JP2004196561A - プレス成形用素材の保持搬送装置、プレス成形機及びプレス成形体の成形方法 - Google Patents
プレス成形用素材の保持搬送装置、プレス成形機及びプレス成形体の成形方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】素材を浮上・保持することができ、開閉機構が不要で、構成が簡素な保持搬送装置を提供する。
【解決手段】プレス成形用の素材を浮上させた状態で保持して搬送する保持搬送装置において、素材Pが通過できる内径の貫通孔11を有し、この貫通孔11内において上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口13aが貫通孔11の内周面11bに形成された筒状の浮上治具10と、この浮上治具10に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを有する構成としてあり、前記貫通孔の内周面を、上方に向かうほど拡径するテーパ状に形成してある。
【選択図】 図1
【解決手段】プレス成形用の素材を浮上させた状態で保持して搬送する保持搬送装置において、素材Pが通過できる内径の貫通孔11を有し、この貫通孔11内において上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口13aが貫通孔11の内周面11bに形成された筒状の浮上治具10と、この浮上治具10に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを有する構成としてあり、前記貫通孔の内周面を、上方に向かうほど拡径するテーパ状に形成してある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、プレス成形によって所定形状の成形体を成形する技術に関し、特に、光学素子など、高度の面精度や形状精度が要求される精密プレス成形の分野において、プレス成形用素材を気流によって浮上状態で保持して搬送するプレス成形用素材の保持搬送装置、この保持搬送装置を用いたプレス成形機及びプレス成形体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形によって成形体、例えばレンズなどの光学素子を成形する方法として、成形用の素材(例えばガラス素材)を加熱軟化させてから、予熱した成形金型に供給してプレスする方法が知られている。
この方法は、室温のガラス素材を型内に載置してから加熱軟化する方法に比較して、成形のサイクルタイムを大幅に短縮することができるという利点がある。そして、加熱・軟化させたガラス素材(プリフォーム)は、所定精度の成形面を有する成形金型によってプレスされ、所定形状に成形される。
ところで、成形用の素材であるガラス素材の表面に欠陥があると、成形されたレンズの面精度や形状精度が損なわれるため、ガラス素材の表面は、平滑な面になっていることが求められる。
【0003】
しかし、加熱・軟化させたガラス素材は、搬送装置に把持又は載置させて成形金型まで搬送されるが、この際、ガラス素材と前記搬送装置の把持部又は載置部とが接触して融着し、ガラス素材の表面に欠陥を生じることがあった。
そのため、加熱・軟化させたガラス素材を、気流によって浮上させ、搬送装置と非接触状態で保持して、成形金型まで搬送する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−133758号公報(明細書の[0010],[0017],[0022]〜[0024]の記載及び図面の図4,図5及び図8参照)
【特許文献2】
特開2001−335329号公報(明細書の[0029]〜[0032]の記載及び図2参照)
【0005】
これら特許文献には、ガラス素材を浮上治具上で気流により浮上させながら加熱・軟化させ、この浮上治具を分割することで加熱・軟化させたガラス素材を成形金型に受け渡す方法が開示されている。
図8は、特許文献1に開示された浮上治具の構成を説明する図である。
図示するように、プリフォームPを気流によって浮上させて保持する浮上治具110の中央には、半球状の凹部112が形成されている。そして、この凹部112の底部中央に、気体を噴出させる気体噴出口113aが開口していて、気体流通孔113から供給された気体が、この気体噴出口113aから噴出するようになっている。
【0006】
浮上治具110は中央で二つに分割されている。二分割された浮上治具110の一方を構成する第一の浮上治具部分111aは、軸114aによって図8の時計回り方向に回動自在で、浮上治具110の他方を構成する第二の浮上治具部分111bは、軸114bによって図8の反時計回り方向に回動自在である。
したがって、プレス成形用の成形金型51に、加熱・溶融したガラス素材Pを受け渡す際には、図8(b)に示すように、軸114a,114bを中心に第一の浮上治具部分111a及び第二の浮上治具部分111bを回動させて浮上治具110を開き、第一の浮上治具部分111aと第二の浮上治具部分111bとの隙間から、ガラス素材Pを成形金型51まで落下させる。
なお、特許文献1には、第一の浮上治具部分と第二の浮上治具部分とを互いに離間,接近する方向に直線的に移動させて開閉を行い、ガラス素材Pを成形金型に落下させる浮上治具も開示されている。
【0007】
図9は、特許文献2に記載されたガラスプリフォームの浮上搬送装置の構成の説明図で、左右に分割可能な第一のアーム131a及び第二のアーム131bの先部に、分割可能な二つの浮上治具部分(第一の浮上治具部分121a及び第二の浮上治具部分121b)からなる浮上治具120が一列に複数個(図示する例では六個)設けられている。
そして、第一のアーム131a及び第二のアーム131bが左右に開くことで、第一の浮上治具部分121a及び第二の浮上治具部分121bが離間し、各浮上治具120で浮上・保持されていたガラスプリフォーム(ガラス素材)Pが、成型金型に落下して受け渡されるようになっている。
【0008】
これらの特許文献1,2に記載の技術によれば、非接触状態で素材を成形金型まで搬送して受け渡すため、表面欠陥の無い、高い面精度のガラス成形体を得ることができるという利点がある。
また、特に特許文献2に記載の浮上搬送装置は、一度に複数個のガラス素材Pを搬送して成形金型に受け渡すことができ、一回のプレス成形で複数個のレンズを成形することができるので、生産性を高めることができるという利点を有している。
【0009】
しかし、上記の特許文献1,2に記載の技術には以下のような問題点がある。
▲1▼ 浮上治具110,120を開閉可能に分割形成しなければならず、浮上治具110,120の構成が複雑になるばかりか、浮上治具110,120を開閉させるための機構が必要となって、保持搬送装置の構成が複雑化する。
▲2▼ 浮上治具110,120を開くタイミングと素材を浮上保持するための気流を停止させるタイミングとが適切でないと、ガラス素材Pを成形金型Mに受け渡す際に、浮上治具110,120にガラス素材Pが接触し、表面に傷が付くおそれがある。
また、成形金型51に落下するガラス素材Pの落下方向が、残留気流により不安定になる。そのため、浮上治具110,120を開くタイミングと浮上保持のための気流を停止させるタイミングとを、予め精密に設定しておく必要がある。
【0010】
▲3▼ 浮上治具110,120を開くタイミングと浮上保持のための気流を停止させるタイミングとが適切でなく、開いた浮上治具110,120の間にガラス素材Pが挟まれると、ガラス素材Pが浮上治具110,120に融着してしまうことがある。この場合、融着したガラス素材Pを除去するには、プレス成形機の稼働を停止させなければならず、生産性が低下する。
▲4▼ 特許文献2に記載の浮上搬送装置においては、可能な限り簡単な機構で、かつ、単一の開閉機構によって複数の浮上治具120を同時に開閉させるために、浮上治具120を直線上に配置している。そのため、これら浮上治具120から素材Pを受け取る成形金型も直線上に配置しなければならず、プレス成形機の設計上の自由度がきわめて制限される。
【0011】
▲5▼ また、浮上治具120を直線上に配置すると、素材Pを加熱する際に加熱むらが生じる。これを、図10を参照しながら説明する。図10は、素材を供給する浮上治具120に供給する供給準備室41から、アーム130を回動させて素材加熱装置42に素材を搬入した状態を示すものである。図示するように、一列に配列された複数の浮上治具120が、素材加熱装置42内で幅方向に広く分散するため、素材加熱装置42の中央付近に位置する素材Pと、両端付近に位置する素材Pとで加熱条件にばらつきが生じる。このような加熱条件に相違による温度むらは、特に、肉厚や面精度において均一な品質が要求される高精度の光学レンズの成形に悪影響を与える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を一挙に解決するためになされたもので、素材を保持して成形金型まで搬送する保持搬送装置の構成を簡素にすることができ、成形金型に素材を受け渡す際に複雑なタイミングの設定が不要で、安定的かつ確実に素材を成形金型に落下させて受け渡すことができ、複数個の素材を同時に搬送して成形金型に受け渡す場合にも、浮上治具の任意配置が可能でプレス成形機の設計の自由度を高めることができるプレス成形用素材の保持搬送装置、この保持搬送装置を用いたプレス成形機及びプレス成形体の成形方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を達成するための手段】
