JP2004195965A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【解決課題】クロストークに起因する各インクチャネルからのインク飛翔速度の変化を補償し、高速で安定した駆動を可能とし、鮮明な画像形成ができるようにする。
【解決手段】少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁のせん断変形によりインクチャネル内の圧力を変化させてインクを吐出せしめるインクジェット記録ヘッドのインクチャネル内の底面を圧電物質により構成し、複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行ない、且つ、側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTC、電極に印加する電圧による電界の漏れによる1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTEとした時、|CTC+CTE|≦10(%)の条件を満足する。
【選択図】 図3
【解決手段】少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁のせん断変形によりインクチャネル内の圧力を変化させてインクを吐出せしめるインクジェット記録ヘッドのインクチャネル内の底面を圧電物質により構成し、複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行ない、且つ、側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTC、電極に印加する電圧による電界の漏れによる1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTEとした時、|CTC+CTE|≦10(%)の条件を満足する。
【選択図】 図3
Description
本発明はインクジェット記録ヘッドに関し、詳しくは、駆動時に発生するクロストークに起因する各チャネルからのインク飛翔速度の変化を補償して、高速で安定した駆動が可能なインクジェット記録ヘッドに関する。
インクジェット記録ヘッドには種々の方式が提案されているが、その一つにせん断モードインクジェット記録ヘッドがある(特許文献1)。
図1は平坦部と曲線部とからなるインクチャネルを有するインクジェット記録ヘッドの一例を示す断面図、図2は図1におけるノズル近傍のインクチャネルが平坦な部分である(ii)−(ii)線に沿う断面図であり、1はインクチューブ、2はノズル形成部材、3はノズル、4はインクチャネル、5は側壁、6はカバープレート、7はインク供給口、8は電極、9は基板である。そして、図2に示すように、インクチャネル4は側壁5とカバープレート6及び基板9によって形成されている。なお、ここに示すインクジェット記録ヘッドの形状は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
このせん断モードインクジェット記録ヘッドでは、図2の断面図に示すように、カバープレート6と基板9の間に複数の側壁5で隔てられたインクチャネル4が多数構成されている。図2では多数のインクチャネル4の一部である3本が示されている。インクチャネル4の一端はノズル形成部材2に形成されたノズル3につながり、インクチャネル4はインク供給口7を経て、インクチューブ1によって図示されていないインクタンクに接続されている。そして、各インクチャネル4内の側壁5には両側壁5の上方から基板9の底面に亘って繋がる電極8a、8b、8cが密着形成されている。電極8a、8b、8cは、図示のようにインクチャネル4に臨む内側の対向する電極を共通に接続し、該対向する電極に印字パルスを印加すると、以下に述べる動作によってインク滴をノズル3から飛翔する。
側壁5は、図2(a)の矢印で示すように、接合部を挟んで分極方向が異なる2個の圧電物質からなる側壁5Aと5Bとから構成されていて、電極8a、8b、8cのいずれにも印字パルスが印加されない時は、側壁5A、5Bは変形しないが、図2(b)に示すように電極8aに印字パルスが印加されると共に電極8b、8cを接地すると、圧電物質の分極方向に直角な方向の電界が生じ、側壁5A、5Bの接合面にズリ変形を生じて、それによりインクの圧力が変化することによってインクチャネル4を満たしているインクの一部をノズル3から飛翔する。また、印字パルスの極性を変え、電界の向きを変えることによって、側壁の変形する向きを変えることができる。以下、インクチャネル4に臨む内側の共通に接続された対向電極にパルスを印加する動作を「チャネルに印加する」と表現する。図2ではノズルは省略してある。
この多チャネルのせん断モードインクジェット記録ヘッドを駆動するには、通常、インクチャネル4を3分割し、これらを時分割で順次行う。以下、本明細書では、このような時分割のことを「周期」といい、n分割したインクチャネルの時分割のことを「n周期」と表現する場合がある。図3に示す例では、インクジェットヘッドはインクチャネルがA1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、C3の9チャネルで構成されているとして説明する。また、印字パルスのタイムチャートを図4に示す。図4は、縦には各インクチャネルに加えられるパルス波形を、また、横には各周期(時間)をとってあるが、時間やパルス電圧等のスケールは正確に対応していない。
