JP2004195942A - 成形用金型装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度調節用通路が詰まることを防止することができる成形用金型装置を提供する。
【解決手段】コールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設ける。スプルーブッシュ6は中心軸線X上にコールドスプルー12を設ける内筒体37と、この内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成する突出部9とを有する。温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、腐蝕を防止することができる。また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。
【選択図】 図1
【解決手段】コールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設ける。スプルーブッシュ6は中心軸線X上にコールドスプルー12を設ける内筒体37と、この内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成する突出部9とを有する。温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、腐蝕を防止することができる。また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)等光ディスクなどの成形用金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクは、その基板が一般的に樹脂により射出成形される。この成形では、射出成形機の固定盤および可動盤にそれぞれ取り付けられたスプルーブッシュを設けた固定型およびゲートカットスリーブを設けた可動型を型閉して、これら固定型および可動型間に製品キャビティを形成し、射出成形機のノズルから射出した成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を製品キャビティに充填し、この製品キャビティ内の樹脂すなわち光ディスクが固化した後、固定型および可動型を型開して成形された光ディスクを取り出すようにしている。
【0003】
そして、固定型および可動型では製品キャビティ或いはスプルーに充填した溶融した熱可塑性樹脂を冷却して固化するために、冷却水が通る温度調節通路が設けられる。この温度調節通路は製品キャビティに対向するように設ける温度調節通路の他に、スプルー等に沿って設けられる温度調節通路等が知られている。そして、スプルー等に沿って設けられる従来の温度調節通路では、水密性に劣り漏水の虞があったり、またスプルー等に可及的に沿って温度調節通路を設けることができないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして特許文献1の金型装置が知られる。この金型装置は内筒管と外筒管にそれぞれ設けたフランジを重ね合わせて固着したものである。しかしながら、このようなフランジを重ね合わせて固着したものでは、重ね合わせ面積が広く良好に固着できず、水漏れする虞がある。
【0005】
また、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記スプルーブッシュは中心軸線上に貫通孔を形成したスプルーブッシュ本体と、前記貫通孔に挿入すると共に中心軸線上にスプルーを貫通した内筒体からなり、前記内筒体の中心軸線方向の両側にフランジをそれぞれ形成すると共に、前記フランジの外周面を前記貫通孔の内周面に固着して前記貫通孔の内周面と前記内筒体の外周面との間に前記温度調節通路を形成した成形用金型装置(特許文献2)である。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−159221号公報
【特許文献2】
特開2002−254489号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2の成形用金型装置では、温度調節通路に水漏れの虞がなく、スプルー等に可及的に沿って温度調節用通路を設けることができる。
【0008】
ところで、特許文献1及び2のものは内筒体に外筒体を固定し、両者の間に温度調節用通路を設けるものであるから、水漏れがなく、温度調節用通路をスプルー等に可及的に沿わせることができるが、冷却水に水質の劣るものを使用すると、通路が腐食して詰まりが発生し、この場合、スプルーブッシュ全体を交換しなければならなかった。
【0009】
そこで、本発明は、温度調節用通路が詰まることを防止することができる成形用金型装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0011】
この請求項1の構成によれば、スプールブッシュに設けた温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。尚、通路の壁面全体に無電解ニッケルメッキ層を設ける。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層を形成できる。
【0012】
請求項2の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型と、この可動型に摺動自在に設けたゲートカットスリーブとを備え、前記ゲートカットスリーブに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0013】
この請求項2の構成によれば、ゲートカットスリーブに設けた温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層を形成できる。
【0014】
請求項3の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記スプルーブッシュは中心軸線上にスプルーを設ける内筒部と、この内筒部の外周面との間に前記温度調節通路を形成する外筒部とを有し、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0015】
この請求項3の構成によれば、内筒部の外周面と外筒部との間に形成された温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、内筒部と外筒部とを固着したものであり、スプルーブッシュの内筒部と外筒部とが一体化されている。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図を参照して説明する。図1〜図5は第1実施形態を示しており、同図において1は固定型、2は可動型で、型体であるこれら固定型1および可動型2は、互いに図示上下方向(型開閉方向)に移動して開閉し、型閉時に光ディスクを形成する製品キャビティ3を相互間に2つ形成するものである。尚、固定型1及び可動型2の部材は金属製である。
【0018】
前記固定型1は、基体としての固定側型板4と、この固定側型板4における可動型2と反対側の面(図示上側の面)に固定された基体としての固定側受け板5とを備えている。また、前記固定側受け板5には、製品キャビティ3にそれぞれ対応させてスプルーブッシュであるコールドスプルーブッシュ6が固定されている。このコールドスプルーブッシュ6の頭部7は、固定側受け板5に形成された凹部8内に嵌合しているが、固定側型板4側に筒状の外筒部たる突出部9を有しており、この突出部9は、固定側受け板5からさらに固定側型板4を貫通している。また、コールドスプルーブッシュ6の頭部7には原料供給ノズル10が設けられている。さらに、コールドスプルーブッシュ6内には、頭部7の原料供給ノズル10が接続する底面から突出部9の先端面に至る材料通路であるコールドスプルー12が形成されている。このコールドスプルー12は、製品キャビティ3に連通するものであり、この製品キャビティ3側へ向かって径の大きくなるテーパー状になっている。
【0019】
さらに、コールドスプルー12を囲むようにコールドスプルーブッシュ6には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路13が形成されている。
【0020】
前記固定側型板4は、前記固定側受け板5における可動型2側の面に固定された位置決め枠14とこの位置決め枠14の内側に嵌合されたキャビティ形成部材としてのキャビティブロック15とからなっている。これらキャビティブロック15は、前記製品キャビティ3を形成するものである。また、キャビティブロック15の外周部には環状の外周スタンパー押え16が着脱可能に取り付けられており、内周部には筒状の内周スタンパー押え17が着脱可能に取り付けられている。これらスタンパー押え16,17は、光ディスクのグルーブ部やランド部を形成するスタンパーをキャビティブロック15に着脱可能に保持するためのものである。また、前記キャビティブロック15を貫通する筒状の内周スタンパー押え17内には中間筒18が嵌合され、この中間筒18内に前記コールドスプルーブッシュ6の突出部9が嵌合している。前記内周スタンパー押え17および中間筒18は製品キャビティ3の一部を形成するものである。さらに、前記キャビティブロック15内には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路19が形成されている。
【0021】
前記可動型2は、射出成形機の固定側プラテンに取り付けられる可動側取り付け板20と、この可動側取り付け板20における固定型1側の面に固定された可動側受け板21と、この可動側受け板21における固定型1側の面に固定された可動側型板22とを備えている。この可動側型板22は、可動側受け板21における固定型1側の面に固定された位置決め枠23とこの位置決め枠23の内側に嵌合されたキャビティ形成部材としてのコアブロック24とからなっている。コアブロック24は、前記製品キャビティ3をそれぞれ形成するものである。また、位置決め枠23は、前記固定型1の位置決め枠14にテーパー嵌合するものである。なお、コアブロック24内には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路25が形成されている。
【0022】
また、前記コアブロック24の外周部には、突き当てリング26が嵌合されている。この突き当てリング26は、型閉時に前記固定型1側の外周スタンパー押え16に突き当たり、製品キャビティ3の外周面を形成するものである。
【0023】
さらに、前記コアブロック24の内周部には筒状のエア吹き出し入子27が貫通状態で固定されており、このエア吹き出し入子27の内周側には筒状の突き出しスリーブ28が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されており、この突き出しスリーブ28の内周側には筒状のゲートカットスリーブ29が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されており、このゲートカットスリーブ29内には突き出しピン30が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されている。前記突き出しスリーブ28およびゲートカットスリーブ29は、それぞれ固定型1と反対側へ付勢されている。また、前記ゲートカットスリーブ29には、可動側取り付け板20を貫通する受け部31が突設されている。この受け部31が射出成形機に設けられた押圧ロッド(図示していない)によって押されることにより、ゲートカットスリーブ29が固定型1側へ移動するようになっている。また、前記突き出しピン30は、前記可動側取り付け板20内に設けられた突き出し板32に固定されている。この突き出し板32が射出成形機に設けられた別の押圧ロッド(図示していない)によって押されることにより、突き出しピン30が固定型1側へ移動するようになっている。さらに、突き出し板32に固定された連動ピン(図示していない)が突き出しスリーブ28を押すことにより、この突き出しスリーブ28が固定型1側へ移動するようになっている。