本発明の発明者は、素材を浮上,保持した状態から、浮上治具を開閉させることなく、気流を停止させるだけで素材を落下させて成形金型に受け渡すことができれば、上記の目的を達成できることに着目し、鋭意研究を重ねた結果本発明を完成した。
具体的には、プレス成形用の保持搬送装置に関する発明は、プレス成形用の素材を浮上させた状態で保持して搬送する保持搬送装置において、前記素材が通過できる内径の貫通孔と、この貫通孔の内周面に形成され、前記貫通孔内に気体を噴出させて上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口とを有する筒状の浮上治具と、この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを有する構成としてある。
【0014】
この構成によれば、貫通孔内で発生させた気流によって、素材を浮上・保持させることができる。そして、成形金型に受け渡す際には、成形金型を構成する下型の上方で気流を停止させることで、前記貫通孔をとおして、素材を成形金型に落下・供給することが可能である。
そのため、浮上治具を分割型にして開閉させる必要がなく、気流を停止させるだけで素材を成形金型に受け渡すことができる。
【0015】
本発明においては、前記気体噴出口から噴出させる気体の量を調整する流量調整手段を設けてもよい。この流量調整手段によって、素材の大きさや密度の違いに応じて、気流の強さを変化させることができる。気流調整手段としては、例えば、気体が流れる気体流通孔の有効断面積を変化させて、気体の流量を調整する、絞り弁等の調整弁を用いることができる。
【0016】
また、本発明は、前記貫通孔の内周面を、上方に向かうほど拡径するテーパ状に形成した構成としてある。
このように、貫通孔の内周面をテーパ状に形成することで、素材を安定的に浮上・保持することができる。
この場合、前記内周面のテーパ角度は、前記貫通孔の軸線に対して、1°〜10°の範囲内とすることが好ましい。
【0017】
また、前記気体噴出口からの気体の噴出角度を、前記貫通孔の軸線の軸線に対して、30°〜60°の範囲内としてもよい。気体噴出口からの気体の噴出角度をこの範囲内とすることで、安定的に素材を浮上・保持することができる。
【0018】
さらに、浮上治具は、保持搬送装置を構成する搬送アーム上に、複数設けてもよい。
これにより、一度に複数個の素材を搬送して、複数の成形金型に受け渡すことができ、生産性を向上させることができる。本発明の保持搬送装置の浮上治具は、開閉機構が不要であるので、前記搬送アームに自由に配置することができる。そのため、プレス成形機の設計の自由度を高めることができる。
この場合は、前記浮上治具を、前記搬送アームにマトリクス状又は円形状に配置することで、素材加熱装置内で素材を加熱する際にも、素材を温度むらなく均一に加熱することができる。
【0019】
本発明のプレス成形機は、上記構成の保持搬送装置を用いたものである。具体的には、加熱・軟化させた素材をプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形機において、対向する面に成形部が形成された上下一対の成形金型と、前記素材を保持搬送して前記成形金型に供給する保持搬送装置とを有し、前記保持搬送装置は、前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具と、この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを備える構成としてある。
【0020】
また、本発明のプレス成形機は、前記成形金型を所定温度に加熱する金型加熱手段と、前記素材を所定温度に加熱する素材加熱手段とをさらに備え、前記保持搬送装置は、前記素材を保持して前記素材加熱手段まで搬送するとともに、保持した前記素材を前記素材加熱手段により所定温度まで加熱させ、加熱された前記素材を前記金型加熱手段によって加熱された前記成形金型まで搬送するように構成してもよい。
本発明に用いる保持搬送装置は、浮上治具を開閉させる機構が不要であるので、複数の浮上治具を任意の配置とすることができ、素材加熱手段で浮上治具に浮上・保持された複数の素材を加熱する際にも、均一に加熱することができる。また、成形金型も、浮上治具の配置に合わせて配置することで、むらなく加熱することができ、プレス成形体の品質を均一にすることができる。
【0021】
本発明のプレス成形体の成形方法は、プレス成形用の素材を、対向する面に成形部を有する上下一対の成形金型でプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形方法において、前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具を有する保持搬送装置を準備し、前記気体噴出口部から気体を噴出させて、前記貫通孔に上向きの気流を発生させた後、前記浮上治具に前記素材を供給し、前記気流によって前記貫通孔内で素材を浮上・保持させた状態で、前記浮上治具とともに前記素材を前記成形金型の下型の上方まで搬送し、前記素材が下型の真上に位置したときに、前記気流を停止させ、前記貫通孔を通過させて前記素材を前記浮上治具から前記下型に受け渡し、前記成形金型の上型と下型との型閉めを行うことによって、前記素材のプレス成形を行うものである。
【0022】
この場合、前記素材を所定温度まで加熱する素材加熱手段を準備し、前記浮上治具の貫通孔内に前記素材を浮上・保持させて前記素材加熱手段まで搬送し、前記浮上治具で前記素材を浮上・保持した状態で、前記素材加熱手段により前記素材を所定温度まで加熱し、前記素材加熱手段で加熱された前記素材を、前記浮上治具で浮上・保持した状態で前記成形金型まで搬送するようにすることもできる。
【0023】
また、本発明は、前記素材を予め所定温度まで加熱、軟化させたのち、前記浮上治具に供給して、前記成形金型まで搬送するようにしてもよいし、前記浮上治具に前記素材を供給するのに先立ち、前記浮上治具を予備加熱するようにしてもよい。
さらに、本発明においては、前記素材としてガラス素材を用い、粘度109ポアズ未満に相当する温度に加熱軟化させるようにしてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明では、成形用の素材としてガラスを用い、光学素子であるレンズを成形するものとして説明するが、高度の面精度、形状精度が求められる成形体であれば、金属やプラスチックなど他の素材に適用してもよく、かつ、成形体もレンズに限らず、回析格子など他のものであってもよい。また、本発明においてプレス成形とは、金型を用いて押圧成形するものの総称である。
【0025】
[アーム及び浮上治具の説明]
図1は、本発明の保持搬送装置の一実施形態にかかり、保持搬送装置を構成する浮上治具の一部を破断した斜視図、図2は、図1のI−I方向断面図である。
浮上治具10は、保持搬送装置を構成するアーム31の先端に設けられている。アーム31は、回転シリンダや直動シリンダ等の駆動部に取り付けることで、浮上治具10を回動及び/又は直線方向に移動させることができる。
浮上治具10の中央には、素材Pの外径より大きい内径を有する貫通孔11が、鉛直上下方向に形成されている。浮上治具10は、保持搬送装置のアーム31の先端に貫通形成された貫通孔31aと貫通孔11とが同心状になるようにアーム31に取り付けられる。そして、浮上治具10の貫通孔11及びアーム31の貫通孔31aを通過して、素材Pが落下できるようになっている。
【0026】
また、貫通孔11は、上部開口縁をテーパ面11aとして形成するとともに、貫通孔11の内周面11bに、気体を上向きに噴出させる気体噴出口13aを、均等間隔で複数(この実施形態では四個〜八個が好ましい)形成してある。アーム31の内部の浮上治具10の周囲には、環状の連通孔13bが形成され、この連通孔13bと気体噴出口13aとが気体流通孔13によって連通されている。アーム31の内部には、保持搬送装置の外部に設けられた図示しない気体供給装置に連結される気体供給管15が設けられている。この気体供給管15は、アーム31の長手方向に延び、連通孔13bに連通している。これにより、前記気体供給装置から供給された気体が、気体供給管15,連通孔13b及び気体流通孔13を通って、気体噴出口13aから上向きに吹き出され、貫通孔11内に上向きの気流を発生させる。
【0027】
なお、気体の供給及び停止の制御は、図示しない公知の制御装置によって行うことができる。そして、前記制御装置に、予め気体の供給開始タイミング及び停止タイミングを設定しておくことで、適切なタイミングで貫通孔11に気体の供給を行って素材Pを浮上・保持させるとともに、適切なタイミングで貫通孔11への気体の供給を停止させることによって、素材Pを成形金型に受け渡すことができる。
【0028】
気体流通孔13及び気体噴出口13aは、気体の噴出角度θが、貫通孔11の軸線に対して、10°〜80°の範囲内になるように形成する。この場合、30°〜60°の範囲内とすることが好ましく、特に40°〜50°の範囲内とすることが好ましい。このようにすることによって、素材Pの浮上・保持をより安定的に行うことができる。
また、気体噴出口13aの開口径は、貫通孔11の内径や素材Pの形状、大きさ(外径)、重量等の条件を考慮して、安定的に素材Pを浮上・保持することができる径、例えば0.1mm〜数mm程度とする。