図3(a)のように印字パルスPa(図4に示す)を初めの第1周期T1aではA組、即ちA1、A2、A3の3チャネルに同時に印加し駆動すると、これらA1、A2、A3の3チャネルの側壁が同時に変化し、各ノズルからインク滴を飛翔する。以下、同様に図3(b)、図3(c)に示すように第2周期T1bではB組、即ちB1、B2、B3の3チャネルに同時に印字パルスPb(図4に示す)を印加し、第3周期T1cではC組、即ちC1、C2、C3の3チャネルに同時パルスPc(図4に示す)を印加し、駆動すると各側壁が逐次変形し、T1a、T1b、T1cの3周期で一巡して、9チャネル全てが駆動され、ノズルからインク滴を飛翔することになる。
図3及び図4から明らかなように、9本のインクチャネルは配列順に、A組、B組、C組のそれぞれのインクチャネルを1本ずつ含む3本を単位とする単位U1、U2、U3に分けられ、周期T1a、T1b、T1cを1駆動サイクルとする駆動サイクルで駆動される。この駆動サイクルが繰り返されることによって、画像が形成される。図3、図4の例では3本のインクチャネルを1単位として構成されているが、一般にn本(n≧2)のインクチャネルを1単位とし、n周期で1駆動サイクルを構成して駆動する駆動方法が採られる。
勿論、前記駆動方法において、実際に画像形成する場合には上記のように全てのインクチャネルに印字パルスが印加されるとは限らず、画像信号に応じて駆動されないインクチャネルもある。
特開平2−150355号公報
以上説明したように、複数のインクチャネルが多数並んだせん断モードインクジェット記録ヘッドを3周期で駆動すると、側壁5が変形し圧力の一部が伝達して他のインクチャネルに影響し、インクチャネルの間でクロストークを生じ、インク滴の飛翔速度を変化させる結果となり、画質に望ましくない影響が出ることが判明した。
上記のように第1周期T1aでは、A組であるA1、A2、A3の3チャネルが同時に駆動される。この場合、対称性によりB1、C1、B2、C2・・・は、A1、A2の半分で符号が反対の圧力変化が発生する。これに対し、A2単独駆動の場合は、C1、B1、A1、B2、C2、A3・・・まで圧力変化を生じさせる。その結果、同時駆動の場合の方が、A2に発生する圧力が大きくなり、インク滴が高速で飛翔し、インク滴の大きさや形状も変わることになる。
この現象は、インクチャネルA1、インクチャネルA3についても、図では省略されているインクチャネルA1の左側にあるインクチャネルA0、インクチャネルA3の右側にあるインクチャネルA4の影響を相互に受け、所謂クロストークを生じるが、このように全てのA組のインクチャネルが駆動される場合には、両端のインクチャネルを除いて全てのA組のインクチャネルからのインク滴は速い速度で飛翔する。しかし、図5に示すように、インクチャネルA2のみが駆動される場合には、インクチャネルA2からのインク飛翔は同時駆動の場合より遅い速度となり、インク滴の体積が変化したりして画像形成上問題点がある。実際には画像信号のパターンによって個々のインクチャネルが受けるクロストークの影響は異なり、ノズルから飛翔するインク滴の速度や体積も個々の状況によって異なる。
また、このクロストークが起こるインクチャネルの範囲は、インクチャネルを構成している材料の剛性にもよるが、通常数チャネル先までも伝達する。そこで、同時に動作するインクチャネルの間隔を大きくし、駆動する周期を増やし、例えば6周期で駆動すれば良いが、そうすると全体の画像形成時間が遅くなる等の問題がある。
本発明は、駆動時に発生するクロストークによる他チャネルへの影響の問題を解決するものであり、クロストークに起因する各インクチャネルからのインク飛翔速度の変化を補償し、高速で安定した駆動を可能とし、鮮明な画像形成ができるインクジェット記録ヘッドを提供することを課題とする。
本発明者らは、クロストークの原因について鋭意研究の結果、クロストークの原因として以下の2つが支配的であること、これらのクロストークの飛翔速度への影響が互いに逆方向であることを見出した。そして、これらのクロストークの差を所定範囲に収めること、すなわちお互いにキャンセルさせることで、クロストークを減少させることができることを見出し、本発明に至った。
(1)側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による1つの組のインクチャネル間のクロストーク(以下、CTCという。)
(2)電極に印加する電圧による電界の漏れによる1つの組のインクチャネル間のクロストーク(以下、CTEという。)
すなわち、上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(2)電極に印加する電圧による電界の漏れによる1つの組のインクチャネル間のクロストーク(以下、CTEという。)
すなわち、上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁により隔てられた複数のインクチャネルを有し、側壁に形成された電極に印加する電圧による側壁のせん断変形によりインクチャネル内の圧力を変化させて、インクチャネル内のインクを吐出せしめるインクジェット記録ヘッドであって、前記インクチャネル内の底面は圧電物質により構成されており、複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行ない、且つ、前記側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTC、前記電極に印加する電圧による電界の漏れによる前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTEとした時、|CTC+CTE|≦10(%)の条件を満足することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
2.前記側壁は、厚さ方向に分極された圧電物質を接合部を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように積層されて形成されることを特徴とする1記載のインクジェット記録ヘッド。
