じたリーン燃焼ガスは、改質装置30に直接供給され、改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8内を流通する際に触媒を加熱してから燃料改質システム101外部に排出される。
【0018】
さらに、コンプレッサ5により外気を圧送する(ポートa側)か、改質装置30内の空気を吸引する(ポートb側)か、を選択する三方弁10を備える。また、コンプレッサ5から圧送された空気を改質装置30に供給する(ポートd側)か、または後述する三方弁12側に供給する(ポートc側)か、を選択する三方弁11を備える。また、三方弁11により選択的に供給された空気を起動燃焼器9に供給する(ポートf側)か、外部に排出する(ポートe側)か、を選択する三方弁12を備える。また、改質装置30から排出された改質ガスを燃料電池102に供給する(ポートg側)か、改質装置30内の空気を下流側から吸引する(ポートh側)か、を選択する三方弁13を備える。なお、ここでは「空気」を、外気のほかに起動燃焼器9で生成したリーン燃焼ガス等の酸素を含むガスとする。
【0019】
また、改質装置30と外部との物質移動を遮断するために、シャットバルブ14〜16を備える。シャットバルブ14をコンプレッサ5から改質装置30に空気を供給する配管に設ける。ここでは特に、コンプレッサ5からの空気への燃料蒸気や水蒸気の混入部分、またリーン燃焼ガスの導入部分より下流側、かつ改質反応器6の上流側に配置する。これにより、改質反応器6に空気等を導入する流路を介して、外部から改質装置30に物質が移動するのを遮断する。また、シャットバルブ15を改質装置30の下流側に配置する。ここでは、三方弁13のさらに下流側に配置する。これにより、選択的に燃料改質システム101下流部と改質装置30との間の物質移動を遮断することができる。さらにシャットバルブ16をコンプレッサ5からPROX反応器8に空気を供給する流路に配置する。これにより、PROX反応器8への空気供給配管を介して、外部と改質装置3との間の物質移動を遮断することができる。シャットバルブ14、16を全て閉じ、三方弁10をポートb側、三方弁13をポートh側に設定し、さらにコンプレッサ5を稼動することで、改質装置30内の空気を吸引して改質装置30内の圧力を低減することができる。
【0020】
さらに、コンプレッサ5からPROX反応器8に空気を供給する流路に空気流量調整バルブ17を備える。ここでは、コンプレッサ5とシャットバルブ16との間に配置する。この空気流量調整バルブ17により、コンプレッサ5により圧送された空気を改質反応器6とPROX反応器8に分配する。
【0021】
改質装置30、ここでは改質反応器6に圧力センサ18を備える。また、燃料改質システム101から燃料電池102に供給される水素リッチ改質ガス中のCO濃度を検出するために、シャットバルブ15の下流側にCOセンサ19を備える。また、改質反応器6の触媒温度TREFを検出する改質温度センサ21、シフト反応器7の触媒温度TWGSを検出するシフト温度センサ22、PROX反応器8の触媒温度TPROXを検出するPROX温度センサ23を備える。起動燃焼器9にも熱電対等の燃焼温度センサ24を備える。また、ガソリン蒸発器3の温度を検出する燃料蒸発器温度センサ25と、水蒸発器4の温度を検出する水蒸発器温度センサ26を備える。さらにコントローラユニット20を備え、各部センサの出力に応じて、各三方弁10〜13、シャットバルブ14〜16等を制御する。コントローラユニット20は、前述したコントローラユニット105の一部でもよいが、ここでは燃料改質システム101を制御するためのものとする。
【0022】
次に、このような燃料改質システム101の暖機時の制御方法を説明する。本制御のメインルーチンを図4に示す。燃料電池102で発電を始めるまでの間、運転者からの出力要求に対してはバッテリ104からの電力で応答する。
【0023】
ステップS1において、起動イグニッションがONとなったのを検知したら、ステップS2において、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4の暖機を開始する。ここでは、図示しないヒータ等により暖機を行う。ステップS3において触媒反応器起動暖機を開始する。ここで、触媒反応器起動暖機のサブルーチンを図5に示す。
【0024】
ステップS11において三方弁10〜13を設定する。三方弁10を、コンプレッサ5により外気を供給するようにポートa側に設定する。また、三方弁11をコンプレッサ5から供給された空気を三方弁12側に流通させるようにポートc側に設定する。三方弁12を、供給された空気をさらに起動燃焼器9側に供給するようにポートf側に設定する。さらに、三方弁13を、改質装置30から排出されたガス(リーン燃焼ガス)を燃料改質システム101から排出するようにポートg側に設定する。
【0025】
次に、ステップS12において、シャットバルブ14〜16を開として改質装置30と外部とを連通させる。ステップS13において、コンプレッサ5をONにする。これにより、外気が三方弁10を介してコンプレッサ5により圧送され、三方弁11、三方弁12を介して起動燃焼器9に供給される。ここで、コンプレッサ5により圧送する空気量は、起動燃焼器の点火時にあまりに多大な流量を流すと、点火が困難となる可能性があるので、起動燃焼器9の点火プラグにて点火できる比較的小流量の流量範囲とする。
【0026】
ステップS14において、ガソリンを図示しない燃料ポンプにより加圧して、インジェクタを用いて微粒子状にて起動燃焼器9へ供給する。このとき供給されるガソリン量は、空燃比が理想空燃比よりも燃料希薄側にあるリーン燃焼が行われる量とする。例えばここでは、空燃比λ=3となるように供給する。ガソリン流量、空気流量が安定したところでグロープラグやパークプラグなどの点火プラグにより、起動燃焼を開始する。
【0027】
ステップS15において、起動燃焼器内部9に設置した燃焼温度センサ24によりガソリンの点火を確認する。ここで、ガソリンが起動燃焼器9で燃焼していると推定できる最低温度を温度閾値TS.C.0として予め設定しておく。燃焼温度センサ24により検出した温度TS.C.がこの温度閾値TS.C.0以上となった場合に、ガソリンに点火したと判断する。
【0028】
このようにガソリンの点火を確認できたら、ステップS16において点火プラグをOFFにする。次にステップS17に進み、空燃比が理想空燃比よりも燃料希薄側にあるリーンガス(例えば、空燃比をλ=3)に維持しながら起動燃焼器9へ供給されるガソリン量と空気量を増加させる。これにより、起動燃焼器9で生成された燃焼ガスは改質装置30に供給される。燃焼ガスは約800℃であり、その熱を用いて改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8の触媒をそれぞれの触媒活性温度まで昇温させる。ここでは、改質反応器6を700℃程度、シフト反応器7を400℃程度、PROX反応器8を200℃程度まで昇温する。この際に、シフト反応器7の温度を調整するために水タンク2から図示しない水ポンプ等により水をシフト反応器7に供給してもよい。また、PROX反応器8の温度を調整するために、コンプレッサ5から供給される常温の空気を空気流量調整バルブ17で流量調整を行ってPROX反応器8に供給してもよい。
【0029】
次にステップS18において、改質装置30の各触媒温度TREF、TWGS、TPROXを検出する。このとき各触媒温度TREF、TWGS、TPROXが、ある温度閾値TREF0、TWGS0、TPROX0に達したと判断されたら、ステップS19に進む。ここで、温度閾値TREF0、TWCS0、TPROX0は通常運転を開始できると判断される温度、例えば、各触媒の触媒活性温度とすることができる。または、シフト反応、PROX反応が発熱反応であることを考えて触媒活性温度より少し低い値とすることもでき、このような場合には、起動運転時間を短縮することができる。
【0030】
ステップS19において、起動燃焼器9をOFFにする。つまり起動燃焼器9への燃料噴射をOFFにする。これにより、燃焼ガスの生成を終了し、改質器30に備えた触媒の起動暖機運転を終了する。
【0031】
次に、図4のステップS4において、起動運転から通常運転に切り換える際の起動切換サブルーチンを行う。起動切換サブルーチンを図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0032】
ステップS21において、三方弁10〜13を設定して、改質装置30内に滞留している空気(リーン燃焼ガス)をコンプレッサ5で吸引して排出する。ここでは、三方弁13を排出側(ポートg側)から三方弁10側(ポートh側)に切り換える。また三方弁10を、三方弁13とコンプレッサ5とを連通するポートb側に切り換える。また、三方弁11を三方弁12側(ポートc側)、三方弁12を排出側(ポートe側)に設定する。
【0033】
次に、ステップS22においてシャットバルブ14〜16を閉じる。シャットバルブ14を閉じることにより改質装置30の上流側を閉じる。また、シャットバルブ16を閉じることによりPROX反応器8への酸素供給側を閉じる。これにより、改質装置30内の酸素を含むリーン燃焼ガスが三方弁13、10を介してコンプレッサ5により吸引され、改質装置30内の圧力が低減される。吸引されたリーン燃焼ガスは三方弁11、12を介して外部に排出される。この結果、改質器30内部の圧力が低減され、ひいては存在する酸素量が低減される。また、シャットバルブ15を閉じることで、後述する通常改質運転移行サブルーチンにおいて、三方弁13をポートg側に設定したとき(ステップS33)に、改質装置30内にガスが逆流するのを防ぐことができる。なお、シャットバルブ15を閉じるのは必ずしもステップS22で行う必要はなく、後述するステップS33より前に行えばよい。