【0029】
[浮上治具の他の実施形態]
図3は、浮上治具の他の実施形態を示す断面図である。
この実施形態における浮上治具20の貫通孔21の内周面21bは、下方から上方に向けて貫通孔21の内径全体が拡大するテーパ状に形成されている。
貫通孔21の内周面21b全体をテーパ状とすることで、素材Pをより安定的に浮上・保持することができる。特に、浮上治具20で素材Pを浮上・保持したまま、素材加熱装置によって素材Pを加熱する場合に、加熱による素材Pや浮上治具20の体積の変化や、素材Pの密度の変化があっても、安定した浮上状態を維持することができるという利点がある。
【0030】
テーパ状の内周面21bの傾斜角度は、素材Pを安定的に浮上・保持することができるものを選択するのが好ましく、貫通孔21の軸線に対して1°〜10°の範囲内とするのが好ましい。また、3°〜6°の範囲内であるのがさらに好ましい。
なお、浮上治具のさらに他の実施形態として、貫通孔の内周面をテーパ状とする代わりに、上記のテーパ角度と近似した傾斜を有する曲面状に形成しても良い。
【0031】
[気流の条件]
複数の気体噴出口13aから気体が噴出されることで貫通孔11,21内に発生した気流は、素材Pを浮上状態で保持する。前記気流が、素材Pを浮上状態で安定的に保持するための気流の条件を、図4を参照しながら説明する。
貫通孔11(21)内で発生した気流は、素材Pと貫通孔11(21)の内周面11b(21b)との隙間を通り、上方に流れる。このとき、この隙間によって、流路を絞られた気流は、素材を通過した後膨張して速度を増すことになる。そのため、素材Pの上方の圧力P2が素材Pの下方の圧力P1に比して小さくなり、P1>P2なる関係が成立する。
【0032】
ここで、貫通孔11(21)内で生じた気流による素材Pの浮力をFp、素材Pの最大断面積をApとすると、素材Pに働く浮力は、
Fp=(P1−P2)Ap
となる。
ここで、素材Pに作用する力の釣り合いを考えると、素材Pには、気流による浮力Fpと、素材Pの周囲のガス雰囲気による素材Pの浮力fとが上向きに作用し、重力が下向きに作用しているので、素材Pの質量をmとすると、
Fp+f=mg
なる関係が成り立つ(gは重力加速度)。
素材Pの体積をVp、素材Pの密度をρp、素材Pの周囲のガス雰囲気の密度をρとすると、
mg=Vp・ρp・g f=Vp・ρ・g
であるから、上記の式を書き換えて、
(P1−P2)Ap = Vp(ρp−ρ)g
となる。
また、素材Pの下方の気流の流速をU1、素材Pと貫通孔11(21)の内周面との隙間の気流の流速をU2、素材Pの直下の貫通孔11(21)の断面積をA1、前記隙間の断面積をA2とすると、ベルヌーイの定理により、
(U22−U12)/2=(P1−P2)/ρ
が成り立つ。
【0033】
ここで、気体の流量をQとすると、
U1=Q/A1、 U2=Q/A2 であるから、
となる。
したがって、この条件を満たす流量の気体を、気体噴出口13aから噴出させることで、素材Pが気流により浮上した状態で安定的に保持される。
【0034】
なお、前記した断面積A1,A2の値は、貫通孔21の内周面21bがテーパ状の場合には、素材Pの位置によって変化する。また、素材Pが加熱されると、膨張によって素材Pの断面積Ap及び密度ρpが変化する。この場合においても、上記式を満たす気体流量Qが与えられれば、安定的に浮上・保持及び搬送を行うことが可能となる。
【0035】
[アーム及び浮上治具の材質]
アーム31及び浮上治具10,20の材質は特に問わないが、加熱した素材Pを浮上・保持させた状態で搬送する場合や、素材加熱装置42で素材Pとともに加熱する場合には、耐熱性に優れたステンレス合金等の金属や、耐熱性に優れ、高温になっても容易に変形しないセラミックで形成するのが好ましい。
また、加熱された素材Pと加熱された浮上治具10,21及び加熱された浮上治具10,20と加熱されたアーム31とが、互いに、熱によって化学反応を生じさせないものであるのが好ましい。例えば、素材Pがガラスである場合は、浮上治具10,20の材質として、素材Pとの親和性が小さいカーボン等を選択するのが好ましい。
【0036】
[気体の種類]
浮上治具10,20の気体噴出口13aから噴出させる気体としては、特に制限は無いが、加熱したアームの酸化による劣化を防止するという観点から、非酸化性ガス(不活性ガス)であることが好ましい。例えば、窒素等又は窒素等を主成分とする気体であるとよい。また、素材Pの加熱時間を短縮するために、予備加熱した気体を使用することも有効である。
【0037】
[複数の浮上治具の配置例]
本発明の搬送保持装置においては、1つのアームの先端に複数の浮上治具を設けることが可能である。また、本発明における浮上治具は、分割型でないので開閉機構を必要とせず、複数の浮上治具を任意の形態、例えば、直線状,円形状又はマトリクス状に配置することが可能である。
図5は、複数の浮上治具をアームの先端に設ける場合の配置例を示す図である。
図5に示す例においては、アーム35の先端に形成された円形状の先端部35bに、均等間隔で、四つの浮上治具10を同心円状に配置している。
各浮上治具10に気体を供給する気体供給管15は、アーム35の基部35cから先端部35bに向けて延び、他の浮上治具10と干渉しないように、それぞれの浮上治具10に連通している。
【0038】
図6は、図5のアーム35を用いて、浮上治具10に浮上・保持させた素材Pを素材加熱装置42で加熱する様子を示したものである。
図5に示すように浮上治具10を配置したアーム35は、素材加熱装置42の加熱雰囲気中で、複数の素材Pを均一に加熱することができるという利点がある。また、成形金型の配置も浮上治具10の配置に合わせて円形状に配置してあるので、成形金型の予熱の条件も均一にすることが容易になり、プレス成形の条件を同一にして、成形体の品質のばらつきを抑制することができる。
【0039】
なお、本発明においては、図5に示すように単一のアーム35に複数の浮上治具10を設けた場合、全ての浮上治具10への気体の供給を同時に停止させることで、複数の素材Pを同時に成形金型に受け渡すことが可能であるが、一部の浮上治具10の気体供給停止のタイミングをずらすことで、成形金型への素材Pの供給タイミングをずらすことが可能である。そのため、本発明においては、アーム上の浮上治具の数及び/又は配置と、成形金型の数及び/又は配置とは必ずしも一致させる必要がなく、浮上治具を順次移動させながら、各々の成形金型に素材を落下・供給することも可能である。
【0040】
図7は、上記構成の保持搬送装置を用いたプレス成形機の構成を示す概略図である。
図7に示すプレス成形機は、球状のガラスプリフォーム(素材P)をプレスし、ガラスレンズを成形するもので、特許文献2に開示されたプレス成形機と基本構成は同じである。
なお、ガラスレンズを成形する場合、素材Pであるガラスプリフォームの材料としては、光学ガラスを用いる。光学ガラスの組成に特に制約はないが、成形温度の観点から、Tg590℃以下のものであるのが好ましい。
ガラスプリフォームは、所定量のガラスを冷間又は熱間で、球形又は扁平球形状等に形成する。例えば、直径10mmの凸レンズを成形する場合は、ガラスプリフォームとして球形のものを選択するのが好ましく、径は2〜10mmであることが好ましく、特に4〜8mmとすることが好ましい。
【0041】
図に示すように、光学レンズを成形するプレス成形機1は、素材Pを加熱・溶融する加熱室40と、この加熱室40に隣接して配置され、プレス成形によってガラスレンズを成形する成形室50と、加熱室40及び成形室50を連通状に連絡する通路60とを備えている。通路60の途中部位には、開閉バルブ61が設けられている。
【0042】
加熱室40、成形室50及び通路60は、ステンレス等の周囲壁やシーリング材によって気密性が保たれている。光学レンズを成形する際には、加熱室40、成形室50及び通路60の内部の空気が排気されて、窒素ガス又は窒素ガスと水素ガスの混合ガス(例えば、N2+0.02vol%H2)等の不活性ガスが充填される。
加熱室40には、外部から素材Pを加熱室40内へ供給するための供給準備室41と、素材Pを浮上状態で保持して搬送する保持搬送装置30と、素材Pを所定温度まで加熱する素材加熱装置42とが設けられている。
【0043】
素材Pの保持搬送装置30は、上記したように、アーム31と浮上治具10(又は20)とを有し、駆動部33の駆動によってアーム31を回転させ、浮上治具10(20)を、供給準備室41から素材加熱装置42、素材加熱装置42から通路60に対峙する位置まで順次移動させる。更に、保持搬送装置30は、通路60に対峙する位置から直線状に浮上治具10(20)を移動させ、通路60を挿通して、加熱室40から成形室50まで加熱軟化した素材Pを搬送する。
なお、素材加熱装置42には、上下に素材Pを加熱するためのヒータが設けられているが、この上下のヒータ間に温度差を設けることによって、素材Pの重量によるアーム31の撓みと、熱によるアーム31の反りとを修正して、ほぼ直線状にアーム31を保つことができる。
【0044】
成形室50には、所望の形状の光学レンズを成形するため成形金型51と、成形された光学レンズを成形金型51から搬出する搬出装置52と、光学レンズを成形室50から外部へ搬出するための取り出し準備室53とが設けられている。
成形金型51の周囲には、これを加熱するための型加熱装置51aが設けられている。そして、素材Pのプレスに先立って、成形金型51をこの型加熱装置51aによって加熱し、所定の温度に維持する。