3.前記電極は、前記インクチャネルの幅をaとした場合、該インクチャネル内の底面から少なくともa/2の高さ範囲に存在していることを特徴とする1又は2記載のインクジェット記録ヘッド。
4.前記電極がめっき法により形成されたことを特徴とする1、2又は3記載のインクジェット記録ヘッド。
5.前記インクチャネルの幅が100μm以下、インクチャネルの深さが300μm以下であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
6.前記インクチャネルは、少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁により隔てられた複数の溝が形成された基板と、側壁の上面に接着されるカバープレートにより形成され、該インクチャネル内の底面の圧電物質の厚さが10μm以上であることを特徴とする1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
7.前記複数のインクチャネルの密度が150dpi以上であることを特徴とする1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
8.前記複数のインクチャネルの密度が300dpi以上であることを特徴とする1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
9.前記インクチャネルの密度(dpi)と前記インクチャネルの深さ(μm)とが以下の関係になることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
インクチャネルの密度(dpi)×インクチャネルの深さ(μm)≦5.5×104
10.前記インクが水系インクであることを特徴とする1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
10.前記インクが水系インクであることを特徴とする1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
11.前記複数のインクチャネルのうち間に2本のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを3つの組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行なうことを特徴とする1〜10のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
本発明によれば、駆動時に発生するクロストークによる他チャネルへの影響の問題を解決し、クロストークに起因する各インクチャネルからのインク飛翔速度の変化を補償して、高速で安定した駆動が可能となり、鮮明な画像形成ができるインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドは、少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁により隔てられた複数のインクチャネルを有し、側壁の側面に形成された電極に印加する電圧による側壁のせん断変形によりインクチャネル内の圧力を変化させて、インクチャネル内のインクを吐出せしめるインクジェット記録ヘッドであって、前記インクチャネル内の底面は圧電物質により構成されており、複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行ない、且つ、前記側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTC、前記電極に印加する電圧による電界の漏れによる前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTEとした時、以下の条件を満足することを特徴とする。
|CTC+CTE|≦10 (%)
ここで、まず側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による1つの組のインクチャネル間のクロストークである上記CTCについて詳細に説明する。
前述したように、第1周期T1aではA組であるA1、A2、A3の3つのインクチャネルが同時に駆動される。この場合、対称性によりB1、C1、B2、C2・・・は、A1、A2の半分で符号が反対の圧力変化が発生する。これに対し、A2単独駆動の場合は、C1、B1、A1、B2、C2、A3・・・まで圧力変化を生じさせる。その結果、同時駆動の場合の方が、A2に発生する圧力が大きくなり、インク滴が高速で飛翔し、インク滴の大きさや形状も変わることになる。
この現象は、インクチャネルA1、インクチャネルA3についても、図では省略されているインクチャネルA1の左側にあるインクチャネルA0、インクチャネルA3の右側にあるインクチャネルA4の影響を相互に受け、所謂クロストークを生じるが、このように全てのA組のインクチャネルが駆動される場合には両端のインクチャネルを除いて全てのA組のインクチャネルからのインク滴は速い速度で飛翔する。しかし、図5に示すように、インクチャネルA2のみが駆動される場合には、インクチャネルA2からのインク飛翔は同時駆動の場合より遅い速度となる。
一方、電極に印加する電圧による電界の漏れによる1つの組のインクチャネル間のクロストークである上記CTEについては、側壁が分極方向の異なる2個の圧電物質からなる場合、電極がインクチャネル内の底面近くまで存在するので、この底面が圧電物質であると、電極に印加した電圧による電界の漏れが発生する。