【0034】
次にステップS23において、起動運転から通常運転に切り換える瞬間に改質反応器6が要求されている出力を求める。ここで、起動運転から通常運転に切り換える瞬間を、改質装置30にリッチ燃料ガスが供給される瞬間とする。これは例えば、アクセル開度、エアコンの運転状態、ナビゲーションシステムなどの経路予測手段等の情報から要求される電力を推定し、この電力を得るために改質反応器6に供給されるガソリン流量、空気流量を予測する。
【0035】
ステップS24において、ステップS23の結果と、ガソリンの空燃比λに対する火炎温度を示すマップから、リーン燃焼ガスとリッチ改質原料ガスとの境界での断熱火炎温度が触媒破損温度以下となるような改質反応器6内の残存酸素量QO20を予測する。ここで、コントロールユニット20に予め読み込んでおくガソリンの空燃比λに対する火炎温度を示すマップ図1に示す。なお、通常改質運転を開始する際に要求される出力が高いほど多くのリッチガスが必要となる。(それにより、リッチガスがリーン燃焼ガスと混合して、局所的に過昇温するおそれがある。そのため、要求出力が高いほど酸素量QO20を小さく設定する。)
【0036】
ステップS25において、改質反応器6内に設置された圧力センサ18と改質反応器6の内部容積から計算される酸素量QO2が、ステップS23で予測された酸素量閾値QO20以下となったかどうかを判断する。なお、ここでは酸素量閾値をQO20としたが、予測結果より低い値としてもよい。また、改質反応器6内に酸素量QO2を測定する手段として酸素センサを配置し、改質反応器6内の酸素量QO2を酸素センサの検出結果に基づいて求めることで、より正確に計測することができる。酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら、起動切り換えを終了して、改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。つまり、起動切り換えを終了して通常運転への移行を開始する。
【0037】
このように、起動切り換えサブルーチンを行ったら、図5のステップS5に進み、ガソリン蒸発器3と水蒸発器4の暖機を判断する。つまり、燃料蒸発器温度センサ25により検出したガソリン蒸発器3の温度TCVAPが温度閾値TCVAP0に達しているか、および、水蒸発器温度センサ26により検出した水蒸発器4の温度TWVAPが温度閾値TWVA0に達しているかどうかを判断する。ここで、温度閾値TCVAP0、TWVAP0をガソリン、水の蒸発に十分な温度とする。
【0038】
ガソリン蒸発器3および水蒸発器4が暖機されたと判断されるまで待機し、暖機されたと判断されたらステップS6に進む。ステップS6では図7に示す通常改質運転移行サブルーチンを行うことにより定常運転への移行を行う。以下、通常改質運転サブルーチンについて説明する。
【0039】
ステップS31において、通常改質運転に切り換えた時点で、改質装置30に要求される出力から改質装置30に供給する空気量を調整する。ここでは、改質反応器6およびPROX反応器8に空気を供給できるようにコンプレッサ5、空気流量調整バルブ17を調整する。次に、ステップS32において、改質装置30に供給される出力情報から適切な流量のガソリン、水を暖機されたガソリン蒸発器3、水蒸発器4に供給する。また、シフト反応器7に、図示しない水ポンプ等により水タンク2から水を供給する。なお、通常改質運転時には、空気と燃料蒸気と水蒸気を混合することにより空燃比が理論空燃比よりも燃料過剰側にあるリッチガスを生成して改質装置30に供給する。
【0040】
ステップS33において、三方弁10、11、13を切り換える。ここでは、三方弁10をポートa側に切り換えることにより、コンプレッサ5を介して燃料改質システム101に外気を供給する。また、三方弁11をポートd側に切り換えて、コンプレッサ5により圧送される空気を改質反応器6に供給する。さらに、三方弁13をポートg側に切り換えることにより、燃料改質システム101を燃料電池102に連通する。このとき、三方弁13を排出側に切り換えても、ステップS22に示したようにシャットバルブ15が閉じられているので、改質装置30内は低圧力に維持される。
【0041】
次に、ステップS34において、シャットバルブ14、16を開くことにより、改質装置30へ空気、ガソリン蒸気、水蒸気が供給される。このとき、改質装置30内の圧力は低いので、改質装置30内には短時間でリッチ改質原料が供給される。ステップS35において、シャットバルブ15を開いて気体の逆流を防ぐ。これにより、改質反応部6にガソリン、水、空気が供給されて、ATR反応により水素リッチな改質ガスが生成される。改質ガス中の余剰COは、シフト反応器3、PROX反応器4で低減される。次に、ステップS36において、改質ガス中のCO濃度が数十ppmオーダーになっていることを、PROX反応器8の下流から燃料電池102に連通する配管内に設けたCOセンサ19により確認する。ここではCOセンサ19により検出したCO濃度CCOが、濃度閾値CCO0以下となったのを確認する。
【0042】
このように、COセンサ19により検出されるCO濃度CCOが燃料電池102の被毒原因とならない程度に低減されていることを確認できたら、通常改質運転移行サブルーチンを終了する。図5のメインルーチンにおいて、ステップS7に進み、燃料電池102へ改質ガスの供給して、燃料電池102における発電を開始する。
【0043】
これらの起動暖機(S3)、起動切り換え(S4)、定常改質運転移行(S6)の三ステップを経ることにより、リーン燃焼ガスとリッチ改質原料ガスが混じって空燃比λ=1領域を通過して触媒が過昇温するのを妨げることができる。
【0044】
次に、改質反応器6の温度、改質器30内の圧力、酸素濃度、燃料改質システム101に導入された燃料、空気の経時変化を図8に示したタイミングチャートを用いて説明する。
【0045】
起動暖機のステップ(S3)を行っている間は、高温燃焼ガスを生成して改質装置30に流通させることにより、改質装置30に充填した触媒の温度を上昇させる。触媒温度が温度閾値に達したら、起動暖機を終了して起動切り換えを行う。起動切り換えのステップ(S4)では、改質装置30内の酸素量を低減して、通常運転開始時にリーン燃焼ガスとリッチ改質原料が混合してλ=1となるのを抑制する。このときには、改質装置30内の酸素量は低減するが、改質装置30内の圧力も低下するので、酸素濃度は一定となる。さらに、通常改質運転移行のステップ(S6)においては、低圧状態の改質装置30内にリッチ改質原料を供給するので、改質装置30内は短時間でリッチ改質原料に充填される。ここでは、改質装置30内の酸素と空気中の酸素とが混じっても空燃比λ<1となるように、起動切り換えステップにおいて改質装置30中の空気を低減しておくので、改質装置30内の温度が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0047】
少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置30と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する起動燃焼器9と、改質装置30内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段(コンプレッサ5)を備える。また、暖機時には、起動燃焼器9におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置30に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。これにより、起動運転から定常改質運転への切り替え時、触媒内部で理想空燃比となって触媒が過度に昇温することを抑制することができる。
【0048】
また、酸素低減手段を、改質装置30内部の圧力を低減する圧力低減手段とする。改質装置30内の圧力を低下することで、改質装置30内の残存酸素量を簡単に低減することができる。
【0049】
また、圧力低減手段として起動燃焼器9および改質装置30の少なくとも一方に酸化剤ガスを供給するコンプレッサ5を用い、暖機運転から通常運転に移行する際に、コンプレッサ5により改質装置30内の圧力を一時的に低減する。これにより、改質装置30内部の圧力を低下させるためのデバイスを新たに追加する必要がなく、燃料改質システムを簡便な構成とすることができる。
【0050】
改質装置30内の酸素量を測定または推定する酸素量検出手段(圧力センサ18)を備え、改質装置30内の残存酸素量に基づいて、改質装置30が通常運転を開始できる状態かどうかを判断する。これにより、通常改質運転に切り換える際に、改質装置30内部で理論空燃比にならない酸素量まで改質装置30内部の圧力を低下させることができる。
【0051】
酸素量検出手段として、圧力センサ18を用いる。これにより、改質装置30内圧、反応容器内部体積、予想される酸素濃度から改質装置30内部の酸素量を算出することができる。