【0045】
プレス時における成形金型の温度は、予熱された素材Pの温度とほぼ同じであっても、または、それよりも低いものであっても良い。プレス成形のサイクルタイムを短くするためには、成形金型の予熱温度を、予熱された素材Pの温度より低くすることが好ましい。例えば、素材Pの予熱温度は、ガラス粘度で、109ポアズ未満の粘度に相当する温度、好ましくは、105.5〜108ポアズに相当する温度が適用できる。成形金型の予熱温度は、素材Pの予熱温度以下とすることができる。好ましくは、素材Pを形成するガラスの粘度において、109〜1012ポアズに相当する温度とするのがよい。
【0046】
[実施例]
上記態様において説明した保持搬送装置30及びプレス成形機1を用いて、ガラスレンズを成形した。浮上治具としては、図3に示すようなテーパ状の内周面を有する貫通孔が形成されたものを用いた。なお、内周面のテーパの角度は、4度とした。
【0047】
[プリフォーム]
素材Pとしてガラスプリフォームを用い、外径7.2mmの、平凸形状のレンズを成形した。
ガラスプリフォームは、M−BaCD5N(Tg515℃、Ts545℃)、重量は283.6mg、φ5.8mmの球形のものを用いた。
【0048】
[成形金型]
成形金型51は、基盤材料として炭化ケイ素(SiC)焼結体を用い、研削によりプレス成形用の成形金型形状に加工後、成形面側にCVD法により炭化ケイ素膜を形成して、さらに研削研磨して成形するガラス成型体に対応する形状に鏡面仕上げして成形金型基盤を得た。
また、成形金型基盤の炭化ケイ素膜上に、i−カーボン(ダイヤモンドライクカーボン)膜をイオンプレーティング法により500Å成膜して成形面とした。上型及び下型は、同軸上にセットされ、プレス成形の際は、上型と下型とこれをガイドする案内型から成形金型51が構成されている。
下型及び上型の加熱は、胴型外周に取り付けた型加熱装置51aで行い、成形金型51を支持する支持台の下部より、下型内に挿入した型測温用熱電対にて制御されるようにした。さらに胴型の温度は、胴型内に挿入した胴型測温用熱電対によって測温されるようにした。
【0049】
[浮上治具]
保持搬送装置30のアーム31の先端に、グラッシーカーボン(高密度カーボンを処理)で形成された浮上治具20を一個設けた。
【0050】
[加熱軟化及びプレス工程]
加熱室40及び成形室50内を真空排気した後、98%N2+2%H2ガスを導入し、同ガス雰囲気とした。次に型加熱装置51aによって、型測温用熱電対で測温した上型及び下型の温度が、ガラスプリフォームの粘度が1×109ポアズに相当する570℃になるまで加熱し、同温度で保持した。
【0051】
一方、予め素材加熱装置42でアーム及び浮上治具を約550℃に予備加熱しておき、素材供給準備室41から搬入されたプリフォームPを、予め貫通孔21内に気流を発生させておいた浮上治具20に供給した。貫通孔21内に噴出させる気体として、窒素(窒素98%、水素2%)を用いた。予備加熱中に浮上治具20には、ガス圧力:2kgf/cm2にて、気体流量:1.4 l/minでガスを流しておいた。浮上治具は、グラッシーカーボン(高密度カーボンを処理)を用いた。浮上治具20の各部の条件は、以下のとおりである。
【0052】
浮上治具内径:8mm、内周面のテーパ角度 4度
浮上治具ガス噴出穴角度:40°
浮上治具ガス噴出穴径:0.2mm
浮上治具ガス噴出穴数:4
【0053】
供給後、プリフォームPは浮上治具20の貫通孔21内で安定的に浮上して補保持された。次いで、駆動体33を駆動させてアーム31を回転させ、浮上治具20を素材加熱装置42に移動させて、プリフォームPの加熱を行った。プリフォームPの加熱は、610℃(ガラスの粘度で5×107ポアズ相当)になるまで行い、その後ただちに、アーム31を更に回転・直進させて、成形室50の成形金型51の下型上にプリフォームPを搬送した。
【0054】
成形金型51の軸線が浮上治具20の貫通孔21の軸線と同一になったときに電磁弁を止めて、浮上治具20への気体の供給を停止した。これにより、プリフォームPは、成形金型51の下型上に落下した。このとき、浮上治具20の下端部分が、プリフォームPの外周面に対して適度なクリアランスを保ち、プリフォームPと下型とのセッティングズレ量が最小限となるようなガイドの役目を果たしていた。
【0055】
こののち、下型を下降させ、浮上治具20とプリフォームPとが接触しないようにして、型閉めの際にアーム31と上型とが干渉しない位置まで、アーム31を退避させた。その後、下型を上型まで上昇させて型閉めを行い、プリフォームPを10秒間、110kg/cm2の圧力にて加圧成形して所定の肉厚とした後、圧力を一気に50kg/cm2とした。また、これと同時に、この圧力で保持したガラス成形体及び成形金型51を、型加熱装置51aの電源を遮断することで放冷した。そして、型測温用熱電対で測温した上型及び下型の温度が、Tg以下の温度になったところで、成形金型51の型開きを行って、ガラス成形体を離型し取り出した。
【0056】
上記の手順を繰り返して、連続して200個のプリフォームPの保持搬送とプレス成形によるガラスレンズの成形を行った。このようにして得られたガラスレンズの性能を、干渉計による面精度と、目視外観及び実体顕微鏡による表面状態について評価した。その結果は、いずれのレンズも良好なものであった。
なお、アーム上の浮上治具20の数を複数にし、同数の成形金型に同時に落下供給を行うようにしたところ、一回のプレス成形で複数個の成形体を成形することができ、さらに生産効率が高くなった。
【0057】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態によりなんら限定されるものではない。
例えば、本発明は光学レンズの成形に限らず、他のあらゆる成形体の成形に適用が可能である。また、浮上・保持させる素材もガラスに限られず、樹脂や金属であってもよい。
さらに、成形体をプレス成形するプレス成形機の構成は上記のものに限られず、本発明の保持搬送部材を用いて所定形状の成形体を成形することができるものであれば、各種の形態に変更が可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱軟化したプリフォーム等の素材を搬送部材と非接触状態で安定的に搬送することが可能である。そして、プリフォームを成形金型に供給するための開閉装置が不要で、保持搬送装置の構成を簡素なものにすることができる。
また、複数の浮上治具を任意に配置することができるので、保持搬送装置やプレス成形機の設計の自由度が増し、さらに、プリフォーム等の素材の加熱や成形金型の加熱条件を均一化にして、品質にむらがなく高品質のプレス成形体を得ることができる。
【0059】
さらに、成形金型への素材の供給を安定的に行うことができ、素材の挟みこみ等の不都合も生じず、プレス成形機の稼働率を向上させて生産性を高めることができる。
また、本発明の保持搬送部材は、そのまま大容量のヒータによる加熱雰囲気中に移動することができるため、加熱効率が高く、成形のサイクルタイムを短縮して生産性を高めることができる。
このように本発明によれば、高品質の成形体を高い生産性で成形することができ、高度の面精度が要求される光学素子の生産に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保持搬送装置の一実施形態にかかり、保持搬送装置を構成する浮上治具の一部を破断した斜視図である。
【図2】図1のI−I方向断面図である。
【図3】浮上治具の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】素材を浮上状態で保持するための気流の条件を説明するための図である。
【図5】複数の浮上治具をアームの先端に設ける場合の配置例を示す図である。
【図6】図5の保持搬送装置を用いて、素材を素材加熱装置で加熱する状態を示した概略図である。
【図7】本発明のプレス成形機の一実施形態を示す概略図である。
【図8】特許文献1に開示された浮上治具の構成を説明する図である。
【図9】特許文献2に記載されたガラスプリフォームの浮上搬送装置の構成の説明図である。
【図10】素材加熱装置に素材を搬入した状態を示す図である。
【符号の説明】
10,20 浮上治具
11,21 貫通孔
11b,21b 内周面
13 気体流通孔
13a 気体噴出口
13b 連通孔
15 気体供給管
P 素材
【発明が属する技術分野】
本発明は、プレス成形によって所定形状の成形体を成形する技術に関し、特に、光学素子など、高度の面精度や形状精度が要求される精密プレス成形の分野において、プレス成形用素材を気流によって浮上状態で保持して搬送するプレス成形用素材の保持搬送装置、この保持搬送装置を用いたプレス成形機及びプレス成形体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形によって成形体、例えばレンズなどの光学素子を成形する方法として、成形用の素材(例えばガラス素材)を加熱軟化させてから、予熱した成形金型に供給してプレスする方法が知られている。
この方法は、室温のガラス素材を型内に載置してから加熱軟化する方法に比較して、成形のサイクルタイムを大幅に短縮することができるという利点がある。そして、加熱・軟化させたガラス素材(プリフォーム)は、所定精度の成形面を有する成形金型によってプレスされ、所定形状に成形される。