【0024】
そして、前記ゲートカットスリーブ29は、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路33が形成され、このゲートカットスリーブ29は前記固定型1の中間筒18内に挿脱自在に嵌合して、光ディスクの中央の開口孔を形成するものである。したがって、ゲートカットスリーブ29の外周側に位置する突き出しスリーブ28およびエア吹き出し入子27は製品キャビティ3の一部を形成する。また、固定型1側のコールドスプルーブッシュ6の突出部9の先端面外周部と可動型2側のゲートカットスリーブ29の先端面外周部との間に、固定型1側のコールドスプルー12を製品キャビティ3に連通させるゲート34が形成されることになる。
【0025】
さらに、前記コールドスプルーブッシュ6は、頭部7に突出部8を設けると共に、これら頭部7と突出部8の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により形成された貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体37を備えている。この内筒体37の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により前記コールドスプルー12が形成され、さらに、中心軸線Xの方向の両側には円形のフランジ38をそれぞれ形成する。前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されており、そして、前記両側のフランジ38の外径を貫通孔35の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体37を貫通孔35に挿入すると共に、このフランジ38を貫通孔35の両側で嵌合し、フランジ38の外周面38Aを前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着し、前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に前記温度調節通路13を形成したものである。尚、拡散接合は、接合界面間での接触過程、接触面の密着化が時間とともに進む過程、接合境界が消失する過程を経て接合されるものであり、接触過程では加圧によるすべり変形、表面被膜の破壊、移動により、次の過程では空孔拡散、境界拡散、すなわち転位の移動によって密着化が進む過程、さらに次の過程では再結晶や結晶の成長などによる新しい結晶組織の形成や、接合境界に存在する皮膜、介在物などの分解あるいは溶解などが関与し、ほぼ完全な接合がなされる。具体的には溶剤を用いた拡散溶接では、ニッケル合金、例えばBNiなどからなる溶剤を用い、この溶剤を加熱して溶融させ、毛細管現象により接合すべき材料間、つまりフランジ38の外周面38Aと前記貫通孔35の内周面35Aの間に浸透させる。これにより、接合部において材料組織が変成を生じ、強固に接合される。前記一方のフランジ38の端には原料供給ノズル10が接続してこの原料供給ノズル10とコールドスプルー12とが連通して原料を供給できるようになっている。さらに、他方のフランジ38は製品キャビティ3に対向して臨んでおり、このフランジ38の中央より原料が製品キャビティ3へ供給されるようになっている。そして、前記固定側受け板5には、供給路39と排出路40が設けられ、これら供給路39と排出路40が、温調調節通路13の供給部13Aと排出部13Bにそれぞれ接続されており、供給路39により冷水を温度調節通路13に供給し、排出路40により温度調節通路13内の水を排出できるようになっている。尚、供給部13Aと排出部13Bの端部はそれぞれ頭部7の側面に開口する。
【0026】
このようにコールドスプルーブッシュ6は、貫通孔35の内部に内筒部たる内筒体37を一体に組み込み、温度調節通路13を内部に有し、組み付けにおいて、コールドスプルーブッシュ6は、連通する凹部8及び前記中間筒18内に組み付けられる。そして、温度調節通路13に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0027】
メッキ層151の形成においては、貫通孔35の内部に内筒部たる内筒体37を一体に組み込んだコールドスプルーブッシュ6を、無電解ニッケル−リンの無電解メッキ液に浸漬してメッキを行い、前記無電解メッキ液に、還元剤として次亜燐酸ソーダなどの次亜燐塩酸を用い、コールドスプルーブッシュ6にニッケル合金皮膜を形成する。すなわち、被メッキ物であるコールドスプルーブッシュ6が触媒となって還元反応を起こし、前記無電解メッキ液中のニッケル陽イオンを還元してその無電解メッキ液に接するコールドスプルーブッシュ6の表面にニッケル合金をメッキするものであり、幅広い金属に対応可能で、被メッキ物の形状に影響されず、均一性が高く、メッキ層151の厚さの設定が自由にでき、密着性に優れ、さらに、耐食性、耐磨耗性に優れる。また、ピンホールの発生を防止できるから、部分的な腐蝕の発生を防止できる。
【0028】
そのメッキの原理を説明すると、前記無電解メッキ液中の次亜燐酸陰イオンが周期律表の第8属金属にある特定条件で接触すると、その金属が触媒となって、下記の化1のように脱水素分解を起こさせる。
【0029】
【化1】
生成した水素元素は触媒金属(被メッキ物)表面に吸着され、これがメッキ液中のニッケル陽イオンに接触すると、下記の化2のようにニッケルを金属に還元し、触媒金属表面に析出する。
【0030】
【化2】
また、下記の化3に示すように、触媒金属表面の活性化した水素原子はメッキ液中の次亜燐酸イオンと反応してその含有するリンを還元してニッケルとの合金を作る。
【0031】
【化3】
このように析出したニッケルが触媒となって前と同様にニッケルの還元メッキ反応が継続して進行し、すなわちニッケルの自己触媒作用によりメッキが継続進行する。したがって、メッキの処理時間に対応して無電解ニッケルメッキ層151の厚さを設定できる。
【0032】
そして、前記無電解ニッケルメッキ層151の化学組成として、ニッケル90〜92質量%、リン8〜10質量%が例示さえる。
【0033】
一方、前記ゲートカットスリーブ29は、頭部41に製品キャビティ3に向けて外筒部たる突出部42を設けると共に、中心軸線Y上にワイヤカットなどにより貫通孔43を形成したゲートカットスリーブ本体44と、前記貫通孔43に挿入すると共に中心軸線Y上に前記突き出しピン30が貫挿する貫通孔45をワイヤカットなどにより形成した内筒部たる内筒体46を備えている。この内筒体46の中心軸線Y方向の両側には円形のフランジ47をそれぞれ形成する。前記貫通孔43は中心軸線Yに沿って同一内径に形成されており、前記フランジ47の外径を貫通孔43の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体46を貫通孔43に挿入すると共に、このフランジ47を貫通孔43の両側で嵌合し、フランジ47の外周面47Aを前記貫通孔43の内周面43Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記貫通孔43の内周面43Aと前記内筒体46の外周面46Aとの間に前記温度調節通路33を形成したものである。一方のフランジ47の端は、突き出しスリーブ30と共に製品キャビティ3に臨むように取り付けられる。そして、前記可動側受け板21には、供給路48と排出路49が設けられ、これら供給路48と排出路49が、温調調節通路33の供給部33Aと排出部33Bにそれぞれ接続されており、供給路48により冷水を温度調節通路33に供給し、排出路49により温度調節通路33内の水を排出できるようになっている。尚、供給部33Aと排出部33Bの端部はそれぞれ側面に開口する。
【0034】
このようにゲートカットスリーブ29は、貫通孔43の内部に内筒部たる内筒体46を一体に組み込み、温度調節通路33を内部に有し、組み付けにおいて、ゲートカットスリーブ29は、可動型2に組み付けられる。そして、貫通孔43の内部に内筒部たる内筒体46を一体に組み込んだゲートカットスリーブ29の温度調節通路33に、前記温度調節通路13と同様に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。すなわち、ゲートカットスリーブ29をメッキ液にどぶ漬けしてメッキする。
【0035】
つぎに、前記金型装置を用いた光ディスクの成形方法について説明する。成形時には、まず固定型1と可動型2とを型閉して、これら固定型1および可動型2間に製品キャビティ3を形成する。なお、このように型閉した状態で、可動型2の突き当てリング26が固定型1の外周スタンパー押え16に突き当たり、また、固定型1および可動型2の位置決め枠14,23が相互にテーパー嵌合する。そして、射出成形機から熱可塑性の成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を射出する。この樹脂は、ノズル10からコールドスプルー12を順次通ってゲート34から製品キャビティ3内にそれぞれ流入する。そして、製品キャビティ3内に樹脂が充填された後、射出成形機側に設けられた図示していない押圧ロッドによってゲートカットスリーブ29の受け部31が固定型1の方へ押されることにより、ゲートカットスリーブ29が固定型1側へ移動し、この固定型1の中間筒18内に嵌合する。これにより、ゲート34においてコールドスプルー12内の樹脂と製品キャビティ3内の樹脂すなわち光ディスクとが切断される。
【0036】
また、製品キャビティ3内の樹脂は、供給路39から供給された温度調節用流体である冷却水が温度調節通路13内を通ることにより積極的に冷却され、コールドスプルー12内の樹脂は、積極的に冷却される。また、供給路48から供給される温度調節用流体である冷却水が温度調節通路33内を通ることにより、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。同様に温度調節通路19,25内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。
【0037】
この場合、温度調節通路13,33に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路13,33の腐蝕を防止できる。また、それら温度調節通路13,33は部品及び配置により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができる。
【0038】
そして、製品キャビティ3内の樹脂が冷却して固化した後、固定型1と可動型2とが型開される。この型開に伴い、成形された光ディスクおよびコールドスプルー12内で固化した樹脂はまず固定型1から離れる。ついで、射出成形機側に設けられた図示していない押圧ロッドによって突き出し板32が固定型1の方へ押されることにより、突き出し板32とともに突き出しピン30が固定型1側へ移動し、コールドスプルー12内で固化した樹脂を突き出して可動型2から離型させる。また、突き出し板32に連動して突き出しスリーブ28が固定型1側へ移動し、光ディスクの内周部を突き出して可動型2から離型させる。そして、離型した光ディスクは、図示していない取り出しロボットにより取り出される。その後、再び型閉が行われて以上の成形サイクルが繰り返される。
【0039】