【0052】
または、酸素量検出手段として、酸素センサを備える。これにより、より正確に改質装置30内の残存酸素量を算出することができる。
【0053】
通常運転開始時に、改質装置30に要求される出力を求める出力推定手段(S23)と、出力推定手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内に残存できる酸素量閾値QO20を設定する酸素量閾値設定手段(S24)を備える。さらに、酸素量検出手段により測定または推定さえた改質装置30内の酸素量QO2と、酸素量閾値QO20を比較する酸素量比較手段(S25)を備える。酸素量比較手段において、改質装置30内の酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。これにより、通常運転開始時に供給されるリッチ改質原料に応じて改質装置30内の残存酸素量を低減することができるので、改質装置30内で理想空燃比となるのをさらに抑制することができる。
【0054】
このとき、酸素量閾値設定手段において、通常運転開始時に改質装置30に要求される出力が高いほど酸素量閾値QO20を小さく設定する。これにより、改質装置30に供給される改質原料ガス流量に関わらず、触媒が過昇温するのを防ぐことができる。
【0055】
なお、図示しないヒータの替わりに、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4の暖機を起動燃焼器9の排気ガスとの熱交換により行うこともできる。この場合には、ステップS14において起動燃焼器9がONになったら燃料改質システム101から排出される燃焼ガスを図示しないガソリン蒸発器3や水蒸発器4との熱交換部に流通させることで、消費燃料を低減した起動を行うことができる。また、このときにはガソリン蒸発器3と水蒸発器4の暖機判断(S5)は、ステップS19で起動燃焼器9をOFFとする前に行う。
【0056】
また、暖機運転時の燃焼に関する空燃比を一定(λ=3等)とする場合には、暖機運転時に改質反応器6に供給するリーン燃焼ガスの酸素含有濃度は一定であり、また、改質反応器6の容積は予め測定しておくことができる。よって、暖機運転を終了してから通常運転を開始するかどうかは、改質装置3の圧力により判断することができる。つまり、ステップS24において酸素量閾値QO20を設定する替わりに、酸素量閾値QO20に相当する圧力閾値を設定する(S24▲2▼)。また、ステップS25において酸素量閾値QO20と残存酸素量QO2を比較する替わりに、酸素量閾値QO20に相当する改質装置30の圧力閾値を求めて、圧力センサ18で検出した圧力と比較することによっても通常運転を開始できるかどうかを判断する(S25▲2▼)ことができる。ここで、通常改質運転を開始する際に要求される出力が高いほど、多くのリッチガスが必要となる。それにより、起動燃焼のリーンガスと混合して昇温する割合が高くなってしまう。そのため、要求出力が高いほど酸素量、つまり圧力閾値を小さくすることで、過昇温を防ぐことができる。
【0057】
このように、改質装置30内の圧力を測定する圧力測定手段と、通常改質運転開始時に改質装置30に要求される出力を求める出力推定手段(S23)を備える。また、出力推定手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30に許容される圧力閾値を設定する圧力閾値設定手段(S24▲2▼)を備える。さらに、圧力測定手段により測定された改質装置内の圧力と、前記圧力閾値とを比較する圧力比較手段(S25▲2▼)を備える。圧力比較手段において、改質装置30内の圧力が圧力閾値以下であると判断されたら、改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。これにより、圧力センサを用いて、通常運転開始時に改質装置30内で理想空燃比とならないように、改質装置30内の残存酸素量を低減することができる。
【0058】
また、圧力閾値設定手段において、通常運転開始時に改質装置30に要求される出力が高いほど圧力閾値を小さく設定する。これにより、改質装置30に供給される改質原料ガス流量に関わらず、触媒が過昇温することを防ぐことができる。
【0059】
次に、第2の実施形態について説明する。パワープラントシステムの構成は第1の実施形態と同様とし、以下、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。燃料改質システム101の構成を図9に示す。
【0060】
第1の実施形態と同様に燃料タンク1、水タンク2、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4、起動燃焼器9を備える。また、改質装置30として改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8を備える。さらに、圧力センサ18、COセンサ19、温度センサ21〜26を備える。
【0061】
さらに、起動燃焼器9、および、その下流側に備えた改質反応器6に空気を供給する第1コンプレッサ31、PROX反応器8に空気を供給する第2コンプレッサ32を備える。また、後述する三方弁34を介して、PROX反応器8の下流側から改質装置30内部の空気を吸引する真空ポンプ33を備える。さらに、PROX反応器8を燃料改質システム101の排出側(ポートi側)と連通させるか、真空ポンプ33側(ポートj側)に連通させるかを選択する三方弁34を備える。
【0062】
このように構成し、シャットバルブ14を改質装置30の上流側、シャットバルブ15を三方弁34のポートi側、シャットバルブ16を第2コンプレッサ32とPROX反応器8との間に配置する。シャットバルブ14、16を閉じて三方弁34をポートj側に設定し、真空ポンプ33を駆動させることにより改質装置30内の空気を吸引し、改質装置30内の圧力を低減することができる。
【0063】
次に、本実施形態の起動時の制御方法を説明する。ここでは、メインルーチンを第1実施形態(図4)と同様とする。ステップS3、S4、S6の各サブルーチンについては、図10〜図12を用いて以下のように行う。なお、各サブルーチンについての第1実施形態との違いは、燃料改質システム101の構成の違いにより生じるものであり、制御内容は第1実施形態とほぼ同じとする。
【0064】
まず、図10を用いて触媒反応器暖機サブルーチン(ステップS3)について説明する。
【0065】
ステップS41において、三方弁34を排出側(ポートi側)に切り換える。ステップS42において、シャットバルブ14、15を開いて、改質装置30の供給側と排出側を開放する。ステップS43において、第1コンプレッサ31をONにする。これにより起動燃焼器9に外気が供給される。このとき、第1コンプレッサ31の流量は小流量とする。ただし、起動燃焼器9においてガソリンの点火を行える範囲の流量とする。
【0066】
次に、ステップS44〜S49にかけては、ステップS14〜S19と同様に、起動燃焼器9にガソリンを供給し点火することによりリーン燃焼ガスを生成し、このリーン燃焼ガスを改質装置30に流通することにより触媒の暖機を行う。触媒温度(TREF、TWGS、TPROX)が所定の温度閾値(TREF0、TWGS0、TPROX0)に達したら、起動燃焼器9における燃焼を終了し暖機運転を終了する。
【0067】
次に、図11を用いて起動切り換えサブルーチン(ステップS4)について説明する。
【0068】
ステップS51において、シャットバルブ14〜16を閉じる。これにより改質装置30内と外部とが遮断された状態となる。ステップS52において、三方弁34をポートj側に設定する。ステップS53において、真空ポンプ33をONにする。これにより、改質装置30内の圧力が低下し、改質装置30内部の酸素量を低減することができる。次に、ステップS54、55において、ステップS23、24と同様に酸素量閾値QO20を求め、ステップS56において、ステップS25と同様に改質装置30内の酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下であるかどうかを判断する。酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら、ステップS57に進み、三方弁34をポートi側に設定する。このとき、ステップS51においてシャットバルブ15は閉じられているので、改質装置30内の圧力は低圧に維持される。ステップS58において真空ポンプ33をOFFにすることにより、切り換えサブルーチンを終了する。
【0069】
次に、図12を用いて通常改質運転移行サブルーチン(ステップS6)について説明する。
【0070】
ステップS61において、改質装置30が要求されている出力情報から、改質反応器6に供給する空気流量を求め、改質反応器6に起動燃焼器9を介して要求される空気流量が供給されるように第1コンプレッサ31を調整する。また、PROX反応器8に要求される空気流量を供給するように、第2コンプレッサ32を調整する。次にステップS62において、ステップS32と同様に、改質反応器6に供給するリッチ改質原料を生成するように、ガソリン蒸発器3と水蒸発器4にガソリンおよび水を供給する。また、シフト反応器7にシフト反応を行うのに必要な水を供給する。
【0071】