ところで、成形用の素材であるガラス素材の表面に欠陥があると、成形されたレンズの面精度や形状精度が損なわれるため、ガラス素材の表面は、平滑な面になっていることが求められる。
【0003】
しかし、加熱・軟化させたガラス素材は、搬送装置に把持又は載置させて成形金型まで搬送されるが、この際、ガラス素材と前記搬送装置の把持部又は載置部とが接触して融着し、ガラス素材の表面に欠陥を生じることがあった。
そのため、加熱・軟化させたガラス素材を、気流によって浮上させ、搬送装置と非接触状態で保持して、成形金型まで搬送する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−133758号公報(明細書の[0010],[0017],[0022]〜[0024]の記載及び図面の図4,図5及び図8参照)
【特許文献2】
特開2001−335329号公報(明細書の[0029]〜[0032]の記載及び図2参照)
【0005】
これら特許文献には、ガラス素材を浮上治具上で気流により浮上させながら加熱・軟化させ、この浮上治具を分割することで加熱・軟化させたガラス素材を成形金型に受け渡す方法が開示されている。
図8は、特許文献1に開示された浮上治具の構成を説明する図である。
図示するように、プリフォームPを気流によって浮上させて保持する浮上治具110の中央には、半球状の凹部112が形成されている。そして、この凹部112の底部中央に、気体を噴出させる気体噴出口113aが開口していて、気体流通孔113から供給された気体が、この気体噴出口113aから噴出するようになっている。
【0006】
浮上治具110は中央で二つに分割されている。二分割された浮上治具110の一方を構成する第一の浮上治具部分111aは、軸114aによって図8の時計回り方向に回動自在で、浮上治具110の他方を構成する第二の浮上治具部分111bは、軸114bによって図8の反時計回り方向に回動自在である。
したがって、プレス成形用の成形金型51に、加熱・溶融したガラス素材Pを受け渡す際には、図8(b)に示すように、軸114a,114bを中心に第一の浮上治具部分111a及び第二の浮上治具部分111bを回動させて浮上治具110を開き、第一の浮上治具部分111aと第二の浮上治具部分111bとの隙間から、ガラス素材Pを成形金型51まで落下させる。
なお、特許文献1には、第一の浮上治具部分と第二の浮上治具部分とを互いに離間,接近する方向に直線的に移動させて開閉を行い、ガラス素材Pを成形金型に落下させる浮上治具も開示されている。
【0007】
図9は、特許文献2に記載されたガラスプリフォームの浮上搬送装置の構成の説明図で、左右に分割可能な第一のアーム131a及び第二のアーム131bの先部に、分割可能な二つの浮上治具部分(第一の浮上治具部分121a及び第二の浮上治具部分121b)からなる浮上治具120が一列に複数個(図示する例では六個)設けられている。
そして、第一のアーム131a及び第二のアーム131bが左右に開くことで、第一の浮上治具部分121a及び第二の浮上治具部分121bが離間し、各浮上治具120で浮上・保持されていたガラスプリフォーム(ガラス素材)Pが、成型金型に落下して受け渡されるようになっている。
【0008】
これらの特許文献1,2に記載の技術によれば、非接触状態で素材を成形金型まで搬送して受け渡すため、表面欠陥の無い、高い面精度のガラス成形体を得ることができるという利点がある。
また、特に特許文献2に記載の浮上搬送装置は、一度に複数個のガラス素材Pを搬送して成形金型に受け渡すことができ、一回のプレス成形で複数個のレンズを成形することができるので、生産性を高めることができるという利点を有している。
【0009】
しかし、上記の特許文献1,2に記載の技術には以下のような問題点がある。
▲1▼ 浮上治具110,120を開閉可能に分割形成しなければならず、浮上治具110,120の構成が複雑になるばかりか、浮上治具110,120を開閉させるための機構が必要となって、保持搬送装置の構成が複雑化する。
▲2▼ 浮上治具110,120を開くタイミングと素材を浮上保持するための気流を停止させるタイミングとが適切でないと、ガラス素材Pを成形金型Mに受け渡す際に、浮上治具110,120にガラス素材Pが接触し、表面に傷が付くおそれがある。
また、成形金型51に落下するガラス素材Pの落下方向が、残留気流により不安定になる。そのため、浮上治具110,120を開くタイミングと浮上保持のための気流を停止させるタイミングとを、予め精密に設定しておく必要がある。
【0010】
▲3▼ 浮上治具110,120を開くタイミングと浮上保持のための気流を停止させるタイミングとが適切でなく、開いた浮上治具110,120の間にガラス素材Pが挟まれると、ガラス素材Pが浮上治具110,120に融着してしまうことがある。この場合、融着したガラス素材Pを除去するには、プレス成形機の稼働を停止させなければならず、生産性が低下する。
▲4▼ 特許文献2に記載の浮上搬送装置においては、可能な限り簡単な機構で、かつ、単一の開閉機構によって複数の浮上治具120を同時に開閉させるために、浮上治具120を直線上に配置している。そのため、これら浮上治具120から素材Pを受け取る成形金型も直線上に配置しなければならず、プレス成形機の設計上の自由度がきわめて制限される。
【0011】
▲5▼ また、浮上治具120を直線上に配置すると、素材Pを加熱する際に加熱むらが生じる。これを、図10を参照しながら説明する。図10は、素材を供給する浮上治具120に供給する供給準備室41から、アーム130を回動させて素材加熱装置42に素材を搬入した状態を示すものである。図示するように、一列に配列された複数の浮上治具120が、素材加熱装置42内で幅方向に広く分散するため、素材加熱装置42の中央付近に位置する素材Pと、両端付近に位置する素材Pとで加熱条件にばらつきが生じる。このような加熱条件に相違による温度むらは、特に、肉厚や面精度において均一な品質が要求される高精度の光学レンズの成形に悪影響を与える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を一挙に解決するためになされたもので、素材を保持して成形金型まで搬送する保持搬送装置の構成を簡素にすることができ、成形金型に素材を受け渡す際に複雑なタイミングの設定が不要で、安定的かつ確実に素材を成形金型に落下させて受け渡すことができ、複数個の素材を同時に搬送して成形金型に受け渡す場合にも、浮上治具の任意配置が可能でプレス成形機の設計の自由度を高めることができるプレス成形用素材の保持搬送装置、この保持搬送装置を用いたプレス成形機及びプレス成形体の成形方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を達成するための手段】
本発明の発明者は、素材を浮上,保持した状態から、浮上治具を開閉させることなく、気流を停止させるだけで素材を落下させて成形金型に受け渡すことができれば、上記の目的を達成できることに着目し、鋭意研究を重ねた結果本発明を完成した。
具体的には、プレス成形用の保持搬送装置に関する発明は、プレス成形用の素材を浮上させた状態で保持して搬送する保持搬送装置において、前記素材が通過できる内径の貫通孔と、この貫通孔の内周面に形成され、前記貫通孔内に気体を噴出させて上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口とを有する筒状の浮上治具と、この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを有する構成としてある。
【0014】
この構成によれば、貫通孔内で発生させた気流によって、素材を浮上・保持させることができる。そして、成形金型に受け渡す際には、成形金型を構成する下型の上方で気流を停止させることで、前記貫通孔をとおして、素材を成形金型に落下・供給することが可能である。
そのため、浮上治具を分割型にして開閉させる必要がなく、気流を停止させるだけで素材を成形金型に受け渡すことができる。
【0015】
本発明においては、前記気体噴出口から噴出させる気体の量を調整する流量調整手段を設けてもよい。この流量調整手段によって、素材の大きさや密度の違いに応じて、気流の強さを変化させることができる。気流調整手段としては、例えば、気体が流れる気体流通孔の有効断面積を変化させて、気体の流量を調整する、絞り弁等の調整弁を用いることができる。
【0016】
また、本発明は、前記貫通孔の内周面を、上方に向かうほど拡径するテーパ状に形成した構成としてある。
このように、貫通孔の内周面をテーパ状に形成することで、素材を安定的に浮上・保持することができる。
この場合、前記内周面のテーパ角度は、前記貫通孔の軸線に対して、1°〜10°の範囲内とすることが好ましい。
【0017】
また、前記気体噴出口からの気体の噴出角度を、前記貫通孔の軸線の軸線に対して、30°〜60°の範囲内としてもよい。気体噴出口からの気体の噴出角度をこの範囲内とすることで、安定的に素材を浮上・保持することができる。
【0018】
さらに、浮上治具は、保持搬送装置を構成する搬送アーム上に、複数設けてもよい。
これにより、一度に複数個の素材を搬送して、複数の成形金型に受け渡すことができ、生産性を向上させることができる。本発明の保持搬送装置の浮上治具は、開閉機構が不要であるので、前記搬送アームに自由に配置することができる。そのため、プレス成形機の設計の自由度を高めることができる。