前記実施形態の構成によれば、コールドスプルーブッシュ6は中心軸線X上に貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入すると共に中心軸線X上にコールドスプルー12を貫通した内筒体37からなり、前記内筒体37の中心軸線X方向の両側にフランジ38をそれぞれ形成すると共に、前記フランジ38の外周面38Aを前記貫通孔35の内周面35Aに固着して前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成したことにより、スプルーブッシュ本体36の貫通孔35と内筒体37のフランジ38との接合は、フランジ38の外周面38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面38Aと内周面35Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体37の外周面37Aより外側位置であるフランジ38の外周面38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着することにより、この接合箇所をコールドスプルー12より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、スプルーブッシュ本体36には製品キャビティ3側からノズル50側まで貫通した貫通孔35に内筒体37を設けたものであるので、温度調節通路13をコールドスプルー12の全長にほぼ沿って配置することができ、この温度調節通路13によるコールドスプルー12での冷却効果を高めることができる。
【0040】
同様に、ゲートカットスリーブ29は中心軸線Y上に貫通孔43を形成したゲートカットスリーブ本体44と、この貫通孔43に挿入すると共に中心軸線Y上に突き出しピン30を貫挿した内筒体46からなり、前記内筒体46の中心軸線Y方向の両側にフランジ47をそれぞれ形成すると共に、前記フランジ47の外周面47Aを前記貫通孔43の内周面43Aに固着して前記貫通孔43の内周面43Aと前記内筒体46の外周面46Aとの間に前記温度調節通路33を形成したことにより、ゲートカットスリーブ本体44の貫通孔43と内筒体46のフランジ47との接合は、フランジ47の外周面47Aを貫通孔43の内周面43Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面47Aと内周面43Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体46の外周面43Aより外側位置であるフランジ47の外周面47Aを貫通孔43の内周面43Aに固着することにより、この接合箇所を突き出しピン30より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、ゲートカットスリーブ本体44には製品キャビティ3側から頭部41の基端面側まで貫通した貫通孔43に内筒体46を設けたものであるので、温度調節通路33をゲートカットスリーブ本体44の全長にほぼ沿って配置することができ、この温度調節通路33によるゲートカットスリーブ本体44など、ひいては可動型2での温調効果を高めることができる。
【0041】
さらに、スプルーブッシュ6においては、前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、また前記内筒体37の中心軸線方向Xの両側に設けられるフランジ38の外径はそれぞれ前記貫通孔35の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。同様に、ゲートカットスリーブ29において、貫通孔43は中心軸線Yに沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、前記内筒体46の中心軸線Y方向の両側に設けられるフランジ47の外径はそれぞれ前記貫通孔43の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。
【0042】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設けた成形用金型装置において、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、スプールブッシュに設けた温度調節通路13に温度調節用流体を通し、その温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層151を形成できる。
【0043】
このように本実施形態では、請求項2に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2と、この可動型2に摺動自在に設けたゲートカットスリーブ29とを備え、ゲートカットスリーブ29に温度調節通路33を設けた成形用金型装置において、温度調節通路33に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、ゲートカットスリーブ29に設けた温度調節通路33に温度調節用流体を通し、その温度調節通路33に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路33の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。しかも、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層151を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層151を形成できる。
【0044】
このように本実施形態では、請求項3に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設けた成形用金型装置において、スプルーブッシュ6は中心軸線X上にスプルーたるコールドスプルー12を設ける内筒部たる内筒体37と、この内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成する外筒部たる突出部9とを有し、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、温度調節通路13に温度調節用流体を通し、その温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。
【0045】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、内筒部たる内筒体37と外筒部たる突出部9とを固着したものであり、スプルーブッシュ6の突出部9と内筒体37とが一体化されている。
【0046】
また、実施形態上の効果として、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6は中心軸線X上に貫通孔35を形成した外筒部たる突出部9と、貫通孔35に挿入すると共に中心軸線X上にスプルーたるコールドスプルー12を貫通した内筒部たる内筒体37からなり、内筒体37の中心軸線X方向の両側にフランジ38,38をそれぞれ形成すると共に、フランジ38,38の外周面38A,38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着して貫通孔35の内周面35Aと内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成したから、貫通孔35の内周面35Aと内筒体37の外周面37Aとの間に形成された温度調節通路13に温度調節用流体を通すものである。また、貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成され、内筒部たる内筒体37の中心軸線方向の両側に設けられるフランジ37,37の外径はそれぞれ内径とほぼ同一に形成されるから、同一内径の貫通孔35の内周面35Aに内筒体37の中心軸線X方向の両側に設けられるフランジ37,37の外周面38,38が固着する。
【0047】
図6〜図9は本発明の第2実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0048】
第2実施形態における前記コールドスプルーブッシュ51は、頭部52に突出部53を設けると共に、これら頭部52と外筒部たる突出部53の中心軸線X´上に形成された有底な孔54を形成したスプルーブッシュ本体55と、前記孔54に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体56を備えている。この内筒体56の中心軸線X´上に前記コールドスプルー12が形成される。このコールドスプルー12の端は頭部52に形成したコールドスプルー連通部12Aに連通するようになっており、このコールドスプルー連通部12Aの端にノズル10が接続して、原料がコールドスプルー連通部12A、コールドスプルー12を介して製品キャビティ3へ供給できるようになっている。さらに中心軸線X´の方向の先端および基端側には円形のフランジ57,58をそれぞれ形成する。孔54は中心軸線X´に沿って同一内径に形成されており、フランジ57,58の外径を孔54の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体56を孔35に挿入すると共に、内筒体56の基端側のフランジ58を孔54の底部54Bに当接し、そしてフランジ57,58を孔54の両側で嵌合し、フランジ57,58の外周面57A,58Aを前記孔54の内周面54Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記孔54の内周面54Aと前記内筒体56の外周面56Aとの間に温度調節通路59を形成したものである。そして、温度調節通路59にはパイプなどの供給路60と排出路61がそれぞれ接続している。
【0049】
一方、前記ゲートカットスリーブ63は、頭部64に製品キャビティ3に向けて突出部65を設けると共に、中心軸線Y´上に有底な孔66を形成したゲートカットスリーブ本体67と、前記孔66に挿入すると共に中心軸線Y´上に突き出しピン30が貫挿する貫通孔68を形成した内筒体69を備えている。そして、取り付け板20を貫通する受け部31に一端を接続し他端しを前記孔66の底部72に接続した連通孔68Aを形成して、突き出しピン30が貫通孔68と連通孔68Aを貫挿するようになっている。またこの内筒体69の中心軸線Y´方向の先端および基端には円形のフランジ70,71をそれぞれ形成する。前記孔66は中心軸線Y´に沿って同一内径に形成され、フランジ70,71の外径を貫通孔66の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体69を孔66に挿入すると共に、内筒体69の先端側のフランジ70を孔66の底部72に当接し、そしてフランジ70,71を貫通孔66の両側で嵌合し、フランジ70,71の外周面70A,71Aを前記孔66の内周面66Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記貫通孔66の内周面66Aと前記内筒体69の外周面69Aとの間に前記温度調節通路72を形成したものである。基端側のフランジ71は製品キャビティ3に臨むようになっている。そして、温度調節通路72にはパイプなどの供給路73と排出路74がそれぞれ接続している。
【0050】
また、温度調節通路59,72に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0051】
したがって、製品キャビティ3内の樹脂は、供給路73より温度調節用流体である冷却水が温度調節通路59内を通ることにより積極的に冷却され、コールドスプルー12、コールドスプルー連通部12A内の樹脂は冷却される。また、温度調節通路72内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。同様に、温度調節通路19,25内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は冷却される。