例えば図5に示したように、インクチャネルA2のみが駆動される場合には、その駆動時に印加された電圧による電界の一部がインクチャネルA2の各側壁の電極から漏れることにより、インクチャネルA2の圧電物質からなる底面がインクチャネルA2内に向けて若干変形するように作用するため、このインクチャネルA2内からのインクの飛翔速度は速くなる。しかし、図3(a)に示したように、インクチャネルA1、A2、A3の3つのインクチャネルが同時に駆動される場合、インクチャネルA2に着目すると、インクチャネルA1、A3に印加された電界の一部が圧電物質からなる底面を通じてインクチャネルA2側に漏れる。このときインクチャネルA2も上記のように自身の電界の漏れを生じているが、インクチャネルA1、A3からの電界の漏れの影響によりインクチャネルA2自身の電界の漏れの影響は緩和されるように作用するため、このインクチャネルA2内からのインクの飛翔速度は遅くなる。
このように、CTCは一つのインクチャネルを単独駆動する場合に比べて、全インクチャネル駆動の方が速度が速くなり、CTEは一つのインクチャネルを単独駆動する場合に比べて、全インクチャネル駆動の方が速度が遅くなり、互いにインク滴の速度に対しては逆の影響となる。従って、CTCとCTEが前記条件を満足するとき、それぞれのキャンセル効果によりクロストークを低減させることができ、このクロストークに起因する各インクチャネルからのインク飛翔速度の変化を補償して、高速で安定した駆動を可能とし、鮮明な画像形成ができるインクジェット記録ヘッドとすることができる。|CTC+CTE|の値が10%を越えるようになると、キャンセル効果を生かすことができなくなる。より好ましくは|CTC+CTE|≦8%とすることである。
次に、CTCとCTEの測定方法と定義を説明する。前述の例では、全てのA組のインクチャネルが駆動される場合のA2チャンネルのインク滴の速度をV1、A2チャンネルのみが単独で駆動される場合のA2チャンネルのインク滴の速度をV2とした時、以下の通りである。
CTC+CTE={(V1−V2)/V2}×100 (単位は%)
この値は、CTCとCTEの混在したものであるので、CTEを別の方法で測定する。図3に示すヘッドにおいて、A組のインクチャネル以外のインクチャネル、即ちB組、C組のインクチャネルのインク供給口を閉鎖し、B組、C組のインクチャネルにはインクが供給されないようにした記録ヘッドを作製し(以下ダミーチャンネルヘッドという)、前述のように、すべてのA組のインクチャネルが駆動される場合のA2チャンネルのインク滴の速度をV3、A2チャンネルのみが単独で駆動される場合のA2チャンネルのインク滴の速度をV4とした時のクロストークを求める。
CTE={(V3−V4)/V4}×100 (単位は%)
この値は、B組、C組のインクチャネル内が空気(圧縮性)である状態でのクロストークであるので、CTCは無視できる。即ち、この値がCTEの影響によるクロストークとなる。よって、以下の通り前述のCTC+CTEとの差をとると、CTCが求まることになる。
CTC=(CTC+CTE)−CTE (単位は%)
CTCはインクチャネルを構成している材料の剛性に依存し、側壁とインクチャネル内のインクとのコンプライアンス比の値を変えることで制御できる。コンプライアンス比が小さくなるとCTCは小さくなる。
ここでコンプライアンス比とは、次によって定義される。即ち、側壁の両側の圧力差がPのとき、側壁の平均変位量をδpとすると、総変位量はインクチャネルの深さH(μm;図2(a)参照)との積δp・Hとなる。これに対し、インクチャネル内圧がP上昇したときのインクチャネル内のインクの体積変化量はS・P/Bとなる。ここでSはインクチャネルの断面積、Bはインクの体積弾性率である(なお、インクチャネルの長さは単位長さとする)。従って、側壁のコンプライアンスとインクチャネル内のインクのコンプライアンスとの比kcrは、以下の式で表される。
kcr=(δp・H)/(S・P/B)=(δp・H・B)/(S・P)
コンプライアンス比は、次のようにして測定することができる。インクチャネルの長さをL、インク中の音速をCoとすると、側壁に電圧を加えたときのインクチャネル内の共振周波数fnは(ノズルがついていない状態で)以下の式で与えられる。
fn=Co/{2L(1+λkcr)0.5}
ここで、λは振動モードの固有値で、電圧を加えるインクチャネルの選択に依存し、インクチャネル1本おきに加えたときは「4」、2本おきに加えたときは「3」となる。また、同様に各インクチャネルに加える電圧パターンを変えることにより、「2」「1」に対応する振動モードを発生させることができる。従って、上記のような各種駆動パターンで電圧を加え、周波数走査により共振点での電流出力変化を測定することにより共振周波数を測定する。この測定データから、横軸λ、縦軸1/fn2のグラフを描くと、傾きはkcr・(2L/Co)2となるので、kcrを求めることができる。
次に、本発明に係るインクジェット記録ヘッドの構造について説明する。本発明において、少なくとも側壁の一部を構成する圧電物質は、電圧を加えることにより変形を生じるものであれば特に限定されず、公知のものが用いられ、有機材料からなるものであっても良いが、圧電性非金属材料からなるものが好ましく、この圧電性非金属材料からなるものとして、例えば成形、焼成等の工程を経て形成されるセラミックス基板、又は成形、焼成を必要としないで形成される基板等がある。有機材料としては、有機ポリマー、有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料が挙げられる。
セラミックス基板としては、PZT(PbZrO3−PbTiO3)、第三成分添加PZTがあり、第三成分としてはPb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3等があり、さらにBaTiO3、ZnO、LiNbO3、LiTaO3等を用いて形成することができる。