この場合は、前記浮上治具を、前記搬送アームにマトリクス状又は円形状に配置することで、素材加熱装置内で素材を加熱する際にも、素材を温度むらなく均一に加熱することができる。
【0019】
本発明のプレス成形機は、上記構成の保持搬送装置を用いたものである。具体的には、加熱・軟化させた素材をプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形機において、対向する面に成形部が形成された上下一対の成形金型と、前記素材を保持搬送して前記成形金型に供給する保持搬送装置とを有し、前記保持搬送装置は、前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具と、この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを備える構成としてある。
【0020】
また、本発明のプレス成形機は、前記成形金型を所定温度に加熱する金型加熱手段と、前記素材を所定温度に加熱する素材加熱手段とをさらに備え、前記保持搬送装置は、前記素材を保持して前記素材加熱手段まで搬送するとともに、保持した前記素材を前記素材加熱手段により所定温度まで加熱させ、加熱された前記素材を前記金型加熱手段によって加熱された前記成形金型まで搬送するように構成してもよい。
本発明に用いる保持搬送装置は、浮上治具を開閉させる機構が不要であるので、複数の浮上治具を任意の配置とすることができ、素材加熱手段で浮上治具に浮上・保持された複数の素材を加熱する際にも、均一に加熱することができる。また、成形金型も、浮上治具の配置に合わせて配置することで、むらなく加熱することができ、プレス成形体の品質を均一にすることができる。
【0021】
本発明のプレス成形体の成形方法は、プレス成形用の素材を、対向する面に成形部を有する上下一対の成形金型でプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形方法において、前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具を有する保持搬送装置を準備し、前記気体噴出口部から気体を噴出させて、前記貫通孔に上向きの気流を発生させた後、前記浮上治具に前記素材を供給し、前記気流によって前記貫通孔内で素材を浮上・保持させた状態で、前記浮上治具とともに前記素材を前記成形金型の下型の上方まで搬送し、前記素材が下型の真上に位置したときに、前記気流を停止させ、前記貫通孔を通過させて前記素材を前記浮上治具から前記下型に受け渡し、前記成形金型の上型と下型との型閉めを行うことによって、前記素材のプレス成形を行うものである。
【0022】
この場合、前記素材を所定温度まで加熱する素材加熱手段を準備し、前記浮上治具の貫通孔内に前記素材を浮上・保持させて前記素材加熱手段まで搬送し、前記浮上治具で前記素材を浮上・保持した状態で、前記素材加熱手段により前記素材を所定温度まで加熱し、前記素材加熱手段で加熱された前記素材を、前記浮上治具で浮上・保持した状態で前記成形金型まで搬送するようにすることもできる。
【0023】
また、本発明は、前記素材を予め所定温度まで加熱、軟化させたのち、前記浮上治具に供給して、前記成形金型まで搬送するようにしてもよいし、前記浮上治具に前記素材を供給するのに先立ち、前記浮上治具を予備加熱するようにしてもよい。
さらに、本発明においては、前記素材としてガラス素材を用い、粘度109ポアズ未満に相当する温度に加熱軟化させるようにしてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明では、成形用の素材としてガラスを用い、光学素子であるレンズを成形するものとして説明するが、高度の面精度、形状精度が求められる成形体であれば、金属やプラスチックなど他の素材に適用してもよく、かつ、成形体もレンズに限らず、回析格子など他のものであってもよい。また、本発明においてプレス成形とは、金型を用いて押圧成形するものの総称である。
【0025】
[アーム及び浮上治具の説明]
図1は、本発明の保持搬送装置の一実施形態にかかり、保持搬送装置を構成する浮上治具の一部を破断した斜視図、図2は、図1のI−I方向断面図である。
浮上治具10は、保持搬送装置を構成するアーム31の先端に設けられている。アーム31は、回転シリンダや直動シリンダ等の駆動部に取り付けることで、浮上治具10を回動及び/又は直線方向に移動させることができる。
浮上治具10の中央には、素材Pの外径より大きい内径を有する貫通孔11が、鉛直上下方向に形成されている。浮上治具10は、保持搬送装置のアーム31の先端に貫通形成された貫通孔31aと貫通孔11とが同心状になるようにアーム31に取り付けられる。そして、浮上治具10の貫通孔11及びアーム31の貫通孔31aを通過して、素材Pが落下できるようになっている。
【0026】
また、貫通孔11は、上部開口縁をテーパ面11aとして形成するとともに、貫通孔11の内周面11bに、気体を上向きに噴出させる気体噴出口13aを、均等間隔で複数(この実施形態では四個〜八個が好ましい)形成してある。アーム31の内部の浮上治具10の周囲には、環状の連通孔13bが形成され、この連通孔13bと気体噴出口13aとが気体流通孔13によって連通されている。アーム31の内部には、保持搬送装置の外部に設けられた図示しない気体供給装置に連結される気体供給管15が設けられている。この気体供給管15は、アーム31の長手方向に延び、連通孔13bに連通している。これにより、前記気体供給装置から供給された気体が、気体供給管15,連通孔13b及び気体流通孔13を通って、気体噴出口13aから上向きに吹き出され、貫通孔11内に上向きの気流を発生させる。
【0027】
なお、気体の供給及び停止の制御は、図示しない公知の制御装置によって行うことができる。そして、前記制御装置に、予め気体の供給開始タイミング及び停止タイミングを設定しておくことで、適切なタイミングで貫通孔11に気体の供給を行って素材Pを浮上・保持させるとともに、適切なタイミングで貫通孔11への気体の供給を停止させることによって、素材Pを成形金型に受け渡すことができる。
【0028】
気体流通孔13及び気体噴出口13aは、気体の噴出角度θが、貫通孔11の軸線に対して、10°〜80°の範囲内になるように形成する。この場合、30°〜60°の範囲内とすることが好ましく、特に40°〜50°の範囲内とすることが好ましい。このようにすることによって、素材Pの浮上・保持をより安定的に行うことができる。
また、気体噴出口13aの開口径は、貫通孔11の内径や素材Pの形状、大きさ(外径)、重量等の条件を考慮して、安定的に素材Pを浮上・保持することができる径、例えば0.1mm〜数mm程度とする。
【0029】
[浮上治具の他の実施形態]
図3は、浮上治具の他の実施形態を示す断面図である。
この実施形態における浮上治具20の貫通孔21の内周面21bは、下方から上方に向けて貫通孔21の内径全体が拡大するテーパ状に形成されている。
貫通孔21の内周面21b全体をテーパ状とすることで、素材Pをより安定的に浮上・保持することができる。特に、浮上治具20で素材Pを浮上・保持したまま、素材加熱装置によって素材Pを加熱する場合に、加熱による素材Pや浮上治具20の体積の変化や、素材Pの密度の変化があっても、安定した浮上状態を維持することができるという利点がある。
【0030】
テーパ状の内周面21bの傾斜角度は、素材Pを安定的に浮上・保持することができるものを選択するのが好ましく、貫通孔21の軸線に対して1°〜10°の範囲内とするのが好ましい。また、3°〜6°の範囲内であるのがさらに好ましい。
なお、浮上治具のさらに他の実施形態として、貫通孔の内周面をテーパ状とする代わりに、上記のテーパ角度と近似した傾斜を有する曲面状に形成しても良い。
【0031】
[気流の条件]
複数の気体噴出口13aから気体が噴出されることで貫通孔11,21内に発生した気流は、素材Pを浮上状態で保持する。前記気流が、素材Pを浮上状態で安定的に保持するための気流の条件を、図4を参照しながら説明する。
貫通孔11(21)内で発生した気流は、素材Pと貫通孔11(21)の内周面11b(21b)との隙間を通り、上方に流れる。このとき、この隙間によって、流路を絞られた気流は、素材を通過した後膨張して速度を増すことになる。そのため、素材Pの上方の圧力P2が素材Pの下方の圧力P1に比して小さくなり、P1>P2なる関係が成立する。
【0032】
ここで、貫通孔11(21)内で生じた気流による素材Pの浮力をFp、素材Pの最大断面積をApとすると、素材Pに働く浮力は、
Fp=(P1−P2)Ap
となる。
ここで、素材Pに作用する力の釣り合いを考えると、素材Pには、気流による浮力Fpと、素材Pの周囲のガス雰囲気による素材Pの浮力fとが上向きに作用し、重力が下向きに作用しているので、素材Pの質量をmとすると、
Fp+f=mg
なる関係が成り立つ(gは重力加速度)。
素材Pの体積をVp、素材Pの密度をρp、素材Pの周囲のガス雰囲気の密度をρとすると、
mg=Vp・ρp・g f=Vp・ρ・g
であるから、上記の式を書き換えて、
(P1−P2)Ap = Vp(ρp−ρ)g
となる。
また、素材Pの下方の気流の流速をU1、素材Pと貫通孔11(21)の内周面との隙間の気流の流速をU2、素材Pの直下の貫通孔11(21)の断面積をA1、前記隙間の断面積をA2とすると、ベルヌーイの定理により、
(U22−U12)/2=(P1−P2)/ρ
が成り立つ。
【0033】
ここで、気体の流量をQとすると、