次に、ステップS63において、ステップS34と同様にシャットバルブ14、16を開く。これにより改質装置30にリッチ改質原料が供給される。ステップS64において、ステップS35と同様にシャットバルブ15を開くことにより逆流を防ぎ、改質装置30内のガスの流通を開始する。ステップS65において、ステップS36と同様の改質ガス中のCO濃度を判定し、CO濃度CCOが濃度閾値CCO0以下となったら通常改質運転移行サブルーチンを終了する。
【0072】
その後、ステップS7において水素リッチ改質ガスの燃料電池102への供給を開始したら、燃料改質システム101の起動を終了して、通常改質運転を行う。なお、タイミングチャートは、第1実施形態と同様に図8に示したようになる。
【0073】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第1実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0074】
圧力低減手段として真空ポンプ33を備え、暖機運転から通常運転に移行する際に、真空ポンプ33により改質装置30内の圧力を一時的に低減する。これにより、起動切り替え時に改質装置内部の圧力、ひいては残存酸素量を真空ポンプ33により低下させることができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。例えば、実施の形態においては、システム起動時の触媒暖機方法について述べているが、移動体用燃料電池システムにおいてアイドルストップ後の再暖機の場合にも同様のシークエンスを用いることができる。また、ATR改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8を用いた燃料改質システムを例としているが、本発明はメンブレンリアクタ等のその他の燃料電池システムでも、触媒暖機が必要なものであれば適用可能である。また、本実施形態では移動体用パワープラントシステムについて述べているが、本発明の趣旨は固定式燃料電池システムでも適用できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比に対する断熱火炎温度の特徴を示す図である。
【図2】第1の実施形態に用いるパワープラントシステムの概略構成図である。
【図3】第1の実施形態に用いる燃料改質システムの概略構成図である。
【図4】第1の実施形態における起動制御のメインルーチンである。
【図5】第1の実施形態における触媒反応器起動暖機サブルーチンである。
【図6】第1の実施形態における起動切り換えサブルーチンである。
【図7】第1の実施形態における通常改質運転移行サブルーチンである。
【図8】第1の実施形態におけるタイミングチャートである。
【図9】第2の実施形態における燃料改質システムの概略構成図である。
【図10】第2の実施形態における触媒反応器起動暖機サブルーチンである。
【図11】第2の実施形態における起動切り換えサブルーチンである。
【図12】第2の実施形態における通常改質運転移行サブルーチンである。
【符号の説明】
8 コンプレッサ(酸素低減手段、圧力低減手段)
9 起動燃焼器(燃焼器)
18 圧力センサ(酸素量検出手段)
20 コントローラユニット(制御手段)
30 改質装置
33 真空ポンプ(酸素低減手段、圧力低減手段)
S23・・・出力推定手段(S23)
S24・・・酸素量閾値設定手段(S24▲2▼・・・圧力閾値設定手段)
S25・・・酸素量比較手段(S25▲2▼・・・圧力比較手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料改質システムに関する。特に炭化水素系燃料と水を加熱蒸発させて生成した改質燃料蒸気の改質反応によって、水素などの可燃性のガスを主成分とする改質ガスを生成する改質システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料電池システムとして、炭化水素系燃料等の水素含有燃料を改質することにより生成した水素を燃料電池スタックに用いる改質型燃料電池システムが知られている。このような改質反応を行うために、触媒が充填された改質装置が用いられている。例えばメタノールのATR(オートサーマルリフォーミング)反応では、改質触媒において吸熱反応である水蒸気反応(CH3OH+H2O→CO2+3H2 )と、発熱反応である部分酸化反応(CH3OH+1/2O2→CO2+2H2 )が行われる。改質触媒にはこのような反応を生じるための最適温度範囲(活性温度)が存在し、メタノールを用いる場合には400℃付近、ガソリンを用いる場合には700℃付近である。
【0003】
また、200℃以下で作動する燃料電池においては、電極の白金などの触媒がCOにより被毒されるため、供給される水素含有ガス中のCO濃度を1%以下にする必要がある。また、特に100℃以下で作動する固体高分子型燃料電池に供給する水素含有ガス中のCOは少なくとも数十ppm以下、好ましくは数ppm以下にする必要がある。そこで、改質ガス中のCO濃度を低減するために、シフト反応(CO+H2O→CO2+H2)とPROX反応(2CO+O2→2CO2)が行われる。これらの反応にも触媒が用いられ、シフト反応触媒の活性温度は約250℃〜400℃、PROX反応触媒の活性温度適温は200℃付近である。
【0004】
このような改質型燃料電池システムには、起動時に触媒を活性温度まで短時間で加熱するための起動用燃料器を備えたものがある。起動用燃焼器は、燃焼室に加熱用燃料を供給する燃料噴射手段と、この燃焼室に供給された加熱用燃料を点火させる点火用プラグとが備えられている。燃料改質システム起動時に前記燃焼室で燃焼が行われて、前記燃焼室に連通する改質装置に直接燃焼ガスが供給される(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−63104号公報
【0006】
【発明が解決しようとしている問題点】
ここで、図1に、空燃比λと断熱火炎温度の関係を示す。
【0007】
起動時にはNOXや未燃焼燃料の発生を防ぐと同時に、暖機用燃焼ガスの温度を暖機用ガス温度Tw程度に調整するため、λ>1、ここではλ=3程度のリーン燃焼にすることが望ましい。また、通常の改質運転時には、ATR反応を用いる場合には、水蒸気、空気、燃料蒸気の混合ガスを改質部に供給するが、そのときの空燃比はλ≦1となる。このことから、起動運転から通常改質運転に移行する際に、上記リーン燃焼ガスと改質用リッチ燃料ガスの境界にλ=1の領域が生じ、そこで改質装置内部温度が一時的に上昇するので、改質触媒やCO除去触媒が破損するという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、起動運転から通常改質運転に移行する際に、改質装置内部温度の過度の上昇を抑制することのできる燃料改質システムを提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記改質装置内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段と、暖機時には、前記燃焼器におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを前記改質装置に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に前記改質装置内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う制御手段と、を備えた。
【0010】
【作用及び効果】
暖機時には、燃焼器におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。これにより、起動運転から定常改質運転への切り替え時、触媒内部で理想空燃比となって触媒が過度に昇温することを抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムを備えたパワープラントシステムを、図2の概略構成図を用いて説明する。ここでは燃料電池システムを車輌の動力源として車載した場合について説明する。
【0012】
パワープラントシステムは、燃料から水素を生成する燃料改質システム101、水素を含有する改質ガスと空気との電気化学反応から電力を生じる燃料電池102、電気エネルギを運動エネルギに変換するモータ103を備える。また、燃料電池102で応答しきれない負荷変動に応えるバッテリ104、これらの装置を制御するコントロールユニット105を備える。
【0013】
コントローラユニット105において、図示しないアクセルペダルの開度等から燃料電池102に要求される発電量を求める。その発電量を賄うための水素を生じるために必要な燃料、水、空気の流量を用いて燃料改質システム101で水素リッチな改質ガスを生成する。これを燃料電池102に供給して、電気化学反応を生じることにより、車輌の走行等に必要な電力を生じる。この電力をモータ103において運動エネルギに変換し、図示しないファイナルギアを介して車輪に伝達する。このとき、燃料電池102で過剰に電力が発生した場合には、その過剰分をバッテリ104に蓄電し、モータ103において電力が不足する場合には、バッテリ104に蓄えられた電力をモータ103に給電する。
【0014】