【0052】
また、温度調節通路59,72に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路59,72の腐蝕を防止できる。また、それら温度調節通路13,33は部品により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができ、請求項に対応して上記第1実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0053】
また、本実施形態では、コールドスプルーブッシュ51は中心軸線X´上に有底な孔54を製品キャビティ3側から形成したスプルーブッシュ本体55と、この孔54に挿入すると共に中心軸線X´上にスプルー12を貫通した内筒体56からなり、前記内筒体56の中心軸線X´方向の先端及び基端にフランジ57,58をそれぞれ形成すると共に、前記内筒体56の先端側のフランジ58を前記底部54Bに当接し、かつ前記先端および基端のフランジ57,58の外周面57A,58Aを前記孔54の内周面54Aに固着して前記孔54の内周面54Aと前記内筒体56の外周面56Aとの間に温度調節通路59を形成したことにより、スプルーブッシュ本体55の孔54と内筒体56のフランジ57,58との接合は、フランジ57,58の外周面57A,58Aを孔54の内周面54Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面57A,58Aと内周面54Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体56の外周面56Aより外側位置であるフランジ57,58の外周面57A,58Aを貫通孔54の内周面54Aに固着することにより、この接合箇所をコールドスプルー12より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、スプルーブッシュ本体55には製品キャビティ3側からノズル50方向まで形成した孔54に内筒体56を設けたものであるので、温度調節通路59をコールドスプルー12の全長に可及的に沿って配置することができ、この温度調節通路59によるコールドスプルー12での冷却効果を高めることができる。特に底部59の位置をノズル50に可及的に近づけることにより、温度調節通路59をコールドスプルー12の全長にほぼ沿って配置することができる。
【0054】
同様に、ゲートカットスリーブ63は中心軸線Y´上に有底な孔66を製品キャビティ3側から形成したゲートカットスリーブ本体67と、この孔66に挿入すると共に中心軸線Y´上に突き出しピン30を貫挿した内筒体69からなり、前記内筒体69の中心軸線Y´方向の先端及び基端にフランジ70,71をそれぞれ形成すると共に、前記内筒体69の先端側のフランジ70を前記底部72に当接し、かつ前記先端および基端のフランジ70,71の外周面70A,71Aを前記孔66の内周面66Aに固着して前記孔66の内周面66Aと前記内筒体69の外周面69Aとの間に温度調節通路72を形成したことにより、ゲートカットスリーブ本体67の貫通孔66と内筒体69のフランジ70,71との接合は、フランジ70,71の外周面70A,71Aを貫通孔66の内周面66Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面70A,71Aと内周面66Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体69の外周面69Aより外側位置であるフランジ70,71の外周面70A,71Aを貫通孔66の内周面66Aに固着することにより、この接合箇所を突き出しピン30より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、ゲートカットスリーブ本体67には製品キャビティ3側から頭部41の基端面方向まで形成した貫通孔66に内筒体69を設けたものであるので、温度調節通路72をゲートカットスリーブ本体67の全長に可及的に沿って配置することができ、この温度調節通路72によるゲートカットスリーブ本体67など、ひいては可動型2での冷却効果を高めることができる。特に底部72の位置を頭部64に可及的に近づけることにより、温度調節通路72を突き出しピン30の全長にほぼ沿って配置することができる。
【0055】
さらに、スプルーブッシュ51においては、前記孔54は中心軸線X´に沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、また前記内筒体56の中心軸線方向X´の両側に設けられるフランジ57,58の外径はそれぞれ前記孔54の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。同様に、ゲートカットスリーブ67において、孔66は中心軸線Y´に沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、前記内筒体69の中心軸線Y´方向の両側に設けられるフランジ70,71の外径はそれぞれ前記孔66の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。
【0056】
図10は本発明の第3実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図において、コールドスプルーブッシュ6には固定側型板4側に筒状の突出部9を有しており、この外筒部たる突出部9は、固定側受け板5からさらに固定側型板4を貫通している。また、コールドスプルーブッシュ6の頭部7には原料供給ノズル10が設けられている。さらに、コールドスプルーブッシュ6内には、頭部7の原料供給ノズル10が接続する底面から突出部9の先端面に至る材料通路であるコールドスプルー12が形成されている。このコールドスプルー12は、製品キャビティ3に連通するものであり、この製品キャビティ3側へ向かって径の大きくなるテーパー状になっている。
【0057】
さらに、コールドスプルー12を囲むようにコールドスプルーブッシュ6には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路13が形成されている。前頭部7と突出部9の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により形成された貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体37を備えている。この内筒体37の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により前記コールドスプルー12が形成され、さらに、中心軸線Xの方向の両側には円形のフランジ38をそれぞれ形成する。前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されており、そして、前記両側のフランジ38の外径を貫通孔35Aの内径とほぼ同一に形成する。
【0058】
また、この例のコールドスプールブッシュ6では、突出部9は内筒体37及び頭部7と別部材で形成された後、一体に組立てられ、前記突出部9は頭部7に固定するフランジ部9Aを一体に有し、フランジ部9Aの外周側を頭部7にロウ付け又は拡散接合により固着し、該頭部7とフランジ部9Aの内面との間に前記温調調節通路13の供給部13Aと排出部13Bとを形成する。そして、内筒体37を貫通孔35に挿入すると共に、このフランジ38を貫通孔35の両側で嵌合し、この場合、頭部7側のフランジ38の外周面38Aを頭部7内の前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着すると共に、キャビティ3側のフランジ38の外周面38Aを突出部9内の前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着し、前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に前記温度調節通路13を形成したものである。そして、温度調節通路13に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0059】
このように本実施形態においても、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路13の腐蝕を防止でき、また、温度調節通路13は部品及び配置により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができ、上記各実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0060】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば光ディスクなどに限られるものではなく、各種の成形用金型装置に使用することができる。また、無電解ニッケルメッキ層は、ニッケルを主体とするが、実施形態のようにリンを含有したり、その他のメッキ材、例えばホウ素やタングステンなどを含有してもよい。
【0061】
【発明の効果】
請求項1の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0062】
請求項2の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型と、この可動型に摺動自在に設けたゲートカットスリーブとを備え、前記ゲートカットスリーブに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0063】
請求項3の発明は、前記スプルーブッシュは中心軸線上にスプルーを設ける内筒部と、この内筒部の外周面との間に前記温度調節通路を形成する外筒部とを有し、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0064】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記内筒部と外筒部とを固着したものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】同上、要部の断面図である。
【図3】同上、温度調節通路の製品キャビティ側の拡大断面図である。
【図4】同上、スプルーブッシュの分解斜視図である。
【図5】同上、ゲートカットスリーブの分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】同上、要部の断面図である。
【図8】同上、スプルーブッシュの分解斜視図である。
【図9】同上、ゲートカットスリーブの分解斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固定型
2 可動型
3 製品キャビティ
6 コールドスプルーブッシュ(スプルーブッシュ)
9 突出部(外筒部)
12 コールドスプルー(スプルー)
13 温度調節通路
33 温度調節通路
35 貫通孔
35A 内周面
36 スプルーブッシュ
37 内筒体(内筒部)
53 突出部(外筒部)
56 内筒体(内筒部)
151 無電解ニッケルメッキ層
X X´ Y Y´ 中心軸線
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)等光ディスクなどの成形用金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクは、その基板が一般的に樹脂により射出成形される。この成形では、射出成形機の固定盤および可動盤にそれぞれ取り付けられたスプルーブッシュを設けた固定型およびゲートカットスリーブを設けた可動型を型閉して、これら固定型および可動型間に製品キャビティを形成し、射出成形機のノズルから射出した成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を製品キャビティに充填し、この製品キャビティ内の樹脂すなわち光ディスクが固化した後、固定型および可動型を型開して成形された光ディスクを取り出すようにしている。