また、成形、焼成を必要としないで形成される基板として、例えば、ゾルゲル法、積層基板コーティング等で形成することができる。ゾルゲル法によれば、ゾルは所定の化学組成を持つ均質な溶液に、水、酸あるいはアルカリを添加し、加水分解等の化学変化を起こさせることによって調整される。さらに、溶媒の蒸発や冷却等の処理を加えることによって、目的組成の微粒子あるいは非金属無機微粒子の前躯体を分散したゾルが作成され、基板とすることができる。異種元素の微量添加も含めて、化学組成の均一な化合物を得ることができ、出発原料には一般にケイ酸ナトリウム等の水に可溶な金属塩あるいは金属アルコキシドが用いられ、金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物で、OR基が強い塩基性を持つため容易に加水分解され、有機高分子のような縮合過程を経て、金属酸化物あるいはその水和物に変化する。
また、積層基板コーティングとして、気相から蒸着させる方法があり、気相からセラミックの基板を作成する方法には、物理的手段による蒸着方法と、気相あるいは基板表面の化学反応による製法の二通りに分類され、さらに、物理蒸着法(PVD)は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等に細分され、また化学的方法にも気相化学反応法(CVD)、プラズマCVD法などがある。物理蒸着法(PVD)としての真空蒸着法は、真空中で対象とする物質を加熱して蒸発させ、その蒸気を基板上に付着させる方法で、スパッタ法は目的物質(ターゲット)に高エネルギー粒子を衝突させ、ターゲット表面の原子・分子が衝突粒子と運動量を交換して、表面からはじきだされるスパッタリング現象を利用する方法である。またイオンプレーティング法は、イオン化したガス雰囲気中で蒸着を行う方法である。また、CVD法では、膜を構成する原子・分子あるいはイオンを含む化合物を気相状態にしたのち、適当なキャリヤーガスで反応部に導き、加熱した基板上で反応あるいは反応析出させることによって膜を形成し、プラズマCVD法はプラズマエネルギーで気相状態を発生させ、400℃〜500℃までの比較的低い温度範囲の気相化学反応で、膜を析出させる。
かかる圧電物質を用いて、図2の断面図に示すように、カバープレート6と基板9の間に複数の側壁5で隔てられたインクチャネル4を多数構成するには、基板9も圧電物質で製造する場合と、基板9を非圧電物質で製造する場合とがある。
前者の例では、図6に示すように、2枚の圧電物質51、52をそれぞれ厚さ方向に分極した後、接合部53を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように接合し、ダイヤモンドブレード等により圧電物質51の上方から圧電物質52の中途部まで至る複数の溝を平行に切削加工することにより、矢印の方向に分極された側壁5A、5Bからなる側壁5と基板9と同時に形成することができる。
また、後者の例では、図7に示すように、2枚の圧電物質51、52をそれぞれ厚さ方向に分極した後、接合部53を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように接合すると共に、更に圧電物質52の下面側に基板となる非圧電物質60を接合し、ダイヤモンドブレード等により圧電物質51の上方から複数の溝を平行に切削加工することにより、矢印の方向に分極された側壁5A、5Bからなる側壁5を形成することができる。
上記いずれの場合も、各インクチャネル4内の底面は圧電物質で構成されるが、この場合、インクチャネル4内の底面の圧電物質の厚さbが10μm以上であることが好ましい。厚さbが10μm未満では、CTEは無視できるほどに小さいが、10μm以上となるとCTEを発生させることができるので、CTCを容易にキャンセルすることができるようになるためである。
インクチャネル4内の底面の圧電物質の厚さbが10μm以上となるようにするには、図6に示す前者の例では、圧電物質52の中途部まで至る溝の加工時に、該溝加工によって底面側に残される圧電物質52の厚さbが10μm以上となるように調整することで可能である。また、図7に示す後者の例では、同じく溝の加工時に、溝の底面側に圧電物質52を一部残すように深さを調整し、その残す量を調整することによって、インクチャネル4内の底面の圧電物質52の厚さbを10μm以上とすることが可能である。
このようにして形成された側壁5の上面にカバープレート6を設けることによって隣接するインクチャネル4が多数形成される。このインクチャネル4の幅は100μm以下、深さは300μm以下となるように形成されることが好ましく、各インクチャネル4がこのような幅及び深さを有することで、インクチャネル4の断面積が小さくなり、インク中の泡抜き性が向上し、高画質の画像を安定的に形成できるようになる。
カバープレート6は、全インクチャネル4に亘ってその上面を覆うように側壁5の上面に接着剤を介して接着される。カバープレート6の材料は、特に限定されず、有機材料からなる基板であっても良いが、非圧電性非金属材料からなる基板が好ましく、この非圧電性非金属材料からなる基板として、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイド、石英、PZTの少なくとも1つから選ばれることが好ましい。この非圧電性材料基板は、例えば成形、焼成等の工程を経て形成されるセラミックス基板、又は成形、焼成を必要としないで形成される基板等があり、焼成等の工程を経て形成されるセラミックス基板として、例えばAl2O3、SiO2、それらの混合、混融体、さらにZrO2、BeO、AlN、SiC等を用いることができる。有機材料としては、有機ポリマー、有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料が挙げられる。