次に、パワープラントシステム中の燃料改質システム101の概略構成を図3を用いて説明する。燃料改質システム101の改質燃料としては水素含有燃料、例えば炭化水素系燃料であるガソリンを用いる。
【0015】
ガソリンを貯蔵する燃料タンク1、改質用の水を貯蔵する水タンク2、燃料タンク1から供給されたガソリンを蒸発させて燃料蒸気を生じるガソリン蒸発器3、水タンク2から供給された水を水蒸させる水蒸発器4を備える。また、後述する改質装置30や起動燃焼器9への空気の供給や、改質装置30内圧力の低減を行うコンプレッサ5を備える。
【0016】
改質装置30として、燃料蒸気・水蒸気・空気を用いたATR反応により水素リッチな改質ガスを生成する改質反応器6、改質反応器6で生成された水素リッチな改質ガス中のCO濃度を低減するシフト反応器7、PROX反応器8を備える。ここでは、コンプレッサ5から供給される空気に、ガソリン蒸発器3からの燃料蒸気や水蒸発器4からの水蒸気を混入し、これを改質反応器6に供給することにいよりATR反応を生じる。ATR反応により生じた改質ガスをシフト反応器7に導入し、水タンク2から供給される水を用いたシフト反応によりCO濃度を低減する。さらに、PROX反応器8で、コンプレッサ5により圧送された空気の一部を用いてPROX反応を生じ、シフト反応により低減された改質ガス中のCO濃度をさらに数十ppmまで低減する。
【0017】
また、起動暖機時に、燃料タンク1から供給されたガソリンと、コンプレッサ5により導入された空気を用いて燃焼室内でガソリン燃焼を行う起動燃焼器9を備える。起動燃焼器9は、燃焼室に加熱用燃料を供給するインジェクタと、この燃焼室に供給された加熱用燃料を点火させる点火用プラグとが備えられている。暖機運転時には、インジェクタによりリーン燃焼を行うように燃料が噴射される。起動燃焼器9におけるガソリン燃焼により生じたリーン燃焼ガスは、改質装置30に直接供給され、改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8内を流通する際に触媒を加熱してから燃料改質システム101外部に排出される。
【0018】
さらに、コンプレッサ5により外気を圧送する(ポートa側)か、改質装置30内の空気を吸引する(ポートb側)か、を選択する三方弁10を備える。また、コンプレッサ5から圧送された空気を改質装置30に供給する(ポートd側)か、または後述する三方弁12側に供給する(ポートc側)か、を選択する三方弁11を備える。また、三方弁11により選択的に供給された空気を起動燃焼器9に供給する(ポートf側)か、外部に排出する(ポートe側)か、を選択する三方弁12を備える。また、改質装置30から排出された改質ガスを燃料電池102に供給する(ポートg側)か、改質装置30内の空気を下流側から吸引する(ポートh側)か、を選択する三方弁13を備える。なお、ここでは「空気」を、外気のほかに起動燃焼器9で生成したリーン燃焼ガス等の酸素を含むガスとする。
【0019】
また、改質装置30と外部との物質移動を遮断するために、シャットバルブ14〜16を備える。シャットバルブ14をコンプレッサ5から改質装置30に空気を供給する配管に設ける。ここでは特に、コンプレッサ5からの空気への燃料蒸気や水蒸気の混入部分、またリーン燃焼ガスの導入部分より下流側、かつ改質反応器6の上流側に配置する。これにより、改質反応器6に空気等を導入する流路を介して、外部から改質装置30に物質が移動するのを遮断する。また、シャットバルブ15を改質装置30の下流側に配置する。ここでは、三方弁13のさらに下流側に配置する。これにより、選択的に燃料改質システム101下流部と改質装置30との間の物質移動を遮断することができる。さらにシャットバルブ16をコンプレッサ5からPROX反応器8に空気を供給する流路に配置する。これにより、PROX反応器8への空気供給配管を介して、外部と改質装置3との間の物質移動を遮断することができる。シャットバルブ14、16を全て閉じ、三方弁10をポートb側、三方弁13をポートh側に設定し、さらにコンプレッサ5を稼動することで、改質装置30内の空気を吸引して改質装置30内の圧力を低減することができる。
【0020】
さらに、コンプレッサ5からPROX反応器8に空気を供給する流路に空気流量調整バルブ17を備える。ここでは、コンプレッサ5とシャットバルブ16との間に配置する。この空気流量調整バルブ17により、コンプレッサ5により圧送された空気を改質反応器6とPROX反応器8に分配する。
【0021】
改質装置30、ここでは改質反応器6に圧力センサ18を備える。また、燃料改質システム101から燃料電池102に供給される水素リッチ改質ガス中のCO濃度を検出するために、シャットバルブ15の下流側にCOセンサ19を備える。また、改質反応器6の触媒温度TREFを検出する改質温度センサ21、シフト反応器7の触媒温度TWGSを検出するシフト温度センサ22、PROX反応器8の触媒温度TPROXを検出するPROX温度センサ23を備える。起動燃焼器9にも熱電対等の燃焼温度センサ24を備える。また、ガソリン蒸発器3の温度を検出する燃料蒸発器温度センサ25と、水蒸発器4の温度を検出する水蒸発器温度センサ26を備える。さらにコントローラユニット20を備え、各部センサの出力に応じて、各三方弁10〜13、シャットバルブ14〜16等を制御する。コントローラユニット20は、前述したコントローラユニット105の一部でもよいが、ここでは燃料改質システム101を制御するためのものとする。
【0022】
次に、このような燃料改質システム101の暖機時の制御方法を説明する。本制御のメインルーチンを図4に示す。燃料電池102で発電を始めるまでの間、運転者からの出力要求に対してはバッテリ104からの電力で応答する。
【0023】
ステップS1において、起動イグニッションがONとなったのを検知したら、ステップS2において、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4の暖機を開始する。ここでは、図示しないヒータ等により暖機を行う。ステップS3において触媒反応器起動暖機を開始する。ここで、触媒反応器起動暖機のサブルーチンを図5に示す。
【0024】
ステップS11において三方弁10〜13を設定する。三方弁10を、コンプレッサ5により外気を供給するようにポートa側に設定する。また、三方弁11をコンプレッサ5から供給された空気を三方弁12側に流通させるようにポートc側に設定する。三方弁12を、供給された空気をさらに起動燃焼器9側に供給するようにポートf側に設定する。さらに、三方弁13を、改質装置30から排出されたガス(リーン燃焼ガス)を燃料改質システム101から排出するようにポートg側に設定する。
【0025】
次に、ステップS12において、シャットバルブ14〜16を開として改質装置30と外部とを連通させる。ステップS13において、コンプレッサ5をONにする。これにより、外気が三方弁10を介してコンプレッサ5により圧送され、三方弁11、三方弁12を介して起動燃焼器9に供給される。ここで、コンプレッサ5により圧送する空気量は、起動燃焼器の点火時にあまりに多大な流量を流すと、点火が困難となる可能性があるので、起動燃焼器9の点火プラグにて点火できる比較的小流量の流量範囲とする。
【0026】
ステップS14において、ガソリンを図示しない燃料ポンプにより加圧して、インジェクタを用いて微粒子状にて起動燃焼器9へ供給する。このとき供給されるガソリン量は、空燃比が理想空燃比よりも燃料希薄側にあるリーン燃焼が行われる量とする。例えばここでは、空燃比λ=3となるように供給する。ガソリン流量、空気流量が安定したところでグロープラグやパークプラグなどの点火プラグにより、起動燃焼を開始する。
【0027】
ステップS15において、起動燃焼器内部9に設置した燃焼温度センサ24によりガソリンの点火を確認する。ここで、ガソリンが起動燃焼器9で燃焼していると推定できる最低温度を温度閾値TS.C.0として予め設定しておく。燃焼温度センサ24により検出した温度TS.C.がこの温度閾値TS.C.0以上となった場合に、ガソリンに点火したと判断する。
【0028】
このようにガソリンの点火を確認できたら、ステップS16において点火プラグをOFFにする。次にステップS17に進み、空燃比が理想空燃比よりも燃料希薄側にあるリーンガス(例えば、空燃比をλ=3)に維持しながら起動燃焼器9へ供給されるガソリン量と空気量を増加させる。これにより、起動燃焼器9で生成された燃焼ガスは改質装置30に供給される。燃焼ガスは約800℃であり、その熱を用いて改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8の触媒をそれぞれの触媒活性温度まで昇温させる。ここでは、改質反応器6を700℃程度、シフト反応器7を400℃程度、PROX反応器8を200℃程度まで昇温する。この際に、シフト反応器7の温度を調整するために水タンク2から図示しない水ポンプ等により水をシフト反応器7に供給してもよい。また、PROX反応器8の温度を調整するために、コンプレッサ5から供給される常温の空気を空気流量調整バルブ17で流量調整を行ってPROX反応器8に供給してもよい。
【0029】