U1=Q/A1、 U2=Q/A2 であるから、
となる。
したがって、この条件を満たす流量の気体を、気体噴出口13aから噴出させることで、素材Pが気流により浮上した状態で安定的に保持される。
【0034】
なお、前記した断面積A1,A2の値は、貫通孔21の内周面21bがテーパ状の場合には、素材Pの位置によって変化する。また、素材Pが加熱されると、膨張によって素材Pの断面積Ap及び密度ρpが変化する。この場合においても、上記式を満たす気体流量Qが与えられれば、安定的に浮上・保持及び搬送を行うことが可能となる。
【0035】
[アーム及び浮上治具の材質]
アーム31及び浮上治具10,20の材質は特に問わないが、加熱した素材Pを浮上・保持させた状態で搬送する場合や、素材加熱装置42で素材Pとともに加熱する場合には、耐熱性に優れたステンレス合金等の金属や、耐熱性に優れ、高温になっても容易に変形しないセラミックで形成するのが好ましい。
また、加熱された素材Pと加熱された浮上治具10,21及び加熱された浮上治具10,20と加熱されたアーム31とが、互いに、熱によって化学反応を生じさせないものであるのが好ましい。例えば、素材Pがガラスである場合は、浮上治具10,20の材質として、素材Pとの親和性が小さいカーボン等を選択するのが好ましい。
【0036】
[気体の種類]
浮上治具10,20の気体噴出口13aから噴出させる気体としては、特に制限は無いが、加熱したアームの酸化による劣化を防止するという観点から、非酸化性ガス(不活性ガス)であることが好ましい。例えば、窒素等又は窒素等を主成分とする気体であるとよい。また、素材Pの加熱時間を短縮するために、予備加熱した気体を使用することも有効である。
【0037】
[複数の浮上治具の配置例]
本発明の搬送保持装置においては、1つのアームの先端に複数の浮上治具を設けることが可能である。また、本発明における浮上治具は、分割型でないので開閉機構を必要とせず、複数の浮上治具を任意の形態、例えば、直線状,円形状又はマトリクス状に配置することが可能である。
図5は、複数の浮上治具をアームの先端に設ける場合の配置例を示す図である。
図5に示す例においては、アーム35の先端に形成された円形状の先端部35bに、均等間隔で、四つの浮上治具10を同心円状に配置している。
各浮上治具10に気体を供給する気体供給管15は、アーム35の基部35cから先端部35bに向けて延び、他の浮上治具10と干渉しないように、それぞれの浮上治具10に連通している。
【0038】
図6は、図5のアーム35を用いて、浮上治具10に浮上・保持させた素材Pを素材加熱装置42で加熱する様子を示したものである。
図5に示すように浮上治具10を配置したアーム35は、素材加熱装置42の加熱雰囲気中で、複数の素材Pを均一に加熱することができるという利点がある。また、成形金型の配置も浮上治具10の配置に合わせて円形状に配置してあるので、成形金型の予熱の条件も均一にすることが容易になり、プレス成形の条件を同一にして、成形体の品質のばらつきを抑制することができる。
【0039】
なお、本発明においては、図5に示すように単一のアーム35に複数の浮上治具10を設けた場合、全ての浮上治具10への気体の供給を同時に停止させることで、複数の素材Pを同時に成形金型に受け渡すことが可能であるが、一部の浮上治具10の気体供給停止のタイミングをずらすことで、成形金型への素材Pの供給タイミングをずらすことが可能である。そのため、本発明においては、アーム上の浮上治具の数及び/又は配置と、成形金型の数及び/又は配置とは必ずしも一致させる必要がなく、浮上治具を順次移動させながら、各々の成形金型に素材を落下・供給することも可能である。
【0040】
図7は、上記構成の保持搬送装置を用いたプレス成形機の構成を示す概略図である。
図7に示すプレス成形機は、球状のガラスプリフォーム(素材P)をプレスし、ガラスレンズを成形するもので、特許文献2に開示されたプレス成形機と基本構成は同じである。
なお、ガラスレンズを成形する場合、素材Pであるガラスプリフォームの材料としては、光学ガラスを用いる。光学ガラスの組成に特に制約はないが、成形温度の観点から、Tg590℃以下のものであるのが好ましい。
ガラスプリフォームは、所定量のガラスを冷間又は熱間で、球形又は扁平球形状等に形成する。例えば、直径10mmの凸レンズを成形する場合は、ガラスプリフォームとして球形のものを選択するのが好ましく、径は2〜10mmであることが好ましく、特に4〜8mmとすることが好ましい。
【0041】
図に示すように、光学レンズを成形するプレス成形機1は、素材Pを加熱・溶融する加熱室40と、この加熱室40に隣接して配置され、プレス成形によってガラスレンズを成形する成形室50と、加熱室40及び成形室50を連通状に連絡する通路60とを備えている。通路60の途中部位には、開閉バルブ61が設けられている。
【0042】
加熱室40、成形室50及び通路60は、ステンレス等の周囲壁やシーリング材によって気密性が保たれている。光学レンズを成形する際には、加熱室40、成形室50及び通路60の内部の空気が排気されて、窒素ガス又は窒素ガスと水素ガスの混合ガス(例えば、N2+0.02vol%H2)等の不活性ガスが充填される。
加熱室40には、外部から素材Pを加熱室40内へ供給するための供給準備室41と、素材Pを浮上状態で保持して搬送する保持搬送装置30と、素材Pを所定温度まで加熱する素材加熱装置42とが設けられている。
【0043】
素材Pの保持搬送装置30は、上記したように、アーム31と浮上治具10(又は20)とを有し、駆動部33の駆動によってアーム31を回転させ、浮上治具10(20)を、供給準備室41から素材加熱装置42、素材加熱装置42から通路60に対峙する位置まで順次移動させる。更に、保持搬送装置30は、通路60に対峙する位置から直線状に浮上治具10(20)を移動させ、通路60を挿通して、加熱室40から成形室50まで加熱軟化した素材Pを搬送する。
なお、素材加熱装置42には、上下に素材Pを加熱するためのヒータが設けられているが、この上下のヒータ間に温度差を設けることによって、素材Pの重量によるアーム31の撓みと、熱によるアーム31の反りとを修正して、ほぼ直線状にアーム31を保つことができる。
【0044】
成形室50には、所望の形状の光学レンズを成形するため成形金型51と、成形された光学レンズを成形金型51から搬出する搬出装置52と、光学レンズを成形室50から外部へ搬出するための取り出し準備室53とが設けられている。
成形金型51の周囲には、これを加熱するための型加熱装置51aが設けられている。そして、素材Pのプレスに先立って、成形金型51をこの型加熱装置51aによって加熱し、所定の温度に維持する。
【0045】
プレス時における成形金型の温度は、予熱された素材Pの温度とほぼ同じであっても、または、それよりも低いものであっても良い。プレス成形のサイクルタイムを短くするためには、成形金型の予熱温度を、予熱された素材Pの温度より低くすることが好ましい。例えば、素材Pの予熱温度は、ガラス粘度で、109ポアズ未満の粘度に相当する温度、好ましくは、105.5〜108ポアズに相当する温度が適用できる。成形金型の予熱温度は、素材Pの予熱温度以下とすることができる。好ましくは、素材Pを形成するガラスの粘度において、109〜1012ポアズに相当する温度とするのがよい。
【0046】
[実施例]
上記態様において説明した保持搬送装置30及びプレス成形機1を用いて、ガラスレンズを成形した。浮上治具としては、図3に示すようなテーパ状の内周面を有する貫通孔が形成されたものを用いた。なお、内周面のテーパの角度は、4度とした。
【0047】
[プリフォーム]
素材Pとしてガラスプリフォームを用い、外径7.2mmの、平凸形状のレンズを成形した。
ガラスプリフォームは、M−BaCD5N(Tg515℃、Ts545℃)、重量は283.6mg、φ5.8mmの球形のものを用いた。
【0048】
[成形金型]
成形金型51は、基盤材料として炭化ケイ素(SiC)焼結体を用い、研削によりプレス成形用の成形金型形状に加工後、成形面側にCVD法により炭化ケイ素膜を形成して、さらに研削研磨して成形するガラス成型体に対応する形状に鏡面仕上げして成形金型基盤を得た。
また、成形金型基盤の炭化ケイ素膜上に、i−カーボン(ダイヤモンドライクカーボン)膜をイオンプレーティング法により500Å成膜して成形面とした。上型及び下型は、同軸上にセットされ、プレス成形の際は、上型と下型とこれをガイドする案内型から成形金型51が構成されている。
下型及び上型の加熱は、胴型外周に取り付けた型加熱装置51aで行い、成形金型51を支持する支持台の下部より、下型内に挿入した型測温用熱電対にて制御されるようにした。さらに胴型の温度は、胴型内に挿入した胴型測温用熱電対によって測温されるようにした。
【0049】
[浮上治具]
保持搬送装置30のアーム31の先端に、グラッシーカーボン(高密度カーボンを処理)で形成された浮上治具20を一個設けた。
【0050】
[加熱軟化及びプレス工程]
加熱室40及び成形室50内を真空排気した後、98%N2+2%H2ガスを導入し、同ガス雰囲気とした。次に型加熱装置51aによって、型測温用熱電対で測温した上型及び下型の温度が、ガラスプリフォームの粘度が1×109ポアズに相当する570℃になるまで加熱し、同温度で保持した。
【0051】