【0003】
そして、固定型および可動型では製品キャビティ或いはスプルーに充填した溶融した熱可塑性樹脂を冷却して固化するために、冷却水が通る温度調節通路が設けられる。この温度調節通路は製品キャビティに対向するように設ける温度調節通路の他に、スプルー等に沿って設けられる温度調節通路等が知られている。そして、スプルー等に沿って設けられる従来の温度調節通路では、水密性に劣り漏水の虞があったり、またスプルー等に可及的に沿って温度調節通路を設けることができないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして特許文献1の金型装置が知られる。この金型装置は内筒管と外筒管にそれぞれ設けたフランジを重ね合わせて固着したものである。しかしながら、このようなフランジを重ね合わせて固着したものでは、重ね合わせ面積が広く良好に固着できず、水漏れする虞がある。
【0005】
また、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記スプルーブッシュは中心軸線上に貫通孔を形成したスプルーブッシュ本体と、前記貫通孔に挿入すると共に中心軸線上にスプルーを貫通した内筒体からなり、前記内筒体の中心軸線方向の両側にフランジをそれぞれ形成すると共に、前記フランジの外周面を前記貫通孔の内周面に固着して前記貫通孔の内周面と前記内筒体の外周面との間に前記温度調節通路を形成した成形用金型装置(特許文献2)である。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−159221号公報
【特許文献2】
特開2002−254489号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2の成形用金型装置では、温度調節通路に水漏れの虞がなく、スプルー等に可及的に沿って温度調節用通路を設けることができる。
【0008】
ところで、特許文献1及び2のものは内筒体に外筒体を固定し、両者の間に温度調節用通路を設けるものであるから、水漏れがなく、温度調節用通路をスプルー等に可及的に沿わせることができるが、冷却水に水質の劣るものを使用すると、通路が腐食して詰まりが発生し、この場合、スプルーブッシュ全体を交換しなければならなかった。
【0009】
そこで、本発明は、温度調節用通路が詰まることを防止することができる成形用金型装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0011】
この請求項1の構成によれば、スプールブッシュに設けた温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。尚、通路の壁面全体に無電解ニッケルメッキ層を設ける。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層を形成できる。
【0012】
請求項2の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型と、この可動型に摺動自在に設けたゲートカットスリーブとを備え、前記ゲートカットスリーブに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0013】
この請求項2の構成によれば、ゲートカットスリーブに設けた温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層を形成できる。
【0014】
請求項3の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記スプルーブッシュは中心軸線上にスプルーを設ける内筒部と、この内筒部の外周面との間に前記温度調節通路を形成する外筒部とを有し、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものである。
【0015】
この請求項3の構成によれば、内筒部の外周面と外筒部との間に形成された温度調節通路に温度調節用流体を通すものであり、温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、内筒部と外筒部とを固着したものであり、スプルーブッシュの内筒部と外筒部とが一体化されている。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図を参照して説明する。図1〜図5は第1実施形態を示しており、同図において1は固定型、2は可動型で、型体であるこれら固定型1および可動型2は、互いに図示上下方向(型開閉方向)に移動して開閉し、型閉時に光ディスクを形成する製品キャビティ3を相互間に2つ形成するものである。尚、固定型1及び可動型2の部材は金属製である。
【0018】
前記固定型1は、基体としての固定側型板4と、この固定側型板4における可動型2と反対側の面(図示上側の面)に固定された基体としての固定側受け板5とを備えている。また、前記固定側受け板5には、製品キャビティ3にそれぞれ対応させてスプルーブッシュであるコールドスプルーブッシュ6が固定されている。このコールドスプルーブッシュ6の頭部7は、固定側受け板5に形成された凹部8内に嵌合しているが、固定側型板4側に筒状の外筒部たる突出部9を有しており、この突出部9は、固定側受け板5からさらに固定側型板4を貫通している。また、コールドスプルーブッシュ6の頭部7には原料供給ノズル10が設けられている。さらに、コールドスプルーブッシュ6内には、頭部7の原料供給ノズル10が接続する底面から突出部9の先端面に至る材料通路であるコールドスプルー12が形成されている。このコールドスプルー12は、製品キャビティ3に連通するものであり、この製品キャビティ3側へ向かって径の大きくなるテーパー状になっている。
【0019】
さらに、コールドスプルー12を囲むようにコールドスプルーブッシュ6には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路13が形成されている。
【0020】
前記固定側型板4は、前記固定側受け板5における可動型2側の面に固定された位置決め枠14とこの位置決め枠14の内側に嵌合されたキャビティ形成部材としてのキャビティブロック15とからなっている。これらキャビティブロック15は、前記製品キャビティ3を形成するものである。また、キャビティブロック15の外周部には環状の外周スタンパー押え16が着脱可能に取り付けられており、内周部には筒状の内周スタンパー押え17が着脱可能に取り付けられている。これらスタンパー押え16,17は、光ディスクのグルーブ部やランド部を形成するスタンパーをキャビティブロック15に着脱可能に保持するためのものである。また、前記キャビティブロック15を貫通する筒状の内周スタンパー押え17内には中間筒18が嵌合され、この中間筒18内に前記コールドスプルーブッシュ6の突出部9が嵌合している。前記内周スタンパー押え17および中間筒18は製品キャビティ3の一部を形成するものである。さらに、前記キャビティブロック15内には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路19が形成されている。
【0021】
前記可動型2は、射出成形機の固定側プラテンに取り付けられる可動側取り付け板20と、この可動側取り付け板20における固定型1側の面に固定された可動側受け板21と、この可動側受け板21における固定型1側の面に固定された可動側型板22とを備えている。この可動側型板22は、可動側受け板21における固定型1側の面に固定された位置決め枠23とこの位置決め枠23の内側に嵌合されたキャビティ形成部材としてのコアブロック24とからなっている。コアブロック24は、前記製品キャビティ3をそれぞれ形成するものである。また、位置決め枠23は、前記固定型1の位置決め枠14にテーパー嵌合するものである。なお、コアブロック24内には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路25が形成されている。
【0022】
また、前記コアブロック24の外周部には、突き当てリング26が嵌合されている。この突き当てリング26は、型閉時に前記固定型1側の外周スタンパー押え16に突き当たり、製品キャビティ3の外周面を形成するものである。
【0023】
さらに、前記コアブロック24の内周部には筒状のエア吹き出し入子27が貫通状態で固定されており、このエア吹き出し入子27の内周側には筒状の突き出しスリーブ28が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されており、この突き出しスリーブ28の内周側には筒状のゲートカットスリーブ29が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されており、このゲートカットスリーブ29内には突き出しピン30が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合されている。前記突き出しスリーブ28およびゲートカットスリーブ29は、それぞれ固定型1と反対側へ付勢されている。また、前記ゲートカットスリーブ29には、可動側取り付け板20を貫通する受け部31が突設されている。この受け部31が射出成形機に設けられた押圧ロッド(図示していない)によって押されることにより、ゲートカットスリーブ29が固定型1側へ移動するようになっている。また、前記突き出しピン30は、前記可動側取り付け板20内に設けられた突き出し板32に固定されている。この突き出し板32が射出成形機に設けられた別の押圧ロッド(図示していない)によって押されることにより、突き出しピン30が固定型1側へ移動するようになっている。さらに、突き出し板32に固定された連動ピン(図示していない)が突き出しスリーブ28を押すことにより、この突き出しスリーブ28が固定型1側へ移動するようになっている。
【0024】
そして、前記ゲートカットスリーブ29は、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路33が形成され、このゲートカットスリーブ29は前記固定型1の中間筒18内に挿脱自在に嵌合して、光ディスクの中央の開口孔を形成するものである。したがって、ゲートカットスリーブ29の外周側に位置する突き出しスリーブ28およびエア吹き出し入子27は製品キャビティ3の一部を形成する。また、固定型1側のコールドスプルーブッシュ6の突出部9の先端面外周部と可動型2側のゲートカットスリーブ29の先端面外周部との間に、固定型1側のコールドスプルー12を製品キャビティ3に連通させるゲート34が形成されることになる。
【0025】