次にステップS18において、改質装置30の各触媒温度TREF、TWGS、TPROXを検出する。このとき各触媒温度TREF、TWGS、TPROXが、ある温度閾値TREF0、TWGS0、TPROX0に達したと判断されたら、ステップS19に進む。ここで、温度閾値TREF0、TWCS0、TPROX0は通常運転を開始できると判断される温度、例えば、各触媒の触媒活性温度とすることができる。または、シフト反応、PROX反応が発熱反応であることを考えて触媒活性温度より少し低い値とすることもでき、このような場合には、起動運転時間を短縮することができる。
【0030】
ステップS19において、起動燃焼器9をOFFにする。つまり起動燃焼器9への燃料噴射をOFFにする。これにより、燃焼ガスの生成を終了し、改質器30に備えた触媒の起動暖機運転を終了する。
【0031】
次に、図4のステップS4において、起動運転から通常運転に切り換える際の起動切換サブルーチンを行う。起動切換サブルーチンを図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0032】
ステップS21において、三方弁10〜13を設定して、改質装置30内に滞留している空気(リーン燃焼ガス)をコンプレッサ5で吸引して排出する。ここでは、三方弁13を排出側(ポートg側)から三方弁10側(ポートh側)に切り換える。また三方弁10を、三方弁13とコンプレッサ5とを連通するポートb側に切り換える。また、三方弁11を三方弁12側(ポートc側)、三方弁12を排出側(ポートe側)に設定する。
【0033】
次に、ステップS22においてシャットバルブ14〜16を閉じる。シャットバルブ14を閉じることにより改質装置30の上流側を閉じる。また、シャットバルブ16を閉じることによりPROX反応器8への酸素供給側を閉じる。これにより、改質装置30内の酸素を含むリーン燃焼ガスが三方弁13、10を介してコンプレッサ5により吸引され、改質装置30内の圧力が低減される。吸引されたリーン燃焼ガスは三方弁11、12を介して外部に排出される。この結果、改質器30内部の圧力が低減され、ひいては存在する酸素量が低減される。また、シャットバルブ15を閉じることで、後述する通常改質運転移行サブルーチンにおいて、三方弁13をポートg側に設定したとき(ステップS33)に、改質装置30内にガスが逆流するのを防ぐことができる。なお、シャットバルブ15を閉じるのは必ずしもステップS22で行う必要はなく、後述するステップS33より前に行えばよい。
【0034】
次にステップS23において、起動運転から通常運転に切り換える瞬間に改質反応器6が要求されている出力を求める。ここで、起動運転から通常運転に切り換える瞬間を、改質装置30にリッチ燃料ガスが供給される瞬間とする。これは例えば、アクセル開度、エアコンの運転状態、ナビゲーションシステムなどの経路予測手段等の情報から要求される電力を推定し、この電力を得るために改質反応器6に供給されるガソリン流量、空気流量を予測する。
【0035】
ステップS24において、ステップS23の結果と、ガソリンの空燃比λに対する火炎温度を示すマップから、リーン燃焼ガスとリッチ改質原料ガスとの境界での断熱火炎温度が触媒破損温度以下となるような改質反応器6内の残存酸素量QO20を予測する。ここで、コントロールユニット20に予め読み込んでおくガソリンの空燃比λに対する火炎温度を示すマップ図1に示す。なお、通常改質運転を開始する際に要求される出力が高いほど多くのリッチガスが必要となる。(それにより、リッチガスがリーン燃焼ガスと混合して、局所的に過昇温するおそれがある。そのため、要求出力が高いほど酸素量QO20を小さく設定する。)
【0036】
ステップS25において、改質反応器6内に設置された圧力センサ18と改質反応器6の内部容積から計算される酸素量QO2が、ステップS23で予測された酸素量閾値QO20以下となったかどうかを判断する。なお、ここでは酸素量閾値をQO20としたが、予測結果より低い値としてもよい。また、改質反応器6内に酸素量QO2を測定する手段として酸素センサを配置し、改質反応器6内の酸素量QO2を酸素センサの検出結果に基づいて求めることで、より正確に計測することができる。酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら、起動切り換えを終了して、改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。つまり、起動切り換えを終了して通常運転への移行を開始する。
【0037】
このように、起動切り換えサブルーチンを行ったら、図5のステップS5に進み、ガソリン蒸発器3と水蒸発器4の暖機を判断する。つまり、燃料蒸発器温度センサ25により検出したガソリン蒸発器3の温度TCVAPが温度閾値TCVAP0に達しているか、および、水蒸発器温度センサ26により検出した水蒸発器4の温度TWVAPが温度閾値TWVA0に達しているかどうかを判断する。ここで、温度閾値TCVAP0、TWVAP0をガソリン、水の蒸発に十分な温度とする。
【0038】
ガソリン蒸発器3および水蒸発器4が暖機されたと判断されるまで待機し、暖機されたと判断されたらステップS6に進む。ステップS6では図7に示す通常改質運転移行サブルーチンを行うことにより定常運転への移行を行う。以下、通常改質運転サブルーチンについて説明する。
【0039】
ステップS31において、通常改質運転に切り換えた時点で、改質装置30に要求される出力から改質装置30に供給する空気量を調整する。ここでは、改質反応器6およびPROX反応器8に空気を供給できるようにコンプレッサ5、空気流量調整バルブ17を調整する。次に、ステップS32において、改質装置30に供給される出力情報から適切な流量のガソリン、水を暖機されたガソリン蒸発器3、水蒸発器4に供給する。また、シフト反応器7に、図示しない水ポンプ等により水タンク2から水を供給する。なお、通常改質運転時には、空気と燃料蒸気と水蒸気を混合することにより空燃比が理論空燃比よりも燃料過剰側にあるリッチガスを生成して改質装置30に供給する。
【0040】
ステップS33において、三方弁10、11、13を切り換える。ここでは、三方弁10をポートa側に切り換えることにより、コンプレッサ5を介して燃料改質システム101に外気を供給する。また、三方弁11をポートd側に切り換えて、コンプレッサ5により圧送される空気を改質反応器6に供給する。さらに、三方弁13をポートg側に切り換えることにより、燃料改質システム101を燃料電池102に連通する。このとき、三方弁13を排出側に切り換えても、ステップS22に示したようにシャットバルブ15が閉じられているので、改質装置30内は低圧力に維持される。
【0041】
次に、ステップS34において、シャットバルブ14、16を開くことにより、改質装置30へ空気、ガソリン蒸気、水蒸気が供給される。このとき、改質装置30内の圧力は低いので、改質装置30内には短時間でリッチ改質原料が供給される。ステップS35において、シャットバルブ15を開いて気体の逆流を防ぐ。これにより、改質反応部6にガソリン、水、空気が供給されて、ATR反応により水素リッチな改質ガスが生成される。改質ガス中の余剰COは、シフト反応器3、PROX反応器4で低減される。次に、ステップS36において、改質ガス中のCO濃度が数十ppmオーダーになっていることを、PROX反応器8の下流から燃料電池102に連通する配管内に設けたCOセンサ19により確認する。ここではCOセンサ19により検出したCO濃度CCOが、濃度閾値CCO0以下となったのを確認する。
【0042】
このように、COセンサ19により検出されるCO濃度CCOが燃料電池102の被毒原因とならない程度に低減されていることを確認できたら、通常改質運転移行サブルーチンを終了する。図5のメインルーチンにおいて、ステップS7に進み、燃料電池102へ改質ガスの供給して、燃料電池102における発電を開始する。
【0043】
これらの起動暖機(S3)、起動切り換え(S4)、定常改質運転移行(S6)の三ステップを経ることにより、リーン燃焼ガスとリッチ改質原料ガスが混じって空燃比λ=1領域を通過して触媒が過昇温するのを妨げることができる。
【0044】
次に、改質反応器6の温度、改質器30内の圧力、酸素濃度、燃料改質システム101に導入された燃料、空気の経時変化を図8に示したタイミングチャートを用いて説明する。
【0045】
起動暖機のステップ(S3)を行っている間は、高温燃焼ガスを生成して改質装置30に流通させることにより、改質装置30に充填した触媒の温度を上昇させる。触媒温度が温度閾値に達したら、起動暖機を終了して起動切り換えを行う。起動切り換えのステップ(S4)では、改質装置30内の酸素量を低減して、通常運転開始時にリーン燃焼ガスとリッチ改質原料が混合してλ=1となるのを抑制する。このときには、改質装置30内の酸素量は低減するが、改質装置30内の圧力も低下するので、酸素濃度は一定となる。さらに、通常改質運転移行のステップ(S6)においては、低圧状態の改質装置30内にリッチ改質原料を供給するので、改質装置30内は短時間でリッチ改質原料に充填される。ここでは、改質装置30内の酸素と空気中の酸素とが混じっても空燃比λ<1となるように、起動切り換えステップにおいて改質装置30中の空気を低減しておくので、改質装置30内の温度が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0047】