カバープレート6が接着された基板9及び側壁5の前端面には、ノズル3が開設されたノズル形成部材2が接着剤を介して接着される。ノズル形成部材2の材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー、アロマティックポリアミド樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリサルフォン樹脂等の合成樹脂のほか、ステンレス等の金属材料を用いることもできる。
各インクチャネル4内において、側壁5に密着形成された電極8a、8b、8cには、白金、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、タンタル、チタンを用いることができ、特に、電気的特性、加工性の点から、金、アルミニウム、銅、ニッケルが好ましい。
この電極8a、8b、8cは、図2(a)において示したように、インクチャネル4の幅をaとした場合、該インクチャネル4内の底面から少なくともa/2の高さ範囲の側壁側面に存在していることが、本発明の効果をより顕著にする上で好ましい。
電極8a、8b、8cの形成方法としては、めっき法、蒸着法、スパッタリング法等を用いることができるが、中でもめっき法により形成されることが好ましい。めっき法により形成された電極は、他の方法により形成されたものに比べて硬くなるため、上述のコンプライアンス比を小さくできるので、CTCを下げたい場合には有効である。
カバープレート6の上面にはインク供給口7が開設され、このインク供給口7にインクチューブ1が接続される。このインクチューブ1を介して図示しないインクタンクからインクが各インクチャネル4に供給される。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドでは、このインクとして特に水系インクを使用すると、本発明の効果が顕著であるために好ましい。即ち、水系インクは一般にインクの体積弾性率が大きく、従って、上述のコンプライアンス比が大きくなる傾向があり、CTCの影響が大きく見られるようになるためである。なお、ここで水系インクとは、インクの全重量に対する水分の割合が50重量%以上のものと定義する。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドは、複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組となすようにして、2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行なうように駆動されるが、特に、図3に示したように、間に2本のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルA1、A2、A3(インクチャネルB1、B2、B3又はインクチャネルC1、C2、C3)をまとめて1つの組として、全インクチャネルを3つの組(A組、B組、C組)に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行うようにすると、駆動されるインクチャネル間の距離が減少してクロストークの影響が大きく見られるようになる傾向があるため、この場合に本発明の効果が最も発揮され、好ましい態様である。
クロストークが起こるインクチャネルの範囲は通常数チャンネルまでも伝達するが、そこで同時に動作するインクチャネルの間隔を大きくし、駆動する周期を増やせばクロストークの影響は小さくなり、逆に周期を減らせばクロストークの影響は大きくなる。このため、周期を減らした方が本発明の効果が大きくなるということになるが、2周期(隣接するインクチャネル1本おきに駆動)ではクロストークが大きすぎてキャンセルが容易ではなく、3周期(隣接するインクチャネル2本おきに駆動)において本発明の効果が顕著となる。
また、インクチャネル4の密度は150dpi以上であると、インクチャネル4間の距離が減少し、クロストークの影響が大きくなるので、この場合にも本発明の効果は顕著となる。
更に、インクチャネル4の密度が300dpi以上であると、インクチャネル4間の距離が更に減少して、クロストークの影響が一層大きくなるので、本発明の効果は一層顕著となるためより好ましい。
また、インクチャネル4の密度が高いほど、インクチャネル4の深さを浅くすることが、クロストークを効果的にキャンセルする上では好ましい。このとき、インクチャネル4の密度とインクチャネル4の深さが以下の条件を満たすことが好ましい。
インクチャネルの密度(dpi)×インクチャネルの深さ(μm)≦5.5×104
この条件を外れるようになると、CTCが非常に大きくなるため、クロストークをキャンセルする効果が低下する。
この条件を外れるようになると、CTCが非常に大きくなるため、クロストークをキャンセルする効果が低下する。
なお、以上の説明では、各側壁5を、厚さ方向に分極された圧電物質を接合部を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように積層して形成しており、各インクチャネル4内の電極8a、8b、8c・・・は、側壁5の上部(カバープレート6が接着される側)からインクチャネル4内の底面(カバープレート6とは反対側の面)に亘って繋がるように形成されているが、この場合、少なくとも電極は側壁5の側面の少なくとも底面近く、好ましくはインクチャネル4内の底面からインクチャネル4の幅aとの関係で少なくともa/2の高さ範囲の側面に形成されていればよく、インクチャネル4内の底面において繋がっている必要はない。