さらに、前記コールドスプルーブッシュ6は、頭部7に突出部8を設けると共に、これら頭部7と突出部8の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により形成された貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体37を備えている。この内筒体37の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により前記コールドスプルー12が形成され、さらに、中心軸線Xの方向の両側には円形のフランジ38をそれぞれ形成する。前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されており、そして、前記両側のフランジ38の外径を貫通孔35の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体37を貫通孔35に挿入すると共に、このフランジ38を貫通孔35の両側で嵌合し、フランジ38の外周面38Aを前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着し、前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に前記温度調節通路13を形成したものである。尚、拡散接合は、接合界面間での接触過程、接触面の密着化が時間とともに進む過程、接合境界が消失する過程を経て接合されるものであり、接触過程では加圧によるすべり変形、表面被膜の破壊、移動により、次の過程では空孔拡散、境界拡散、すなわち転位の移動によって密着化が進む過程、さらに次の過程では再結晶や結晶の成長などによる新しい結晶組織の形成や、接合境界に存在する皮膜、介在物などの分解あるいは溶解などが関与し、ほぼ完全な接合がなされる。具体的には溶剤を用いた拡散溶接では、ニッケル合金、例えばBNiなどからなる溶剤を用い、この溶剤を加熱して溶融させ、毛細管現象により接合すべき材料間、つまりフランジ38の外周面38Aと前記貫通孔35の内周面35Aの間に浸透させる。これにより、接合部において材料組織が変成を生じ、強固に接合される。前記一方のフランジ38の端には原料供給ノズル10が接続してこの原料供給ノズル10とコールドスプルー12とが連通して原料を供給できるようになっている。さらに、他方のフランジ38は製品キャビティ3に対向して臨んでおり、このフランジ38の中央より原料が製品キャビティ3へ供給されるようになっている。そして、前記固定側受け板5には、供給路39と排出路40が設けられ、これら供給路39と排出路40が、温調調節通路13の供給部13Aと排出部13Bにそれぞれ接続されており、供給路39により冷水を温度調節通路13に供給し、排出路40により温度調節通路13内の水を排出できるようになっている。尚、供給部13Aと排出部13Bの端部はそれぞれ頭部7の側面に開口する。
【0026】
このようにコールドスプルーブッシュ6は、貫通孔35の内部に内筒部たる内筒体37を一体に組み込み、温度調節通路13を内部に有し、組み付けにおいて、コールドスプルーブッシュ6は、連通する凹部8及び前記中間筒18内に組み付けられる。そして、温度調節通路13に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0027】
メッキ層151の形成においては、貫通孔35の内部に内筒部たる内筒体37を一体に組み込んだコールドスプルーブッシュ6を、無電解ニッケル−リンの無電解メッキ液に浸漬してメッキを行い、前記無電解メッキ液に、還元剤として次亜燐酸ソーダなどの次亜燐塩酸を用い、コールドスプルーブッシュ6にニッケル合金皮膜を形成する。すなわち、被メッキ物であるコールドスプルーブッシュ6が触媒となって還元反応を起こし、前記無電解メッキ液中のニッケル陽イオンを還元してその無電解メッキ液に接するコールドスプルーブッシュ6の表面にニッケル合金をメッキするものであり、幅広い金属に対応可能で、被メッキ物の形状に影響されず、均一性が高く、メッキ層151の厚さの設定が自由にでき、密着性に優れ、さらに、耐食性、耐磨耗性に優れる。また、ピンホールの発生を防止できるから、部分的な腐蝕の発生を防止できる。
【0028】
そのメッキの原理を説明すると、前記無電解メッキ液中の次亜燐酸陰イオンが周期律表の第8属金属にある特定条件で接触すると、その金属が触媒となって、下記の化1のように脱水素分解を起こさせる。
【0029】
【化1】
生成した水素元素は触媒金属(被メッキ物)表面に吸着され、これがメッキ液中のニッケル陽イオンに接触すると、下記の化2のようにニッケルを金属に還元し、触媒金属表面に析出する。
【0030】
【化2】
また、下記の化3に示すように、触媒金属表面の活性化した水素原子はメッキ液中の次亜燐酸イオンと反応してその含有するリンを還元してニッケルとの合金を作る。
【0031】
【化3】
このように析出したニッケルが触媒となって前と同様にニッケルの還元メッキ反応が継続して進行し、すなわちニッケルの自己触媒作用によりメッキが継続進行する。したがって、メッキの処理時間に対応して無電解ニッケルメッキ層151の厚さを設定できる。
【0032】
そして、前記無電解ニッケルメッキ層151の化学組成として、ニッケル90〜92質量%、リン8〜10質量%が例示さえる。
【0033】
一方、前記ゲートカットスリーブ29は、頭部41に製品キャビティ3に向けて外筒部たる突出部42を設けると共に、中心軸線Y上にワイヤカットなどにより貫通孔43を形成したゲートカットスリーブ本体44と、前記貫通孔43に挿入すると共に中心軸線Y上に前記突き出しピン30が貫挿する貫通孔45をワイヤカットなどにより形成した内筒部たる内筒体46を備えている。この内筒体46の中心軸線Y方向の両側には円形のフランジ47をそれぞれ形成する。前記貫通孔43は中心軸線Yに沿って同一内径に形成されており、前記フランジ47の外径を貫通孔43の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体46を貫通孔43に挿入すると共に、このフランジ47を貫通孔43の両側で嵌合し、フランジ47の外周面47Aを前記貫通孔43の内周面43Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記貫通孔43の内周面43Aと前記内筒体46の外周面46Aとの間に前記温度調節通路33を形成したものである。一方のフランジ47の端は、突き出しスリーブ30と共に製品キャビティ3に臨むように取り付けられる。そして、前記可動側受け板21には、供給路48と排出路49が設けられ、これら供給路48と排出路49が、温調調節通路33の供給部33Aと排出部33Bにそれぞれ接続されており、供給路48により冷水を温度調節通路33に供給し、排出路49により温度調節通路33内の水を排出できるようになっている。尚、供給部33Aと排出部33Bの端部はそれぞれ側面に開口する。
【0034】
このようにゲートカットスリーブ29は、貫通孔43の内部に内筒部たる内筒体46を一体に組み込み、温度調節通路33を内部に有し、組み付けにおいて、ゲートカットスリーブ29は、可動型2に組み付けられる。そして、貫通孔43の内部に内筒部たる内筒体46を一体に組み込んだゲートカットスリーブ29の温度調節通路33に、前記温度調節通路13と同様に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。すなわち、ゲートカットスリーブ29をメッキ液にどぶ漬けしてメッキする。
【0035】
つぎに、前記金型装置を用いた光ディスクの成形方法について説明する。成形時には、まず固定型1と可動型2とを型閉して、これら固定型1および可動型2間に製品キャビティ3を形成する。なお、このように型閉した状態で、可動型2の突き当てリング26が固定型1の外周スタンパー押え16に突き当たり、また、固定型1および可動型2の位置決め枠14,23が相互にテーパー嵌合する。そして、射出成形機から熱可塑性の成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を射出する。この樹脂は、ノズル10からコールドスプルー12を順次通ってゲート34から製品キャビティ3内にそれぞれ流入する。そして、製品キャビティ3内に樹脂が充填された後、射出成形機側に設けられた図示していない押圧ロッドによってゲートカットスリーブ29の受け部31が固定型1の方へ押されることにより、ゲートカットスリーブ29が固定型1側へ移動し、この固定型1の中間筒18内に嵌合する。これにより、ゲート34においてコールドスプルー12内の樹脂と製品キャビティ3内の樹脂すなわち光ディスクとが切断される。
【0036】
また、製品キャビティ3内の樹脂は、供給路39から供給された温度調節用流体である冷却水が温度調節通路13内を通ることにより積極的に冷却され、コールドスプルー12内の樹脂は、積極的に冷却される。また、供給路48から供給される温度調節用流体である冷却水が温度調節通路33内を通ることにより、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。同様に温度調節通路19,25内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。
【0037】
この場合、温度調節通路13,33に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路13,33の腐蝕を防止できる。また、それら温度調節通路13,33は部品及び配置により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができる。
【0038】
そして、製品キャビティ3内の樹脂が冷却して固化した後、固定型1と可動型2とが型開される。この型開に伴い、成形された光ディスクおよびコールドスプルー12内で固化した樹脂はまず固定型1から離れる。ついで、射出成形機側に設けられた図示していない押圧ロッドによって突き出し板32が固定型1の方へ押されることにより、突き出し板32とともに突き出しピン30が固定型1側へ移動し、コールドスプルー12内で固化した樹脂を突き出して可動型2から離型させる。また、突き出し板32に連動して突き出しスリーブ28が固定型1側へ移動し、光ディスクの内周部を突き出して可動型2から離型させる。そして、離型した光ディスクは、図示していない取り出しロボットにより取り出される。その後、再び型閉が行われて以上の成形サイクルが繰り返される。
【0039】
前記実施形態の構成によれば、コールドスプルーブッシュ6は中心軸線X上に貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入すると共に中心軸線X上にコールドスプルー12を貫通した内筒体37からなり、前記内筒体37の中心軸線X方向の両側にフランジ38をそれぞれ形成すると共に、前記フランジ38の外周面38Aを前記貫通孔35の内周面35Aに固着して前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成したことにより、スプルーブッシュ本体36の貫通孔35と内筒体37のフランジ38との接合は、フランジ38の外周面38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面38Aと内周面35Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体37の外周面37Aより外側位置であるフランジ38の外周面38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着することにより、この接合箇所をコールドスプルー12より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、スプルーブッシュ本体36には製品キャビティ3側からノズル50側まで貫通した貫通孔35に内筒体37を設けたものであるので、温度調節通路13をコールドスプルー12の全長にほぼ沿って配置することができ、この温度調節通路13によるコールドスプルー12での冷却効果を高めることができる。
【0040】