少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置30と、燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する起動燃焼器9と、改質装置30内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段(コンプレッサ5)を備える。また、暖機時には、起動燃焼器9におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを改質装置30に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う。これにより、起動運転から定常改質運転への切り替え時、触媒内部で理想空燃比となって触媒が過度に昇温することを抑制することができる。
【0048】
また、酸素低減手段を、改質装置30内部の圧力を低減する圧力低減手段とする。改質装置30内の圧力を低下することで、改質装置30内の残存酸素量を簡単に低減することができる。
【0049】
また、圧力低減手段として起動燃焼器9および改質装置30の少なくとも一方に酸化剤ガスを供給するコンプレッサ5を用い、暖機運転から通常運転に移行する際に、コンプレッサ5により改質装置30内の圧力を一時的に低減する。これにより、改質装置30内部の圧力を低下させるためのデバイスを新たに追加する必要がなく、燃料改質システムを簡便な構成とすることができる。
【0050】
改質装置30内の酸素量を測定または推定する酸素量検出手段(圧力センサ18)を備え、改質装置30内の残存酸素量に基づいて、改質装置30が通常運転を開始できる状態かどうかを判断する。これにより、通常改質運転に切り換える際に、改質装置30内部で理論空燃比にならない酸素量まで改質装置30内部の圧力を低下させることができる。
【0051】
酸素量検出手段として、圧力センサ18を用いる。これにより、改質装置30内圧、反応容器内部体積、予想される酸素濃度から改質装置30内部の酸素量を算出することができる。
【0052】
または、酸素量検出手段として、酸素センサを備える。これにより、より正確に改質装置30内の残存酸素量を算出することができる。
【0053】
通常運転開始時に、改質装置30に要求される出力を求める出力推定手段(S23)と、出力推定手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30内に残存できる酸素量閾値QO20を設定する酸素量閾値設定手段(S24)を備える。さらに、酸素量検出手段により測定または推定さえた改質装置30内の酸素量QO2と、酸素量閾値QO20を比較する酸素量比較手段(S25)を備える。酸素量比較手段において、改質装置30内の酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。これにより、通常運転開始時に供給されるリッチ改質原料に応じて改質装置30内の残存酸素量を低減することができるので、改質装置30内で理想空燃比となるのをさらに抑制することができる。
【0054】
このとき、酸素量閾値設定手段において、通常運転開始時に改質装置30に要求される出力が高いほど酸素量閾値QO20を小さく設定する。これにより、改質装置30に供給される改質原料ガス流量に関わらず、触媒が過昇温するのを防ぐことができる。
【0055】
なお、図示しないヒータの替わりに、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4の暖機を起動燃焼器9の排気ガスとの熱交換により行うこともできる。この場合には、ステップS14において起動燃焼器9がONになったら燃料改質システム101から排出される燃焼ガスを図示しないガソリン蒸発器3や水蒸発器4との熱交換部に流通させることで、消費燃料を低減した起動を行うことができる。また、このときにはガソリン蒸発器3と水蒸発器4の暖機判断(S5)は、ステップS19で起動燃焼器9をOFFとする前に行う。
【0056】
また、暖機運転時の燃焼に関する空燃比を一定(λ=3等)とする場合には、暖機運転時に改質反応器6に供給するリーン燃焼ガスの酸素含有濃度は一定であり、また、改質反応器6の容積は予め測定しておくことができる。よって、暖機運転を終了してから通常運転を開始するかどうかは、改質装置3の圧力により判断することができる。つまり、ステップS24において酸素量閾値QO20を設定する替わりに、酸素量閾値QO20に相当する圧力閾値を設定する(S24▲2▼)。また、ステップS25において酸素量閾値QO20と残存酸素量QO2を比較する替わりに、酸素量閾値QO20に相当する改質装置30の圧力閾値を求めて、圧力センサ18で検出した圧力と比較することによっても通常運転を開始できるかどうかを判断する(S25▲2▼)ことができる。ここで、通常改質運転を開始する際に要求される出力が高いほど、多くのリッチガスが必要となる。それにより、起動燃焼のリーンガスと混合して昇温する割合が高くなってしまう。そのため、要求出力が高いほど酸素量、つまり圧力閾値を小さくすることで、過昇温を防ぐことができる。
【0057】
このように、改質装置30内の圧力を測定する圧力測定手段と、通常改質運転開始時に改質装置30に要求される出力を求める出力推定手段(S23)を備える。また、出力推定手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に改質装置30に許容される圧力閾値を設定する圧力閾値設定手段(S24▲2▼)を備える。さらに、圧力測定手段により測定された改質装置内の圧力と、前記圧力閾値とを比較する圧力比較手段(S25▲2▼)を備える。圧力比較手段において、改質装置30内の圧力が圧力閾値以下であると判断されたら、改質装置30が通常運転を開始できる状態であると判断する。これにより、圧力センサを用いて、通常運転開始時に改質装置30内で理想空燃比とならないように、改質装置30内の残存酸素量を低減することができる。
【0058】
また、圧力閾値設定手段において、通常運転開始時に改質装置30に要求される出力が高いほど圧力閾値を小さく設定する。これにより、改質装置30に供給される改質原料ガス流量に関わらず、触媒が過昇温することを防ぐことができる。
【0059】
次に、第2の実施形態について説明する。パワープラントシステムの構成は第1の実施形態と同様とし、以下、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。燃料改質システム101の構成を図9に示す。
【0060】
第1の実施形態と同様に燃料タンク1、水タンク2、ガソリン蒸発器3、水蒸発器4、起動燃焼器9を備える。また、改質装置30として改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8を備える。さらに、圧力センサ18、COセンサ19、温度センサ21〜26を備える。
【0061】
さらに、起動燃焼器9、および、その下流側に備えた改質反応器6に空気を供給する第1コンプレッサ31、PROX反応器8に空気を供給する第2コンプレッサ32を備える。また、後述する三方弁34を介して、PROX反応器8の下流側から改質装置30内部の空気を吸引する真空ポンプ33を備える。さらに、PROX反応器8を燃料改質システム101の排出側(ポートi側)と連通させるか、真空ポンプ33側(ポートj側)に連通させるかを選択する三方弁34を備える。
【0062】
このように構成し、シャットバルブ14を改質装置30の上流側、シャットバルブ15を三方弁34のポートi側、シャットバルブ16を第2コンプレッサ32とPROX反応器8との間に配置する。シャットバルブ14、16を閉じて三方弁34をポートj側に設定し、真空ポンプ33を駆動させることにより改質装置30内の空気を吸引し、改質装置30内の圧力を低減することができる。
【0063】
次に、本実施形態の起動時の制御方法を説明する。ここでは、メインルーチンを第1実施形態(図4)と同様とする。ステップS3、S4、S6の各サブルーチンについては、図10〜図12を用いて以下のように行う。なお、各サブルーチンについての第1実施形態との違いは、燃料改質システム101の構成の違いにより生じるものであり、制御内容は第1実施形態とほぼ同じとする。
【0064】
まず、図10を用いて触媒反応器暖機サブルーチン(ステップS3)について説明する。
【0065】
ステップS41において、三方弁34を排出側(ポートi側)に切り換える。ステップS42において、シャットバルブ14、15を開いて、改質装置30の供給側と排出側を開放する。ステップS43において、第1コンプレッサ31をONにする。これにより起動燃焼器9に外気が供給される。このとき、第1コンプレッサ31の流量は小流量とする。ただし、起動燃焼器9においてガソリンの点火を行える範囲の流量とする。
【0066】
次に、ステップS44〜S49にかけては、ステップS14〜S19と同様に、起動燃焼器9にガソリンを供給し点火することによりリーン燃焼ガスを生成し、このリーン燃焼ガスを改質装置30に流通することにより触媒の暖機を行う。触媒温度(TREF、TWGS、TPROX)が所定の温度閾値(TREF0、TWGS0、TPROX0)に達したら、起動燃焼器9における燃焼を終了し暖機運転を終了する。
【0067】
次に、図11を用いて起動切り換えサブルーチン(ステップS4)について説明する。
【0068】