また、本発明において、側壁5は、厚さ方向に分極された圧電物質を接合部を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように積層されて形成されるものに限らない。例えば、一方向にのみ分極された圧電物質からなる基板90に複数の溝を平行に切削加工することにより、図8に示すように側壁50を形成し、この側壁50の側面に、インクチャネル4内の底面から略半分の高さまで電極81、82、83・・・を形成するようにしてもよい。この場合も、各インクチャネル4内の底面は圧電物質からなり、この圧電物質に近接して設けられる各電極81、82、83・・・からの電界の漏れが発生するためである。
以下、実施例に基づいて本発明の効果を例証する。
(実施例1〜3及び比較例1)
まず、インクジェット記録ヘッドを次の条件で作成した。図1〜図3に示したように、PZTからなる基板に多数の溝を研削して側壁を形成し、各側壁の側面にはアルミ蒸着電極を形成した。各側壁の上面には接着剤を用いてカバープレートを接着すると共に前端に25μmφのノズルを開設したノズル形成部材を接着することによりインクジェット記録ヘッドを構成した。なお、接着剤中にフィラーは混入していない。
まず、インクジェット記録ヘッドを次の条件で作成した。図1〜図3に示したように、PZTからなる基板に多数の溝を研削して側壁を形成し、各側壁の側面にはアルミ蒸着電極を形成した。各側壁の上面には接着剤を用いてカバープレートを接着すると共に前端に25μmφのノズルを開設したノズル形成部材を接着することによりインクジェット記録ヘッドを構成した。なお、接着剤中にフィラーは混入していない。
インクチャネルの密度は180dpi(141μmピッチ)とし、各インクチャネルの幅は85μm、長さは3mmとし、インクには水系インク(比重:1.06、体積弾性率:2.5GPa)を使用した。
インクジェット記録ヘッドは、インクチャネルの深さを表1に示すように変えてインクチャネルの断面積を変化させた計4個の記録ヘッド(実施例1〜3及び比較例1)を作成した。それぞれの記録ヘッドのコンプライアンス比(Kcr)、CTC、CTE、|CTC+CTE|の各値は表1に示す通りであった。
各記録ヘッドの評価は、電極にインク滴の飛翔速度が6m/secになる電圧で、パルス幅5μsecの駆動パルスを印加して各記録ヘッドを時分割で3周期(インクチャネル2本おきに)駆動させることによりベタ画像をプリントし、ベタ部の周辺濃度の低下具合を以下の評価基準に基づいて画像評価することによって行った。その結果を表1に示す。
○:ほとんど濃度ムラは見られない
△:わずかに濃度ムラがあるが、画質上問題なし
×:濃度ムラが目立つ
△:わずかに濃度ムラがあるが、画質上問題なし
×:濃度ムラが目立つ
(実施例4〜6及び比較例2)
ノズルを20μmφ、インクチャネルの密度を300dpi(85μmピッチ)、各インクチャネルの幅を42μm、長さを2mmとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、インクチャネルの深さを表2に示すように変えてインクチャネルの断面積を変化させた計4個の記録ヘッド(実施例4〜6及び比較例2)を作成した。それぞれの記録ヘッドのコンプライアンス比(Kcr)、CTC、CTE、|CTC+CTE|の各値は表2に示す通りであった。
ノズルを20μmφ、インクチャネルの密度を300dpi(85μmピッチ)、各インクチャネルの幅を42μm、長さを2mmとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、インクチャネルの深さを表2に示すように変えてインクチャネルの断面積を変化させた計4個の記録ヘッド(実施例4〜6及び比較例2)を作成した。それぞれの記録ヘッドのコンプライアンス比(Kcr)、CTC、CTE、|CTC+CTE|の各値は表2に示す通りであった。
なお、画像評価の評価は、ベタ画像をプリントする際のパルス幅を3μsecとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、上記と同一の基準により行った。
(実施例7〜9及び比較例3)
ノズルを15μmφ、インクチャネルの密度を360dpi(71μmピッチ)、各インクチャネルの幅を35μm、長さを1.5mmとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、インクチャネルの深さを表3に示すように変えてインクチャネルの断面積を変化させた計4個の記録ヘッド(実施例7〜9及び比較例3)を作成した。それぞれの記録ヘッドのコンプライアンス比(Kcr)、CTC、CTE、|CTC+CTE|の各値は表3に示す通りであった。
ノズルを15μmφ、インクチャネルの密度を360dpi(71μmピッチ)、各インクチャネルの幅を35μm、長さを1.5mmとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、インクチャネルの深さを表3に示すように変えてインクチャネルの断面積を変化させた計4個の記録ヘッド(実施例7〜9及び比較例3)を作成した。それぞれの記録ヘッドのコンプライアンス比(Kcr)、CTC、CTE、|CTC+CTE|の各値は表3に示す通りであった。
なお、画像評価の評価は、ベタ画像をプリントする際のパルス幅を2μsecとした以外は、上記実施例1〜3及び比較例1と同一とし、上記と同一の基準により行った。
表1〜3に示されるように、同一インクチャネル深さで比較すると、インクチャネルの密度が増加すると、インクチャネル間の距離が減少し、コンプライアンス比(Kcr)が大きくなるにつれて、クロストーク(CTC)の値が大きくなるが、インクチャネル深さを浅くすることでクロストークをキャンセルできることがわかる。
また、実施例1〜9では、インクチャネルの密度とインクチャネルの深さの積がいずれも5.5×104以下の条件を満足しており、この条件を満足していない比較例1〜3に比べて、クロストークをキャンセルできることによって画像評価が優れていることがわかる。