同様に、ゲートカットスリーブ29は中心軸線Y上に貫通孔43を形成したゲートカットスリーブ本体44と、この貫通孔43に挿入すると共に中心軸線Y上に突き出しピン30を貫挿した内筒体46からなり、前記内筒体46の中心軸線Y方向の両側にフランジ47をそれぞれ形成すると共に、前記フランジ47の外周面47Aを前記貫通孔43の内周面43Aに固着して前記貫通孔43の内周面43Aと前記内筒体46の外周面46Aとの間に前記温度調節通路33を形成したことにより、ゲートカットスリーブ本体44の貫通孔43と内筒体46のフランジ47との接合は、フランジ47の外周面47Aを貫通孔43の内周面43Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面47Aと内周面43Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体46の外周面43Aより外側位置であるフランジ47の外周面47Aを貫通孔43の内周面43Aに固着することにより、この接合箇所を突き出しピン30より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、ゲートカットスリーブ本体44には製品キャビティ3側から頭部41の基端面側まで貫通した貫通孔43に内筒体46を設けたものであるので、温度調節通路33をゲートカットスリーブ本体44の全長にほぼ沿って配置することができ、この温度調節通路33によるゲートカットスリーブ本体44など、ひいては可動型2での温調効果を高めることができる。
【0041】
さらに、スプルーブッシュ6においては、前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、また前記内筒体37の中心軸線方向Xの両側に設けられるフランジ38の外径はそれぞれ前記貫通孔35の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。同様に、ゲートカットスリーブ29において、貫通孔43は中心軸線Yに沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、前記内筒体46の中心軸線Y方向の両側に設けられるフランジ47の外径はそれぞれ前記貫通孔43の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。
【0042】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設けた成形用金型装置において、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、スプールブッシュに設けた温度調節通路13に温度調節用流体を通し、その温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。そして、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層151を形成できる。
【0043】
このように本実施形態では、請求項2に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2と、この可動型2に摺動自在に設けたゲートカットスリーブ29とを備え、ゲートカットスリーブ29に温度調節通路33を設けた成形用金型装置において、温度調節通路33に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、ゲートカットスリーブ29に設けた温度調節通路33に温度調節用流体を通し、その温度調節通路33に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路33の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。しかも、含浸法(どぶ漬け)で形成できるから、メッキ層151を極めて簡便に形成でき、かつ内部に形成された温度調節通路に均一な厚さでメッキ層151を形成できる。
【0044】
このように本実施形態では、請求項3に対応して、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6を設けた固定型1と該固定型1に対向して設けた可動型2とを備え、スプルーブッシュ6に温度調節通路13を設けた成形用金型装置において、スプルーブッシュ6は中心軸線X上にスプルーたるコールドスプルー12を設ける内筒部たる内筒体37と、この内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成する外筒部たる突出部9とを有し、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けたから、温度調節通路13に温度調節用流体を通し、その温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を設けることにより、腐蝕を防止することができ、また、通路13の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れ、温調効果に優れたものとなる。
【0045】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、内筒部たる内筒体37と外筒部たる突出部9とを固着したものであり、スプルーブッシュ6の突出部9と内筒体37とが一体化されている。
【0046】
また、実施形態上の効果として、スプルーブッシュたるコールドスプルーブッシュ6は中心軸線X上に貫通孔35を形成した外筒部たる突出部9と、貫通孔35に挿入すると共に中心軸線X上にスプルーたるコールドスプルー12を貫通した内筒部たる内筒体37からなり、内筒体37の中心軸線X方向の両側にフランジ38,38をそれぞれ形成すると共に、フランジ38,38の外周面38A,38Aを貫通孔35の内周面35Aに固着して貫通孔35の内周面35Aと内筒体37の外周面37Aとの間に温度調節通路13を形成したから、貫通孔35の内周面35Aと内筒体37の外周面37Aとの間に形成された温度調節通路13に温度調節用流体を通すものである。また、貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成され、内筒部たる内筒体37の中心軸線方向の両側に設けられるフランジ37,37の外径はそれぞれ内径とほぼ同一に形成されるから、同一内径の貫通孔35の内周面35Aに内筒体37の中心軸線X方向の両側に設けられるフランジ37,37の外周面38,38が固着する。
【0047】
図6〜図9は本発明の第2実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0048】
第2実施形態における前記コールドスプルーブッシュ51は、頭部52に突出部53を設けると共に、これら頭部52と外筒部たる突出部53の中心軸線X´上に形成された有底な孔54を形成したスプルーブッシュ本体55と、前記孔54に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体56を備えている。この内筒体56の中心軸線X´上に前記コールドスプルー12が形成される。このコールドスプルー12の端は頭部52に形成したコールドスプルー連通部12Aに連通するようになっており、このコールドスプルー連通部12Aの端にノズル10が接続して、原料がコールドスプルー連通部12A、コールドスプルー12を介して製品キャビティ3へ供給できるようになっている。さらに中心軸線X´の方向の先端および基端側には円形のフランジ57,58をそれぞれ形成する。孔54は中心軸線X´に沿って同一内径に形成されており、フランジ57,58の外径を孔54の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体56を孔35に挿入すると共に、内筒体56の基端側のフランジ58を孔54の底部54Bに当接し、そしてフランジ57,58を孔54の両側で嵌合し、フランジ57,58の外周面57A,58Aを前記孔54の内周面54Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記孔54の内周面54Aと前記内筒体56の外周面56Aとの間に温度調節通路59を形成したものである。そして、温度調節通路59にはパイプなどの供給路60と排出路61がそれぞれ接続している。
【0049】
一方、前記ゲートカットスリーブ63は、頭部64に製品キャビティ3に向けて突出部65を設けると共に、中心軸線Y´上に有底な孔66を形成したゲートカットスリーブ本体67と、前記孔66に挿入すると共に中心軸線Y´上に突き出しピン30が貫挿する貫通孔68を形成した内筒体69を備えている。そして、取り付け板20を貫通する受け部31に一端を接続し他端しを前記孔66の底部72に接続した連通孔68Aを形成して、突き出しピン30が貫通孔68と連通孔68Aを貫挿するようになっている。またこの内筒体69の中心軸線Y´方向の先端および基端には円形のフランジ70,71をそれぞれ形成する。前記孔66は中心軸線Y´に沿って同一内径に形成され、フランジ70,71の外径を貫通孔66の内径とほぼ同一に形成する。そして内筒体69を孔66に挿入すると共に、内筒体69の先端側のフランジ70を孔66の底部72に当接し、そしてフランジ70,71を貫通孔66の両側で嵌合し、フランジ70,71の外周面70A,71Aを前記孔66の内周面66Aにロウ付け又は溶剤を用いた拡散溶接等拡散接合により固着し、前記貫通孔66の内周面66Aと前記内筒体69の外周面69Aとの間に前記温度調節通路72を形成したものである。基端側のフランジ71は製品キャビティ3に臨むようになっている。そして、温度調節通路72にはパイプなどの供給路73と排出路74がそれぞれ接続している。
【0050】
また、温度調節通路59,72に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0051】
したがって、製品キャビティ3内の樹脂は、供給路73より温度調節用流体である冷却水が温度調節通路59内を通ることにより積極的に冷却され、コールドスプルー12、コールドスプルー連通部12A内の樹脂は冷却される。また、温度調節通路72内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は積極的に冷却される。同様に、温度調節通路19,25内を温度調節用流体である冷却水が通ることにより積極的に冷却され、製品キャビティ3内の樹脂は冷却される。
【0052】
また、温度調節通路59,72に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路59,72の腐蝕を防止できる。また、それら温度調節通路13,33は部品により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができ、請求項に対応して上記第1実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0053】
また、本実施形態では、コールドスプルーブッシュ51は中心軸線X´上に有底な孔54を製品キャビティ3側から形成したスプルーブッシュ本体55と、この孔54に挿入すると共に中心軸線X´上にスプルー12を貫通した内筒体56からなり、前記内筒体56の中心軸線X´方向の先端及び基端にフランジ57,58をそれぞれ形成すると共に、前記内筒体56の先端側のフランジ58を前記底部54Bに当接し、かつ前記先端および基端のフランジ57,58の外周面57A,58Aを前記孔54の内周面54Aに固着して前記孔54の内周面54Aと前記内筒体56の外周面56Aとの間に温度調節通路59を形成したことにより、スプルーブッシュ本体55の孔54と内筒体56のフランジ57,58との接合は、フランジ57,58の外周面57A,58Aを孔54の内周面54Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面57A,58Aと内周面54Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体56の外周面56Aより外側位置であるフランジ57,58の外周面57A,58Aを貫通孔54の内周面54Aに固着することにより、この接合箇所をコールドスプルー12より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、スプルーブッシュ本体55には製品キャビティ3側からノズル50方向まで形成した孔54に内筒体56を設けたものであるので、温度調節通路59をコールドスプルー12の全長に可及的に沿って配置することができ、この温度調節通路59によるコールドスプルー12での冷却効果を高めることができる。特に底部59の位置をノズル50に可及的に近づけることにより、温度調節通路59をコールドスプルー12の全長にほぼ沿って配置することができる。