ステップS51において、シャットバルブ14〜16を閉じる。これにより改質装置30内と外部とが遮断された状態となる。ステップS52において、三方弁34をポートj側に設定する。ステップS53において、真空ポンプ33をONにする。これにより、改質装置30内の圧力が低下し、改質装置30内部の酸素量を低減することができる。次に、ステップS54、55において、ステップS23、24と同様に酸素量閾値QO20を求め、ステップS56において、ステップS25と同様に改質装置30内の酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下であるかどうかを判断する。酸素量QO2が酸素量閾値QO20以下となったら、ステップS57に進み、三方弁34をポートi側に設定する。このとき、ステップS51においてシャットバルブ15は閉じられているので、改質装置30内の圧力は低圧に維持される。ステップS58において真空ポンプ33をOFFにすることにより、切り換えサブルーチンを終了する。
【0069】
次に、図12を用いて通常改質運転移行サブルーチン(ステップS6)について説明する。
【0070】
ステップS61において、改質装置30が要求されている出力情報から、改質反応器6に供給する空気流量を求め、改質反応器6に起動燃焼器9を介して要求される空気流量が供給されるように第1コンプレッサ31を調整する。また、PROX反応器8に要求される空気流量を供給するように、第2コンプレッサ32を調整する。次にステップS62において、ステップS32と同様に、改質反応器6に供給するリッチ改質原料を生成するように、ガソリン蒸発器3と水蒸発器4にガソリンおよび水を供給する。また、シフト反応器7にシフト反応を行うのに必要な水を供給する。
【0071】
次に、ステップS63において、ステップS34と同様にシャットバルブ14、16を開く。これにより改質装置30にリッチ改質原料が供給される。ステップS64において、ステップS35と同様にシャットバルブ15を開くことにより逆流を防ぎ、改質装置30内のガスの流通を開始する。ステップS65において、ステップS36と同様の改質ガス中のCO濃度を判定し、CO濃度CCOが濃度閾値CCO0以下となったら通常改質運転移行サブルーチンを終了する。
【0072】
その後、ステップS7において水素リッチ改質ガスの燃料電池102への供給を開始したら、燃料改質システム101の起動を終了して、通常改質運転を行う。なお、タイミングチャートは、第1実施形態と同様に図8に示したようになる。
【0073】
次に、本実施形態における効果を説明する。ここでは、第1実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0074】
圧力低減手段として真空ポンプ33を備え、暖機運転から通常運転に移行する際に、真空ポンプ33により改質装置30内の圧力を一時的に低減する。これにより、起動切り替え時に改質装置内部の圧力、ひいては残存酸素量を真空ポンプ33により低下させることができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。例えば、実施の形態においては、システム起動時の触媒暖機方法について述べているが、移動体用燃料電池システムにおいてアイドルストップ後の再暖機の場合にも同様のシークエンスを用いることができる。また、ATR改質反応器6、シフト反応器7、PROX反応器8を用いた燃料改質システムを例としているが、本発明はメンブレンリアクタ等のその他の燃料電池システムでも、触媒暖機が必要なものであれば適用可能である。また、本実施形態では移動体用パワープラントシステムについて述べているが、本発明の趣旨は固定式燃料電池システムでも適用できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比に対する断熱火炎温度の特徴を示す図である。
【図2】第1の実施形態に用いるパワープラントシステムの概略構成図である。
【図3】第1の実施形態に用いる燃料改質システムの概略構成図である。
【図4】第1の実施形態における起動制御のメインルーチンである。
【図5】第1の実施形態における触媒反応器起動暖機サブルーチンである。
【図6】第1の実施形態における起動切り換えサブルーチンである。
【図7】第1の実施形態における通常改質運転移行サブルーチンである。
【図8】第1の実施形態におけるタイミングチャートである。
【図9】第2の実施形態における燃料改質システムの概略構成図である。
【図10】第2の実施形態における触媒反応器起動暖機サブルーチンである。
【図11】第2の実施形態における起動切り換えサブルーチンである。
【図12】第2の実施形態における通常改質運転移行サブルーチンである。
【符号の説明】
8 コンプレッサ(酸素低減手段、圧力低減手段)
9 起動燃焼器(燃焼器)
18 圧力センサ(酸素量検出手段)
20 コントローラユニット(制御手段)
30 改質装置
33 真空ポンプ(酸素低減手段、圧力低減手段)
S23・・・出力推定手段(S23)
S24・・・酸素量閾値設定手段(S24▲2▼・・・圧力閾値設定手段)
S25・・・酸素量比較手段(S25▲2▼・・・圧力比較手段)
Claims (10)
- 少なくとも燃料ガスと酸化剤ガスを用いた触媒反応により改質ガスを生成する改質装置と、
燃料を燃焼することにより燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記改質装置内の少なくとも酸素を低減する酸素低減手段と、
暖機時には、前記燃焼器におけるリーンガスを用いた燃焼により生成した燃焼ガスを前記改質装置に流通させることにより暖機運転を行い、暖機運転から通常運転に移行する際に前記改質装置内の酸素を低減してから、リッチガスを改質する通常運転を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする燃料改質システム。 - 前記酸素低減手段を、前記改質装置内部の圧力を低減する圧力低減手段とする請求項1に記載の燃料改質システム。
- 前記圧力低減手段として前記燃焼器および前記改質装置の少なくとも一方に酸化剤ガスを供給するコンプレッサを用い、
暖機運転から通常運転に移行する際に、前記コンプレッサにより前記改質装置内の圧力を一時的に低減する請求項2に記載の燃料改質システム。 - 前記圧力低減手段として真空ポンプを備え、
暖機運転から通常運転に移行する際に、前記真空ポンプにより前記改質装置内の圧力を一時的に低減する請求項2に記載の燃料改質システム。 - 前記改質装置内の酸素量を測定または推定する酸素量検出手段を備え、
前記改質装置内の残存酸素量に基づいて、前記改質装置が通常運転を開始できる状態かどうかを判断する請求項1に記載の燃料改質システム。 - 酸素量検出手段として、圧力センサ、または、酸素センサを用いる請求項5に記載の燃料改質システム。
- 通常運転開始時に前記改質装置に要求される出力を求める出力推定手段と、
前記出力推定手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に前記改質装置内に残存できる酸素量閾値を設定する酸素量閾値設定手段と、
前記酸素量検出手段により測定または推定された前記改質装置内の酸素量と、前記酸素量閾値を比較する酸素量比較手段と、を備え、
前記酸素量比較手段において前記改質装置内の酸素量が前記酸素量閾値以下となったら、前記改質装置が通常運転を開始できる状態であると判断する請求項5に記載の燃料改質システム。 - 前記酸素量閾値設定手段において、通常運転開始時に前記改質装置に要求される出力が高いほど前記酸素量閾値を小さく設定する請求項7に記載の燃料改質システム。
- 前記改質装置内の圧力を測定する圧力検出手段と、
前記改質運転開始時に前記改質装置に要求される出力を求める出力推定手段と、
前記出力検出手段により推定される要求出力に基づいて、暖機運転から通常運転に移行する際に前記改質装置に許容される圧力閾値を設定する圧力閾値設定手段と、
前記圧力測定手段により測定された改質装置内の圧力と、前記圧力閾値とを比較する圧力比較手段を備え、
前記圧力比較手段において前記改質装置内の圧力が前記圧力閾値以下であると判断されたら、前記改質装置が通常運転を開始できる状態であると判断する請求項1に記載の燃料改質システム。 - 前記圧力閾値設定手段において、通常運転開始時に前記改質装置に要求される出力が高いほど前記圧力閾値を小さく設定する請求項10に記載の燃料改質システム。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008543720A (ja) * | 2005-06-22 | 2008-12-04 | キャタリティカ エナジー システムズ インコーポレイテッド | 炭化水素燃料から水素を生成するための改質器と改質方法 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002366736A patent/JP2004196586A/ja active Pending
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JP2008543720A (ja) * | 2005-06-22 | 2008-12-04 | キャタリティカ エナジー システムズ インコーポレイテッド | 炭化水素燃料から水素を生成するための改質器と改質方法 |
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