1:インクチューブ
2:ノズル形成部材
3:ノズル
4:インクチャネル
5、50:側壁
6:カバープレート
7:インク供給口
8、81、82、83・・・:電極
9:基板
T1a、T1b、T1c:周期
A1、B1、C1・・・A3、B3、C3:インクチャネル
Pa、Pb、Pc:印字パルス
U1、U2、U3:単位
2:ノズル形成部材
3:ノズル
4:インクチャネル
5、50:側壁
6:カバープレート
7:インク供給口
8、81、82、83・・・:電極
9:基板
T1a、T1b、T1c:周期
A1、B1、C1・・・A3、B3、C3:インクチャネル
Pa、Pb、Pc:印字パルス
U1、U2、U3:単位
Claims (11)
- 少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁により隔てられた複数のインクチャネルを有し、側壁に形成された電極に印加する電圧による側壁のせん断変形によりインクチャネル内の圧力を変化させて、インクチャネル内のインクを吐出せしめるインクジェット記録ヘッドであって、
前記インクチャネル内の底面は圧電物質により構成されており、
複数のインクチャネルのうち間に1本以上のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行ない、
且つ、前記側壁とインクチャネル内のインクのコンプライアンス比による前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTC、前記電極に印加する電圧による電界の漏れによる前記1つの組のインクチャネル間のクロストークをCTEとした時、
|CTC+CTE|≦10(%)
の条件を満足することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 前記側壁は、厚さ方向に分極された圧電物質を接合部を挟んで分極方向が互いに異なる方向となるように積層されて形成されることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記電極は、前記インクチャネルの幅をaとした場合、該インクチャネル内の底面から少なくともa/2の高さ範囲に存在していることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記電極がめっき法により形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記インクチャネルの幅が100μm以下、インクチャネルの深さが300μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記インクチャネルは、少なくとも一部が圧電物質で構成された側壁により隔てられた複数の溝が形成された基板と、側壁の上面に接着されるカバープレートにより形成され、該インクチャネル内の底面の圧電物質の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記複数のインクチャネルの密度が150dpi以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記複数のインクチャネルの密度が300dpi以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記インクチャネルの密度(dpi)と前記インクチャネルの深さ(μm)とが以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
インクチャネルの密度(dpi)×インクチャネルの深さ(μm)≦5.5×104 - 前記インクが水系インクであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記複数のインクチャネルのうち間に2本のインクチャネルを挟んで離れているインクチャネルをまとめて1つの組として、全インクチャネルを3つの組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003393706A JP2004195965A (ja) | 2002-12-03 | 2003-11-25 | インクジェット記録ヘッド |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2003393706A JP2004195965A (ja) | 2002-12-03 | 2003-11-25 | インクジェット記録ヘッド |
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Family Applications (1)
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JP2003393706A Pending JP2004195965A (ja) | 2002-12-03 | 2003-11-25 | インクジェット記録ヘッド |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015033799A (ja) * | 2013-08-09 | 2015-02-19 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置 |
-
2003
- 2003-11-25 JP JP2003393706A patent/JP2004195965A/ja active Pending
Cited By (1)
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