一方、予め素材加熱装置42でアーム及び浮上治具を約550℃に予備加熱しておき、素材供給準備室41から搬入されたプリフォームPを、予め貫通孔21内に気流を発生させておいた浮上治具20に供給した。貫通孔21内に噴出させる気体として、窒素(窒素98%、水素2%)を用いた。予備加熱中に浮上治具20には、ガス圧力:2kgf/cm2にて、気体流量:1.4 l/minでガスを流しておいた。浮上治具は、グラッシーカーボン(高密度カーボンを処理)を用いた。浮上治具20の各部の条件は、以下のとおりである。
【0052】
浮上治具内径:8mm、内周面のテーパ角度 4度
浮上治具ガス噴出穴角度:40°
浮上治具ガス噴出穴径:0.2mm
浮上治具ガス噴出穴数:4
【0053】
供給後、プリフォームPは浮上治具20の貫通孔21内で安定的に浮上して補保持された。次いで、駆動体33を駆動させてアーム31を回転させ、浮上治具20を素材加熱装置42に移動させて、プリフォームPの加熱を行った。プリフォームPの加熱は、610℃(ガラスの粘度で5×107ポアズ相当)になるまで行い、その後ただちに、アーム31を更に回転・直進させて、成形室50の成形金型51の下型上にプリフォームPを搬送した。
【0054】
成形金型51の軸線が浮上治具20の貫通孔21の軸線と同一になったときに電磁弁を止めて、浮上治具20への気体の供給を停止した。これにより、プリフォームPは、成形金型51の下型上に落下した。このとき、浮上治具20の下端部分が、プリフォームPの外周面に対して適度なクリアランスを保ち、プリフォームPと下型とのセッティングズレ量が最小限となるようなガイドの役目を果たしていた。
【0055】
こののち、下型を下降させ、浮上治具20とプリフォームPとが接触しないようにして、型閉めの際にアーム31と上型とが干渉しない位置まで、アーム31を退避させた。その後、下型を上型まで上昇させて型閉めを行い、プリフォームPを10秒間、110kg/cm2の圧力にて加圧成形して所定の肉厚とした後、圧力を一気に50kg/cm2とした。また、これと同時に、この圧力で保持したガラス成形体及び成形金型51を、型加熱装置51aの電源を遮断することで放冷した。そして、型測温用熱電対で測温した上型及び下型の温度が、Tg以下の温度になったところで、成形金型51の型開きを行って、ガラス成形体を離型し取り出した。
【0056】
上記の手順を繰り返して、連続して200個のプリフォームPの保持搬送とプレス成形によるガラスレンズの成形を行った。このようにして得られたガラスレンズの性能を、干渉計による面精度と、目視外観及び実体顕微鏡による表面状態について評価した。その結果は、いずれのレンズも良好なものであった。
なお、アーム上の浮上治具20の数を複数にし、同数の成形金型に同時に落下供給を行うようにしたところ、一回のプレス成形で複数個の成形体を成形することができ、さらに生産効率が高くなった。
【0057】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態によりなんら限定されるものではない。
例えば、本発明は光学レンズの成形に限らず、他のあらゆる成形体の成形に適用が可能である。また、浮上・保持させる素材もガラスに限られず、樹脂や金属であってもよい。
さらに、成形体をプレス成形するプレス成形機の構成は上記のものに限られず、本発明の保持搬送部材を用いて所定形状の成形体を成形することができるものであれば、各種の形態に変更が可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱軟化したプリフォーム等の素材を搬送部材と非接触状態で安定的に搬送することが可能である。そして、プリフォームを成形金型に供給するための開閉装置が不要で、保持搬送装置の構成を簡素なものにすることができる。
また、複数の浮上治具を任意に配置することができるので、保持搬送装置やプレス成形機の設計の自由度が増し、さらに、プリフォーム等の素材の加熱や成形金型の加熱条件を均一化にして、品質にむらがなく高品質のプレス成形体を得ることができる。
【0059】
さらに、成形金型への素材の供給を安定的に行うことができ、素材の挟みこみ等の不都合も生じず、プレス成形機の稼働率を向上させて生産性を高めることができる。
また、本発明の保持搬送部材は、そのまま大容量のヒータによる加熱雰囲気中に移動することができるため、加熱効率が高く、成形のサイクルタイムを短縮して生産性を高めることができる。
このように本発明によれば、高品質の成形体を高い生産性で成形することができ、高度の面精度が要求される光学素子の生産に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保持搬送装置の一実施形態にかかり、保持搬送装置を構成する浮上治具の一部を破断した斜視図である。
【図2】図1のI−I方向断面図である。
【図3】浮上治具の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】素材を浮上状態で保持するための気流の条件を説明するための図である。
【図5】複数の浮上治具をアームの先端に設ける場合の配置例を示す図である。
【図6】図5の保持搬送装置を用いて、素材を素材加熱装置で加熱する状態を示した概略図である。
【図7】本発明のプレス成形機の一実施形態を示す概略図である。
【図8】特許文献1に開示された浮上治具の構成を説明する図である。
【図9】特許文献2に記載されたガラスプリフォームの浮上搬送装置の構成の説明図である。
【図10】素材加熱装置に素材を搬入した状態を示す図である。
【符号の説明】
10,20 浮上治具
11,21 貫通孔
11b,21b 内周面
13 気体流通孔
13a 気体噴出口
13b 連通孔
15 気体供給管
P 素材
Claims (8)
- プレス成形用の素材を浮上させた状態で保持して搬送する保持搬送装置において、
前記素材が通過できる内径の貫通孔と、この貫通孔の内周面に形成され、前記貫通孔内に気体を噴出させて上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口とを有する筒状の浮上治具と、
この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、
この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするプレス成形用素材の保持搬送装置。 - 前記貫通孔の内周面を、上方に向かうほど拡径するテーパ状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形用素材の保持搬送装置。
- 加熱・軟化させた素材をプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形機において、
対向する面に成形部が形成された上下一対の成形金型と、
前記素材を保持搬送して前記成形金型に供給する保持搬送装置とを有し、
前記保持搬送装置は、前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具と、この浮上治具に前記気体を供給する気体供給手段と、この気体供給手段による気体の供給の開始及び停止を制御する制御手段とを備えること、
を特徴とするプレス成形機。 - 前記成形金型を所定温度に加熱する金型加熱手段と、前記素材を所定温度に加熱する素材加熱手段とをさらに備え、
前記保持搬送装置は、前記素材を保持して前記素材加熱手段まで搬送するとともに、保持した前記素材を前記素材加熱手段により所定温度まで加熱させ、加熱された前記素材を前記金型加熱手段によって加熱された前記成形金型まで搬送すること、
を特徴とする請求項3に記載のプレス成形機。 - プレス成形用の素材を、対向する面に成形部を有する上下一対の成形金型でプレス成形して、所定形状の成形体を成形するプレス成形方法において、
前記素材が通過できる内径の貫通孔を有し、この貫通孔内で上向きの気流を生じさせる複数の気体噴出口が前記貫通孔の内周面に形成された筒状の浮上治具を有する保持搬送装置を準備し、
前記気体噴出口部から気体を噴出させて、前記貫通孔に上向きの気流を発生させた後、前記浮上治具に前記素材を供給し、
前記気流によって前記貫通孔内で素材を浮上・保持させた状態で、前記浮上治具とともに前記素材を前記成形金型の下型の上方まで搬送し、
前記素材が下型の真上に位置したときに、前記気流を停止させ、前記貫通孔を通過させて前記素材を前記浮上治具から前記下型に受け渡し、
前記成形金型の上型と下型との型閉めを行うことによって、前記素材のプレス成形を行うこと
を特徴とするプレス成形体の成形方法。 - 前記素材を所定温度まで加熱する素材加熱手段を準備し、
前記浮上治具の貫通孔内に前記素材を浮上・保持させて前記素材加熱手段まで搬送し、
前記浮上治具で前記素材を浮上・保持した状態で、前記素材加熱手段により前記素材を所定温度まで加熱し、
前記素材加熱手段で加熱された前記素材を、前記浮上治具で浮上・保持した状態で前記成形金型まで搬送すること、
を特徴とする請求項5に記載のプレス成形体の成形方法。 - 前記素材を予め所定温度まで加熱、軟化させたのち、前記浮上治具に供給して、前記成形金型まで搬送することを特徴とする請求項5に記載のプレス成形体の成形方法。
- 前記素材がガラス素材であり、粘度109ポアズ未満に相当する温度に加熱軟化させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のプレス成形体の成形方法。
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