【0054】
同様に、ゲートカットスリーブ63は中心軸線Y´上に有底な孔66を製品キャビティ3側から形成したゲートカットスリーブ本体67と、この孔66に挿入すると共に中心軸線Y´上に突き出しピン30を貫挿した内筒体69からなり、前記内筒体69の中心軸線Y´方向の先端及び基端にフランジ70,71をそれぞれ形成すると共に、前記内筒体69の先端側のフランジ70を前記底部72に当接し、かつ前記先端および基端のフランジ70,71の外周面70A,71Aを前記孔66の内周面66Aに固着して前記孔66の内周面66Aと前記内筒体69の外周面69Aとの間に温度調節通路72を形成したことにより、ゲートカットスリーブ本体67の貫通孔66と内筒体69のフランジ70,71との接合は、フランジ70,71の外周面70A,71Aを貫通孔66の内周面66Aに固着することにより、その接合箇所は円筒状となり、固着のためのロウ材が周りやすく、又拡散接合の場合には外周面70A,71Aと内周面66Aの接触状態を均一にして接合しやすく、この結果接合不良がなくなり、漏水の虞を一掃できる。さらに、内筒体69の外周面69Aより外側位置であるフランジ70,71の外周面70A,71Aを貫通孔66の内周面66Aに固着することにより、この接合箇所を突き出しピン30より可及的に離すように配置したことによりいっそう漏水し難い構造とすることができる。しかも、ゲートカットスリーブ本体67には製品キャビティ3側から頭部41の基端面方向まで形成した貫通孔66に内筒体69を設けたものであるので、温度調節通路72をゲートカットスリーブ本体67の全長に可及的に沿って配置することができ、この温度調節通路72によるゲートカットスリーブ本体67など、ひいては可動型2での冷却効果を高めることができる。特に底部72の位置を頭部64に可及的に近づけることにより、温度調節通路72を突き出しピン30の全長にほぼ沿って配置することができる。
【0055】
さらに、スプルーブッシュ51においては、前記孔54は中心軸線X´に沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、また前記内筒体56の中心軸線方向X´の両側に設けられるフランジ57,58の外径はそれぞれ前記孔54の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。同様に、ゲートカットスリーブ67において、孔66は中心軸線Y´に沿って同一内径に形成されるので加工しやすく、前記内筒体69の中心軸線Y´方向の両側に設けられるフランジ70,71の外径はそれぞれ前記孔66の内径とほぼ同一に形成されるので、取り付けなども容易に行うことができる。
【0056】
図10は本発明の第3実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図において、コールドスプルーブッシュ6には固定側型板4側に筒状の突出部9を有しており、この外筒部たる突出部9は、固定側受け板5からさらに固定側型板4を貫通している。また、コールドスプルーブッシュ6の頭部7には原料供給ノズル10が設けられている。さらに、コールドスプルーブッシュ6内には、頭部7の原料供給ノズル10が接続する底面から突出部9の先端面に至る材料通路であるコールドスプルー12が形成されている。このコールドスプルー12は、製品キャビティ3に連通するものであり、この製品キャビティ3側へ向かって径の大きくなるテーパー状になっている。
【0057】
さらに、コールドスプルー12を囲むようにコールドスプルーブッシュ6には、冷却水などの温度調節用流体を通すための温度調節通路13が形成されている。前頭部7と突出部9の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により形成された貫通孔35を形成したスプルーブッシュ本体36と、この貫通孔35に挿入する入れ子状の内筒部たる内筒体37を備えている。この内筒体37の中心軸線X上にワイヤカットなどの手段により前記コールドスプルー12が形成され、さらに、中心軸線Xの方向の両側には円形のフランジ38をそれぞれ形成する。前記貫通孔35は中心軸線Xに沿って同一内径に形成されており、そして、前記両側のフランジ38の外径を貫通孔35Aの内径とほぼ同一に形成する。
【0058】
また、この例のコールドスプールブッシュ6では、突出部9は内筒体37及び頭部7と別部材で形成された後、一体に組立てられ、前記突出部9は頭部7に固定するフランジ部9Aを一体に有し、フランジ部9Aの外周側を頭部7にロウ付け又は拡散接合により固着し、該頭部7とフランジ部9Aの内面との間に前記温調調節通路13の供給部13Aと排出部13Bとを形成する。そして、内筒体37を貫通孔35に挿入すると共に、このフランジ38を貫通孔35の両側で嵌合し、この場合、頭部7側のフランジ38の外周面38Aを頭部7内の前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着すると共に、キャビティ3側のフランジ38の外周面38Aを突出部9内の前記貫通孔35の内周面35Aにロウ付け又は拡散接合により固着し、前記貫通孔35の内周面35Aと前記内筒体37の外周面37Aとの間に前記温度調節通路13を形成したものである。そして、温度調節通路13に、被覆層である無電解ニッケルメッキ層151を形成する。
【0059】
このように本実施形態においても、温度調節通路13に無電解ニッケルメッキ層151を形成しているから、品質の低い冷却水が流れても温度調節通路13の腐蝕を防止でき、また、温度調節通路13は部品及び配置により寸法に制約を受け易く、細い部分が発生するが、無電解ニッケルメッキ層151により冷却水の壁面抵抗が低下し、冷却水をスムーズかつ均一に流すことができ、上記各実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0060】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば光ディスクなどに限られるものではなく、各種の成形用金型装置に使用することができる。また、無電解ニッケルメッキ層は、ニッケルを主体とするが、実施形態のようにリンを含有したり、その他のメッキ材、例えばホウ素やタングステンなどを含有してもよい。
【0061】
【発明の効果】
請求項1の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0062】
請求項2の発明は、スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型と、この可動型に摺動自在に設けたゲートカットスリーブとを備え、前記ゲートカットスリーブに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0063】
請求項3の発明は、前記スプルーブッシュは中心軸線上にスプルーを設ける内筒部と、この内筒部の外周面との間に前記温度調節通路を形成する外筒部とを有し、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【0064】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記内筒部と外筒部とを固着したものであり、温度調節通路の腐蝕を防止することができ、また、通路の壁面抵抗が減りスムーズに流体が流れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】同上、要部の断面図である。
【図3】同上、温度調節通路の製品キャビティ側の拡大断面図である。
【図4】同上、スプルーブッシュの分解斜視図である。
【図5】同上、ゲートカットスリーブの分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】同上、要部の断面図である。
【図8】同上、スプルーブッシュの分解斜視図である。
【図9】同上、ゲートカットスリーブの分解斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固定型
2 可動型
3 製品キャビティ
6 コールドスプルーブッシュ(スプルーブッシュ)
9 突出部(外筒部)
12 コールドスプルー(スプルー)
13 温度調節通路
33 温度調節通路
35 貫通孔
35A 内周面
36 スプルーブッシュ
37 内筒体(内筒部)
53 突出部(外筒部)
56 内筒体(内筒部)
151 無電解ニッケルメッキ層
X X´ Y Y´ 中心軸線
Claims (4)
- スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴とする成形用金型装置。
- スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型と、この可動型に摺動自在に設けたゲートカットスリーブとを備え、前記ゲートカットスリーブに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴とする成形用金型装置。
- スプルーブッシュを設けた固定型と該固定型に対向して設けた可動型とを備え、前記スプルーブッシュに温度調節通路を設けた成形用金型装置において、前記スプルーブッシュは中心軸線上にスプルーを設ける内筒部と、この内筒部の外周面との間に前記温度調節通路を形成する外筒部とを有し、前記温度調節通路に無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴とする成形用金型装置。
- 前記内筒部と外筒部とを固着したことを特徴とする請求項3記載の成形用金型装置。
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JP2002370803A JP2004195942A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 成形用金型装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008032523A1 (fr) * | 2006-09-11 | 2008-03-20 | Shinmaywa Industries, Ltd. | Canon à plasma à gradient de pression |
WO2008038694A1 (fr) * | 2006-09-27 | 2008-04-03 | Ngk Insulators, Ltd. | Buse de carotte et son procédé de production |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002370803A patent/JP2004195942A/ja not_active Abandoned
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WO2008038694A1 (fr) * | 2006-09-27 | 2008-04-03 | Ngk Insulators, Ltd. | Buse de carotte et son procédé de production |
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